JP3854784B2 - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置に関し、特に被記録媒体の端部に余白を作らずに記録を行える機能を有するインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、電気熱変換素子の発熱によりインクに膜沸騰を生じさせ、その際に発生した気泡の圧力を利用してインクを吐出させ、紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の被記録媒体に対して記録を行うインクジェット記録装置は、高密度かつ高速な記録動作が可能であることから、プリンタ等の情報処理システムの出力手段として利用され、かつ商品化されている。
【0003】
また、インクジェット記録装置は、インクを吐出するノズルの高密度化、吐出されるインク滴の微細化、濃度の異なるインクの使用等の技術によって写真に匹敵するような高画質化が進められてきた。これによりこれまで銀塩写真等で行われてきた、例えば医療用の透過画像分野にまで進出可能となった。
【0004】
一般にインクジェット記録装置は、記録手段である記録ヘッドおよびインクタンクを着脱可能に搭載するキャリッジと、被記録媒体を搬送する搬送手段と、これらを制御するための制御手段と、を具備する。そして複数の吐出口からインクを吐出させる記録ヘッドを被記録媒体の搬送方向(以下、副走査方向)と直交する方向(以下、主走査方向)にシリアルスキャンさせるとともに、一方で非記録時に被記録媒体を所定のピッチで副走査方向に間欠搬送するものである。
【0005】
このような従来のインクジェット記録装置203の要部構成の概略を説明する側面概略図を図13に、斜視概略図を図14にそれぞれ示す。
【0006】
従来のインクジェット記録装置203は、被記録媒体216を供給する被記録媒体供給部221と、搬送されてきた被記録媒体216に対して不図示のキャリッジに搭載されたインクジェット記録ヘッドカートリッジ224により記録を行う記録部222と、記録部222により記録された後、被記録媒体216を排紙し、受ける排紙部223とを有する。
【0007】
この従来のインクジェット記録装置203による被記録媒体216への記録動作の概略を以下に説明する。
【0008】
圧板217に積層して収納された被記録媒体216は、圧板217により分離ローラ218方向に押圧され、不図示の分離爪等の分離手段及び分離ローラ218により1枚ずつ分離された後、ガイド板219、220に沿って、第1の副走査ローラ208、209へと搬送される。次に、被記録媒体216は、第1の副走査ローラ208、209に挟持されて、記録部222へと搬送され、プラテン板215に位置規制されながら、インクタンク213及び記録ヘッド212を有するインクジェット記録ヘッドカートリッジ224の記録ヘッド212から吐出されたインクにより記録がなされる。インクタンク213は記録ヘッド212に供給するためのインクを内部に保持しており、記録ヘッド212は、被記録媒体216の搬送方向である副走査方向(図14中矢印K)に複数の吐出口が配されているものである。また記録に際して、インクジェット記録ヘッドカートリッジ224を搭載する不図示のキャリッジは、副走査ローラの回転軸とほぼ平行に配置された不図示のキャリッジガイドに沿って、副走査方向と直交する方向である主走査方向(図14中矢印J)に往復移動されながら記録を行う。記録がなされた被記録媒体216は、第2の副走査ローラ210、211に挟持されて被記録媒体受け214へと排紙される。第2の副走査ローラ211は記録直後の被記録媒体に接触するため、乾燥していないインクの付着を避けるようにその形状は拍車状になっている。
【0009】
なお、記録が行われる前に予備吐出口202の上方までキャリッジは移動され、インクの予備吐出を行い、記録ヘッド212を良好な記録が行える好適な状態にする。従来のこの予備吐出口202は図14に示すように、予備吐出口202に付着したインクにより被記録媒体216が汚れないように被記録媒体216の搬送路外に配置されていた。
【0010】
また、図14に示すように、被記録媒体216には、記録がなされる記録領域201aと、記録がなされない余白部分となる非記録領域201bとが形成される。非記録領域201bが形成されるのは、非記録領域201bに記録がなされることで、プラテン板215にインクが付着し、被記録媒体216が汚れないようにするためである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例のような構成には、例えば、医療用の透過画像を形成する場合、以下のような問題点があった。
