JP3852959B2 - 合成樹脂内部添加用帯電防止剤 - Google Patents

合成樹脂内部添加用帯電防止剤 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は帯電防止剤に関するものである。さらに詳しくは、合成樹脂との相溶性に優れ、内部添加して用いることにより、合成樹脂に長期間安定した帯電防止効果を付与することのできる帯電防止剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、合成樹脂はフィルム、シート、繊維等として種々の分野に広く利用されており、これら合成樹脂製品は優れた絶縁性を有する反面、静電気が発生して帯電し易く、フィルム、シート等にあっては汚れが付着し易い欠点があり、また繊維では静電気の発生によって紡糸が困難となり、合成繊維の衣服等を着用していると人体に静電気が帯電して静電気による不快な衝撃を受ける等の問題点がある。また合成樹脂製品に帯電した静電気の放電による火災、爆発等の災害が生じたり、近年では、エレクトロニクス製品の目覚ましい普及に伴い、静電気に起因するOA機器、FA機器の誤動作や、IC、LSIの不良、破損が発生する等が大きな問題となっている。
【0003】
このため従来より合成樹脂用の種々の帯電防止剤が検討されている。帯電防止剤は使用する方法により、合成樹脂の表面に付与する外部処理型と、合成樹脂の内部に練り込む内部添加型に分けられる。これらのうち、外部処理型は洗濯等により表面の帯電防止剤が除去され効果の持続性を計り難いのに対し、内部添加型は一旦表面の帯電防止剤が除去されても合成樹脂内部の帯電防止剤がブリードしてきて性能の回復が期待できるので、帯電防止効果を長期間持続させるためには内部添加型が望まれる。内部添加型の帯電防止剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステルやN,Nビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン等が知られているが、これらは単独で用いると効果の持続性、耐久性に乏しく、このため、N,Nビス(2−ヒドロキシエチエル)ラウリルアミンを、高級アルコールと併用する(特開平1−304175号)か、又は脂肪酸モノグリセライドと併用する(特開平2−80488)ことにより持続性を向上する方法、高分子中に帯電防止能を有する構造を持った永久帯電防止剤(特開平5−295213)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の内部添加型帯電防止剤はその性能を十分に発揮することができなかった。例えば、N,Nビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンを用いるものは、繰り返しの摩擦・洗浄等の過酷な条件下に於いては耐久性が十分とはいえず、また高分子構造を持った永久帯電防止剤を用いるものでは、耐久性は良好であるものの、十分な効果を得るには多量に用いる必要があるため、極めて高価なものになるとともに、樹脂の物性を著しく低下させる等の問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の点に着目して行ったもので、合成樹脂との相溶性に優れ、少量を内部添加して用いることにより、合成樹脂に長期間安定した帯電防止効果を付与することのできる帯電防止剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、アミノ変性シリコンとアルキレンオキサイドを反応して得られる特定の化合物が、合成樹脂との相溶性に優れ、内部添加して用いることにより、合成樹脂に長期間安定した帯電防止効果を付与することのできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をアミノ基に変性したアミノ変性シリコン1モルに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドより選ばれた 1 種又は2種以上のアルキレンオキサイドを1〜100モル付加して得られる化合物を用いる合成樹脂内部添加用帯電防止剤である。
【0008】
本発明に用いるアミノ変性シリコンとしては、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をアミノ基に変性したもので、その構造は片末端アミノ変性シリコン、両末端アミノ変性シリコン、側鎖アミノ変性シリコンが挙げられ、いずれも用いることができる。またこれらのアミノ変性シリコンは市販のものを用いることができ、信越化学工業株式会社製X−22−161AS、KF−393、KF−864等、トーレシリコン株式会社製BY−16−853、SF−8417等が挙げられる。
【0009】
上記アミノ変性シリコンにアルキレンオキサイドを付加して本発明の帯電防止剤に用いる化合物が得られる。該アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、付加する方法としてはこれらのアルキレンオキサイドから選ばれた少なくとも1種を単独で付加する方法、2種以上をブッロク付加もしくはランダム付加する方法が挙げられ、いずれの方法も採用することができる。
【0010】
アミノ変性シリコンにアルキレンオキサイドを付加した化合物は、アミノ変性シリコン1モルに対してアルキレンオキサイドを1〜100モル付加したものであると、帯電防止能、樹脂との相溶性に優れて好ましい。アミノ変性シリコンに1モルに対するアルキレンオキサイドの付加量が1モル未満のものであると樹脂との相溶性が不良となり、100モルを越えて付加したものは表面への移行性が乏しくなり帯電防止効果を発現し難くなり、また親水性が過度に高くなって耐水性が低下し、例えば洗濯した時に洗い流され易くなり、恒久的な効果を発揮する事ができず好ましくない。
