JP3786901B2 - 光送信装置および光伝送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ等の伝送媒体が有する波長分散、あるいはこれと非線形光学効果との相互作用によって生じる伝送品質の劣化を最小限に抑える光送信装置および光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ伝送システムにおける高密度波長多重伝送において、2モードビートパルスを用いたRZ符号は、光非線形効果による劣化に強い伝送符号として、文献1(Y. Miyamoto eta1.Tech.Dig.of Optical Amplifiers their Applications(OAA)99,postdeadline paper PDP4,1999)でキャリア抑圧RZ符号(CS−RZ)符号として提案されている。
【0003】
本方式では、図9に示すように、2モードビートパルス信号部2として用いるマッハツェンダ変調器(MZ1)に周波数fOの単一縦モード信号を入力し、伝送速度Bの半分の周波数B/2で駆動する。このときのマッハツェンダ変調器のバイアス点は、無変調時に透過率が零になる点にバイアスしておく。マッハツェンダ変調器の周波数逓倍特性と光位相変調特性とにより、図10(a)に示す単一縦モード信号は、図10(b)に示したような周波数fOを中心とするビート周波数Bの2モードビートパルス信号に変換される。
【0004】
2モードビートパルス信号は、その2つの縦モードが互いにモード同期しているため、伝送速度Bに周波数同期したパルス列となる。2モードビートパルス列信号は、図9に示す2段目のデータ変調部3として用いるマッハツェンダ変調器(MZ2)において、伝送速度BのNRZ符号で変調され、CS−RZ強度変調信号に変換される。この変調スペクトルは、通常のRZ符号より帯域圧縮が可能であるため、波長多重伝送を行なう場合、高密度化することが可能である。
【0005】
また、波長多重された周波数コムを一括発生する方法としては、文献2(Takara et a1.,“Over 1000 channel optical frequency chain generation from a single supercontinuum source with 12.5 GHz channel spacing for DWDM and frequency standards,”in Tech. Dig. of ECOC2000, paper 3.1)に記述されているような光非線形効果を用いたスーパーコンテニウム(SC)光源がある。本方式では、繰り返し周波数f0の短パルス列を非線形媒質に入力し、縦モード間隔がf0(一定)の広帯域な周波数コムを発生させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の2モードビートパルスを用いた変調方式では、波長多重システムを考えた場合、各波長に、データ変調を行う変調手段(データ変調部3)とは別に、2モードビートパルスを発生させるための変調手段(2モードビートパルス信号部2)が必要であった。ゆえに、光変調器が2段必要となることから、挿入損失が増えるため、変換されたRZ変調信号光のSNRを確保するためには、CW光源であるCW光信号発生部1には高い出力パワーが必要であった。また、部品点数が増加するため、装置構成が複雑になるという問題があった。また、データ伝送速度の高速化が進むと、データ信号に周波数同期した2モードビートパルスの発生が難しくなってくる。例えば、文献1の方式では、ビート周波数Bの2モードビートパルスを発生するために、伝送速度Bの半分の周波数のベースバンドクロック信号が必要となる。
【0007】
また、従来技術を用いた周波数コムを一括発生する方式では、非線形媒質に入力する短パルス列の繰り返し周波数に等しい縦モード間隔でしか配置することができないという課題があった。また、縦モード間隔を広げると、スーパーコンテニウムを発生させるために必要な短パルス信号の繰り返し周波数が上がり、1つのパルスエネルギが減るため、短パルス信号のSC発生媒質への平均パワーを上げてピークパワーを上げる必要がある。しかしながら、通常のスーパーコンテニウム発生媒質は、光ファイバを用いており、光ファイバの持つ誘導ブリルアン散乱により、短パルス信号パワーを入射することが難しくなるという課題があった。このため、縦モード間隔を広げることに対して限界があった。
【0008】