【0012】
図15に従来のインクジェット記録装置により透明な被記録媒体に記録がなされた、医療用の透過画像204の一例を示す。また、図16にライトボックス205を用いて透過画像204、204’を並べて観察している状況を示す。
【0013】
画像領域204aの周囲に、ボーダー204bと呼ばれる、画像以外の領域を高濃度の黒色で塗りつぶした領域が形成されている。さらにボーダー204bの周囲は、記録がなされていない透明な領域が非記録領域204c、204d、204e、204fとして形成されている。
【0014】
透過画像4は、図16に示すように、ライトボックス205の前面の上部に透過画像204を差し込んだ状態とし、ライトボックス205からバックライトを透過画像204の裏側から当てることで、画像領域204aの観察が行われるものである。このため、銀塩写真では医療画像以外の部分は全てボーダー部として、ライトボックス205にかけて観察する際、不要な光を遮っていた。これは、不要な透明部分があるとそこから強い光が放射され、詳細に観察すべき画像部分の観察の妨げになるからである。
【0015】
しかし、従来のインクジェット記録装置により記録がなされた透過画像204は、ボーダー204bの周囲に記録がなされていない透明な領域が非記録領域204c、204d、204e、204fとして形成されているため、このような透過画像204をライトボックス205にかけて観察すると、特に両側端の非記録領域204d、204eからもれた光が観察者の目に入り、画像領域204aの詳細な観察の妨げとなっていた。また、図16に示すように、複数枚の透過画像204、204’を同時に観察することが多く、このとき各透過画像204、204’の各画像領域204a、204a’を順次凝視する際に、透過画像204と透過画像204’との間を視線が通過する場合があり、このとき画像領域の微弱な光量部分を観察していた観察者の目が、非画像領域204e、204d’からなる余白の透明部分より漏れる強力な光に幻惑されて、次に画像領域204a、204a’の微弱な光量変化を読み取ることができなくなる場合があった。
【0016】
上記問題点を解決する装置として、特開平8−169155号公報には、印刷ヘッドの下側に、印刷ヘッドの往復移動範囲に渡って搬送される記録紙の幅よりも十分に幅広のインク回収容器を備えたインクジェットプリンタが記載されている。
【0017】
しかしながら、上記公報に記載のインクジェットプリンタでは、印刷ヘッドの下側において記録紙の全幅に渡って記録紙を案内する案内部材が無く、記録紙を空中に浮かせた状態で搬送させて記録を行っている。そのため記録紙の挙動が安定せず、また印刷ヘッドから吐出されたインク滴を吸収することでさらに記録紙の挙動が不安定になり、記録する画像の品位が悪くなるという問題点があった。
【0018】
そこで、本発明は上記課題を解決するため、被記録媒体の端部にまで高品位の記録が可能なインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するための本発明のインクジェット記録装置は、
被記録媒体を搬送する搬送手段と、吐出口からインクを吐出することで前記被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを搭載して前記被記録媒体の搬送方向に対して交差する方向である幅方向に往復移動するヘッド搭載部と、前記記録ヘッドと対向する位置で前記被記録媒体を支持する支持手段と、を有するインクジェット記録装置であって、
前記被記録媒体の幅方向の端部に前記記録ヘッドから吐出されたインクを回収する開口部を前記搬送方向と交差する方向に複数配列し、前記複数配列された開口部のうち少なくとも1つは前記被記録媒体の前記幅方向の位置決めを行う位置決め手段と連動して、前記幅方向に移動可能であることを特徴とする。
【0020】
また、被記録媒体を前記被記録媒体の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送方向と交差する方向である幅方向に前記被記録媒体の通過領域を超えた範囲に配列された複数の吐出口からインクを吐出することで前記被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを搭載するヘッド搭載部と、前記記録ヘッドと対向する位置で前記被記録媒体を支持する支持手段と、を有するインクジェット記録装置であって、
