JP3852951B2 - プラスミドdnaの産生および精製の方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、高度に精製されたプラスミドの産生、および特に、遺伝子治療における使用のための製薬的グレードのプラスミドDNAの産生および単離に関する。
発明の背景
種々の方法が、プラスミドDNAを単離および精製するために有効である。一般的には、これらの方法は、染色体DNAとプラスミドDNAとの間の物理的差違を利用する。サイズに関しては、染色体DNAは、プラスミドDNAより大きい。細胞が溶解される場合、より大きな染色体DNAは、直鎖状になり細胞破片に巻き込まれ、そして細胞溶解物から分離され得る。
プラスミドDNAを単離および精製するための先行技術の方法として、煮沸による溶解(HolmesおよびQuigley, Anal. Biochem. 114, 193 (1981))、アルカリでの溶解(BirnboimおよびDoly, Nuc. Acids Res. 7, 1513 (1979))、および界面活性剤での溶解(GodsonおよびVapnek, Biochem, Biophys. Acta 299, 516 (1973))が挙げられる。PCT公開第95/21250号は、アルカリ処理と組み合わせて界面活性剤を使用して、プラスミドDNAを単離する方法を開示する。先行技術の方法はまた、高い毒性を有する化学薬剤を使用して、プラスミドDNAを抽出および単離する;例えば、エチジウムブロマイド、セシウムクロライド、フェノール、およびクロロホルム。さらに、これらの方法は、より小さいプラスミドに最も効果的である;例えば、約8〜10kb未満のプラスミド。プラスミドサイズが増大するにつれて、既在の先行技術の方法を使用するプラスミドDNAの単離は、より困難になる。
一般的には、アルカリを使用する方法は、標準的な量の水酸化ナトリウムを、細胞懸濁物にすばやく添加する(BirnboinおよびDoly、前出)。得られた溶液のpHは迅速に上昇し(場合によっては、13以上)、これは、プラスミドDNAの多量の分解を生じる。さらに、懸濁物中の細胞の濃度は希釈され(すなわち、600nmの波長で、1cm透過光につき1〜3ユニットの光学密度(OD)のオーダー)、プラスミドDNAの回復を最大にする。
本発明の目的は、製薬的グレードのDNAを調製する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、細菌宿主のRNAを実質的に含有しないプラスミドDNA調製物を提供することである。
本発明の別の目的は、細菌宿主のタンパク質を実質的に含有しないプラスミドDNA調製物を提供することである。
本発明の別の目的は、細菌宿主の染色体DNAを実質的に含有しないプラスミドDNA調製物を提供することである。
本発明の別の目的は、細菌宿主のエンドトキシンを実質的に含有しないプラスミドDNA調製物を提供することである。
本発明の別の目的は、比較的大きなプラスミドDNAを単離および精製する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、遺伝子治療における使用のために十分純粋な形態で、多量のプラスミドを単離する測定可能な(scalable)方法を提供することである。
本発明の別の目的は、宿主細胞/プラスミドDNA組合せからのプラスミドDNAの収率を最大にすることである。
発明の要旨
本発明は、高度に精製されたプラスミドDNAを産生および単離するための方法の発見に基づく。本発明の方法によって産生および単離されるプラスミドDNAは、非常に低いレベルの混入している染色体DNA、RNA、タンパク質、およびエンドトキシンを含む。本発明に従って産生されるプラスミドDNAは、インビボまたはエクスビボ遺伝子治療における使用について、十分な純度である。
従って、本発明は、高度に精製されたプラスミドDNAを産生および単離するためのプロセスを包含し、これは、アルカリ溶解の工程を含み、ここで、その溶液pHがモニターされ、そして制御された様式で上昇され、その結果、プラスミドDNAの不可逆的なアルカリ変性値よりも0.1pH単位低い値に等しい、予め決定されたpH値以上には上昇されない。
好ましくは、予め決定されたpH値は、単離されるプラスミドDNAの不可逆的なアルカリ変性値よりも0.2pH単位低い値に等しい。
予め決定されたpH値は、8.0〜14.0の範囲内であり、好ましくは約11.0〜13.1の範囲内であり、最も好ましくは、約12.1〜12.9の範囲内である。
本発明の方法によるpHにおける制御された上昇は、プラスミドDNAの非常に低い分解を生じ、それゆえプラスミドDNAの高い収率を可能にする。
本明細書中で使用される用語「変性する」、「変性されたDNA」、および「変性」は、DNAのコンフォーメーションとして規定され、その中では二本鎖DNAの鎖の間の水素結合が決裂している。用語「不可逆的なアルカリ変性値」は、標準的なアガロースゲル電気泳動によって決定されるように、わずか約50%のプラスミドDNAがアルカリ変性されて復元できないpH値として規定される。不可逆的なアルカリ変性値の決定は、以下に記載される。
本発明に従って、アルカリ溶解工程は発酵から採収された細胞で行われ、これは、定常期にまだ達していない細胞のバイオマスまで増殖しており、従って指数増殖期にあり、約2〜10g乾燥重量/リットルである。
好ましい実施態様において、アルカリ溶解工程は、発酵から採収された細胞で行われ、これは定常期にまだ達していない細胞の高いバイオマスまで増殖しており、従って指数増殖期にある。
本明細書中で使用される場合、「高いバイオマス」または「高密度」は、リットル乾燥重量当たり約10〜200g、および好ましくはリットル乾燥重量当たり12〜60gの細胞濃度として定義される。本明細書中で使用される用語「指数増殖」は、細胞が対数的な速度で倍加する場合の誘導期と定常期との間の細胞の増殖サイクルの部分をいう。
用語「指数増殖」はまた、後期誘導期(すなわち、初期定常期)を含むことを意味し、これは細胞増殖速度が遅くなるときに、対数増殖期と定常期との間に生じ、それゆえ、延長された指数増殖期を含む。従って、「定常期」は、水平増殖(horizonal growth)、すなわち、細胞が実質的に分裂を停止し、そして細胞の倍加に関して休止段階に到達した時をいう。本発明に従って、指数増殖の間に採収された細胞由来の高細胞密度での制御されたpH上昇と溶解との組合せは、細胞の一回のバッチによりインタクトな、そして高純度なプラスミドDNAを高収率で産生する。
本発明はまた、プラスミドDNAを含む宿主細胞を溶解するための至適溶解条件を決定するための方法を包含する。この方法は、a)細菌宿主細胞の培養物を、リットル乾燥重量単位あたり約12g〜60gの範囲内の細胞密度に増殖させる工程;b)細胞溶解を引き起こし、そして上記の細胞中に含まれるプラスミドDNAの50%未満の変性を引き起こすのに十分な上記の培養物のpHで、指数増殖の間に細菌細胞を溶解させる工程;およびc)工程b)のpHよりも約0.1pH単位低い至適溶解条件のためにpH値を選択する工程を含む。
好ましくは、溶解工程b)は、プラスミドDNAの90〜95%以下の変性を引き起こすのに十分なpHで行われ、そして工程c)において選択されたpHは、工程b)のpHよりも約0.17〜2.0pH単位低い。
本発明による細胞溶解のための至適溶解pHまたは至適水酸化ナトリウム濃度を決定することは、細胞溶解が生じ得るより長い期間を可能にし、続いて、a)プラスミドDNA調製物中に存在し得る多量の所望でないエンドトキシンの破壊、b)多量の染色体DNAの変性、およびc)多量の染色体DNAの沈殿を可能にし、これは同時に、量という点に関してプラスミドDNAを欠失せず、そして本発明によって産生された高品質プラスミドDNAを欠失しない。
従って、本発明はまた、形質転換された宿主細胞の大規模な培養物からのプラスミドDNAの収率を最大にする発酵プロセスを包含する。この発酵プロセスは、増殖速度を制御する工程を含み、その結果、増殖に必要な代謝産物の供給は、高バイオマスまでの増殖を可能にするのに適しているが、このような増殖を阻害するのに過剰ではない。本発明のこの局面にとって重要なことは、増殖が、阻害濃度の代謝産物および異化代謝産物の供給によって減少しないということである。しかし、プラスミドDNA産生に必要な成分(例えば、ヌクレオチドまたはヌクレオチド前駆体)が、発酵プロセスの間に限定されないこともまた、重要である。
本発明の他の局面は、プラスミドDNAの収率および量が、不十分な濃度の代謝産物および核酸前駆体によって減少されないことである。従って、別の局面において本発明は、発酵プロセスの間に、過剰量の代謝産物および核酸前駆体を有する培養増殖培地(すなわち、大規模な発酵におけるプラスミドDNAの産生のための先行技術において使用される濃度を上回る濃度)を提供することを包含する。
好ましい実施態様において、バッチ培地のイーストエキストラクトの量は、約20mg/lであり、従来のイーストエキストラクトの濃度より4倍増加している。別の好ましい実施態様において、培地は有機窒素源を補充される。好ましくは、有機窒素は、アンモニウム塩の形態(例えば、約5mg/lもしくは10mg/lの硫酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウム、または3mg/l、5mg/l、もしくは10mg/lのリン酸アンモニウム)で培養培地に添加される。
本発明はさらに、混入物を実質的に含まず、従って、製薬的グレードのDNAである、高度に精製されたプラスミドDNAを産生および単離する方法を包含する。
本発明の方法に従って単離されたプラスミドDNA調製物は、流動床イオン交換クロマトグラフィーならびに軸および/または放射状高分解能陰イオン交換クロマトグラフィーの両方を含み得、そしてさらに、ゲル浸透クロマトグラフィーを含み得る、イオン交換クロマトグラフィーを含む精製工程に供され得る。
従って、これらの方法は、後続的なイオン交換クロマトグラフィーおよびゲル浸透クロマトグラフィー工程と組み合わせた、本明細書中に記載のアルカリ溶解工程を含む。
あるいは、本発明の好ましい実施態様において、高分解能陰イオン交換クロマトグラフィーは、高純度プラスミドDNAに達する必要がないことが発見されている。従って、アルカリ溶解工程は、流動床イオン交換クロマトグラフィーのみを含み、さらなる軸または放射状高分解能陰イオン交換クロマトグラフィーを含まないプラスミドDNA単離工程と組み合わせられ得る。従って、本発明のこの方法において、イオン交換クロマトグラフィー工程は、実質的に流動床イオン交換クロマトグラフィーからなる。本発明のこの局面において、この方法はさらに、実質的にゲル浸透クロマトグラフィーからなり得る。
イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル浸透クロマトグラフィーは、プラスミドDNAの迅速な、および大規模な単離を容易にし、そして当業者に、毒性の高い化学試薬(例えば、エチジウムブロマイド、クロロホルム、およびフェノール)(少なくともその微量が、最終調製物中にしばしば見られる)の使用を回避することを可能にする。本発明に従って、このプロセスにおけるゲル浸透クロマトグラフィー工程はまた、薬学的に受容可能な溶液におけるプラスミドDNAの単離を提供する。
用語「実質的に含まない」および「高度に精製された」は、約95%および好ましくは98.99%の純度以上、または混入物を含まない、もしくは5%未満および好ましくは1〜2%未満の混入物を含むとして定義される。「製薬的グレードのDNA」は、わずか約5%および好ましくはわずか約1〜2%の細胞成分(例えば、細胞膜、染色体DNA(好ましくは、<1%)、RNA(好ましくは<0.2%)、タンパク質(好ましくは<1%)、および混入物由来の他の細胞)を含むDNA調製物として、本明細書中に規定される。製薬的グレードのDNAは、わずか100EU/mgのエンドトキシンを含むはずであり、そして好ましくは、環状の形態が優勢である。
本発明はまた、比較的大きなプラスミドDNA(すなわち、約5kb〜約50kb、好ましくは15kb〜50kbの範囲のサイズ)の単離を包含する。このDNAは約3kbのベクター骨格、治療用遺伝子、および関連する調節配列を含む。好ましくは、本発明の方法に使用されるベクター骨格は、高コピー数、治療用遺伝子の挿入のためのポリリンカー、選択マーカーをコードする遺伝子(例えば、テトラサイクリンまたはカナマイシン耐性遺伝子)を特定し、そして物理学的に小さく、かつ安定である。プラスミドの約3kbのベクター骨格は、哺乳動物、他の真核生物、原核生物、またはウイルスDNAの大きなフラグメントの挿入を、有利に可能にし、そして得られる大きなプラスミドは、精製され得、そしてインビボまたはエクスビボでのヒトの遺伝子治療に使用され得る。
高純度でインタクトな製薬的グレードのプラスミドDNAを調製するための、本明細書中に記載される本発明の方法は、本明細書中に記載される方法が、測定可能であり、従って大規模な製造のためのスケールアップを受け入れ可能だという点で、先行技術の方法よりも有利である。このような方法は、有毒な有機抽出溶媒または動物由来タンパク質(例えば、リゾチームおよびプロテイナーゼ)を利用する精製技術に依存しない。本発明の方法はまた、プラスミドDNA単離のためのエチジウムブロマイドのような変異誘発試薬の使用を必要としない。本発明の方法はまた、エタノールまたはプロパン-2-オールのような可燃性の溶媒の大量の使用を必要としない。
【図面の簡単な説明】
