JP3847729B2 - ドコサヘキサエン酸高含有油脂の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定化酵素を使用したドコサヘキサエン酸(DHA)高含有油脂の製法に関し、更に詳細には、一般的にDHAを濃縮するために行われる前処理工程(ウィンタリング等)を必要とすることなく、高いDHA含有率の油脂を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、PUFA(高度不飽和脂肪酸)の生理活性が注目され、特にDHAは、血小板凝集抑制作用、血中中性脂肪低下作用、血中コレステロール低下作用、制癌作用、脳機能向上効果等を有することが知られている。このため、PUFA含有油脂のPUFA濃縮法が精力的に研究開発されている。PUFAは熱的安定性に乏しいため、非加熱処理による濃縮法が主に開発されており、代表的処理方法として酵素法がある。特に、リパーゼの脂肪酸選択性を利用してPUFAを濃縮する方法として、加水分解法、エステル交換法、エステル化法が多数報告されている。
【0003】
キャンディダ(Candida)属由来のリパーゼを利用して魚油を加水分解し、DHA、EPA(エイコサペンタエン酸)等の高度不飽和脂肪酸をグリセライド中に濃縮する方法は、この分野の草分け的な技術として挙げられる(特許文献1参照)。しかし、この文献には、高価な酵素の回収再利用についての記述はない。
【0004】
酵素の回収再利用を行う方法として、固定化酵素の利用が考えられ、セライト担体に固定化したキャンディダ属由来のリパーゼ利用による加水分解法でのDHA濃縮油脂の製造方法が報告されている(特許文献2参照)。しかし、この固定化酵素の調製法のように、真空乾燥を行ってリパーゼを固定化した場合、酵素が失活し十分な活性を発現しないことがあり、安定的な製造を行うことが難しいという問題がある。
【0005】
一方、酵素の特性により(活性の高さとは無関係に)油脂のDHA濃縮率は一定であるため、魚油等の原料油を直接酵素分解した場合、その酵素の活性を如何に高めようとも、1段の加水分解でDHA含有率を十分に高めることは難しい。そこで、DHA高含有油脂を製造する際には、酵素による分解の前に、原料油にウィンタリング等の物理的処理を施し、あらかじめDHA含有量を高めたうえで酵素分解に付しているのが現状である。しかし、このウィンタリングを行うことにより、収率の低下を招き、また極低温冷凍機等の高価な設備が必要となり、その結果、製造コスト増につながっているのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58-165796号公報
【特許文献1】
特開平3-19693号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、原料油脂の前処理(ウィンタリング等)を必要とすることなく、安価にDHA高含有油脂を製造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者は、酵素分解を利用してDHA高含有油脂を製造する際に、酵素固定化後に乾燥することなく、油脂類と接触させることによって過剰水を除去した固定化酵素を用いたところ、驚くべきことに、従来の非固定化酵素では到達し得なかった分解率が得られることを見出した。そして、これにより、ウィンタリング等の前処理を必要とすることなく、DHAを高濃度に含む油脂を製造することに成功した。
【0009】
すなわち本発明は、DHAを構成脂肪酸の一部とする油脂(以下、「DHA含有油脂」という)に酵素を作用させ加水分解してDHA高含有油脂を製造するに際し、当該酵素として、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着させた後、乾燥せずに、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより生起する加水分解反応で残存水分を消費させて酵素水分量を低減した固定化酵素を使用するDHA高含有油脂の製法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する固定化用担体は、陰イオン交換樹脂、特に多孔質弱アニオン交換樹脂が好ましい。このような多孔質担体は、大きな表面積を有するため、酵素のより大きな吸着量を得ることができる。樹脂の粒子径は200〜1000μmが好ましく、細孔径は10〜150nmが好ましい。材質としては、フェノールホルムアルデヒド系、ポリスチレン系、アクリルアミド系、ジビニルベンゼン系等が挙げられ、特にフェノールホルムアルデヒド系樹脂(例えば、Rohm and Haas社製Duolite A-568)が好ましい。
【0011】
本発明で使用する油脂分解用酵素としては、リパーゼが好ましく、特にキャンディダ属の起源のものが好ましい。また用いる酵素量は、担体重量に対して5〜200%、特に10〜100%が望ましい。固定化の際、リパーゼは溶液状態にするが、緩衝液でpH5〜7に調整して使用することが望ましい。また、固定化時の温度は0〜60℃、特に5〜40℃が好ましい。
【0012】