この発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、装置構成を複雑化することなく、波長多重された光変調信号光を一括して2モードビート信号で変調することができ、また、SNRを向上させることができる光送信装置および光伝送システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した問題点を解決するために、請求項1記載の発明では、2モードビート信号を用いたRZパルス変調信号を用いる光送信装置において、一波長もしくは波長多重された伝送速度Bの光変調信号を発生させる光信号発生手段と、コヒーレント過程を用いて光信号発生手段から出力された光信号を一括して波長変換する波長変換手段と、ビート周波数がn×B/2(nは自然数)であり、かつ、光変調信号に周波数同期し、かつ、互いにモード同期している2モードビートパルスによって前記波長変換手段を励起する励起手段と、前記光信号発生手段から出力される光信号と、前記励起手段から出力される2モードビートパルス励起光とを入力として、必要に応じて両信号光の偏向状態を揃えて合波し、かつ、変換された2モードビート信号の各モードの値が等しくなるように2モードビートパルス励起光の各縦モード強度を調節し、前記波長変換手段に入力する合波手段と、前記2モードビートパルス励起光によって波長変換されたRZ光変調信号を取り出す波長変換フィルタ手段とを具備し、前記光信号発生手段からの光信号を符号変換し、ビート周波数がn×B(nは自然数)の2モードビートRZ光変調信号を発生することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の光送信装置において、前記波長変換手段は、非線形光学効果を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3記載の発明では、請求項2記載の光送信装置において、前記波長変換手段は、2次光非線形媒質のカスケーディング効果、または3次の非線形効果である4光波混合を用いた波長変換過程を光変調符号変換に用いることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4記載の発明では、請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置において、前記光信号発生手段は、一定周波数間隔に配置され、波長多重された縦モード光源からなり、前記波長変換手段は、一括波長変換を行うことにより波長多重された2モードビートパルス列を一括発生させることを特徴とする。
【0013】
また、上述した問題点を解決するために、請求項5記載の発明では、2モードビート信号を用いたRZパルス変調信号を用いる光伝送システムにおいて、一波長もしくは波長多重された伝送速度Bの光変調信号を発生させる光信号発生手段と、コヒーレント過程を用いて光信号発生手段から出力された光信号を一括して波長変換する波長変換手段と、ビート周波数がn×B/2(nは自然数)であり、かつ、光変調信号に周波数同期し、かつ、互いにモード同期している2モードビートパルスによって前記波長変換手段を励起する励起手段と、前記光信号発生手段から出力される光信号と、前記励起手段から出力される2モードビートパルス励起光とを入力として、必要に応じて両信号光に偏向状態を揃えて合波し、かつ、変換された2モードビート信号の各モードの値が等しくなるように2モードビートパルス励起光の各縦モード強度を調節し、前記波長変換手段に入力する合波手段と、前記2モードビートパルス励起光によって波長変換されたRZ光変調信号を取り出す波長変換フィルタ手段とからなり、前記光信号発生手段からの光信号を符号変換し、ビート周波数がn×B(nは自然数)の2モードビートRZ光変調信号を発生する光送信装置を具備することを特徴とする。
【0014】
この発明では、伝送速度の1/4のビート周波数の2モードビート信号励起手段と波長変換手段を用いることで、波長多重された光変調信号光を一括して、2モードビート信号で変調することが可能である。したがって、波長毎に2モードビート信号を発生する手段が不要となる。また、伝送速度Bの1/4のビート周波数の2モードビートパルスで波長変換手段を励起することにより、伝送速度Bのビート周波数2モードビートパルスが変調されたRZ信号光を発生させることが可能である。このため、2モードビートパルス発生過程の高速化が容易である。また、2モードビートパルスを用いた一括波長変換手段により、従来困難であった広帯域な2モードビートパルスの周波数コム信号を一括発生することが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態による光変調符号変換装置の構成を示すブロック図である。また、図2は、本第1実施形態の動作を説明するための概念図である。図1において、光信号発生部10では、ベースバンドデジタル信号が入力され、該ベースバンド信号に応じて光変調信号が出力される。このとき光変調方式は、強度変調方式(NRZ,RZ、Duobinary)、位相変調方式(PSK,QPSk)、あるいは周波数変調方式(FSK)でもよい。ここでは、簡単のために、シングルチャネルの伝送速度BのNRZ強度変調方式を考える。そのNRZ信号の光キャリア周波数をf1とすると、光変調スペクトルは、図2に示すように、約f1±Bの範囲に広がる光変調スペクトルとなる。このNRZ信号は、合波部12の入力ポートP1に入力される。