前記被記録媒体の幅方向の端部に前記記録ヘッドから吐出されたインクを回収する開口部を前記搬送方向と交差する方向に複数配列し、前記複数配列された開口部のうち少なくとも1つは前記被記録媒体の前記幅方向の位置決めを行う位置決め手段と連動して、前記幅方向に移動可能であることを特徴とする。
【0021】
以上の構成によれば、被記録媒体の端部にまで高品位の記録が可能なインクジェット記録装置を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態の理解のための参考例について図面を参照して説明する。
【0023】
(第1の参考例)
図1は、第1の参考例としてのインクジェット記録装置1の記録部19の構造を示す概略斜視図である。
【0024】
本参考例のインクジェット記録装置1の記録部19は、透過画像を形成するための光透過性を有する被記録媒体9を搬送する第1の副走査ローラ2、3及び第2の副走査ローラ4、5と、インクタンク6と記録ヘッド7を有するインクジェット記録ヘッドカートリッジ8を搭載する不図示のヘッド搭載部としてのキャリッジと、インク受け口11a、11bの形成されたプラテン板10と、記録ヘッド7からのインクの吐出に関する制御を行う制御部7aとを有する。
【0025】
第1の副走査ローラ2、3は被記録媒体9を挟持し、プラテン板10の上面へと被記録媒体9を搬送し、第2の副走査ローラ4、5は、記録がなされた被記録媒体9を挟持し、不図示の被記録媒体受けへと排紙する。第2の副走査ローラ5は、記録直後の被記録媒体9に接触するため、乾燥していないインクの付着を避けるようにその形状は拍車状となっている。
【0026】
インクタンク6はインクを内部に保持しており、記録ヘッド7は、被記録媒体9の搬送方向である副走査方向(図1中矢印B)に複数の吐出口が形成されているものである。記録に際して、インクジェット記録ヘッドカートリッジ8を搭載するキャリッジは、各副走査ローラの回転軸とほぼ平行に配置された不図示のキャリッジガイドに沿って、副走査方向と交差する方向、例えば、直交する方向である主走査方向(図1中矢印A)に往復移動する。記録ヘッド7は、図1の破線で示す位置Cと実線で示す位置Dとの間で往復移動されながら記録を行う。また、インクジェット記録ヘッドカートリッジ8は、被記録媒体9の右端部9aから左端部9bまでの幅L1よりも広い範囲の、インクを吐出する範囲L3にインクを吐出することが可能である。
【0027】
プラテン板10に形成された2つのインク受け口11a、11bは、管12により不図示のインク吸収体または廃インクタンクへと連通している。また、インク受け口11a、11bの形成されている位置は、記録ヘッド7が通過する直下であるとともに、インク受け口11aの外側の縁である外側端部11cと、インク受け口11bの外側の縁である外側端部11dとの間隔L2が、インクを吐出する範囲L3よりも広くなるように設定されている。すなわち、被記録媒体9の幅L1と、外側端部11cと外側端部11dとの間隔L2と、インクを吐出する範囲L3との関係は、
L1<L3<L2
となっており、インク受け口11aは被記録媒体9の右端部9aに対応し、インク受け口11bは被記録媒体9の左端部9bに対応するように形成されている。
【0028】
次に、本参考例のインクジェット記録装置1による被記録媒体9への記録方法に関して詳細に説明する。
【0029】
なお、インクジェット記録ヘッドカートリッジ8を搭載したキャリッジが位置CからDの位置へと移動しながら、被記録媒体9にボーダー13の記録を行う場合に関する説明とする。
【0030】
第1の副走査ローラ2、3により被記録媒体9が挟持され、プラテン板10の上面へと搬送される。
【0031】
キャリッジは位置Cから、インク受け口11aまで移動し、記録ヘッド7の吐出口が被記録媒体9の投影位置に到達せず、インク受け口11aの投影位置内となる位置に達した時点で記録ヘッド7は、制御部7aからの制御信号によりインクの吐出を開始する。すなわち、記録ヘッド7は、図1中L3の範囲内に入るとインク受け口11aに対してインクの吐出を開始する。これはインクは被記録媒体9以外にインクが吐出されていることとなるが、被記録媒体9以外に吐出されたインクはインク受け口11aにより回収されるため、プラテン板10が汚れることはない。このため、プラテン板10上を搬送される被記録媒体9が汚れることはない。また、この際吐出されたインクは管12を介してインク吸収体または廃インクタンクへと排出される。
