JP3850024B2 - ロープ交差部用締結金具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は交差して張設されたロープの交差部の締結に好適な金具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路沿いの法面などには、落石の防止や地すべりの防止のために、ロープを地盤の表面に沿ってネット状に敷設する工法が一般に行なわれている。
この工法の実施に当っては、旧来、法面の上下および左右方向に多数本のロープを張設し、その各交差部をUボルトで締着するようにしている。ところが、ロープの交差部を単なるUボルトで締着しただけでは、ロープ相互がずれ動いたり、ロープの交差部の全体がUボルトと一体に動きやすく、このためネットが変形されてしまう難点があつた。
【0003】
この対策として、図21(a)のように、板材をプレス加工して断面が半円形状の溝aを形成した受け金具Aと同じくプレス加工により前記溝aと交差状の溝bを形成した押し金具Bとで二つ割クランプとした構造、図21(b)のように、前記溝aを含めて鋳造した受け金具A’と押し金具B’とで二つ割クランプとした構造が知られている。
【0004】
このようなクランプ方式の場合、使用する金具の必要締結力は、ロープの破断荷重の1/3以上であることが要求されている。
しかしながら、前記先行技術は、対向する受け金具A,A’と押し金具B,B’のそれぞれの溝(下半分、上半分)a、bが全長にわたって一様の深さとなっており、縦ロープRと横ロープR’は断面のほぼ半分程度嵌まった状態で交差ロープ部分RCが上下で重なりあい、ボルトとナットの螺合による締め付けを受けて前記交差ロープ部分が相互に接して押圧されるだけであった。
【0005】
このため、ロープ同士およびロープと金具の摩擦力が確保できず、ロープの交差部に滑りの生じない十分な締結力が得られず、荷重によりロープが長手方向にずれ、それにより縦ロープと横ロープで構成される格子状形状が崩れたりし、やはり落石防止や地滑り防止の効果が十分に達成されなくなる恐れがあった。
【0006】
図21(b)のものにおいては、改善対策として、溝にロープの撚りの谷に対応するピッチで凹凸を配したり、ガラス粉末などの摩擦係数増加材を介在させることも行われているが、ロープと鋳鋼との硬度差が著しいため有効とはいえなかった。
【0007】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その第1の目的は、小型な構造でしかも小さい締付け力によりロープの交差部をすべりのないように確実に締結することができるロープ交差部用締結金具を提供することにある。
本発明の第2の目的は、第1の目的に加え、太径ロープを使用した場合にも法面などの現場で十分な締結力を容易に得ることができるロープ交差部用締結金具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の目的を達成するため本発明のロープ交差部用締結金具は、相対して配置され内面にそれぞれ交差状のロープ嵌め溝を形成した受け金具と押し金具と、それら受け金具と押し金具を締付けるべくロープ嵌め溝の両側外方位置に配された第1と第2の締付け具とを備え、前記ロープ嵌め溝のうち一方のロープ嵌め溝が全長にわたり略一様の深さを有し、他方のロープ嵌め溝が、交差ロープ部分の軸方向と直角方向への屈曲を許容する凹入部を有していることを特徴としている。
【0009】
第2の目的を達成するため、本発明のロープ交差部用締結金具は、前記構成に加えて、第1の締付け具と第2の締付け具が、ロープ嵌め溝の交差部から異なる距離の位置にあることを特徴としている。
【0010】
いずれの発明においても、好適には、ロープ嵌め溝の凹入部はロープ交差個所を含めて両側に延び、各ロープ嵌め溝は、ロープ断面積の1/2以下の深さを有し、凹入部はロープ交差箇所に対応する部位がもっとも深く外側に向かって漸次浅くなるように形成され、最も深い部位がロープ嵌め溝の深さの約2倍になっている。
