JP3843786B2 - レーザトリミング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チップ抵抗器やチップインダクタなどの電子部品の特性値(回路定数)を修正するトリミング加工中に発生する粉塵による汚染を防止し得るレーザトリミング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来において、例えば、電子部品としてのチップ抵抗器における抵抗値を修正するレーザトリミング機にはプローブガードが使用される。このプローブガードは、チップ抵抗器の電極部分に当接し抵抗値を測定するためのプローブが、チップ抵抗器の配列に対応して2列が対向して配置された構造となっている。抵抗値を修正するためのレーザ光はプローブガードの中央部分に設けた所定孔の開口部を通して照射され、チップ抵抗器の抵抗体部分を熱エネルギーにて昇華させ削り取る。
【0003】
この際に発生する構成素体である抵抗体や導電材の粉塵は、例えば特開平8−316275号公報で開示されているように吸引により回収する方式や、同じく特開平3−112102号公報および特開昭61−292950号公報に開示されているようにエアーの吹き出しとその吸引を併用した方式があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電気的特性の測定を行うためのプローブは、構成する基板上に絶縁材を介して保持されているが、この保持部に構成素子である抵抗体や導電材などの粉塵が付着すると、隣接するプローブ同士の絶縁が保持できなくなり、抵抗値測定すなわち電気的特性の測定精度が低下するという課題があった。
【0005】
しかしながら、前記いずれの方法においても粉塵の発生箇所であるチップ抵抗器などの加工面と、粉塵を吸引するダクトとの間には測定用のプローブが存在し、高温かつ高速で飛散する粉塵をプローブに付着させなくすることは困難であるばかりか、逆に吹き付け塗装をするがごとく汚染を加速させる原因になっていた。
【0006】
また、前記の方法を発展させて対向するプローブの内側に吸引用のダクトを配設する構成も考えられるが、レーザ光を遮断せず、またチップ抵抗器などの製品の位置認識カメラの動作や、それらのために使用される照明の妨げにならずダクトを配設することは困難である。
【0007】
さらに、近年の電子部品の小型化および高精度測定に必要とされる4接点化の要求にしたがって、プローブも微細ピッチ化が進展しており、ますますプローブ相互間に付着する粉塵の影響(支障)が大きくなってきている。
【0008】
本発明は、前記課題を解決しようとするものであり、粉塵によるプローブの汚染を防ぎ、電気的特性の測定精度の低下を防止できるレーザトリミング装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明のレーザトリミング装置は以下の構成を有する。
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、特に、電気的特性の測定を行う複数のプローブを保持体にて平行するように保持し、かつ前記複数のプローブの一端を電気的に接続した基板と、前記複数のプローブを包含しかつ被測定体と当接する前記複数のプローブの他端が突出する唯一の開口部としてのエアー吹き出し口を有するエアー排出ノズルを含み、レーザ加工時に前記エアー排出ノズルへ供給されたエアーを前記エアー吹き出し口より吹き出すように構成したプローブガードを備えており、これにより、プローブの保持体にはレーザ加工における粉塵が侵入しないという作用効果が得られる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、特に、エアー排出ノズルを、絶縁材による保持体、上カバー、下カバーおよび対のサイド体で構成したものであり、これにより、任意で最適なエアー排出ノズルが容易に構成できるという作用効果が得られる。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、特に、エアー排出ノズルは、被測定体の認識、被測定体への照明およびレーザ加工に支障の無い位置にエアー吹き出し口を構成したものであり、これにより、レーザトリミング(加工)時において、レーザ光を遮断せず、また製品の位置認識用のカメラ動作や、そのために使用される照明の妨げにならないという作用効果が得られる。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、特に、エアー排出ノズルに除塵および除湿されたエアーを供給する構成を有しており、これにより、エアー供給源であるコンプレッサーなどで発生するオイルや水分などが、エアー排出ノズル内部においてプローブや保持体に付着することはなく、その絶縁性を阻害しないという作用効果が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態を用いて、本発明の特に請求項1〜4に記載の発明について説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態1におけるレーザトリミング装置のプローブガードの要部斜視図、図2は同保持部分の部分断面斜視図、そして図3は同プローブガードを使用したレーザトリミングを説明する要部断面図である。
【0016】
図1および図2において、1は金属材あるいは樹脂材でなる所定角度に曲げ加工された上カバーであり、抵抗値やインダクタンス値などの電気的特性の測定を行う超鋼材の導体でなる複数組、本実施の形態では2組すなわち対のプローブ9を、絶縁材でなる保持体10を介して所定間隔で平行に配設し、電気的特性の測定を行うための配線、周辺回路などが形成されて中央部に抜き孔15を有する基板8の上面の一部に密着して設置されている。
【0017】
2は同じく曲げ加工された下カバーであり、基板8の裏面に固着された前記保持体10の下面に中央部を密着して設置されている。
【0018】
3は同じくL字形状でなる対のサイド体であり、上カバー1と下カバー2および保持体10により形成される空間の両側面を密閉するため、上カバー1と下カバー2のそれぞれを両サイドに密着して、基板8の抜き孔15部分に設置されている。
【0019】