【0032】
制御部7aの制御信号により記録ヘッド7からのインクの吐出は続けられながら、キャリッジはさらに位置Dの方向へ移動する。これにより、被記録媒体9には非記録の領域が形成されることなく右端部9aからボーダー13の記録が開始される。そして、記録ヘッド7はインクを吐出することで被記録媒体9にボーダー13を記録しながらキャリッジは被記録媒体9の左端部9bを通過し、インク受け口11bの外側端部11dに至る前までインクの吐出を行う。これにより、被記録媒体9の左端部9bにも非記録領域は形成されないこととなる。このようにして、両端部に非記録領域のないボーダー13が被記録媒体9に形成される。
【0033】
ボーダー13の記録を行った後、記録ヘッド7は、吐出口がインク受け口11bの外側端部11dに至る前の、図1中L3の範囲内でインクの吐出を終了する。このため、プラテン板10は吐出されたインクにより汚れることはない。また、この際吐出されたインクは管12を介してインク吸収体または廃インクタンクへと排出される。
【0034】
図2に本参考例のインクジェット記録装置1により記録された医療用の透過画像14の一例を示す。
【0035】
画像領域14a以外の領域には高濃度の黒色で塗りつぶしたボーダー14bが形成されている。図に示した従来のインクジェット記録装置により形成された透過画像4の上下左右端には非記録領域204c、204d、204e、204fが形成されていたが、本参考例のインクジェット記録装置1により形成された透過画像14は、上下端の非記録領域14c、14dのみが形成されるのみで、左右両端は全て塗りつぶされたボーダー14bが形成されている。
【0036】
図3にライトボックス5を用いて、透過画像14a及び透過画像14aと同様にして形成された透過画像14a’を並べて観察している状況を示す。
【0037】
透過画像14a及び透過画像14a’の左右端に透明部分がないために、透過画像14a及び透過画像14a’間にライトボックス15からのバックライトをそのまま透過する隙間ができていない。
【0038】
なお、プラテン板10は平板形状のものを一例に説明したが、これに限定されることなく、例えば図4に示すプラテン板16のような形状であってもよい。
【0039】
すなわち、プラテン板16は、被記録媒体9に接触する接触面16aの幅L4が、被記録媒体9の幅L1より狭く、また、プラテン板16の両端は、接触面16aに対して下方に段差をつけた形状の段差部16b、16cが形成されている。プラテン板16を用いた場合のL1とL3とL2とL4との関係は、L4<L1<L3<L2となる。段差部16b、16cは、接触面16aより下方に位置するため、被記録媒体9に接触することはない。また、段差部16b、16cには、インク受け口17a、17bがそれぞれ形成されているが、上述のように段差部16b、16cは被記録媒体9に接触することがないため、インク受け口17a、17bがインクで汚れていたとしても、被記録媒体9の左右端に接触して被記録媒体9を汚すことはない。
【0040】
また、さらに、プラテン板10、16のような形状のものの他に、線状の突起部が設けられた板部材やエンボス加工の施された板部材を用いるものであってもよい。
【0041】
以上説明したように本参考例のインクジェット記録装置1は、プラテン板10に被記録媒体9の左右両端にそれぞれ対応するインク受け口17a、17bが形成されており、被記録媒体9の右端に記録ヘッド7が到達する直前からインクを吐出し、被記録媒体9の左端を記録ヘッド7が通過するまでインクを連続して吐出するため、被記録媒体9の左右両端は全て塗りつぶされたボーダー13が形成されることとなる。このため、本参考例のインクジェット記録装置1により記録された複数の透過画像14をライトボックス15に並べ、各透過画像14の各画像領域14aを順次凝視する際に透過画像間を視線が通過しても、非記録の領域が形成されることで生じる余白の透明部分より漏れる強力な光に幻惑されずに画像領域の微弱な光量変化を読み取ることができる。
【0042】
(第2の参考例)
次に、図5及び図6に本発明の第2の参考例のインクジェット記録装置40の記録部59の構成を示す概略平面図及び概略断面図をそれぞれ示す。
【0043】
