JP3847860B2 - 合成樹脂製容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体の貯蔵または運搬に利用できる合成樹脂製容器に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、貯蔵または運搬のために、灯油等の液体を密閉状態で収納する合成樹脂製容器が利用されている。この合成樹脂製容器は、10〜30リットル程度の容量を有する中型のものが多用されている。
このような合成樹脂製容器は、ブロー成形や射出成形等により製造できる。
ブロー成形によれば、工業薬品や灯油等を入れる缶状の容器を一体成形することが可能となる。このブロー成形による容器は、簡単な形状のものが多く、積み重ねることを想定していないので、複数の空容器を積み重ねるのには適していない。
また、ピンチオフ部が存在するため、多色成形が困難であることから、意匠上の自由度がなく、しかも、製造上、ピンチオフ部が不安定となり、この部分の強度が一定しないおそれがある。
一方、射出成形により、容器本体と蓋部とを別々に成形するとともに、これらの容器本体と蓋部とを溶着すれば、様々な形状のものを得ることができる。
なお、射出成形では、容器本体と蓋部とを別々に成形するため、容器本体と蓋部の色を変えたり、それらの形状も比較的自由に設計できるため、意匠性に優れた容器が得られる。さらに、印刷においても、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、転写印刷等を自由に選択でき、商品価値の高い容器が得られる。
例えば、容器の底となる底板部に、蓋部に応じた形状の凹部を設ければ、他の合成樹脂容器の蓋部に、その凹部を係合させることで、複数の空容器を安定して積み重ねことが可能となる。複数の積み重ねにより、保管場所や運搬用車両の荷台に配置する際に、それらの面積をより効率よく利用することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の合成樹脂製容器では、内容物(灯油等の液体)を密閉して収納することから、温度が上昇して高温となると、内容物の膨張により、容器に大きな内圧が加わる。
このような高温状態が長時間持続する、あるいは、何度も繰り返されるような過酷な温度環境下に合成樹脂製容器がさらされると、大きな内圧が連続的、あるいは、断続的に容器に加わるので、応力が集中しやすい部分に亀裂が生じるおそれがある。
具体的には、ブロー成形による容器では、ピンチオフ部やコーナーの薄肉部付近に沿って応力が集中しやすいので、前述のような過酷な温度環境下においては、このピンチオフ部やコーナーの薄肉部付近等に亀裂が生じるおそれがある。
一方、射出成形による容器では、過酷な温度環境下にさらされると、金型のゲート近傍で成形された部分や、底板部に設けた凹部の二以上の面が交差したコーナー部分やリブの付け根付近等の応力が集中しやすい部分に、亀裂が生じるおそれがある。
特に、射出成形の場合、分子の配向を受けやすく、樹脂の流れと直角方向(TD)に亀裂が生じやすい。
【0004】
本発明の目的は、過酷な温度環境下においても、十分な耐久性が確保されるようになる合成樹脂製容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、底板部の周囲に立設された側板部を有するとともに、内部が密閉可能とされた合成樹脂製容器であって、前記底板部には、当該容器の内側へ凹んだ凹部を設けることにより、二以上の面が交差したコーナー部が設けられ、このコーナー部の主要コーナー部には、肉厚が他の部分よりも厚くされた厚肉部が設けられていることを特徴とする。
以上において、前記底板部および前記側板部が容器本体として一体成形され、この容器本体の開口を覆う蓋部が当該容器本体とは別体に成形され、これらの容器本体と蓋部とが溶着により一体化されていることが好ましい。
また、前記容器の中央凹部の底面には、その中央部分から周縁の前記コーナー部に向かって放射状に延びる帯状の厚肉部が設けられていることが好ましい。
さらに、前記凹部は、前記蓋部に応じた形状とされ、当該合成樹脂容器は、他の合成樹脂容器の蓋部の上から、その凹部を係合させることで、複数の空容器を積み重ね可能とすることが望ましい。
また、合成樹脂製容器を形成する樹脂としては、密度が0.950〜0.960g/cm3の範囲、好ましくは、0.953〜0.959g/cm3の範囲、にある高密度ポリエチレンが採用できる。