【0016】
一方、図1に示す2モードビートパルス励起部11では、データ信号に同期した伝送速度Bの半分の縦モード間隔を持つ2モードビートパルス信号が、波長変換部を励起するのに十分な出力を持って出力される。該2モードビートパルス信号の光変調スペクトルは、光周波数fpを中心とし、fp±B/4の光周波数において、互いにモード同期している、強度の等しい2つの縦モードから構成されている。このため、時間軸上では繰り返し周波数B/2のパルス列を形成し、隣り合うパルスの光位相が交互に反転する。2モードビートパルス信号の中心光周波数fpは、一般には被変換信号光f1と異なる周波数に設定される。f1とfpの周波数配置に関しては、後述する波長変換部13が十分波長変換可能な帯域に設定する。また、後述する波長変換部13の波長変換特性が偏波依存性を持つ場合には、変換光と励起光との偏向方向を揃えて合波する。
【0017】
図1に示す合波部12は、被変換信号光と2モードビートパルス励起光とを合波し、波長変換部13に入力する。波長変換部13では、コヒーレントな相互作用により、被変換信号NRZ信号光が、2モードビートパルス励起光の個々の縦モード(M1,M2)により独立に波長変換される。例えば、3次光非線形効果である4光波混合を用いてもよいし、文献3(O.Tadanaga et a1.,“A 1 THz optical frequency shifter using quasi-phase-matched LiNbO3 wavelength converters,”Tech.Dig.OFC2002,paper ThDD1)に例示された2次光非線形効果のカスケーディング効果を用いた波長変換過程を用いてもよい。ここで、被変換信号NRZ周波数スペクトル成分は、励起信号光の2つの縦モード信号により、周波数間隔Bで各々変換される。
【0018】
したがって、変換されたNRZ信号のキャリア周波数は、図2に示すように、各々、光周波数f1’±B/2となり、伝送速度Bに等しい周波数間隔だけ離れた2つのNRZ信号光(M1’,M2’)に変換される。このため、周波数軸で、互いの側帯波が重なることになる。
【0019】
2モードビートパルス励起光源の個々の縦モードM1とM2は、互いにモード同期しているため、2つの縦モード励起信号により各々変換された2つのNRZ波長変換信号光(M1’,M2’)も互いにモード同期している。このため、波長変換された2つのNRZ信号は、ビート周波数BのRZ符号を形成する。すなわち、波長変換光信号は、伝送速度Bの2モードビートパルス変調符号(すなわち、CS−RZ符号)に変換される。
【0020】
ここで、伝送速度BのRZ波長変換信号光を発生させるのに必要な、2モードビートパルス励起部11の構成要素に対する動作周波数の要求条件を考える。2モードビートパルス励起光のビート周波数としては、本発明の特徴から、図2に示すように、半分のビート周波数B/2でよい。ビート周波数B/2の2モードビートパルス信号の発生源として、図9に示すように対称電極マッハツェンダ(MZ)変調器を用いた場合には、MZ変調器の逓倍動作を用いることにより、該MZ変調器を駆動するのに必要なクロック信号の周波数はB/4でよい。
【0021】
一方、図9に示すMZ変調器を用いた2モードビートパルス信号部2を用いた従来技術では、伝送速度BのCS−RZ信号を発生させるためには、駆動に必要なクロック信号周波数がB/2必要となる。この結果、本発明のコビーレントな波長変換過程の周波数逓倍機能を光変調符号変換に用いることにより、2モードビートパルス発生の2倍の高速化が可能であることが分かる。
【0022】
B.第2実施形態
図3は、本発明の第2実施形態による光変調符号変換装置の構成を示すブロック図である。また、図4は、図3に示す波長変換部として2次光非線形媒質のカスケーディング効果を用いた場合の構成例を示すブロック図であり、図5は、図4に示す構成の動作を説明するための概念図である。
【0023】
第1実施形態と異なる点は、後述する光フィルタ25が2モードビート波長変換光、または、後述する波長変換部24内で生じる2モードビート励起光のどちらか一方をモニタし、波長変換部24において生成される2モードビート波長変換光の2つのモードの光パワーを等しく制御して安定化させるところにある。
【0024】
