JP3846968B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関し、更に詳細には、排泄物を簡易且つ衛生的に処理することができる吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、その名が示すように、使用後に廃棄することを意図してつくられたものであり、その廃棄方法は、使い捨ておむつ全体で排泄物を包み込むようにおむつを丸め、更に丸めた状態のおむつをテープファスナー等で止めてごみ箱等に廃棄するのが一般的である。
しかし、短期間とはいえ、おむつでくるんだ排泄物を家庭内のごみ箱に保存することは衛生上好ましいことではなく、また、室外においても、例えば公園などで使用済み使い捨ておむつがごみとして放置される等、環境衛生上の問題が生じている。
【0003】
また、使い捨ておむつの使用者あるいは介護者の中には、上述の問題点を軽減するために、便のような排泄物の固形部分をおむつから取り除いてトイレへ流した後、使い捨ておむつを廃棄する処理操作も行われている。
しかし、かかる処理操作は、通常使い捨ておむつを便器につけて流し落とすことにより行っているため、軟便等の粘着している便は剥がしにくく、その操作が煩雑であるとともに、上記処理者の手を汚すこととなり、使い捨ておむつの本質的な機能性に欠けることになる。また、かかる処理時には使い捨ておむつがトイレの中の水を吸収して重くなったり、液だれが生じるという不都合がある他、誤っておむつをトイレに流してしまい、排水管が詰まる原因となるという不都合もある。
【0004】
そこで、おむつの肌当接面を形成する層(表面シート又は該表面シート上に設けられた上面シート)を取り外し可能とし、該シートを取り外して、排泄物と一緒にトイレに流すことができるようにしてなる、排泄物の処理が容易な使い捨ておむつが提案されている。
例えば、特開平5−3889号公報には、水に溶解するシートに弾性部材を組み合わせたシートを有する使い捨ておむつが提案されているが、該シートは、排泄がなされた後の着用者の動きに十分耐え得る程度の湿潤強度と容易にトイレに廃棄可能な水分散性とを共有するものではなく、実用上不十分なものであった。
【0005】
また、特開平5−179548号公報には、湿潤強度と水分散性とを満足するシートが提案されているが、斯るシートは、そのバインダーとして不飽和カルボン酸系の高分子化合物を用いているため、重合時に残存したモノマーが肌に対して刺激を与えたり、不飽和化合物であるがゆえに長期保存中に変色しやすい等の欠点を有していた。
【0006】
従って、本発明の目的は、軟便等の排泄物を容易且つ衛生的に処理可能な使い捨ておむつ等の吸収性物品、具体的には、使用時の湿潤強度が高く、水洗トイレに廃棄した際に水に容易に分散し、身体に対する安全性が高く、更には長期の保存に対しても安定なシートを具備し、該シートにより排泄物を簡易且つ衛生的に廃棄処理することができる吸収性物品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、レーヨン繊維を有する繊維集合体を主成分とし、特定の水溶性バインダーを含有してなる水分散性シートで肌当接面を形成してなる吸収性物品が上記目的を達成しうることを知見した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体とを具備し、又は更に上記表面シート上に配された上面シートを具備する吸収性物品において、使用時に着用者の肌に当接する上記表面シート又は上記上面シートは、取り外し可能に配された水分散性シートから形成されており、該水分散性シートは、繊維長5〜25mm、繊維径0.5〜10デニールのレーヨン繊維を含んでなる繊維集合体を主成分とし、更に、下記物性1を有する水溶性バインダーを有してなり、該水溶性バインダーがポリエチレングリコールであることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
物性1:水溶性バインダーの0.4重量%水溶液の白濁温度が30〜60℃である。
【0009】
また、本発明は、上記水溶性バインダーの含有量が、上記水分散性シート全体中0.1〜30重量%である吸収性物品を提供するものである。
また、本発明は、上記レーヨン繊維は、繊維長10〜15mm、繊維径3〜10デニールのレーヨン繊維であり、上記繊維集合体は、該レーヨン繊維を50重量%以上含む吸収性物品を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸収性物品について詳細に説明する。