前記受け金具と押し金具は、異なる構成である場合のほか、同じ構成の共通金具である場合を含んでいる。
【0011】
【発明の実施の態様】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明を適用したロープネットを示しており、1は法面で、この法面1にそれぞれ定着したアンカー2、2を介して上下方向および左右方向に複数本のロープ3、3’が張設されている。そして各ロープ3、3’の各交差部が本発明の交差部用締結金具(以下締結金具という)4により締結されている。
【0012】
前記ロープ3、3’間には、上下方向および左右方向に複数本の中間ロープ5が配され、それぞれの交差部が本発明の交差部用締結金具4かまたは他の任意の締結金具により締着されている。
【0013】
図2ないし図9は本発明による締結金具の第1態様の第1実施例を示している。
この実施例は、後述する第2実施例とともにロープ直径が中程度以下たとえば直径12mm以下の場合に好適な締結金具を示している。
締結金具4は、受け金具6と押し金具7とを備え、対向状に配されるとともにロープ3、3’が直交状に挟まれ、これを避けた位置で第1の締付け具8と第2の締付け具9により締付けられることにより、ロープの交差部が締結されるようになっている。第1の締付け具8は、この例ではボルトであり、第2の締付け具9は、この例ではアンカーボルト9aとナット9bである。
【0014】
図8は受け金具6を示しており、この例では、平面略楕円状ないし小判状をなした鋳物製の盤体からなり、内面にX状に交差したロープ嵌め溝10,11が端縁に達するように形成されている。
前記ロープ嵌め溝10,11はそれぞれ使用するロープ3,3’と略同等の幅と、ロープ断面の1/2以下の深さで弧状断面をなしているが、ロープ嵌め溝10,11のうち一方のロープ嵌め溝10は、中間領域の底に、ロープ交差箇所を含めて両側に適度に延びる凹入部100を有している。他方のロープ嵌め溝11は凹入部100を有しておらず、全長にわたって同じ深さとなっており、中間領域が凹入部100により分断される形で凹入部100に通じている。
【0015】
前記凹入部100は、前記第1の締付け具8と第2の締付け具9による締付け時に、交差ロープ部分の軸方向と直角方向への屈曲を許容しかつ該屈曲部分を封じ込めるためのもので、幅はロープ嵌め溝10と同じであるが、深さは、交差部分がもっとも深く両側に向かって漸次浅くなるように円弧状をなし、最も深い部位の深さがロープ嵌め溝10の深さの約2倍となっている。
【0016】
前記ロープ嵌め溝10,11の外方近傍両側には、第2の締付け具9としてのアンカーボルトを挿通する通孔14と、第1の締付け具8としてのボルトを螺合する雌ねじ孔13がそれぞれ設けられている。この例では、軽量化のために、通孔14はロープ嵌め溝10の外側に形成した肉薄部60に設けられているが、雌ねじ孔側と同じように厚肉としてもよい。
【0017】
図9は押し金具7を示しており、この例では、平面略楕円状ないし小判状をなした鋳物製の盤体からなり、内面にX状に交差したロープ嵌め溝10,11が端縁に達するように形成されている。
ロープ嵌め溝10は、押し金具7を反転して受け金具6と内面同士を当接させたときに、受け金具6のロープ嵌め溝11と組をなして断面が略楕円状の通路を構成する。また、ロープ嵌め溝11は、押し金具7を反転して受け金具6と当接させたときに、受け金具6のロープ嵌め溝10と組をなして断面が略楕円状の通路を構成する。
【0018】
前記ロープ嵌め溝10,11は、それぞれ使用するロープ3,3’と略同等の幅と、ロープ断面の1/2より適度に浅い深さの弧状をなしているが、ロープ嵌め溝10は、交差部分を含めて両側に適度に延びる凹入部100を有している。他方のロープ嵌め溝1は凹入部100を有しておらず、内端が凹入部100により分断される形で凹入部100に通じている。