酵素の固定化後、乾燥せずに、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドと接触させる。なお、ここでいう「乾燥せずに」とは、「減圧、真空又は加熱による乾燥に付することなく」という意味である。固定化酵素と接触させる脂肪酸トリグリセライド及び脂肪酸部分グリセライドとしては、菜種油、大豆油、ひまわり油等の植物性の液状油脂、イワシ油、マグロ油、カツオ油等の魚油、鯨油等の海獣油、これらから誘導されるモノグリセライド及びジグリセライド、更にはこれらの混合物、またこれらの油脂から得られるエステル交換油脂等も使用できる。これらは、2種以上併用してもよい。使用される脂肪酸グリセライドの量は、固定化酵素との接触を十分なものとし、かつ過剰量の使用による無駄を回避する観点から、担体重量に対して100〜3000%、特に250〜2000%が好ましい。接触方法は、浸漬、攪拌、固定化酵素を充填したカラムにポンプ等で通液する等いずれの方法でもよい。接触温度は5〜40℃、接触時間は2〜48時間が好ましい。この接触が終わったところで濾過し、固定化酵素を回収する。このような処理により、脂肪酸グリセライドの加水分解が起こるため固定化酵素中の残存水分が消費され、酵素水分量を低減させることができる。これにより酵素の構造を維持しうる水分を保持したまま、過剰水分を除去し、酵素近傍が反応に適した状態になるものと考えられる。上記処理は、濾過・回収後の固定化酵素の水分量は、担体重量に対して20〜100%、特に40〜70%の範囲となるように行うのが好ましい。
【0013】
また、固定化酵素の活性を高めるために、酵素の固定化前にあらかじめ脂溶性脂肪酸又はその誘導体を担体に吸着させる処理を施してもよい。使用する脂溶性脂肪酸としては、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、水酸基が置換していてもよい脂肪酸が挙げられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、リシノール酸、イソステアリン酸等が挙げられる。またその誘導体としては、これらの脂肪酸と一価又は多価アルコールとのエステル、リン脂質、及びこれらのエステルにエチレンオキサイドを付加した誘導体が挙げられる。具体的には、上記脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、モノグリセライド、ジグリセライド、それらのエチレンオキサイド付加体、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体は、2種以上を併用してもよい。
【0014】
これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体と担体の接触法としては、水又は有機溶剤中にこれらを直接加えてもよいが、分散性を良くするため、有機溶剤に脂溶性脂肪酸又はその誘導体を一旦分散、溶解させた後、水に分散させた担体に加えてもよい。この有機溶剤としては、クロロホルム、ヘキサン、エタノール等が挙げられる。脂溶性脂肪酸又はその誘導体の使用量は、担体重量に対して1〜100%、特に5〜50%が好ましい。接触温度は0〜100℃、特に20〜60℃が好ましく、接触時間は5分〜5時間程度が好ましい。この処理を終えた担体は、乾燥してもよい。乾燥温度は室温〜100℃が好ましく、減圧乾燥を行ってもよい。
【0015】
本発明においては、DHA含有油脂に前記固定化酵素を作用させて加水分解することにより、DHA高含有油脂を製造する。反応の具体的態様としては、DHA含有油脂に固定化酵素を添加し、更に水を添加して、一定温度で攪拌しながら加水分解反応を行う方法、固定化酵素をカラム(固定床)に充填し、そこへDHA含有油脂と水の混合液を通液循環させる方法等がある。
【0016】
酵素分解に使用するDHA含有油脂としては、DHAを構成脂肪酸の一部に含んだトリグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライド及びこれらの混合物のいずれでもよい。一般的にはイワシ油、マグロ油、カツオ油等の魚油、鯨油等の海獣油が挙げられる。また市販されているDHA含有油脂を用いてもよい。
【0017】
反応に用いる固定化酵素量は、固定化酵素の活性を考慮して適宜決定することができるが、分解する油脂重量に対して1〜30%、特に5〜15%が好ましい。また水の量は、分解する油脂重量に対して、10〜200%、特に20〜100%が好ましい。水は、蒸留水、イオン交換水、水道水、井戸水等いずれのものでも構わない。必要に応じて、酵素の安定性が維持できるようにpH5〜7の緩衝液を用いてもよい。
【0018】
反応温度は、固定化酵素が失活せず、分解により生じた遊離脂肪酸が結晶とならない温度である20〜60℃、特に30〜45℃が好ましい。また反応は、空気との接触が出来るだけ回避されるように、不活性ガス存在下で行うことが望ましい。
【0019】
加水分解反応は、以下の式(1)で示される分解率によって管理し、所定の分解率に到達した時点で終了すればよい。分解率の上昇と共に、反応油中のジグリセライド、トリグリセライド中に蓄積されるDHAの含有率が増大する。
