JP3847578B2 - プリント配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電源系ノイズや電磁放射の対策を施したプリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は第1従来例のプリント配線板を示す斜視図であり、同図において、1は電気絶縁材料からなるプリント基板、2はそのプリント基板1の片側全面に形成された電源系ベタ導体層であって、この電源系ベタ導体層2にはICやLSIが接続される。3は前記プリント基板1の反対側全面に形成されたGNDベタ導体層(アース導体層)である。
【0003】
すなわち、上記第1従来例のプリント配線板は、電源系のノイズや電磁放射を抑制するために、電源とGNDとの間の容量を増加させるべく、プリント基板1の片側全面に電源系ベタ導体層2を、その反対側全面にGNDベタ導体層3をそれぞれ形成し、電源系ベタ導体層2とGNDベタ導体層3との間の絶縁体層であるプリント基板1の厚さを薄くしたり、そのプリント基板1を高誘電率系の材料としたりすることで、プリント基板1内に高容量の平板コンデンサを構成し、バイパスコンデンサとして機能させるように構成されているものである。
【0004】
ここで、プリント基板1の電源系ベタ導体層2やGNDベタ導体層3に発生する共振現象は、(1)の式で示すように、波長λ、信号周波数f、信号伝搬速度Vの関係式で得られる前記波長λに対し、(2)の式のように、ベタ導体の長さLと波長λの関係を満たす周波数fで発生する。
【0005】
λ=V/f ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
L=n・λ/4[n=1,2,3・・・,n] ・・・・・(2)
【0006】
このようにベタ導体上に発生する共振現象が電源系ノイズや電磁放射の発生要因となることから、その対策の1つとして、例えば特開平4−290282号公報には、ビーズコアを実装したパターン構造のプリント配線板が開示されている。
【0007】
図7は特開平4−290282号公報に開示された第2従来例のプリント配線板を示す斜視図であり、図6と同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省く。
同図において、TIはプリント基板1に設けられた入力端子ピン、TOは同じくプリント基板1に設けられた出力端子ピン、4はプリント基板1上に実装されたビーズコアで、リード端子4A,4Bを有している。そして、前記入力端子ピンTIと前記ビーズコア4のリード端子4Bは、前記プリント基板1上に一連に形成されたパターン5,ベタパターン6,ランド7によって接続されている。また、前記出力端子ピンTOと前記ビーズコア4のリード端子4Aは、プリント基板1上に形成されたランド8で接続されている。
【0008】
このように、出力端子ピンTOからの信号が、ビーズコア4とベタパターン6とパターン5を介して入力端子ピンTIに伝送される構成とすることで、ベタパターン6とアース層3との間に所定の静電容量を発生させ、ビーズコア4における減衰効果の向上を図るというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプリント配線板は以上のように構成されているので、第1従来例の場合、単純にプリント基板1にコンデンサを形成しているにすぎず、このため、ノイズが持つ周波数成分の全てを抑制することが難しいという課題があった。また、第2従来例の場合、プリント基板1にICやLSIなどの電子部品を数多く実装するためには、その実装部品数に相当する数多くの入力端子ピンTIにノイズ対策を施すための多数のビーズコア(フェライトビーズ)4を必要とし、平板コンデンサ形成領域も増加するなど、実装領域の問題や実装コスト増加の問題が生じるという課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、プリント基板上の電源系導体に発生するノイズを効率的に抑制でき、その抑制対策による部品実装領域の低下問題や実装部品数の増加によるコスト増加問題が生じることのない信頼性の高いプリント配線板を得ることを目的とする。
【0011】
また、この発明は、インダクタンス成分を増加させ、高周波成分に対するインピーダンスを高くして、直流成分は同一電位接続の導体とし、高周波成分では分離導体とすることができるプリント配線板を得ることを目的とする。
【0012】
さらに、この発明は、ICやLSIなどの低速動作部品と高速動作部品とに分けて部品レイアウトし、その部品レイアウトを変更するだけでフェライトビーズを減少することが可能なプリント配線板を得ることを目的とする。
【0013】
