JP3850390B2 - X線検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線検査装置、特に、複数の素子から構成されX線源からのX線を受光するX線受光部を備えたX線検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品などの商品の生産ラインにおいては、商品への異物混入や商品の割れ欠けがある場合にそのような商品を出荷しないために、X線検査装置により検査が為されることがある。このX線検査装置では、連続搬送されてくる検体に対してX線を照射し、そのX線の透過状態をX線受光部で検出して、検体中に異物が混入していないか、あるいは検体に割れ欠けが生じていたり検体内の単位内容物の数量が不足していたりしないかを判別する。また、X線検査装置によって、検体内の単位内容物の数量を数える検査が行われることもある。
【0003】
このようなX線検査装置として、例えば特許文献1に示すようなものが提案されている。ここに開示されているX線検査装置では、X線ラインセンサ(X線受光部)の寿命を検出もしくは推定して早めに警告を出し、使用者に交換を促す。これにより、X線検査の作業を長期にわたって休止せざるを得ない状況の発生を回避するようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−148211号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1のX線検査装置であっても、予測よりも短寿命で不意にX線ラインセンサが故障した場合には、X線検査の作業を長く休止することになる。予測よりも短寿命でX線ラインセンサが故障した場合、その故障は、X線ラインセンサを構成する多くの素子の大半が寿命を迎えたわけではなく、一部の素子が壊れることであるケースが多いと思われる。このように一部の素子が壊れたケースであっても、その素子に対応する部分の画像データが検体の検査を妨げるため、従来においてはX線ラインセンサを交換するまではX線検査装置が作動しなくなっている。
【0006】
本発明の課題は、複数の素子から構成されるX線受光部の一部の素子が使用に適さなくなった(故障した)ときにX線受光部を交換するまで検査ができなくなることを回避可能なX線検査装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るX線検査装置は、X線を照射するX線源と、X線受光部と、画像処理部と、検査部と、素子状態判断部と、入力部とを備えている。X線受光部は、複数の素子から構成されており、X線源からのX線を受光する。画像処理部は、X線受光部で受光したX線を画像処理する。検査部は、画像処理部で処理された画像に基づき、X線源とX線受光部との間を通る検体を検査する。素子状態判断部は、X線受光部の複数の素子それぞれについて、使用に適した状態か否かを判断する。制御部は、素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が少なくとも1つある第1状態になったときに、運転中止および運転続行の何れかを行う。入力部は、第1状態になったときに制御部に運転中止を行わせるか運転続行を行わせるか、について入力を受けつける。そして、制御部は、第1状態になっており且つ素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が所定数以上連続して並ぶ場合には、入力部による入力内容に関わらず運転停止を行う。さらに、制御部は、第1状態になっており且つ素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が所定数以上連続して並んでいない場合には、入力部による入力内容に従って運転を行う。
【0008】
ここでは、X線源からのX線は、検体が存在するときには検体を透過して、それ以外のときには直接、X線受光部に届く。このX線を受光したX線受光部の各素子の情報を受け、画像処理部が画像処理を行う。ここで画像処理された画像に基づき、検査部が、検体の内部に異物が混入していないか、検体の形状が異常でないか、あるいは検体中の単位内容物の数量が正常かといった検査を行う。
【0009】
そして、ここでは、複数の素子の少なくとも1つが使用に適した状態でない不適素子であると素子状態判断部が判断した場合に、すなわちX線受光部の一部の素子が使えなくなったときに、使用者の入力に基づいて運転中止か運転続行かをさせることができるようになっている。従来では、一部でも素子が使えなくなればX線受光部を交換するまで運転ができないのに対し、本発明のX線検査装置では、運転続行の入力をすることができ、X線受光部を交換するまでのあいだ検査ができなくなってしまうことを回避できる。
【0010】
ところで、本願発明者によるX線検査装置の試験により、連続する不適素子の数が少なければ、例えば1つであれば、運転続行をさせても検査の精度が許容できるレベルに入ることが確認されている。しかし、連続して所定数以上の素子が不適素子になると、代替データで補完するなどの対策を採っても検査の精度が十分に確保できなくなってしまう。
【0011】
このような知見に基づき、ここでは、X線検査装置の管理者や使用者などが望んだとしても、不適素子が所定数以上連続して並ぶ部分がX線受信部に存在する場合には、運転続行をさせないこととしている。これにより、検査の精度が確保されない状態でX線検査が継続されてしまうという不具合が抑えられる。
【0012】
請求項2に係るX線検査装置は、X線を照射するX線源と、X線受光部と、画像処理部と、検査部と、素子状態判断部と、入力部とを備えている。X線受光部は、複数の素子から構成されており、X線源からのX線を受光する。画像処理部は、X線受光部で受光したX線を画像処理する。検査部は、画像処理部で処理された画像に基づき、X線源とX線受光部との間を通る検体を検査する。素子状態判断部は、X線受光部の複数の素子それぞれについて、使用に適した状態か否かを判断する。制御部は、素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が少なくとも1つある第1状態になったときに、運転中止および運転続行の何れかを行う。入力部は、第1状態になったときに制御部に運転中止を行わせるか運転続行を行わせるか、について入力を受けつける。また、検査部は、入力に基づいて制御部が運転続行をさせ、素子状態判断部が複数の素子の少なくとも1つが不適素子であると判断した後に運転が続行されている状態において、素子状態判断部が複数の素子の全てを不適素子ではないと判断している場合に較べて厳しい基準で検体を検査する。