【0019】
前記凹入部100は、前記第1の締付け具8と第2の締付け具9による締付け時に交差ロープ部分30,30が軸方向と直角方向に屈曲するのを許容し、該屈曲部分を封じ込めるためのもので、幅はロープ嵌め溝10と同じであるが、深さは、交差箇所がもっとも深く、両側に向かって漸次浅くなるように円弧状をなし、最大深さがロープ嵌め溝10の深さの約2倍となっている。
なお、押し金具7は図8の(c)(d)と同じ断面形状をなしているので、これらについては援用することにする。
【0020】
前記ロープ嵌め溝10,11の外方近傍両側には、第1の締付け具8としてのボルト首下を挿通する通孔12と、第2の締付け具9としてのアンカーボルトを挿通する通孔14がそれぞれ設けられている。この例では、通孔12、14はロープ嵌め溝10、11の外側に形成した肉薄部60、60に設けられているが、これを形成せず、厚肉のままとしてもよいことはもちろんである。
【0021】
図10と図11は第1態様の第2実施例を示している。
この実施例においては、第1実施例の押し金具7に相当する共通金具7’、7’が1組用いられている。すなわち各金具は、図11に示すように、ロープ嵌め溝10,11の外方近傍両側に、第1の締付け具8としてのボルトを挿通する通孔12と第2の締付け具9としてのアンカーボルトを挿通する通孔14を設けた構造となっている。そして、第1の締付け具8としてのボルトを締付けるため、ナット8bが使用されている。
他の構成は第1実施例と同様であるから、同じ部分に同じ符号を付し、説明は省略する。
【0022】
図12は本発明を中間ロープ5、5’の交差部の締結に適用した実施例を示しており、第2の締付け具9’としてアンカーボルトでなく、第1の締付け具と同じ構成の通常のボルトが用いられ、ナット9bと組合わせられている。
(a)は第1実施例における受け金具6と押し金具7を使用したものであり、(b)は第2実施例における共通金具7’、7’を使用したものである。
【0023】
前記第1実施例と第2実施例では、使用するロープ3,3’の径が中程度(通常12mm程度まで)であるため、これに呼応して第2の締付け具9、9’は第1の締付け具8と同程度である16mm程度の直径のものが適用される。したがって締付けトルクは、120N・m程度となるので、図8で代表的に示すように、第1の締付け具8の軸線8CL(孔13または12の中心)からロープ嵌め溝10,11の交差点CLまでの距離L2は、第2の締付け具9の軸線9CL(孔14の中心)からロープ嵌め溝10,11の交差点CLまでの距離L1と略同等の距離であってよい。
【0024】
図13ないし図18は本発明による締結金具の第2態様の第1実施例、すなわち、使用するロープ3,3’の直径が太径たとえば14mm以上で、これに呼応して第2の締付け具9、9’の径が太径たとえば24mm程度以上が適用される場合に好適な実施例を示している。
【0025】
この実施例においても、受け金具6と押し金具7が対向状に配されるとともにロープ3、3’が直交状に挟まれ、これを避けた位置で第1の締付け具8(この例ではボルト)と第2の締付け具9(この例ではアンカーボルトとナット)により締付けられることにより、ロープの交差部が締結されるようになっている。
【0026】
そして、受け金具6と押し金具7の内面には、X状に交差したロープ嵌め溝10,11が端縁に達するように形成され、それらロープ嵌め溝10,11はそれぞれ使用するロープ3,3’と略同等の幅と、ロープ断面の1/2以下の深さで弧状断面をなしているが、ロープ嵌め溝10,11のうち一方のロープ嵌め溝10は、中間領域の底に、ロープ交差箇所を含めて両側に適度に延びる凹入部100を有している。他方のロープ嵌め溝11は凹入部100を有しておらず、全長にわたって同じ深さとなっており、中間領域が凹入部100により分断される形で凹入部100に通じている。これも第1態様の第1実施例と同様である。
