JP3843329B2 - 適応変調方式制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯無線システムや携帯電話システム等の移動体無線通信に用いられる適応変調方式制御方法に係り、特に回線品質を向上させることができる適応変調方式制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体無線通信において、回線品質の状況に応じた変調方式で送受信を行う適応変調方式に関する従来技術としては、平成9年7月31日公開の特開平9−200282号「TDD用適応変調方式送受信器」(出願人:国際電気株式会社、発明者:高橋勉他)がある。
この従来技術は、送信側で誤り訂正符号が付加されて選択された変調方式で変調されて伝送された無線信号を、受信側で復調し誤り訂正する際に検出したビットエラー率に基づいて、伝搬路状況を推定し、推定結果に基づいて、変調方式を送信側の変調部に指定して、適応変調を実現するTDD用適応変調方式送受信器であり、これにより、情報のフレーム効率を悪くすることなく、且つ受信部分の回路規模を大きくすることなく伝搬路状況推定方式を採用できるものである。
【0003】
ここで、従来の適応変調方式制御方法を用いた通信システムについて図8を使って説明する。図8は、従来の通信システムの構成ブロック図である。
従来の通信システムは、図8に示すように、受信側において伝搬路状況を推定するための情報を付加し、選択された変調方式で変調して無線信号を送信する送信装置1′と、無線信号を受信し、復調し、送信側で付加された情報に基づいて伝搬路状況を推定し、推定結果に基づいて、送信側での変調方式を指定する送信装置制御信号を送信装置1′に送信する受信装置2′とから構成されている。
そして、従来の通信システムにおいて、送信装置1′で付加する伝搬路状況を推定するための情報が、誤り検出符号(CRC符号)であり、受信装置2′では、CRC符号によって誤り検出を行い、検出したビットエラー率に基づいて、伝搬路状況を推定するようになっている。
【0004】
そして、送信装置1′の内部は、送信データ制御部11と、CRC符号化部12と、マッピング部13と、変調部14と、復調部15とから構成されており、受信装置2′の内部は、復調部21と、デマッピング部22と、CRC誤り検出部23と、送信元制御部24′と、変調部25とから構成されている。
【0005】
次に、従来の送信装置1′の各部について具体的に説明する。
送信データ制御部11は、外部から入力される送信データを送信する制御を行うもので、特に受信側からのデータ再送要求に応じてデータの再送制御も行うようになっている。
CRC符号化部12は、送信データに誤り検出符号を付加して符号化データを出力するもので、誤り検出符号の1つとしてCRC(Cyclic Redundancy Check)符号を用いるものである。
マッピング部13は、符号化データを選択されたマッピング配置でマッピングしてマッピング信号を出力するもので、マッピング方式としては、64QAM(64-positions Quadrature Amplitude Modulation)、16QAM(16-positions Quadrature Amplitude Modulation)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、BPSK(Binary Phase Shift Keying)等が考えられる。
これらのマッピング方式(変調方式)では、マッピング配置を増やすことにより伝送速度は増大し、例えば、BPSKでは1200bps 、QPSKでは2400bps 、16QAMでは4800bps 、64QAMでは、19200bps となる。
【0006】
変調部14は、マッピングされた信号に従って、搬送波を変調し、送信信号を伝送路に出力するものである。
復調部15は、受信信号を復調して、データ再送要求信号と変調方式切り替え制御信号を出力するものである。
【0007】
次に、従来の受信装置2′の各部について具体的に説明する。
復調部21は、伝送路からの受信信号を復調するものである。
デマッピング部22は、復調された信号を送信側でのマッピングに対応してデマッピングし、復号出力信号を得る一般的なデマッピング器である。
CRC誤り検出部23は、CRC符号に基づいて誤り検出を行い、誤り検出信号を出力すると共に復号データを出力するものである。
【0008】
送信元制御部24′は、CRC誤り検出部23からの誤り検出信号に基づいて、誤りの有無と頻度により伝送路の状況(回線品質)を推定し、推定された回線品質により、データ再送要求信号と送信側での変調方法を制御する変調方式切り替え制御信号とからなる送信装置制御信号を出力するものである。
【0009】
具体的には、例えば、誤りが発生した場合には、データの再送を要求するデータ再送要求信号を出力する。
更に、誤りの発生頻度が多い場合には、伝送路の品質が低下しているので、伝送効率を下げても品質を確保するように、送信側におけるマッピング方式を現状より低速にするような変調方式切り替え制御信号を出力する。例えば、現状が64QAMであれば16QAMに切り替え、現状が16QAMであればQPSKに切り替え、現状がQPSKであればBPSKに切り替える。
逆に、誤りの発生頻度が少ない場合には、伝送路の品質が向上しているので、伝送効率を上げるように、送信側におけるマッピング方式を現状より高速にするような変調方式切り替え制御信号を出力する。例えば、現状がBPSKであればQPSKに切り替え、現状がQPSKであれば16QAMに切り替え、現状が16QAMであれば64QAMに切り替える。