【0013】
ここでは、X線源からのX線は、検体が存在するときには検体を透過して、それ以外のときには直接、X線受光部に届く。このX線を受光したX線受光部の各素子の情報を受け、画像処理部が画像処理を行う。ここで画像処理された画像に基づき、検査部が、検体の内部に異物が混入していないか、検体の形状が異常でないか、あるいは検体中の単位内容物の数量が正常かといった検査を行う。
【0014】
そして、ここでは、複数の素子の少なくとも1つが使用に適した状態でない不適素子であると素子状態判断部が判断した場合に、すなわちX線受光部の一部の素子が使えなくなったときに、使用者の入力に基づいて運転中止か運転続行かをさせることができるようになっている。従来では、一部でも素子が使えなくなればX線受光部を交換するまで運転ができないのに対し、本発明のX線検査装置では、運転続行の入力をすることができ、X線受光部を交換するまでのあいだ検査ができなくなってしまうことを回避できる。
【0015】
ところで、複数の素子の少なくとも1つが使用に適した状態でない不適素子である場合には、運転続行はできても、不適素子が全くない場合に較べ、検査で異常と判断されるべき検体が誤って正常と判断される可能性が若干高くなってしまうことも想定される。このようなことを考慮して、ここでは、不適素子が全くない場合に較べて、不適素子であると判断した後に運転が続行されている場合の検査の基準を厳しく設定している。これにより、本来は正常と判断されるべき検体に異常という検査結果が出てしまうデメリットは生じると考えられるが、本来異常と判断されるべき検体が正常と判断されるケースが低減し、異常がある検体を見抜けないという不具合を抑えることができる。
【0016】
なお、厳しい基準で検体を検査するとは、例えば検体内に混入している異物をX線検査でチェックする場合においては、X線画像における陰影の濃淡が比較的淡く通常であれば異物であると判断しないようなときにも、それを異物と判断して検体を不良とすることである。
【0017】
請求項3に係るX線検査装置は、X線を照射するX線源と、X線受光部と、画像処理部と、検査部と、素子状態判断部と、入力部とを備えている。X線受光部は、複数の素子から構成されており、X線源からのX線を受光する。画像処理部は、X線受光部で受光したX線を画像処理する。検査部は、画像処理部で処理された画像に基づき、X線源とX線受光部との間を通る検体を検査する。素子状態判断部は、X線受光部の複数の素子それぞれについて、使用に適した状態か否かを判断する。制御部は、素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が少なくとも1つある第1状態になったときに、運転中止および運転続行の何れかを行う。入力部は、第1状態になったときに制御部に運転中止を行わせるか運転続行を行わせるか、について入力を受けつける。また、検査部は、入力に基づいて制御部が運転続行をさせ、素子状態判断部が複数の素子の少なくとも1つが不適素子であると判断した後に運転が続行されている状態において、画像処理部で処理された画像のうち不適素子の近傍の第1部分に対しては第1基準により検体を検査し、画像処理部で処理された画像のうち第1部分以外の第2部分に対しては第2基準により検体を検査する。第1基準は、第2基準よりも厳しい検査基準である。
【0018】
ここでは、X線源からのX線は、検体が存在するときには検体を透過して、それ以外のときには直接、X線受光部に届く。このX線を受光したX線受光部の各素子の情報を受け、画像処理部が画像処理を行う。ここで画像処理された画像に基づき、検査部が、検体の内部に異物が混入していないか、検体の形状が異常でないか、あるいは検体中の単位内容物の数量が正常かといった検査を行う。
【0019】
そして、ここでは、複数の素子の少なくとも1つが使用に適した状態でない不適素子であると素子状態判断部が判断した場合に、すなわちX線受光部の一部の素子が使えなくなったときに、使用者の入力に基づいて運転中止か運転続行かをさせることができるようになっている。従来では、一部でも素子が使えなくなればX線受光部を交換するまで運転ができないのに対し、本発明のX線検査装置では、運転続行の入力をすることができ、X線受光部を交換するまでのあいだ検査ができなくなってしまうことを回避できる。
【0020】
ところで、複数の素子の少なくとも1つが使用に適した状態でない不適素子である場合には、運転続行はできても、不適素子が全くない場合に較べ、検査で異常と判断されるべき検体が誤って正常と判断される可能性が高くなってしまうことも考えられる。特に、不適素子の近傍の部分においては画像の正確性が落ちるため、検体の異常を正しく検査部が認識できない恐れもある。
【0021】
これに鑑み、ここでは、画像の不適素子の近傍の第1部分に対しては第1基準により、画像のうち第1部分以外の第2部分に対しては第2基準により検体を検査することとし、第1基準を第2基準よりも厳しいものとしている。これにより、本来は正常と判断されるべき検体に異常という検査結果が出るデメリットは生じてしまうと考えられるが、本来異常と判断されるべき検体が正常と判断されるケースが低減し、異常がある検体を見抜けないという不具合を抑えることができる。
【0022】
なお、第1基準が第2基準よりも厳しいとは、例えば検体内に混入している異物をX線検査でチェックする場合においては、X線画像における陰影の濃淡が比較的淡く第2基準であれば異物であると判断しないようなときにも、第2基準ではそれを異物と判断して検体を不良とすることである。
【0023】
請求項4に係るX線検査装置は、請求項1から3のいずれかに記載のX線検査装置であって、表示部と、記憶部と、運転続行明示部とをさらに備えている。表示部は、画像処理部で処理された検体の画像および検査部における検体の検査結果のうちの少なくとも一方である検体情報を表示する。記憶部は、画像処理部で処理された検体の画像および検査部における検体の検査結果のうちの少なくとも一方である検体情報を記憶する。運転続行明示部は、入力に基づいて制御部が運転続行をさせ、素子状態判断部が複数の素子の少なくとも1つが不適素子であると判断した後に運転が続行されている状態において、不適素子が存在する状態で運転が続行されていることを、検体情報とともに表示部に表示する又は検体情報とともに記憶部に記憶する。