【0027】
しかし、この第2態様の第1実施例では、太径のロープ3,3’との接触面積を増加させてロープ同士の摩擦を増加させるために、第1態様の第1実施例の場合よりも受け金具6と押し金具7の長さを大きくしている。たとえば、第1態様の第1実施例において、長さ×幅が95×50mm程度であるとすると、135×50mmとしている。また、太径のロープ3,3’に対応して第2の締付け具9として太いボルト9aを用いることになるため、締付けに耐えうるように受け金具6と押し金具7の厚みを増し、たとえば第1態様の第1実施例が12mmである場合に、18mmとしている。
【0028】
さらに、この第2態様の第1実施例の特徴は、第1の締付け具としてのボルト8aに比べて第2の締付け具9として相対的に太いボルト9aを用いることに関係して、第2の締付け具9(14)の軸線9CL(孔14の中心)からロープ嵌め溝10,11の交差点CLまでの距離L1と、第1の締付け具8の軸線8CL(孔13または12の中心)からロープ嵌め溝10,11の交差点CLまでの距離L2を同等とせず、距離L1を距離L2よりも大きくしている。
すなわち、軸線8CLをロープ嵌め溝10,11の交差点CLに近く形成し、軸線9CLをロープ嵌め溝10,11の交差点CLから遠い位置に変位させて形成している。
【0029】
距離L1は、第1、第2の締付け具の太さd1、d2(ねじの呼び径)の関係と第2の締付け具に対しレンチなどの工具を使用して与え得る締付けトルクTに応じて適宜設定するが、通常、距離L1/距離L2を1.5〜2程度にする。
L1/L2が1.5未満では、第2の締付け具に対して大きな締付けトルクをかけても、第1、第2の締付け具8,9による締結力がアンバランスになって第2の締付け具9側が上方に開くように押し金具7が傾いてしまい、ロープの破断荷重の1/3以上を満足する締結力が得られなくなる。L1/L2が2以上では、受け金具6と押し金具7が大きくなり、コスト的に不利であるとともに、運搬や現場での取り扱いが不便になる。
【0030】
具体例をあげると、たとえば第1の締付け具の太さが16mm、第2の締付け具9の太さが24mm、第2の締付け具9の締付けトルクTが160N・mである場合、距離L2を31.5mm、距離L1を61.5mmとするとバランスが良くなる。
他の構成は第1態様の第1実施例と同様であるから、説明は援用することとし、同じ部分に同じ符号を付すにとどめる。
【0031】
図19と図20は第2態様の第2実施例を示している。
この実施例においては、第1実施例の押し金具7に相当する共通金具7’、7’が1組用いられている。すなわち各金具は、図19に示すように、ロープ嵌め溝10,11の外方近傍両側に、第1の締付け具8としてのボルトを挿通する通孔12と第2の締付け具9としてのアンカーボルトを挿通する通孔14を設けた構造となっている。そして、図20のように第1の締付け具8としてのボルトを締付けるため、ナット8bが使用されている。
他の構成は第1態様の第1実施例と同様であるから、同じ部分に同じ符号を付し、説明は省略する。
なお、図示しないが、第2態様も第1態様と同じように中間ロープ5、5’の交差部の締結に適用される。
【0032】
図示するものは本発明のいくつかの例であり、これに限定されるものではない。
1)受け金具6、押し金具7、共通金具7’、7’は、鋳鋼などの鋳造体でなく、切削加工品であってもよいし、場合によっては、板金加工されたものでもよい。
2)受け金具6の通孔14を雌ねじ孔とし、上記実施例におけるナットを省略してもよい。また受け金具6に締付け具9としてのアンカーボルトを溶接等により固着して上記実施例におけるナットを省略してもよい。
【0033】
また、受け金具6にボルトのねじ軸を溶接等により固着するとともに、これを押し金具7に貫通させ、その先端にナットを螺合して締付具を構成するようにしてもよい。
