JP3845606B2 - 光変調装置及び光変調方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調装置及び光変調方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、高速・高密度波長分割多重光伝送システムでは、光ファイバ損失を補償し、長距離伝送を実現するため、光ファイバ増幅器を伝送装置や中間中継器に設置している。受信側での信号対雑音比を適切に保ちつつ、中間中継器の間隔を大きく取るためには、光ファイバに入力する光電力を大きくする必要がある。しかし、光ファイバに入力する光電力を大きくすると、光ファイバの非線形光学効果が伝送特性に大きく影響を与える。特に、高密度波長分割多重伝送においては、XPM(Cross Phase Modulation)効果が問題となる。XPMは、波長の異なる光信号が光ファイバ中を伝播する際に、分散により群速度が異なるものの、少しの時間だけ同時に光ファイバ中を走行することによって互いにインターラクションを起こし、波形を劣化させてしまう効果である。
【0003】
このXPMによる波形の劣化について、研究が進められている。例えば、NRZ(Non Return to Zero)符号よりRZ(Return to Zero)符号の方が、XPMに対する劣化が少ないという報告がされている(非特許文献1参照)。この報告に示されているように、高速・高密度波長分割多重光伝送システムにおいて、光ファイバ増幅器を用いた長距離伝送を行うためには、RZ符号が適していることが分かっている。
【0004】
そのため、NRZ/RZ変換器が、データ信号とクロック信号をNRZ/RZ変換してRZ符号の出力信号とし、駆動回路が、そのRZ符号の出力信号を駆動信号として光強度変調器を駆動するという光変調装置が採用されている(特許文献1参照)。この光変調装置では、光強度変調器が、光源から入力された光をRZ符号の駆動信号により変調し、RZ符号の光信号に変調する。このような従来の光変調装置は、RZ符号の光信号を出力できるため、XPM対策に有効である。
【0005】
【非特許文献1】
エム・スヤマ(M Suyama)、外3名,「オプティカル・ファイバー・コミュニケーション(Optical Fiber Communication)1996テクニカル・ドキュメント(Technical Document)PD26」,1996年2月29日,p.1−5
【特許文献1】
特開2001―147411号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光変調装置では、光強度変調器、NRZ/RZ変換器及び駆動回路がRZ符号で動作するため、それらが広い周波数帯域を有する必要があった。そして、そのような広帯域の光強度変調器は、動作するために、狭帯域の光強度変調器より高い変調電圧が必要であった。更に、広帯域の光強度変調器を駆動させる駆動回路も高速なものが必要であり、その出力振幅値も、狭帯域の光強度変調器を駆動させる駆動回路よりも大きな出力振幅値のものが必要であった。即ち、高電圧出力の駆動回路が必要であった。ところが、高速な駆動回路は、使用するトランジスタのサイズが小さく、耐圧が小さくなる傾向にある。そのため、高速かつ高電圧出力の駆動回路を構成することは、技術的に困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、光伝送信号としてRZ符号の光信号を出力して、XPMに対する劣化を抑えることができ、かつ、位相変調器が広い周波数帯域を有する必要がない光変調装置及び光変調方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光変調装置は、光をNRZI符号の駆動信号により駆動して位相変調する位相変調器と、該位相変調器から入力される位相変調されたNRZI符号の光信号を第1の光信号と第2の光信号とに分け、該第1の光信号と該第2の光信号とを合成して出力することにより、NRZI符号の光信号を強度変調する強度変調器とを備え、第1の光信号と第2の光信号の位相差を調整して、NRZI符号の光信号が変化しない時に強度変調した光信号の出力が消光状態となるように強度変調器の動作点を設定することを特徴とする。ここで、NRZI(Non Return to Zero Inverted)符号とは、生成多項式X+1で示される帰還シフトレジスタで生成される符号である。又、RZ符号とは、符号のビット時間長よりも短いパルスを送り出し、残りの間はパルスを送出しないで0の状態に戻る方式の符号である。
【0009】
このような本発明に係る光変調装置によれば、位相変調器がNRZI符号の駆動信号により光を駆動することにより、NRZI符号の光信号が生成され、強度変調器に入力される。そして、強度変調器が、入力される位相変調されたNRZI符号の光信号が変化しない時に、強度変調した光信号を出力しないようにすると、強度変調器から出力される光信号はRZ符号の光信号となる。そのため、強度変調器は、光伝送路に出力する光信号としてRZ符号の光信号を出力することができ、XPMに対する劣化を抑えることができる。
【0010】
更に、位相変調器は、NRZI符号の駆動信号により駆動されるため、位相変調器に要求される周波数帯域は、ナイキスト周波数の考え方(ナイキストの定理)により、データ信号ビット速度のおよそ半分でよい。そのため、位相変調器は、広い周波数帯域を有する必要がなく、高い変調電圧を必要としない。更に、位相変調器が広い周波数帯域を有する必要がない結果、位相変調器を駆動させる駆動回路として、高速、高電圧出力のものが必要とされない。そのため、高速かつ高電圧出力の駆動回路を構成することは、耐圧の関係から困難であるという問題も生じない。
【0011】
又、強度変調器として、位相変調器から入力される位相変調された光信号を第1の光信号と第2の光信号とに分け、その第1の光信号と第2の光信号とを合成して出力するものを用い、第1の光信号と第2の光信号の位相差を調整して、強度変調器の動作点をNRZI符号の光信号が変化しない時に強度変調器が強度変調した光信号の出力が消光状態となるように設定することが好ましい。これによれば、位相差を調整することにより、容易に強度変調器の動作点を設定することができる。
【0012】
又、その位相差の調整は、例えば、強度変調器に位相差の調整を行う位相調整部を設けることにより実現できる。又、光変調装置は、強度変調器の温度を制御することにより位相差の調整を行う温度制御部を設けてもよい。その場合、強度変調器は、強度変調した光信号を出力する第1の出力ポートと、その第1の出力ポートに出力する光信号と相補関係にある光信号を出力する第2の出力ポートとを備えるようにし、温度制御部は、その第2の出力ポートから出力される光信号に基づいて温度制御信号を生成し、生成した温度制御信号によって強度変調器の温度を制御することが好ましい。
【0013】
又、光変調装置は、位相変調器に入力する光の周波数を制御することにより位相差の調整を行う周波数制御部を設けてもよい。周波数制御部は、例えば、光の光源の温度を制御することにより、光の周波数を制御することができる。その場合、強度変調器は、強度変調した光信号を出力する第1の出力ポートと、その第1の出力ポートに出力する光信号と相補関係にある光信号を出力する第2の出力ポートとを備えるようにし、周波数制御部は、その第2の出力ポートから出力される光信号に基づいて温度制御信号を生成し、生成した温度制御信号によって光源の温度を制御することが好ましい。
【0014】
又、強度変調器として、強度変調した光信号を出力する第1の出力ポートと、その第1の出力ポートに出力する光信号と相補関係にある光信号を出力する第2の出力ポートを備えるものを用い、その第2の出力ポートが出力する光信号の光強度が最大となるように、強度変調器の動作点を設定することによっても、第1の光信号と第2の光信号の位相差を調整することができる。
【0015】
更に、光変調装置は、駆動信号の基礎となるデータ信号がNRZ符号の信号であった場合に、そのNRZ符号のデータ信号をNRZI符号の信号に変換するNRZ/NRZI変換器を備えることが好ましい。これによれば、光変調装置にNRZ符号のデータ信号が入力された場合であっても、駆動信号を生成する駆動回路にNRZI符号の信号を入力することができる。
【0016】
又、光変調装置は、強度変調器が出力する強度変調した光信号のスペクトル狭窄を行う光バンドパスフィルタを備えることが好ましい。これによれば、光変調装置は、光信号の波長をコンパクトにできる。そのため、光変調装置は、光ファイバの分散による影響を避けることができる。光バンドパスフィルタは、強度変調した光信号の両方の変調スペクトルサイドバンドを通過させることができる。この場合、光変調装置は、両側波帯方式(Double Side Band方式、以下「DSB方式」という)の変調ができる。その結果、復調が容易になる。
【0017】
又、光バンドパスフィルタは、強度変調した光信号の一方の変調スペクトルサイドバンドを、他方の変調スペクトルサイドバンドよりも多く通過させるようにしてもよい。この場合、光変調装置は、単側波帯方式(Single SideBand方式、以下「SSB方式」という)の変調ができる。SSB方式の変調は、DSB方式の変調に比べて半分の帯域幅しか用いない。そのため、光変調装置は、おおよそ2倍の伝送容量を達成することができる。