【0024】
ここでは、不適素子が存在するにもかかわらず運転続行を選んだ場合において、そのことが検査の結果を示す検体情報に付属する形で表示部に表示されたり記憶部に記憶されたりする。このため、X線検査装置の管理者や使用者などは、検査中に表示部を見たり検査後に記憶部にある情報を呼び出して見たりするときに、その検査に関する検体情報が不適素子の存在する状態で運転続行しているときのものだということを容易に確認することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係るX線検査装置の外観を、図1に示す。このX線検査装置10は、食品等の商品の生産ラインにおいて品質検査を行う装置の1つであって、連続的に搬送されてくる商品に対してX線を照射して、商品を透過したX線量を基に商品の不良判断を行う装置である。
【0026】
X線検査装置10の検体である商品Gは、図4に示すように、前段コンベア60によりX線検査装置10に運ばれてくる。商品Gは、X線検査装置10において異物混入の有無が判断される。このX線検査装置10での判断結果は、X線検査装置10の下流側に配置される振分機構70に送られる。振分機構70は、商品GがX線検査装置10において良品と判断された場合には商品Gを正規のラインコンベア80へと送り、商品GがX線検査装置10において不良品と判断された場合には商品Gを不良品貯留コンベア90へと振り分ける。
【0027】
<X線検査装置の構成>
X線検査装置10は、図1及び図2に示すように、主として、シールドボックス11と、コンベア12と、X線照射器(X線源)13と、X線ラインセンサ(X線受光部)14と、タッチパネル機能付きのモニタ30と、制御コンピュータ20(図5参照)とから構成されている。
【0028】
〔シールドボックス〕
シールドボックス11は、両側面に、商品を搬出入するための開口11aを有している。このシールドボックス11の中に、コンベア12、X線照射器13、X線ラインセンサ14、制御コンピュータ20などが収容されている。
【0029】
なお、図1には図示していないが、開口11aは、シールドボックス11の外部へのX線の漏洩を抑えるための遮蔽ノレンにより塞がれている。この遮蔽ノレンは、鉛を含むゴムから成形されるもので、商品が搬出入されるときには商品により押しのけられる。
【0030】
また、シールドボックス11の正面上部には、モニタ30の他、キーの差し込み口や電源スイッチが配置されている。
【0031】
〔コンベア〕
コンベア12は、シールドボックス11内において商品を搬送するものであり、図5に示すコンベアモータ12aにより駆動する。コンベア12による搬送速度は、使用者が入力した設定速度になるように、制御コンピュータ20によるコンベアモータ12aのインバータ制御によって細かく制御される。
【0032】
〔X線照射器〕
X線照射器13は、図2に示すように、コンベア12の上方に配置されており、下方のX線ラインセンサに向けて扇状のX線(図2の斜線範囲Xを参照)を照射する。
【0033】
〔X線ラインセンサ〕
X線ラインセンサ14は、コンベア12の下方に配置されており、商品Gやコンベア12を透過してくるX線を検出する。このX線ラインセンサ14は、図3に示すように、多くの画素101,102,103,・・・,121〜127,・・・を有している。これらの画素101等は、コンベア12による搬送方向に直交する向きに一直線に配置されており、配設ピッチが0.4mmである。
【0034】
このX線ラインセンサ14として、ここでは、フォトダイオードアレイ(PDA)が使用されている。フォトダイオードアレイでは、画素ごとにオフセットと感度とが異なっている。
【0035】
〔LCDモニタ〕
モニタ30は、フルドット表示の液晶ディスプレイである。また、モニタ30は、タッチパネル機能を有しており、初期設定や不良判断に関するパラメータ入力などを促す画面の表示も行う。
【0036】
〔制御コンピュータ〕
制御コンピュータ20は、CPU21において、制御プログラムに含まれる画素故障判断処理ルーチン27、画像処理ルーチン28、検査判定処理ルーチン29、検査結果付記処理ルーチン51、画像付記処理ルーチン52などを実行し、X線検査中の判定画像や検査結果の表示を行わせる。また、制御コンピュータ20は、HDD25等の記憶部に、不良商品について判定に使った画像や検査結果を保存蓄積する。各ルーチンの詳細については後述する。
【0037】
具体的な構成として、制御コンピュータ20は、図5に示すように、CPU21を搭載するとともに、このCPU21が制御する主記憶部としてROM22、RAM23、及びHDD(ハードディスク)25を搭載している。HDD25には、しきい値ファイル25aや検査結果ログファイル25bなどが収納されている。また、制御コンピュータ20は、フレキシブルディスクとの入出力を行うFDD(フレキシブルディスクドライブ)24も有している。
【0038】
さらに、制御コンピュータ20は、モニタ30に対するデータ表示を制御する表示制御回路、モニタ30のタッチパネルからのキー入力データを取り込むキー入力回路、図示しないプリンタにおけるデータ印字の制御等を行うためのI/Oポート等を備えている。
【0039】
そして、CPU21、ROM22、RAM23、FDD24、HDD25などは、アドレスバス,データバス等のバスラインを介して相互に接続されている。
【0040】
また、制御コンピュータ20は、コンベアモータ12a、ロータリエンコーダ12b、光電センサ15、X線照射器13、X線ラインセンサ14等と接続されている。
【0041】
ロータリエンコーダ12bは、コンベアモータ12aに装着され、コンベア12の搬送速度を検知して制御コンピュータ20に送る。
【0042】
光電センサ15は、検体である商品GがX線ラインセンサ14の位置にくるタイミングを検知するための同期センサであり、コンベアを挟んで配置される一対の投光器及び受光器から構成されている。
【0043】
<制御コンピュータによる商品不良の判断>