3)ロープ嵌め溝10,11は数種類の太さのロープに対応できるような幅としてもよく、その場合、溝底にロープの撚りに対応する突条を刻設しておくと好都合である。
【0034】
【実施例の作用】
次に実施例の使用法と作用を説明する。
第1態様の第1実施例においては、図1のように縦横に張られたロープ3、3’の交差部の下に受け金具6を配し、上から押し金具7を被せる。こうすれば、ロープ3、3’は、受け金具6と押し金具7のそれぞれが十字状をなし合わさったときに楕円状となるロープ嵌め溝10,11に断面のほぼ70〜80%が嵌められる。
【0035】
そして、第1の締付け具8としてのボルト8aを押し金具7の通孔12を通して受け金具6の雌ねじ孔13に螺合し、また第2の締付け具9としてのアンカーボルトを押し金具7の通孔14および受け金具6の通孔14を通して下部(アンカー部)を打ち込み等により地中に埋め込む。
これで、ロープ3、3’を含むロープ交差部用締結金具4は法面1の定位置に固定される。なお、前記アンカーボルト9の途中には、あらかじめ受け金具6の外面側および押し金具7の外面側に当接可能なナット9b、9bが螺合されている。
【0036】
以上の状態で、ボルト8aを締付けるとともに一方のナット9bを締付ければ、受け金具6と押し金具7が互いに接近する。ロープ嵌め溝10,11はそれぞれ使用するロープ3,3’の断面の1/2ないしは適度に浅い深さであるため、ロープ3、3’の上下に重なっている交差部位30,30は相互に噛合うように強力に押圧しあう。
【0037】
この部位には、交差部分でもっとも深く両側に向かって漸次浅くなる弧状の凹入部100、100が受け金具6と押し金具7で交差状に存し、それら凹入部100、100は最大深さがロープ嵌め溝10の深さの約2倍となっているので、前記交差部分30,30は前記押圧により凹入部100、100の形状に即して軸方向と直角方向に屈曲変形され、図4と図5のように、上と下の凹入部100、100に強制的に押し込まれ、図2と図7のように締結される。
ロープ3、3’の交差部が単に上下から押圧されるだけでなく、外方に突状に屈曲されて凹入部100、100に封じ込められるので、節作用によりロープ3,3’はその相互のすべりが完全に防止される。また同時にロープ3、3’の交差部の噛みあわせが良くなるので、接触面がより増しロープ同士の摩擦が増加される。そして、交差部全体が確実に法面1に係止される。
【0038】
また、ロープ3、3’の交差部30,30’から先の部分も上下のロープ嵌め溝10、11に密接し、断面積の約70〜80%が囲まれるので、この部分でも摩擦により締結力が得られるとともに、しっかりと直角状の交差形態が形成され、左右のずれが完全に防止される。
また、従来の締結金具では、図21のように、ロープの交差部が直線のまま重なり合っているため、縦と横のロープのレベルが異なって敷設され、したがってロープの交差部領域で地表から浮きが生じやすいが、本発明では、ロープ3、3’の交差部30,30が外方に突状に屈曲されて凹入部100、100に封じ込められるので、図2のように、縦と横のロープ3,3’が同じレベルで敷設されることになる。このため、ロープの交差部領域も地表に接近し、地すべりや浮石の押さえ効果を確実なものとすることができる。
【0039】
第1態様の第2実施例においても同じ作用が得られるが、ボルト8aの締付け時に受け側の金具7’の下にナット8bを配して螺合させる点が異なっている。この第2実施例の利点は、第1実施例のように受け金具6と押し金具7の2種類の金具を製作する必要がなく、押し金具7と同じ構成の金具を1種類製作しておけばよいため、金具のコストを安価なものにすることができる。
【0040】
本発明のロープ交差部用締結金具を実地に試験した結果を示すと、第2実施例に示す構造のものを使用し、鋳鋼(FCD450)製、長さ95mm、幅50mm、厚さ16mm、ロープ嵌め溝10,11の深さ5mm、R7mmとし、凹入部100の最大深さを11mm、R33mmの仕様とした。