本発明の吸収性物品は、使用時に着用者の肌に当接する表面シート又は上面シートが特定の水分散性シートにより形成されていることを特徴とする。
【0011】
以下、先ず本発明の吸収性物品において用いられる上記の特定の水分散性シートについて説明する。
上記の特定の水分散性シートは、特定の繊維集合体を主成分とし、更に、特定の水溶性バインダーを有する水分散性シートである。
【0012】
上記水分散性シートにおいて主成分として用いられる上記の特定の繊維集合体は、繊維長5〜25mm、繊維径0.5〜10デニールのレーヨン繊維を含む繊維集合体である。
上記レーヨン繊維の繊維径が0.5デニール未満であると、繊維同士が絡み合って分散性が低下し、10デニールを超えると、風合いが低下する。また、繊維長が5mm未満であると、繊維の交絡が起こらず、使用に耐えうる強度を発現しない。また、25mmを超えると、トイレへ廃棄した時も交絡構造が解けず、水への分散性に劣る。さらに、湿潤強度と分散性を両立するより好ましい範囲は、繊維長10〜15mm、繊維径3〜10デニールである。
また、上記繊維集合体における上記レーヨン繊維の含有量は、繊維集合体全体中に50重量%以上であるのが好ましく、50〜90重量%であるのが更に好ましい。
即ち、本発明においては、上記レーヨン繊維は、繊維長10〜15mm、繊維径3〜10デニールのレーヨン繊維であり、上記繊維集合体は、該レーヨン繊維を50重量%以上含むのが好ましい。
【0013】
また、上記レーヨン繊維としては、繊維径7dで繊維長8mmの繊維、繊維径7dで繊維長12mmの繊維、繊維径7dで繊維長15mmの繊維等が挙げられ、このような繊維としては、「ダイワボウレーヨンSBA」〔大和紡績(株)製、商品名〕、「ファイバーエイト」〔興人(株)製、商品名〕、「トービス」〔東邦レーヨン(株)製、商品名〕、「サンクローネDX」〔東邦レーヨン(株)製、商品名〕、「マイルドスキンレーヨン」〔東邦レーヨン(株)製、商品名〕、「明星」〔富士紡績(株)製、商品名〕、「ジュンロン」〔富士紡績(株)製、商品名〕等の市販品を用いることもできる。
【0014】
また、上記繊維集合体においては、上記レーヨン繊維と他の繊維とを混合して用いることができる。この際用いることができる他の繊維としては、上記の繊維長及び繊度の範囲外のレーヨン繊維や、通常この種の不織布などに用いられる繊維を特に制限なく用いることができ、具体的には、パルプ、木綿等の天然繊維や、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維等が挙げられ、湿潤強度や風合いの観点から任意に選択可能である。
【0015】
また、本発明において用いられる上記の特定の水溶性バインダーは、下記物性1を有する水溶性バインダーである。
物性1:上記水溶性バインダーの0.4重量%水溶液の白濁温度が、30〜60℃であり、好ましくは35〜45℃である。
本発明においては、上記物性1を有する水溶性バインダーを用いているので、尿などの排泄物の温度(体温と同等の温度)では該水溶性バインダーが溶けず、水分散性シートの湿潤強度が保持されると共に、水洗トイレの水の温度(10〜20℃程度の温度)では、上記水溶性バインダーが溶けだして、水分散性シートが水中に分散される。即ち、上記水溶性バインダーを用いてなる上記水分散性シートは、使用時に必要な強度を確保すると共に廃棄に要する水分散性をも有するものである。上記白濁温度が30℃未満であると、冬場など水温が低い時に水分散性が劣化したり、水溶性バインダーを表面シート等に付与する工程で該水溶性バインダーが析出するといった問題を生じやすい。また、60℃を超えると、表面シート等に水溶性バインダーを付与する工程で水溶液での塗布が難しくなり、粉体での付与となれば飛散による作業環境の悪化、シートへの均一性が劣るなどの欠点が生じる。尚、上記白濁温度は、上記水溶液を通常の水温(20℃程度)から1℃/minの昇温条件で加熱した際に、白濁が観察される温度(通常の水温では白濁していないものを加熱していった際に白濁していることが観察される温度)である。
【0016】
水溶性バインダーとしては、上記白濁温度を有し、上述した繊維成分を架橋させるものとして、ポリエチレングリコールが用いられる。上記ポリエチレングリコールの重合度は、3,000〜10,000とするのが好ましい。