〔X線画像作成〕
制御コンピュータ20のCPU21で実行される画像処理ルーチン28は、光電センサ15からの信号を受けて、商品Gが扇状のX線照射部(図2参照)を通過するときに、X線ラインセンサ14によるX線透視像信号(図3参照)を細かい時間間隔で取得して、それらのX線透視像信号を基にして商品GのX線画像を作成する。すなわち、X線ラインセンサ14の各画素101等から細かい時間間隔をあけて各時刻のデータを得て、それらのデータから2次元画像が作成される。この2次元画像は、例えば図8に示す画像201である。
【0044】
〔商品不良判断〕
そして、制御コンピュータ20は、得られたX線画像を画像処理して、複数の判断方式によって商品の良・不良を判断する。判断方式には、例えば、トレース検出方式、2値化検出方式、マスク2値化検出方式などがある。これらの判断方式で判断した結果、1つでも不良と判断するものがあれば、その商品Gは不良品と判断される。
【0045】
トレース検出方式及び2値化検出方式は、画像のマスクされていない領域に対して判断を行う。一方、マスク2値化方式は、画像のマスクされている領域に対して判断を行う。マスクは、商品Gの容器部分などに対して設定される。
【0046】
トレース検出方式は、被検出物の大まかな厚さに沿って基準レベル(しきい値)を設定し、像がそれよりも暗くなったときに商品G内に異物が混入していると判断する方式である。この方式では、比較的小さな異物を検出することができる。
【0047】
2値化検出方式及びマスク2値化方式は、一定の明るさに基準レベルを設定し、像がそれよりも暗くなったときに商品G内に異物が混入していると判断する方式である。この2値化検出方式は、比較的大きい異物を検出するために設定されている。
【0048】
各判断方式における基準レベルやマスク領域については、モニタ30のタッチパネル機能を使った使用者からの入力によって、設定及び変更が為される。
【0049】
〔表示制御〕
制御コンピュータ20は、通常の検査が行われているときには、得られた商品GのX線画像及び各判断方式による判断に関する情報をモニタ30に表示させる。また、初期設定時やテスト時には、商品の特定や検査パラメータの入力画面などをモニタ30に表示させる。
【0050】
〔記憶制御〕
制御コンピュータ20は、通常の検査中においては、不良商品のX線画像及び各判断方式による判断に関する情報を、HDD25の検査結果ログファイル25bに保存蓄積する。また、テスト時には、テストピースの全ての検査結果をHDD25の検査結果ログファイル25bに保存蓄積する。
【0051】
<一部の画素が故障しているときの制御コンピュータによる制御>
次に、X線ラインセンサ14の一部の画素が故障したときの制御コンピュータ20の挙動について説明する。
【0052】
〔電源投入時〕
X線検査装置10の電源投入時には、制御コンピュータ20がX線の検出レベルの診断テスト(キャリブレーション)を行う。この診断テストでは、X線照射器13からX線を照射していない状態においてX線ラインセンサ14の検出レベル(ダークレベル)を測定するダークレベル測定と、コンベア12に何も載せない状態でX線照射器13からX線を照射してX線ラインセンサ14の検出レベル(ブライトレベル)を測定するブライトレベル測定とが行われる。また、ブライトレベルとダークレベルとの差も演算される。
【0053】
このような診断テストの結果を用いて、制御コンピュータ20の画素故障判断処理ルーチン27は、X線ラインセンサ14のそれぞれの画素101等について、正常であるか故障しているかを判断する。具体的には、注目画素の信号振幅が両隣の振幅の3分の1以下または1.5倍以上であること、信号振幅を何度か測定すると信号振幅が5%以上ゆらぐこと、あるいは信号振幅が前回X線検査装置10を使用したときと較べて10%以上差があることが検知されれば、その注目画素を故障していると判断する。
【0054】
そして、画素故障判断処理ルーチン27は、使用に適しない故障画素が存在する場合には、図6に示すウィンドウ41をモニタ30に表示させる。ウィンドウ41では、X線検査装置10の使用者に対して故障画素が存在することを通知し、運転を中止するか続行するかを選択入力させる。ここで運転中止ボタン41aが押されれば、X線ラインセンサ14を交換するまではX線検査装置10でのX線検査ができなくなる。一方、ここで運転続行ボタン41bが押されれば、制御コンピュータ20は、故障画素の位置情報などをRAM23に書き込み、その情報を生かしながらX線検査の制御を行う。
【0055】
但し、ウィンドウ41で運転続行ボタン41bが押された場合であっても、画素故障判断処理ルーチン27が故障していると判断した画素が3つ以上あり且つそれらの画素が連続して並んでいる場合には、運転続行を受けつけない。このときには、故障画素の数およびその配置から正常なX線検査が困難で運転続行ができない旨をモニタ30に表示し、X線ラインセンサ14の交換の必要性をX線検査装置10の使用者に通知する。
【0056】
〔画像処理時〕
故障画素が存在するときには、制御コンピュータ20の画像処理ルーチン28は、各画素101等からの各時刻でのX線透視像信号を基にしてX線画像を作成する際に、故障画素に対応するデータの修復処理を行う。
【0057】
この修復処理について、図7に示す模式図を参照して説明を行う。
【0058】
ここでは、画素121〜123,125〜127が正常画素であり、画素124が故障画素であると想定する。これらの画素121〜127が各時刻において出力したX線透視像信号による画素データをXY座標上に2次元に配列したものを、図7の下部に示す。画素124が故障しているため、これらのうちX座標が4である7つのデータが修復を必要とする不適データである。このうち、不適データ(4,4)を例にとって、修復の方法について説明する。
【0059】
基本的には、不適データ(4,4)の周囲にある正常画素121〜123,125〜127による正常データから、不適データ(4,4)に置き換わる推定値(代替データ)を算出する。具体的には、ここでは、不適データ(4,4)を中心として放射状に並ぶ連続した正常データ群A,B,C,D,E,Fそれぞれから仮代替データを決定し、それら6つの仮代替データの平均値あるいは中間値を最終代替データとして、不適データ(4,4)に置き換えるものとする。
【0060】