【0018】
又、強度変調器は、複数の位相変調されたNRZI符号の光信号を強度変調することが好ましい。これによれば、光変調装置は、1つの強度変調器で複数の光信号を強度変調することができる。そのため、光変調装置は、その小型化や低コスト化を図ることができる。
【0019】
又、本発明に係る光変調方法は、位相変調器が、光をNRZI符号の駆動信号により駆動して位相変調し、強度変調器が、位相変調器から入力される位相変調されたNRZI符号の光信号を第1の光信号と第2の光信号とに分け、該第1の光信号と該第2の光信号とを合成して出力することにより、NRZI符号の光信号を強度変調し、第1の光信号と第2の光信号の位相差を調整して、NRZI符号の光信号が変化しない時に強度変調した光信号の出力が消光状態となるように強度変調器の動作点を設定することを特徴とする。
【0020】
又、強度変調器は、位相変調器から入力される位相変調された光信号を第1の光信号と第2の光信号とに分け、その第1の光信号と第2の光信号とを合成して出力することにより強度変調し、第1の光信号と第2の光信号の位相差を調整することにより光信号の出力を消光状態とすることが好ましい。
【0021】
強度変調器は、位相差の調整を行う位相調整部を備え、その位相調整部により位相差の調整を行うことができる。又、強度変調器の温度を制御することにより、位相差の調整を行ってもよい。又、位相変調器に入力する光の周波数を制御することにより、位相差の調整を行ってもよい。又、強度変調器は、強度変調した光信号を第1の出力ポートに出力し、その第1の出力ポートに出力する光信号と相補関係にある光信号を第2の出力ポートに出力し、第2の出力ポートが出力する光信号の光強度を最大にすることによっても、第1の光信号と第2の光信号の位相差を調整することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る光変調装置100の構成を示すブロック図である。光変調装置100は、光源101と、位相変調器102と、マッハツェンダー干渉計103と、光バンドパスフィルタ104と、NRZ/NRZI変換器105と、駆動回路106とを備える。
【0024】
光源101は、出力する光1を位相変調器102に入力する。光源101は、例えば、単一縦モードで発振する半導体レーザ等を用いることができる。位相変調器102は、光源101から入力された光1をNRZI符号の駆動信号6により駆動して位相変調する。位相変調器102は、駆動回路106から位相変調器102に入力される駆動信号6により駆動され、位相変調を行う。位相変調器102は、位相変調して得られるNRZI符号の光信号7を、マッハツェンダー干渉計103に入力する。
【0025】
マッハツェンダー干渉計103は、位相変調器102から入力される位相変調されたNRZI符号の光信号7を強度変調する強度変調器である。マッハツェンダー干渉計103は、位相変調器102から入力される光信号7を第1の光信号と第2の光信号に分け、その第1の光信号と第2の光信号とを合成して出力する。図2は、マッハツェンダー干渉計103の構成を示す図である。マッハツェンダー干渉計103は、方向性結合器103aと、方向性結合器103bと、光導波路103cと、光導波路103dと、位相調整部103fとを備える。
【0026】
方向性結合器103aは、マッハツェンダー干渉計103に入力される光信号7を、2本の光導波路103c,103dに分岐する。即ち、方向性結合器103aは、光信号7を、光導波路103cに進む第1の光信号と、光導波路103dに進む第2の光信号とに分岐する。2本の光導波路103c,103dのうち、一方の光導波路103dは、他方の光導波路103cよりも長さがΔL103eだけ長い。
【0027】
方向性結合器103bは、2本の光導波路103c,103dに分岐された第1の光信号と第2の光信号とを合成し、光信号11を出力する。方向性結合器103bは、方向性結合器103bに入力される2本の光導波路103c,103dからの第1の光信号と第2の光信号との位相差が2kπ+π/2(kは整数)の場合、光信号11を透過して出力し、位相差が2kπ−π/2(kは整数)の場合、光信号11を遮断して、方向性結合器103bの出力が消光状態となるようになっている。
【0028】
光源101からマッハツェンダー干渉計103に入力される光1の強度をA0、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の光強度をAとする。マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の光強度Aは、次に示す(1)式で表すことができる。
【0029】
【数1】
(1)式において、β=(2×π×f×neff/C0)であり、fは光源101の周波数、C0は光速、neffは光導波路103c,103dの等価屈折率である。
【0030】
又、(1)式において、βΔL+Φの値は、方向性結合器103bに入力される2本の光導波路103c,103dからの第1の光信号と第2の光信号との位相差である。ΔLは、上述したように、一方の光導波路103dの長さを、他方の光導波路103cの長さよりも長く設定した分である。ここで、理論的には、2本の光導波路103c,103dからの第1の光信号と第2の光信号との位相差は、βΔLで表される。しかし、このΔLは、実際には数mm〜数10mmのオーダーでしか設定できず、位相差βΔLを所望の値にするために、ΔLを波長オーダー(ミクロン単位)で予め設定しておくことができない。即ち、ΔLを波長オーダー(ミクロン単位)で初期設定することができない。
【0031】
そのため、Φの値を調整して、2本の光導波路103c,103dから出力される第1の光信号と第2の光信号との位相差を所望の値にする。その結果、位相差は、実際には上述したようにβΔL+Φで表されることになる。よって、Φは、2本の光導波路103c,103dから出力される第1の光信号と第2の光信号との位相差を設定するΔLを、波長オーダー(ミクロン単位)で初期設定することができないことによる残留の位相分を示すパラメータである。
【0032】
図3は、駆動回路106から位相変調器102に入力される位相変調器102を駆動する駆動信号6が位相変調器102に入力されていない状態、即ち、光源101からの光1がそのままマッハツェンダー干渉計103に入力される状態におけるマッハツェンダー干渉計103の光の透過率と光の周波数との関係を示すグラフ図である。図3は、マッハツェンダー干渉計103のバイアス状態を説明するためのものである。図3に示すグラフの縦軸は、(1)式に基づいて求めたマッハツェンダー干渉計103の光透過率(A/A0)を表し、横軸は、光1の光周波数を表す。
【0033】
図3では、光源101からの光1がそのままマッハツェンダー干渉計103に入力されるため、マッハツェンダー干渉計103へ入力される光の光強度はA0となり、光透過率はA/A0で表される。図3において、光の透過率が最大となる光の周波数の値の間隔は、マッハツェンダー干渉計103の自由スペクトル空間(Free Spectral Range、以下「FSR」という)である。FSRは、次に示す(2)式の関係から計算でき、(3)式で表すことができる。
【0034】
【数2】
【数3】
位相調整部103fは、方向性結合器103bに入力される2本の光導波路103c,103dからの第1の光信号と第2の光信号との位相差の調整を行う。位相差の調整は、マッハツェンダー干渉計103の動作点が、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、出力が消光状態となるように設定されるよう行う。上述したように、方向性結合器103bは、2本の光導波路103c,103dからの第1の光信号と第2の光信号との位相差が2kπ+π/2(kは整数)の場合、光信号11を透過して出力し、位相差が2kπ−π/2(kは整数)の場合、光信号11を遮断して、方向性結合器103bの出力が消光状態となるようになっている。そのため、位相調整部103fは、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、位相差が2kπ−π/2(kは整数)となるように位相差を調整する。
【0035】
又、上述したように、位相差はβΔL+Φで表され、ΔLは予め設定されている。そのため、位相調整部103fは、Φを調整して、位相差の調整を行う。位相調整部103fは、例えば、ヒーター等を用いることができ、光導波路103dの途中に設けられる。そして、その位相調整部103fであるヒーターが、光導波路103dの温度を調節し、光導波路103dの長さを伸縮させることによって、Φを調整し、位相差の調整を行うことができる。
【0036】
NRZ/NRZI変換器105は、駆動信号6の基礎となるデータ信号2がNRZ符号の信号であった場合に、そのNRZ符号のデータ信号2をNRZI符号の信号に変換する。即ち、NRZ/NRZI変換器105は、光変調装置100に入力されるデータ信号2がNRZ符号であった場合に、そのNRZ符号のデータ信号2をNRZI符号の出力信号5に変換する電気回路である。ここで、NRZ符号とは、その時間長の間ずっとパルスを出し続け、電圧0に戻らない方式の符号である。NRZ/NRZI変換器105は、符号変換に、NRZ/NRZI変換器105に入力されるクロック信号3を用いる。