【0017】
上記水溶性バインダーの含有量は、上記水分散性シート全体中(重量の)0.1〜30重量%であり、好ましくは0.3〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。
上記水溶性バインダーの含有量が0.1重量%未満であると、シート強度が不十分となり、30重量%を超えると水解性が低下するとともに、風合いが悪化する場合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0018】
上記水分散性シートには、本発明の所望の効果を損なわない範囲で上記水溶性バインダーや上記金属の化合物以外の他の薬剤を適宜添加しても良い。この際用いることができる薬剤としては、液の拡散性を制御するための界面活性剤、汚れを付着しづらくするための撥水処理剤、おむつかぶれを防止するためのpH緩衝剤、各種抗菌剤等が挙げられる。
【0019】
上記水分散性シートは、例えば、通常なされるように、上記繊維集合体と上記水溶性バインダーとを所定の割合にて水中に分散させ、湿式抄紙する方法、予め作成した繊維集合体に、水溶性バインダー水溶液をスプレーやグラビア塗工して塗布する方法、あるいは上記レーヨン繊維と繊維状の上記水溶性バインダーとを混抄する方法等により、製造することができる。
【0020】
上記水分散性シートは、その湿潤強度(測定法は後述)がCD方向で100〜1000g/25mmであるのが好ましく、100〜300g/25mmであるのが更に好ましい。
また、坪量は、10〜100g/m2 であるのが好ましく、20〜50g/m2 であるのが更に好ましい。
【0021】
次いで、図面を参照して本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつについて詳述する。
ここで、図1は、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつの1形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開平面図であり、図3は、図1に示す使い捨ておむつの使用態様を示す斜視図である。
図4は、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつの他の形態を示す展開平面図である。
【0022】
図1及び図2に示す使い捨ておむつ1は、液透過性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート3と、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体4とを具備し、更に上記表面シート2上に配された上面シート9を具備する。
本形態の使い捨ておむつ1の構造について更に詳述すると、本形態の使い捨ておむつ1は、図1及び2に示すように、長手方向両端部側が幅広であり、中央部分が幅狭になされた、砂時計型となされている。
また、上記使い捨ておむつ1には、その長手方向に腹側及び背側のウエスト部5、5’が形成されており、左右両側部には一対のレッグ部6、6が形成されている。そして、該ウエスト部5、5’及び該レッグ部6、6には、それぞれ弾性部材7、・・・が配されている。また、上記使い捨ておむつ1は、その背側のウエスト部5’におむつ止着用のファスニングテープ8が配されてなる展開型の使い捨ておむつである。
【0023】
また、上記上面シート9は、上記表面シート2上に取り外し可能に配されており、該上面シート9により使い捨ておむつの肌当接面が形成されている。
上記上面シート9は、その全面が接着剤により上記表面シート2に取り外し可能に接着されている。
また、上記上面シート9は、長方形状であり、背側のウエスト部5’から腹側のウエスト部にかけて配置されている。尚、全面を接着する必要はなく、両端部のみを接着して、中間部分を接着せずに自由部分とすることもできる。
【0024】
上記上面シート9の幅は使い捨ておむつ1の幅の約30〜70%とするのが好ましく、特に吸収体4の股部分(レッグ部6、6間の部分)の最小幅より狭い方が吸収体4の吸収性能を有効に活用できるので好ましい。
また、本形態においては、上記上面シートの平面形状は、長方形状であるが、任意の形状とでき、上面シートが着用者の股部に良く密着できるように中間部分の幅を狭くして、前後両端部の幅が広い砂時計型とすることもできる。
【0025】
