JP3842395B2 - 全面駆動型スピーカ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気音響変換装置に関し、特に、磁性材料を用いた振動板にその板面に沿って磁束を通し、磁束と鎖交する方向に電流を流して振動板を振動させる全面駆動型スピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁性材料からなる振動板にその板面に沿って磁束を通し、磁束と鎖交する方向に音声電流を流して振動板を音響振動させる電気音響変換装置は、例えば特公昭47−14936号公報に記載されているように公知である。
【0003】
この装置は、図9に示すように、マグネット11,11’の磁極14,15間を金属磁性材料からなる振動板13により橋絡して、振動板13中に矢印18で示すように磁束が通るようにし、かつ、リード線16,17を通じて振動板13に点線の矢印で示すように磁束と鎖交する方向に音声電流を流すようにしたものである。
【0004】
この装置では、振動板13中での磁束と電流の相互作用により、振動板13が磁束および電流の方向と直交する方向で振動し、電流に対応した音響を発生する。すなわち、電気音響変換装置となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の電気音響変換装置は、磁束を発生させるために磁石を用いている。磁石は、電気音響変換に必要な磁束密度を得るためには、ある程度の大きさを必要とし、このため、磁石を用いる限り電気音響変換装置の薄型化には限界がある。
【0006】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、薄型化が容易な全面駆動型スピーカを実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)課題を解決するための請求項1の発明は、導電性の板部材と、前記板部材にその板面に平行な電流を通じる通電手段と、前記板部材の少なくとも1つの面に電気的に絶縁して被着され、前記電流によって生じる磁束を通す磁気通路およびこの磁気通路の磁束と鎖交する電流を通す電気通路を構成する導電性の磁性膜と、前記磁性膜が被着された前記板部材を振動可能に支持する支持手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明では、板部材に流れる電流による磁束が磁性膜中に集中する。そして、磁性膜中の磁束との相互作用により、外部から電気通路に与えられた電流に応じた板部材の振動が生じる。
【0009】
(2)課題を解決するための請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記磁性膜が、前記磁束と鎖交する方向において互いに平行になるように分離されかつ互いに同じ方向に電流を流すように直列に接続された複数の条体である、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、直列接続された複数の条体に流れる電流によって能率良く振動が発生する。
(3)課題を解決するための請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記支持手段が前記板部材を支持する第2の板部材を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明では、第2の板部材が、磁性膜が被着された板部材と一体の振動板となり、その振動特性が電気音響変換の周波数特性を支配する。
(4)課題を解決するための請求項4の発明は、渦巻状あるいは蛇行状の連続的な偏平のパターンをなす導電部材と、前記導電部材にそのパターンに沿って電流を通じる通電手段と、前記導電部材のパターンに沿い少なくとも1つの偏平面に電気的に絶縁して被着され、前記電流によって生じる磁束を通す磁気通路およびこの磁気通路の磁束と鎖交する電流を通す電気通路を構成する導電性の磁性膜と、前記磁性膜が被着された前記導電部材を振動可能に支持する支持手段と、を具備することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明では、連続的な偏平のパターンをなす導電部材に流れる電流による磁束が磁性膜中に集中する。そして、磁性膜中の磁束との相互作用により、外部から電気通路に与えられた電流に応じた導電部材の振動が生じる。
【0013】
(5)課題を解決するための請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記支持手段が、前記磁性膜が被着された前記導電部材を支持する支持板部材を備える、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明では、支持板部材が、磁性膜が被着された導電部材と一体の振動板となり、その振動特性が電気音響変換の周波数特性を支配する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
