JP3851015B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽極化成箔と対向陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子内に、導電性ポリマー層を形成した固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器のデジタル化に伴い、それに使用されるコンデンサにも、高周波領域における低ESR化、小型大容量化が求められるようになってきている。ここでESRとは、等価直列抵抗を意味する。
【0003】
小型、大容量、低ESRのコンデンサとして、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン等の導電性ポリマーを陰極材として用いた固体電解コンデンサに注目が寄せられている。
【0004】
本願出願人は、特開平10−50558号において、陽極化成箔と対向陰極箔とをセパレータを介して巻き取ったコンデンサ素子内に、導電性ポリマー層を形成する技術を開示した。その技術によれば、酸化重合により導電性ポリマーとなるモノマーと酸化剤とを含む化学重合液を準備し、該化学重合液に前記コンデンサ素子を浸漬することにより、導電性ポリマー層が形成される。
【0005】
陽極化成箔は、アルミニウム等の弁作用金属からなる箔に、粗面化のためのエッチング処理を施した後、化成液(電解液)に浸漬して化成処理(電解酸化処理)を施し、化成皮膜(誘電体皮膜)を形成したものである。
【0006】
導電性ポリマー層を形成したコンデンサ素子は、有底筒状の外装ケースに収納され、該ケースの開口部をゴムパッキング、エポキシ樹脂等により密封した後、定格電圧を印加しながら、実用上想定される最高使用温度(約85℃〜約125℃)でエージング処理が施されてコンデンサ完成品となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術に従ってコンデンサ素子内に導電性ポリマー層を形成した固体電解コンデンサにおいては、同様なコンデンサ素子に電解液を含浸させた電解コンデンサに比べて、漏れ電流が大きくなる傾向があった。
【0008】
本発明は、陽極化成箔と対向陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子内に導電性ポリマー層を形成し、該コンデンサ素子を外装ケースに収納した後、所定の電圧を印加しながらエージング処理を施した固体電解コンデンサにおいて、
導電性ポリマーを陰極材として用いることによる低ESR特性を確保しながら、漏れ電流を低減させることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による固体電解コンデンサの製造方法においては、前記エージング処理を行う際の環境温度を130〜180℃とする。
【0010】
前記エージング処理は、陽極化成箔の損傷修復等を目的として行うものであるが、巻回型のコンデンサ素子内に電解液を含浸した電解コンデンサのエージングにおいては、その電解液が化成皮膜形成時の化成液と同様な働きをするため、100℃前後でのエージング処理によって陽極化成箔が十分に修復されていた。逆に、それ以上の温度でエージングすると、電解液の変質による電導度の低下等、コンデンサ完成品としての諸特性が劣化する原因になっていた。
【0011】
これに対して、コンデンサ素子内に導電性ポリマー層を形成した固体電解コンデンサのエージングにおいては、前記電解液の場合とは異なる機構(陽極化成箔の損傷箇所に局所的な電流が流れて発熱することによる導電性ポリマーの局所的な絶縁化等)によって陽極化成箔の損傷が修復されるため、100℃前後でのエージング処理では十分な修復効果が得られなかったが、本願発明者は、エージング処理を行う際の環境温度を約130℃以上にすれば前記修復効果が著しく向上することを見出した。
【0012】
導電性ポリマーは耐熱性を有するため、そのことがエージング処理に高温を要する一因にもなっていたが、逆に、約130℃〜約180℃の高温でエージングしても導電性ポリマー層全体としての変質や電導度の低下等は起こらず、コンデンサ完成品としての諸特性が劣化することもない。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に従って固体電解コンデンサを製造するには、まず、図1に示すようなコンデンサ素子7を準備する。
【0014】
このコンデンサ素子7は、陽極化成箔1と対向陰極箔2とをセパレータ3を介して巻き取ることにより作製される。陽極化成箔1及び対向陰極箔2からは、陽極リードボス61及び陰極リードボス62を介して、陽極リード端子51及び陰極リード端子52がそれぞれ引き出されている。4は巻き止めテープである。
【0015】
陽極化成箔1は、アルミニウム等の弁作用金属からなる箔に、粗面化のためのエッチング処理を施した後、化成処理(電解酸化処理)を施して化成皮膜(誘電体皮膜)を形成したものである。
【0016】
必要に応じて、前記コンデンサ素子には、セパレータを構成する繊維組織の隙間を拡げて後工程での化学重合液の浸透性を向上させることを目的とした第1の熱処理が施される。
【0017】
この熱処理は、コンデンサ素子7を乾燥雰囲気中で約150℃〜約300℃に昇温し、数十分間保持するものである。
【0018】