さらに、前記高密度ポリエチレンのメルトインデックス(以下、「MI」と略す。)は、1.3〜3.5g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲、好ましくは、1.4〜3.0g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲にあることが望ましい。
【0006】
本発明での容器の底板部に設けた凹部とは、載置面に底板が接しない部分のことを意味し、載置時に完全に閉じられてしまう凹部の他に、底板外周に設けられて外周方向に開いた凹部をも含むものである。その数は、1箇所の場合、あるいは、2箇所の場合もある。
また、その機能としては、液体等が注入された場合の載置安定性を確保する機能や、蓋の注入口、注出口、把手等の形状に対応した空容器の積み重ね安定性を確保する機能等が求められる。
このような本発明では、容器の底板部に凹部を設けたために、応力が集中しやすいコーナー部が形成されても、このコーナー部に設けた厚肉部により、内圧による応力に対する耐久力が向上し、過酷な温度環境下においても、十分な耐久性が確保されるようになり、これにより前記目的が達成される。
また、底板部および側板部を容器本体として一体成形し、この容器本体の開口に係合される蓋部を当該容器本体とは別体に成形し、かつ、これらの容器本体と蓋部とを溶着して一体化することにより製造される合成樹脂製容器についても、本発明の適用は容易である。
この溶着一体化の容器は、多くのコーナー部分が設けられたもの等、様々な形状のものが得られるというメリットを有している。
このような合成樹脂製容器に本発明を適用すれば、多くのコーナー部分を有する容器であっても、容器の形状に関係なく耐久性の確保が可能となるので、当該容器の有する前述のメリットを損なうことなく、過酷な温度環境下での耐久性を確保することが可能となる。
【0007】
さらに、合成樹脂製容器を射出成形するにあたり、容器本体を成形する金型のゲートは、樹脂の均一充填や、その跡が目立たないように、容器本体の底板部の中央部分に設けるのが一般的である。
ここで、底板部の中央に設けられる中央凹部の底面に、その中央部分から周縁の主要コーナー部に向かって放射状に延びる帯状の厚肉部を設け、この厚肉部の両側縁および端部の裾をなだらかに形成すれば、ゲート近傍で成形された部分や、主要コーナー部分における亀裂の発生が未然に防止されるようになる。
そのうえ、当該厚肉部を形成するために、金型は、厚肉部を形成する部分の型面の隙間が拡大されることから、金型には、溶融樹脂の流動を促進するフローリーダがゲートの近傍に形成されることとなり、ゲート近傍の流動抵抗が低減され、金型内への溶融樹脂の充填が迅速に行えるようになり、射出成形のサイクルタイムが短縮される。しかも、反りの発生も抑止されるうえ、容器の残留ひずみも減少するという作用もある。
また、成型時の配向も生じにくくなり、樹脂の流れと直角方向の耐環境応力亀裂性(ESCR)が改良される。
そして、全体を厚肉化せずに、分子量の高い成形材料を用いることが可能となり、強度およびESCR上も有利となる。
さらに、凹部を蓋部に応じた形状とすれば、当該合成樹脂容器は、他の合成樹脂容器の蓋部の上から、その凹部を係合させることで、空容器が複数積み重ね可能となり、複数の積み重ねにより、貯蔵場所や運搬用車両の荷台に配置する際に、それらの面積をより効率よく利用することが可能となる。
また、合成樹脂製容器を形成する樹脂としては、密度が、0.950〜0.960g/cm3の範囲、好ましくは、0.953〜0.959g/cm3の範囲にあり、かつ、そのMIが、1.3〜3.5g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲、好ましくは、1.4〜3.0g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲にある高密度ポリエチレンを採用すれば、射出成形時における溶融樹脂の流動性を十分確保しつつ、合成樹脂の分子が配向する方向(溶融樹脂の流動方向)と直交する方向の強度を十分確保することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2には、本実施形態に係る合成樹脂製容器1が分解状態で示されている。この容器1は、別々に射出成形された図中下方の容器本体10と、図中上方の蓋部20とを一体化した密閉可能な容器である。
容器本体10は、当該容器本体10の底となる底板部11と、この底板部11の周囲に沿って立設された側板部12とが一体成形されたものである。