【0037】
図4は、NRZ/NRZI変換器105の構成を示す図である。NRZ/NRZI変換器105は、EX―OR(Exclusive―OR)回路105aと、1ビット遅延回路105bとを備える。1ビット遅延回路105bは、NRZ/NRZI変換器105が出力する出力信号5を1ビット遅延させる。1ビット遅延回路105bは、例えばクロック信号3をタイミング信号として用いるフリップフロップ回路により構成できる。尚、本実施形態においては、1ビット遅延回路105bの初期値は0とする。1ビット遅延回路105bは、NRZ/NRZI変換器105が出力する出力信号5を1ビット遅延させた1ビット遅延信号4を、EX―OR回路105aに入力する。
【0038】
EX―OR回路105aは、光変調装置100に入力されるデータ信号2と、1ビット遅延回路105bが、NRZ/NRZI変換器105が出力する出力信号5を1ビット遅延させた1ビット遅延信号4との排他的論理和を演算する。演算した結果が、NRZ/NRZI変換器105の出力信号5となる。EX―OR回路105aは、データ信号2と1ビット遅延信号4の値が同一の時は「0」、異なる時は「1」を演算結果として出力する。尚、上述したように、1ビット遅延回路105bの初期値は「0」となっているため、EX―OR回路105aは、最初(出力信号5がまだ出力されていない時)は初期値「0」と、データ信号2との排他的論理和を演算する。
【0039】
図5は、NRZ/NRZI変換器105に入力されるデータ信号2と、NRZ/NRZI変換器105が出力する出力信号5を示す図である。本実施形態では、データ信号2として、「01011001」というビット列を用いる。このデータ信号2がNRZ/NRZI変換器105に入力されると、出力信号5として、NRZI符号の「01101110」というビット列が得られる。NRZ/NRZI変換器105に入力されるデータ信号2のビット列をx(n)、NRZ/NRZI変換器105から出力される出力信号5のビット列をy(n)とすると、NRZ/NRZI変換器105が行う演算は、(4)式で表される。
【0040】
【数4】
(4)式の演算は、mod2の演算により行う。mod2の演算とは、0+0=0、1+0=1、0+1=1、1+1=0に従う演算である。
【0041】
駆動回路106から出力する駆動信号6は、位相変調器102を駆動する。駆動回路106は、NRZ/NRZI変換器105から入力される電気信号、即ち、NRZI符号の出力信号5を、増幅する電気回路である。駆動回路106は、出力信号5を増幅させたNRZI符号の駆動信号6で、位相変調器102を駆動する。上述したように、駆動信号6により駆動される位相変調器102は、光源101から入力される光1を変調し、光信号7を出力する。位相変調器102が変調することにより得られる光信号7は、次に示す(5)式で表すことができる。
【0042】
【数5】
(5)式において、Vは位相変調器102の駆動電圧、Vπは位相変調器102の半波長電圧、φ0は初期位相、tは時間である。尚、駆動回路106は、必ずしも最大Vπまで出力する必要はない。
【0043】
このように、位相変調器102は、NRZI符号の駆動信号6により駆動される。又、位相変調器102を駆動させる駆動回路106もNRZI符号の出力信号5を増幅し、NRZ/NRZI変換器105もNRZI符号の出力信号5を出力する。そのため、位相変調器102、駆動回路106、NRZ/NRZI変換器105を結合して要求される総合周波数帯域は、ナイキスト周波数の考え方(ナイキストの定理)により、データ信号2のビット速度をB(b/s)とすると、B/2(Hz)であればよい。例えば、40Gbit/secのビット速度のRZ符号の光信号11を得るためには、位相変調器102に要求される周波数帯域は、おおよそ20GHzであればよい。
【0044】
そのため、位相変調器102は、広い周波数帯域を有する必要がなく、高い変調電圧を必要としない。更に、位相変調器102が広い周波数帯域を有する必要がない結果、位相変調器102を駆動させる駆動回路106として、高速、高電圧出力のものが必要とされない。そのため、高速かつ高電圧出力の駆動回路を構成することは、耐圧の関係から困難であるという問題も生じない。
【0045】
次に、図6を用いて、駆動回路106、位相変調器102、マッハツェンダー干渉計103が、光源101から入力される光1を変調する方法を説明する。図6は、駆動回路106が位相変調器102を駆動させる駆動信号6と、位相変調器102が出力する位相変調された光信号7の位相状態と、マッハツェンダー干渉計103内部の2本の光導波路103c,103dが方向性結合器103bに入力する直前の第1の光信号8、第2の光信号9、即ち、光導波路103c,103dが出力する第1の光信号8、第2の光信号9の位相状態と、第1の光信号と第2の光信号との位相差10と、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の光強度の関係を説明する図である。
【0046】
尚、図6を用いた説明においては、説明を簡単にするために、マッハツェンダー干渉計103のFSRは、NRZ/NRZI変換器105に入力されるデータ信号2の1ビットタイムスロットTの逆数1/Tに設定する。また、位相変調器102を駆動させる駆動信号6の波形は三角波形とする。更に、位相変調器102が光信号7を出力する時間と、マッハツェンダー干渉計103が光信号11を出力する時間の差は0とする。即ち、図6に示すように、光信号7と光信号11は、同一タイムスロットで出力されるものとする。実際には、光信号7が、マッハツェンダー干渉計103を伝送する時間分の遅延があり、図6に示すように、同一タイムスロットにはならない。尚、NRZ/NRZI変換器105が出力する出力信号5のビット列は、図5に示す「01101110」を用いる。
【0047】
図6に示す駆動信号6の波形は、位相変調器102を駆動させる信号波形である。駆動信号6は、出力信号5を増幅したNRZI符号の電気信号である。上述したように、駆動信号6の波形は、三角波形であり、ランプ状に電圧が変化するものと仮定する。即ち、符号「0」から「1」へ電圧波形は直線状に上昇し、符号「1」から「0」へ電圧波形は直線状に下降するものとする。ここで、「0」は電圧0とし、「1」は、位相変調器102の半波長電圧Vπとする。
【0048】
図6に示す光信号7の波形は、位相変調器102が出力する位相変調された光信号7の位相状態の波形である。この光信号7の波形は、光源101から位相変調器102に入力される光1を、図6に示す駆動信号6により駆動させて得られる。この波形は、上述した(5)式で表される光信号7の位相状態を示す。ここで、(5)式における初期位相φ0は、説明の便宜上、0と仮定する。光信号7の位相は、図6に示すように、正弦波状に位相0からπ、あるいは、πから0に遷移する。
【0049】
図6に示す第1の光信号8、第2の光信号9の波形は、それぞれマッハツェンダー干渉計103の2本の光導波路103c,103dが出力する第1の光信号8、第2の光信号9の位相状態を示す波形である。第1の光信号8、第2の光信号9は、位相変調器102から入力される図6に示す光信号7を、分岐して得られる。図6に示すように、光導波路103dが出力する第2の光信号9は、光導波路103cが出力する第1の光信号8に比較して、1タイムスロット遅延している。即ち、光導波路103dが出力する第2の光信号9は、光導波路103cが出力する光信号8に比較して、1ビット分遅延している。
【0050】
又、光導波路103cが出力する第1の光信号8の位相状態は、光信号7の位相状態と同じであり、位相0からπの間で変化する。一方、光導波路103dが出力する第2の光信号9の位相状態は、図6に示すように、π/2から3π/2の間で変化する。これは、光導波路103dが出力する第2の光信号9の位相が、π/2から3π/2の間で変化するように、位相調整部103fが上述したΦの値を調整するためである。このように、第1の光信号8の位相は、位相0からπの間で変化するように光信号7の位相状態と同じとし、第2の光信号9の位相は、π/2から3π/2の間で変化するようにΦの値を調整して、第1の光信号8と、第2の光信号9の位相差を調整する。尚、マッハツェンダー干渉計103の光導波路103dが出力する第2の光信号9の1ビット目の位相は、π/2と仮定する。
【0051】
図6に示す光信号の位相差10は、光導波路103cが出力する第1の光信号8と、光導波路103dが出力する第2の光信号9との位相差である。即ち、マッハツェンダー干渉計103の方向性結合器103bに入力される2本の光導波路103c,103dからの第1の光信号8と第2の光信号9との位相差を示した波形である。図6に示すように、位相差10は、−π/2を中心として、+π/2から−3π/2までの値をとる。又、上述したように、第1の光信号8の位相は、位相0からπの間で変化するようにし、第2の光信号9の位相は、π/2から3π/2の間で変化するようにし、更に、第2の光信号9は光信号8に比較して、1ビット分遅延させることによって、第1の光信号8と、第2の光信号9の位相差10は、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、第1の光信号8と、第2の光信号9の位相差10が−π/2となるように調整されている。即ち、NRZI符号の光信号7が変化しない時、例えば、「1」が連続して続く時は、位相差10が−π/2となるように調整されている。