【0041】
このロープ交差部用締結金具に2×2、直径12mmのロープ2本を交差させて、締付けトルク120N・mで締結した。この試験ではアンカーボルトでなく、図12(b)に示す2本のボルト(ねじの呼び径M16)とナットを使用して締付けを行い、ロープ交差部用締結金具が移動しないように固定した状態でロープに引っ張り荷重を与え、締結力(縦ロープと横ロープの交差部に滑りの生じない抵抗力)kNを測定した。
【0042】
比較のため、鋳鋼(FCD450)製、長さ95mm、幅50mm、厚さ12mm、深さ5mmのロープ嵌め溝を受け金具と押し金具に斜めに形成して対向したときに直角の交差部が得られるようにした従来品を使用して同じ実験を行った。
その結果、本発明品の締結力は、27.8kN、従来品は8kNで、同一のボルト締付け力で3倍以上の高い締結力の得られることが確認された。これは、ロープの交差部が屈曲されそれが凹入部100、100により封入され、節となってすべりに対する抵抗を発揮したことによるものである。
【0043】
次に、直径が14mm以上の太径のロープ3,3’を使用し、これに呼応して高いアンカー力を得るべく第2の締付け具9として第1の締付け具8よりも太径の仕様のものを用いた場合、金具の締結力P(N)は、式k・T/d(k:トルク係数、T:締付けトルクN・m、d:ねじの呼び径mm)であることから、ねじの呼び径dに反比例する。したがって、第2の締付け具9に強い締付けトルクを導入する必要が生じ、ロープ嵌め溝10,11の交差点から第2の締付け具9と第1の締付け具8の距離が同等の場合には、レンチを使用した人力操作では必要トルクを導入することが困難になり、受け金具6と押し金具7が平衡に近接されず、第2の締付け具側が開いたアンバランスな状態になりやすい。
【0044】
しかるに、第2態様においては、第2の締付け具9(14)の軸線9CL(孔14の中心)からロープ嵌め溝10,11の交差点CLまでの距離L1を、第1の締付け具8の軸線8CL(孔13または12の中心)からロープ嵌め溝10,11の交差点CLまでの距離L2よりも大きくしている。
このため、てこの作用により第2の締付け具9の締結力がモーメントとして増加され、締結力の不足分が補われる。したがって、レンチを使用した人力操作で十分な締付けトルクを導入することができ、受け金具6と押し金具7が平衡に近接されたバランスの良い形で必要締結力を得ることができる。
【0045】
受け金具6と押し金具7として、135×50mm×18mmの大きさとし、ロープ嵌め溝10,11の交差点から第2の締付け具9としてのアンカーボルトの中心までの距離L1を61.5mm、ロープ嵌め溝10,11の交差点から第1の締付け具8としての締付けボルトの中心までの距離L2を31.5mmにおのおの設定し、第2の締付け具9としてM24を、第1の締付け具8としてM16を使用し、直径が14mmの2本のワイヤーロープをロープ嵌め溝10,11に嵌めて長さ0.5mのレンチで締結した。
その結果、160N・mで締結力35kN以上を得ることができた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によるときには、小型でしかも小さい締付け力により、ロープの交差部をすべりのないように確実に締結することができるというすぐれた効果が得られる。
【0047】
請求項2によれば、通常の径のロープを使用した場合にその交差部を小さい締付け力で強固に締結できるというすぐれた効果が得られる。
請求項3によれば、締結力をモーメントとして増加させ締結力不足を補うことができるので、太径のロープを使用した場合にその交差部を小さい締付け力で強固に締結できるというすぐれた効果が得られる。
請求項4、5によれば、ロープの交差部を無理なく確実に屈曲して封じ込めることができるというすぐれた効果が得られる。