さらに、この発明は、低速動作部品と高速動作部品の区分け及びその部品レイアウトの変更により、電源系導体層を減らすことができると共に、大容量コンデンサの実装数を少なくすることが可能なプリント配線板を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るプリント配線板は、プリント基板の片面に複数形成され、部品実装領域ごとに分離された島状の電源系ベタ導体層と、前記プリント基板の反対面の全面に形成されたGNDベタ導体層とを備え、前記各島状の電源系ベタ導体層の各辺の長さは、それら複数の島状の電源系ベタ導体層に実装される部品から発生される最高周波数成分の波長よりも十分に短く形成されたものである。
【0015】
この発明に係るプリント配線板は、島状の電源系ベタ導体層が同一電位の複数の電源系ベタ導体層からなり、その電源系ベタ導体層間が細いパターンで接続されているものである。
【0016】
この発明に係るプリント配線板は、同一電位の複数の電源系ベタ導体層間を接続する細いパターンにフェライトビーズを直列接続したものである。
【0017】
この発明に係るプリント配線板は、細いパターンに対してバイパスコンデンサの一端がフェライトビーズと並列に接続され、そのバイパスコンデンサの他端がViaでGNDベタ導体層に接続されたものである。
【0018】
この発明に係るプリント配線板は、片面に島状の電源系ベタ導体層が形成され、その反対面にはGNDベタ導体層が全面に形成された第1のプリント基板と、片面に島状の電源系ベタ導体層が形成された第2のプリント基板とを備え、前記第1のプリント基板の電源系ベタ導体層と前記第2のプリント基板の電源系ベタ導体層との相互が、細いパターンと径の細いViaを介して接続され、前記各島状の電源系ベタ導体層の各辺の長さは、それら複数の島状の電源系ベタ導体層に実装される部品から発生される最高周波数成分の波長よりも十分に短く形成されたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるプリント配線板を示す斜視図であり、図6および図7と同一の構成要素には同一符号を付して説明する。
図において、21,22はプリント基板1の片面に形成されて互いに分離する島状の電源系ベタ導体層である。これらの電源系ベタ導体層21,22を形成するにあたっては、それらに接続されるICやLSIなどの実装部品の動作周波数及び動作条件からノイズが発生する周波数成分の最高周波数を算出する。この最高周波数の波長λは、前述した(1)の式で求めることができる。
【0020】
そして、(1)の式で求めた最高周波数の波長λよりも十分に短いベタ導体の長さを決定し、その長さに設定された島状の電源系ベタ導体層21,22をプリント基板1の片面における部品実装領域ごとに分離させて複数形成したものである。なお、プリント基板1の反対面には従来例の場合と同様にGNDベタ導体層3が全面に形成されているものである。
【0021】
以上説明した実施の形態1によれば、ICやLSIなどの実装部品から発生する最高周波数成分の波長よりも長さが十分に短い島状の電源系ベタ導体層21,22をプリント基板1片面の部品実装領域ごとに分離して複数形成する構成としたので、ICやLSIのような低速動作部品と高速動作部品とに分けて前記電源系ベタ導体層21,22に実装することができ、このような部品レイアウトによって電源系ベタ導体層21,22の島の数を減らすことができるという効果がある。
【0022】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2によるプリント配線板を示す斜視図であり、図1と同一部分には同一符号を付して重複説明を省く。
図2において、23は同一電位である島状の電源系ベタ導体層21,22間を接続している細いパターンである。
【0023】
以上説明した実施の形態2によれば、同一電位の島状の電源系ベタ導体層21,22間を細いパターン23で接続するように構成したので、細いパターン23によるインダクタンスを増加させ、高周波成分に対するインピーダンスを高くすることができ、これにより、直流成分は同一電位接続とし、高周波成分では各島ごとに分離された導体層構造とすることができるという効果がある。
【0024】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3によるプリント配線板の分離斜視図であり、図1および図2と同一部分には同一符号を付して説明する。
図3において、1は第1のプリント基板であり、この第1のプリント基板1の片面には、島状の電源系ベタ導体層21と、これに接続した細いパターン23aとが一連に形成され、その反対面にはGNDベタ導体層3が全面に形成されているものである。
【0025】
10は第2のプリント基板、22Aはそのプリント基板10の片面に形成された島状の電源系ベタ導体層、23bはその電源系ベタ導体層22Aに接続された細いパターン、24は第1のプリント基板1上の細いパターン23aと第2のプリント基板10上の細いパターン23bとを接続している径の細いViaである。
