JP3852209B2 - ビデオ信号の符号化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオ信号を量子化処理によって符号化するビデオ信号の符号化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビデオ信号の符号化のために、いわゆる2パス符号化方式が提案されている。特開平7−284097号公報によれば、1ビデオ信号を第1のパスと第2のパスに分けて符号化し、第1のパスでは第2のパスの符号化に必要な情報を出力する。符号化方式自体はMPEGなどの方式に従って実行される。
【0003】
従来の第1のパスを実行する装置のブロック図を図5に示す。第1のパスではビデオ信号は通常速度で再生入力され、入力情報は全ビデオシーケンスに対して短区間ごとに発生符号量を情報として記録する。図5の符号化回路は、動き補償DCT方式を用いてデータ圧縮を行う。ここで、DCTというのは、離散コサイン変換として知られるデータ圧縮の方式のことであり、動き補償DCT方式は、入力画像データのうち、周期的に選択された1フレームをそのフレーム内のデータのみを用いて圧縮し、残りのフレームに関しては、前のフレームとの差分を圧縮して伝送する方式のひとつである。フレーム間の差分を計算するのに際して、前フレームとの間で画像の動きベクトルを検出し、動きを合わせてから差分をとることにより圧縮率の向上を達成する。
【0004】
入力されたビデオデータはまず減算器2に入力され、ここで現在フレームと動き補償予測回路4から得られる前フレームとの差分を計算し、DCT回路6に入力する。DCT回路6は入力された1枚分の画像を例えば8×8画素の正方形の画素ブロックに分割し、各画素ブロックごとにDCT処理を施す。DCTによって得られた各係数に対し量子化を施して可変長符号化(VLC)回路10に入力する。VLC回路10は、統計的に出現確率のより高いデータに、より短い符号長を割り当てる手法であって、データの持つ統計的な冗長成分を除去するために用いられる。
【0005】
量子化回路8の出力信号はまた逆量子化回路12に入力され、ここで逆量子化処理により量子化前のデータに変換される。逆量子化回路12の出力信号を逆DCT回路14に通すことにより、DCT回路6とは逆の変換処理を行って元の画像データに復元し、それを画像メモリ16に記憶される。動き補償予測回路4は現在の再生画像を、入力画像メモリ16から読み出される所定数のフレーム分だけ前の画像データと比較して、画像の動き量を計算し、その動き量に応じて画像タの位置を移動させる。このようにして動き補償された画像データが減算器2に入力され、現在の画像データとの間の差分計算に用いられる。
【0006】
VLC回路10の出力信号はバッファ18を介し符号化データとして出力されると共に、符号量カウンタ20によって発生符号量がカウントされ、そのカウント結果が記憶回路22に記憶される。
【0007】
MPEGに代表される符号化方式では可変長符号化を行っているので、量子化幅を固定にして第1のパスを行うと、符号化画像の複雑さや、動き補償残差成分量に応じて発生符号量が多くなる。この性質を利用して、発生符号量の分布状態を予め調査し、第2のパスではその分布に極力近くなるように符号量の配分を行うことにより、画質をほぼ均一にすることが可能となる。第2のパスではその符号量配分比率を保つと同時に、全体の目標符号量を達成できるように制御しなければならない。発生符号量は、第1のパスで発生した短区間単位で検出し、その情報を記録する。短区間の例としてはピクチャ内独立符号化ステップごとに区切ることが可能な約15ピクチャ程度の1GOP(グループオブピクチャ)が考えられる。この場合、図7にUGとして示すように、各GOP単位にどの位の発生符号量であったかが記憶回路22に記憶される。
【0008】
第1のパスでは一般的に量子化幅を小さめにして、第2のパスで出力される最終的な符号量より多くの符号量を発生させるのが普通である。その理由は、第1のパスで量子化幅を小さくすることにより、画像の高周波成分まで細かく情報を検出し、その画像の特性を検出する必要があるからである。第1のパスのi番目の短区間内に発生した符号量を pass1BIT(i) とする。この各短区間内に発生した符号量の比率を、第2のパスでもほぼ同じになるようにして、最終目標総符号量を第2のパスにおける各短区間内の目標符号量とする。