本参考例のインクジェット記録装置40のプラテン板44には、搬送されてきた幅の異なる各被記録媒体の右端部41bに対応する第1のインク受け口44aと、幅の異なる各被記録媒体の左端に対応した第2のインク受け口44bと、第3のインク受け口44cと、第4のインク受け口44dとが形成されている。
【0044】
第2のインク受け口44bは、第1の被記録媒体41の左端部41aに対応する。第3のインク受け口44cは、第1の被記録媒体41より幅広の第2の被記録媒体42の左端部42aに対応する。第4のインク受け口44dは、第2の被記録媒体42より幅広の第3の被記録媒体43の左端部43aに対応する。
【0045】
また、各インク受け口は管55に連通しているが、各インク受け口と各管55との間には、プラテン板44の面より窪んだ凹部48が形成されている。凹部48が形成されていることで各被記録媒体への不要なインクの付着を抑制することができる。
【0046】
プラテン板44の下方には、インク吸収体47を収納したインク吸収体ケース45が設けられており、各インク受け口に吐出され管55を介して流れ込んできたインクを吸収し、保持する。インク吸収体ケース45は蓋46を有しているため、吸収したインクが漏洩することはない。
【0047】
なお、第1の参考例において、不図示としたインク吸収体あるいは廃インクタンクは、図6に示す、インク吸収体47を収納し、蓋46を有するインク吸収体ケース45と同様のものである。
【0048】
以上の構成により、第1の副走査ローラ49、50により搬送されてきた第1の被記録媒体41は、インクジェット記録ヘッドカートリッジ54の記録ヘッド56から吐出された高濃度の黒色インクにより、左右端に余白部分が形成されることなく、ボーダー53が形成される。この際、記録ヘッド56がインクを吐出する範囲は、第1のインク受け口44aから第2のインク受け口44bまでの間であるため、プラテン板44及び第1の被記録媒体41が汚れることはない。
【0049】
同様に、第2の被記録媒体42に記録を行う場合の記録ヘッド56がインクを吐出する範囲は、第1のインク受け口44aから第3のインク受け口44cまでの間であり、第3の被記録媒体43に記録を行う場合の記録ヘッド56がインクを吐出する範囲は、第1のインク受け口44aから第4のインク受け口44dまでの間であるため、いずれの場合もプラテン板44、第2の被記録媒体42及び第3の被記録媒体43が汚れることはない。
【0050】
本参考例のインクジェット記録装置40は、上記以外の構成及び動作は基本的に第1の参考例で示したインクジェット記録装置1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0051】
なお、本参考例のプラテン板44は平板形状のものを一例に説明したが、これに限定されることなく、各インク受け口の部分が各被記録媒体に接触しないような形状のものであってもよく、例えば、線状の突起部が設けられた板部材やエンボス加工の施された板部材を用いるものであってもよい。
【0052】
以上説明したように、本参考例のインクジェット記録装置40も第1の参考例と同様に、各被記録媒体の左右端部に余白部分を形成することなく記録が行える。
【0053】
(第3の参考例)
次に、図7及び図8に第3の参考例のインクジェット記録装置60の記録部69の構成を示す概略平面図及び概略断面図をそれぞれ示す。
【0054】
本参考例のインクジェット記録装置60は、第2の参考例のインクジェット記録装置40で用いられたプラテン板44のような平板状とせず、複数の細い針金状のバー62が、副走査方向を長手方向として主走査方向に並列に配列されている。また、各バー62は後述の各インク受け口61と干渉しないように配置されている。各インク受け口61は、管63の断面積に対して開口部の断面積が大きく拡大されたテーパ形状に形成されたものである。この形状は、空中に吐出されたインクの回収を容易するためのものである。また、各インク受け口61の開口端部はバー62よりも低い位置に設けられているため、被記録媒体64と各インク受け口61の開口端部が接することはない。
【0055】
本参考例のインクジェット記録装置6は、上記以外の構成及び動作は基本的に第2の参考例で示したインクジェット記録装置40と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0056】
以上説明したように、本参考例のインクジェット記録装置60は、各被記録媒体に接する面積が少ないだけでなく、吐出されたインクの付着する面積が少ないバー62により各被記録媒体を支持することにより各被記録媒体を汚さずに、第1及び第2の参考例と同様に被記録媒体の左右端部に余白部分を形成することなく記録が行える。