本発明は、添付の図面と組み合わせて含まれる、以下の詳細な説明によって、より十分に理解される:
図1は、変性されていないまたは変性されたプラスミドDNAが検出されるDNAゲルの模式図である。
図2は、プラスミドpUC18tetΔAmpのプラスミドマップである。
図3は、プラスミドpUC19tetΔAmpのプラスミドマップである。
図4は、本発明に従って調製されたプラスミドDNAに対応するバンドを示すゲルである。
図5は、本発明に従って調製されたプラスミドDNAに対応するバンドを示すゲルである。
図6は、本発明に従って調製されたプラスミドDNAに対応するバンドを示すゲルである。
図7は、本発明に従って調製されたプラスミドDNAに対応するバンドを示すゲルである。
図8は、プラスミドpTX0161の制限酵素消化のゲルである。
図9は、本発明に従って調製されたプラスミドDNAに対応するバンドを示すゲルである。
図10は、本発明に従って調製されたプラスミドDNAに対応するバンドを示すゲルである。
図11は、本発明に従って調製されたプラスミドDNAに対応するバンドを示すゲルである。
図12は、pTX0118のプラスミドマップである。
図13は、pTX0161のプラスミドマップである。
図14は、pTX0100のプラスミドマップである。
図15は、pTX0201のプラスミドマップである。
発明の詳細な説明
本発明は、高収量の薬学的グレードのプラスミドDNAを産生するための測定可能な方法の発見に基づく。この方法は、細胞が指数増殖をする間にプラスミドを含有する細胞を高生物量まで増殖させる工程、およびこの細胞を界面活性剤の存在下で注意深く制御されたpH値(最大不可逆性染色体DNA変性が起こるがプラスミドDNAは高収量で可逆的に再生される)までpHを上昇させることによって溶解する工程を包含する。一般に、先行技術の細胞溶解法を用いるプラスミドDNAの回収の効率は、プラスミドサイズが大きくなるほど減少することが分かっている。さらに、プラスミドDNA回収は一般に、高培養生物量でのプラスミドDNA単離法の先行技術によればより悪い。本発明は、DNAの商業的製造のためのこのプロセスストラテジーの使用に対するこれらの欠点を克服する。本発明に従って製造される薬学的グレードのDNAは、インビボおよびエクスビボのヒト遺伝子治療において有用である。
本発明による培養物における細胞増殖
本発明の方法の主要な特徴は、指数増殖している高生物量の細胞を提供し、そして細胞培養物が高生物量まで増殖した後に細胞溶解工程を実施することである。これは、本方法の発明が大量のプラスミドDNAを産生する1つの様式である。
本明細書に記載される発酵プロセスは、プラスミドの容量的収量を最大化することを可能にする。2つの異なる方法(バッチ発酵(batch fermentation)および流加発酵(fed-batch fermentation))が用いられて高生物量の培養物(指数増殖している)を達成する。
バッチ発酵は、増殖温度および用いられる炭素供給源の操作を介して増殖速度を制御することを可能にする。本明細書で用いられる用語「バッチ発酵」は、それによって細胞増殖および培養細胞中に含まれるプラスミドの産生に必要とされる全ての栄養素が、接種の時に非常に過剰に(例えば、先行技術の栄養素濃度の10倍過剰)容器中に存在し、それにより滅菌後添加の後に滅菌容器への添加をする必要性、ならびに複雑な流加モデルおよびストラテジーの必要性をなくする細胞培養プロセスである。
本発明による有用な発酵の別の型は、流加発酵であり、ここで細胞の増殖速度は、細胞増殖の間の培養物への栄養素の添加によって制御される。本明細書中で用いられる「流加発酵」は、発酵の間に代謝物を培養物に注意深くモニターして添加することによって増殖速度が制御される細胞培養プロセスをいう。本発明による流加発酵は、細胞培養物がバッチ発酵よりも高い生物量に達することを可能にする。
代表的な発酵プロセスおよび流加添加の代表的な速度は、50L調製物について以下に記載される。しかし、他の容量(例えば、10L、50L、または500Lを超える)もまた、用いる装置の規模に依存して、以下に記載する代表的な流加速度を用いてプロセスされ得る。
i)接種
細胞を、冷凍保存されたストック(凍結防止剤として20%滅菌グリセロールを補充したLB培地中に急速凍結された中期指数期または定常期細胞)から回収し、そしてLB培地、12g/mlテトラサイクリン、および1.2%アガーを含むLBtetプレート上に画線する。プレートからの単一のコロニーを、滅菌汎用ボトルまたは三角フラスコ中の12g/mlテトラサイクリンを補充した5〜20mlのLB培地中に接種し、そして37℃、200rpmで8〜12時間、振盪インキュベーター中で増殖させる。次いで、これらの培養物を用いてLBtetフラスコ(2Lの三角フラスコ中に200〜400mL)を種菌濃度1%〜5%で接種する。十分なフラスコを接種して4%種菌を発酵槽に提供する。これらを37℃および200rpmで振盪インキュベーター中で増殖し、中期指数期において、代表的にはOD600nmで1.5単位の5時間後に、種菌として用いる。
ii)発酵
用いられた発酵槽容器は、50L作用容量のLife Sciences Laboratories Ltd. 50/75L P撹拌タンクバイオリアクターである。高度に富化されたバッチ培地発酵および流加培地発酵が、高細胞密度培養物の産生に適切であり、特定のプラスミド収量を最大にし、そして未だ指数増殖中でありながら高生物量での回収を可能にする。
本発明によるバッチ発酵
本発明による有用なバッチ発酵培地の一例は、以下の通りである。
グリセロールを炭素供給源として含むバッチ発酵培地の内容物は、以下の通りである:
a)容器中の滅菌されたバッチ培地(46L)
成分 g/L
KH2PO4
Na2HPO4
ペプトン(Gibco Select) 10
NaCl 0.5
(NH4)2SO4
酵母抽出物 20
微量元素溶液 0.5mL
(この処方は、本発明の流加発酵の下に記載される)
b)容器への滅菌後の添加(psa)のためにオートクレーブすることによって別々に滅菌
MgSO4.72H2O 0.7g/Lおよび
グリセロール 50g/L
c)発酵槽へのpsaのために0.2μm濾過滅菌された
ビタミン溶液 0.5mL
(この処方は、本発明の流加発酵の下に記載される)および
テトラサイクリン塩酸塩 12mg/L
バッチ発酵を30℃およびpH6.8で行った。pHを4M NaOHおよび2.5M H2SO4の自動的添加によって制御した。溶解酸素(DO)の設定値は、飽和の20%であり、そして発酵槽の撹拌速度を自動調節することによって制御した。発酵の全てにわたり、サンプルを光学密度(OD600nm)およびグリセロール濃度の測定のために採取した。各サンプルからの細胞ペレットを遠心分離によって回収し、そして引き続くプラスミド収量の分析のために-20℃で保存した。バッチ発酵のために、本発明の方法は、グリセロールを炭素の供給源として有利に用いる。これは、酢酸の形成を減少させ、そして培養物がその最大比増殖速度μmaxで発酵の持続する間増殖することを可能にする。グリセロール上30℃での増殖は、代表的には0.3未満のμmaxを与え、これは顕著な酢酸の蓄積を阻止するのに十分であり、そして高増殖速度に付随するプラスミドの不安定性を防止する。
さらに、バッチ発酵について、本発明の方法は、グルコースの従来的な炭素源ではなくグリセロールを炭素供給源としてより高い細胞密度を達成するためにより有利に用いられる。つまり、培養物は、細胞増殖に対するグルコースおよびグルコース代謝物の匹敵する阻害効果に起因して、グルコースよりもグリセロールのより高い濃度で増殖し得る。細胞増殖は、グルコースが炭素供給源である場合、グリセロールよりもより低い濃度のグルコースで阻害される。グルコースはまた、培養培地にてグリセロール(これは室温で液体である)より溶解性でなく、バッチ発酵培地に添加し得るグルコースの量を制限している。従って、同一の濃度のグルコースおよびグリセロールを用いる比較培養において、グリセロールが炭素供給源である場合、より高い細胞密度が達成される。
グリセロールベースの培養物にてバッチ発酵を用いて、一般に達成可能な生物量レベルは、30g細胞/L乾燥重量を超えない。流加培養発酵が好ましいのはこのためである。すなわち、流加発酵は、培養物がより高い細胞生物量を溶解前に得ることを可能にする。本発明による流加発酵は、培養物の指数増殖期が拡張するのを可能にし、従って指数増殖の間の生物量レベルを増加させる。
本発明による流加バッチ発酵
本発明の流加発酵の一例において、グルコースまたグリセロールを炭素供給源として用い得る。グルコースが炭素供給源である流加発酵培地を以下に記載する。発酵槽容器中の46Lの脱イオン水中に添加されるものは、以下の試薬である:
成分 g/L
KH2PO4
(NH4)2HPO4
ペプトン(Gibco Select) 5
酵母抽出物(Gibco Select) 5
NaCl 0.5
微量元素溶液 2ml/l
滅菌後無菌的に添加:
D-グルコース(オートクレーブによって滅菌) 0.7g/l
塩酸チアミン(滅菌濾過) 6mg/l
微量元素溶液は以下を含む:
成分 g/L
ZnCl2・4H2O 2
CoCl2・6H2O 2
Na2MoO4・2H2O 2
CuCl2・2H2O 1.9
H3PO3 1.6
MnSO4・H2O 1.6
クエン酸 60
FeSO4
CaCl2・2H2O 1
AlCl3・6H2O 0.4
ビタミン溶液は以下を含む:
成分 g/L
L-ビオチン 0.06
葉酸 0.04
ピリドキシン塩酸塩 1.4
L-リボフラビン 0.42
L-ナイアシン 6.1
L-パントテン酸 5.4
流加培地(各成分は、別々にオートクレーブされ、そして使用前に滅菌的に混合された)
成分 g/L
D-グルコース 500
MgSO4・7H2O 6.1
(NH4)2SO4 17.9
全ての培地成分を、121.3℃および1barで大気圧上で30分間滅菌した。発酵(すなわち、細胞増殖)を、37℃およびpH6.8で行い得る。pHを4M NaOHおよび2.5M H2SO4の自動添加によって制御する。溶解酸素(DO)のセットポイントは、飽和の50%であり、そして発酵槽の撹拌速度の自動調節によって制御する。発酵の間を通して、サンプルを光学密度(OD600nm)およびグルコース濃度の測定のために採取する。各サンプルからの細胞ペレットを遠心分離によって回収しそしてプラスミド収量の引き続く分析のために-20℃で保存する。
発酵を最初の炭素基質(グルコース)がなくなるまでバッチ様式で行う。この点をDOの突然の上昇によって認識し、そしてこの事象のすぐ後に採取したサンプルのグルコース分析によって確認する。次いで、以前にプライムされた流加培地ポンプを開始する。ポンプ速度をCurlessら(Bioeng. 38:1082-1090, 1991)から誘導されるモデルによって決定し、この全部を本明細書中に参考として援用する。モデルは流加プロセスの流加期のコントロールを容易にするように設計される。最初のバッチプロセスにおいて、非阻害性濃度の基質が、最大比増殖速度maxで増殖する細胞によって消費され、接種後の生物量レベルの急激な上昇を与える。培養物は、毒性代謝物の蓄積のためにこの速度で永遠には増殖し得ない(Fieschioら、「Fermentation Technology Using Recombinant Microorganisms.」Biotechnology中、編、H.J. RhemおよびG. Reed. Weinheim: VCH Verlagsgesellschaft mbH 7b:117-140, 1989)。継続した対数増殖を可能にするために、このモデルは時間に基づく増殖制限炭素基質の流加速度をフィードバック制御を必要とせずに計算し、オペレーターによってセットされた値で増殖の流加期を与える。これは、阻害代謝物の蓄積を引き起こさず、そして高生物量を与えるのに十分であるレベルで選択される。この発酵において、<0.2がグルコースを基質として用いる培養にとって適切である。
増殖期を拡張すると計算される流加速度は、以下の式を用いて誘導される:
F0=μVbXb/Sf0Ysx
ここで:
F0は、0時間でのL/hでの流加速度であり(初期流加速度);
μは、比増殖速度であり;
Vbは、容器中のLでのバッチ容量であり;
Xbは、最初のバッチされた量の基質が枯渇した後に産生された生物量のg/Lでの量であり、
Sf0は、最初のバッチ容量における基質のg/Lでの量であり;および
Ysxは、基質上で増殖した生物の収量係数である。すなわち、Ysx=rx/rs、ここでrxは容量での生物量産生の速度、そしてrsは容量での基質の消費速度であり、従ってg/g/hのYsx単位を与える。
流加の2時間後、容器中の細胞濃度の増加に起因して、最初の流加速度を調節して指数的に増加する容器中の生物量レベルを補正する必要があり、これは基質に対する指数的に増加する需要を生じる。
2時間後に流加速度を調節するために用いられる式は、
F=F0 μt
であり、ここで:
Fは、L/hでの流加速度であり;
F0は、初期流加速度であり;
μは、要求比増殖速度であり;そして
tは、F0での流加開始後の時間である。
流加速度は、上記の式を用いて所望の収穫OD600nmに達せられるまで毎時間調節される。
本発明の方法が、増殖制限基質の添加速度を制御することによって直接的にまたは増殖温度を低下させそして炭素供給源を操作することによって間接的にのいずれかでμを制御する流加プロセスを利用する場合、プラスミド収量(プラスミドコピー/細胞またはmgプラスミドDNA/g細菌)は、細胞の増殖を至適化することによって至適化され得る。制御されかつ拡張された指数増殖期または直線期の間に制御しそして回収することによって、プラスミドの質が制御されそしてプラスミドの不安定性が減少する。
