JP3845654B1 - 噴霧装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性を確保しつつ、広範囲で発生した粉塵を効率よく捕捉できる、噴霧装置を提供する。
【解決手段】粉塵装置10は、噴霧対象物へ向けて霧を渦状に噴霧するものであり、一つの回転軸を中心として同一円上を回転する複数の噴霧ノズル38と、噴霧ノズル38へ加圧空気と加圧水との混合体を供給する気液供給部16と、噴霧ノズル38を所定回転数で回転させる回転駆動部18とを備えている。回転駆動部18によって複数の噴霧ノズル38を同一円上で回転させると、各噴霧ノズル38から噴霧された霧が混ざり合う領域において渦流が発生する。したがって、この渦流領域Sでは、粉塵が霧に巻き込まれて効率よく捕捉される。
【選択図】図1

Description

本発明は、建造物の解体現場で発生する粉塵等の飛散を抑えるために、または、道路等で発生する霧を抑えるために、粉塵または霧等の噴霧対象物へ向けて霧を渦状(トルネード状)に噴霧する、噴霧装置に関する。
鉄筋コンクリート建造物の解体現場では、解体作業に伴って大量の粉塵が発生するが、この粉塵が風に乗って飛散すると、周辺環境を汚染したり、近隣住民の健康を害したりするおそれがある。このような粉塵の飛散を抑えるために、散水ホースを持った作業員を現場に配備して散水作業に当たらせることも考えられるが、この場合には、作業員の安全を確保することが困難であり、事故の危険性がある。
そこで、従来では、解体作業に用いられるバックホー等の重機に噴霧ノズルまたは散水ノズルを取り付け、これらを運転席から遠隔操作することによって粉塵発生箇所へ噴霧または散水するようにしていた(特許文献1、2参照)。
実開平7−006406号公報 特開平9−125709号公報
特許文献1または2に記載された従来技術では、重機に取り付けられた噴霧装置または散水装置から安全に噴霧または散水することができるものの、粉塵の捕捉効率は十分ではなかった。つまり、噴霧装置または散水装置を用いて霧または水を遠くまで飛ばすには、噴霧圧または散水圧を高くする必要があるが、噴霧圧または散水圧を高くすると、霧または水によって粉塵が押し退けられてしまうため、粉塵を効率よく捕捉することができなくなる。一方、噴霧装置または散水装置と粉塵発生箇所との距離を短く設定して噴霧圧または散水圧を低くすると、広範囲で発生した粉塵を捕捉するのが困難になる。
それゆえに、この発明の主たる課題は、安全性を確保しつつ、広範囲で発生した粉塵を効率よく捕捉できる、噴霧装置を提供することである。
請求項1に記載した発明は、「噴霧対象物へ向けて霧を渦状に噴霧する噴霧装置10であって、一つの回転軸を中心として同一円上を所定の回転数で回転する複数の噴霧ノズル38を有する噴霧部14、加圧空気と加圧水とを混合して水を微粒化するとともに、この微粒化された水と空気との混合体を前記噴霧部14の前記噴霧ノズル38へ与える気液供給部16、前後両端部が開放されており、前記複数の噴霧ノズル38が前方へ向いた状態で前記噴霧部14を収容する円筒状の外側ケーシング20、および前記外側ケーシング20の後端部に挿入されており、前記外側ケーシング20との間に環状の空気流路74を構成する円筒状の内側ケーシング22を備え、前記噴霧ノズルの前記回転軸と前記外側ケーシングの軸とが一致している、噴霧装置。」である。
モータ等によって複数の噴霧ノズル38を同一円上で回転させると、各噴霧ノズル38から噴霧された霧が混ざり合う領域Sにおいて渦流(トルネード)が発生する。したがって、この渦流領域Sでは、粉塵が霧中に巻き込まれることとなり、粉塵の捕捉効率が飛躍的に向上する。
また、外側ケーシング20と内側ケーシング22との間に空気流路74が構成されており、この空気流路74から外側ケーシング20の内部に空気が取り込まれる。外側ケーシング20の前端部では、複数の噴霧ノズル38から噴霧されることによって負圧が生じるので、空気流路74から外側ケーシング20の内部に取り込まれた空気は、負圧に引かれて外側ケーシング20の前端部から前方へ排出されることとなり、噴霧ノズル38から噴霧された霧は、この空気によって整流されることになる。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した「噴霧装置10」において、「前記複数の噴霧ノズル38の前記回転軸に対する傾斜角α(図7)および噴霧角β(図4)は、噴霧された霧が前記回転軸を中心とする領域Sにおいて互いに混ざり合うように設定されている」ことを特徴とする。