請求項6によれば、1種類の金具を製作すればよいので、金具製造コストを低減でき、また取り扱いを容易にすることができるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロープ交差部用締結金具を適用した落石防止、地すべり防止ネットの敷設例を示す平面図である。
【図2】本発明の第1態様の第1実施例を使用状態で示す側面図である。
【図3】第1態様の第1実施例の平面図である。
【図4】図3のA−B線に沿う断面図である。
【図5】図3のC−D線に沿う断面図である。
【図6】図3のG−H線に沿う断面図である
【図7】ロープの交差部の状態を透視して示す斜視図である。
【図8】(a)は第一実施例の受け金具の平面図、(b)は(a)のL−M線に沿う断面図、(c)は(a)のJ−K線に沿う断面図、(d)は(a)のA−B線に沿う断面図である。
【図9】(a)は第一実施例の押し金具の平面図、(b)は中央線に沿う断面図である。
【図10】本発明の第1態様の第2実施例を使用状態で示す側面図である。
【図11】第2実施例の金具を分解した状態で示す平面図である。
【図12】(a)は本発明を中間ロープの交差部締結に使用した第一例を示す側面図、(b)は同じく第二例を示す側面図である。
【図13】本発明の第2態様の第1実施例を使用状態で示す側面図である。
【図14】第2態様の第1実施例の平面図である。
【図15】第2態様の第1実施例の受け金具の平面図である。
【図16】(a)は図15のL’−M’線に沿う断面図、(b)は図15のJ’−K’線に沿う断面図、(c)は図15のA’−B’線に沿う断面図である。
【図17】第2態様の第1実施例の押し金具の平面図である。
【図18】図17の中央線に沿う断面図である。
【図19】第2態様の第2実施例の金具を分解した状態で示す平面図である。
【図20】第2態様の第2実施例を使用状態で示す側面図である。
【図21】(a)(b)は従来のロープの交差部締結金具を使用状態で示す側面図である。
【符号の説明】
1 法面
3、3’ロープ
4 交差部締結金具
6 受け金具
7 押し金具
7’共通金具
8 第1の締付け具
9 第2の締付け具
10,11ロープ嵌め溝
30 交差ロープ部分
100 凹入部

Claims (6)

  1. 相対して配置され内面にそれぞれ交差状のロープ嵌め溝10,11を形成した受け金具6と押し金具7と、それら受け金具6と押し金具7を締付けるべくロープ嵌め溝10,11の両側外方位置に配された第1と第2の締付け具8,9とを備え、前記ロープ嵌め溝10,11のうち一方のロープ嵌め溝11が全長にわたり略一様の深さを有し、他方のロープ嵌め溝10が、交差ロープ部分30,30の軸方向と直角方向への屈曲を許容する凹入部100を有していることを特徴とするロープ交差部用締結金具。
  2. 第1と第2の締付け具8,9が、ロープ嵌め溝10,11の交差部から略同等の距離の位置にある請求項1に記載のロープ交差部用締結金具。
  3. 第1の締付け具8と第2の締付け具9が、ロープ嵌め溝10,11の交差部から異なる距離の位置にある請求項1に記載のロープ交差部用締結金具。
  4. ロープ嵌め溝10、10の凹入部100,100が、ロープ交差個所を含めて両側に延びている請求項1ないし3のいずれかに記載のロープ交差部用締結金具。
  5. 各ロープ嵌め溝10、11がロープ断面積の1/2以下の深さを有し、凹入部100はロープ交差箇所に対応する部位がもっとも深く外側に向かって漸次浅くなるように形成され、最も深い部位がロープ嵌め溝10の深さの約2倍となっている請求項1ないし4のいずれかに記載のロープ交差部用締結金具。
  6. 受け金具と押し金具が同じ構成の共通金具7’、7’である場合を含む請求項1ないし5のいずれかに記載のロープ交差部用締結金具。
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