細胞増殖はまた、細胞前駆体が培養培地において制限的にならないことを保証することによって、本発明に従って注意深く制御され得る。例えば、飢餓したE.coli培養物において、タンパク質合成は停止され得る(ストリンジェントな応答)が、しかしプラスミドDNA複製は継続し得る。タンパク質合成が(クロラムフェニコールの添加によって)阻害された場合、プラスミド合成は20時間まで維持される(Clewellら、Bacteriol. 110:1135-1146, 1972)ことが、Blairら(Proc. Nat. Acad. Sci., USA 69:2518-2522, 1972)によって示されている。しかし、この調製手順からの単離されたプラスミドは、高pHおよび特定のリボヌクレアーゼに対して感受性であり、このことは、これらがその共有結合的に閉鎖した二本鎖構造の一部としての1つ以上のリボヌクレオチドを含むことを示している。このようなプラスミドDNAへのリボヌクレオチド組込みは、プラスミドDNA精製プロトコルのアルカリ溶解およびRNAse処理工程の間に変性を引き起こす(例えば、Birnboimら、Nucl. Acids Res. 7:1513-1523, 1979; Birnboim, Methods Enzymol. 100:243-255, 1983)。それゆえ、本発明の方法によれば、核酸およびタンパク質合成前駆体が、流加培地においてプラスミド収量および質を漸増する高細胞密度で維持するために非制限的レベルで維持されることが有利である。
それゆえ、本発明のバッチ発酵において、高レベルの(例えば、従来技術濃度よりも4倍高い)前駆体が富化バッチ培地に存在する。特に、富化されたバッチ培地における酵母抽出物の量は5g/l(LB培地において)から20g/lまでを成し、従って大量の増殖因子および核酸前駆体を提供する。培地はまた、有機窒素の供給源として作用する硫酸アンモニウム(5g/l)で補充される。
流加発酵における流加プロセスの間の前駆体の添加(硫酸アンモニウムの形態の有機窒素)は、プラスミドの質に対する有害な効果を防止するように設計される。
表1は、異なる形質転換宿主系統が50Lグルコース流加発酵において増殖するデータを表す(以下に示すように)。モデルプラスミドバックボーンpUC18Tet(図2)で形質転換されたE. coli宿主系統HB101、DH1、およびDH5 Fを、生物量収量、プラスミド収量、および増殖特徴に関して表1で比較する。
Figure 0003852951
表1は、宿主系統DH5が最も高い生物量まで増殖するが、しかし最も低い比プラスミド収量を与えることを示す。DH1およびHB101は、類似のプラスミド収量を与えるが、しかしDH1によって達成される生物量はより低い。
本発明によるプラスミド収量、プラスミド安定性、およびプラスミド損失のモニタリング
本発明において用いられる発酵プロセスが培養された宿主細胞においてプラスミドの産生を可能にするか否かを決定するために、プラスミドの収量、安定性、および損失が、細胞増殖の間または細胞溶解の後でモニターされ得る。発酵の間のプラスミド損失(分離不安定性)の形跡を以下の方法によってモニターする:
i)新鮮に希釈された発酵サンプルのLB寒天プレートおよびLBtet寒天プレート上への3連での複製プレーティング。テトラサイクリン耐性保有プラスミドの全てのコピーを欠損したE.coliクローンは、今やLBtet培地上で増殖しなくなり、そして数を比較して、各時点での安定性パーセントを見積もる。
ii)アルカリ溶解ミニプレップ(Birnboimら、Nucl. Acids Res. 7:1513-1523, 1979; Birnboim, Methods Enzymol. 100:243-255, 1983)および1 OD600単位に規格化された発酵サンプルのアガロースゲル電気泳動。培養物を通してのプラスミドバンドの相対的強度を可視化し、そしてゲル上で比較し得る。スーパーコイルした、開環、マルチマーおよび変性プラスミドの相対量もまた可視化し得る。アガロースゲルはまた、第二の型のプラスミド不安定性、欠失、挿入、または再配置に起因する構造不安定性に関するデータを与える。構造不安定性が疑われる場合、診断的制限エンドヌクレアーゼマップを用いて構造の完全性がどこで変化または欠失されているかを確認し得る。プラスミドの不安定性は評価された系統およびプラスミドについて検出されなかったが、しかし異なるプラスミド形態(スーパーコイル、開環、およびマルチマー)の相対的比率は、系統およびプラスミドの型により変化した。プラスミドマルチマーはDH5から精製されたDNAにおいて最も一般的である。
各宿主系統についての相対的プラスミド収量およびコピー数を、定量的スロットブロットハイブリダイゼーションアッセイによって比較し得る。全DNA抽出を、各規格化サンプルにおいて実施し得る。DNAは、Current Protocols in Molecular Biology、編、Ausubelら、John Wiley and Sons, Inc. USA, 1995に記載されるようにスロットブロット装置を用いてナイロンフィルターに結合する。スロットブロットは、32p標識されたプラスミドおよび単一コピーの染色体遺伝子DNAプローブでハイブリダイズされる。従って、相対的プラスミド収量およびコピー数は、フィルタースロットのシンチレーション計数によって概算され得る。DH1およびHB101からのプラスミド収量は、一貫してDH5よりも高い。
本発明による宿主細胞溶解およびプラスミド精製
本発明の方法の1つの重要な局面は、細胞溶解である。本発明の方法は、プラスミドDNAの変性特徴に基づいて決定された値までの注意深く制御されたpH上昇によって宿主細胞が溶解される細胞溶解工程を含む。細胞溶解工程の前に、発酵培養物は、以下のように溶解のために調製され得る。
培養物の所望のOD600nmが達成されると(分光光度計においてオフラインで測定された)、例えばこのODは30〜60のオーダーであり得、培養物は回収のための準備が整っており(OD600>60)、発酵ブロスは<10℃に冷却されそして例えば100,000分子量カットオフまたは0.2ポリスルホン膜を装着したFiltron Centrisetteを用いる標準的な直交流濾過によって10Lにまで濃縮される。次いで、濃縮物を50Lの緩衝液(細胞再懸濁緩衝液)(例えば、50mM Tris-HCl、10mM EDTA, pH8.0)に対してダイアフィルトレーションする。この段階で、プロセスの流れは、用いられるベクターに依存して1〜5gのプラスミドDNAを含有する3.5〜5.5kgの生物量(湿重量)に相当する量を有する。回収において得られる細胞のスラリーを凍結保存し得るか(<-20℃)、または細胞を迅速に溶解し得る。
あるいは、発酵槽の内容物を、1000mlの遠心分離用ボトル中に滅菌的にデカントし、そして細胞は遠心分離によって分離し、そして細胞ペレットとして回収し得る。上清を破棄しそしてペレットを凍結保存するか(<-20℃)、または細胞を迅速に溶解する。
あるいは、発酵槽の内容物をスラリーとして連続的な遠心分離によって回収し得る。上清を破棄し、そしてスラリーを凍結するか(<-20℃)、または細胞を迅速に溶解する。
細胞溶解は、プラスミドDNAの不可逆的アルカリ変性pH値に近いがしかし達しないpH値で行われる。細胞溶解およびプラスミドDNA精製は、以下のように行われ得る。
1.細胞溶解およびプラスミドDNAの一次回収
宿主細胞の溶解は、一旦細胞を、ウシRNase(100mg/l)、アルカリ、およびドデシル硫酸ナトリウムを含む緩衝液中で20〜100(しかし、理想的には30〜40)のOD600当量で再懸濁して行われる。本発明の方法の重要な特性は、溶解工程が注意深く制御されたpH条件下で行われる点である。
本発明によれば、染色体DNAを変性し得る任意のアルカリ塩基が使用され得る;例えば、水酸化物塩(例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、または水酸化ナトリウム(NaOH))。
この溶解工程は、(i)アルカリの培養細胞へのゆっくりとした添加、および(ii)pHメーターを用いた溶解物のpH値の上昇の注意深いモニタリングを包含する。本発明によるこれらの工程の適切な実行は、多くの場合、プラスミドを含む宿主細胞の懸濁物の溶解の間のそのpH値の測定を包含し、ここで、約50%以下のプラスミドDNAが、アガロースゲル電気泳動により視覚化されるように不可逆的に変性され、そして培養における溶解の間のpH上昇を注意深く制御することにより、pHはそのレベルを超えて上昇せず、好ましくはその値の下0.1pH単位を超えない。これらの工程は、高pH値で迅速に生じる、不可逆的に変性されたプラスミド種の形成を最小にする。
溶解の間のpH上昇が、可逆的に変性されたプラスミドから不可逆的に変性されたプラスミドへの急な移行を引き起こし、そして約50%以下のプラスミドDNAが不可逆的に変性される溶解の間のpH値を決定することは困難であるが、約90〜95%以下のプラスミドDNAが不可逆的に変性される溶解の間のpH値を決定することは可能である場合、約90〜95%以下のプラスミドDNAが不可逆的に変性されるpHより0.17〜2.0pH単位低い、比較的高い収量のプラスミドDNAを生成するためのpH値を選択し得る。
プラスミドの不可逆的な変性値は、以下のように決定される。
不可逆的な変性が急速に生じるpH値は、プラスミドの変性特徴およびサイズの特性である。本発明の方法は、細胞が溶解されるpH値に臨界的に依存し、そして敏感である(すなわち、±0.05pH単位)。この最終pH値は、精製プラスミドに対する変性研究から決定され得る。pHがあまりにも高すぎる場合、プラスミドは、ゲル電気泳動上で高い移動度を有する形態に不可逆的に変性され、生物学的に不活性になり、そして制限エンドヌクレアーゼによる変性に対する耐性を示す。この不可逆的に変性されたプラスミドは、一般的に、後の精製段階の間に低収量で回収され、そしてある場合には、回復不可能であり得、高すぎるpHで溶解された細胞からの非常に低いプラスミドDNA収量を導く。従って、存在する不可逆的に変性されたプラスミドDNA量の測定において、回復不可能であった不可逆的に変性されたプラスミドDNA量の評価もまた行われる。従って、全ての不可逆的に変性されたプラスミドDNAは、回収された変性プラスミドDNAおよび回復不可能であった変性DNAの合計である。実際に、回復不可能なプラスミドDNAの測定は、最適pHでのプラスミドDNAを含む細胞の溶解後のプラスミドDNA収量(ここで、DNA収量は最大であり、そして変性プラスミドDNAは、DNA精製後にアガロースゲル電気泳動により視覚化されるように、ほとんどまたは全く存在しない)と、試験条件下での(ここで、溶解でのpHはやや最適である)DNA収量との間の差異を評価することにより行われ得る。DNA収量は、例えば、実験において精製された全てのプラスミドDNAからの測定されるサンプル容量の260nmでの光学密度を測定し、そして当業者に周知のプラスミドDNAの吸光係数を用いてプラスミドDNA濃度を計算することにより計算され得る。総収量は、濃度と総容量の積である。
pHが低すぎる場合、染色体DNAは十分に変性されず、そして汚染染色体DNAのレベルは、最終的な精製プラスミドDNA産物中で受容不可能に高い。従って、所定のプラスミドに対する臨界pH値は、細胞溶解が行われるpHを変化させ、そしてプラスミドDNAの約50%(すなわち、50%にほぼ等しいが、50%を超えない)の変性を与えるそのpHを決定することにより、培養物の試験サンプルにおいて決定される。例えば、プラスミドDNAの50%が不可逆的に変性されるpH値を決定する比較的簡単な1つの方法は、溶解の間に細胞培養物のサンプルを採取して、pHが1工程あたり0.1pH単位の注意深く制御された上昇を受け、各サンプルを中和し、そしてサンプルを標準的なアガロースゲルにかけることである。従って、pHが、例えば、12.0〜12.9において0.1単位間隔で上昇する場合、レーンが細胞溶解の間の所定のpH値で採取された各サンプルに対応する、ゲルが作成される。コントロールレーンは、低pH値(例えば、pH11)(ここで、全てのプラスミドDNAは、プラスミドが変性されないことを示す位置に留まっている)および高pH値(例えば14)(ここで、全てのプラスミドDNAは、ゲルにおいて、実質的にすべてのプラスミドDNAが不可逆的に変性されたことを示す位置まで低く移動した)を含み得る。溶解の間のpHの段階的な上昇に対応する残りのレーンは、不可逆的なアルカリ変性値未満でのpH値でのプラスミド変性(例えば、スーパーコイル(閉環)プラスミドDNA)、または不可逆的な変性値を超えるpH値での漸増量の不可逆的に変成されたプラスミドDNAがなかったことを示す。各プラスミドDNAについて、プラスミド変性の50%は、0.1〜0.3単位のpH変化内で生じる。大部分のプラスミドについて、このpH変化(ここで、プラスミドDNAの50%が変性される)は、0.1〜0.2pH単位差にわたるのみであり、そして0.1pH単位差にしかわたり得ない。
本明細書中で使用する、pH値(ここで、プラスミドDNAの約50%が不可逆的に変性される)は、プラスミドの「不可逆的な変性値」である。本発明による宿主細胞溶解に対する最適pHは、プラスミドDNAの50%が不可逆的に変性されるpHより0.1pH単位、好ましくは0.2pH単位低いか、またはプラスミドDNAの90〜95%が変性されるpHより0.17〜0.2pH単位低いpHである。