(発明の実施の形態の第1の例)
図1に全面駆動型スピーカの模式的構成を示す。本スピーカは、本発明の実施の形態の第1の例である。
【0017】
(構成)
本スピーカの構成を説明する。図1に示すように、本スピーカは導電性の板部材2を有する。板部材2は、本発明における板部材の実施の形態の一例である。板部材2は、例えば銅やアルミニウム等の導電材料を用いて構成される。
【0018】
板部材2の両面には、導電性の磁性膜4,4’がそれぞれ被着されている。磁性膜4,4’は、本発明における磁性膜の実施の形態の一例である。磁性膜4,4’は、いずれか一方のみを設けるようにしても良い。以下では両面に磁性膜を設けた例について説明する。
【0019】
磁性膜4,4’は、例えばパーマロイ等の高透磁率の金属磁性材料を、例えばメッキやスパッタリングすること等によって構成される。金属磁性材料は、パーマロイに限らず他の高透磁率合金であって良い。金属磁性材料は一般的に導電性を有する。
【0020】
板部材2と磁性膜4,4’の間には絶縁層6,6’が介在する。絶縁層6,6’は、例えばポリエステル等の高分子絶縁材料の膜によって構成される。その他、板部材2の表面に形成する酸化膜層や接着剤層等によって構成しても良い。
【0021】
両面に磁性膜4,4’が被着された板部材2は、振動板8を構成する。振動板8は、図におけるx方向の両端部が支持部材10,10’で支持されている。支持部材10,10’は、本発明における支持手段の実施の形態の一例である。
【0022】
板部材2には、図におけるy方向、すなわち、例えば矢印22の方向に沿って、電流が通じられるようになっている。電流は、図示しない電流供給源から例えば直流の定電流として与えられる。電流供給源は、本発明における通電手段の実施の形態の一例である。電流供給源として可変出力のものを用いれば、電流値を変更することができる。
【0023】
板部材2を流れる電流によって磁界が生じ、この磁界によって板部材2の周りに磁束が生じる。この磁束は、板部材2の両面に高透磁率の磁性膜4,4’が被着されていることにより、それらに集中して通過する。すなわち、磁性膜4,4’は磁気通路を構成することになる。
【0024】
磁束は、例えば破線の矢印24で示すように、磁性膜4,4’中を図のx方向に通過して板部材2の周りを周回する。このような周回磁束が、板部材2のy方向の全長にわたって形成される。
【0025】
例えば、板部材2の厚さを5μm、幅を500μmとし、磁性膜4,4’および絶縁層6,6’の厚さをいずれも2.5μmとしたとき、板部材2に1Aの電流を通じることにより、磁性膜4,4’中に0.8T(テスラ)程度の磁束密度の磁束を生じさせることができる。すなわち、磁石を用いた通常のスピーカにおけるのと同程度の磁束密度を得ることができる。
【0026】
図2に、磁性膜4における磁束密度分布のシミュレーション結果を示す。同図に示すように、磁性膜4のx方向の0.00015〜0.00035mの範囲で0.821〜0.826Tの磁束密度が得られる。
【0027】
磁束密度は、振動板8の各層を薄くするほど高くなる傾向を有する。また、板部材2に流す電流値を調節することにより、磁性膜4,4’中の磁束密度を調節することができる。
【0028】
磁性膜4,4’には、y方向すなわち矢印26,26’の方向に沿って、電流が入力されるようになっている。これらの電流は、図示しない電流入力回路から入力される。
【0029】
磁性膜4,4’は、入力電流のための電気通路をも構成する。この電気通路を流れる電流は磁性膜4,4’の中で磁束と鎖交する。すなわち、磁気通路と鎖交する電気通路が構成される。
【0030】
(動作)
本スピーカの動作を説明する。図示しない電流入力回路から、磁性膜4,4’に、矢印26,26’の方向に沿ってそれぞれ電流を入力する。なお、磁性膜4と4’では電流の方向を逆にする。そのような電流を流すには、磁性膜4と4’を、図における後端部で直列に接続するのが便利である。これによって、磁性膜4と4’は、一方が往路、他方が復路となり、同一値の電流が互いに逆方向に流れるようになる。
【0031】
これらの電流はそれぞれ磁性膜4,4’中の磁束と鎖交するものとなる。このため、磁束と電流の相互作用により、磁性膜4,4’には、磁束および電流の方向と直交する方向、すなわち、矢印28で示すように、膜面に垂直な方向に力が作用する。
【0032】
この力は磁性膜4,4’の全面にわたってほぼ均等に作用する。磁性膜4と4’に供給される電流の極性が互いに逆であることにより、磁性膜4と4’には同じ向きに力が作用する。
【0033】
供給された電流が例えば音声電流である場合は作用する力が変動し、それによって振動板8が振動する。この振動が周囲の空気に粗密波を発生する。すなわち、電気信号が音響信号に変換される。