ここで、光信号発生部20は、データ発生同期部21から出力される伝送速度Bの電気データ信号により光変調を行ない、伝送速度Bの光データ信号を発生する。データ発生同期部21からは、入力光データ信号に同期した周波数nB/2(nは自然数)の分周クロック電気信号が出力され、2モードビートパルス励起部22に入力される。2モードビートパルス励起部22では、ビート周波数Bのモード同期された2モードビートパルス光信号を発生し、合波部23からの出力パワーが波長変換部24を励起するのに十分なパワーとなるよう合波部23に入力される。
【0025】
合波部23では、光データ信号と2モードビートパルス励起光信号とが合波され、波長変換部24に出力される。波長変換部24では、入力光データ信号が波長変換され、ビート周波数Bの2モードビートパルスでRZ強度変調された伝送速度Bの波長変換光信号光が出力される。光フィルタ25では、変換されずに波長変換部24を透過した入力光データ信号および2モードビートパルス励起光信号が遮断され、RZ波長変換光信号光が取り出される。また、光フィルタ25は、同時に、波長変換部24を透過し、遮断された2モードビートパルス励起光信号の一部を分岐して出力する。
【0026】
2モードビート制御器26では、RZ波長変換光信号光の一部、または波長変換部24を透過し、遮断された2モードビートパルス励起光信号の一部に含まれる2つのモードのパワーを別々に測定し、2つのモードパワーの差を誤差信号として検出する。該誤差信号を2モードビートパルス励起部22に戻すことにより、RZ波長変換光信号光に含まれる2つのモードパワーが等しくなるように、2モードビートパルス信号に含まれる2つの縦モードのパワーをモード同期したまま、独立に制御して出力する。
【0027】
このような構成をとることにより、RZ波長変換光信号光の2モード信号のバランスを等しく安定化することが可能となる。
【0028】
2次光非線形媒質のカスケーディング効果を示すデバイスとして、LiNbO3導波路と周期的分極反転を用いた擬似位相整合(QPM)非線形デバイス(QPM−LN)とを用いた構成例を図4に示す。
【0029】
伝送速度Bと等しい周波数のクロック源40から、同期クロック信号が出力され、データ信号源41と分周器42とに入力され、両者は周波数同期している。データ信号源41から出力された信号は、変調器43に入力される。変調器43では、LD44からの単一縦モード光信号を伝送速度Bで変調する。変調フォーマットは強度変調、位相変調、周波数変調のいずれも可能である。変調器43から出力された光データ信号は、偏波保持波長多重カプラ45に入力される。
【0030】
一方、クロッ源40からの同期クロック信号は、1/4分周器42でクロック周波数B/4の分周クロック信号に分周される。分周クロック信号は、差動ドライブ回路46でクロック周波数B/4の差動分周出力信号に変換され、プッシュプル動作のマッハツェンダ(MZ)変調器47に入力される。文献1と同様に、MZ変調器47は、透過率が零になるようにバイアスされて、クロック周波数B/4の差動分周出力信号で駆動される。この動作条件により、MZ変調器47は、ビート周波数B/2の2モードビートパルスを発生する。図5に示すように、各々のモードをM1、M2とする。2モードビートパルス励起光は、モードイコライザ48に入力される。
【0031】
モードイコライザ48は、2モードビートパルス励起光の個々のモードの光周波数で互いに異なる損失を持ち、各モードにおける透過損失を独立に可変できる機能を有する。2つのモードのパワー比は、比較制御部54から入力される誤差信号により決定される。モードイコライザ48からの出力は、QPM−LN波長変換器51を駆動するのに十分なパワーまで光増幅器50で増幅された後、偏波保持波長カプラ45で信号光と所定の偏波状態で合波され、QPM−LN波長変換器51に入力される。
【0032】
ここで、2モードビートパルス励起光波長を、例えば光通信システムに重要な1.55μm帯に選ぶ。適切に反転分極周期が設計されたQPM−LN波長変換器51の結晶内部では、2モードビート励起光の縦モードM1,M2に対応して、約0.77μm帯に2つの縦モードM1’、M2’の第2次高調波(SHG光)が図5に示すように発生する。このとき、SHGは、コヒーレントな波長変換過程であるため、SHG光は、個々のモードM1’、M2’がモード同期したビート周波数Bの2モードビートパルスとなる。すなわち、入力2モードビート励起光のビート周波数B/2の2倍のビート周波数Bの新たな2モードビート励起光がQPM−LN結晶内部で発生する。ここで、このSHG光を内部SHG2モードビート励起光と呼ぶ。
【0033】
内部SHG2モードビート励起光は、縦モードM1’,M2’によるパラメトリック光増幅過程を経て、図5の信号光を各々M1“、M2”の2つのモードの変調信号光に波長変換する。M1“、M2”は、モード同期した2つの縦モードM1’,M2’により変換されているため、互いにモード同期しており、かつ周波数差が伝送速度Bに等しく、同じデータ信号で変調されている。このため、伝送速度BのRZ強度変調された2モードビートパルス変調光信号となる。