図1は、代表的な細胞培養物のサンプルアリコートからのプラスミドDNAがゲルの各レーンにロードされている、DNAゲルの模式図である。レーン1は、pH11での宿主細胞の溶解を示し、このpHでは、全てのプラスミドDNAは変性しないままであると予想される;レーン2〜10は、それぞれ、pH12.0、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、および12.9でのサンプル溶解を示し;そしてレーン11は、pH14.0での宿主細胞の溶解を示し、このpHにおいて実質的にすべてのプラスミドDNAが変性されていると予想される。レーン1において、未変性プラスミドDNAは、ゲルの上部付近の単一のバンド(A”)または二重バンドパターン(A’およびA”)により示される。A”は、スーパーコイルプラスミド(閉環DNA)が移動する位置を示す。A’は、開環(ニック)DNAが移動する位置を示す。A’およびA”は共に非変性プラスミドDNAである。
レーン11において、完全に変性されたプラスミドDNAは、ゲルの下部近くの単一のバンド(B)により示される。従って、Bは、不可逆的に変性されたプラスミドDNAが移動する位置を示す。試験サンプルレーン2〜10において、プラスミドDNAは、未変性DNAまたは不可逆的に変性されたDNAに対応する、1つ以上のバンドとして移動する。図1において、約50%のプラスミドDNAが変性されず(A’およびA”)、そして50%が不可逆的に変性される(B)pH値が、pH12.3〜12.4のこの代表的なプラスミドDNAの移動における変化により示される。従って、pH12.4は、代表的なプラスミドに対する不可逆的なアルカリ変性値であると考えられる。次いで、対応する細胞培養物に対する溶解工程のpHは、pH12.4より0.1pH単位低く(すなわち、pH12.3)、またはより好ましくはpH12.4より0.2pH単位低い(すなわち、pH12.2)。
本発明により有用な大多数のプラスミドは、それらの不可逆的なアルカリ変性pHが12.1〜12.9である点で特徴づけられることが予想される。従って、細胞溶解に選択される実際のpH値は、プラスミドDNAの不可逆的な変性が生じる点より0.1pH単位、好ましくは0.2pH単位低い。プラスミドDNAの多くが可逆的に変性され、そして染色体DNAが変性される。12.1〜12.9のpH値は、そのプラスミドを含む細胞の細胞溶解に臨界的pH値である。
本発明の方法の1つの実施態様において、細胞溶解を引き起こすために必要とされるpHは、迅速にだいたいpH12.0のちょうど下にされ、次いでpHは、プラスミドの不可逆的なアルカリ変性値のちょうど下である12.1〜12.9のpH値になるまで、滴状添加によりゆっくりと調節される。
別の実施態様において、溶解物の最適pHへの調節をもたらすために必要とされる水酸化ナトリウム溶液の濃度は、小規模実験から計算され、そして必要量のアルカリがさらなるpH調節なく細胞に添加される(例えば、0.1〜0.2Mの範囲内にあるある量の水酸化ナトリウムを細胞培養物に添加する)。サンプルを取り出し、そしてpH測定が記録される前に、例えばホモジナイゼーションにより十分に混合することなく、粘性のそしてしばしば不均一な細胞溶解物中においてpHを厳密にかつ正確に測定することは比較的困難であり得る。このような混合はプラスミドDNAを剪断し、従ってサンプルを破壊する。従って、この測定は、製造プロセス間に直接かつオンライン(on-line)で行われ得ないが、オフライン(off-line)で行われなければならず、そしてサンプルは後に捨てられる。従って、本発明の好ましい実施態様は、一連の小溶解実験を行うことである。ここで、細胞は、0.05または0.1M工程において0.14M以上のNaOHを含む溶解緩衝液で処理される。プラスミドの精製後、アガロースゲル電気泳動が上記のように行われ、エチジウムブロマイド染色およびUV蛍光、ならびに約5%以上の不可逆的に変性されたプラスミドが同定可能な条件により視角化される。最適NaOH濃度は、一般的にこの試験条件より0.015M〜0.03M低い。このように、そのプラスミド(および宿主ベクターの組合せ)に対する最適pH値を同定するために、溶解溶液においてNaOH濃度(従って、pH)を滴定することは可能である。
別の好ましい実施態様において、溶解は、細胞を0.075M NaOHおよび1%SDSで処理して、pHを約11.9まで上昇することにより達成される。この後に、単離されるプラスミドに特徴的な不可逆的な変性に依存した、pH12.1〜12.9の予め決定されたpH値までの5MのNaOHの滴状添加により、ゆっくりとpHが調節される。
プラスミドDNAの一次回収は、Birnboimら(Nucl.Acids Res. 7: 1513-1523, 1979)およびBirnboim(Methods Enymol. 100: 243-255, 1983)(これらの内容は本明細書中に参考として援用される)の方法を改変を用いて容易にされる。
アルカリ抽出の30分までの後、3M酢酸カリウム(pH5.5)が変性抽出物にゆっくりと添加され、そして溶液は多量の沈殿物を形成する。プラスミドDNA分解を最小にするために、不可逆的に変性された染色体DNA、RNA、およびタンパク質を含むこの沈殿物は、剪断力を最小にする方法(例えば、市販のバッグフィルター(例えば、以下に記載されるようなポリプロピレン、ナイロン、またはその等価物の15〜900ウーブンメッシュ(woven mesh))を用いて除去されることが重要である。
必要に応じて、濾過物は、市販のシステム(例えばPall 10無電荷ポリプロピレンプロフィールデプスフィルターまたはその等価物)を用いたデプス濾過によりさらに清澄され得る。
RNAは、十分なリボヌクレアーゼを添加して、100mg/lまでの濃度を達成することによる、さらなるリボヌクレアーゼ処理により減少され得る。
本発明の別の実施態様において、600nmでの20〜100の光学密度で1容量の細胞懸濁物は、小規模実験において決定された最適水酸化ナトリウム濃度を含む2容量の溶解緩衝液で処理される。これは、高細胞濃度でのより効率的な溶解を可能にし、そしてまた、1容量の3M酢酸カリウム(KAc)(pH5.5)で処理された場合、より一致したかつ均一な沈殿物を生じる。この沈殿物は、不可逆的に変性された染色体DNA、RNA、タンパク質、および沈殿物の塊にトラップされた他の汚染物を含む。溶解緩衝液中の最適水酸化ナトリウム濃度の使用により、溶解時間は、小規模実験において各プラスミドについて決定されたように、プラスミドの質を損なわずに30分間まで継続され得る。この実施態様において、1容量の細胞懸濁物に添加される2容量の溶解緩衝液の最適水酸化ナトリウム濃度を含む添加は、水酸化ナトリウムのより高い全濃度との増大した接触により、いくつかの汚染物のより良好なクリアランスを可能にし得る。
2.陰イオン交換クロマトグラフィー
細胞破片および可溶性汚染物および残存RNAは、陰イオン交換クロマトグラフィー工程を用いて除去される。粗濾過抽出物(60L)は、15Lの低イオン強度の非リン酸緩衝液(例えば、25mM酢酸カリウム(pH5.5)または25mM Tris-HCl(pH8.0))と混合され得、それによりプロセス液体の電導率は40〜100mSであり、好ましくは55〜60mSである。
次いで、液体は、適切な陰イオン交換マトリックスを含む容器に適用される。好ましいマトリックスは、拡張化ベッド(expanded bed)様式または流動化ベッド(fluidized bed)様式において使用されるPharmacia Streamline DEAEである。
拡張化ベッド様式および流動化ベッド様式の両方において、ローディング濃度は、約50g〜約100gプラスミドDNA/mlゲルであるべきである。ゲルを通した妨害されない拡散を可能にするのに十分マクロ細孔性であり、そしてDNAに対して低親和性を有し、それゆえDNAに対して低い非特異的結合を有するのに十分親水性である、任意のゲルが使用され得る。Pharmacia Streamline Gelは、DNA精製に理想的に適する、マクロ細孔性アガロースベースの陰イオン交換マトリックスである。この型のマトリックスは、プラスミドDNAのマトリックス上での高回収およびわずかな非特異的吸着を可能にする。多くの他の市販陰イオン交換マトリックス(例えば、Hyper D(BioSepra)およびSource 30(Pharmacia)は、調整用プラスミドDNAクロマトグラフィーに十分に適さない。なぜなら、それらは、これらの特性を有さないからである。これらの場合において、著しい割合のプラスミドDNAが、マトリックスの非特異的に結合し、そして溶出カラム画分の大多数をスメアにする。
さらに、Streamlineマトリックスは、拡張化ベッド様式における使用のために設計される。この配置は、拡張化ベッドクロマトグラフィーによりローディング溶液が<60mサイズの固体粒子を含むことを可能になる点で、DNA分離に特に有利である。拡張化ベッドに依存するプラスミドDNA分離は、膜濾過により完全に除去されることが難しいコロイド状沈殿物の存在下で効率的に操作され得、従って、拡張化ベッドクロマトグラフィーは、より単純なプロセスに導く有用なユニット操作、およびそれ故、増大した収量(さらなる濾過が必要とされる場合、収量の損失が生じ得るので)を提供する。確かにプラスミドDNAは大きな分子であり、そしてこのような大きな種の微細な濾過(例えば、0.2m濾過)、例えば、フィルターマトリックスへのDNAの結合またはフィルターマトリックスの妨害による著しい損失なしには達成不可能である。
流動化ベッドの別の利点は、クロマトグラフィープロセスの間に使用される比較的高い流速である。このような速度は、従来のカラムクロマトグラフィーでは必ずしも達成可能であるとは限らない。これは、操作するためにより容易なより早いプロセスをさらに導く。この配置において、必要とされるゲルの量は、1mlゲルあたり10g〜1mgプラスミドDNAの範囲内である。5:1(長さ:直径)の縦横比を有するカラムは、カラムの上部および下部に60m焼結物を取り付けられる。カラムは、100〜160ml/hの直線流速で上向きに流れを指向することにより平衡化される。平衡化の後、プロセスストリームが、同じ流速で同じ流れの方向でマトリックスに適用される。いくつかの場合において、全てのプラスミドDNAが吸着されるまで、カラムの周囲のプロセス溶液をリサイクルすることが必要であり得る。次いで、ベッドは、任意の粒子状物質が取り除かれ、そして溶出物が清澄になるまで、同様に緩衝液で洗浄される。上記で使用される低イオン強度緩衝液(例えば、25mM酢酸カリウム(pH5.5)または25mM Tris-HCl(pH8.0)緩衝液を使用して、固体汚染が最小に達するまでマトリックスベッドを洗浄し得る。次いで、流れを逆(すなわち、同じ流速で下向きの方向)にする。
次いで、カラムの上頭部は、充填されたベッドの上部のすぐ上に動かされ、そして今や従来的に充填されたカラムは溶出緩衝液で溶出される。カラムは、イオン強度を増加させた緩衝液で連続的に、または単一溶出工程で溶出され得る。緩衝液は、好ましくは、5.0〜8.0のpH値の適切な低イオン強度緩衝液を、塩化ナトリウムについて約0.1M、0.3M、0.5M、0.075M、1M、および1.5Mまで調節することにより作製する。汚染RNAは、必要に応じて0.5M緩衝液洗浄で除去される。プラスミドDNAは、0.75M〜1.0M洗浄で溶出される。ここでそれらのRNA含有物について実質的に枯渇させた、プラスミドDNA画分が回収される。
3.高分離陰イオン交換クロマトグラフィー
プラスミドDNA精製における工程としての高分離陰イオン交換クロマトグラフィーの使用は、本発明において任意的である。なぜなら、本発明により記載される薬学的グレードDNAを達成することを必要とされないからである。しかし、所望であれば、この工程は、以下のような精製プロセスに加えられ得る。
残存するRNA、染色体DNAおよびタンパク質、ならびにエンドトキシンは、さらに減少され得、そしてプラスミドDNAは高分離イオン交換クロマトグラフィーにより濃縮される。前工程からの7〜14リットルの溶出液は、脱イオン水または低イオン強度緩衝液で13倍に希釈され、そして適切な陰イオン交換マトリックス(例えば、Pharmacia Source 30QまたはBioSepra HyperD Q)の2〜10Lカラムに適用される。必要に応じて、界面活性剤(例えば、Triton X-100またはTween 20(0.1〜1%v/v)は、エンドトキシンタンパク質の除去を助けるために緩衝液に添加され得る。カラムは、適切な緩衝液(例えば、10mM Tris-HCl、1mM EDTA緩衝液(pH8.0)中の0〜3M塩化ナトリウム勾配)で溶出される。残存RNAが最初に溶出し、その後プラスミドDNAが約0.7〜1.5M塩化ナトリウムのイオン強度で溶出する。
4.ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
微量のRNA、タンパク質、および残存するエンドトキシンはゲル濾過により除去される。この工程はまた、プラスミド産物を薬学的に受容可能な溶液に交換するのに役立つ。