【0034】
本スピーカは、磁石を使用しないので容易に薄型化ないし小型化することができる。薄型化ないし小型化は、振動板8の各層の厚さを薄くして磁性膜4,4’中の磁束密度を高める点において、ますます好都合である。また、磁束発生用の電流供給源および信号入力用の電流入力回路は、半導体集積回路技術を利用して薄型化ないし小型化することが容易である。したがって、本スピーカは薄型化するのに好適な全面駆動型スピーカとなる。
【0035】
薄型化した本スピーカを複数個用いて、アレイ(array) 型の全面駆動型スピーカを構成することができる。アレイは1次元アレイ、2次元アレイまたは3次元アレイのいずれでも構成することができる。アレイを構成した場合は、フェーズドアレイ(phased array)の手法を利用することにより、音響の指向性を自在に調節することができ、利便性が向上する。
【0036】
また、電気音響変換に関わる磁束の発生を、板部材2に流す電流によっているので、この電流を調節することにより磁束密度を調節することができ、これによって、電気音響変換の感度を自在に調節することができる。
【0037】
また、板部材2に流す電流をも入力信号とすることもできる。その場合、この入力信号と磁性膜4,4’に入力する電流との掛算に相当する音響出力を得ることができる。
【0038】
また、磁性膜4と4’に与える電流をそれぞれ独自の入力信号とすることができる。その場合は、それらの代数和に相当する音響出力を得ることができる。
さらに、以上の2つの方式を組み合わせることによって、3入力の全面駆動型スピーカを得ることができる。
【0039】
以上は、磁性膜4,4’を、板部材2の表面を連続的に覆うように設けた例であるが、磁性膜4,4’は、例えば図3に示すように、磁束と鎖交する方向の複数の平行な条体41となるように形成し、これら複数の条体41をリード線42により直列に接続するようにしても良い。条体41は、本発明における条体の実施の形態の一例である。このようにすることにより、同一の電流が複数回繰り返して磁束と鎖交するようになるので、電流当たりの能率が良い音響振動を発生させることができる。
【0040】
磁性膜を板部材2の片面にのみ設けるときは、例えば図4に示すように条体41をリード線4で同じ極性で直列に接続する。このようにしても、同一の電流を複数回繰り返して磁束と鎖交させ、電流当たりの能率が良い音響振動を発生させることができる。
【0041】
(発明の実施の形態の第2の例)
図5に、本発明の実施の形態の第2の例の模式的構成を示す。図5において、図1と同様の部分に同一の符号を付し説明を省略する。同図に示すように、振動板8は、支持板20の上に密着して取り付けられている。なお、振動板8は、図3または図4に示したようなものであっても良い。
【0042】
これにより、支持板20は振動板8と一体となって振動板8’を構成する。振動板8’においては、支持板20の厚みが板厚の大部分を占めるようになっている。
【0043】
支持板20は、本発明における第2の板部材の実施の形態の一例である。電流供給線32,32’が振動板8の板部材2に接続されている。電流入力線34,34’が振動板8の磁性膜4,4’にそれぞれ接続されている。磁性膜4と4’は、図における後端部において互いに電気的に接続されている。
【0044】
支持板20の、図におけるx方向の両端部が支持部材10,10’で支持されている。支持板20の両端付近は波型に成形され、振動板8’のエッジ部を構成している。
【0045】
支持板20は、例えばポリエステル等の高分子材料の板ないしフィルムで構成される。支持板20は、ポリエステルに限らず他の樹脂材料、例えばポリエチレン、ポリイミド等で構成しても良い。
【0046】
振動板8’の振動特性は、厚みの大部分を占める支持板20の機械的特性によって支配される。そこで、支持板20の材質とその厚みを選ぶことにより、振動板8’の振動特性を変えることができる。これによって設計の自由度が増し、音質設計等がやり易くなる。
【0047】
(発明の実施の形態の第3の例)
図6に本発明の実施の形態の第3の例を示す。同図の(a)は平面図、(b)はA−A断面図である。なお、図6の(b)においては一部の図示を省略している。
【0048】
(構成)
本スピーカの構成を説明する。図6に示すように、本スピーカは振動板8''を有する。振動板8''は円板状になっている。円板状の振動板は指向性と異方性を持たない点で好ましい。なお、円板に限らず、楕円形や四辺形等適宜の形状の板を振動板8''として用いることができる。
【0049】
振動板8''は、その周部が支持部材10によって支持されている。支持部材10は円筒状をなしている。円筒の端面に振動板8''の周部の裏面が例えば接着等によって固着されている。振動板8''には、支持部材10の内周に沿って波型部82が形成されている。波型部82は、振動板8''のいわゆるエッジを構成する。
【0050】