【0011】
アミノ変性シリコンにアルキレンオキサイドを付加する反応は、常法に従って行うことができ、例えば水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコラート等の触媒の存在下、又は不存在下、アミノ変性シリコンに50〜200℃でアルキレンオキサイドの付加反応を行うことができる。
【0012】
本発明の帯電防止剤は上記アミノ変性シリコンにアルキレンオキサイドを付加した化合物をそのまま、もしくはこれを主成分とし、更に必要に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲内でブロッキング防止剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0013】
本発明の帯電防止剤は合成樹脂の内部添加型であり、合成樹脂に練り込んで用いる。帯電防止剤を合成樹脂に練り込む方法としては、常法に従って行うことができ、例えば押出成型、射出成型、圧縮成型、ロール成型等の通常の成型方法が挙げられる。合成樹脂に練り込む帯電防止剤の量は、合成樹脂に対し0.1〜5重量%が、最も帯電防止効果の持続性、速攻性、耐久性に優れ好ましい。練り込む帯電防止剤の量が合成樹脂に対して0.1重量%未満であると帯電防止効果の持続性が不十分となり、また5重量%を越えると樹脂の物性を変化させるおそれがあり好ましくない。
【0014】
本発明の帯電防止剤に適する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン、アイオノマー樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ABS樹脂、PS樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、エチレン酢ビ共重合樹脂、エチレン塩ビ共重合樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、あるいはこれらの共重合樹脂等の各種合成樹脂等が挙げられ、これらの合成樹脂に本発明の帯電防止剤を練り込んだ後、フィルム、シート、プレート、繊維等として合成樹脂製品を得、これらに良好な帯電防止効果を付与することができる。
【0015】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されない。以下「%」は「重量%」を表す。
【0016】
【実施例】
実施例1〜4、参考例1、比較例1〜3
窒素気流下、表1に示すアミノ変性シリコンに表1に示す所定量のアルキレンオキサイドを100℃1時間で加え、同温度で3時間反応して、実施例と参考例に用いるアミノ変性シリコンのアルキレンオキサイド付加体を得た。得られたアミノ変性シリコンのエチレンオキサイド付加体を帯電防止剤として用い、高密度ポリエチレン樹脂(以下「HDPE樹脂」と記す)に対し2重量%加え、均一に混合後、押出成型機にて帯電防止剤を配合したペレットを作製し、次いでこれを射出成型機にて220〜240℃で、厚さ2.5mmのプレートに成型したものをテストピースとし、RH40%、25℃で30日間調湿し、調湿後5回の耐洗濯試験を行い、その間の表面抵抗値及び半減期の変化を測定した(実施例1〜4、参考例1)。なお、比較の為アミノ変性シリコン(比較例1)、ステアリン酸モノグリセライド(比較例2)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン(比較例3)を用いて上記と同様に、HDPE樹脂に上記と同量添加し練り込んでテストピースを作製し、調湿及び耐洗濯試験を行い、上記と同様にその間の表面抵抗値及び半減期の変化を測定した。実施例、参考例の帯電防止剤の合成条件、実施例、参考例及び比較例の性能測定結果を表1に、各試験方法を以下に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003852959
【0018】
・表面抵抗値・・・JIS K 6911に準じて測定した。測定条件は40%RH、25℃で行った。
・半減期の測定・・JIS L 1090に準じて測定した。測定条件は40%RH、25℃で行った。
・耐洗濯試験
成型し30日間調湿後のテストピースを、流水中でガーゼにて10往復摩擦し、その後RH40%、25℃で24時間風乾した。この操作を洗濯1回とし、各テストピースを5回洗濯した。
【0019】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の帯電防止剤は、アミノ変性シリコンとアルキレンオキサイドを反応して得られる特定の化合物を合成樹脂の内部添加型帯電防止剤として用いるもので、合成樹脂との相溶性に優れ、合成樹脂に長期間安定した帯電防止効果を付与することのできる帯電防止効果を発揮する。

Claims (1)

  1. ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をアミノ基に変性したアミノ変性シリコン1モルに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドより選ばれた 1 種又は2種以上のアルキレンオキサイドを1〜100モル付加して得られる化合物を用いることを特徴とする合成樹脂内部添加用帯電防止剤。
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