【0020】
式(1): 分解率(%)=反応油の酸価(AV)/原料油のケン化価(SV)×100
【0021】
なお、前記固定化酵素を使用した場合、固定化していない当該油脂分解用酵素を使用した場合では不可能であった高い分解率まで加水分解を行うことが可能であり、この非固定化酵素による到達分解率を超える分解率まで加水分解反応を行うのが好ましい。具体的には、分解率が60%以上となるまで、更には65%以上、特に70%以上となるまで加水分解を行うのが好ましい。
【0022】
以上の分解反応で得られた反応油は、遊離脂肪酸、モノグリセライド、ジグリセライド及びトリグリセライドを含んでいる。これらの混合物から遊離脂肪酸とモノグリセライドを除去することで、DHA高含有油脂を製造することができる。
【0023】
前記固定化酵素は、減圧、真空又は加熱による乾燥を経る通常の調製法により得られた固定化酵素と異なり、酵素の失活を招くこともなく、高い活性を有するものである。しかし、油脂の到達分解率の高さは、酵素活性の高さとは無関係であり、酵素を高活性化することで油脂分解速度は高まるが、到達分解率はほとんど変わらないものとされていた。また、上記通常の調製法で得られた固定化酵素では、固定化していない酵素よりDHA含有油脂の分解率を高めることもできない。これに対し本発明では、減圧、真空又は加熱による乾燥を経ることなく、グリセライドの接触で水分量を低減させた固定化酵素を使用することによって、DHA含有油脂の分解率を驚異的に高めることができるのである。これにより、魚油自体のようにDHA含有率が低い油脂を原料にした場合であっても、あらかじめウィンタリング等によってある程度DHA含有率を高めるといった、従来事実上の必須工程とされていた前処理を行わなくても、直接加水分解に付することで、反応油中のジグリセライド及びトリグリセライド中に蓄積されるDHAの含有率を、従来不可能であった程度まで高めることができる。
【0024】
【実施例】
以下の実施例及び比較例において、グリセライド組成の分析は、液体クロマトグラフィー〔GPCカラム;KF-801、KF-802(Shodex製),キャリア溶媒;THF〕を使用して行った。またDHA含有率は、サンプルをメチルエステル化し、キャピラリーガスクロマトグラフィー〔カラム;CP-Sil88(CHROMPACK製)〕で分析した。
【0025】
固定化酵素製造例1
Duolite A-568(Rohm and Hass社製)100gをN/10のNaOH溶液1L中で1時間攪拌した。濾過後、1Lの蒸留水で洗浄し、500mMの酢酸緩衝液(pH5)1LでpHを平衡化した。その後50mMの酢酸緩衝液(pH5)1Lで2時間ずつ2回平衡化を行った。濾過して担体を回収した後、エタノール500mLで置換を30分行った。濾過後、リシノール酸を100g含むエタノール溶液500mLと担体を30分間接触させた。濾過後、50mMの酢酸緩衝液(pH5)500mLで0.5時間ずつ4回緩衝液置換を行った。濾過後、10%濃度のCandida rugosa由来のリパーゼAYアマノ30G(天野エンザイム社製)溶液1000mLと室温で4時間接触させ、酵素の吸着を行った。吸着後、濾過を行い、50mMのリン酸緩衝液(pH7)500mLで0.5時間洗浄した。洗浄後濾過によって固定化酵素を回収した。この時の固定化酵素の残存水分量は、吸着担体重量に対して168%であった。
この固定化酵素に400gの菜種油を添加し、40℃、2時間攪拌した後、濾過して固定化酵素を回収した。固定化酵素の残存水分量は吸着担体重量に対して30%であった。
【0026】
固定化酵素製造例2
固定化酵素製造例1と同様にして得られた、菜種油に接触する前の固定化酵素(残存水分量168%対吸着担体重量)を、そのまま減圧乾燥した。この固定化酵素の残存水分量は、吸着担体重量に対して14%以下であった。
【0027】
実施例1
固定化酵素製造例1で得られた固定化酵素を、マグロ精製油(日本水産社製DDオイルタイプ3G;SV=180.4,DHA含有率22%)で洗浄した。
洗浄した固定化酵素10g(乾燥重量;乾燥することなく使用するが、乾燥した場合の重量をいう。この乾燥は、固定化酵素に対しアセトンによる洗浄・濾過、ヘキサンによる洗浄・濾過を3回繰り返した後、室温下ドラフトにて溶剤を揮発乾燥させることにより行う。以下同じ。)に対して、マグロ精製油を100g添加し、さらに蒸留水を60g添加した。窒素気流下で蒸発水を還流させながら反応温度40℃で攪拌し、反応を行った。
反応開始78時間後、式(1)で計算した分解率が73%に到達したところで、固定化酵素と反応液を遠心分離(6000rpm×30min)し、油層を得た。得られた油層を分子蒸留し、留分と主留(DHA高含有グリセライド)に分離した。留分は遊離脂肪酸とモノグリセライドを含み、主留はジグリセライドとトリグリセライドを含んでいた。原料油、反応終了油、留分及び主留のグリセライド組成及びDHA含有率を表1に示す。
【0028】
実施例2
実施例1において、DDオイルタイプ3Gに代え、ウィンタリング後精製したマグロ精製油(日本水産社製DHA-27;SV=182.4,DHA含有率27%)を用いる以外は同様にして、固定化酵素の洗浄及び加水分解を行った。