【0034】
QPM−LN波長変換素子からは、入力データ信号光、2モードビート励起光、内部SHG2モードビート励起光、および波長変換2モードビートパルス変調光信号が出力され、バンドパスフィルタ(BPF)52に入力される。バンドパスフィルタ52では、所望の波長変換2モードビートパルス変調光信号を切り出し、その他の光を遮断する。バンドパスフィルタ52の出力は、分岐モニタで一部分岐された後に、光伝送路に出力される。
【0035】
バンドパスフィルタ52で遮断された内部SHG2モードビート励起光は、バンドパスフィルタ52の遮断ポートから取り出され、モードスプリッタ53でM1“、M2”の個々の縦モードが分離される。例えば、FSRがBに等しい2入力2出力のMZ型干渉フィルタを用いてもよい。分離された縦モードM1“、M2”は、比較制御部54で受信され、両者の縦モードパワーの差が検出される。この差を誤差信号としてモードイコライザ48に帰還することにより、2つのモードパワーが等しい安定した波長変換2モードビートパルス変調光信号が発生できる。
【0036】
C.第3実施形態
図6は、本発明の第3実施形態による光変調符号変換動作を説明するための概念図である。なお、本第3実施形態の光変調符号変換装置の構成は基本的に図1に示すものと同じであるので説明を省略する。
【0037】
本第3実施形態が前述した第1実施形態(図2)と異なる点は、光信号発生部の出力信号が波長多重信号であり、波長多重信号の光変調符号を一括変換できる点にある。ここでは、キャリア周波数fn(nは自然数)を持つ単一縦モード光信号が、互いに異なるベースバンドデジタル信号で変調されている場合を考える。キャリア周波数は、等間隔に波長多重されていてもよいし、不等間隔に波長多重されていてもよい。光変調方式としては、強度変調方式(NRZ,RZ、Duobinary)、位相変調方式(PSK,QPSK)、あるいは周波数変調方式(FSK)であってもよい。ここで、一例として、伝送速度BのNRZ強度変調方式を考え、各チャネルは周波数同期されているものとする。この場合の波長多重光信号スペクトルは、各キャリア周波数fnを中心にfn±B(nは自然数)の範囲に各々広がる。この波長多重信号は、図1の合波部12の入力ポートP1に入力される。
【0038】
一方、図1に示す2モードビートパルス励起部11では、データ信号に同期したビート周波数B/2の(伝送速度Bの半分の縦モード間隔)2モードビートパルス信号が、波長変換部13を励起するのに十分な出力をもって出力され、合波部12に入力される。この2モードビートパルス信号の光変調スペクトルは、光周波数fpを中心とするfp±B/4の光周波数において、互いにモード同期している強度の等しい2つの縦モードから構成されている。2モードビートパルス信号の中心光周波数fpは、一般には被変換波長多重信号光fn(nは自然数)と異なる周波数に設定される。fnとfpの周波数配置に関しては、用いる波長変換部13が十分波長変換可能な帯域に設定する。また、波長変換部13の波長変換特性が偏波依存性を持つ場合には、変換光と励起光の偏向方向を揃えて合波する。
【0039】
図1に示す合波部12の出力ポートは、波長変換部13の入力ポートに接続され、被変換波長多重信号光と2モードビートパルス励起光とが波長変換部13に入力される。波長変換部13では、縮退四光波混合に代表されるコヒーレントな波長変換作用により、被変換波長多重信号光が、2モードビートパルス励起光の個々の縦モードにより変換され、図3に示すような波長多重されたCS−RZ強度変調信号に一括変換される。この時、キャリア周波数fnを持つチャネルの被変換光信号は、キャリア周波数fn’を持つチャネルの波長変換光信号に変換される。ここで、被変換光信号と波長変換光信号のキャリア周波数fn,fn’と、2モードビートパルス励起信号光の中心周波数fpとの間には、以下のような関係が成り立つ。
【0040】
fn+fn’=2fp(nは自然数)
【0041】
以上、本第3実施形態によれば、波長多重された信号の光変調符号を一括して実現することが可能である。
【0042】
ここで、本発明の技術と従来技術とで、波長多重信号の符号変換を行う場合について比較する。波長多重チャンネル数をm(チャネル)とした場合、図9に示した従来技術では、各チャネルに2つの変調器が必要であるため、波長多重システム全体では2m個の変調器が必要である。本発明では、1つの波長変換部13、1つの2モードビートパルス励起部11、1つの合波部12を用いるものの、各チャネルにはm個の変調器で済むため、部品点数を全体で減らすことが可能である。また、波長変換部13は、文献3に示された技術等を用いることで利得を得られる場合がある。このため、従来技術のような符号変換過程における損失を相殺できるばかりでなく、波長多重信号を一括増幅し、同時に変調符号変換することが可能となる。したがって、SNRの劣化を低減することが可能である。波長変換部13としてQPM−LNを用いてもよい。