この発明は、複数の噴霧ノズル38の回転軸に対する傾斜角α(図7)または噴霧角β(図4)を適切に設定することによって、各噴霧ノズル38から噴霧された霧が混ざり合うようにしたものである。
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した「噴霧装置10」において、「前記内側ケーシング22の前端部には、後端部から流入した空気を遮断するための遮蔽板76が設けられている」ことを特徴とする。
なお、この発明の説明で用いる「前」の語は、噴霧ノズル38が向けられる方向、すなわち噴霧対象物がある方向を意味し、「後」の語は、その逆の方向を意味するものとする。
請求項1〜3に記載した発明によれば、噴霧対象物へ向けて霧を渦状に噴霧することができるので、粉塵等を巻き込みながら効率よく捕捉できる。したがって、噴霧装置と粉塵等の発生箇所との距離を長く設定した場合でも、粉塵等の捕捉効率の低下を招くことはなく、広範囲で発生した粉塵等を効率よく捕捉できる。
また、空気流路から外側ケーシングの内部に取り込まれた空気によって噴霧ノズルから噴霧された霧を整流することができるので、霧が不所望に拡散されるのを防止できる。
図1は、本発明が適用された噴霧装置10を示す断面図であり、図2は、噴霧装置10を示す側面図である。この噴霧装置10は、図3に示すように、建造物の解体現場で発生する粉塵等の飛散を抑えるために、解体専用機またはバックホー等の重機12に取り付けて用いられるものである。
噴霧装置10は、図1および図2に示すように、噴霧部14と、気液供給部16と、回転駆動部18と、外側ケーシング20と、内側ケーシング22とを備えている。
噴霧部14は、粉塵等の噴霧対象物に対して霧を渦状に噴射する部分であり、回転ブロック24と、複数のノズル部26とによって構成されている。
回転ブロック24は、回転駆動部18によって回転される略円柱状のブロック体であり、回転ブロック24の軸方向後端面には、気液供給部16と接続される入口28が形成されており、回転ブロック24の軸方向前端部外周面には、ノズル部26が接続される複数(この実施例では4つ)の出口30が放射状に延びて形成されている。また、回転ブロック24の前端面には、碗型の整流部材32が配設されており、回転ブロック24の内部には、入口28と各出口30とを連通する連通路33が形成されている。そして、連通路33の内部には、回転軸管34の前端部が入口28から挿入されて固定されており、さらに、連通路33の内部における回転軸管34の前方には、液体を微粒化するワーラー35が配設されている。
各ノズル部26は、空気と水との混合体を通す管状のアーム36と、アーム36の前端部に取り付けられた噴霧ノズル38とによって構成されている。アーム36は、回転軸に直交する方向へ延びる径方向アーム部36aと、回転軸に対して略平行に延びる軸方向アーム部36bとによって略L状に構成された管状部材であり、径方向アーム部36aの端部が回転ブロック24の出口30に接続されており、軸方向アーム部36bの端部に噴霧ノズル38が接続されている。したがって、回転ブロック24が回転されると、複数の噴霧ノズル38が一つの回転軸を中心として同一円上を回転することになる。
噴霧ノズル38の回転軸に対する傾斜角α(図7)および噴霧角β(図4)は、各噴霧ノズル38から噴霧された霧が回転軸を中心とする領域S(図4)において互いに混ざり合うように設定されており、発明者等の実験によれば、傾斜角αが0〜60度程度(図1実施例では0度)であり、かつ、噴霧角βが15〜20度程度(図4)のときに、良好に混ざり合うことが分かった。
気液供給部16は、気液混合ブロック40と、加圧水供給管42と、2本の加圧空気供給管44とによって構成されている。
気液混合ブロック40は、略円筒状の本体部46を有しており、本体部46の内部には、加圧空気と加圧水とを混合する気液混合室48が形成されている。また、本体部46の後端面には、気液混合室48に連通する水供給口50が形成されており、本体部46の後端部外周面には、気液混合室48に連通する複数(この実施例では2つ)の空気供給口52が形成されており、水供給口50には、オリフィス54が形成されている。さらに、本体部46の内部であって気液混合室48の前方には、ボールベアリング56が配設されており、このボールベアリング56によって回転ブロック24に固定された回転軸管34の後端部が回転自在に支持されている。