上記上面シート9を取り外し可能に配するには、剥離力が以下の範囲内となるように上記上面シートを上記表面シートに接着することが好ましい。即ち、乾燥時の剥離力が35〜150g/25mmであるのが好ましく、50〜100g/25mmであるのが更に好ましく、湿潤時の剥離力が25〜100g/25mmであるのが好ましく、25〜75g/25mmであるのが更に好ましい。
【0026】
上記剥離力が上記の範囲内であれば、着用時及び着用中に上記上面シート9が剥離することがなく、排泄後のおむつの廃棄時には容易に上面シート9を剥離して廃棄することができる。かかる剥離力は、用いる接着剤やその塗布量をコントロールして接着力を調節することにより容易に制御できる。
【0027】
尚、上記剥離力は下記の如くして測定できる。
上面シートと表面シートとが接着された部分を25mm幅で100mmの長さ切り出し、これを試料片とした。次いで、該試料片の一端部における上面シートと表面シートとをテンシロン引っ張り試験機に固定し、下記の条件で引っ張り、その強度を測定し、これを剥離力とした。
測定条件(乾燥時の剥離力の測定条件):
チャック間距離;50mm
引っ張り速度;300mm/min
温度及び湿度;20℃、60%RH
尚、湿潤時の剥離力は、上記試料片に水を飽和するまで浸み込ませた後上記測定条件にて行った。
【0028】
上記上面シート9の接着に用いられる上記接着剤としては、通常のホットメルト接着剤を特に制限なく用いることができる。尚、上記接着剤の塗布量等は、上述の剥離力の範囲を満足するように適宜調節するのが好ましい。
【0029】
尚、上記表面シート2、上記裏面シート3、上記吸収体4及び上記弾性部材7としては、それぞれ、通常使い捨ておむつに用いられているものを特に制限なく用いることができる。
【0030】
而して、本形態の使い捨ておむつ1は、使用時に着用者の肌に当接する上記上面シート9が、取り外し可能に配された上記水分散性シートから形成されている。即ち、本形態の使い捨ておむつ1は、上記上面シートが上記水分散性シートからなり、更には、上述したように取り外し可能に配されていることを特徴とする。
【0031】
そして、本形態の使い捨ておむつ1は、通常の使い捨ておむつと同様に製造し使用することができ、廃棄時においては下記の如くして廃棄処理することができる。
即ち、廃棄時においては、図3に示すように、上記上面シート9を使い捨ておむつ1から剥離させて、上面シート9を便器に廃棄する。次いで、上面シート9を廃棄した使い捨ておむつを、通常の廃棄態様と同様に丸め、ファスニングテープ8により丸めた状態で止着してゴミ箱などに廃棄することにより廃棄処理を行うことができる。
【0032】
本形態の使い捨ておむつ1は、上述の如く構成されているので、軟便などが排泄された場合でも、上面シートを取り外してトイレに流すことにより、上面シートを水に溶解・分散させて廃棄処理を行うことができる。このため、排泄物を簡易且つ衛生的に処理することができ、家庭内のゴミとして非衛生的な排泄物をゴミ箱などに保存する必要がなく、きわめて衛生的である。
【0033】
次いで、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつの他の形態について、図4を参照して説明する。
尚、以下の説明においては、上述した図1〜3に示す形態の使い捨ておむつと異なる点について特に説明する。特に詳述しない点については、上述した図1〜3に示す形態の使い捨ておむつと同様であり、上述した説明が適宜適用される。
【0034】
図4に示す形態の使い捨ておむつ1は、表面シート2が取り外し可能に配された上記水分散性シートから形成されている。
詳細には、上記表面シート2は、裏面シート3よりも小さく且つ吸収体4を覆える程度の大きさであり、吸収体4の全面を覆うように配されている。また、上記表面シート2及び上記裏面シート3とにより、ウエスト部5,5’及びレッグ部6,6の弾性部材7,7・・を挟持・固定している。
そして、上記表面シート2は、上記水分散性シートからなり、取り外し可能に配されている。上記表面シート2は、図1〜3に示す形態における上面シートと同様に、接着剤により上記剥離力の範囲内となるように接着されて、取り外し可能となされている。
【0035】
そして、本形態の使い捨ておむつにおいても、図1〜3に示す形態の使い捨ておむつと同様に製造でき、使用でき、更には廃棄処理できる。また、図1〜3に示す形態の使い捨ておむつと同じ効果を奏する。