より詳細に説明すると、正常データ群A,B,C,D,E,Fは、それぞれ、3つの正常データから構成されている。正常データ群Aは、正常データ(1,1)、(2,2)、(3,3)から、正常データ群Bは、正常データ(1,4)、(2,4)、(3,4)から、正常データ群Cは、正常データ(1,7)、(2,6)、(3,5)から、正常データ群Dは、正常データ(7,1)、(6,2)、(5,3)から、正常データ群Eは、正常データ(7,4)、(6,4)、(5,4)から、正常データ群Fは、正常データ(7,7)、(6,6)、(5,5)から、それぞれ構成されている。各正常データ群A,B,C,D,E,Fから仮代替データを求める際には、不適データ(4,4)に近づくにしたがって正常データの数値がどのように推移しているのかという傾斜も考慮に入れた計算を行う。正常データ(1,4)、(2,4)、(3,4)から成る正常データ群Bを例にとると、それらの正常データから2次までのテイラー展開で仮代替データD2を求める場合、次式のようになる。
【0061】
【数1】
具体的には、次式により演算することができる。
【0062】
【数2】
同様にして、正常データ群Aから仮代替データD1を、正常データ群Cから仮代替データD3を、正常データ群Dから仮代替データD4を、正常データ群Eから仮代替データD5を、正常データ群Fから仮代替データD6を求めると、次式によって最終代替データg(x,y)が仮代替データD1,D2,D3,D4,D5,D6の平均値として求まる。
【0063】
【数3】
このようにして求まった最終代替データg(x,y)を故障画素に対応する不適データの代わりとすれば、X線画像を修復することができる。
【0064】
〔検査判定処理時〕
上記のように、故障画素に対応する不適データがある場合にも制御コンピュータ20の画像処理ルーチン28がX線画像を修復するので、故障画素の有無にかかわらず同じ基準でX線検査を行うことは不可能ではない。
【0065】
しかし、ここでは、故障画素の存在により万が一にも不良商品が誤って正常と判定されてしまうことを防止するために、制御コンピュータ20の検査判定処理ルーチン29は、故障画素が存在するにもかかわらす図6に示すウィンドウ41で運転続行ボタン41bが押されてX線検査を続行している場合に、通常の基準(第2基準)よりも厳しい基準(第1基準)で商品を検査判定する。具体的には、X線画像における異物と疑われるものの陰影の濃淡が比較的淡く通常であれば異物であると判定しないようなときにも、それを異物と判定して商品を不良と認定する。
【0066】
〔モニタ表示処理時および検査結果保存時〕
制御コンピュータ20は、X線検査中の判定画像や検査結果のモニタ30への表示を制御するとともに、不良商品について判定に使った画像や検査結果をHDD25等の記憶部に保存蓄積するが、故障画素が存在する場合には、モニタ30への表示やHDD25等への保存の前に、故障画素がありながらX線検査を続行していることを検査結果に付け足し、故障画素がある旨を画像に付加する。
【0067】
制御コンピュータ20の検査結果付記処理ルーチン51は、故障画素があるときに、X線検査中においてモニタ30に目立つように「故障画素あり」という文字を表示させるとともに、図17に示すようにモニタ30に表示するX線画像301の左上部分に故障画素の数を示す文字表記を付ける。また、検査結果付記処理ルーチン51は、故障画素の存在を示すフラグを立てて、不良商品の検査結果をHDD25等に保存する。このようにしなければ、修復されたX線画像を見ても故障画素の有無を判断できないことが多いからである。但し、修復前のX線画像をHDD25等に保存する場合には、一目で故障画素の存在を把握できることが多いので、X線画像に故障画素の存在を示す文字表記は必須ではない。
【0068】
さらに、制御コンピュータ20の画像付記処理ルーチン52は、画像処理において故障画素に対応する不適データを代替データに置き替えたときには、修復後のX線画像に故障画素の位置を示す印312,313を付け加える(図17参照)。これも、修復前のX線画像をHDD25等に保存したりモニタ30に表示したりする場合には、一目で故障画素の存在を把握できることが多いので、必須ではない。
【0069】
<X線検査装置の主な特徴>
(1)
従来から、X線検査装置において、X線ラインセンサの1画素あるいは数画素が故障して信号が取り出せなくなることはしばしばある。このようなときに、従来のX線検査装置では、モニタ等により故障したことをオペレータに通知し、X線検査を行うことができない状態にしている。すなわち、従来のX線検査装置は、1画素あるいは数画素が故障するとX線ラインセンサを交換するまでは使用不能になる。
【0070】
これに対し、本装置10では、複数の画素101等の少なくとも1つが故障して使用に適した状態でない故障画素になっていると画素故障判断処理ルーチン27で判断された場合に、モニタ30に図6に示すウィンドウ41が表示され、X線検査装置10の使用者に対して故障画素が存在することを通知するとともに、運転を中止するか続行するかを選択入力できるようにしている。したがって、X線検査装置10の使用者は、タッチパネル式のモニタ30から運転中止か運転続行かを選ぶことができる。そして、運転続行を選べば、基本的には、X線検査装置10によるX線検査を続行させることができる。このように、本装置10では、3つ以上の連続した画素が故障しない限り、1〜数個の画素が故障した場合においても、X線ラインセンサ14を交換するまでの間、商品のX線検査を続行することができる。
【0071】
なお、X線検査の精度を確保するために、ここでは、故障画素に対応する不適データを単に排除してしまうのではなく、正常画素に対応する正常データから推定した代替データによって不適データを置き換えている。これにより、X線検査の精度の劣化が小さくなっている。
【0072】
(2)