【0026】
すなわち、1つのプリント基板上にICやLSIのような低速動作部品と高速動作部品を実装した場合、それらの実装部品から発生するノイズの周波数成分によっては、その高周波成分を分離できない場合があるため、その対策として、実施の形態3では、第1のプリント基板1と第2のプリント基板10とによって、電源系ベタ導体層21,22のそれぞれの島間を分離する構成としたものである。従って、かかる構成の実施の形態3によれば、いっそう効率的に高周波成分を分離できるという効果がある。
【0027】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4によるプリント配線板の平面図であり、図1から図3と同一または相当部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施の形態4では、同一のプリント基板1上に島状の電源系ベタ導体層21,22を複数に区分形成し、それらの電源系ベタ導体層21,22に細いパターン23a,23bを個々に接続形成し、そのパターン23a,23bとフェライトビーズ25とを直列接続することで、そのフェライトビーズ25によって、高周波成分を遮断する構成としたものである。なお、フェライトビーズ25のインピーダンス特性は、遮断するノイズの周波数成分に合わせて変更するものである。
【0028】
以上説明した実施の形態4によれば、同一のプリント基板1上で複数の区分形成された島状の電源系ベタ導体層21,22間を、細いパターン23a,23bとフェライトビーズ25との直列接続によって接続する構成としたことで、高周波成分の分離を強化することができるという効果がある。また、前記プリント基板1に実装する低速動作部品と高速動作部品の部品レイアウトを変更することにより、フェライトビーズ25の使用数を減少できるという効果がある。
【0029】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5によるプリント配線板の平面図であり、図4と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
図5において、26は細いパターン23aに接続されたバイパスコンデンサ、27はそのバイパスコンデンサ26とGNDベタ導体層3とを接続するGND接続用のViaである。
【0030】
すなわち、この実施の形態5では、前記実施の形態4によるプリント配線板の1つの細いパターン23aに対してバイパスコンデンサ26をフェライトビーズ25と並列に接続し、そのバイパスコンデンサ26をVia27でGNDベタ導体層3に接続するように構成したものである。
【0031】
このような構成の実施の形態5によれば、島状電源系ベタ導体層21,22間の高周波成分の分離をいっそう強化できるという効果がある。また、低速動作部品と高速動作部品とを区分実装し、その部品レイアウトを変更することで、電源系ベタ導体層21,22の数を減らすことができると共に、バイパスコンデンサ26とは別に、前記電源系ベタ導体層21,22に実装するICやLSIの電源供給を補助するための大容量コンデンサの実装数を少なくすることができるという効果がある。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、プリント基板の片面に複数形成され、部品実装領域ごとに分離された島状の電源系ベタ導体層と、前記プリント基板の反対面の全面に形成されたGNDベタ導体層とを備え、前記各島状の電源系ベタ導体層の各辺の長さは、それら複数の島状の電源系ベタ導体層に実装される部品から発生される最高周波数成分の波長よりも十分に短く形成されるように構成したので、ICやLSIなどの実装部品から発生する最高周波数成分の波長よりも長さが短い島状の電源系ベタ導体層を形成でき、ICやLSIのような低速動作部品と高速動作部品とに分けて前記電源系ベタ導体層に実装することができ、このような部品レイアウトの実施によって電源系ベタ導体層の島の数を減らすことができるという効果がある。
【0033】
この発明によれば、同一電位である複数の島状の電源系ベタ導体層間を細いパターンで接続するように構成したので、細いパターンによるインダクタンスを増加させ、高周波成分に対するインピーダンスを高くすることができ、これにより、直流成分は同一電位接続とし、高周波成分では各島ごとに分離された導体層構造にできるという効果がある。
【0034】
この発明によれば、同一電位である複数の島状の電源系ベタ導体層間を接続する細いパターンにフェライトビーズを直列接続するように構成したので、高周波成分の分離を強化することができるという効果がある。また、前記プリント基板に実装する低速動作部品と高速動作部品の部品レイアウトを変更することにより、フェライトビーズの使用数を減少できるという効果がある。