前工程からの溶出物は、ポリエチレングリコールでの沈澱、または1.0L未満の容量に対するクロスフロー濾過のいずれかにより濃縮される。次いで、濃縮物は、適切なゲル濾過マトリックス(例えば、Pharmacia Sephacryl S-1000またはS500HR)の7〜8Lカラムに適用される。カラムの容量のサイズは、1g〜50gプラスミドDNA/mlゲルの範囲内である。溶出する最初の主要ピークはプラスミドDNA産物である。このカラムの平衡および溶出緩衝液は、プラスミドDNAの処方に適切な任意の緩衝液(しかし、好ましくは、塩化ナトリウム(6g/L)を含む炭酸水素ナトリウム(2g/L、pH7.5))であり得る。
次いで、プラスミドDNA溶液は、好ましくは0.1〜1.0mg/mlの濃度まで滅菌緩衝液で希釈され、そして0.22または0.45膜フィルターを通して濾過され、そして4℃〜-80℃の温度で保存される。
最終プラスミド単離物の質は、以下の基準を用いて試験され得る。
外観:無色透明の溶液
形態:ゲル電気泳動によって決定されたように、閉環、開環、多量体、および線状形態の割合。
安定性:元の構築物と一致したサイズおよび制限パターン。
E. coli DNA染色体:PCRで判断されたように、約1〜5%夾雑DNA未満。
RNA:アガロースゲル電気泳動によって決定されたように、検出不可能。0.2% W/WでHPLCにより定量される。
エンドトキシン:100 EU/mgプラスミドDNA未満のレベル。
タンパク質:銀染色ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDSPAGE)によって決定された場合、検出不可能。
本発明において有用なベクターおよび宿主細胞
本発明における有用なベクターは、以下の特徴を有するベクターを含む:
i)高コピー数の細菌性複製起点
比較的高いコピー数(すなわち、20〜40コピー/細胞から1000〜2000コピー/細胞までの範囲)を有するベクターは、本発明において特に有用である。例えば、pUC複製起点を含むベクターは、本発明の方法において好ましい。pUC複製起点は、プラスミドDNAのより効果的な複製を可能にし、そしてプラスミドコピー数/細胞(例えば、pBR322起点)において10倍以上の増加を生じる。得られた高コピー数は、染色体DNA、RNA、細胞性タンパク質、および補因子に対するプラスミドDNAの比が有意に増加し、プラスミドの収量を改善し、そしてより容易な下流精製を促進する。
ii)小さくそして安定なベクター骨格
本明細書中に記載される方法において使用されるベクターの骨格は、小さい(すなわち、5kb未満、および好ましくは1〜3kb)ことが本発明において好ましい。用語「ベクター骨格」は、細菌宿主中でベクターが維持されそして増殖するために必要な細菌性DNAをいう。骨格およびインサートの両方を含む本発明のベクターは、15〜50kb程度のサイズであるか、またはそれより大きいサイズである。従って、本発明において有用なベクター骨格は、約10〜50kbまたはそれより大きいインサートを保有し得る。インサートは、任意の生物由来のDNA(しかし、好ましくは哺乳動物起源由来である)を含み得、そして治療タンパク質をコードする遺伝子に加えて、プロモーターのような調節配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー、遺伝子座制御領域などを含み得る。治療タンパク質をコードする遺伝子は、ゲノム起源由来であり得、従って、そのゲノム機構成において反映されるエキソンおよびイントロンを含有するか、または相補DNA由来であり得る。
ベクターはまた、安定に遺伝されるはずである:すなわち、好ましくは、ベクター骨格は、転移、欠失などをしやすい内因的に不安定なエレメント(例えば、トランスポゾン)を含有せず、そして選択物質の存在下で、安定に遺伝する。
任意のベクター(プラスミドDNA)は、本発明において使用され得る。代表的なベクターは、以下を含むがこれらに限定されない:pUC18/19tet Amp、pUC19tet、pTX0118、pTX0161、pTX0100、およびpTX0201。哺乳動物の治療遺伝子および調節配列を保有するのに適切な、例示的なプラスミドベクター骨格は、図2および3に示される。これらのベクターは、E. coli宿主株における増殖のために設計され、そして構築された。
プラスミドベクター骨格pUC18Tet AmpおよびpUC19Tet Amp
1.pUC18TetおよびpUC19Tetベクターの構築。これらのベクターは、PBR322(Bolivar,F.ら、(1977)Gene 2、95)のEcoRI-PvuII制限エンドヌクレアーゼフラグメントの挿入により生成され、これは、EcoRI-SmaI切断pUC18およびpUC19(それぞれ、Viera,J.およびMessing,J.、Gene 19、259(1982)ならびにYaniscch-Perron,C.ら、Gene 33、103(1985))にテトラサイクリン耐性遺伝子を含有した。
2.pUC18Tet AmpおよびpUC19Tet Ampベクターの構築。pUC18Tet AmpおよびpUC19Tet Ampは、それぞれ、pUC18TetおよびpUC19Tetに由来した。これは、酵素AatIIおよびAhdIでの両方のプラスミドの連続的な制限消化、次いで、当該分野で周知のように、酵素T4 DNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼのKlenowフラグメントを用いた。切断された末端の平滑化によって達成された。アンピシリン耐性遺伝子配列の大部分を含有する精製フラグメントは、アガロースゲルサイズ排除精製電気泳動、さらに、当業者に周知の技術によって取り出された。tetr、rop、複数のクローニング部位、および複製起点(Ori)配列を含む精製フラグメントは、環状プラスミドが再形成されるのを防げた。Tetrはテトラサイクリン耐性遺伝子であり、OriはpUC複製起点であり、ropはrop遺伝子の欠失した部分(RNA IIへのRNA I結合を媒介する(Backman,K.、Betlach,M.、Boyer,H.W.およびYanofsky(1979)、ColE1型プラスミドの複製における遺伝学的および物理学的研究、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 43, 69-79))である。複数のクローニング部位またはポリリンカーは、以下の制限エンドヌクレアーゼ酵素部位からなる:Hind III、SphI、PstI、SalI、XbaI、BamHI。
3.pUC18Tet AmpおよびpUC19Tet AmpベクターにおけるlacZ遺伝子配列の最小化残存するpUC18およびpUC19由来の部分的に欠失した残存するlacZ遺伝子配列(pUC18およびpUC19において、これは、ガラクトシダーゼのα相補ペプチドをコードする)は、以下の制限消化反応によって取り除かれた:pUC18Tet Ampについては、PstI-BambIおよびBsmbI-BsmbIフラグメントが取り除かれ、そしてベクターが再整列(realigned)された。これらのフラグメントは、残存するlacZ配列の大部分(約420塩基対)を含有した;pUC19Tet Ampについては、EcoRI-BsmbIおよびBsmbI-BsmbIフラグメントが取り除かれ、そしてベクターが再整列された。これらのフラグメントは、残存するlacZ配列の大部分(399塩基対)を含有した。
iii)治療遺伝子および調節配列の挿入のために適切なポリリンカー。
本発明における有用なベクターは、ベクターを切断し、そして治療遺伝子を組み込むのに有用である種々の制限部位を含むポリリンカーを含む。
iv)選択マーカー遺伝子。
本発明において有用なベクターは、選択マーカーをコードする遺伝子(例えば、細菌性テトラサイクリン耐性遺伝子のような抗生物質耐性遺伝子)を含み得る。テトラサイクリン耐性遺伝子の組み込みは、本発明のプラスミド調製手順における選択物質としてテトラサイクリンを使用し得る。テトラサイクリン耐性遺伝子の使用に対する1つの利点は、例えば、耐性遺伝子−ラクタマーゼによるアンピシリンのように、テトラサイクリンがE. coli中で分解されない点であり、従って、より多くのテトラサイクリンが発酵の間添加される必要がない。さらに、テトラサイクリン耐性遺伝子は、アンピシリン耐性をコードする遺伝子より好ましい。なぜなら、テトラサイクリンは、臨床的な状況における抗生物質として頻繁に処方されないからであり、従って、抗生物質耐性遺伝子の通読(read-through)の結果および患者におけるその発現は、臨床的な状況における抗生物質の使用を干渉するようである。同様に、集団における抗生物質耐性の拡大の可能性は、減少される。
v)他の細菌性タンパク質遺伝子の非存在
本発明において、他の細菌性遺伝子がベクター骨格に保有されていないことが好ましい。他の細菌性遺伝子の非存在は、外来遺伝子またはそのコードされた産物に対する免疫応答が発達した患者の可能性を最小にする。ここで、遺伝子は、治療ベクターで標的されている患者の細胞中に存在するおよび/またはそこで発現する。発酵中に宿主株によって発現される他の細菌性遺伝子は、生物資源およびプラスミド収量を減少させ得る宿主に代謝負荷を生じる。
vi)宿主細胞。
本発明において有用な宿主細胞は、任意の細菌株(すなわち、グラム陽性およびグラム陰性株の両方(例えば、上記のプラスミドの高コピー数;例えば、20〜200コピーを維持し得るE. coliおよびSalmonella Typhimurium、またはBacillus))であり得る。十分に確立されたE. coli宿主株の選択は、本発明において有用であり、そしてHB101、DH1、およびDH5αFを含む。一般に、FプラスミドまたはFプラスミド誘導体(例えば、JM109)を含む株は好ましくない。なぜなら、Fプラスミドは、治療プラスミド産物とともに同時精製され得るからである。
実施例1
本実施例において、E. coli宿主株DH1中で90〜95%のプラスミドDNA pTX0118が不可逆的に変性されるpHを決定し、そしてこのpHは、細胞溶解での水酸化ナトリウム濃度に相関する。
次いで、溶解における至適pHおよび至適水酸化ナトリウム濃度を、宿主株DH1由来のpTX0118精製のために決定した。
粘性溶液におけるpHの測定における困難性は、溶解緩衝液における水酸化ナトリウム濃度の変化を用いるpHの制御、言い換えれば、細胞溶解中に水酸化ナトリウム濃度を至適化することによる溶解におけるpHの制御によって克服し得る。13.1kbのサイズのプラスミドpTX0118を含有するE. coliDH1株細胞を、150g湿潤重量/リットルの細胞密度まで、50mM Tris 10mM EDTA緩衝液(pH8.0)中に再懸濁した。この懸濁液のアリコートを、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および0.175〜0.4Mの範囲の水酸化ナトリウム濃度を含有する緩衝液中で溶解した(以下の表を参照のこと)。溶解緩衝液中の異なる各水酸化ナトリウム濃度で、DNA精製のための2.5mlのサンプルおよびpH決定のための50mLのサンプルを採取した。全てのサンプルについて、1容量の再懸濁細胞を、2容量の適切な溶解緩衝液で処理した。
プラスミドDNA精製および分析
より少量の2.5mlサンプルについて、溶解を10分間行い、その後1容量の3M酢酸カリウム(pH5.5)を添加した。プラスミドの小規模精製を、Qiagen▲R▼500チップ(Qiagen Inc. 9600 De Soto Avenue, Chatsworth CA91311, USAによって供給される市販の小規模プラスミド精製キット(緩衝液およびプロトコル(Qiagen▲R▼Plasmid Handbook、新編、1995年2月)とともに提供される))を用いて行った。カラム平衡化段階からプロトコル(Qiagen▲R▼Plasmid Handbook、新編、1995年2月)に従った。カラムにロードするプラスミドDNAの量は、500μg(Qiagen▲R▼500チップにロードされる推奨された最大量)を決して超えないように計算した。残りの手順について、Qiagen▲R▼キットの緩衝液を全体を通して使用した。溶出されたプラスミドDNAを、プロパン-2-オール沈殿および遠心分離を用いて濃縮し、そして得られたプラスミドDNAペレットを、エタノールで洗浄した。この技術は当該分野で周知であり、そしてCurrent Protocols in Molecular Biology、F. Ausubelら編、1995、John Wiley&Sons、Inc. USA、ISBN 0-471-50338-Xに記載されている。次いで、プラスミドDNAペレットを、1mlの10mM Trisおよび1mM EDTA(pH8.0)(TE緩衝液)に溶解した。500ngの各サンプルをロードした0.8%アガロースゲル(回収されたプラスミドの比較的希薄な性質のために150ngのみを添加した0.4M NaOH溶解緩衝液を除く)を、電気泳動した。電気泳動を、100VでTAE緩衝液を用いて行った。その技術は当該分野で周知であり、そしてCurrent Protocols in Molecular Biology、F. Ausubelら編、1995、John Wiley&Sons, Inc. USA、ISBN 0-471-50338-Xに記載されている。DNAを、紫外線光下で蛍光を発するエチジウムブロマイドで染色することによって視角化した。得られたゲルを、紫外線光下で撮影した(図4を参照のこと)。
pHの決定
サンプルの高粘性(細胞溶解におけるpHの不正確な決定を導き得る)によっておこるpHの不均一性を排除するために、サンプルは、溶解緩衝液の添加2分後、ハイシェアミキサー(Silverson laboratory mixer)を用いて分散された粘度を有した。次いで、pHの測定を、多目的研究用のpH電極およびpHメーターを用いて行った(以下の表を参照のこと)。