蓋部20は、容器本体10の開口を塞ぐ部品であり、傾斜した四つの側面を有する略角錐台状に形成されている。蓋部20の中心部分は、凹まされてU字形の谷部21が形成されている。蓋部20には、図3にも示されるように、谷部21をまたぐ棒状のハンドルグリップ22が一体成形されている。
谷部21の両側には、容器1の内容物となる液体の注入、注出を行う注出入口23がそれぞれ設けられ、これらの注出入口23は、ねじ込み式のキャップ24(図1にのみ示す)により密閉可能となっている。
【0009】
これらの容器本体10および蓋部20の各縁部13, 25には、図4に示されるように、互いに密着可能な平面13A, 25Aが設けられている。容器本体10および蓋部20は、縁部13, 25の平面13A, 25Aを密着させ、この状態で縁部13, 25を溶着することにより、一体化されている。
なお、縁部13, 25の溶着は、一般的な熱板溶着の他、振動溶着や超音波溶着でも行うことができる。
ここで、容器本体10および蓋部20の溶着部分を保護するために、容器本体10の縁部13には、容器本体10の外側に突出する鍔部14が設けられ、蓋部20の縁部25には、蓋部20の外側に突出するとともに、先端が容器本体10側へ伸びた庇部26が設けられている。これらの鍔部14および庇部26で覆われる。これにより、溶着部分において、溶融樹脂のはみ出しや溜まりが形成されても、外観が損なわれず、溶融樹脂のはみ出しや溜まりにより、溶着強度が向上されるようになっているうえ、当該溶着部分には、外力が直接加わらないようになっている。
【0010】
図1および図2に戻って、容器本体10の底板部11には、容器本体1Oの内側へ凹んだ凹部15が設けられている。
この凹部15は、蓋部20に応じた形状とされたものである。凹部15には、底板部11の中央に設けられた中央凹部であるとともに、傾斜した内側面を有する笠状凹部16と、笠状凹部16の外側へ張り出した張り出し凹部17とが連続して設けられている。笠状凹部16には、台状の蓋部20の頂部が収納される一方、張り出し凹部17には、キャップ24で密閉された蓋部20の注出入口23が収納されるようになっている。
これにより、他の合成樹脂空容器1の蓋部20が凹部15に係合可能とされ、一の合成樹脂空容器1の上に他の合成樹脂空容器1を安定して積み重ねることができるようになっている。
なお、容器1の製造工程において、溶着前に容器本体10をネスティングした際に、上方の容器本体10が下方の容器本体10にくい込んで抜けにくくなるのを防止するために、容器本体10の内側面の下方(通常、底から1/3程度の高さ位置までの部分)には、上下方向に延びるリブ(補強兼用)を設けることもできる。
【0011】
凹部15を設けたことにより、底板部11には、図5にも示されるように、複数の面18が形成されるとともに、これらの面18が二つ以上交差したコーナー部19が多数設けられている。
より具体的に説明すると、面18としては、容器本体10の底面18A 、凹部15の底面18B 、笠状凹部16の傾斜した内側面18C および底面18B とは直交する張り出し凹部17の内側面18D等が形成されている。
一方、コーナー部19としては、底面18B および内側面18C, 18Dの三つの面18が交差するコーナー部19A 、底面18B および二つの内側面18Cの三つの面18が交差するコーナー部19B 、底面18A および内側面18D の二つの面18が交差するコーナー部19C 、並びに、底面18A および二つの内側面18C の三つの面18が交差するコーナー部19D 等が形成されている。
これらのコーナー部19のうち、コーナー部19A,19B,19C には、他の部分よりも肉厚が厚くされた厚肉部30が設けられている。
本発明の容器にあっては、これらのコーナー部のうち、主要コーナー部に厚肉部が形成されている。
ここで、主要コーナー部とは、凹部を有する容器において内圧を受けて、応力が集中しやすいコーナー部をいう。
従って、凹部の形状、深さ等により異なるため、具体的に特定することは困難であるが、例えば、有限要素法等の応力解析シミュレーションにより応力の高い部分を推定したり、実際に容器を成形試作し、ESCR実験を行って亀裂の発生する主要コーナー部を見いだすことができる。
一般的には、内圧を受けた時に、元の形状を維持しにくい部分や変形を受ける面の付け根となるコーナー部等が主要コーナー部に相当する。
本実施形態においては、張り出し凹部17の鉛直な内側面18D に接するコーナー部19A は、主要なコーナー部であり、必ず厚肉化されている。
また、笠状凹部16の傾斜した内側面18C に接するコーナー部19B は、コーナー部19A に次いで凹Yりょくを受けやすいコーナー部であり、このコーナー部19B も厚肉化されている。