【0052】
図6に示す光信号11の波形は、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の光強度を示す波形である。マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の光強度は、(1)式より導出できる。その結果、第1の光信号8と、第2の光信号9の位相差10が−π/2の場合は、マッハツェンダー干渉計103の光信号11を遮断し、光信号11の出力は0(消光状態)となる。又、位相差10が+π/2或いは−3π/2の場合は、マッハツェンダー干渉計103は光信号11を透過し、光信号11の出力は1(出力状態)となる。そのため、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の波形は、図6に示す波形となる。
【0053】
ここで、位相変調器102がマッハツェンダー干渉計103に入力するNRZI符号の光信号7と、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11とを比較する。NRZI符号の光信号7が変化しない時、例えば、「1」が連続して続く時は、光信号11の出力は「0」となっており、消光状態になっている。一方、光信号7が変化する時、即ち、「0」から「1」へ、又は、「1」から「0」へ変化する時は、光信号11の出力は「1」となっており、出力状態となっている。
【0054】
このように、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、第1の光信号8と、第2の光信号9の位相差10が−π/2となるように位相差10を調整することによって、マッハツェンダー干渉計103の動作点を、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、マッハツェンダー干渉計103の出力が消光状態となるように設定できる。このように、マッハツェンダー干渉計103は、光導波路103dに位相調整部103fを設けて、位相差10を調整することによって、容易に動作点を設定することができる。
【0055】
尚、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の1ビット目、即ち、光信号11のビット列の先頭が「0」となっているのは、マッハツェンダー干渉計103の光導波路103dが出力する第2の光信号9の位相をπ/2と仮定したことによる。但し、マッハツェンダー干渉計103の光導波路103dが出力する第2の光信号9は、光導波路103cが出力する第1の光信号8よりも、1ビット遅延している。そのため、光信号9の1ビット目は、π/2の場合だけでなく、3π/2の場合もある。その場合には、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の1ビット目は、「1」となる。
【0056】
このように、マッハツェンダー干渉計103の動作点が、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、マッハツェンダー干渉計103の出力が消光状態となるように設定された結果、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11の波形は、図6に示すように、RZ符号となり、ビット列は、「01011001」となる。このビット列は、図5に示したNRZ/NRZI変換器105により、符号を変換する前のNRZ符号のデータ信号2のビット列と同一である。即ち、光変調装置100によれば、光変調装置100に入力されたNRZ符号のデータ信号2から、そのデータ信号2のビット列を変化させないまま、符号だけをRZ符号とした光信号11を得ることができる。その結果、光変調装置100は、RZ符号の光信号11を出力することができるため、XPMに対する劣化を抑えることができる。
【0057】
尚、図6を用いた説明においては、説明を簡単にするために、マッハツェンダー干渉計103は、FSRを、NRZ/NRZI変換器105に入力されるデータ信号2の1ビットタイムスロットTの逆数1/Tに設定し、第2の光信号9を第1の光信号8に比較して、1ビット分遅延させている。しかし、第2の光信号9の第1の光信号8からの遅延は、1ビット以下であれば、1ビットに限られない。マッハツェンダー干渉計103は、第2の光信号9を第1の光信号8に比較して、1ビット未満分遅延させた場合、1ビット分遅延させる場合に比べて、出力する光信号11の干渉雑音を小さくすることができる。
【0058】
次に、マッハツェンダー干渉計103は、出力する光信号11を光バンドパスフィルタ104に入力する。光バンドパスフィルタ104は、マッハツェンダー干渉計103から入力される光信号11のスペクトル狭窄を行う。マッハツェンダー干渉計103に次いで、光バンドパスフィルタ104を挿入することにより、光信号11の波長をコンパクトにでき、光ファイバの分散による影響を極力さけることができる。又、光変調装置100を波長分割多重システムの光変調装置として用いる場合、光バンドパスフィルタ104は、隣接する波長チャネルへの影響を防ぐことができる。光バンドパスフィルタ104としては、誘電体多層膜フィルタやファイバブラッググレーティング型フィルタ、回転式グレーティング型フィルタ、ファブリ−ペロー干渉型フィルタ等を用いることができる。
【0059】
又、光変調装置100を波長分割多重システムの光変調装置として用いる場合、波長多重を行うマルチプレクサ(以下「MUX」という)を光バンドパスフィルタ104として用いてもよい。波長多重を行うMUXは、バンドパスフィルタ特性を有するため、それを利用することができるからである。これによれば、マッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11を、直接、波長多重を行うMUXに入力することができ、光変調装置100は、バンドパスフィルタを設ける必要がない。
【0060】
次に、光変調装置100を用いて行うシミュレーションについて説明する。
【0061】
(シミュレーション1)
光変調装置100に、データ信号2としてNRZ符号の64ビットのビット列「1010010010101010000100101101110010001010111010111110011011010010」を入力するシミュレーションを行う。シミュレーションのパラメータは、NRZ符号のデータ信号2のビット速度を40Gbit/sec、位相変調器102の変調度を50%(Vπ/2まで駆動)、マッハツェンダー干渉計103のFSRを40GHzに設定する。図7は、そのシミュレーション結果であるマッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11のスペクトルを示すグラフ図である。尚、図7に示すグラフの縦軸は光信号11の出力(dBm)を表し、横軸は光周波数(GHz)を表し、横軸の中心値0は、193.4THzを表す。
【0062】
図7に示すように、マッハツェンダー干渉計103が出力し、バンドパスフィルタ104に入力される光信号11のスペクトルには、両方の変調スペクトルサイドバンド、即ち、アッパーサイドバンドとロワーサイドバンドが存在する。又、光信号11は、光搬送波(光キャリア)が抑圧されている。このように、光変調装置100によれば、光搬送波が抑圧されたRZ符号の光信号11を得ることができる。このような光搬送波が抑圧されたRZ符号の光信号を得る変調方式を、CS―RZ(Carrier Suppressed Return to Zero)変調方式という。CS―RZ変調方式によれば、光ファイバに入力される光電力が高い場合においても、非線形光学効果による受信感度劣化が小さいという効果を得ることができる。
【0063】
尚、CS―RZ変調方式の光変調装置として、従来、マッハツェンダー型強度変調器を直列に2個接続する装置がある。この従来の装置では、まず、前段のマッハツェンダー型強度変調器により、NRZ符号の光信号を得る。次に、従来の装置では、後段のマッハツェンダー型強度変調器を、データ信号のビット速度の半分の周波数のクロック信号で駆動させる。この時、従来の装置では、マッハツェンダー型強度変調器の動作点を、駆動電圧0の時に光信号を出力しないように設定しておく。そして、従来の装置では、マッハツェンダー型強度変調器の光透過特性が2次関数となる部分で、後段のマッハツェンダー型強度変調器を駆動することにより、光搬送波が抑圧されたRZ符号の光信号を得る。しかし、この従来の装置では、2個のマッハツェンダー型強度変調器間の位相を厳密に一致させる必要があり、マッハツェンダー型強度変調器が2個必要であることから構成が複雑となる。これに対して、光変調装置100によれば、位相変調器102とマッハツェンダー干渉計103とを組み合わせた簡単な構成で、CS−RZ変調方式を実現できる。そして、光変調装置100は、光ファイバに入力される光電力が高い場合においても、非線形光学効果による受信感度劣化が小さいという効果を、容易に得ることができる。