本装置10では、制御コンピュータ20の画像処理ルーチン28が、各画素101等からの各時刻でのX線透視像信号を基にしてX線画像を作成する際に、故障画素に対応する不適データの修復処理を行う。そして、修復処理における故障画素に対応する不適データの代替データの推定において、まず複数の正常データ群A,B,C,D,E,Fそれぞれから仮代替データD1,D2,D3,D4,D5,D6を決定し、それらの仮代替データD1,D2,D3,D4,D5,D6を平均して最終代替データg(x,y)を求めている。このように、不適データに近づくにしたがって正常データの数値がどのような推移をしているのかという傾斜も考慮に入れた計算を行っているため、それぞれの仮代替データD1,D2,D3,D4,D5,D6が不適切な値に推定される可能性が非常に小さい。そして、さらに複数の仮代替データD1,D2,D3,D4,D5,D6から最終代替データg(x,y)を求めているため、修復処理後のX線画像に基づく商品への異物混入の判定が故障画素の存在しない場合とほぼ同様に高い精度で行われるようになっている。
【0073】
このような上記の修復処理について、以下に示すような検証を行った。
【0074】
図8は、箱に入ったレトルトカレーが商品であり且つ内部に大小2つの異物F1,F2が混入している場合の商品のオリジナルのX線画像を示す。異物F1は、0.4mm×1.0mm程度の大きさのステンレス鋼であり、異物F2は、2mm角程度の大きさの塩化ビニルである。そして、この図8における異物混入部分の拡大図IXを、図9に示す。図9に示す拡大画像202において、異物F1,F2は、それぞれ他の部分よりも濃く映っている。図9の下部のグラフ203は、各画素のデータの変化を表している。図8および図9は、全ての画素が正常であるときの画像である。
【0075】
次に、2つの異物F1,F2の画像上最も暗い部分にある画素が故障していると仮定した場合の画像処理について検証を行う。図10,図12,図14では、故障画素による不適データが映像として真っ暗に映ると仮定している。
【0076】
図10は、白抜き矢印A11で示す異物F1の中心付近の部分のデータが1つの画素の故障により黒くなり、白抜き矢印A12で示す異物F2の中心付近の部分のデータが1つの画素の故障により黒くなったときの画像212を示す。この画像212における故障画素の不適データを上記の数式による代替データに置き換えた画像212aを、図11に示す。画像212aでは、異物F1,F2それぞれについて、サイズもコントラストも良く修復・再現されている。この再現のレベルは、後述する変形例(A)の数式で故障画素の不適データを代替データに置き換えた場合に較べて高くなっている。図11の下部のグラフ213に示す異物F1,F2の位置でのデータの変化も、概ね故障画素がない場合のもの(図9の下部のグラフ203参照)に近く、制御コンピュータ20の検査判定処理ルーチン29による検査判定処理に支障を来すものではない。
【0077】
図12は、白抜き矢印A21で示す異物F1の中心付近の部分のデータが連続する2つの画素の故障により黒くなり、白抜き矢印A22で示す異物F2の中心付近の部分のデータが連続する2つの画素の故障により黒くなったときの画像222を示す。この画像222における故障画素の不適データを上記の数式による代替データに置き換えた画像222aを、図13に示す。画像222aの生成では、画像212aのように6方向からの6つの仮代替データを基に最終代替データを算出するのではなく、正常なデータが得られる片側3方向からの3つの仮代替データを基に故障画素の不適データの代わりとなる代替データを算出する。しかし、この画像222aでも、異物F1,F2それぞれについて、サイズもコントラストも良く再現されている。図13の下部のグラフ223に示す画素のデータの変化も、故障画素がない場合のもの(図9の下部のグラフ203参照)に近く、制御コンピュータ20の検査判定処理ルーチン29による検査判定処理に支障を来すものではない。
【0078】
図14は、白抜き矢印A31で示す異物F1の中心付近の部分のデータが連続する3つの画素の故障により黒くなり、白抜き矢印A32で示す異物F2の中心付近の部分のデータが連続する3つの画素の故障により黒くなったときの画像232を示す。この画像232における故障画素の不適データを上記の数式による代替データに置き換えた画像232bを、図16に示す。画像232bの生成では、連続故障画素のうち中央の画素については両隣に正常データがないため、多段の修復処理を行う必要がある。すなわち、ここでは、連続故障画素の両端の画素のデータを正常なデータが得られる3方向からの3つの仮代替データを基に算出する。これにより、画像232から、まず図15に示す画像232aが得られる。そして、さらにこの画像232aを基に、連続故障画素のうち中央の画素についても代替データによる故障画素の不適データの置き換えを施し、最終的に図16に示す画像232bを得る。この画像232bでは、異物F2についてはかろうじて周りの部分から区別できる程度に再現できたものの、小さいほうの異物F1は修復・再現できていない。さらに、画像232bでは、故障画素の不適データがあった部分に修復の痕跡が見えている。したがって、画素のピッチ(ここでは0.4mm)や検出すべき異物のサイズ(異物F1が0.4mm×1.0mm、異物F2が2mm角)にもよるが、故障画素が3つ以上連続する場合には、異物が商品に混入していても制御コンピュータ20の検査判定処理で検出できなくなってしまう恐れが高くなる。
【0079】
このような検証に鑑み、本装置10では、図6に示すウィンドウ41で運転続行ボタン41bが押された場合であっても、画素故障判断処理ルーチン27が故障していると判断した画素が3つ以上あり且つそれらの画素が連続して並んでいる場合には、運転続行を受けつけないこととしている。
【0080】
(3)
本装置10では、故障画素が存在するにもかかわらず運転続行を選んだ場合において、そのことが検査結果に付属する形でモニタ30に表示され、HDD25等に記憶保存される。さらに、X線画像には、図17に示すように、故障画素の位置を示す印312,313が付け加わる。
【0081】
このため、X線検査装置10の管理者や使用者などは、検査中にモニタ30を見たり検査後にHDD25等にある不良商品の記録を呼び出して見たりするときに、その検査が故障画素の存在する状態で運転続行しているときのものだということを容易に確認することができる。
【0082】
(4)
本装置10では、故障画素が存在するにもかかわらず運転続行を選んだ場合に、制御コンピュータ20の画像処理ルーチン28で処理された商品のX線画像301に故障画素の位置を示す印312,313が付く(図17参照)。
【0083】