変調部25は、送信装置制御信号を変調して伝送路に送出するものである。
【0010】
次に、従来の通信システムの動作について図8を使って説明する。
従来の通信システムでは、送信装置1′において、送信データが、送信データ制御部11の制御の下で、CRC符号化部12に出力され、CRC符号化部12で誤り検出符号が付加され、マッピング部13で選択されたマッピング配置でマッピングされ、変調部14で変調されて伝送路に送出される。
【0011】
そして、受信装置2′の復調部21で受信データが復調され、デマッピング部22でデマッピングされ、CRC誤り検出部23で誤り検出されて誤りのない復号データが出力される。
このとき、CRC誤り検出部23において、誤りが検出されると、誤り検出信号が出力され、送信元制御部24′で回線品質が推定され、データ再送要求信号と送信側での変調方法を制御する変調方式切り替え制御信号とからなる送信装置制御信号が出力され、変調部25で変調されて、送信装置1′に送信される。
【0012】
送信装置1′では、送信装置制御信号が受信されて、復調部15で復調され、データ再送要求信号は、送信データ制御部11に出力されて、送信データ制御部11では、データの再送要求があった場合には、データの再送が行われる。
また、変調方式切り替え制御信号は、マッピング部13に出力されて、当該制御信号に従って変調方式の切り替え要求があった場合には、マッピング方法が切り替えられるようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の適応変調方式制御方法では、誤りの有無とその頻度から伝送路状況(回線品質)の推定を行っているので、誤りが発生してからそれを基に制御を行うため、回線品質劣化の感知が遅れ、伝送路品質の確保が難しいという問題点があった。
また、上記従来の適応変調方式制御方法では、伝送路状況が良好な方向に向かっている場合に、それを検出する方法が極めて困難であるという問題点があった。
【0014】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、誤り発生前に伝送路状況の悪化を検知し、更に伝送路状況の回復をも感知して、適切な変調方法を選択することにより、伝送路品質を安定的に確保できる適応変調方式制御方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、伝送状況に対応する複数の変調方式を備える送信装置と、複数の変調方式に対応する複数の復調方式を備える受信装置とを有し、受信装置が、伝送路の伝送状況に応じて送信装置における変調方式を選択し、送信装置が、受信装置で選択された変調方式で送信する適応変調方式制御方法であって、
受信装置において、訂正できる誤りの訂正状況の判断は、複数の変調方式に対応付けて、適正範囲を特定する2つのしきい値を予め定め、適正範囲を外れて不良の場合を訂正状況不良とし、適正範囲を外れて良好の場合を訂正状況良好とし、適正範囲内の場合を訂正状況普通とし、
訂正できない誤りが検出されず、且つ訂正できる誤りの訂正状況が良好である場合には、現在選択されている変調方式より伝送状況が良好な場合に対応した変調方式を選択し、
訂正できない誤りが検出された場合、又は、訂正できない誤りは検出されず且つ訂正できる誤りの訂正状況が不良である場合には、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式を選択し、
訂正できない誤りは検出されず且つ訂正できる誤りの訂正状況が普通である場合には、現在選択されている変調方式を維持するように、変調方式を選択することを特徴としており、
訂正できない誤りが発生する前に、訂正できる誤りの訂正状況から伝送路状況の悪化を検知し、更に伝送路状況の回復をも感知して、適切な変調方法を選択することにより、伝送路品質を安定的に確保できる。
【0016】
また、上記従来例の問題点を解決するための本発明は、伝送状況に対応する複数の変調方式を備える送信装置と、複数の変調方式に対応する複数の復調方式を備える受信装置とを有し、受信装置が、伝送路の伝送状況に応じて送信装置における変調方式を選択し、送信装置が、受信装置で選択された変調方式で送信する適応変調方式制御方法であって、
前記受信装置において、誤りの検出状況及び訂正状況に基づいて、訂正状況を判断するしきい値の調整が、
訂正できる誤りの訂正状況が不良であり且つ訂正できない誤りの検出頻度が低いというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を不良方向に広げ、
訂正できる誤りの訂正状況が普通又は良好であり且つ訂正できない誤りが検出されるというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を良好方向に狭め、
しきい値の調整に応じて、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式におけるしきい値を調整することを特徴としており、
予め定めた各変調方式に対する訂正状況の適正範囲を、誤りの検出状況及び訂正状況に基づいて調整することにより、伝送路の受信特性の径年変化などにも柔軟に対応して、適切な変調方法を選択することにより、伝送路品質を安定的に確保できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0018】