【0064】
(シミュレーション2)
次に、バンドパスフィルタ104として、スーパーガウス型4次フィルタを用い、光バンドパスフィルタ104から出力される光信号を電気信号に変換し、アイパターンを表示するシミュレーションを行う。尚、スーパーガウス型4次フィルタの半値全幅は、80GHzに設定する。又、スーパーガウス型4次フィルタは、光バンドパスフィルタ104の中心周波数を、光源101の発振波長にほぼ一致させて、光源101から出力される光1の周波数とほぼ一致させ、両方の変調スペクトルサイドバンドを通過させる。図8は、そのシミュレーション結果であるアイパターンを示すグラフ図である。尚、図8に示すグラフの縦軸は任意軸であり、横軸は時間(ps)である。
【0065】
図8に示すように、光変調装置100によれば、光バンドパスフィルタ104によりスペクトル狭窄を行っても、正常なアイパターンが得られ、ほぼRZ符号の電気信号が得られる。又、光バンドパスフィルタ104の中心周波数を、光源101から出力される光1の周波数とほぼ一致させ、両方の変調スペクトルサイドバンド(アッパーサイドとロワーサイド)を通過させることにより、光変調装置100は、DSB方式の変調ができる。DSB方式の変調は、復調が容易となるというメリットがある。
【0066】
(シミュレーション3)
次に、NRZ/RZ変換器を用いて、RZ符号で動作する駆動回路、光強度変調器により、直接RZ符号の光信号を得る従来の光変調装置による光変調方法と、NRZ/NRZI変換器105、駆動回路106、位相変調器102、マッハツェンダー干渉計103を用いてRZ符号の光信号11を得る本実施形態に係る光変調装置100による光変調方法に要求される周波数帯域を比較する。そのため、従来の光変調装置の光強度変調器とその駆動回路の総合変調帯域(総合周波数帯域)及び受信器におけるアイ開口度の関係と、本実施形態の位相変調器102とその駆動回路106の総合変調帯域(総合周波数帯域)及び受信器におけるアイ開口度の関係をシミュレーションする。
【0067】
図9は、シミュレーションの結果である変調帯域とアイ開口度の劣化の関係を示すグラフ図である。図9に示すグラフにおいて、横軸は、総合変調帯域(3dB低下周波数)fを、データ信号2のビット速度Bで除して正規化した正規化変調帯域f/Bである。又、縦軸は、f/B=1としたときの受信器でのアイ開口度を基準(0dB)とし、その基準からのアイ開口度の劣化を表したものである。尚、アイ開口度とは、出力波形の最大値と最小値の差の値と、アイパターンのアイの開きの最大値との比をいう。
【0068】
図9に示すように、本実施形態に係る光変調装置100を用いた光変調方法では、位相変調器102とその駆動回路106の総合変調帯域(3dB低下周波数)は、データ信号2のビット速度のおおよそ半分の周波数でよい。一方、従来の光変調装置を用いた従来の光変調方法では、総合変調帯域(3dB低下周波数)は、おおよそデータ信号2のビット速度の周波数が必要である。
【0069】
このような本発明の第1の実施の形態に係る光変調装置100及び光変調方法によれば、位相変調器102がNRZI符号の駆動信号6により光1を駆動することにより、NRZI符号の光信号7が生成され、マッハツェンダー干渉計103に入力される。そして、マッハツェンダー干渉計103が、入力される位相変調されたNRZI符号の光信号7が変化しない時に、光信号11を出力しないようにすると、マッハツェンダー干渉計103から出力される光信号11は、RZ符号の光信号11となる。そのため、マッハツェンダー干渉計103は、光伝送路に出力する光信号として、RZ符号の光信号11を出力することができ、XPMに対する劣化を抑えることができる。
【0070】
更に、位相変調器102は、NRZI符号の駆動信号6により駆動されるため、位相変調器102に要求される周波数帯域は、ナイキスト周波数の考え方(ナイキストの定理)により、データ信号ビット速度のおよそ半分でよい。そのため、位相変調器102は、広い周波数帯域を有する必要がなく、高い変調電圧を必要としない。更に、位相変調器102が広い周波数帯域を有する必要がない結果、位相変調器102を駆動させる駆動回路106として、高速、高電圧出力のものが必要とされない。そのため、高速かつ高電圧出力の駆動回路を構成することは、耐圧の関係から困難であるという問題も生じない。
【0071】
又、強度変調器として、位相変調器102から入力される光信号7を第1の光信号8と第2の光信号9に分け、その第1の光信号8と第2の光信号9とを合成して出力するマッハツェンダー干渉計103を用いる。そして、光導波路103dに位相調整部103fを設けて、その第1の光信号8と第2の光信号9の位相差10を調整して、マッハツェンダー干渉計103の動作点を、NRZI符号の光信号7が変化しない時にマッハツェンダー干渉計103の出力が消光状態となるように設定する。そのため、光導波路103dに位相調整部103fを設けて、位相差10を調整することによって、容易にマッハツェンダー干渉計103の動作点を設定することができる。
【0072】
又、光変調装置100は、NRZ/NRZI変換器105を備えるため、光変調装置100にNRZ符号のデータ信号2が入力された場合であっても、駆動信号6を生成する駆動回路106にNRZI符号の出力信号5を入力することができる。
【0073】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態に係る光変調装置200について説明する。図10は、第2の実施の形態に係る光変調装置200の構成を示すブロック図である。光変調装置200は、光源201と、位相変調器202と、マッハツェンダー干渉計203と、光バンドパスフィルタ204と、NRZ/NRZI変換器205と、駆動回路206と、O/E変換器207と、温度制御回路208とを備える。図10において、光源201、位相変調器202、光バンドパスフィルタ204、NRZ/NRZI変換器205、駆動回路206は、図1に示す光変調装置100の光源101、位相変調器102、光バンドパスフィルタ104、NRZ/NRZI変換器105、駆動回路106と、実質的に同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0074】
図11は、マッハツェンダー干渉計203の構成を示す図である。マッハツェンダー干渉計203は、方向性結合器203aと、方向性結合器203bと、光導波路203cと、光導波路203dと、第1出力ポート203fと、第2出力ポート203gとを備える。方向性結合器203a、光導波路203cは、図2に示すマッハツェンダー干渉計103の方向性結合器103a、光導波路103cと実質的に同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0075】
光導波路203dは、他方の光導波路203cよりも長さがΔL203eだけ長く設定されている。方向性結合器203bは、第1出力ポート203fと、第2出力ポート203gにつながっており、両者に光信号を入力する。方向性結合器203bは、2本の光導波路203c,203dに分岐された第1の光信号8と第2の光信号9とを合成し、合成した光信号11を第1出力ポート203fに入力する。又、方向性結合器203bは、第1出力ポート203fに入力する光信号11と相補関係にある光信号12を第2出力ポート203gに入力する。
【0076】
第1出力ポート203fは、2本の光導波路203c,203dに分岐された第1の光信号8と第2の光信号9とを合成した光信号11を出力する。光信号11は、図2に示すマッハツェンダー干渉計103が出力する光信号11と同様であり、そのビット列は「01011001」となる。第2出力ポート203gは、第1出力ポート203fが出力する光信号11と相補関係にある光信号12を出力する。光信号12は、マッハツェンダー干渉計203の温度を制御するために、温度制御回路208に利用される。尚、第1出力ポート203fが出力する光信号11と、第2出力ポート203gが出力する光信号12との電力和は常に一定となる。
【0077】
第1出力ポート203fは、光信号11を光バンドパスフィルタ204に入力する。第2出力ポート203gは、光信号12をO/E変換器207に入力する。このように、マッハツェンダー干渉計203が、第1出力ポート203fと第2出力ポート203Gとを備えることにより、第1出力ポート203fからは、光信号11を出力することができ、第2出力ポート203gからは、マッハツェンダー干渉計203の温度制御に利用する光信号12を出力することができる。O/E変換器207は、第2出力ポートから入力される光信号12を、電気信号13に変換する。O/E変換器207は、変換した電気信号13を温度制御回路208に入力する。
【0078】