結果
以下の表は、溶解中のサンプルにおいて測定されたpHの値を示す。
Figure 0003852951
図4は、0.4M NaOH溶解緩衝液(回収されたプラスミドの比較的希薄な性質のために、150ngのみを添加した)以外の、500ngの各サンプルをロードしたアガロースゲルを示す。0.175、0.185、0.195、および0.2M NaOH濃度では匹敵するプラスミドが回収されたが、0.4Mでは非常にわずかなプラスミドが回収されたこと、そして回収されたプラスミドが約50%の増大した移動度および不可逆的に変性した種を有することに留意のこと。0.2M NaOHサンプルにもまた約1〜5%のこの種が存在する。
図4において、レーン番号1は、1kbのマーカーDNAに対応する;レーン2、0.175M水酸化ナトリウム溶解緩衝液サンプル;レーン3、0.185M水酸化ナトリウム溶解緩衝液サンプル;レーン4、0.195M水酸化ナトリウム溶解緩衝液サンプル;レーン5、0.2M水酸化ナトリウム溶解緩衝液サンプル;レーン6、0.4M水酸化ナトリウム溶解緩衝液サンプル。
結論
これらの結果は、このプラスミド(ベクター)および宿主株の組合せのための溶解緩衝液における至適水酸化ナトリウム濃度を0.17Mと0.185Mとの間(すなわち、細胞溶解中で0.113Mと0.123Mとの間の最終濃度)決定する。なぜなら、約1〜5%の変性プラスミドが視角化される濃度(0.2M、レーン5、図4を参照のこと)未満の水酸化ナトリウム範囲(0.015〜0.03M)であるからである。アガロースゲル電気泳動は、0.175〜0.185Mの水酸化ナトリウム範囲において不可逆的に変性した種の視角可能なバンドを同定しなかった。この範囲は、アガロースゲル電気泳動によって視角化される50%のプラスミドDNAが不可逆的に変性されるpH値より低い約0.17pH単位に対応する(回収されなかった回収不可能なプラスミドDNAを考慮した場合、これは順に約90〜95%の不可逆的変性DNAに対応する)。
実施例2
本実施例において、プラスミドpTX0118を含有するE. coliDH1細胞のための細胞溶解における至適濃度を同定するために、水酸化ナトリウム滴定を用いて実施例1に記載のプラスミド調製プロセスを反復する。
フラスコ中で増殖させたプラスミドpTX0118を含有するE. coliDH1株細胞から回収した細胞ペレットを解凍し、そして上記のように100g/mlRNAase Aを含有する50mM Tris 10mM EDTA(pH6)中、150g/リットルで再懸濁し、そして氷上で30分間保持した。次いで、2mlアリコートの細胞懸濁液を、以下の濃度の水酸化ナトリウム溶液を含有する2容量の1%SDS溶液で溶解した。
Figure 0003852951
溶解の10分後、1容量3M酢酸カリウムを添加した。次いで、サンプルを遠心分離(スイングアウトH1000Aローターを装備したSorvall RT6000D遠心分離機、3.5K rpmで35分間)し、そして上記のように、上清をQiagen▲R▼500チップにロードした。プロパン-2-オール沈殿を用いてプラスミドDNAを濃縮し、そして上記のようにエタノールで洗浄した。
プラスミドDNAのペレットを、0.5mlのTE緩衝液に溶解した。500ngの各サンプルを、本明細書中に記載の方法に類似の方法を用いて、制限酵素Cla1で消化(切断)した(New Enngland Biolabs (U.K), Ltd. 67 Knowl Piece, Wilbury Way, Hitchin, Hertfordshire SG4 OTY, U.K.)。
図5は、各切断および非切断サンプルを示す。レーン8(溶解緩衝液中の0.19M水酸化ナトリウム)において、約5%のプラスミドDNAが、消化サンプルにもまた存在する高移動バンドとして現れる(すなわち、不可逆的に変性された)ことに留意のこと。このバンドはまた、0.2M水酸化ナトリウム溶解緩衝液サンプルおよびQiagen▲R▼P2溶解緩衝液において存在する。このバンドは、0.16、0.17、または0.18Mの水酸化ナトリウム溶解緩衝液において現れない。
図5において、
Figure 0003852951
結論
本実施例において、このプラスミドおよび宿主株の組合せについて、移動度の増加した不可逆的に変性したプラスミドDNAに対応する可視バンドの形成は、1%SDS中、0.16Mと0.175Mとの間(または0.107〜0.117Mの溶解におけるNaOH濃度)の溶解緩衝液における水酸化ナトリウム濃度を用いて防止され得る。これは、溶解緩衝液における0.17〜0.185MのNaOH濃度範囲と重複し、これは、同じ宿主ベクターの組合せについての上記の実施例において同定されている。従って、このプラスミドの大規模調製のために選択されるNaOH濃度は、両方の実施例によってカバーされた重複範囲における、0.175Mであった。
実施例3
本発明に従って最適な水酸化ナトリウム濃度での細胞溶解を使用する、プラスミドpTX0118を有するE. coli DH1株からの大規模なプラスミドの産生
培養物中での細胞増殖
以下に詳述するように、本発明に有用な、プラスミド収量および質を最大にするために核酸合成前駆体を非常に富化させたオルタナティブバッチ発酵培地を、この実施例について使用した。
i)接種
プラスミドpTX0118で形質転換したE. coli DH1細胞を、低温保存したストック(凍結防止剤として20%の滅菌グリセロールを補充したLB培地中で急激に凍結させた、指数増殖期細胞)から回収し、そしてLB培地(10g/lのバクトトリプトン、5g/lのイーストエキストラクト、および5g/lの塩化ナトリウム。1Mの水酸化ナトリウムの添加によってpH7に調整した)、12g/mlのテトラサイクリン、および1.2%の寒天を含有するLBtetプレート上に画線培養した。プレートからの6つのシングルコロニーを、別々の滅菌したプラスチックの三角フラスコ中の、12g/mlのテトラサイクリンを補充した20mlのLB培地にそれぞれ接種し、37℃および200rpmで12〜16時間、振盪インキュベーター中で増殖させた。次いで、これらの培養物の1つを使用して、2Lの三角フラスコ中の、12g/mlのテトラサイクリンを補充した200mlの滅菌LB培地に接種した。これを、37℃および200rpmで振盪インキュベーター中で増殖させ、そしてこれを使用して、12g/mlのテトラサイクリンを補充した1000mlの滅菌した改変TB培地(11.8g/lバクトトリプトン、23.6g/lイーストエキストラクト、2.2g/l KH2PO4、および9.4g/l KH2PO4。1M水酸化ナトリウムの添加によってpH7に調整する)をそれぞれ含む2つの5Lの三角フラスコに接種した。これらを、30℃および200rpmで振盪インキュベーター中で増殖させ、そしてこれらを使用して中間指数期(5時間後およびOD600nmが2ユニットの時)に発酵容器に接種した。
ii)発酵
使用した発酵容器は、以下のように調製した、50Lの作業容量のLife Sciences Laboratories Ltd. 50/75LP撹拌タンクバイオリアクターであった:
a)発酵容器中で30分間120℃で滅菌した、バッチ培地(46L中)
成分 必要量
リン酸二水素カリウム(KH2PO4) 150g
リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4) 300g
塩化ナトリウム(NaCl) 25g
Gibco Select Peptone 140 100g
硫酸アンモニウム(NH4)2SO4 500g
微量金属溶液 25ml
(以下の組成を参照)
BDHポリプロピレングリコール 100ml
(分子量2025)
塩化カルシウム二水和物 1.5g
(CaCl22H2O)
硫酸鉄(第一鉄)七水和物 2g
(FeSO47H2O)
クエン酸 1g
Gibco Select Yeast Extract 1000g
脱イオン水 46000ml
微量金属溶液の調製
成分 必要量
塩化コバルト六水和物 2g
(CoCl26H2O)
塩化銅(II)二水和物 1.9g
(CuCl22H2O)
ホウ酸 1.6g
(H3BO3
硫酸マンガン一水和物 1.6g
(MnSO4H2O)
モリブデン酸ナトリウム二水和物 2g
(Na2MoO42H2O)
塩化亜鉛七水和物 2g
(ZnCl27H2O)
硫酸第二鉄 1g
(Fe2(SO4)3.xH2O)
塩化カルシウム二水和物 1g
(CaCl2.2H2O) 1g
クエン酸 60g
脱イオン水 1000mlまで
b)容器への滅菌後添加(psa)のために、オートクレーブ(121℃で15分間)することによって別々に滅菌する
PSA溶液1の調製
成分 必要量
硫酸マグネシウム七水和物
(MgSO47H2O) 25g
脱イオン水 600ml
オートクレーブした発酵容器への添加のために、121℃で15分間オートクレーブすることによって調製および滅菌する。
PSA溶液2の調製
成分 必要量
BDHグリセロール 1400ml
オートクレーブした発酵容器への添加のために、121℃で15分間オートクレーブすることによって調製および滅菌する。
c)psaのために発酵容器中へと直接0.2mmフィルターで滅菌する。
PSA溶液3の調整
成分 必要量
チアミン塩酸塩 0.4g
テトラサイクリン塩酸塩 400mg
ビタミン溶液(V1) 25ml
(以下の組成を参照)
オートクレーブした発酵容器中へと直接調製および濾過滅菌する。
ビタミン溶液(V1)の調製
成分 必要量
ビオチン 0.06
葉酸 0.04
ピリドキシン-HCl 1.4
リボフラビン 0.42
パントテン酸 5.4
ナイアシン 6.1
脱イオン水 1000ml
発酵
バッチ発酵を、3℃およびpH6.8で行った。pHを、4MのNaOHおよび2.5MのH2SO4の自動的な添加によって制御した。溶存酸素(DO)設定値は飽和の50%であり、そして発酵槽の撹拌速度の自動調節によって制御した。最大撹拌速度は、1200rpmであった。一旦、撹拌速度がその最大に到達すると、空気の供給を、1〜4の間の空気容量/発酵槽容量/分に手動で調節して飽和の50%のDOを維持した。発酵を通じて、サンプルを、光学密度(OD600nm)の測定のために採集した。各サンプルからの細胞ペレットを遠心分離によって採集し、そして続くプラスミド収量の分析(上記のようなQiagen▲R▼500チッププロトコルを使用する)および乾燥重量の決定(簡潔には、発酵培養物の既知の容量から遠心分離によって採集した細胞ペレットの乾燥細胞重量を、85℃で平衡まで乾燥した後に決定した)のために−20℃で保存した。
発酵を、OD600nmが25ユニットに到達するまで、または約12g/lの乾燥細胞重量まで続けた。次いで、容器の内容物を、10℃まで冷却し、1000mlの密閉可能な遠心分離用のボトルに移し、そして細胞を、Sorvall RC3B plus遠心分離器でH6000Aローター中で、4500rpmでの遠心分離によって採集した。
上清をデカントし、廃棄する前に殺菌し、そして細胞ペレットを秤量(湿潤重量)して−80℃で凍結した。凍結した細胞を、以下のように処理した:
細胞懸濁物の調製
1200g(湿潤重量)の細胞を、−80℃の冷凍庫から取り出し、そして18℃で1時間解凍した。細胞懸濁緩衝液(50mMのTris、10mMのEDTA(pH8.0))を、細胞ペレットを十分に可溶化するために、各遠心分離用ボトルに添加した。パレットナイフを使用して、細胞の懸濁を穏かに補助した。再懸濁した細胞をプールし、そして細胞懸濁緩衝液で容量を調節して、150gの細胞(湿潤重量)/1リットルの細胞懸濁緩衝液の最終細胞濃度を得た。
細胞の溶解
細胞懸濁物を、清潔なステンレススチール缶に、4×2Lユニットで等分した。分子生物学的グレードのウシRNAaseA(Sigma Aldrich Company LTD., Fancy Road, Poole, Dorset BH12 4QH, U.K.)を、細胞懸濁物の最終濃度100mg/リットルで添加した。
0.175MのNaOHおよび1%のSDSを含有する18〜22℃の4Lの溶解緩衝液を、細胞懸濁物の各2Lのアリコートに添加し、大きなステンレススチールのスプーンで穏やかに混合し、そして10分間18〜22℃でインキュベートした。この10分間のインキュベーションの10分後、10mMのEDTA(pH5.5)を含む2Lの3Mの酢酸カリウムを、各缶に注いだ。
全ての4つの缶の内容物を、2つの20Lのステンレススチールの保管容器にプールし、そして18〜22℃で1時間保持した。
濾過
2つの保管容器の内容物を、100μmおよび25μmの網目状のナイロンバッグフィルターを通してポンプで汲み上げることによって、7インチの直径のステンレススチールフィルタハウジング(housings)(Plastok Ltd. 79 Market Street, Birkenhead, Wirral, Merseyside L41 6AN, U.K.)に連続的に移した。
濾過物を、2つの20Lのステンレススチールの保管用タンクに採集した。ウシRNAaseAを、先と同様に、最終濃度66〜80mg/Lになるまで添加した。
膨張床クロマトグラフィー(Expanded Bed Chromatography)
7.5LのDEAE Streamline(Pharmacia)培地を、Streamline 200クロマトグラフィーカラム(Pharmacia)中にデカントした。クロマトグラフィーの床を、当業者に周知のように、上方向の流動様式で膨張させ、そして0.1MのNaOHで洗浄し、その後、0.8MのKAc、10mMのEDTA(pH5.5)中で平衡化した。