本発明に係る適応変調方式制御方法は、受信装置において、CRC誤り検出等による伝送路における訂正できない誤りの検出状況と、ビタビ復号のパスメトリック値等による訂正できる誤りの訂正状況に応じて、送信装置における変調方式を選択する適応変調方式制御方法であり、訂正できる誤りの訂正状況の判断は、複数の変調方式に対応付けて、適正範囲を特定する2つのしきい値を予め定め、適正範囲を外れて不良の場合を訂正状況不良とし、適正範囲を外れて良好の場合を訂正状況良好とし、適正範囲内の場合を訂正状況普通とし、訂正できない誤りが検出されず、且つ訂正できる誤りの訂正状況が良好である場合には、現在選択されている変調方式より伝送状況が良好な場合に対応した変調方式を選択し、訂正できない誤りが検出された場合、又は、訂正できない誤りは検出されず且つ訂正できる誤りの訂正状況が不良である場合には、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式を選択し、訂正できない誤りは検出されず且つ訂正できる誤りの訂正状況が普通である場合には、現在選択されている変調方式を維持するように、変調方式を選択するものなので、訂正できない誤りが発生する前に、訂正できる誤りの訂正状況から伝送路状況の悪化を検知し、更に伝送路状況の回復をも感知して、適切な変調方法を選択することにより、伝送路品質を安定的に確保できるものである。
【0019】
また、本発明に係る適応変調方式制御方法は、受信装置において、CRC誤り検出等による伝送路における訂正できない誤りの検出状況と、ビタビ復号のパスメトリック値等による訂正できる誤りの訂正状況に基づいて、訂正状況を判断するしきい値を調整する適応変調方式制御方法であり、訂正できる誤りの訂正状況が不良であり且つ訂正できない誤りの検出頻度が低いというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を不良方向に広げ、訂正できる誤りの訂正状況が普通又は良好であり且つ訂正できない誤りが検出されるというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を良好方向に狭め、当該しきい値の調整に応じて、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式におけるしきい値を調整するものとしているので、予め定めた各変調方式に対する訂正状況の適正範囲を、誤りの検出状況及び訂正状況に基づいて調整することにより、伝送路の受信特性の径年変化などにも柔軟に対応して、適切な変調方法を選択することにより、伝送路品質を安定的に確保できるものである。
【0020】
まず、ビタビ復号アルゴリズムの概略について説明する。
誤り訂正符号化の一つである畳み込み符号化は、確率的に送信された原文を推定する、最尤復号化を比較的容易に行うことができるという特徴を有している。そして、最尤復号化の中でも、ビタビ復号化は、誤り訂正能力が非常に優れていることから、衛星通信や宇宙通信で実用されている。
【0021】
畳み込み符号の符号化器の動作は、図1に示すような状態遷移図をもって表すことができる。図1は、畳み込み符号化の状態遷移図である。
図1では、各状態からビット毎に実線又は破線を通って、同一若しくは異なる状態に遷移する様子を表している。
【0022】
具体的には、ビットが「0」であるときに、実線を通るように、また、ビットが「1」であるときに、破線を通るように指定されているとすると、実線符号化器が状態S0にあるときに、次のビットが「1」であると、破線を介して状態S2に移行するようになっている。その際、図1の括弧内に示されている符号「11」が出力される。
以下の説明において、この括弧内に示されている符号をシンボルメトリックと称する。
【0023】
この状態遷移図は、通常、図2に示すようなトレリス線図を用いて説明されるのが普通である。図2は、畳み込み符号化の状態遷移を表すトレリス線図である。
図2を用いて具体的に、「01101100」を符号化する場合を例にとって説明する。まず、状態S0から始めることとすると、最初のビットが「0」であるので、実線を通って「00」が出力され、状態はS0にとどまる。
【0024】
そして、次のビットが「1」であるので、状態S0から破線を通り、「11」が出力され、状態はS2となる。以下同様にして、S3→S1→S2→S3→S1→S0と移行し、結果として、符号「0011101000101011」が出力されることとなる。
【0025】
次に、復号化の方法について、図3を参照しながら説明する。図3は、ビタビ復号化を説明するトレリス線図である。図3は図2と同一のトレリス線図であるが、図2では符号化されたビットを記してあり、図3では該符号と受信符号とのハミング距離が記されているところが異なっている。
【0026】
原文「01101100」に対応する符号「0011101000101011」が送信されたところ、受信された符号が「1011111000001011」であったとすると、状態S0から、実線を通り状態S0に留まる経路(パス)が「00」であるので、そのハミング距離が、受信された符号の最初の2ビット「10」と比して「1」となる。また、状態S0から、破線を通り状態S2に至る経路が「11」であるので、ハミング距離は同様に「1」となる。
【0027】