さらに、コーナー部19C, 19Dも、必要に応じて厚肉化される。ここでは、コーナー部19C が厚肉化されている。
【0012】
コーナー部19A に設けられた厚肉部30A は、底面18B の中央部分から周縁へ向かって放射状に延び、当該コーナー部19A に達するとともに、凹部15の中央部分でX字形に交差する帯状の厚肉部AAと一体化している(図5参照)。この厚肉部30AAは、その両側縁および端部の裾がなだらかに形成されている。
コーナー部19B に設けられた厚肉部30B は、当該コーナー部19B の近傍部分にのみ形成されたものとなっている。
コーナー部19C に設けられた厚肉部30C は、底面18A の狭隘部分にのみ形成された一文字状のものとなっている。
ここで、厚肉部30以外の部分(以下、「一般部」という。)の肉厚は、通常、均一とされ、その厚さが寸法t1とされている。これに対し、厚肉部30AA,30Aの厚さ寸法t2は、寸法t1の1.2〜2.0倍の範囲内に設定することができ、望ましくは、1.4〜1.8倍の範囲内に設定するのがよい。また、厚肉部30C, 30Bの厚さ寸法t3は、厚肉部30AA,30Aと同様に、寸法t1の1.2〜2.0倍の範囲内に設定でき、望ましくは、1.3〜1.8倍の範囲内に設定するのがよい。
【0013】
以上のような合成樹脂製容器1を形成する樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が採用できる。ポリエチレンを採用する場合には、密度が0.950〜0.960g/cm3の範囲、好ましくは、0.953〜0.959g/cm3の範囲にあり、かつ、MIが1.3〜3.5g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲、好ましくは、1.4〜3.0g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲にある高密度ポリエチレンを採用することが望ましい。
ここで、ポリエチレンの密度は、高いほど容器1の剛性が向上するが、内圧などによる応力に対しては、耐久性、特にESCRが低下するので、実験結果や経験等から、前述の範囲内に設定することが推奨される。
また、ポリエチレンのMIは、1.3g/10分(190℃、2.16kgf)未満であると、溶融樹脂の流動性が低下することから、容器1の肉厚を増さないと射出成形が困難となる一方、肉厚を増せば、重量やコストが嵩むこととなる。
また、MIが3.5g/10分(190℃、2.16kgf)を越えると、溶融樹脂の流動性が十分確保され、射出成形が容易となるが、分子量が低くなることから、内圧などによる応力発生時のESCRが低下する。
このため、MIの値は、前述の範囲内に設定することが推奨される。
【0014】
このような本実施形態では、容器本体10および蓋部20を別々に射出成形した後、射出成形で得られた容器本体10と蓋部20とを相互に溶着して一体化することで、合成樹脂容器1の製造を行う。
ここで、容器本体10を成形するための金型は、溶融樹脂をキャビティ内に充填するためのゲート31が、容器本体10の底面18B の中央部分に臨むように配置されている(図5参照)。
ここで、中央部分から放射状に延びる厚肉部30AAを形成するために、金型には、当該金型の型面間の隙間が拡大された部分、換言するとフローリーダが形成される。このフローリーダは、溶融樹脂の流動を促進し、ゲート31近傍の流動抵抗を低減するので、金型内への溶融樹脂の充填が迅速に行え、射出成形のサイクルタイムが短縮されるようになる。また、残留歪も低下するとともに、変形も生じにくくなる。
さらに、分子配向が生じにくくなり、樹脂の流れと直角方向のESCRが改良される。
【0015】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、容器本体10の底板部11に蓋部20に応じた形状の凹部15を設け、合成樹脂容器1の凹部15に、他の合成樹脂容器1の蓋部20が係合可能となるようにしたので、空容器としての貯蔵場所や運搬用車両の荷台に配置する際に、貯蔵場所や車両荷台の面積を効率よく利用することができる。
しかも、容器1を複数積み重ね可能とするために、容器本体10の底板部11に凹部15を設け、これにより、応力が集中しやすいコーナー部19が多数形成されても、このコーナー部19に設けた厚肉部30により、内圧による応力に対する耐久力が向上され、過酷な温度環境下においても、十分な耐久性を確保できる。
【0016】