【0043】
D.第4実施形態
図7は、本発明の第4実施形態による光変調符号変換装置の構成を示すブロック図である。また、図8は、本第4実施形態による光変調符号変換装置の動作を説明するための概念図である。
【0044】
本第4実施形態は、波長多重されたのビート周波数B(Bは伝送速度)の2モードビートパルス変換信号を発生するために、マルチキャリア光源として縦モード間隔が一定のスーパーコンテニウム(SC)光源を用いた点が異なる。図7では、スーパーコンテニウムなどのマルチキャリア発生光源60から、縦モード間隔fWDMの波長多重キャリア信号が一括発生され、出力される。図7では、波長多重キャリア信号として、縦モード間隔fWDMのn個の縦モードを考えた。この波長多重キャリア信号は、図7の合波部62の入力ポートP1に入力される。
【0045】
2モードビートパルス励起部61では、図2、図6での動作と同様に、ビート周波数B/2の2モードビートパルス励起光が発生される。2モードビートパルス励起光は、この所定のパワーで図7に示す合波部62の入力ポートP2に入力される。図8に2モードビートパルス励起光の信号スペクトルを示す。図6と同様、中心周波数fpを中心として、fp±B/4に2つの縦モード成分を持つ。
【0046】
コヒーレント波長変換増幅部63では、コヒーレントな波長変換プロセスを用いて波長多重キャリア信号が波長変換される。図8に示すように、ビート周波数Bの2モードビートパルス波長多重信号が一括して発生できる。ここで、波長多重キャリア信号入力の各キャリア周波数fn(nは自然数)と、2モードビートパルス波長多重信号の中心周波数fn’(nは自然数)は、2モードビートパルス励起光の中心周波数fpを用いて以下の関係を持つ。
【0047】
fn+fn’=2fp
【0048】
波長変換された2モードビートパルス波長多重信号は、図7に示すWDM分離フィルタ64に入力され、各ポートに2モードビートパルス信号が分離される。ここで、WDM分離フィルタ64の周波数間隔は、fWDMに等しく、パスバンド中心周波数はfn’に等しく、パスバンド帯域はビート周波数Bの2モードビートパルスを通過させることができるように設定する。
【0049】
WDM分離フィルタ64からの出力は、それぞれのチャンネルで変調部MODn(nは自然数)65において伝送速度Bでデータ変調され、RZ変調信号に変換される。RZ変調信号は、再び、WDM合波フィルタ66に入力され、波長多重されたRZ変調信号として光送信器から出力される。
【0050】
本第4実施形態によれば、図8に示すように、不等間隔な縦モード波長多重信号スペクトルを発生することができる。この結果、2モードビートパルス信号のビート周波数と、波長多重間隔を独立に設定可能な、波長多垂2モードビートパルス信号とを一括発生することが可能となる。これは、従来のスーパーコンテニウム光源を用いたマルチキャリア光源では不可能であった。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、波長多重信号の2モードビートパルスを用いた光変調符号への一括変換が可能どなる。またそのチャンネル伝送速度の高速化が可能となる。波長変換における増幅作用を用いることで、変換過程での損失を容易に補償することが可能となる。また、スーパーコンテニウム光源などのマルチキャリア光源と組み合わせることにより、従来不可能であった縦モード間隔とビート周波数が独立に制御可能な高速2モードビートパルス信号の波長多重信号一括発生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による光変調符号変換装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 本第1実施形態の動作を説明するための概念図である。
【図3】 本発明の第2実施形態による光変調符号変換装置の構成を示すブロック図である。
【図4】 図3に示す波長変換部として2次光非線形媒質のカスケーディング効果を用いた場合の構成例を示すブロック図である。
【図5】 図4に示す構成の動作を説明するための概念図である。
【図6】 本発明の第3実施形態による光変調符号変換動作を説明するための概念図である。
【図7】 本発明の第4実施形態による光変調符号変換装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 本第4実施形態による光変調符号変換装置の動作を説明するための概念図である。