【0057】
(第1の実施形態)
次に、図9及び図10に本発明の第1の実施形態のインクジェット記録装置70の記録部89の構成を示す概略平面図及び概略断面図をそれぞれ示す。
【0058】
本実施形態のインクジェット記録装置70は、各被記録媒体の右端部71bの位置規制を行う第1の位置決め板72に対向する位置に配された第2の位置決め板73にロッド74で連結された、インクを受けるための開口の形成されたインク受け部75を有する。第2の位置決め板73は主走査方向に平行移動し、かつ、固定自在であり、各被記録媒体の左端部の位置規制を行うものである。ロッド74で第2の位置決め板73に連結されたインク受け部75も、当然ながら、第2の位置決め板73に伴い主走査方向に移動する。
【0059】
インク吸収体76を収納するインク吸収体ケース77の蓋78には、インク受け部75の移動範囲に対応した開口78aが形成されている。すなわち、インク受け部75が、インク受け部75の移動範囲のどの位置に位置していたとしても、インク受け部75に連通した管75bから流れ落ちる回収されたインクが、インク吸収体ケース77のインク吸収体76へと流れ込むように開口78aは形成されている。
【0060】
以下に、各サイズの被記録媒体にインク受け部75を対応させる手順を説明する。
【0061】
第1の被記録媒体71にボーダー81を形成する場合、操作者が第1の被記録媒体の左端部71aまで第2の位置決め板73を移動させる。これにより、ロッド74で連結されたインク受け部75は第1の被記録媒体の左端部71aに対応した位置(図9中Gの位置)にセットされる。
【0062】
同様に、第1の被記録媒体71より幅広の第2の被記録媒体79に記録を行う場合は、操作者が第2の被記録媒体の左端部79aまで第2の位置決め板73を移動させる。これにより、インク受け部75は第2の被記録媒体の左端部79aに対応した位置(図9中Hの位置)にセットされる。
【0063】
第2の被記録媒体79より幅広の第3の被記録媒体80に記録を行う場合も同様に操作することで、インク受け部75は第3の被記録媒体の左端部80aに対応した位置(図9中Iの位置)にセットされる。
【0064】
インク受け部75が図9に示すG、H、Iのいずれの位置にあっても、記録ヘッド81からインク受け部75に吐出されたインクは、管75bを介し、開口78aからインク吸収体76へと流れ込み吸収、保持される。
【0065】
本実施形態のインクジェット記録装置70は、上記以外の構成及び動作は基本的に第3の参考例で示したインクジェット記録装置60と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0066】
なお、本実施形態では、各被記録媒体の幅が3種類であり、インク受け部75のセットされる位置も3段階として説明したが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、各被記録媒体の左端に対応するインク受け部75のみが移動する構成を例として示したが、各被記録媒体の右端に対応するインク受け部75aも移動可能な構成とするものであってもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態のインクジェット記録装置70は第1ないし第3の参考例と同様に、各被記録媒体の左右端部に余白部分を形成することなく記録が行える。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、図11及び図12に本発明の第2の実施形態のインクジェット記録装置90の記録部99の構成を示す概略平面図及び概略断面図をそれぞれ示す。
【0069】
本実施形態のインクジェット記録装置90は、いわゆるラインヘッドタイプのものであり、インクを吐出するノズル列91が副走査方向の記録領域全域に渡って形成されているラインヘッド92を有する。ラインヘッド92は不図示のヘッド搭載部に着脱自在に搭載されている。ノズル列91はラインヘッド92の後述の各被記録媒体に面する側に形成されている。また、ラインヘッド92は不図示の固定部材により、不図示のインクジェット記録装置90の本体に固定されている。
【0070】
第1の被記録媒体96に記録を行う場合のラインヘッド92のノズル列91がインクを吐出する範囲は、第1のインク受け部94から第1の被記録媒体の左端部96aに対応した位置にセットされた第2のインク受け部95までの間である。