そこで、格子点Aの値と格子点Bの値とを、それぞれ、そのハミング距離の最小値である、「1」とする。次に、受信された次の2ビットである、「11」について、「11」、「10」、「01」、「00」の各経路とのハミング距離は、それぞれ「0」、「1」、「1」、「2」であることに注意すると、格子点Cでは、格子点Aからの実線が「00」に対応するものであるので、格子点Aの「1」に「00」に対するハミング距離「2」を加えて、格子点Cの値は、「3」となる。
【0028】
また、格子点Eの値は「1」となる。同様にして、格子点Dと格子点Fの値は「2」となる。
ここで、格子点Hについて考えてみると、格子点Hでは、格子点Eから実線を通ってくる経路と、格子点Fから実線を通ってくる経路とがあって、それぞれから求められる値は、「2」と「3」となる。ビタビ復号化ではこのような場合、小さい方の値をもって、その格子点の値とすることとしている。従って、格子点Hの値は「2」となる。
【0029】
以下同様に、各格子点の値が求められ、図3のようになる。
そして、図3のようなトレリス線図から、最終格子点Yでの値を最小にするような経路(以下、生き残り経路と称する)を選択する(図3中では太線で示されている)。そして、各線に対応する値(実線が「0」、破線が「1」)を復号結果とすると、送信された符号が再現され、従って、原文たる「01101100」が再現されることとなる。
【0030】
さらに詳しいビタビ復号化に関する解説については、汐崎陽著、「情報・符号理論の基礎」、オーム社、平成3年4月発行のp82〜86、又は、「実線誤り訂正技術」、株式会社トリケップス発行、井上徹監修のp131〜166に記載されている。
【0031】
このようにして、ビタビ復号アルゴリズム内における1フレームの復号が終了したときに、選択された生き残り経路に従う最終格子点Yでの値は、最小パスメトリック値と呼ばれ、最小パスメトリック値は伝送路状況(回線品質)によりその値が変動する。
即ち、図4に示すように、1ビット当たりの信号エネルギーと片側雑音電力密度(Eb/No)が大きくなるほど、つまり回線品質が良好になるほど、BER(Bit Error Rate)特性は、小さくなり、それと共に1フレーム復号終了後の最小パスメトリック値は0(ゼロ)に近くなり、逆に回線品質が悪くなるに従い、最小パスメトリック値は増加するという特性がある。図4は、QPSK変調方式軟判定ビタビ復号におけるEb/No対1フレーム復号終了後の最小パスメトリックの平均値、及びBER特性を示す説明図である。
【0032】
そこで、本発明の適応変調方式制御方法は、CRC誤り検出符号に代表される誤り検出符号による訂正できない誤りの検出結果と、受信信号をビタビ復号する際に求められた最小パスメトリック値又はその平均値による訂正できる誤りの発生状況とから回線品質状況の傾向を推定し、推定結果から、その回線状況に応じた変調方式を選択制御すると共に、最小パスメトリック平均値から回線品質状況の傾向を推定するための適正範囲を特定するしきい値を調整することにより、伝送路品質を安定的に確保するものである。
【0033】
変調方式の制御方法及び判定しきい値の見直し方法について、図5を使って具体的に説明する。図5は、各変調方式と最適な最小パスメトリック適正範囲のイメージを示す説明図である。尚、図5では、BPSK,QPSK,16QAM,64QAMの4つの変調方式について示している。
図5において、回線品質不良に強い、即ち耐干渉能力が高い変調方式の順番としては、BPSK,QPSK,16QAM,64QAMの順番であり、これは、逆に見ると伝送レートが順に高くなっている順番である。そして、各変調方式に対して、適正な最小メトリック値(平均値)の範囲である適正範囲(しきい値が黒丸)が予め定められているとする。
【0034】
本発明の適応変調方式制御方法における具体的な変調方式の選択制御方法は、まず、誤り検出符号により誤りが検出された場合には、送信元に対してデータの再送要求を行うと共に、現状の変調方式では受信データに誤りが発生していることから、伝送効率は低下しても、回線品質不良に強い変調方式を選択するように、切り替え要求を行う。即ち、図5の横軸における1つ右方向への変調方式の切替を要求する。
【0035】
また、誤り検出符号により誤りは検出されず、ビタビ復号によって求められた最小パスメトリック平均値が、現状の変調方式の図5に示す適正範囲内にある場合には、現状の変調方式が適正な変調方式であるとして、現状の変調方式を維持する。
【0036】
また、誤り検出符号により誤りは検出されないが、ビタビ復号によって求められた最小パスメトリック平均値が、現状の変調方式の図5に示す適正範囲よりも大きい(不良)場合には、現状の変調方式では誤りは訂正可能範囲であるが、誤りが発生しやすい回線品質にあるとして、回線品質不良に強い変調方式を選択するように、切り替え要求を行う。即ち、図5の横軸における1つ右方向への変調方式の切替を要求する。
【0037】
また、誤り検出符号により誤りは検出されず、ビタビ復号によって求められた最小パスメトリック平均値が、現状の変調方式の図5に示す適正範囲よりも小さい(良好)場合には、現状の変調方式は、良好になりつつある回線品質を有効利用できていないとして、伝送効率を向上する変調方式に切り替える切り替え要求を行う。即ち、図5の横軸における1つ左方向への変調方式の切替を要求する。
【0038】
尚、回線品質の状態が急峻に変化したような場合には、複数の段階の変調方式の切替を一度に行うことができるようにしても構わない。
また、誤り検出符号による誤り検出は、特定時間間隔において、1つの誤りで誤り有りとしても良いし、予め定めた特定数の誤りが発生した時に、誤り有りとしても良い。