【0009】
例えば短区間を1GOPとすると、以下のような方法で、画質をある程度保ちながら符号を制御することができる。
【0010】
次に第2のパスについて第6図のブロック図を用いて説明する。発生符号量を増加させるには、量子化スケールを小さくし、符号量を減少させるには大きくする。この原理を用いて、例えばバッファの占有率をもとに、量子化幅を制御する方法が考えられる。注意すべき点は片方向ピクチャ間予測符号化される画面(Pピクチャ)はひとつ前のピクチャ内独立符号化される画面(Iピクチャ)もしくはPピクチャから、両方向ピクチャ間予測符号化される画面(Bピクチャ)は時間的に両側のIピクチャとPピクチャから予測されている関係上、Iピクチャが劣化すると、連動して他のピクチャも劣化する。以下の方式例はこれらのピクチャに対する符号量配分を考慮しながら全体の符号量制御を実現できる。
【0011】
まず、各GOPの目標符号量 Pass2BIT(i) は、記憶回路からの第1のパスで得られた符号量 pass1BIT(i) を使用して、
pass2BIT(i)=最終目標総符号量*pass1BIT(i)/Σpass1BIT(i)
で計算する。ここで、ひとつのGOPに与える符号量 pass2BIT(i) をRとすると、具体的な符号量制御は以下のようなアルゴリズムで符号量制御回路で行われる。
【0012】
(a)ステップ1
ステップ1では一つのGOPの各ピクチャに対する割り当て符号量を、GOP内でまだ符号化していないピクチャに対して、所定の重みをつけて配分する。すなわち、
Xi=Si*Qi , Xp=Sp*Qp , Xb=Sb*Qb
ここで、Xi,Xp,Xbは、GCM(グローバル・コンプレキシティ・メジャー)と呼ばれるもので、ひとつ前の同ピクチャタイプの符号化結果の発生符号量Si,Sp,Sbと、各符号量ごとの平均量スケールQi,Qp,Qbとの積として定義する。
【0013】
理想的な画質を達成するための各ピクチャの量子化スケールTi,Tp,Tbは、Iピクチャを基準とした場合のPピクチャの比率Kpを、Kp=1.0とし、Bピクチャの比率Kbを、Kb=1.4と仮定し、さらにピクチャレートをPR、ビットレートをBRとして、
Ti=MAX{Ri/(1+(NpXp/XiKp)+(NbXb/XiKb)),BR/(8*PR)}
Tp=MAX{Rp/(Np+(NbKpXb/KbXp)),BR/(8*PR)}
Tb=MAX{Rb/(Nb+(NpKbXp/KbXb)),BR/(8*PR)}
として求められる。ここで、Np,Nbは1GOP内の未符号化Pピクチャおよび未符号化Bピクチャの枚数である。
【0014】
Ri,Rp,RbはそのGOPに与えられた符号量であって、それはGOP内で符号化が進むごとに次のように更新される。すなわち、
Ri=Ri−Si, Rp=Rp−Sp, Rb=Rb−Sb
(b)ステップ2
ステップ2ではステップ1で割り当てられた各ピクチャの符号量Ti,Tp,Tbと実際の発生符号量を一致させるため、MB(マクロブロック)毎に発生符号量を加算しつつ、目標符号量から途中での予測目標符号量との差を量子化スケールにMB単位でフィードバックする。各ピクチャ毎の仮想バッファの初期占有量をdOi,dOp,dOb、符号量カウンタ20によってカウントされた各ピクチャの先頭からj番目のMBまでの発生符号量をBj、1ピクチャ内のMB数をMBcnt、フィードバックの応答速度を決定するパラメータをrとして、各ピクチャ毎に量子化スケールQi,Qp,Qbは、
Qi=dji*31/r
Qp=djp*31/r
Qb=djb*31/r
ただし、パラメータrは、ピクチャレートPRおよびビットレートBRを用いて、r=2*BR/PR
であるとし、さらに、dji,djp,djbは次のように定義する。
【0015】
dji=dOi+B(j-1)−(Ti(j-1)/MBcnt)