【0036】
尚、本発明の吸収性物品は、上述の形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、使い捨ておむつ以外に、失禁パッドなどに適用することも可能である。
また、上述した図1〜3に示す形態において、上記上面シートのトイレへの廃棄性を向上させるために、上面シートの一部にミシン目や切り込みを入れておむつからの取り外し性を高めたり、両端部の少なくとも一方にタブをつけて持ちやすくするなどしてもよい。また、排泄物の拡散性を抑制するためにひだをつけてもよい。また、軟便や下痢便等の高粘性液を吸収しやすくするために開孔処理を施してもよい。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明の吸収性物品について更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、下記実施例1〜4は、参考例である。
【0038】
〔実施例1〜3〕
レーヨン繊維として、「ダイワボウレーヨンSBA」〔繊維径7d、繊維長8mmのもの(実施例1)、繊維径7d、繊維長12mmのもの(実施例2)、繊維径7d、繊維長15mmのもの(実施例3)〕を用いた。
このレーヨン繊維100重量部と、ポリビニルアルコール(ケン化度79.5、重合度約2000、白濁温度40℃)5重量部とをテスト抄紙機にて繊維濃度0.01重量%になるよう水中に分散させ、抄き上げて坪量30g/m2 のシートとし、これをパルプシートを介してプレス搾水し、ドライヤーで乾燥させて、水分散性シート(水溶性バインダーの含有量4.8重量%)を得た。
【0039】
次に、解繊されたパルプ繊維60重量部と高吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ソーダ架橋体粒子)100重量部を均一混合したウェブを坪量250g/m2 で積層し、得られた積層体を坪量19g/m2 のテイッシュで包み込んて吸収体を得た。
そして、坪量35g/m2 のポリエチレンシートを裏面シートとし、また、上記水分散性シートを表面シートとして、図4に示す使い捨ておむつを作成した。
【0040】
得られた使い捨ておむつについて、一般のモニター20人を対象に使用テストを行った。使用後、特に便処理後のおむつ表面の状態やごみ保管時の臭いの発生等が少なく、12人が非常に便利であり好き、5人がやや好きであるとの評価を得た。
【0041】
また、得られた水分散性シートについて、下記の各試験を行ったその結果を〔表1〕に示す。
【0042】
〔水分散性の評価方法〕
500mlビーカーに300mlの水を入れ、スターラーで600rpmに攪拌する。次いで、得られた水分散性シートを5cm×5cmにカットし、それを攪拌液中に投入して90秒後の分散状態を評価した。なお、分散性の評価においては、市販のトイレットペーパーを分散性良好なシートの基準として評価した。
○:分散性良好
△:分散性やや不良
×:分散性不良
【0043】
〔湿潤強度の評価方法〕
水分散性シートを25mm×100mmに裁断し、生理食塩水中に浸漬させた後、テンシロン引っ張り試験機を用いて、チャック間距離50mm、引張速度300mm/分の条件で測定した。
【0044】
〔風合いの評価方法〕
水分散性シートの感触について、女性モニター30人に手触りによって、下記評価基準に従って、官能評価試験を行ってもらい、この結果を風合いの評価とした。
尚、風合いの評価は、官能評価試験が「柔らかい」の場合を3ポイント、「やや硬い」の場合を2ポイント、「硬い」の場合を1ポイントとし、30人の平均で2.5を超えるものを○、2.0〜2.5を△、2.0に満たないものを×とした。
【0045】
〔実施例4〕
実施例1におけるポリビニルアルコールに代えて、ケン化度80、重合度約2000、白濁温度46℃のポリビニルアルコール5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、水分散性シートを得、得られた水分散性シートを用いて使い捨ておむつを作成した。
得られた使い捨ておむつについて上述の使用テストを行ったところ、10人が非常に便利であり好き、3人がやや好き、1人が嫌いとの評価を得た。
また、得られた水分散性シートについて、実施例1と同様の試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0046】
〔実施例5〕