そして、気液混合ブロック40の水供給口50に加圧水供給管42の前端部が接続されており、加圧水供給管42の後端部に管継ぎ手58を介して高圧給水ホース60が接続されている。また、気液混合ブロック40の各空気供給口52に加圧空気供給管44の前端部が接続されており、加圧空気供給管44の後端部に管継ぎ手62を介して高圧給気ホース64が接続されている。
回転駆動部18は、複数の噴霧ノズル38(噴霧部14)を所定回転数で回転させるものであり、噴霧部14を構成する回転ブロック24の外周面に設けられたギヤ66と、ギヤ66と噛み合ったウォームギア68と、ウォームギア68に回転力を付与するモータ70とによって構成されており、モータ70の回転数がウォームギア68で減速される。なお、モータ70の回転数を減速させる手段としては、ウォームギア68に代えて、複数のギアによって構成された変速機を用いてもよい。発明者等の実験によれば、ギア66の回転数、すなわち噴霧部14の回転数が10〜15rpm(回転/分)のときに、安定した渦流が発生することが分かった。
そして、噴霧部14、気液供給部16および回転駆動部18が、外側ケーシング20と内側ケーシング22とによって構成された保護ケーシング72の内部に収容されている。
外側ケーシング20は、前後両端部が開放された円筒状の部材であり、外側ケーシング20の口径は、複数の噴霧ノズル38が描く回転円直径よりもやや大きく設定されており、外側ケーシング20の後端部は、空気を効率よく取り込むために、ラッパ状に拡径されている。また、外側ケーシング20の長さは、少なくとも噴霧部14を収容できる程度に設定されている。そして、外側ケーシング20の軸に複数の噴霧ノズル38の回転軸が一致するようにして、外側ケーシング20の前端部に複数の噴霧ノズル38が前方へ向けて収容されている。
内側ケーシング22は、外側ケーシング20の後端部に挿入される円筒状の部材であり、内側ケーシング22の口径は、外側ケーシング20との間に環状の空気流路74を構成し得るように外側ケーシング20の口径よりも小さく設定されており、内側ケーシング22の長さは、少なくとも気液供給部16を収容できる程度に設定されている。また、内側ケーシング22の前端部には、後端部から流入した空気を遮断するための遮蔽板76が設けられており、内側ケーシング22の内側に回転駆動部18のモータ70が配設されている。そして、外側ケーシング20と内側ケーシング22とが、空気流路74に放射状に配設された複数のスペーサ78(図2)によって互いに接合されている。
このような噴霧装置10は、図3に示すように、モータによって角度変更自在に回動される台座80を介して重機12の所定位置に取り付けられ、噴霧装置10および台座80を遠隔操作する操作装置(図示省略)が重機12の運転席に配設される。また、重機12の所定位置には、粉塵発生箇所の粉塵濃度を測定する粉塵センサー82が取り付けられ、粉塵センサー82からの出力信号に基づいて噴霧装置10が自動起動するように構成される。
噴霧装置10が操作装置(図示省略)または粉塵センサー82からの信号に基づいて起動されると、気液供給部16の気液混合室48に高圧水(流量:27.2L/h)および高圧空気(気圧:0.46MPa、流量:306L/min)が供給され、気液混合室48において水が微粒化される。つまり、オリフィス54を通して急膨張した水に高圧空気が高速で混入されることによって、その水が微粒化される。そして、この水と空気との混合体が噴霧部14に与えられ、ワーラー35によって水がさらに微粒化された後、アーム36を通して各噴霧ノズル38から噴霧される。また、回転駆動部18によって噴霧部14が所定回転数(10〜15rpm)で回転される。したがって、各噴霧ノズル38から噴霧された霧は、図4に示すように、互いに混ざり合う領域Sにおいて渦流となって噴霧対象領域へ与えられ、噴霧対象領域の粉塵が渦流に巻き込まれて効率よく捕捉される。