djp=dOp+B(j-1)−(Tp(j-1)/MBcnt)
djb=dOb+B(j-1)−(Tb(j-1)/MBcnt)
このようにして符号量制御を行うことにより、所定の画質を維持しつつ、符号化のための時間を短縮することができる。
【0016】
なお、MPEG自体は、国際規格ISO−IEC11172−2,ITU−TH.262/ISO−IEC13818−2 に記載されているものであり、ここではその詳細についての説明は省略する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来、画像データの符号化のためには、2回のパスを通す関係上、符号化時間として符号化対象のビデオ信号の通常再生速度の場合の時間の少なくとも2倍はかかってしまっていた。
【0018】
したがって、本発明の課題は、符号化時間を短縮できるビデオ信号の符号化方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明は、ビデオ信号を所定の量子化幅によって仮符号化し、その仮符号化結果に基づいて設定された目標符号量に基づいてビデオ信号の本符号化を行うビデオ信号の符号化装置であり、本符号化は、ピクチャ内独立符号化、片方向ピクチャ間予測符号化、両方向ピクチャ間予測符号化の3種類の符号化タイプを用いる符号化であって、かつ、本符号化は符号化対象ビデオ信号を構成する各画面に対して、前記各符号化タイプを予め定められている所定の順番に従って用いて符号化を行うものであるビデオ信号の符号化装置において、本符号化されるべき第1のビデオ信号から抽出された、本符号化時にピクチャ内独立符号化の対象となる画面と本符号化時に片方向ピクチャ間予測符号化の対象となる画面とで構成した第2のビデオ信号が入力され、第2のビデオ信号に対する符号化を、それぞれ対象となる画面に対してピクチャ内独立符号化又は片方向ピクチャ間予測符号化を用いて行う仮符号化手段として機能すると共に、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき前記第1のビデオ信号に対して予測設定される目標符号量に従った前記第1のビデオ信号に対する符号化を、それぞれ対象となる画面に対して、ピクチャ内独立符号化又は片方向ピクチャ間予測符号化又は両方向ピクチャ間予測符号化を用いて行う本符号化手段として機能する符号化手段と、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき、本符号化時に使用する前記目標符号量を予測設定する目標符号量予測手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
請求項2に係る発明は、ビデオ信号を所定の量子化幅によって仮符号化し、その仮符号化結果に基づいて設定された目標符号量に基づいてビデオ信号の本符号化を行うビデオ信号の符号化装置であり、本符号化は、ピクチャ内独立符号化、片方向ピクチャ間予測符号化、両方向ピクチャ間予測符号化の3種類の符号化タイプを用いる符号化であって、かつ、本符号化は符号化対象ビデオ信号を構成する各画面に対して、前記各符号化タイプを予め定められている所定の順番に従って用いて符号化を行うものであるビデオ信号の符号化装置において、本符号化されるべき第1のビデオ信号から抽出された、本符号化時にピクチャ内独立符号化の対象となる画面で構成した第2のビデオ信号が入力され、その第2のビデオ信号に対する符号化をピクチャ内独立符号化を用いて行う仮符号化手段として機能すると共に、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき前記第1のビデオ信号に対して予測設定される目標符号量に従った前記第1のビデオ信号に対する符号化を、それぞれ対象となる画面に対して、ピクチャ内独立符号化又は片方向ピクチャ間予測符号化又は両方向ピクチャ間予測符号化を用いて行う本符号化手段として機能する符号化手段と、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき、本符号化時に使用する前記目標符号量を予測設定する目標符号量予測手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0022】