カラムの床がなお膨張しているために、上記に由来する濾過物をカラム上にポンプで汲み上げた(ロードした)。一旦、ロードすると、カラムを0.8Mの酢酸カリウム(KAc)、10mMのEDTA(pH5.5、平衡化緩衝液)で洗浄し、次いで、25mMのKAc、10mMのEDTA(pH5.5)で、オンラインの吸光度検出器(254nmでの光学密度、すなわちOD254nm)が最大のOD254nm値から50%以下に減少するまで洗浄した。
このときに、液体の流動方向を下向きの流動を用いて反転させ、そして上端を下げて従来の軸方向にクロマトグラフィーカラムを充填した。
次いで、カラムを25mMのKAc、10mMのEDTA(pH5.5)で洗浄して、最大のOD254nm値の約5%以内にした。その後、0.5MのNaCl、25mMのKAc、10mMのEDTA(pH5.5)の洗浄を使用して、カラムマトリックスに結合したRNAおよびRNAフラグメントのバルクを除去した。OD254nm値が、最大のOD254nm値の10%以下に低下するまで洗浄を続けた。
次いで、プラスミドDNAを、0.75MのNaCl、25mMのKAc、10mMのEDTA(pH5.5)で溶出した。溶出産物を、+4℃〜+8℃で保存した。
ストリームライン(streamline)溶出物の濃度
次いで、Amicon CH2限外濾過装置を、0.1MのNaOHを使用して洗浄し、そして0.75MのNaCl、25mMのKAc、10mMのEDTA(pH5.5)中で平衡化した。溶出物を、SIY-30キロダルトンの分子量のカットオフメンブレンを使用する限外濾過によって約400mlの最終容量に濃縮した。濃縮物を取り出し、そして滅菌のボトル中にデカントした。残留プラスミドDNAを、約400mlの0.75MのNaCl、25mMのKAc、10mMのEDTA(pH5.5)緩衝液を用いて、CH2カートリッジから洗い出し、そして濃縮物とともにプールした。これを、4〜10℃で保存した。
S500ゲル浸透クロマトグラフィー
Pharmacia S500HRゲルの56cmの床を有するAmicon VS130カラムを消毒し、そして注射用の水中の0.3MのNaCl中で平衡化した。フラクションコレクターを、製造者の説明書に従って調整し、そしてチェックした。上記に由来する濃縮物を、カラムにロードし、そしてOD254nmでフロースルーをモニターした。OD254nmが上昇する(「ピーク」の始まり)とき、ピークを通じて画分(約200ml)をそれぞれ回収する。最初に溶出したピークから、OD測定を各ピーク画分について行い、そしてプラスミドDNAを含む顕著なOD254nmを有する画分をプールする。プールした画分を、−80℃で凍結保存する。
分析および結果
上記に由来する凍結されたプラスミドDNAのプールされた画分のサンプルを、以下について分析する:
外観: 透明、無色の溶液
形態: 閉環の割合99.2、開環形態12.5、ゲル電気泳動によって決定した(図6を参照のこと)。
安定性: 大きさおよび制限パターンが元の構築物と一致。
E. coli染色体DNA PCRアッセイによって判断した場合、5%未満の染色体DNAが混入。
RNA: アガロースゲル電気泳動によって決定した場合、検出不可能。
エンドトキシン: 3.5EU/mgのプラスミドDNA。
タンパク質: 銀染色したドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)によって決定した場合、検出不可能
図6は、pTX0118のバッチの大規模な生成物の純度を示す。
Figure 0003852951
考察および結論
大規模な制御された溶解条件と、Streamline DEAE流動床クロマトグラフィーのような測定可能な精製方法論との組み合わせを使用する大規模な手順のこの実施例において産生されたプラスミドの純度は、当該分野で周知の他の技術によって精製したプラスミドDNAよりも高い。例えば、この場合、得られたエンドトキシン含有量は、3.5EU/mgである。Biowhittaker KQC1アッセイを使用して精製したプラスミドのエンドトキシン含有量は、以下の通りである:大規模調製物由来のpTX0118については、3.5EU/mg(14.3μg/mlでアッセイを行った);一回のCsCl/EtBr平衡遠心分離(本明細書中に記載されるような)によって精製したpTX0118 DNAについては、>2500EU/mg(20μg/mlで)。後者の場合、プラスミドは、細菌細胞E. coli DH1の同じストックのフラスコ培養物由来であった。このプロセスのために使用した方法は、当該分野で周知(Current Protocols in Molecular Biology、F. Ausubelら編、1995, John WileyおよびSons, Inc. USA、ISBN 0-471-50338-Xに記載されるような)である。この実施例において、セシウムクロライド(caesium)で精製したDNAのエンドトキシン含有量は、2500EU/mg DNAを超えていた。Qiagen▲R▼ Ultrapure 100陰イオン交換カラムのような他の方法論は、Qiagen▲R▼ Endotoxin Removal Bufferのような緩衝液を使用してエンドトキシンレベルを約50EU/mg DNAに到達させる(J. Schorr, P. Moritz, T. SeddonおよびM. Schleef, New York Academy of Sciences 772, 271頁、1995年11月27日;PCT WO 95/21177およびPCT WO 95/21179)。このような緩衝液は、潜在的に毒性の洗浄剤を含み、その使用は、薬学的グレードのDNAの産生におけるこの段階では望ましくはない。
この実施例において、セシウムクロライドおよびエチジウムブロマイドのような毒性の試薬の使用、あるいは薬学的生成物および薬学的適用におけるそれらの適合性が未知であるか、避けられるべきであるか、望ましくないか、または受容不可能であるその他の試薬の使用は、先行技術と同様に低いか、または先行技術におけるレベルよりも低い、エンドトキシン、タンパク質、およびRNAのレベルを達成するためには必要とされなかった(J. Schorr、P. Moritz、T. SeddonおよびM. Schleef、New York Academy of Sciences 772、271頁、1995年11月27日)。
実施例4
プラスミドpTX0161を有するE. coli DH1細胞からのプラスミド精製の間の不可逆的な変性を制御するための、種々の水酸化ナトリウム濃度の使用
51の発酵由来の7.7kbのプラスミドpTX0161を有する凍結させたE. coli細胞を解凍し、そして100g/mlのRNAase A(Sigma-Aldrich Company LTD., Fancy Road, Poole, Dorset BH12 4QH, U.K.)を含む、50mMのTris、10mMのEDTA(pH8.0)に150g/lの湿潤重量で再懸濁した。溶解を、溶解緩衝液に対して1:2の容量比の細胞懸濁物を使用して行った。溶解反応時間は10分間であり、溶解緩衝液は、1%のSDSと、0.175、0.18、0.19、または0.2Mの水酸化ナトリウムとを含有していた。次いで、1容量の3M酢酸カリウム(pH5.5)をそれぞれに添加し、混合し、そしてサンプルを13Krpmで30分間、SS34ローターを備えつけたSorvall RC5Bplus遠心分離器中で回転させた。次いで、上清を、上記のような精製のために、Qiagen▲R▼500チップにロードした。各Qiagen500チップから精製したDNAを溶出し、上記のように濃縮し、そして1mlのTE緩衝液に溶解した。
図7は、全てのサンプルのアガロースゲル電気泳動を行った後に撮影した、0.8%アガロースゲルの写真を示す。0.175MのNaOH溶解緩衝液で処理したサンプル中には、不可逆的に変性されたプラスミドDNAのより高い移動度に対応する可視的なバンドは存在しなかった。0.18Mの溶解緩衝液で処理したサンプル中には約1〜5%が見られ得、そして0.19Mおよび0.2MのNaOH溶解緩衝液で処理したサンプルにおいては>5%が見られ得る。
図7
Figure 0003852951
図8は、2つのサンプル(0.175MのNaOH溶解緩衝液および0.2MのNaOH溶解緩衝液で処理したサンプル)の制限エンドヌクレアーゼ酵素消化物を示す。300ngのこれらの2つのサンプルを、供給者によって推奨される条件下で1.75時間、40〜67ユニットgのプラスミドDNAで、使用される別々の反応物中で2つの制限酵素(EcoRVおよびXbaI((New England Biolabs(U.K.)Ltd. 67 Knowl Piece, Wilbury Way, Hitchin, Hertfordshire SG4 OTY, U.K.から入手した))で消化した。セシウムクロライド/エチジウムブロマイド平衡遠心分離(Current Protocols in Molecular Biology、F. Ausubelら編、1995、John WileyおよびSons、Inc. USA、ISBN 0-471-50338-Xに記載されている)によって調製したプラスミドDNAもまた、コントロールとして同じ条件下で消化した。コントロールプラスミドDNAを、高移動度の不可逆的に変性したDNAがサンプルを汚染しないような方法で調製する。レーン11では、0.2MのNaOH溶解緩衝液で処理したサンプル由来のXbalで消化したプラスミドDNA中に存在するバンドが、未消化のサンプル中にもまた存在する。このことは、不可逆的に変性したプラスミドDNAがこれらの条件下ではXbalによって消化され得ないことを示した。
図8は、プラスミドpTX0161の制限消化である。
Figure 0003852951
不可逆的に変性したプラスミドDNAのバンドは、レーン10(未消化)に存在するが、レーン9(EcoRV消化)では、同じ移動度を有するEcoRV消化フラグメントによってマスクされている。これらのバンドはいずれも、0.175MのNaOH溶解緩衝液で処理したサンプル中では可視的ではない。
結論
プラスミドpTX0161を有するE. coli DH1細胞を処理するための最適な溶解緩衝液の水酸化ナトリウム濃度は、0.15〜0.165M(0.1〜0.11Mの溶解での最適なNaOH濃度に対応する)である。この最適範囲は、種々のプラスミド/宿主細胞の組合せについて見出された最適範囲よりも低く、従って、個々の異なるプラスミドまたはプラスミド宿主株組合せについて最適な溶解範囲を同定するための本発明の方法の利点をさらに示す。
この実験はまた、不可逆的に変性したプラスミドDNAが、本明細書中で使用する条件下で、EcoRVまたはXbaIによって消化され得ず、そして従って、他の制限エンドヌクレアーゼによって消化可能であるような範囲まで、不可逆的に変性されることを示した。
実施例5
変性プラスミドの形成を妨げるための、溶解混合物中での水酸化ナトリウム濃度の制御の別の実施例
別の実験において、8kbのプラスミドpSW1(pTX0100としてもまた知られる)を有するE. coli DH1細胞を、12mg/lのテトラサイクリンを補充したLB培地を含む三角フラスコ中で、定常期まで増殖させた。Sorval RT000D遠心分離器中のH1000Bローター中で、3500rpmでの遠心分離後に、ペレットとして細胞を採集した。上清を廃棄し、そして細胞ペレットを−20℃で凍結させた。
続いて、細胞を室温(18〜22℃)で約1時間解凍した。次いで、解凍した細胞を、50mMのTris、10mMのEDTA(pH8.0)中に再懸濁し、そしてRNAase Aを100g/mlまで添加した。次いで、細胞懸濁物の2.5mlのアリコートを、1%のSDS溶解緩衝液中の以下の濃度の2容量の水酸化ナトリウムと混合した:
0.15M
0.16M
0.17M
0.18M
0.19M
0.2M
5分後、1容量の3M酢酸カリウム(pH5.5)をそれぞれに添加し、氷上に15分間維持し、次いで、遠心分離(Sorvall SS34ローター、13000rpmで30分間)によって溶液を明澄化した。それぞれに由来する上清を、Qiagen▲R▼500チップ上にアプライし、そして先の実施例のように精製し、そしてIPA沈澱を使用して濃縮し、次いで先のようにエタノール洗浄した。精製したプラスミドDNAをTE緩衝液に溶解し、そして500ngの各サンプルを0.8%アガロースゲル上にロードした。
図9は、0.2M NaOH/1% SDSのレーン(レーン8)中の、主なスーパーコイルバンドの前方に泳動する、増大した移動度の不可逆的に変性されたバンドとしての、約5%の変性したプラスミドDNAの出現を示す。
図9
Figure 0003852951
結論
この特定のプラスミドと宿主株との組合せについて、1%のSDS溶液中の、0.17M〜0.185Mの間のNaOHを含有する2容量の溶解緩衝液(または細胞溶解での0.11〜0.123MのNaOH)の使用は、増大した移動度の不可逆的に変性された種を含まないプラスミドを生じる。さらに、これは、先の実施例とは異なり、このプラスミドは、本発明の方法に従って予想されるような、より高いNaOH濃度の範囲で細胞溶解物から変性なしに回収される。
実施例6
細胞溶解において最適な水酸化ナトリウム濃度の使用が溶解時間を延長することを可能にすることを示す実験