振動板8''上には、回路パターン60が設けられている。回路パターン60は偏平な渦巻状のパターンをなし、振動板8''の板面に固着されている。渦巻の中心は振動板8''の中心と一致している。渦巻の巻数は例えば数10ターン程度である。なお、ターン数は必要に応じて適宜の値として良い。
【0051】
回路パターン60は多層構造を有する。回路パターン60の多層構造は、図1に示した振動板8の多層構造と同様になっている。多層構造の回路パターン60が振動板8''と一体になっている。この一体構造の断面の拡大図を図7に示す。図7において、板部材2は、本発明における導電部材の実施の形態の一例である。回路パターン60は、振動板8''に一体的にモールドするようにしても良い。これは、一体化をさらに完全なものにする点で好ましい。
【0052】
一体構造においては、その厚みの大部分が振動板8''の厚みで占められる。振動板8''は、本発明における支持板部材の実施の形態の一例である。振動板8''と支持部材10は本発明における支持手段の実施の形態の一例である。振動板8''は、図3に示した支持板20と同様に、例えばポリエステル等の高分子材料の板ないしフィルムで構成される。
【0053】
回路パターン60と振動板8''との一体構造の振動特性は、厚みの大部分を占める振動板8''の機械的特性によって支配される。そこで、振動板8''の材質とその厚みを選ぶことにより、振動特性を変えることができる。これによって設計の自由度が増し、音質設計等がやり易くなる。
【0054】
回路パターン60の両端、すなわち、渦巻の中心部と末端部に導線80,80’がそれぞれ接続されている。導線80,80’は、板部材2に接続され、磁性膜4,4’とは絶縁されるようになっている。
【0055】
磁性膜4,4’には、回路パターン60の一端、例えば渦巻の末端部において導線100,100’がそれぞれ接続されている。また、回路パターン60の他端、例えば渦巻の中心部側では、磁性膜4と4’は図示しないリード線で直列に接続されている。
【0056】
板部材2には、導線80,80’を通じて図示しない電流供給源から電流が通じられるようになっている。電流は例えば直流の定電流として与えられる。電流供給源は、本発明における通電手段の実施の形態の一例である。電流供給源として可変出力のものを用いれば、電流値を変更することができる。
【0057】
板部材2を流れる電流によって磁界が生じ、この磁界によって、図1で説明したように、板部材2の周りに磁束が生じる。この磁束は回路パターン60の全長にわたって生じる。磁性膜4,4’には、導線100,100’を通じて電流が流される。電流は図示しない電流入力回路から与えられる。電流入力回路は、例えば音声電流源等である。
【0058】
(動作)
本スピーカの動作を説明する。導線100,100’を通じて、図示しない電流入力回路から、磁性膜4,4’に電流を入力する。なお、磁性膜4と4’では電流の向きが逆になる。
【0059】
これらの電流はそれぞれ磁性膜4,4’中の磁束と鎖交するものとなる。このため、磁束と電流の相互作用により、磁性膜4,4’には、磁束および電流の方向と直交する方向、すなわち、膜面に垂直な方向に力が作用する。
【0060】
この力は磁性膜4,4’の全面にわたり、また、回路パターン60の全長にわたって均等に作用する。磁性膜4と4’に流れる電流の方向が互いに逆であることにより、磁性膜4と4’には同じ向きに力が作用する。この力が振動板8''に作用する。
【0061】
供給された電流が例えば音声電流である場合は作用する力が変動し、それによって振動板8''が振動する。この振動が周囲の空気に粗密波を発生する。すなわち、電気信号が音響信号に変換される。
【0062】
回路パターン60が複数ターンの渦巻になっていることにより、入力電流はターン数倍されて力の発生に寄与する。したがって、入力電流当たりの音圧が大きくなり、入力電流が能率良く音圧に変換される。
【0063】
渦巻状の回路パターンを振動板8''の裏面にも設け、両回路パターンを直列に接続すれば、さらに入力電流に対する能率の良い全面駆動型スピーカとすることができる。さらに、必要に応じて、振動板8''の内部に回路パターンを多層に形成し、それらすべてを直列接続すればさらに能率を向上させることができる。
【0064】
回路パターンは渦巻状に限らず、例えば図8に示すように、蛇行状の回路パターン60’としても良い。この場合、入力電流は蛇行数倍されて力の発生に寄与する。したがって、入力電流当たりの音圧が大きくなり、入力電流が能率良く音圧に変換される。その他、回路パターンは、必要に応じて種々の形状の連続パターンとすることができる。
【0065】
本スピーカは、磁石を用いないので、容易に薄型化ないし小型化することができる。薄型化ないし小型化は、回路パターン60の各層の厚さが薄くなり、磁性膜4,4’’中の磁束密度が高まる点において好都合である。薄型化ないし小型化に際しては、振動板8''を省略し、回路パターン60または60’のみで振動部を構成するようにしても良い。