請求項3に係る発明は、ビデオ信号を所定の量子化幅によって仮符号化し、その仮符号化結果に基づいて設定された目標符号量に基づいてビデオ信号の本符号化を行うビデオ信号の符号化装置であり、本符号化は、ピクチャ内独立符号化、片方向ピクチャ間予測符号化、両方向ピクチャ間予測符号化の3種類の符号化タイプを用いる符号化であって、かつ、本符号化は符号化対象ビデオ信号を構成する各画面に対して、前記各符号化タイプを予め定められている所定の順番に従って用いて符号化を行うものであるビデオ信号の符号化装置において、本符号化されるべき第1のビデオ信号から第1の所定再生時間間隔毎に抽出した第2の所定再生時間分のビデオ信号により構成された第2のビデオ信号が入力され、その第2のビデオ信号に対する仮符号化を行う仮符号化手段として機能すると共に、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき前記第1のビデオ信号に対して予測設定される目標符号量に従った前記第1のビデオ信号に対する符号化を、それぞれ対象となる画面に対して、ピクチャ内独立符号化又は片方向ピクチャ間予測符号化又は両方向ピクチャ間予測符号化を用いて行う本符号化手段として機能する符号化手段と、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき、本符号化時に使用する前記目標符号量を予測設定する目標符号量予測手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴は概要的に説明すれば次の通りである。
(1)仮符号化の際に用いる入力画像を通常再生速度より速い速度で再生入力する。
(2)仮符号化の際に入力されるビデオ信号が、ピクチャ内独立符号化される画面と片方向ピクチャ間予測符号化される画面に対応する画面で構成されているピクチャのみ符号化し、両方向ピクチャ間予測符号化される画面は仮符号化しないようにする。
(3)仮符号化の際に用いる入力画像を部分的に再生入力する。すなわち、部分的に再生入力してから、次の所定の位置まで、入力画像を早送り、もしくはランダムアクセスする一連の操作を、所定の回数行う。
【0024】
上記のようにすることにより、仮符号化の際に用いる入力画像を通常再生速度より速い速度で再生入力するので、従来2倍程度かかっていた符号化時間を短縮することができる。
【0025】
仮符号化の際に入力されるビデオ信号が、IピクチャとPピクチャに対応する画面で構成されているピクチャのみ符号化し、Bピクチャは仮符号化しないようにすることにより、従来2倍程度かかっていた符号化時間を短縮することができる。すなわち、一般的に、MPEGではIピクチャとPピクチャの間には、Bピクチャを2〜3枚程度配置するが、このBピクチャを読みとばして3〜4倍速の画像入力速度にすると、1.25倍から1.33倍の符号化時間ですむようになる。
【0026】
仮符号化の際に用いる入力画像を部分的に再生入力する。すなわち、部分的に再生入力してから次の所定の位置まで、入力画像を早速り、もしくはランダムアクセスする一連の操作を所定の回数行う。仮に2時間の映画素材を、部分的に3.0秒間再生入力し、4分30秒間早送りする一連の操作を、24回繰返して再生入力すれば、早送り時間を10秒と仮定しても16分程度で符号化可能で、全体で1.14倍の符号化時間で済むようになる。
【0027】
本発明における第1のパスの信号処理過程を、図1ないし図3を参照し、第2のパスの信号処理過程を、図4を参照して説明する。本実施の形態での符号化には、例えばMPEG符号化方式を用いるものとする。
【0028】
請求項1に係る発明に関して、図1および図4を用いて概略的に説明する。
【0029】
まず入力画像信号として、1GOP中のIピクチャとPピクチャのみを使用する。すなわち、図8に示すように、各GOPの最初に出現するIピクチャのデータと、その後に続いて繰返し出現する2つのBピクチャと1つのPピクチャのうち、Pピクチャのデータとを使用する。入力装置の代表例としてディジタルVTRがあり得るが、テープ走行速度やヘッド回転速度を高速回転させることによって、所定のピクチャのみを入力することは可能である。