反応開始94時間後、式(1)で計算した分解率が71%に到達したところで、固定化酵素と反応液を遠心分離(6000rpm×30min)し、油層を得た。得られた油層のグリセライド組成を分析すると共に、TLCプレート展開(展開溶液;クロロホルム/アセトン/エタノール=95/4.5/0.5vol%)し、各画分を掻き取り、酢酸エチルで溶離し、脱溶剤したサンプルの脂肪酸組成を分析した。原料油、反応終了油及びジグリセライド、トリグリセライド画分中のグリセライド組成及びDHA含有率を表1に示す。
【0029】
実施例3
実施例1において、DDオイルタイプ3Gに代え、DHA含有油脂をウィンタリング後酵素分解し精製したDHA精製油(日本水産社製DHA-45;SV=182.4,DHA含有率45%)を用いる以外は同様にして、固定化酵素の洗浄及び加水分解を行った。
反応開始343時間後、分解率が65%に到達したところで、実施例2と同様にして遠心分離、TLCプレート展開して、グリセライド組成及びDHA含有率を分析した結果を表1に示す。
【0030】
比較例1
マグロ精製油(DDオイルタイプ3G)100gにCandida rugosa由来のリパーゼAYアマノ30Gを5g仕込み、蒸留水60gを添加し、窒素気流下で蒸発水を還流させながら40℃で攪拌し、反応を行った。
反応開始78時間後、式(1)で計算した分解率が59%になった。その後、24時間反応を継続したが、分解率の上昇はほとんどなかった。この反応液を遠心分離(6000rpm×30min)し、得られた油層を分子蒸留し、実施例1と同様にして、グリセライド組成及びDHA含有率を分析した結果を表1に示す。
【0031】
比較例2
比較例1において、原料油としてDHA-27を用いる以外は同様にして加水分解を行った。
反応開始94時間後、式(1)で計算した分解率が55%になった。その後、24時間反応を継続したが、分解率の上昇はほとんどなかった。この反応液を実施例2と同様にして遠心分離、TLCプレート展開して、グリセライド組成及びDHA含有率を分析した結果を表1に示す。
【0032】
比較例3
比較例1において、原料油としてDHA-45を用いる以外は同様にして加水分解を行った。
反応開始343時間後、式(1)で計算した分解率が56%になった。その後、24時間反応を継続したが、分解率の上昇はほとんどなかった。この反応液を実施例2と同様にして遠心分離、TLCプレート展開して、グリセライド組成及びDHA含有率を分析した結果を表1に示す。
【0033】
比較例4
固定化酵素製造例2で得られた固定化酵素10gに対して、DHA-45を100g添加し、さらに蒸留水を60g添加した。窒素気流下で蒸発水を還流させながら反応温度40℃で攪拌し、反応を行った。
反応開始343時間後、式(1)で計算した分解率が26%になった。この反応液を実施例2と同様にして遠心分離、TLCプレート展開して、グリセライド組成及びDHA含有率を分析した結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003847729
【0035】
表1より、DHA含有率の低い原料を用いても、従来にない高い分解率が達成でき、その結果、未分解グリセライドにDHAが高含有率で濃縮できることが示された。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、従来にない高い分解率でDHA含有油脂の加水分解を行うことが可能となり、そのためウィンタリングを必要とすることなく、DHA高含有油脂を製造することができる。これにより、ウィンタリング時の収率の低下が回避でき、また極低温用冷凍機等の高価な設備が不要になり、製造コストを下げることができる。また、ウィンタリング等であらかじめDHA含有率を高めた原料油を使用した場合にも、従来にない高濃度のDHA高含有油脂が1段の加水分解で製造することができる。

Claims (5)

  1. ドコサヘキサエン酸(DHA)を構成脂肪酸の一部とする油脂に酵素を作用させ加水分解してDHA高含有油脂を製造するに際し、当該酵素として、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着させた後、乾燥せずに、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより生起する加水分解反応で残存水分を消費させて酵素水分量を低減した固定化酵素を使用するDHA高含有油脂の製法。
  2. 請求項1記載の固定化酵素を使用し、固定化していない当該油脂分解用酵素を使用した場合における到達分解率を超える分解率まで加水分解反応を行うDHA高含有油脂の製法。
  3. 固定化用担体が、あらかじめ脂溶性脂肪酸又はその誘導体を吸着させたものである請求項1又は2記載のDHA高含有油脂の製法。
  4. 油脂分解酵素が、リパーゼである請求項1〜3のいずれかに記載のDHA高含有油脂の製法。
  5. リパーゼが、キャンディダ(Candida)属由来のものである請求項4記載のDHA高含有油脂の製法。
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