温度制御回路208は、電気信号13を利用して温度制御信号16を生成する。温度制御回路208は、温度制御信号16をマッハツェンダー干渉計203に入力することによって、マッハツェンダー干渉計203全体の温度を制御する。温度制御回路208が、マッハツェンダー干渉計203の温度を制御することによって、上述したΦを調整できる。上述したように、2本の光導波路203c,203dからの第1の光信号8と第2の光信号9との位相差10は、βΔL+Φで表され、ΔLは予め設定されている。そのため、温度制御回路208は、マッハツェンダー干渉計203の温度を制御し、Φを調整することによって、位相差10の調整を行う温度制御部である。
【0079】
温度制御回路208は、位相差10を調整して、マッハツェンダー干渉計203の動作点を、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、第1出力ポート203fが出力する光信号11の出力が消光状態となるように設定する。上述したように、方向性結合器203bは、2本の光導波路203c,203dからの第1の光信号8と第2の光信号9との位相差が2kπ+π/2(kは整数)の場合、光信号11を透過して第1出力ポート203fに光信号11出力し、位相差が2kπ−π/2(kは整数)の場合、光信号11を遮断して、第1出力ポート203fの出力が消光状態となる。そのため、温度制御回路208は、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、位相差が2kπ−π/2(kは整数)となるように、マッハツェンダー干渉計203の温度を制御して、Φを調整する。
【0080】
尚、温度制御回路208が、マッハツェンダー干渉計203の温度を制御して、Φを調整し、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、消光状態となるように位相差10を調整すると、第2出力ポート203gが出力する光信号12の光強度が最大となる。よって、温度制御回路208は、第2出力ポート203gが出力する光信号12の光強度が最大となるように、マッハツェンダー干渉計203の温度を制御することにより、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、位相差10が−π/2となり、消光状態となるように、マッハツェンダー干渉計203の動作点を設定することができる。
【0081】
図12は、温度制御回路208の構成を示す図である。図12に示すように、温度制御回路208は、位相比較器208aと、ディザ信号発生器208bとを備える。ディザ信号発生器208bは、低周波ディザ信号14を発生する。ディザ信号発生器208bは、発生させた低周波ディザ信号14を位相比較器208aに入力する。又、ディザ信号発生器208bは、発生させ低周波ディザ信号14を、位相比較器208aが出力する位相比較出力信号15に重畳する。位相比較器208aは、O/E変換器207から、変換された電気信号13を入力され、ディザ信号発生器208bから、低周波ディザ信号14を入力される。
【0082】
位相比較器208aは、電気信号13と、低周波ディザ信号14との換算を行い、その換算の結果を、位相比較出力信号15として出力する。そして、位相比較器208aが出力した位相比較出力信号15に、ディザ信号発生器208bが低周波ディザ信号14を重畳することによって、マッハツェンダー干渉計203の温度制御信号16を生成する。このように、温度制御回路208は、光信号12をO/E変換器207により変換した電気信号13を利用して温度制御信号16を生成する。そして、温度制御回路208は、温度制御信号16をマッハツェンダー干渉計203に入力することによって、マッハツェンダー干渉計203の温度制御を行うことができる。
【0083】
このような本発明の第2の実施の形態に係る光変調装置200及び光変調方法によれば、マッハツェンダー干渉計203の第1出力ポート203fが、位相変調されたNRZI符号の光信号7が変化しない時に、光信号11を出力しないようにすることにより、第1出力ポート203fが出力する光信号11は、RZ符号の光信号11となる。そのため、マッハツェンダー干渉計203は、RZ符号の光信号11を、光伝送信号として出力することができ、XPMに対する劣化を抑えることができる。又、位相変調器202とマッハツェンダー干渉計203とを組み合わせた簡単な構成で、CS−RZ変調方式を実現でき、光搬送波が抑圧されたRZ符号の光信号11を得ることができる。更に、位相変調器202は、NRZI符号の駆動信号により駆動されるため、広い周波数帯域を有する必要がなく、高い変調電圧を必要とせず、駆動回路206として、高速、高電圧出力のものが必要とされない。
【0084】
又、光変調装置200は、温度制御回路208を設けて、位相差10を調整することにより、容易にマッハツェンダー干渉計203の動作点を、NRZI符号の光信号7が変化しない時に第1出力ポート203fが出力する光信号11の出力が消光状態となるように設定できる。又、温度制御回路208は、光信号12をO/E変換器207により変換した電気信号13を利用して温度制御信号16を生成する。そして、温度制御回路208は、温度制御信号16をマッハツェンダー干渉計203に入力することによって、容易にマッハツェンダー干渉計203の温度制御を行うことができる。又、温度制御回路208は、第2出力ポート203gが出力する光信号12の光強度が最大となるように、マッハツェンダー干渉計203の温度を制御することにより、NRZI符号の光信号7が変化しない時に消光状態となるように、位相差10を調整することができる。
【0085】
尚、図11に示すマッハツェンダー干渉計203の光導波路203dには、図2に示すような位相調整部はなく、温度制御回路208は、マッハツェンダー干渉計203全体の温度を制御対象としている。しかし、マッハツェンダー干渉計203の内部に位相調整部を設け、温度制御回路208は、制御対象を位相調整部としてもよい。例えば、図2と同様にして、マッハツェンダー干渉計203の光導波路203dに位相調整部としてヒーターを設け、温度制御回路208は、制御対象をそのヒーターの温度としてもよい。
【0086】
又、光変調装置200では、第1出力ポート203fと第2出力ポート203gとを備えるマッハツェンダー干渉計203を設け、温度制御回路208は、第2出力ポート203gが出力する光信号12を温度制御に利用している。しかし、光変調装置200は、第2出力ポート203gを備えないマッハツェンダー干渉計203を用い、温度制御回路208が、光信号12を用いない方法で温度制御を行ってもよい。又、光変調装置200は、温度制御回路208以外の温度制御部を用いて、マッハツェンダー干渉計203の温度制御を行ってもよい。
【0087】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態に係る光変調装置300について説明する。図13は、第3の実施の形態に係る光変調装置300の構成を示すブロック図である。光変調装置300は、光源301と、位相変調器302と、マッハツェンダー干渉計303と、光バンドパスフィルタ304と、NRZ/NRZI変換器305と、駆動回路306と、O/E変換器307と、温度制御回路308とを備える。図13において、光源301、位相変調器302、マッハツェンダー干渉計303、光バンドパスフィルタ304、NRZ/NRZI変換器305、駆動回路306、O/E変換器307は、図10に示す光変調装置200の光源201、位相変調器202、マッハツェンダー干渉計203、光バンドパスフィルタ204、NRZ/NRZI変換器205、駆動回路206、O/E変換器207と、実質的に同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0088】
図13に示す光変調装置100では、第2出力ポートから出力される光信号12は、光源301の温度を制御するために、温度制御回路308に利用される。マッハツェンダー干渉計303が、図11に示すマッハツェンダー干渉計203と同様に、第1出力ポートと第2出力ポートとを備えることにより、第1出力ポートからは、光信号11を出力することができ、第2出力ポートからは、光源301の温度制御に利用する光信号12を出力することができる。
【0089】
温度制御回路308には、O/E変換器307から光信号12を変換した電気信号13が入力される。温度制御回路308は、電気信号13を利用して光源301の温度を制御する温度制御信号17を生成する。温度制御回路308は、温度制御信号17を光源301に入力することによって、光源301の温度を制御する。温度制御回路308が光源301の温度を制御することによって、光源301から出力される光1の周波数を制御することができ、その光1の周波数を制御することによって、上述したΦを調整することができる。よって、温度制御回路308は、光源301の温度を制御することによって、光1の周波数を制御し、位相差10の調整を行う周波数制御部である。
【0090】
温度制御回路308は、マッハツェンダー干渉計303の動作点が、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、出力が消光状態となるように、位相差10の調整を行う。温度制御回路308は、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、位相差が−π/2となるように、光源301の温度を制御して光1の周波数を制御し、Φを調整する。