また、上記説明では、最小パスメトリックの平均値を用いて誤り訂正状況を判断したが、平均値でなくとも構わない。
【0039】
一方、本発明の適応変調方式制御方法におけるしきい値の調整方法は、伝送路における訂正できない誤りの検出状況と、ビタビ復号のパスメトリック平均値等による訂正できる誤りの訂正状況に基づいて、訂正状況を判断するしきい値を調整するもので、訂正できる誤りの訂正状況が不良であり且つ訂正できない誤りの検出頻度が低いというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を不良方向に広げ、訂正できる誤りの訂正状況が普通又は良好であり且つ訂正できない誤りが検出されるというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を良好方向に狭め、当該しきい値の調整に応じて、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式におけるしきい値を調整するものである。
【0040】
具体的には、ビタビ復号によって求められた最小パスメトリック平均値が、現状の変調方式の図5に示す適正範囲よりも大きい(不良方向)が、誤り検出符号により誤りが検出されていない、若しくは検出頻度が低いような場合には、現状の変調方式の最小パスメトリック平均値範囲が適当でない可能性が高いとして、最小パスメトリック平均値範囲の上限のしきい値を上方に修正する。
また、最小パスメトリック平均が、現状の変調方式の図5に示す適正範囲内にあるが、誤りが検出された、若しくは検出頻度が高いような場合には、現状の変調方式の最小パスメトリック平均値範囲が適当でない可能性が高いとして、最小パスメトリック平均値範囲の上限のしきい値を下方に修正する。
【0041】
そして、上記上限値の修正(調整)を現状の変調方式における適正範囲に施すと、その右隣の変調方式(現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式)における適正範囲の下限値のバランスが崩れるので、右隣の変調方式の適正範囲に対して、相対的な位置関係による修正を施す。
【0042】
図5の具体例で説明すると、QPSKの上限しきい値がAであるときに、QPSK通信方式選択中に、最小パスメトリック平均が、Aよりも大きいが、誤りが検出されていない、若しくは検出頻度が低いような場合には、上限のしきい値Aを上方(Bの上矢印)に修正し、逆に、最小パスメトリック平均が、Aよりも下であるが、誤りが検出された、若しくは検出頻度が高いような場合には、上限のしきい値Aを下方(Bの下矢印)に修正する。
【0043】
また、任意の変調方式において、上限のしきい値が見直されて修正された場合には、図5において当該変調方式の右側に位置する変調方式の下限のしきい値も相対的に修正を行う。
図5の具体例で説明すると、QPSKの上限しきい値Aが上方又は下方に修正されたなら、それに従って、BPSKの下限しきい値Cも上方又は下方に修正する。
【0044】
これにより、径年変化による受信特性の変化の影響で、当初設定した回線品質推定値と変調方式を選択するためのしきい値との関係にも変化を生じたような場合であっても、回線品質推定値がしきい値の範囲内に入っているにもかかわらず、回線誤りが発生したようなケースにおいて、しきい値の関係を補正して現状に即した状態で制御を行うことができる。
【0045】
次に、本発明に係る適応変調方式制御方法を実現する通信システムの構成について図6を使って説明する。図6は、本発明に係る適応変調方式制御方法を実現する通信システムの構成ブロック図である。尚、図8と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
【0046】
本発明の通信システム(本システム)は、従来の通信システムと同様に、受信側において伝搬路状況を推定するための情報を付加し、選択された変調方式で変調して無線信号を送信する送信装置1と、無線信号を受信し、復調し、送信側で付加された情報に基づいて伝搬路状況を推定し、推定結果に基づいて、送信側での変調方式を指定する送信装置制御信号を送信装置1に送信する受信装置2とから構成されている。
【0047】
但し、本発明の通信システムにおいて、送信装置1で付加する伝搬路状況を推定するための情報が、畳込み符号と誤り検出符号(CRC符号)であり、受信装置2では、送信側で付加された畳込み符号からビタビ復号を行い、その結果得られたパスメトリックの平均値と、CRC符号によって誤り検出を行い、検出したビットエラー率とに基づいて伝搬路状況を推定する点が従来の通信システムとは異なっている。
また、伝搬路状況の推定結果から送信側の変調方式を切り替える制御方法についても、従来の制御方法とは異なっている。
【0048】
そして、本発明の送信装置1の内部は、従来と同様の構成である送信データ制御部11と、CRC符号化部12と、マッピング部13と、変調部14と、復調部15とに加えて、畳込み符号化部16が新たに設けられており、また本発明の受信装置2の内部は、従来と同様の構成である復調部21と、デマッピング部22と、CRC誤り検出部23と、送信元制御部24と、変調部25とに加えて、ビタビ復号部26が新たに設けられている。
【0049】
本発明の特徴部分について説明する。
送信装置1内の畳込み符号化部16は、誤り訂正符号化のための畳み込み符号化を行う一般的な符号化部であり、符号化データを出力するようになっている。受信装置2内のビタビ復号部26は、送信側で行われた畳み込み符号化に対して、最尤復号方であるビタビ復号を行う一般的な復号部であり、誤り訂正を施した復号データを出力すると共に、1フレーム復号後に最小のパスメトリック平均値を出力するようになっている。