このため、この画像301を見る者は、故障画素の位置を把握して、故障画素が検査結果に悪い影響を与えていないか否かを判断することも可能になる。例えば、商品内に異物が混入している画像を見るときに、その異物の位置と故障画素との位置を見比べ、異物が故障画素の位置と近い位置にあれば検査結果を注意して確認するということが可能になる。
【0084】
(5)
故障画素が存在する場合、運転続行ができても、故障画素が全くない場合に較べ、制御コンピュータ20の検査判定処理ルーチン29による判定において異常と判断されるべき不良商品が誤って正常と判断される可能性が高くなることも考えられる。このようなことを考慮して、本装置10では、故障画素が全くない場合の通常の基準(第2基準)に較べて、故障画素が存在するときに運転を続行させている場合に用いるX線検査の基準(第1基準)を厳しく設定している。これにより、本来は正常と判断されるべき商品に異常という検査結果が出てしまうデメリットは生じると考えられるが、本来異常と判断されるべき商品が誤って正常と判断されるケースが低減する。
【0085】
<変形例>
(A)
上記実施形態では、制御コンピュータ20の画像処理ルーチン28は、正常データ群A,B,C,D,E,Fそれぞれから仮代替データD1,D2,D3,D4,D5,D6を求め、さらに6つの仮代替データD1,D2,D3,D4,D5,D6の平均値を取って最終代替データg(x,y)としている。
【0086】
これに代えて、故障画素に隣接する左右の正常画素の正常データの積を2で割り、それを故障画素の不適データの代わりとすることも可能である。図7に示す例でいえば、故障画素124の所定時刻の不適データ(4,4)を、左隣の正常画素123の同時刻の正常データ(3,4)と右隣の正常画素125の同時刻の正常データ(5,4)との平均値で置き換えてもよい。数式で表すと、置き換えのための代替データg(x,y)は、次のようになる。
【0087】
【数4】
このような簡易な置き換えを行った場合でも、故障画素が1つの場合には、かなり精度よくX線画像が修復・再現され、制御コンピュータ20の検査判定処理ルーチン29による検査判定処理も問題なく行うことができる。
【0088】
このような修復方法は、図18(a)に示すウェイトテンプレートP1をX線画像に重ね合わせて近傍の正常データの積和を計算して所定数で割っていることになる。
【0089】
さらに、もう少しきめ細やかに代替データを求めたい場合には、図18(b)に示すウェイトテンプレートP2をX線画像に重ね合わせて近傍の正常データの積和を計算して所定数で割るようにしてもよい。
【0090】
(B)
上記実施形態や上記変形例(A)では、故障画素の不適データを代替データで置き換えている。しかし、画素のピッチや検出すべき異物のサイズによっては、1つの画素が故障した程度のときならば故障画素の不適データを無視して制御コンピュータ20の検査判定処理ルーチン29による検査判定処理を行うことも可能である。
【0091】
(C)
上記実施形態では、制御コンピュータ20の検査判定処理ルーチン29は、故障画素が存在するにもかかわらす図6に示すウィンドウ41で運転続行ボタン41bが押されてX線検査を行っている場合に、修復されたX線画像の全部分について通常の基準(第2基準)よりも厳しい基準(第1基準)で商品を検査判定している。
【0092】
このように、故障画素が存在するときに一律に厳しい基準(第1基準)を用いるのではなく、X線画像のうち故障画素の近傍の部分に対しては厳しい第1基準により商品を検査判定し、それ以外の部分に対しては通常の第2基準により商品を検査判定するようにしてもよい。
【0093】
(D)
上記実施形態では、ウィンドウ41で運転続行ボタン41bが押された場合であっても、画素故障判断処理ルーチン27により故障していると判断された画素が3つ以上あって且つそれらの画素が連続して並んでいる場合には、運転続行を受けつけないことにしている。
【0094】
これに加えて、1つ飛ばしで連続して3つ以上の故障画素が存在する場合や、その他これに類する複数の故障画素が存在するときにも、運転続行を受けつけないようにすることが考えられる。運転続行を受けつけない条件については、画素のピッチや検出すべき異物のサイズを考慮して設定することが求められる。
【0095】
(E)
上記実施形態では、X線検査装置10の電源投入時に行われるX線の検出レベルの診断テストを利用して、制御コンピュータ20の画素故障判断処理ルーチン27が各画素101等について正常か故障かを判断している。
【0096】
これに加え、制御コンピュータ20の画素故障判断処理ルーチン27に、通常運転中において各画素101等の正常/故障を判断させることも可能である。例えば、運転中にいずれかの画素が故障すると検査対象である商品の大半が異物混入と判定されることになるため、このような現象を検知し、画素故障判断処理ルーチン27が、商品の非通過時における各画素101等のデータを用いて各画素101等の正常/故障を判断することが可能である。
【0097】
このように運転中に故障画素が発見された場合にも、制御コンピュータ20の画素故障判断処理ルーチン27は、図6に示すウィンドウ41をモニタ30に表示させ、X線検査装置10の使用者に対して故障画素が存在することを通知し、運転を中止するか続行するかを選択入力させればよい。
【0098】
【発明の効果】
本発明では、複数の素子の少なくとも1つが使用に適した状態でない不適素子であると素子状態判断部が判断した場合に、すなわちX線受光部の一部の素子が使えなくなったときに、使用者の入力に基づいて運転中止か運転続行かをさせることができる。従来では、一部でも素子が使えなくなればX線受光部を交換するまで運転ができないのに対し、本発明のX線検査装置では、運転続行の入力をすることができ、X線受光部を交換するまでのあいだ検査ができなくなってしまうことを回避できる。また、検査の精度が確保されない状態でX線検査が継続されてしまうという不具合や、異常がある検体を見抜けないという不具合が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るX線検査装置の外観斜視図。
【図2】 X線検査装置のシールドボックス内部の簡易構成図。
【図3】 X線検査の原理を示す模式図。
【図4】 X線検査装置の前後の構成を示す図。
【図5】 制御コンピュータのブロック構成図。
【図6】 故障画素の存在を通知し、運転中止か続行かを選択入力させるウィンドウ。