【0091】
尚、温度制御回路308が、光源301の温度を制御して光1の周波数を制御し、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、マッハツェンダー干渉計303の第1出力ポートが、消光状態となるように位相差10を調整すると、第2出力ポートが出力する光信号12の光強度が最大となる。そのため、温度制御回路308は、第2出力ポートが出力する光信号12の光強度が最大となるように、光源301の温度を制御して光1の周波数を制御することにより、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、位相差10が−π/2となるように調整することができる。
【0092】
温度制御回路308の構成は、図12に示す温度制御回路208と実質的に同様である。位相比較器は、電気信号13と低周波ディザ信号との換算を行い、その換算の結果を位相比較出力信号として出力する。そして、位相比較器が出力した位相比較出力信号に、ディザ信号発生器が、低周波ディザ信号を重畳することによって、光源301の温度制御信号17を生成する。
【0093】
このような第3の実施の形態に係る光変調装置300及び光変調方法によれば、マッハツェンダー干渉計303の第1出力ポートが、位相変調されたNRZI符号の光信号7が変化しない時に、光信号11を出力しないようにすることにより、第1出力ポートが出力する光信号11は、RZ符号の光信号11となる。そのため、マッハツェンダー干渉計303は、RZ符号の光信号11を、光伝送信号として出力することができ、XPMに対する劣化を抑えることができる。又、位相変調器302とマッハツェンダー干渉計303とを組み合わせた簡単な構成で、CS−RZ変調方式を実現でき、光搬送波が抑圧されたRZ符号の光信号11を得ることができる。更に、位相変調器302は、NRZI符号の駆動信号により駆動されるため、広い周波数帯域を有する必要がなく、高い変調電圧を必要とせず、駆動回路306として、高速、高電圧出力のものが必要とされない。
【0094】
又、光変調装置300は、温度制御回路308を設けて、位相差10を調整することにより、容易にマッハツェンダー干渉計303の動作点を、NRZI符号の光信号7が変化しない時に第1出力ポートが出力する光信号11の出力が消光状態となるように設定できる。又、温度制御回路308は、光信号12をO/E変換器307により変換した電気信号13を利用して温度制御信号17を生成する。そして、温度制御回路308は、温度制御信号17を光源301に入力することによって、光源301の温度制御を行うことができる。又、温度制御回路308は、第2出力ポートが出力する光信号12の光強度が最大となるように、光源301の温度を調整することにより、NRZI符号の光信号7が変化しない時に、消光状態となるように位相差10を調整することができる。
【0095】
尚、光変調装置300は、温度制御回路308以外の周波数制御部を用いて、光源301の温度を制御するようにしてもよい。又、光変調装置300は、光源301の温度を制御する方法以外の方法により、光1の周波数を制御するようにしてもよい。
【0096】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態に係る光変調装置400について説明する。図14は、第4の実施の形態に係る光変調装置400の構成を示すブロック図である。光変調装置400は、複数の光源401a,401bと、複数の位相変調器402a,402bと、マッハツェンダー干渉計403と、光くし状フィルタ404と、複数のNRZ/NRZI変換器405a,405bと、複数の駆動回路406a,406bと、MUX407とを備える。尚、図14では、複数の光源401a,401bと、複数の位相変調器402a,402bと、複数のNRZ/NRZI変換器405a,405bと、複数の駆動回路406a,406bは、それぞれ2つずつしか図示されていないが、実際には、複数(2つ以上)であればいくつ設けてもよい。尚、図14において、複数の光源401a,401b、複数のNRZ/NRZI変換器405a,405b、複数の駆動回路406a,406bは、それぞれ、図1に示す光変調装置100の光源101、NRZ/NRZI変換器105、駆動回路106と実質的に同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0097】
複数の位相変調器402a,402bは、図1に示す光変調装置100の位相変調器102と同様にして、光1をNRZI符号の駆動信号6によって、位相変調する。複数の位相変調器402a,402bは、それぞれ位相変調して得られるNRZI符号の光信号7を、MUX407に入力する。MUX407は、複数の位相変調器402a,402bから入力される複数のNRZI符号の光信号7を波長多重する。MUX407は、複数の光信号7を波長多重して得られた光信号18を、マッハツェンダー干渉計403に入力する。
【0098】
マッハツェンダー干渉計403は、MUX407から入力される複数の光信号7を波長多重して得られた光信号18に含まれる複数の光信号7を強度変調する。図3に示すように、マッハツェンダー干渉計403の光透過率は、光の周波数に対して周期的に変化する。そのため、マッハツェンダー干渉計403は、図3に示す波形の谷の部分において、周期的に強度変調を行うことができる。よって、1つのマッハツェンダー干渉計403が、複数の光信号7を波長多重して得られた光信号18に含まれる各光信号7を、各周期においてそれぞれ強度変調する。即ち、波長多重信号の周波数間隔は、マッハツェンダー干渉計403のFSRの整数倍になるように設定される。
【0099】
マッハツェンダー干渉計403は、図1に示す光変調装置100のマッハツェンダー干渉計103と同様にして、各光信号7を強度変調し、複数のRZ符号の光信号11を出力する。マッハツェンダー干渉計403は、強度変調して得られた複数の光信号11を、周期的に複数の波長の信号を通す光くし状フィルタ404に入力する。
【0100】
但し、マッハツェンダー干渉計403が、波長多重された光信号18に含まれる複数の光信号7を、各周期においてそれぞれ強度変調するためには、マッハツェンダー干渉計403の第2の光信号9の第1の光信号8からの遅延は、1ビット以下とする必要がある。即ち、マッハツェンダー干渉計403は、第2の光信号9を、第1の光信号8に比較して、1ビット以下分遅延させる。具体的には、マッハツェンダー干渉計403は、(3)式を満たすようにΔLを設定し、FSRを、データ信号2の1ビットタイムスロットのタイムスロットTの逆数1/T、又は、1ビットタイムスロットT未満のタイムスロットT’の逆数1/T’に設定する。これにより、マッハツェンダー干渉計103は、第2の光信号9を、第1の光信号8に比較して1ビット以下分遅延させることができる。
【0101】
このような第4の実施の形態に係る光変調装置400及び光変調方法によれば、複数の光源401a,401bと、複数の位相変調器402a,402bと、複数のNRZ/NRZI変換器405a,405bと、複数の駆動回路406a,406bと、MUX407とを備えることにより、1つのマッハツェンダー干渉計403で、MUX407により波長多重された複数の光信号7を、強度変調することができる。よって、光変調装置400は、その小型化や、低コスト化を図ることができる。
【0102】
〔第5の実施の形態〕
図1、図10、図13、図14に示す光変調装置100,200,300,400を用いた光変調方法により得られる光信号11の光スペクトルは、図7に示すように光キャリア周波数が抑圧されている。これを利用して、光バンドパスフィルタ104,204,304、又は、光くし状フィルタ404の中心周波数を、光源101,201,301,401a,401bから出力される光1の周波数からずらして、光バンドパスフィルタ104,204,304、又は、光くし状フィルタ404を設けた光変調装置100,200,300、400とする。これにより、光バンドパスフィルタ104,204,304、又は、光くし状フィルタ404は、一方の変調スペクトルサイドバンドを、他方の変調スペクトルサイドバンドよりも多く通過させて抽出できる。例えば、光バンドパスフィルタ104,204,304、又は、光くし状フィルタ404が、アッパーサイドバンドをロワーサイドバンドに比べて多めに通過させることにより、アッパーサイドバンドを抽出することができる。
【0103】
このような第5の実施形態に係る光変調装置100,200,300,400及び光変調方法によれば、容易にSSB方式の変調ができる。光変調装置100,200,300,400は、高密度波長分割多重の変調方式として、SSB変調方式を用いた場合、DSB変調方式に比べて半分の帯域幅しか用いないため、おおよそ2倍の伝送容量を達成することができる。又、光変調装置100,200,300,400は、光信号のスペクトル幅が狭くなる為、光ファイバの分散の影響を受けにくくなる。
【0104】
〔変更例〕