また、容器本体10と蓋部20とを別々に成形したので、コーナー部19が多数設けられたもの等、様々な形状のものを得ることができるうえ、多くのコーナー部19があっても、コーナー部19に厚肉部30を容易に設けることができる。
このため、容器1の形状に関係なく耐久性の確保が可能となるので、様々な形状の容器1について、過酷な温度環境下での耐久性を確保することができる。
そのうえ、コーナー部19に設けられた厚肉部30の厚さ寸法t2, t3は、厚肉部30以外の部分の寸法t1の1.2〜2.0倍の範囲内に設定すれば、容器1の耐久性が確保されるようになるので、容器1の軽量性を維持することができる。
しかも、全体の耐久性が向上するので、場合によっては、容器1全体の肉厚をさらに薄くすることが可能となるので、容器1の軽量化に貢献できる。
【0017】
さらに、底板部11に設けられる凹部15の底面18A に、その中央部分から周縁のコーナー部19A に向かって放射状に延びる帯状の厚肉部30AAを設け、この厚肉部30AAの両側縁および端部の裾をなだらかに形成したので、応力による亀裂が発生しやすいゲート31近傍部分およびコーナー部19A の両方について、亀裂の発生を確実に防止することができる。
しかも、容器本体10には、底板部11の中央部分から放射状に延びる厚肉部30AAを形成するとともに、この容器本体10を成形するための金型には、溶融樹脂をキャビティ内に充填するためのゲート31を、容器本体10の底面18B の中央部分に臨む位置に設けたので、金型には、ゲート31近傍の流動抵抗を低減するフローリーダが形成され、金型内への溶融樹脂の充填がスムーズに行えるようになり、射出成形のサイクルタイムを短縮することができたり、分子量の高い樹脂材料も成形しやすくなり、反り変形の防止や残留応力の低減に効果がある。
なお、厚肉部は、通常一般面に対して容器の内側となるように形成することが好ましい。
【0018】
また、合成樹脂製容器1を形成する樹脂として、密度が0.950〜0.960g/cm3の範囲にあり、かつ、そのMIが1.3〜3.5g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲にある高密度ポリエチレンを採用したので、射出成形時における溶融樹脂の流動性を十分確保しつつ、合成樹脂の分子が配向する方向(溶融樹脂の流動方向)と直交する方向の強度を十分確保することができ、この点からも、内圧による応力に対する耐久性を向上できる。
【0019】
【実施例】
続いて、本発明の効果をより具体的な実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
本実施例1は、前記実施形態で説明した容器1の容器本体10(図5において、厚肉部の厚さt2, t3が 3.0mm、一般部の厚さt1が 2.5mm)を射出成形するにあたり、密度およびMIがそれぞれ異なるポリエチレンを用いて実験例〜5、比較例4を製作し、これらの実験例〜5、比較例4について、ランダー法に基づく環境応力に対する耐久試験(以下、「ESCR試験」という。)を行って評価するものである。
ここで、実験例〜5、比較例4の各々の射出成形に用いるポリエチレンは、物性の異なる二種類のポリエチレンの混合比を変えることで、密度およびMIを異ならせることとする(混合比については、後に示す表1参照のこと)。
二種類のポリエチレンとしては、以下の(1)、(2)に示すものを採用する。
(1) 出光ポリエチレン230J:出光石油化学(株)製、MI;5.5g/10分(190℃、2.16kgf)、密度;0.961g/cm
(2) 出光ポリエチレン550P:出光石油化学(株)製、MI;0.25g/10分(190℃、2.16kgf)、密度;0.95g/cm
[比較例1]
また、ポリエチレンのブロー成形により製作された、従来からある灯油缶を比較例1とし、この比較例1についても、実験例〜5、比較例4と同様のESCR試験を行い、比較例1の試験結果と実験例〜5、比較例4の試験結果とを比較する。
ブロー成形用のポリエチレンとしては、以下の(3)に示すものを採用する。
(3) 出光ポリエチレン520MB :出光石油化学(株)製、MI;0.25g/10分(190℃、2.16kgf)、密度;0.963g/cm(ブローグレード)
【0020】
[ESCR試験]
ESCR試験の手順は、JIS K7108およびASTM D2552に詳しく示されているので、ここでは、その概要についてのみ説明する。
すなわち、実験例〜5、比較例4および比較例1の容器本体10から、所定の試験片を樹脂の配向と直交する方向に打ち抜き、所定の液体試薬中において、打ち抜いた各試験片に荷重(張力)を加え、各試験片が破壊されるまでの時間を計測する。