【図9】 従来技術による光変調符号変換装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 従来技術の動作を説明するための概念図である。
【符号の説明】
10 光信号発生部(光信号発生手段)
11 2モードビートパルス励起部(励起手段)
12 合波部(同期手段、合波手段)
13 波長変換部(波長変換手段)
14 光フィルタ(波長変換フィルタ手段)
20 光信号発生部(光信号発生手段)
21 データ発生同期部
22 2モードビートパルス励起部(励起手段)
23 合波部(同期手段、合波手段)
24 波長変換部(波長変換手段)
25 光フィルタ(波長変換フィルタ手段)
26 2モード制御器
60 マルチキャリア発生光源(光信号発生手段)
61 2モードビートパルス励起部(励起手段)
62 合波部(同期手段、合波手段)
63 コヒーレント波長変換増幅部(波長変換手段)
64,66 WDM分離フィルタ(波長変換フィルタ手段)
65 変調部(波長変換フィルタ手段)
Claims (7)
- 2モードビート信号を用いたRZパルス変調信号を用いる光送信装置において、
一波長もしくは波長多重された伝送速度Bの光変調信号を発生させる光信号発生手段と、
コヒーレント過程を用いて光信号発生手段から出力された光信号を一括して波長変換する波長変換手段と、
ビート周波数がn×B/2(nは自然数)であり、かつ、光変調信号に周波数同期し、かつ、互いにモード同期している2モードビートパルスによって前記波長変換手段を励起する励起手段と、
前記光信号発生手段から出力される光信号と、前記励起手段から出力される2モードビートパルス励起光とを入力として、必要に応じて両信号光の偏向状態を揃えて合波し、かつ、変換された2モードビート信号の各モードの値が等しくなるように2モードビートパルス励起光の各縦モード強度を調節し、前記波長変換手段に入力する合波手段と、
前記2モードビートパルス励起光によって波長変換されたRZ光変調信号を取り出す波長変換フィルタ手段とを具備し、
前記光信号発生手段からの光信号を符号変換し、ビート周波数がn×B(nは自然数)の2モードビートRZ光変調信号を発生することを特徴とする光送信装置。 - 前記波長変換手段は、非線形光学効果を有することを特徴とする請求項1記載の光送信装置。
- 前記波長変換手段は、2次光非線形媒質のカスケーディング効果、または3次の非線形効果である4光波混合を用いた波長変換過程を光変調符号変換に用いることを特徴とする請求項2記載の光送信装置。
- 前記光信号発生手段は、一定周波数間隔に配置され、波長多重された縦モード光源からなり、
前記波長変換手段は、一括波長変換を行うことにより波長多重された2モードビートパルス列を一括発生させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光送信装置。 - 2モードビート信号を用いたRZパルス変調信号を用いる光伝送システムにおいて、
一波長もしくは波長多重された伝送速度Bの光変調信号を発生させる光信号発生手段と、
コヒーレント過程を用いて光信号発生手段から出力された光信号を一括して波長変換する波長変換手段と、
ビート周波数がn×B/2(nは自然数)であり、かつ、光変調信号に周波数同期し、かつ、互いにモード同期している2モードビートパルスによって前記波長変換手段を励起する励起手段と、
前記光信号発生手段から出力される光信号と、前記励起手段から出力される2モードビートパルス励起光とを入力として、必要に応じて両信号光に偏向状態を揃えて合波し、かつ、変換された2モードビート信号の各モードの値が等しくなるように2モードビートパルス励起光の各縦モード強度を調節し、前記波長変換手段に入力する合波手段と、
前記2モードビートパルス励起光によって波長変換されたRZ光変調信号を取り出す波長変換フィルタ手段とからなり、
前記光信号発生手段からの光信号を符号変換し、ビート周波数がn×B(nは自然数)の2モードビートRZ光変調信号を発生する光送信装置を具備することを特徴とする光伝送システム。 - 2モードビート信号を用いたRZパルス変調信号を用いる光送信装置において、
前記光信号発生手段と前記励起手段との周波数同期をとる同期手段を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光送信装置。 - 2モードビート信号を用いたRZパルス変調信号を用いる光伝送システムにおいて、
前記光信号発生手段と前記励起手段との周波数同期をとる同期手段を具備することを特徴とする請求項5に記載の光伝送システム。
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