このとき、外側ケーシング20の前端部では、噴霧ノズル38から噴霧されることによって負圧が生じるので、空気流路74から外側ケーシング20の内部に取り込まれた空気は、負圧に引かれて外側ケーシング20の前端部から前方へ排出されることとなり、噴霧ノズル38から噴霧された霧は、この空気によって整流される。したがって、噴霧ノズル38から噴霧された霧が不所望に拡散されるのを防止でき、渦流を安定して確実に発生させることができる。
なお、上述の実施例では、噴霧部14において「4つ」のノズル部26を用いるようにしているが(図2)、ノズル部26の数は「複数」であればよく、図5に示すように「2つ」でもよいし、図6に示すように「8つ」でもよい。
また、噴霧ノズル38としては、図7に示すように、角度調整可能なものを用いるようにしてもよい。ただし、この場合には、設定した角度を保持するために、ネジ等のような固定手段(図示省略)で噴霧ノズル38を固定する必要がある。
また、上述の実施例では、回転駆動部18の動力源としてモータ70を用いるようにしているが(図1)、モータ70に代えて、図8に示すような加圧水または加圧空気を利用した回転機構84を用いるようにしてもよい。この回転機構84は、噴霧部14を構成する回転ブロック24の外周面に設けられた羽根86と、羽根86を覆うケーシング88と、羽根86に加圧水または加圧空気を供給する流体供給管90とによって構成されている。そして、流体供給管90からケーシング88の内部に取り込まれた加圧水または加圧空気が羽根86に所定圧力で吹き付けられ、この圧力で羽根86が回転されることによって、噴霧部14が所定回転数(10〜15rpm)で回転される。
さらに、上述の実施例では、気液供給部16において加圧空気と加圧水とを混合するようにしているが、加圧水には、必要に応じて、接着剤、除菌剤、防腐剤または消臭剤等の薬剤を予め混入しておくようにしてもよい。
本発明に係る噴霧装置10は、「建造物の解体現場における粉塵の捕捉」の他、以下の分野で利用可能である。
Figure 0003845654
噴霧装置を示す断面図 噴霧装置を示す側面図 噴霧装置の使用状態を示す図 渦流の発生状態を示す図 ノズル部の数を2つにした状態を示す図 ノズル部の数を8つにした状態を示す図 噴霧ノズルの変形例(角度調整可能)を示す図 回転駆動部の変形例(回転機構)を示す図
符号の説明
10… 噴霧装置
12… 重機
14… 噴霧部
16… 気液供給部
18… 回転駆動部
20… 外側ケーシング
22… 内側ケーシング
24… 回転ブロック
26… ノズル部
32… 整流部材
33… 連通路
34… 回転軸管
35… ワーラー
36… アーム
36a… 径方向アーム部
36b… 軸方向アーム部
38… 噴霧ノズル
40… 気液混合ブロック
42… 加圧水供給管
44… 加圧空気供給管
48… 気液混合室
50… 水供給口
52… 空気供給口
54… オリフィス
56… ボールベアリング
58,62… 管継ぎ手
66… ギア
68… ウォームギア
70… モータ
72… 保護ケーシング
74… 空気流路
76… 遮蔽板
78… スペーサ
84… 回転機構
86… 羽根
88… ケーシング
90… 流体供給管

Claims (3)

  1. 噴霧対象物へ向けて霧を渦状に噴霧する噴霧装置であって、
    一つの回転軸を中心として同一円上を所定の回転数で回転する複数の噴霧ノズルを有する噴霧部、
    加圧空気と加圧水とを混合して水を微粒化するとともに、この微粒化された水と空気との混合体を前記噴霧部の前記噴霧ノズルへ与える気液供給部、
    前後両端部が開放されており、前記複数の噴霧ノズルが前方へ向いた状態で前記噴霧部を収容する円筒状の外側ケーシング、および
    前記外側ケーシングの後端部に挿入されており、前記外側ケーシングとの間に環状の空気流路を構成する円筒状の内側ケーシングを備え、
    前記噴霧ノズルの前記回転軸と前記外側ケーシングの軸とが一致している、噴霧装置。
  2. 前記複数の噴霧ノズルの前記回転軸に対する傾斜角および噴霧角は、噴霧された霧が前記回転軸を中心とする領域において互いに混ざり合うように設定されている、請求項1記載の噴霧装置。
  3. 前記内側ケーシングの前端部には、後端部から流入した空気を遮断するための遮蔽板が設けられている、請求項1または2記載の噴霧装置。
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