前記コンデンサ素子内に導電性ポリマー層を形成するに当たっては、酸化重合により導電性ポリマーとなるモノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン:34wt%と、酸化剤としてのパラトルエンスルホン酸鉄(III):26wt%と、希釈剤としてのn−ブチルアルコール:40wt%とを含有する化学重合液を準備する。
【0019】
そして、該化学重合液に前記コンデンサ素子を浸漬した後、必要に応じて第2の熱処理を施すことにより、コンデンサ素子内の陽極化成箔及び対向陰極箔に密着した3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマー層が形成される。
【0020】
この熱処理は、導電性ポリマー層の形成を促進すると共に、該導電性ポリマー層から発生する可能性のあるガスを放出させ尽くすこと等を目的とするものであり、前記化学重合液に浸漬した後のコンデンサ素子を、約200℃〜約300℃に昇温して数分間保持するものである。
【0021】
導電性ポリマー層を形成したコンデンサ素子7は、図2に示すように、リードタブ部61、62にゴムパッキング9を装着して有底筒状のアルミニウム製外装ケース8に収納され、その開口部に横絞り加工及びカール加工が施された後、定格電圧を印加しながら数十分〜数時間のエージング処理が施されて、コンデンサ完成品となる。
【0022】
本発明実施例においては、上記エージング処理を行う際の環境温度を約130〜約180℃とすることを特徴とする。
【0023】
ここで、定格電圧4V、定格静電容量220μFを狙ったコンデンサ素子を用い、上記実施形態に従いながらエージング処理時の環境温度を変えた実施例1〜5及び従来例1の固体電解コンデンサについて、諸特性を測定した。その測定結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示した各実施例及び従来例のいずれにおいても、コンデンサ完成品の外形は、φ8.0mm×L6.9mmに仕上げた。又、表1におけるCは120Hzでの静電容量、tanδは120Hzでの損失角の正接、ESRは100kHzでの等価直列抵抗、LCは定格電圧を印加して60秒後の漏れ電流を意味しており、各特性値は、試料数各20個についての平均である。
【0026】
表1を見ればわかるように、エージング温度の上昇に伴い、従来例1(エージング温度=125℃)と実施例1(エージング温度=135℃)との間(中央値で代表させることにすれば、エージング温度=約130℃)でLCが著しく低減しており、実施例1から5まで、エージング温度が高くなるに従ってLCが徐々に低減している。これに対して、C、tanδ及びESRに関しては、従来例1と実施例1〜5で殆ど差がない。
【0027】
尚、表1を見る限りにおいては、更に高い温度でエージングすれば更にLCが低減し、導電性ポリマーの耐熱性から考えて、C、tanδ、ESR等の特性も劣化しないことが予測されるが、
約180℃を超える温度でエージングすると、外装ケースの表面を被覆する樹脂層の変色、リード端子の酸化等、外観上の問題が発生する。
【0028】
上記実施例においては、導電性ポリマー層形成の出発物質として3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いたが、その代わりに、ピロール、チオフェン、フラン、アニリン及びそれらの誘導体等、酸化重合により導電性ポリマーとなる各種モノマーを用いてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、陽極化成箔と対向陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子内に導電性ポリマー層を形成し、該コンデンサ素子を外装ケースに収納した後、所定の電圧を印加しながらエージング処理を施した固体電解コンデンサにおいて、
導電性ポリマーを陰極材として用いることによる低ESR特性を確保しながら、漏れ電流を著しく低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例において用いられるコンデンサ素子の分解斜視図である。
【図2】本発明実施例による固体電解コンデンサの断面図である。
【符号の説明】
1 陽極化成箔
2 対向陰極箔
3 セパレータ
4 巻き止めテープ
51 陽極リード端子
52 陰極リード端子
61 陽極リードボス
62 陰極リードボス
7 コンデンサ素子
8 外装ケース
9 ゴムパッキング
Claims (1)
- 陽極化成箔と対向陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子内に導電性ポリマー層を形成し、該コンデンサ素子を外装ケースに収納した後、所定の電圧を印加しながらエージング処理を施した固体電解コンデンサの製造方法において、
前記導電性ポリマー層は、3,4−エチレンジオキシチオフェンを酸化重合させたポリマーであって、
前記エージング処理は、その環境温度を、130〜180℃として、少なくとも1時間定格電圧を印加しながら行なうことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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