実施例1におけるポリビニルアルコールに代えて、ポリエチレングリコール(白濁温度38℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、水分散性シートを得、得られた水分散性シートを用いて使い捨ておむつを作成した。
得られた使い捨ておむつについて上述の使用テストを行ったところ、7人が非常に便利であり好き、8人がやや好き、3人が嫌いとの評価を得た。
また、得られた水分散性シートについて、実施例1と同様の試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0047】
〔比較例1〕
実施例1におけるレーヨン繊維の代わりに繊維径12d、繊維長12mmのレーヨン繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして、水分散性シートを得、得られた水分散性シートを用いて使い捨ておむつを作成した。
得られた使い捨ておむつについて上述の使用テストを行ったところ、2人が非常に便利であり好き、3人がやや好き、8人が嫌いとの評価を得た。
また、得られた水分散性シートについて、実施例1と同様の試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0048】
〔比較例2〕
実施例1におけるポリビニルアルコールに代えて、ケン化度約100、重合度約1700、水可溶ではあるが加熱によっては白濁を生じない(即ち、白濁温度が上述の範囲内ではない)ポリビニルアルコ−ル5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、水分散性シートを得、得られた水分散性シートを用いて使い捨ておむつを作成した。
得られた使い捨ておむつについて上述の使用テストを行ったところ、12人が嫌いとの評価を得た。
また、得られた水分散性シートについて、実施例1と同様の試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品は、軟便等の排泄物を容易且つ衛生的に処理可能なもの、具体的には、使用時の湿潤強度が高く、水洗トイレに廃棄した際に水に容易に分散し、身体に対する安全性が高く、更には長期の保存に対しても安定なシートを具備し、該シートにより排泄物を簡易且つ衛生的に廃棄処理することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつの1形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開平面図である。
【図3】図3は、図1に示す使い捨ておむつの使用態様を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつの他の形態を示す展開平面図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5、5’ ウエスト部
6 レッグ部
7 弾性部材
8 ファスニングテープ
9 上面シート
Claims (3)
- 液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体とを具備し、又は更に上記表面シート上に配された上面シートを具備する吸収性物品において、
使用時に着用者の肌に当接する上記表面シート又は上記上面シートは、取り外し可能に配された水分散性シートから形成されており、該水分散性シートは、繊維長5〜25mm、繊維径0.5〜10デニールのレーヨン繊維を含んでなる繊維集合体を主成分とし、更に、下記物性1を有する水溶性バインダーを有してなり、該水溶性バインダーがポリエチレングリコールであることを特徴とする吸収性物品。
物性1:水溶性バインダーの0.4重量%水溶液の白濁温度が30〜60℃である。 - 上記水溶性バインダーの含有量が、上記水分散性シート全体中0.1〜30重量%であることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
- 上記レーヨン繊維は、繊維長10〜15mm、繊維径3〜10デニールのレーヨン繊維であり、上記繊維集合体は、該レーヨン繊維を50重量%以上含むことを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
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