ここで、樹脂の配向と直交する方向に打ち抜いた試験片を採用するのは、配向と同方向に打ち抜いたもののほうが、直交する方向に打ち抜いたものよりも強度があり、強度のない方で試験を行うべきであるからである。
なお、実験例〜5、比較例4では、配向と直交する方向は、樹脂の流れと直交する方向であるTD方向と一致する。このため、試験片の長手方向が、容器1を通常に置いた状態における水平方向となるように、試験片を打ち抜く。
一方、比較例1では、試験片の長手方向が、灯油缶を通常に置いた状態における鉛直方向となるように、試験片を打ち抜く。
試験条件は、以下の通りである。
・試験片 :JIS2号に示すタンベルの形状を有し、その寸法を1/2に縮小し、かつ、所定厚さが確保されたもの
・試薬 :界面活性剤(アンタロックス CO-630:五協産業(株)製)の10重量%水溶液
・試験温度:60℃
・荷重 : 4kgf(応力:5.2MPa;試験片の断面寸法:2.5mm×3mm)
【0021】
[試験結果]
実験例〜5、比較例4および比較例1の試験結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003847860
【0023】
以上の結果から、比較例4では、MIが十分大きく、成形の容易性に優れているが、耐久性が不足していることが判る。
実験例2では、成形の容易性が十分確保されるとともに、比較例1には劣るが実用上十分な耐久性が得られることが判る。
実験例3では、成形の容易性が十分確保されるとともに、比較例1と同等の耐久性が得られることが判る。
実験例4では、成形の容易性が十分確保されるとともに、比較例1よりも優れた耐久性が得られることが判る。
実験例5では、MIが小さく、成形の容易性が実験例〜4、比較例4よりも劣るが、優れた耐久性が得られることが判る。
従って、密度が0.950〜0.960g/cmの範囲にあり、かつ、MIが1.3〜3.5g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲にあるポリエチレンを採用すれば、実施する上で十分な耐久性および成形の容易性を確保できる。
また、密度が0.953〜0.959g/cmの範囲にあり、かつ、MIが1.4〜3.0g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲にあるポリエチレンを採用すれば、耐久性および成形の容易性を優れたものとできる。
【0024】
[実施例2,3]
本実施例2,3は、前述の実験例4(実施例2)および本発明に基づく他の容器(厚肉部変更)について、高温耐久試験を行って評価するものである。
ここで、実施例3は、全体の形状が前述の実施形態の容器1と同一であるが、図6に示されるように、X字形に交差する帯状の厚肉部30AAを省略し、厚肉部30A を単独に容器本体10B のコーナー部19A に設けるとともに、厚肉部30C を省略したものである。
なお、肉厚寸法は、厚肉部30以外の厚さ寸法t1が2.5mmとされ、厚肉部30の厚さ寸法t2, t3がともに3.0mmとされている。また、用いる樹脂は、前述の実験例4と同じである。
[比較例2,3]
比較例2,3は、肉厚が均一とされ、厚肉部30が省略された容で、同様の高温耐久試験を行って比較する。
比較例2は、全体の形状が前述の実施形態の容器1と同一であるが、図7に示されるように、容器本体10C から厚肉部30が省略されている。
比較例3は、図8に示されるように、比較例2とは異なる形状の凹部15A が容器本体10D に設けられたものである。
凹部15A は、ハンドルグリップ22や注出入口23等の蓋部20の表面から上方に突出する部分にのみ応じて形成された「キ」字形状のものである。このため、底板部11は、蓋部20の谷部21に応じた部分については凹んでいない。
なお、比較例2,3の肉厚は、全体的に均一であり、その厚さ寸法は、2.5mmとされている。
【0025】
[高温耐久試験]
本高温耐久試験は、各容器に、灯油を10リットルずつ入れ、温度が10℃に保たれた恒温室内に前述の各容器を4時間以上放置した後、各容器のキャップ24をきつく閉め、温度が50℃に保たれた恒温槽に各容器を入れ、容器に亀裂が生じるまでの時間を計測するものである。
なお、恒温槽に入れるにあたり、安全のために、予め各容器は、堅牢な密閉容器の中に収納しておく。
【0026】
[試験結果]
試験結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003847860