【0030】
輝度信号Yと色差信号Cとで構成されるビデオ信号はデジタル化された後、ピクチャタイプに合わせて画面の並べ替えが行われる。入力画像に対し符号化順に動き補償予測回路4において動き補償予測が行われ、DCT回路6においてDCT処理が行われる。DCT係数は量子化回路8で量子化され、動きベクトルや符号化モードとともにVLC回路10で可変長符号化(VLC)された後、バッファ18に蓄積され、符号化データすなわちMPEGビデオストリームとして出力される。また、IピクチャおよびPピクチャは、後で動き補償予測の参照画面として用いられるため、量子化回路8で量子化された情報は逆量子化回路12により逆量子化され、さらに逆DCT回路14による逆DCTおよび動き補償予測回路4による動き補償を通して局部復号化が行われ、復号器と同じ画像が復元されて画像メモリ16に蓄積される。この蓄積画像は次の動き補償予測の参照画面として用いられる。
【0031】
第1のパスではMPEGの符号化を固定の量子化値を用いて行う。本発明ではVLC回路10で可変長符号化をする際、ブロック(たとえば16×16画素)ごとの発生符号量結果情報を符号量カウンタ20に送り、そのカウント内容を記憶回路22に記憶させる。記憶回路22としてはハードディスクや、高速のストレージメディアなど、周知のものを適宜使用することができる。
【0032】
第2のパスの信号処理過程を、図4を参照して説明する。第2のパスでは、記憶回路22に記憶された3ピクチャ(Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャ)のそれぞれの発生符号量データを用い、IピクチャとPピクチャに対応する画面で構成されているピクチャのみ符号化したデータを用いて、全体発生符号量予測回路24において、1GOPの全体符号発生量を予測する。一般にBピクチャとその両側に位置するPピクチャやIピクチャの発生符号量には相関があり、i番目のGOPの発生符号量pass1BIT(i)は、下式に示すように、1GOP内に存在する1枚のIピクチャの発生符号量Ibit と4枚のPピクチャの発生符号量Pbit の和に、計5枚の平均に50%の重みを付けた値を仮にBピクチャの発生符号量と仮定して、その値に1GOP内のBピクチャの枚数10を乗算した値を加算することによって予測することができる。
【0033】
pass1BIT(i)=(Ibit+ΣPbit)+(Ibit+ΣPbit)*0.5*10/5
pass2BIT(i)=最終目標総符号量*pass1BIT(i)/Σpass1BIT(i)
pass2BIT(i)まで求まったらその後は従来例と同じ方法で符号化を行う。以上のようにして予測された発生符号量に従い目標符号量決定回路26により目標符号量を決定し、その決定内容に従い符号化制御回路28により符号量をフィードバック制御する。
【0034】
次に請求項2に係る発明に関して図2および図4を参照して説明する。まず、入力画像は1GOP中のIピクチャのみを使用する。図8に示した1GOPの場合、Iピクチャ、Pピクチャ、およびBピクチャからなる1GOP中の15ピクチャを対象として15ピクチャごとに出現するIピクチャのみを使用する。
【0035】
第1のパスのブロック図を図2に示す。この場合は局部復号化の必要がないので、逆量子化や逆DCT回路は不要である。
【0036】
i番目のGOPの発生符号量pass1BIT(i)は、1枚のIピクチャの発生符号量Ibit のみから予測する。基本的にPピクチャのような画像の動きの予測算差情報がないため符号量予測精度は低下するが、15倍速の恩恵は大きい。
【0037】
この場合のGOPの全体符号発生量は、GOPのピクチャ枚数15を乗算することにより予測することができる。
【0038】
pass1BIT(i)=Ibit*15
pass2BIT(i)=最終目標総符号量*pass1BIT(i)/Σpass1BIT(i)
pass2BIT(i)まで求まったら、その後は従来例と同じ方法で実現できる。