【0071】
また、第1の被記録媒体96より幅広の第2の被記録媒体97に記録を行う場合のラインヘッド92のノズル列91がインクを吐出する範囲は、第1のインク受け部94から第2の被記録媒体の左端部97aに対応した位置にセットされた第2のインク受け部95までの間である。
【0072】
同様に、第2の被記録媒体97より幅広の第3の被記録媒体98に記録を行う場合のラインヘッド92のノズル列91がインクを吐出する範囲は、第1のインク受け部94から第3の被記録媒体の左端部98aに対応した位置にセットされた第2のインク受け部95までの間である。
【0073】
以上のように、第1のインク受け部94から各被記録媒体の幅に合わせてセットされた第2のインク受け部95までがラインヘッド92のノズル列91がインクを吐出する範囲となる。
【0074】
本実施形態のインクジェット記録装置90は、上記以外の構成及び動作は基本的に第1の実施形態で示したインクジェット記録装置70と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
なお、本実施形態では、各被記録媒体の幅が3種類であり、第2のインク受け部95のセットされる位置も3段階として説明したが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、各被記録媒体の左端に対応する第2のインク受け部95のみが移動する構成を例として示したが、各被記録媒体の右端に対応する第1のインク受け部94も移動可能な構成とするものであってもよい。
【0076】
以上説明したように、本実施形態のインクジェット記録装置90も第1ないし第3の参考例及び第1の実施形態と同様に、被記録媒体の左右端部に余白部分を形成することなく記録が行える。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、被記録媒体を搬送する搬送手段と、吐出口からインクを吐出することで被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを搭載して被記録媒体の搬送方向に対して交差する方向である幅方向に往復移動するヘッド搭載部と、記録ヘッドと対向する位置で被記録媒体を支持する支持手段と、を有するインクジェット記録装置であって、被記録媒体の幅方向の端部に記録ヘッドから吐出されたインクを回収する開口部を設けたため、被記録媒体の端部にまで高品位の記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の理解のための第1の参考例のインクジェット記録装置の記録部の構造を示す概略斜視図である。
【図2】 第1の参考例のインクジェット記録装置により記録された医療用の透過画像の一例を示す図である。
【図3】 ライトボックスを用いて、複数の透過画像を並べて観察している状況を示す図である。
【図4】 異なる形状のプラテン板の一例を示す図である。
【図5】 第2の参考例のインクジェット記録装置の記録部の構成を示す概略平面図である。
【図6】 図5に示したインクジェット記録装置の記録部の構成を示す概略断面図である。
【図7】 第3の参考例のインクジェット記録装置の記録部の構成を示す概略平面図である。
【図8】 図7に示したインクジェット記録装置の記録部の構成を示す概略断面図である。
【図9】 本発明の第1の実施形態のインクジェット記録装置の記録部の構成を示す概略平面図である。
【図10】 図9に示したインクジェット記録装置の記録部の構成を示す概略断面図である。
【図11】 本発明の第2の実施形態のインクジェット記録装置の記録部の構成を示す概略平面図である。
【図12】 図11に示したインクジェット記録装置の記録部の構成を示す概略断面図である。
【図13】 従来のインクジェット記録装置の要部構成の概略を説明する側面概略図である。
【図14】 従来のインクジェット記録装置の斜視概略図である。
【図15】 従来のインクジェット記録装置により記録された医療用の透過画像の一例を示す図である。
【図16】 ライトボックスを用いて、従来の複数の透過画像を並べて観察している状況を示す図である。
【符号の説明】
1、40、60、70、90、100、120 インクジェット記録装置
2、3、49、50、128、129 第1の副走査ローラ
4、5、51、52、130、131 第2の副走査ローラ