【0028】
以上の結果から、X字形状の厚肉部30AAを有する実施例2では、比較例2,3よりも著しく良好な耐久性が得られることが判る。
また、厚肉部30AA,30Cが省略されて、厚肉部30A と厚肉部30Cのみを有する実施例3でも、比較例2,3よりも格段に良好な耐久性が得られることが判る。
【0029】
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、次に示すような変形などをも含むものである。
すなわち、厚肉部の位置や数量は、前述の実施形態および実施例に示した位置や数量に限定されず、例えば、前述の実施形態における厚肉部30AA,30C,30B 以外に、図9に示めすように、コーナー部19D に設けられる厚肉部30Dを追加してもよく、厚肉部の具体的な位置や数量は、実施にあたり適宜設定すればよい。
また、合成樹脂製容器の形状は、前述の実施形態および実施例に示した形状に限定されない。
例えば、全体が略直方体とされ、その上面に、二つの注出入口を離間して突設するとともに、これらの注出入口の間にハンドルグリップを突設し、かつ、前述の注出入口およびハンドルグリップを収納する凹部を底面に設け、この凹部により、複数積み重ね可能とされた形状の容器でもよい。
あるいは、四方に配置された側面のうち、一組の対向する側面が鉛直に立設され、残りの側面が傾斜した台状に形成された蓋部を有し、この蓋部は、鉛直の側面の上部に設けられたハンドルグリップと、傾斜した側面からそれぞれ突出する注出入口とを備え、かつ、容器本体の底板部の周縁部分には、蓋部の注出入口およびハンドルグリップを収納する凹部が設けられることにより、複数積み重ね可能とされた形状の容器でもよく、合成樹脂製容器の具体的な形状は、実施にあたり適宜選択すればよい。
ここで、凹部としては、全周に内側面を有するものに限らず、底板部の周縁に段差状に形成されたものでもよい。
【0030】
【発明の効果】
前述のように、本発明によれば、過酷な温度環境下においても、十分な耐久性、特に、ESCRを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の容器の分解状態を示す一部破断正面図である。
【図2】前記実施形態の側面図である。
【図3】前記実施形態の平面図である。
【図4】前記実施形態の溶着部分を示す拡大断面図である。
【図5】前記実施形態の底面図である。
【図6】本発明の実施例3を示す図5と同様の図である。
【図7】比較例2を示す図5と同様の図である。
【図8】比較例3を示す図5と同様の図である。
【図9】本発明の変形例を示す図5と同様の図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂製容器
10 容器本体
11 底板部
12 側板部
15 凹部
18 交差する面
19 コーナー部
20 蓋部
30 厚肉部

Claims (1)

  1. 底板部の周囲に立設された側板部を有するとともに、内部が密閉可能とされ、10リットルから30リットルの液体を内部に密閉状態で収納する合成樹脂製容器であって、
    前記底板部および前記側板部が容器本体として一体成形され、この容器本体の開口を覆う蓋部が前記容器本体とは別体に成形され、これらの容器本体と蓋部とが溶着により一体化され、
    前記底板部には、複数の当該容器を積み重ね可能とするために前記蓋部の形状に応じて当該容器の内側へ凹んだ凹部が設けられ、
    前記凹部には、前記底板部の中央に設けられた中央凹部であるとともに傾斜した内側面を有する笠状凹部と、前記笠状凹部の外側へ張り出した張り出し凹部とが連続して設けられ、
    前記張り出し凹部は、前記凹部の底面とは直交する内側面を有し、
    前記底板部には、前記凹部の底面と前記笠状凹部の内側面と前記張り出し凹部の内側面とが交差するコーナー部が設けられ、
    前記コーナー部には、肉厚が他の部分よりも厚くされた厚肉部が設けられ
    前記凹部の底面には、その中央部分から周縁の前記コーナー部に向かって放射状に延びる帯状の厚肉部が設けられ、
    当該合成樹脂製容器は、射出成形にて形成され、
    当該合成樹脂製容器を形成する樹脂は、密度が0.950〜0.960g/cm の範囲であり、メルトインデックスが1.3〜3.5g/10分(190℃、2.16kgf)の範囲にある高密度ポリエチレンである
    ことを特徴とする合成樹脂製容器。
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