【0039】
次に請求項3に係る発明に関して図3および図4を参照して説明する。図3は第1のパスの処理過程を示すブロック図である。入力画像データは間欠ビデオ入力として入力される。すなわち、部分的に再生入力してから次の所定の位置まで、入力画像を早送り、もしくはランダムアクセスする一連の操作を所定の回数行って入力ビデオデータとする。仮に2時間の映画素材を、部分的に30秒間再生入力し、次の4分30秒間を早送りするという一連の操作(1回につき5分)を、24回繰返すとする。図9に実際の発生符号量を太線の連続曲線90として、また、5分に1回の割合で仮符号化された30秒間の発生符号量を棒グラフ92として示す。
【0040】
この場合、1GOPの全体符号発生量として、実際に仮符号化を行った区間ではその発生符号量データ(棒グラフ92によるデータ)を使用し、それ以外の仮符号化区間の相互間では、図9に示すように隣り合うGOPの発生符号量値を使用して線形補間予測を行うことによって計算することができる。この線形補間予測による発生符号量を細線の連続折れ線94として示す。
【0041】
すなわち、実際仮符号化を行った区間では、
pass1BIT(i)=実測値(i)
それ以外の区間では、前後の実測値の存在するGOPの位置をt=jおよびkとして、位置j〜k間の任意の位置iにおける発生符号量は次のようにして求めることができる。
【0042】
pass1BIT(i)=実測値(j)+(実測値(k)−実測値(j))
*((i−j)/(k−j))
pass2BIT(i)=最終目標総符号量*pass1BIT(i)/Σpass1BIT(i)
pass2BIT(i)まで求まったら、その後は従来技術に従って符号化を行えばよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、仮符号化の際に用いる入力画像を通常再生速度より速い速度で再生入力するので、仮符号化時間を短縮することができる。
【0044】
また仮符号化の際に入力されるビデオ信号が、IピクチャとPピクチャに対応する画面で構成されているピクチャのみ符号化し、Bピクチャは仮符号化しないようにすることにより、仮符号化時間の一層の時間短縮を図ることができる。
【0045】
さらに仮符号化の際に用いる入力画像を間欠的に再生入力することにより、すなわち、部分的に再生入力してから次の所定の位置まで、入力画像を早速り、もしくはランダムアクセスする一連の操作を所定の回数行うことにより、仮符号化時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1および2に係る発明の第1のパスの処理過程を説明するためのブロック図。
【図2】請求項3に係る発明の第1のパスの処理過程を説明するためのブロック図。
【図3】請求項4に係る発明の第1のパスの処理過程を説明するためのブロック図。
【図4】請求項1ないし4に係る発明の第2のパスの処理過程を説明するためのブロック図。
【図5】従来技術による場合の第1のパスの処理過程を説明するためのブロック図。
【図6】従来技術による場合の第2のパスの処理過程を説明するためのブロック図。
【図7】時間と発生符号量の関係を示す説明図。
【図8】時間と各ピクチャタイプの発生符号量との関係を示す説明図。
【図9】仮符号化したGOP発生符号量と線形予測したGOP発生符号量との関係を示す比較説明図。
【符号の説明】
2 減算回路
4 動き補償予測回路
6 DCT回路
8 量子化回路
10 VLC回路
12 逆量子化回路
14 逆DCT回路
16 画像メモリ
18 バッファ
20 符号量カウンタ
22 記憶回路
24 全体発生符号量予測回路
26 目標符号量決定回路
28 符号量制御回路

Claims (3)

  1. ビデオ信号を所定の量子化幅によって仮符号化し、その仮符号化結果に基づいて設定された目標符号量に基づいてビデオ信号の本符号化を行うビデオ信号の符号化装置であり、本符号化は、ピクチャ内独立符号化、片方向ピクチャ間予測符号化、両方向ピクチャ間予測符号化の3種類の符号化タイプを用いる符号化であって、かつ、本符号化は符号化対象ビデオ信号を構成する各画面に対して、前記各符号化タイプを予め定められている所定の順番に従って用いて符号化を行うものであるビデオ信号の符号化装置において、