6 インクタンク
7、56、81、115、124 記録ヘッド
7a 制御部
8、54、110 インクジェット記録ヘッドカートリッジ
9、64、112、127 被記録媒体
9a 右端部
9b 左端部
10、16、44、121 プラテン板
11a、11b、17a、17b、132a、132b インク受け口
13、14b、53、81、134 ボーダー
14、14’ 透過画像
14a、14a’ 画像領域
14b、14d 非記録領域
15 ライトボックス
16a 接触面
16b、16c 段差部
19、59、69、89、99、116、139 記録部
41、71、96 第1の被記録媒体
41a、71a、96a 第1の被記録媒体端
41b、71b 各被記録媒体の右端部
42、79、97 第2の被記録媒体
42a、79a、97a 第2の被記録媒体の左端部
43、80、98 第3の被記録媒体
43a、80a、98a 第3の被記録媒体の左端部
44a 第1のインク受け口
44b 第2のインク受け口
44c 第3のインク受け口
44d 第4のインク受け口
45、77、113 インク吸収体ケース
46、78 蓋
47、76、114 インク吸収体
48 凹部
55、63、75b 管
62、111 バー
72 第1の位置決め板
73 第2の位置決め板
74 ロッド
75、75a、109 インク受け部
78a 開口
91、125 ノズル列
92 ラインヘッド
94 第1のインク受け部
95 第2のインク受け部
Claims (7)
- 被記録媒体を搬送する搬送手段と、吐出口からインクを吐出することで前記被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを搭載して前記被記録媒体の搬送方向に対して交差する方向である幅方向に往復移動するヘッド搭載部と、前記記録ヘッドと対向する位置で前記被記録媒体を支持する支持手段と、を有するインクジェット記録装置であって、
前記被記録媒体の幅方向の端部に前記記録ヘッドから吐出されたインクを回収する開口部を前記搬送方向と交差する方向に複数配列し、前記複数配列された開口部のうち少なくとも1つは前記被記録媒体の前記幅方向の位置決めを行う位置決め手段と連動して、前記幅方向に移動可能であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 被記録媒体を前記被記録媒体の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送方向と交差する方向である幅方向に前記被記録媒体の通過領域を超えた範囲に配列された複数の吐出口からインクを吐出することで前記被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを搭載するヘッド搭載部と、前記記録ヘッドと対向する位置で前記被記録媒体を支持する支持手段と、を有するインクジェット記録装置であって、
前記被記録媒体の幅方向の端部に前記記録ヘッドから吐出されたインクを回収する開口部を前記搬送方向と交差する方向に複数配列し、前記複数配列された開口部のうち少なくとも1つは前記被記録媒体の前記幅方向の位置決めを行う位置決め手段と連動して、前記幅方向に移動可能であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記開口部と連通する管部を有し、前記開口部の開口面積は前記管部の断面積よりも広い請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記支持手段は、前記搬送方向を長手方向とし、前記幅方向に並列に配列された複数の棒部材である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記開口部は、前記被記録媒体の記録面でない面から略法線方向に離れた位置の、前記被記録媒体を支持する支持面以外の面に形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドは、インク吐出用の熱エネルギを発生するための電気熱変換体を備えている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギにより、インクに生ずる膜沸騰を利用して吐出口よりインクを吐出させる請求項6に記載のインクジェット記録装置。
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