【0050】
受信装置2内の送信元制御部24は、大きく分けて2つの制御機能を有しており、1つは、送信側における変調方法を制御する送信元制御機能であり、もう1つは、送信側における変調方法を判定するための判定しきい値の見直しを行うしきい値制御機能である。
【0051】
まず、送信元制御機能について説明する。
受信装置2内の送信元制御部24の送信元制御機能は、CRC誤り検出部23からの誤り検出信号と、ビタビ復号部26からの最小のパスメトリック平均値に基づいて、伝送路の回線品質を推定し、推定された回線品質により、データ再送要求信号と送信側での変調方法を制御する変調方式切り替え制御信号とからなる送信装置制御信号を出力する送信元制御処理を行うものである。
尚、伝送路の回線品質を推定する方法は、図5に示すような各変調方式に対応する最小パスメトリック平均値の上限しきい値と下限しきい値とからなる適正範囲を予め設定して記憶し、ビタビ復号部26から出力される最小パスメトリック平均値が、現在の変調方式に対応する適正範囲内にあるか否かによって判断して推定するようになっている。
【0052】
ここで、送信元制御部24の送信元制御処理の具体的な流れについて、図7を使って説明する。図7は、本発明の適応変調方式制御方法を実現する受信装置2の送信元制御部24における送信元制御処理の流れを示すフローチャート図である。
本発明の適応変調方式制御方法を実現する受信装置2の送信元制御部24における送信元制御処理は、まず、CRC誤り検出部23からの誤り検出信号に従って、誤りがあるか判断し(100)、誤りがある場合(Yes)には、送信元へのデータ再送要求信号を出力し(102)、変調方式を現状方式から右方向へ1つシフトするような切り替え要求を出力し(104)、送信元制御処理を終了する。
尚、現状の変調方式が、BPSKの場合には、切替は行わない。
【0053】
一方、処理100において、誤りがない場合(No)は、ビタビ復号部26からの最小パスメトリック平均値が、現状の通信方式のしきい値の範囲内に入っているか判断し(110)、範囲内に入っている場合(Yes)は、通信方式は現状を維持するものとして(112)、送信元制御処理を終了する。
【0054】
一方、処理110において、範囲内に入っていない場合(No)は、最小パスメトリック平均値が、しきい値の範囲の上限よりも大きい値の方に外れているか判断し(120)、大きい値の方に外れている場合(Yes)は、変調方式を現状方式から右方向へ1つシフトするような切り替え要求を出力し(122)、送信元制御処理を終了する。
尚、現状の変調方式が、BPSKの場合には、切替は行わない。
【0055】
また、処理120において、大きい値の方に外れていない場合(No)は、即ちしきい値の範囲の下限よりも小さい値の方に外れているということなので、変調方式を現状方式から左方向へ1つシフトするような切り替え要求を出力し(124)、送信元制御処理を終了する。
尚、現状の変調方式が、64QAMの場合には、切替は行わない。
【0056】
尚、回線品質の状態が急峻に変化したような場合には、複数の段階の変調方式の切替を一度に行うことができるようにしても構わない。
また、誤り検出符号による誤り検出は、特定時間間隔において、1つの誤りで誤り有りとしても良いし、予め定めた特定数の誤りが発生した時に、誤り有りとしても良い。
また、上記説明では、最小パスメトリックの平均値を用いて誤り訂正状況を判断したが、平均値でなくとも構わない。
【0057】
次に、しきい値制御機能について説明する。
受信装置2内の送信元制御部24のしきい値制御機能は、図5に示すような各変調方式に対応する最小パスメトリック平均値の上限しきい値と下限しきい値とからなる適正範囲を予め設定して記憶しているが、CRC誤り検出部23からの誤り検出信号から推定される伝送路の回線品質と、ビタビ復号部26から出力される最小パスメトリック平均値から推定される伝送路の回線品質とが矛盾するような場合に、記憶している各変調方式に対応する最小パスメトリック平均値の上限しきい値と下限しきい値とからなる適正範囲を修正するものである。
【0058】
例えば、最小パスメトリックが適正範囲を上方(不良方向)に外れているのに、誤り検出符号により誤りが検出されていないケースが頻繁にあるのであれば、現状の変調方式の最小パスメトリックの適正範囲が適当でない可能性が高いとして、上限のしきい値を上方に修正する。
また、最小パスメトリックが、適正範囲内にあるにもかかわらず、頻繁に誤りが検出されるような場合には、現状の変調方式の最小パスメトリック平均値範囲が適当でない可能性が高いとして、最小パスメトリックの適正範囲の上限のしきい値を下方に修正する。
尚、上記のようなケースが1回生じたら即修正するわけではなく、予め定められた回数(頻繁と考えられる回数)発生した場合に修正するようにした方が、実用的である。
また、上限のしきい値をどの程度修正するかといった修正幅は、予め設定しておき、設定された修正幅で、上方又は下方への修正を行う。
【0059】
そして、現状の変調方式の適正範囲に修正を行ったならば、その右隣の変調方式(現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式)における適正範囲の下限値のバランスが崩れるので、右隣の変調方式の適正範囲に対して、予め設定された修正幅で、相対的な位置関係による修正を施す。