【0066】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1の発明では、板部材に流れる電流による磁束をそれに被着した磁性膜中に集中させ、磁束との相互作用により、外部から磁性膜に与えられた電流に応じた板部材の振動を生じさせるようにしたので、薄型化が容易な全面駆動型スピーカを実現することができる。
【0067】
また、請求項2の発明では、磁性膜が、磁束と鎖交する方向において互いに平行になるように分離されかつ互いに同じ方向に電流を流すように直列に接続された複数の条体であることにより、複数の条体に直列に流れる電流によって能率良く振動が発生する。
【0068】
また、請求項3の発明では、第2の板部材を、磁性膜が被着された板部材と一体化し、その振動特性が電気音響変換の周波数特性を支配するようにしたので、第2の板部材を選ぶことによって周波数特性を調整できる薄型化が容易な全面駆動型スピーカを実現することができる。
【0069】
また、請求項4の発明では、渦巻状あるいは蛇行状の連続的な偏平のパターンをなす導電部材に流れる電流による磁束を導電部材の磁性膜に集中させ、磁性膜中の磁束との相互作用により、外部から磁性膜に与えられる電流に応じた振動を生じさせるようにしたので、薄型化が容易な全面駆動型スピーカを実現することができる。
【0070】
また、請求項5の発明では、支持板部材と導電部材とが一体の振動板を構成するようにしたので、支持板部材の厚みや材質等によって周波数特性を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例の模式的構成を示す図である。
【図2】 磁性膜内の磁束密度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図3】 本発明の実施の形態の一例における振動板の他の構成例を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態の一例における振動板の他の構成例を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態の一例の模式的構成を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態の一例の模式的構成を示す図である。
【図7】 図6の一部の拡大図である。
【図8】 本発明の実施の形態の一例における回路パターンの他の例を示す図である。
【図9】 従来例の模式的構成を示す図である。
【符号の説明】
2 板部材
4,4’ 磁性膜
6,6’ 絶縁層
8,8’,8'' 振動板
10,10’ 支持部材
20 支持板
32,32’ 電流供給線
34,34’ 電流入力線
41 条体
42 リード線
82 波型部
60,60’ 回路パターン
80,80’,100,100’ 導線
11,11’ マグネット
13 振動板
14,15 磁極
16,17 リード線

Claims (5)

  1. 導電性の板部材と、
    前記板部材にその板面に平行な電流を通じる通電手段と、
    前記板部材の少なくとも1つの面に電気的に絶縁して被着され、前記電流によって生じる磁束を通す磁気通路およびこの磁気通路の磁束と鎖交する電流を通す電気通路を構成する導電性の磁性膜と、
    前記磁性膜が被着された前記板部材を振動可能に支持する支持手段と、
    を具備することを特徴とする全面駆動型スピーカ。
  2. 前記磁性膜が、前記磁束と鎖交する方向において互いに平行になるように分離されかつ互いに同じ方向に電流を流すように直列に接続された複数の条体である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の全面駆動型スピーカ。
  3. 前記支持手段が前記板部材を支持する第2の板部材を有する、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の全面駆動型スピーカ。
  4. 渦巻状あるいは蛇行状の連続的な偏平のパターンをなす導電部材と、
    前記導電部材にそのパターンに沿って電流を通じる通電手段と、
    前記導電部材のパターンに沿い少なくとも1つの偏平面に電気的に絶縁して被着され、前記電流によって生じる磁束を通す磁気通路およびこの磁気通路の磁束と鎖交する電流を通す電気通路を構成する導電性の磁性膜と、
    前記磁性膜が被着された前記導電部材を振動可能に支持する支持手段と、
    を具備することを特徴とする全面駆動型スピーカ。
  5. 前記支持手段が、前記磁性膜が被着された前記導電部材を支持する支持板部材を備える、
    ことを特徴とする請求項4に記載の全面駆動型スピーカ。
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