尚、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、マッハツェンダー干渉計103,203,303,403は、方向性結合器を備えているが、方向性結合器に代えてY分岐を備えるようにしてもよい。尚、Y分岐を備えた場合、マッハツェンダー干渉計の出力を消光状態にするためには、2本の光導波路から出力される第1の光信号8と第2の光信号9との位相差10はπに調整される必要がある。このように、マッハツェンダー干渉計の出力を消光状態とするための位相差10は、マッハツェンダー干渉計の構造によって異なる。
【0105】
又、光変調装置は、マッハツェンダー干渉計として、バルク光学系のマッハツェンダー干渉計を用いてもよい。又、光変調装置は、強度変調器として、マッハツェンダー干渉計以外の変調器を用いてもよい。又、説明の便宜上、位相変調器102,202,302,402の位相変調度はπとしたが、πを超えない範囲であれば、いずれの値であっても、同様にRZ符号の光信号11を得ることができる。又、光変調装置100,200,300,400は、NRZ/NRZI変換器105,205,305,405a,405bを備えているが、光変調装置に入力される駆動信号6の基礎となるデータ信号がNRZI符号であれば、NRZ/NRZI変換器を省略できる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光伝送信号としてRZ符号の光信号を出力して、XPMに対する劣化を抑えることができ、かつ、位相変調器が広い周波数帯域を有する必要がない光変調装置及び光変調方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るマッハツェンダー干渉計の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るマッハツェンダー干渉計の光の透過率と光の周波数との関係を示すグラフ図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るNRZ/NRZI変換器の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るデータ信号と出力信号を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る位相変調器の駆動信号と、位相変調器の光信号と、第1の光信号と、第2の光信号と、第1の光信号と第2の光信号との位相差と、マッハツェンダー干渉計の光信号の関係を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るマッハツェンダー干渉計の光信号のスペクトルを示すグラフ図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るアイパターンを示すグラフ図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る変調帯域とアイ開口度の劣化の関係を示すグラフ図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るマッハツェンダー干渉計の構成を示す図である。
【図12】本発明の第2実施の形態に係る温度制御回路の構成を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100,200,300,400 光変調装置
101,201,301,401a,401b 光源
102,202,302,402a,402b 位相変調器
103,203,303,403 マッハツェンダー干渉計
103a,103b,203a,203b 方向性結合器
103c,103d,203c,203d 光導波路
103f 位相調整部
104,204,304 光バンドパスフィルタ
105,205,305,405a,405b NRZ/NRZI変換器
105a EX−OR回路
105b 1ビット遅延回路
106,206,306,406a,406b 駆動回路
203f 第1出力ポート
203g 第2出力ポート
207,307 O/E変換器
208,308 温度制御回路
208a 位相比較器
208b ディザ信号発生器
404 光くし状フィルタ
407 MUX
Claims (18)
- 光をNRZI符号の駆動信号により駆動して位相変調する位相変調器と、
該位相変調器から入力される位相変調されたNRZI符号の光信号を第1の光信号と第2の光信号とに分け、該第1の光信号と該第2の光信号とを合成して出力することにより、前記NRZI符号の光信号を強度変調する強度変調器とを備え、
前記第1の光信号と前記第2の光信号の位相差を調整して、前記NRZI符号の光信号が変化しない時に前記強度変調した光信号の出力が消光状態となるように前記強度変調器の動作点を設定することを特徴とする光変調装置。 - 前記強度変調器は、前記位相差の調整を行う位相調整部を備えることを特徴とする請求項1に記載の光変調装置。
- 前記強度変調器の温度を制御することにより前記位相差の調整を行う温度制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の光変調装置。
- 前記強度変調器は、前記強度変調した光信号を出力する第1の出力ポートと、
該第1の出力ポートに出力する光信号と相補関係にある光信号を出力する第2の出力ポートとを備え、
前記温度制御部は、前記第2の出力ポートから出力される光信号に基づいて温度制御信号を生成し、該温度制御信号によって前記強度変調器の温度を制御することを特徴とする請求項3に記載の光変調装置。 - 前記位相変調器に入力する光の周波数を制御することにより前記位相差の調整を行う周波数制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の光変調装置。
- 前記周波数制御部は、前記光の光源の温度を制御することにより前記光の周波数を制御することを特徴とする請求項5に記載の光変調装置。
- 前記強度変調器は、前記強度変調した光信号を出力する第1の出力ポートと、
該第1の出力ポートに出力する光信号と相補関係にある光信号を出力する第2の出力ポートとを備え、
前記周波数制御部は、前記第2の出力ポートから出力される光信号に基づいて温度制御信号を生成し、該温度制御信号によって前記光源の温度を制御することを特徴とする請求項6に記載の光変調装置。 - 前記強度変調器は、前記強度変調した光信号を出力する第1の出力ポートと、
該第1の出力ポートに出力する光信号と相補関係にある光信号を出力する第2の出力ポートとを備え、
該第2の出力ポートが出力する光信号の光強度が最大となるように前記動作点を設定することを特徴とする請求項1に記載の光変調装置。 - 前記駆動信号の基礎となるデータ信号がNRZ符号の信号であった場合に、該NRZ符号のデータ信号をNRZI符号の信号に変換するNRZ/NRZI変換器を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光変調装置。
- 前記強度変調器が出力する前記強度変調した光信号のスペクトル狭窄を行う光バンドパスフィルタを備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光変調装置。
- 前記光バンドパスフィルタは、前記強度変調した光信号の両方の変調スペクトルサイドバンドを通過させることを特徴とする請求項10に記載の光変調装置。
- 前記光バンドパスフィルタは、前記強度変調した光信号の一方の変調スペクトルサイドバンドを、他方の変調スペクトルサイドバンドよりも多く通過させることを特徴とする請求項10に記載の光変調装置。
- 前記強度変調器は、複数の前記位相変調されたNRZI符号の光信号を強度変調することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光変調装置。
- 位相変調器が、光をNRZI符号の駆動信号により駆動して位相変調し、
強度変調器が、前記位相変調器から入力される位相変調されたNRZI符号の光信号を第1の光信号と第2の光信号とに分け、該第1の光信号と該第2の光信号とを合成して出力することにより、前記NRZI符号の光信号を強度変調し、
前記第1の光信号と前記第2の光信号の位相差を調整して、前記NRZI符号の光信号が変化しない時に前記強度変調した光信号の出力が消光状態となるように前記強度変調器の動作点を設定することを特徴とする光変調方法。 - 前記強度変調器は、前記位相差の調整を行う位相調整部を備え、
該位相調整部が、前記位相差の調整を行うことを特徴とする請求項14に記載の光変調方法。 - 前記強度変調器の温度を制御することにより、前記位相差の調整を行うことを特徴とする請求項14に記載の光変調方法。
- 前記位相変調器に入力する光の周波数を制御することにより、前記位相差の調整を行うことを特徴とする請求項14に記載の光変調方法。
- 前記強度変調器は、前記強度変調した光信号を第1の出力ポートに出力し、
該第1の出力ポートに出力する光信号と相補関係にある光信号を第2の出力ポートに出力し、
該第2の出力ポートが出力する光信号の光強度を最大にすることを特徴とする請求項14に記載の光変調方法。
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