【0035】
この発明によれば、細いパターンに対してバイパスコンデンサの一端がフェライトビーズと並列に接続され、そのバイパスコンデンサの他端がViaでGNDベタ導体層に接続されるように構成したので、島状の電源系ベタ導体層間の高周波成分の分離をいっそう強化できるという効果がある。また、低速動作部品と高速動作部品とを区分実装し、その部品レイアウトを変更することで、電源系ベタ導体層の数を減らすことができと共に、前記電源系ベタ導体層に実装するICやLSIの電源供給を補助するための大容量コンデンサの実装数を少なくすることができるという効果がある。
【0036】
この発明によれば、片面に島状の電源系ベタ導体層が形成され、その反対面にはGNDベタ導体層が全面に形成された第1のプリント基板と、片面に島状の電源系ベタ導体層が形成された第2のプリント基板とを備え、前記第1のプリント基板の電源系ベタ導体層と前記第2のプリント基板の電源系ベタ導体層との相互が、細いパターンと径の細いViaを介して接続され、前記各島状の電源系ベタ導体層の各辺の長さは、それら複数の島状の電源系ベタ導体層に実装される部品から発生される最高周波数成分の波長よりも十分に短く形成されるように構成したので、ICやLSIなどの実装部品から発生する最高周波数成分の波長よりも長さが短い島状の電源系ベタ導体層を形成でき、ICやLSIのような低速動作部品と高速動作部品とに分けて前記電源系ベタ導体層に実装することができ、このような部品レイアウトの実施によって電源系ベタ導体層の島の数を減らすことができるという効果がある。
また、同一のプリント基板上の低速動作部品と高速動作部品とを実装した場合のように、高周波が分離できなくなるようなことがなく、その高周波成分を効率的に分離できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるプリント配線板の斜視図である。
【図2】 この発明の実施の形態2によるプリント配線板の斜視図である。
【図3】 この発明の実施の形態3によるプリント配線板の分離斜視図である。
【図4】 この発明の実施の形態4によるプリント配線板の平面図である。
【図5】 この発明の実施の形態5によるプリント配線板の平面図である。
【図6】 第1従来例のプリント配線板を示す斜視図である。
【図7】 第2従来例のプリント配線板を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 プリント基板および第1のプリント基板、3 GNDベタ導体層、10 第2のプリント基板、21,22 電源系ベタ導体層、23,23a,23b パターン、24 Via、25 フェライトビーズ、26 バイパスコンデンサ、27 Via。
Claims (5)
- 片面に電源系導体層を、その反対面にGND導体層を有するプリント配線板において、プリント基板の片面に複数形成され、部品実装領域ごとに分離された島状の電源系ベタ導体層と、前記プリント基板の反対面の全面に形成されたGNDベタ導体層とを備え、前記各島状の電源系ベタ導体層の各辺の長さは、それら複数の島状の電源系ベタ導体層に実装される部品から発生される最高周波数成分の波長よりも十分に短く形成されていることを特徴とするプリント配線板。
- 島状の電源系ベタ導体層は、同一電位の複数の電源系ベタ導体層からなり、その電源系ベタ導体層間が細いパターンで接続されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- 同一電位の複数の電源系ベタ導体層間を接続する細いパターンにはフェライトビーズが直列接続されていることを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
- 細いパターンに対してバイパスコンデンサの一端がフェライトビーズと並列に接続され、そのバイパスコンデンサの他端がViaでGNDベタ導体層に接続されていることを特徴とする請求項3記載のプリント配線板。
- 片面に電源系導体層を、その反対面にGND導体層を有するプリント配線板において、片面に島状の電源系ベタ導体層が形成され、その反対面にはGNDベタ導体層が全面に形成された第1のプリント基板と、片面に島状の電源系ベタ導体層が形成された第2のプリント基板とを備え、前記第1のプリント基板の電源系ベタ導体層と前記第2のプリント基板の電源系ベタ導体層との相互が、細いパターンと径の細いViaを介して接続され、前記各島状の電源系ベタ導体層の各辺の長さは、それら複数の島状の電源系ベタ導体層に実装される部品から発生される最高周波数成分の波長よりも十分に短く形成されていることを特徴とするプリント配線板。
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