【図7】 X線画像の修復処理の方法を示す模式図。
【図8】 商品のオリジナルのX線画像の一例を示す図。
【図9】 図8のIX部分の拡大図。
【図10】 故障画素の修復処理の検証を説明するための図9に相当する図。
【図11】 故障画素の修復処理の検証を説明するための図9に相当する図。
【図12】 故障画素の修復処理の検証を説明するための図9に相当する図。
【図13】 故障画素の修復処理の検証を説明するための図9に相当する図。
【図14】 故障画素の修復処理の検証を説明するための図9に相当する図。
【図15】 故障画素の修復処理の検証を説明するための図9に相当する図。
【図16】 故障画素の修復処理の検証を説明するための図9に相当する図。
【図17】 故障画素位置および故障画素数を示す表示が付加されたX線画像。
【図18】 変形例におけるX線画像の修復処理に用いるウェイトテンプレートを示す図。
【符号の説明】
10 X線検査装置
13 X線照射器(X線源)
14 X線ラインセンサ(X線受光部)
20 制御コンピュータ
27 画素故障判断処理ルーチン(素子状態判断部;入力部)
28 画像処理ルーチン(画像処理部)
29 検査判定処理ルーチン(検査部)
30 モニタ(入力部)
51 検査結果付記処理ルーチン(運転続行明示部)
52 画像付記処理ルーチン(不適素子位置付加部)
101,102,103,・・・,121〜127,・・・ 画素
121〜123,125〜127 正常画素
124 故障画素

Claims (4)

  1. X線を照射するX線源と、
    複数の素子から構成され、前記X線源からのX線を受光するX線受光部と、
    前記X線受光部で受光したX線を画像処理する画像処理部と、
    前記画像処理部で処理された画像に基づき、前記X線源と前記X線受光部との間を通る検体を検査する検査部と、
    前記X線受光部の複数の素子それぞれについて使用に適した状態か否かを判断する素子状態判断部と、
    前記素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が少なくとも1つある第1状態になったときに、運転中止および運転続行の何れかを行う制御部と、
    前記第1状態になったときに前記制御部に運転中止を行わせるか運転続行を行わせるか、について入力を受けつける入力部と、
    を備え
    前記制御部は、
    前記第1状態になっており且つ前記素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が所定数以上連続して並ぶ場合には、前記入力部による入力内容に関わらず運転停止を行い、
    前記第1状態になっており且つ前記素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が所定数以上連続して並んでいない場合には、前記入力部による入力内容に従って運転を行う、
    X線検査装置。
  2. X線を照射するX線源と、
    複数の素子から構成され、前記X線源からのX線を受光するX線受光部と、
    前記X線受光部で受光したX線を画像処理する画像処理部と、
    前記画像処理部で処理された画像に基づき、前記X線源と前記X線受光部との間を通る検体を検査する検査部と、
    前記X線受光部の複数の素子それぞれについて使用に適した状態か否かを判断する素子状態判断部と、
    前記素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が少なくとも1つある第1状態になったときに、運転中止および運転続行の何れかを行う制御部と、
    前記第1状態になったときに前記制御部に運転中止を行わせるか運転続行を行わせるか、について入力を受けつける入力部と、
    を備え
    前記入力部において運転を続行することが入力され、前記素子状態判断部が前記複数の素子の少なくとも1つが前記不適素子であると判断した後に運転が続行されている状態において、前記検査部は、前記素子状態判断部が前記複数の素子の全てを前記不適素子ではないと判断している場合に較べて厳しい基準で前記検体を検査する、
    X線検査装置。
  3. X線を照射するX線源と、
    複数の素子から構成され、前記X線源からのX線を受光するX線受光部と、
    前記X線受光部で受光したX線を画像処理する画像処理部と、
    前記画像処理部で処理された画像に基づき、前記X線源と前記X線受光部との間を通る検体を検査する検査部と、
    前記X線受光部の複数の素子それぞれについて使用に適した状態か否かを判断する素子状態判断部と、
    前記素子状態判断部により使用に適した状態でないと判断された不適素子が少なくとも1つある第1状態になったときに、運転中止および運転続行の何れかを行う制御部と、
    前記第1状態になったときに前記制御部に運転中止を行わせるか運転続行を行わせるか、について入力を受けつける入力部と、
    を備え
    前記入力部において運転を続行することが入力され、前記素子状態判断部が前記複数の素子の少なくとも1つが前記不適素子であると判断した後に運転が続行されている状態において、前記検査部は、前記画像処理部で処理された画像のうち前記不適素子の近傍の第1部分に対しては第1基準により前記検体を検査し、前記画像処理部で処理された画像のうち前記第1部分以外の第2部分に対しては第2基準により前記検体を検査し、
    前記第1基準は、前記第2基準よりも厳しい検査基準である、
    X線検査装置。
  4. 前記画像処理部で処理された検体の画像および前記検査部における検体の検査結果のうちの少なくとも一方である検体情報を表示する表示部と、
    前記検体情報を記憶する記憶部と、
    前記入力部において運転続行が入力され、前記素子状態判断部が前記複数の素子の少なくとも1つが前記不適素子であると判断した後に運転が続行されている状態において、前記不適素子が存在する状態で運転が続行されていることを、前記検体情報とともに前記表示部に表示する又は前記検体情報とともに前記記憶部に記憶する運転続行明示部と、
    をさらに備えた請求項1から3のいずれかに記載のX線検査装置。
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