    本符号化されるべき第1のビデオ信号から抽出された、本符号化時にピクチャ内独立符号化の対象となる画面と本符号化時に片方向ピクチャ間予測符号化の対象となる画面とで構成した第2のビデオ信号が入力され、第2のビデオ信号に対する符号化を、それぞれ対象となる画面に対してピクチャ内独立符号化又は片方向ピクチャ間予測符号化を用いて行う仮符号化手段として機能すると共に、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき前記第1のビデオ信号に対して予測設定される目標符号量に従った前記第1のビデオ信号に対する符号化を、それぞれ対象となる画面に対して、ピクチャ内独立符号化又は片方向ピクチャ間予測符号化又は両方向ピクチャ間予測符号化を用いて行う本符号化手段として機能する符号化手段と、
    仮符号化時に発生する発生符号量に基づき、本符号化時に使用する前記目標符号量を予測設定する目標符号量予測手段と、
    を備えたことを特徴とするビデオ信号の符号化装置。
  2. ビデオ信号を所定の量子化幅によって仮符号化し、その仮符号化結果に基づいて設定された目標符号量に基づいてビデオ信号の本符号化を行うビデオ信号の符号化装置であり、本符号化は、ピクチャ内独立符号化、片方向ピクチャ間予測符号化、両方向ピクチャ間予測符号化の3種類の符号化タイプを用いる符号化であって、かつ、本符号化は符号化対象ビデオ信号を構成する各画面に対して、前記各符号化タイプを予め定められている所定の順番に従って用いて符号化を行うものであるビデオ信号の符号化装置において、
    本符号化されるべき第1のビデオ信号から抽出された、本符号化時にピクチャ内独立符号化の対象となる画面で構成した第2のビデオ信号が入力され、その第2のビデオ信号に対する符号化をピクチャ内独立符号化を用いて行う仮符号化手段として機能すると共に、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき前記第1のビデオ信号に対して予測設定される目標符号量に従った前記第1のビデオ信号に対する符号化を、それぞれ対象となる画面に対して、ピクチャ内独立符号化又は片方向ピクチャ間予測符号化又は両方向ピクチャ間予測符号化を用いて行う本符号化手段として機能する符号化手段と、
    仮符号化時に発生する発生符号量に基づき、本符号化時に使用する前記目標符号量を予測設定する目標符号量予測手段と、
    を備えたことを特徴とするビデオ信号の符号化装置。
  3. ビデオ信号を所定の量子化幅によって仮符号化し、その仮符号化結果に基づいて設定された目標符号量に基づいてビデオ信号の本符号化を行うビデオ信号の符号化装置であり、本符号化は、ピクチャ内独立符号化、片方向ピクチャ間予測符号化、両方向ピクチャ間予測符号化の3種類の符号化タイプを用いる符号化であって、かつ、本符号化は符号化対象ビデオ信号を構成する各画面に対して、前記各符号化タイプを予め定められている所定の順番に従って用いて符号化を行うものであるビデオ信号の符号化装置において、
    本符号化されるべき第1のビデオ信号から第1の所定再生時間間隔毎に抽出した第2の所定再生時間分のビデオ信号により構成された第2のビデオ信号が入力され、その第2のビデオ信号に対する仮符号化を行う仮符号化手段として機能すると共に、仮符号化時に発生する発生符号量に基づき前記第1のビデオ信号に対して予測設定される目標符号量に従った前記第1のビデオ信号に対する符号化を、それぞれ対象となる画面に対して、ピクチャ内独立符号化又は片方向ピクチャ間予測符号化又は両方向ピクチャ間予測符号化を用いて行う本符号化手段として機能する符号化手段と、
    仮符号化時に発生する発生符号量に基づき、本符号化時に使用する前記目標符号量を予測設定する目標符号量予測手段と、
    を備えたことを特徴とするビデオ信号の符号化装置。
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