そして、上カバー1と下カバー2および対のサイド体3、そして基板8と保持体10により形成される空間は、プローブ9の後部すなわち保持体10の近傍を内包しかつ先端部分のみを開口部とした密閉構造のエアー排出ノズルとなっている。
【0020】
対のサイド体3には、前記空間部分の開口部であるエアー吹き出し口4から吹き出すエアー5を、エアー供給源(図示せず)から導入し送出するための配管7が内蔵されており、その先端口6は前記空間部分に向って設けられている。
【0021】
この吹き出し用のエアー5は、エアー供給源から導入されるに際して、エアードライヤーやエアークリーナー(図示せず)を通過させて、除塵と除湿を行っている。
【0022】
前記の上カバー1、下カバー2、サイド体3、基板8および保持体10で構成された空間部分、すなわちエアー排出ノズルにおけるエアー吹き出し口4は、後で説明するがレーザ光を遮断せず、また製品の位置認識用のカメラ動作や、そのために使用される照明の妨げにはならない構成であり、同じく妨げにならないプローブ9の保持体10から僅かな距離の位置である。
【0023】
すなわち上カバー1、下カバー2および対のサイド体3によりプローブ9全体の後部の一部を覆っているのであり、本実施の形態ではプローブ9の2列の対向配列に対応して、空間部分すなわちエアー排出ノズルは対の構造となっている。以上によりレーザトリミング装置のプローブガード11が構成されている。
【0024】
以上のように構成されたプローブガード11について、以下その動作について図面を用いて説明する。
【0025】
図3において、まず搬送され供給された抵抗、コイルなどの電子部品14は、認識カメラ(図示せず)などにより、その状態や位置を認識して所定位置(箇所)に位置決めされる。
【0026】
次に、対のプローブ9を被レーザトリミング体である電子部品14の電極部分に当接させて、初期の電気的特性値(回路定数)例えば抵抗値やインダクタンス値の測定が行われる。
【0027】
この測定結果をもとに、集光レンズ16により集光されたレーザ光12を電子部品14の構成素体に照射し、熱エネルギーにて構成素体を昇華させ削り取ることにより、電気的特性値(回路定数)すなわち抵抗値やインダクタンス値を所定値に修正するのである。
【0028】
そして前記動作開始直前からレーザトリミング動作終了直後まで、エアー吹き出し口4より供給されたエアー5を一定圧力で一定量を吹き出し続けているのである。
【0029】
以上のように本実施の形態1のレーザトリミング装置のプローブガード11は、プローブ9の保持体10の近傍を上カバー1、下カバー2、対のサイド体3および保持体10により密閉して覆われるとともに、唯一の開口部としてのエアー吹き出し口4からはエアー5が吹き出されているため、レーザトリミング加工により発生する構成素体による粉塵13は、前記吹き出し口4から侵入することができない。
【0030】
したがって、保持体10の近傍におけるプローブ9への粉塵13の付着がなく、隣接するプローブ9同士の絶縁性が損なわれることはない。
【0031】
また、エアー吹き出し口4の位置は、基板8に取付けられたプロープ9の保持体10から粉塵13の侵入を防ぐ必要な距離のみとしており、レーザ光12あるいは被加工(測定)製品の位置認識用のカメラ動作や、それらのために使用される照明の妨げになる事は無いのである。
【0032】
さらに、エアー吹き出し口4から吹き出すエアー5を、エアークリーナーやエアードライヤーなどにより清浄で乾燥させたエアーとしており、エアー供給源であるコンプレッサーで発生するオイルや水分などがプローブ9や保持体10に付着することはなく、その絶縁性を阻害することは無い。
【0033】
なお、本実施の形態1では、エアー排出ノズルの構成を保持体10、上カバー1、下カバー2および対のサイド体3により構成しているが、保持体10と一体構成としても良く、さらにエアー吹き出し口4から吹き出されたエアー5を吸引する機構をレーザ照射に支障のない位置に付設してもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明のレーザトリミング装置によれば、レーザトリミングにおける電気的特性の測定に使用されるプローブと、このプローブが取付け保持された保持体を密閉して覆いながらも、唯一の開口部であるエアー吹き出し口を有するエアー排出ノズルを有する構成となっており、このエアー吹き出し口から前記プローブの一端が突出した構造であることと、同エアー吹き出し口よりエアーを吹き出させることにより、レーザ加工により発生する粉塵はこのエアー吹き出し口より侵入することは無いものである。
【0035】
したがって、レーザ光、認識用カメラの動作、およびそれらのための照明に支障を与えず、保持体の近傍におけるプローブへの粉塵の付着により、隣接するプローブ同士の絶縁性が損なわれることがないという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーザトリミング装置のプローブガードの要部斜視図
【図2】同保持部分の部分断面斜視図
【図3】同プローブガードを使用したレーザトリミングを説明する要部断面図
【符号の説明】
1 上カバー
2 下カバー
3 サイド体
4 吹き出し口
5 エアー
6 先端口
7 配管
8 基板
9 プローブ
10 保持体
11 プローブガード
12 レーザ光
13 粉塵
15 抜き孔
Claims (4)
- 電気的特性の測定を行う複数のプローブを保持体にて平行するように保持し、かつ前記複数のプローブの一端を電気的に接続した基板と、前記複数のプローブを包含しかつ被測定体と当接する前記複数のプローブの他端が突出する唯一の開口部としてのエアー吹き出し口を有するエアー排出ノズルを含み、レーザ加工時に前記エアー排出ノズルへ供給されたエアーを前記エアー吹き出し口より吹き出すように構成したプローブガードを備えたレーザトリミング装置。
- エアー排出ノズルは、絶縁材で成る保持体、上カバー、下カバーおよび対のサイド体で構成してなる請求項1に記載のレーザトリミング装置。
- エアー排出ノズルは、被測定体の認識、被測定体への照明およびレーザ加工に支障の無い位置にエアー吹き出し口を構成してなる請求項1に記載のレーザトリミング装置。
- エアー排出ノズルには、除塵および除湿されたエアーを供給してなる請求項1に記載のレーザトリミング装置。
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