【0060】
次に、本発明の適応変調方式制御方法を実現する通信システムの動作について、図6を使って説明する。
本発明の通信システムでは、送信装置1において、送信データが、送信データ制御部11の制御の下で、CRC符号化部12に出力され、CRC符号化部12で誤り検出符号が付加され、畳込み符号化部16で誤り訂正の為の畳込み符号化が行われ、マッピング部13で選択されたマッピング配置でマッピングされ、変調部14で変調されて伝送路に送出される。
【0061】
そして、受信装置2の復調部21で受信データが復調され、デマッピング部22でデマッピングされ、ビタビ復号部26でビタビ復号化が成されて誤り訂正されたデータが出力され、CRC誤り検出部23で誤り検出されて誤りのない復号データが出力される。
このとき、ビタビ復号部26からは、1フレーム復号終了後の最小パスメトリック平均値が出力され、また、CRC誤り検出部23において、誤りが検出されると誤り検出信号が出力され、送信元制御部24で最小パスメトリック平均値と誤り検出信号とから回線品質が推定され、データ再送要求信号と送信側での変調方法を制御する変調方式切り替え制御信号とからなる送信装置制御信号が出力され、変調部25で変調されて、送信装置1に送信される。また、この時、伝送路状況が現状の変調方式における適正範囲を修正すべき状態であったなら、記憶している適正範囲のしきい値を修正して更新する。
【0062】
送信装置1では、送信装置制御信号が受信されて、復調部15で復調され、データ再送要求信号は、送信データ制御部11に出力されて、送信データ制御部11では、データの再送要求があった場合には、データの再送が行われる。
また、変調方式切り替え制御信号は、マッピング部13に出力されて、当該制御信号に従って変調方式の切り替え要求があった場合には、マッピング方法が切り替えられるようになっている。
【0063】
本発明の適応変調方式制御方法によれば、送信側で付加された誤り検出符号及び誤り訂正符号に従って、受信側でビタビ復号及び誤り検出を行い、訂正できない誤りが検出されなくても、ビタビ復号による誤り訂正状況を示す最小パスメトリック平均値で回線品質の不良傾向が検知されたなら、送信側における変調方式を耐干渉能力が高い変調方式に切り替えるので、致命的な訂正できない誤りが発生する前に、適切な変調方式に切り替えることができ、伝送路品質を安定して向上でき、且つ再送回数が軽減されて伝送効率を向上できる効果がある。
【0064】
また、誤りが検出されず、ビタビ復号による最小パスメトリック平均値で回線品質の良好傾向が検知されたなら、送信側における変調方式を伝送レートの高い変調方式に切り替えるので、回線品質が向上した時には、より効率的な変調方式に切り替えることができ、伝送路の特性を有効に利用できる効果がある。
【0065】
また、最小パスメトリック平均値で回線品質の傾向を判断するための適正範囲を特定するしきい値は、予め設定されているが、誤りが検出されないにも関わらず、ビタビ復号による最小パスメトリック平均値で回線品質の不良傾向が頻繁に検知されたなら、適正範囲を特定している上限のしきい値を不良方向に広げるように修正するので、径年変化による受信特性の変化をも盛り込んで、伝送路品質の現状に即した適切な変調方式を選択できる効果がある。
【0066】
また、逆に、誤りが検出されているにも関わらず、ビタビ復号による最小パスメトリック平均値は適正範囲内にあるようなケースが頻繁に検知されたなら、適正範囲を特定している上限のしきい値を良好方向に狭めるように修正するので、径年変化による受信特性の変化をも盛り込んで、伝送路品質の現状に即した適切な変調方式を選択できる効果がある。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、受信装置において、CRC誤り検出等による伝送路における訂正できない誤りの検出状況と、ビタビ復号のパスメトリック値等による訂正できる誤りの訂正状況に応じて、送信装置における変調方式を選択する適応変調方式制御方法であり、訂正できる誤りの訂正状況の判断は、複数の変調方式に対応付けて、適正範囲を特定する2つのしきい値を予め定め、適正範囲を外れて不良の場合を訂正状況不良とし、適正範囲を外れて良好の場合を訂正状況良好とし、適正範囲内の場合を訂正状況普通とし、訂正できない誤りが検出されず、且つ訂正できる誤りの訂正状況が良好である場合には、現在選択されている変調方式より伝送状況が良好な場合に対応した変調方式を選択し、訂正できない誤りが検出された場合、又は、訂正できない誤りは検出されず且つ訂正できる誤りの訂正状況が不良である場合には、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式を選択し、訂正できない誤りは検出されず且つ訂正できる誤りの訂正状況が普通である場合には、現在選択されている変調方式を維持するように、変調方式を選択するものなので、訂正できない誤りが発生する前に、訂正できる誤りの訂正状況から伝送路状況の悪化を検知し、更に伝送路状況の回復をも感知して、適切な変調方法を選択することにより、伝送路品質を安定的に確保できる効果がある。
【0068】