17kbのプラスミドpTX0201を有するE. coli DH1細胞株の50リットルの発酵(上記のように行った)に由来する凍結した細胞ペーストを、室温で解凍し、次いで先の実験のように、150g/lの湿潤重量まで再懸濁した。細胞懸濁物の2.5mlのアリコートを、2容量の適切な溶解緩衝液で処理した。この実験において、さらに狭い範囲の溶解溶液(すなわち、0.17M、0.18、0.19、および0.2MのNaOH、全て1%のSDS溶液中)を使用した。この実験において、3連の0.17Mおよび0.18MのNaOH溶解緩衝液を、別々の溶解時間が試験され得るように行った。0.17Mおよび0.18MのNaOH溶解緩衝液サンプルについて、溶解時間は、5分、10分、および15分であった。0.19Mおよび0.2MのNaOH溶解緩衝液について、溶解時間は、5分であった。中和を、1容量の3Mの酢酸カリウム(KAc)(pH5.5)を使用して適切な溶解時間に続いて行った。遠心分離(Sorvall SS34ローター、14000rpmで30分)後、上清を、Qiagen▲R▼500チップを使用して上記のように精製した。溶出したプラスミドを、プロパン-2-オール(IPA)沈澱を使用して濃縮した。ペレットを、エタノールで洗浄し、次いで、DNAを0.5mlのTEに溶解した。500ngの各サンプルをアガロースゲル上にロードした。
図10は、全てのレーンにおいて、より小さいプラスミドバンドの出現を示す。これは、発酵中に生じることが知られるのpTX0201プラスミドの再配列によって生じる、特徴づけられたより小さいプラスミドである。さらに、図10に示されるような増大した移動度の不可逆的に変性された種は、0.19Mおよび0.2MのNaOHの溶解緩衝液で処理したサンプル(レーン11および12)において、約1〜5%で明らかに見られ得る。0.17Mまたは0.18MのNaOHの溶解緩衝液の実施例のいずれにおいても、15分までの溶解時間において増大するにもかかわらず、増大した移動度の不可逆的に変性したバンドは見られない。
図10は、種々のNaOH濃度での、異なる溶解時間による結果を示す。
Figure 0003852951
結論
本発明の方法に従って予想されるように、溶解緩衝液中での低濃度の水酸化ナトリウムの使用は、不可逆的に変性したプラスミドDNAの形成を伴わずに溶解時間を増大させることが可能であることが、本明細書中で示される。この場合、再懸濁した細胞との1:2の比の溶解緩衝液中の0.17MのNaOH(約5%のプラスミド変性が見られる水酸化ナトリウム濃度未満の0.015〜0.03Mで、本発明に従って規定されるような0.016〜0.0175Mの範囲で)を使用すること、およびプラスミドの質に有害な影響を与えずに15分まで溶解を継続することが可能である。このことは、プラスミド調製物の全体的な質について有利であり得る。例えば、溶解緩衝液中での水酸化ナトリウムのような試薬との延長された接触は、例えばエンドトキシンのような混入物質を、減少、除去、または破壊することが知られている。水酸化ナトリウム処理(通常、0.1Mから0.5M)は、エンドトキシンの破壊のために製薬業界で使用される、承認された方法である。
実施例7
不可逆的なプラスミドDNA形成が不可逆的なプラスミドDNAおよびより低いプラスミドDNA収量を導くことを示す実験
8kbのプラスミドpSW1(pTX0100としても知られる)を有するE. coli DH1細胞株の発酵に由来する凍結した細胞を解凍し、次いで、上記のように、100mg/mlのRNAase Aを含む50mMのTris、10mMのEDTA(pH8)を使用して150g/lの湿潤重量の濃度で再懸濁した。この細胞懸濁物の3つの5mlのアリコートを、2容量の3つの異なる溶解緩衝液(1=1%のSDS中の0.2MのNaOH、2=1%のSDS中の0.175MのNaOH、および3=1%のSDS中の0.15MのNaOH)で処理した。細胞を穏やかに混合し、そして1容量の5MのKAc(pH5.5)の添加の前に5分間放置した。得られた沈澱を、12000rpmで30分間の遠心分離(Sorvall SS34ローター)の前に少なくとも10分間、氷上に置いた。全ての3つのサンプルを、Qiagen▲R▼500チップを使用して、先に記載のように精製した。次いで、溶出したプラスミドをIPA沈澱によって濃縮し、そして先のようにエタノール洗浄した。ペレットを、分析の前に0.5mlのTE緩衝液に溶解した。3つのサンプルからの収量を、TE緩衝液中での1/10希釈を行い、次いで、Philips 8700シリーズ分光光度計を使用する230nm〜350nmの吸光度スキャンのために希釈物を使用することによって比較した。254nmでの吸光度を使用して、プラスミドDNA濃度および収量を計算した。
Figure 0003852951
図11は、3つのサンプルから回収したプラスミドの0.8%アガロースゲルを示す。3つのサンプルのそれぞれ500ngを、0.5mgレベルでロードした。レーン1は、1kbのサイズマーカーである。レーン2は、セシウムクロライドで精製した調製物である。レーン3、4、および5はそれぞれ、1%のSDSサンプル中の0.15、0.175、および0.2MのNaOHである。レーン5(0.2MのNaOH溶解緩衝液で処理したサンプル)において、増大した移動度の不可逆的に変性された種が、1〜5%で存在することが注目される。上記の表において、このサンプルに由来する収量が細胞溶解でのNaOHと比較してかなり低下しており、このことは多くのプラスミドが回収されておらず、そしてこれらの条件下で不可逆的であることを示すことが、また注目される。復元されたDNAは、増大した移動度の不可逆的に変性された種の存在を有する。図11は、プラスミドDNAの収量における差異を示す。
Figure 0003852951
結論
このプラスミド/宿主株の組合せについて、同等のサンプルにおいて水酸化ナトリウム濃度を変化させた場合に回収される、回収されたプラスミド全体およびそのプラスミドの質の両方に差異が存在する。細胞溶解におけるより高い水酸化ナトリウム濃度(この場合は0.117M)の使用は、プラスミドDNA収量における非常に高い損失、ならびに質の劣ったのプラスミドDNA(すなわち、不可逆的に変性した種の存在)を生じ得る。本明細書中に記載される基準を使用して、このプラスミドと宿主株との組合せについて溶解緩衝液中の水酸化ナトリウム濃度を、先に示すように0.17M〜0.185Mと再び同定した。
他の実施態様
他の実施態様が、当業者に明らかである。上記の詳細な説明が明確化のためのみに提供され、そして単に例示にすぎないことが理解されるべきである。本発明の意図および範囲は、上記の実施例には制限されないが、以下の請求の範囲に包含される。

Claims (33)

  1. プラスミドDNAの単離および精製のための方法であって、以下の工程:
    a)細胞宿主の細胞の培養物を、リットル乾燥重量単位当たり2g〜200gの範囲内の細胞密度まで増殖させる工程であって、ここで該宿主細胞が、不可逆的なアルカリ性変性値を有するプラスミドDNAを含有する工程;
    b)該細菌細胞を、指数増殖期の間の該培養物と、該プラスミドDNAの不可逆的なアルカリ性変性値以下の0.1〜0.2pH単位であるpH値に達する十分なアルカリの量とを接触させることによって溶解させる工程;および
    c)該プラスミドDNA調製物を単離する工程、
    を包含する、方法。
  2. 前記溶解工程のpHが、前記不可逆的なアルカリ性変性値以下の0.2pH単位である、請求項1に記載の方法。
  3. プラスミドDNAを含有する宿主細胞を溶解させるための至適溶解条件を決定するための方法であって、以下の工程:
    a)細菌宿主の細胞の培養物を、リットル乾燥重量単位当たり2g〜200gの範囲内の細胞密度まで増殖させる工程;
    b)指数増殖期の間の該細菌細胞を、以下で溶融させる工程
    i.細胞溶解を引き起こし、そして該細胞中に含まれるプラスミドDNAの50%以下の変性を生じるために十分な該培養物のpH、および該pH以下の0.1pH単位である至適溶解条件について選択されるpH値;または
    ii.90〜95%以下のプラスミドDNAの変性を生じるために十分なpH、および該pH以下の0.17〜2.0pH単位である至適溶解条件について選択されるpH値、
    を包含する、方法。
  4. 前記増殖工程がバッチ発酵を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記バッチ発酵が、炭素源としてグリセロールを含有する発酵培地を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記増殖工程が、炭素源の供給速度(feed rate)を制御する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  7. 前記増殖工程がフェッドバッチ発酵を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記フェッドバッチ発酵が、炭素源としてグリセロールまたはグルコースを含有する発酵培地を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記増殖工程が、過剰なDNA前駆体および増殖因子を含有する発酵培地中で、前記細胞を培養する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  10. 前記発酵培地が20g/lのイーストエキストラクトを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記発酵培地が5g/lのアンモニウム塩を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記発酵培地が10g/lのアンモニウム塩を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記アンモニウム塩が、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、またはリン酸アンモニウムである、請求項11または12に記載の方法。
  14. 前記pH値が12.1〜12.9の範囲である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記プラスミドDNAが約5kb〜約50kbの範囲である、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記プラスミドDNAが5kb〜50kbの範囲の哺乳動物のDNAを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記プラスミドDNA調製物が薬学的に受容可能な溶液中で単離される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記溶解工程(b)が、10〜60g/l乾燥重量細胞の間で行われる、請求項1に記載の方法。
  19. 前記単離工程(c)が、流動床イオン交換クロマトグラフィーの工程を包含するイオン交換クロマトグラフィーを含む、請求項1に記載の方法。
  20. 前記イオン交換クロマトグラフィーが、軸または放射状高分解能陰イオン交換クロマトグラフィーをさらに含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記単離工程(c)が、さらに本質的にゲル浸透クロマトグラフィーからなる、請求項19に記載の方法。
  22. 前記単離工程(c)が、前記高分解能陰イオン交換クロマトグラフィーの後に、ゲル浸透クロマトグラフィーをさらに包含する、請求項20に記載の方法。
  23. 前記溶解工程が、以下の工程:
    a)前記細菌細胞のpHを、12.0に調整する工程;および
    b)前記細菌細胞のpHを、12.1〜12.9の間のpH値にさらに調整する工程、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  24. 前記さらなる調整工程b)が、前記培養物に、0.1〜0.2Mの範囲で水酸化ナトリウムの量を添加する工程を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記工程(a)における前記培養物の容量が50/lである、請求項1に記載の方法。
  26. 前記容量が500/lである、請求項1に記載の方法。
  27. 前記工程(a)における前記培養物の容量が500/lより大きい、請求項1に記載の方法。
  28. 前記単離工程(c)から得られたプラスミドDNAの前記調製物が、5%未満の染色体DNAを含む、請求項1に記載の方法。
  29. 前記単離工程(c)から得られたプラスミドDNAの前記調製物が、1%未満の染色体DNAを含む、請求項1に記載の方法。
  30. 前記単離工程(c)から得られたプラスミドDNAの前記調製物が、100Eu/mg未満のエンドトキシンを含む、請求項1に記載の方法。
  31. 前記単離工程(c)から得られたプラスミドDNAの前記調製物が、1%未満のタンパクを含む、請求項1に記載の方法。
  32. 前記単離工程(c)から得られたプラスミドDNAの前記調製物が、0.2%未満のRNAを含む、請求項1に記載の方法。
  33. 前記単離工程(c)から得られたプラスミドDNAの前記調製物の90%以上が環状形態である、請求項1に記載の方法。
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