また、本発明によれば、受信装置において、CRC誤り検出等による伝送路における訂正できない誤りの検出状況と、ビタビ復号のパスメトリック値等による訂正できる誤りの訂正状況に基づいて、訂正状況を判断するしきい値を調整する適応変調方式制御方法であり、訂正できる誤りの訂正状況が不良であり且つ訂正できない誤りの検出頻度が低いというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を不良方向に広げ、訂正できる誤りの訂正状況が普通又は良好であり且つ訂正できない誤りが検出されるというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を良好方向に狭め、当該しきい値の調整に応じて、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式におけるしきい値を調整するものとしているので、予め定めた各変調方式に対する訂正状況の適正範囲を、誤りの検出状況及び訂正状況に基づいて調整することにより、伝送路の受信特性の径年変化などにも柔軟に対応して、適切な変調方法を選択することにより、伝送路品質を安定的に確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】畳み込み符号化の状態遷移図である。
【図2】畳み込み符号化の状態遷移を表すトレリス線図である。
【図3】ビタビ復号化を説明するトレリス線図である。
【図4】QPSK変調方式軟判定ビタビ復号におけるEb/No対1フレーム復号終了後の最小パスメトリックの平均値、及びBER特性を示す説明図である。
【図5】各変調方式と最適な最小パスメトリック適正範囲のイメージを示す説明図である。
【図6】本発明に係る適応変調方式制御方法を実現する通信システムの構成ブロック図である。
【図7】本発明の適応変調方式制御方法を実現する受信装置の送信元制御部における送信元制御処理の流れを示すフローチャート図である。
【図8】従来の通信システムの構成ブロック図である。
【符号の説明】
1…送信装置、 2…受信装置、 11…送信データ制御部、 12…CRC符号化部、 13…マッピング部、 14… 変調部、 15…復調部、 16…畳込み符号化部、 21…復調部、 22…デマッピング部、 23…CRC誤り検出部、 24、24′…送信元制御部、 25…変調部、 26…ビタビ復号部

Claims (5)

  1. 伝送状況に対応する複数の変調方式を備える送信装置と、前記複数の変調方式に対応する複数の復調方式を備える受信装置とを有し、前記受信装置が、伝送路の伝送状況に応じて送信装置における変調方式を選択し、前記送信装置が、前記受信装置で選択された変調方式で送信する適応変調方式制御方法であって、
    前記受信装置において、前記伝送路における訂正できない誤りの検出状況に応じて、前記送信装置における変調方式を選択すると共に、訂正できる誤りの訂正状況に応じて前記送信装置における変調方式を選択し、前記選択の処理の前後に、前記検出状況及び前記訂正状況に基づいて、前記訂正状況を判断するしきい値を調整することとを特徴とする適応変調方式制御方法。
  2. 変調方式の選択は、伝送状況に対応して予め備えている複数の変調方式の中から行われるものであり、
    訂正できる誤りの訂正状況の判断は、前記複数の変調方式に対応付けて、適正範囲を特定する2つのしきい値を予め定め、前記適正範囲を外れて不良の場合を訂正状況不良とし、前記適正範囲を外れて良好の場合を訂正状況良好とし、前記適正範囲内の場合を訂正状況普通とし、
    訂正できない誤りが検出されず、且つ訂正できる誤りの訂正状況が良好である場合には、現在選択されている変調方式より伝送状況が良好な場合に対応した変調方式を選択し、
    訂正できない誤りが検出された場合、又は、訂正できない誤りは検出されず且つ訂正できる誤りの訂正状況が不良である場合には、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式を選択し、
    訂正できない誤りは検出されず且つ訂正できる誤りの訂正状況が普通である場合には、現在選択されている変調方式を維持することを特徴とする請求項1記載の適応変調方式制御方法。
  3. 誤りの検出状況及び訂正状況に基づいて、前記訂正状況を判断するしきい値の調整が、
    訂正できる誤りの訂正状況が不良であり且つ訂正できない誤りの検出頻度が低いというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を不良方向に広げ、
    訂正できる誤りの訂正状況が普通又は良好であり且つ訂正できない誤りが検出されるというケースが、1回又は特定回数発生した場合に、現在選択されている変調方式に対応する訂正状況を判断するしきい値を良好方向に狭め、
    前記しきい値の調整に応じて、現在選択されている変調方式より伝送状況が不良な場合に対応した変調方式におけるしきい値を調整することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の適応変調方式制御方法。
  4. 伝送路における訂正できない誤りの検出方法が、CRC誤り検出符号による誤り検出であることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の適応変調方式制御方法。
  5. 伝送路における訂正できる誤りの訂正状況の判断方法が、ビタビ復号のパスメトリック値又はその平均値が、各変調方式に対応する予め定めた適正範囲内であるか否かの判断結果であることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の適応変調方式制御方法。
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