JP3841795B2 - 茸類エキス製品の製造方法、エキス粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
近年、霊芝の薬効効果が注目され、霊芝は顆粒、錠剤等の形態で健康補助食品として提供されている。
このため、長さを測るといっても、異形の粉砕物の長手方向に正確に測ることは困難である。粒径を用いる場合も、粒径の計測に用いる粒度分布計では、異形の計測対象物(粉砕物)の粒径を正確に計測するのは困難である。メッシュサイズを用いる場合、実際には所定のメッシュサイズを有した篩を通るか否かを判定することになるが、針状の粉砕物は、その方向によって篩のメッシュを通過したりしなかったりするため、この方法でも正確な評価は困難である。
このように、従来の技術では、粉砕物の粉砕レベルを正確に評価することが困難である。
一般に、カプセルや錠剤は、所定の重量の粉砕物を用いて成形する。このため、例えば、粉砕が十分に行われなかった場合、粉砕物が針状あるいは繊維が絡まったような綿状等であるために、嵩張って所定の重量の粉砕物がカプセルに充填できなかったり、カプセルに充填はできるもののカプセルのキャップを閉じることができなかったり、錠剤を打錠できない等したのである。
このため、粉砕物の粉砕レベルを正確に評価することは、最終的なカプセルや錠剤といった製品を成形する過程で非常に重要である。しかし、上述したように、従来の手法では、粉砕レベルを正確に評価できないのが現状であった。
本発明では、嵩密度計測工程にて、粉砕工程で粉砕された粉砕物の嵩密度を計測する場合、嵩密度計測工程にて計測される嵩密度が予め設定したしきい値以上となるまで、粉砕工程を続けることを特徴とすることができる。この場合、粉砕物の嵩密度が0.25[g/cm3]以上となるまで粉砕工程を続けるのが好ましい。
また、嵩密度計測工程にて、粉末化工程で得られたエキス粉末の嵩密度を計測するときには、製品形成工程では、嵩密度が予め設定したしきい値以上のエキス粉末を用い、茸類エキス製品を形成することを特徴とすることもできる。この場合、製品形成工程では、嵩密度が0.5[g/cm3]以上のエキス粉末を用い、茸類エキス製品を形成するのが好ましい。もちろん、粉砕工程で粉砕された粉砕物の嵩密度を計測し、さらに粉末化工程で得られたエキス粉末の嵩密度を計測するようにしても良い。
製品形成工程で、エキス粉末をカプセルに充填、またはエキス粉末をタブレットに打錠することで茸類エキス製品を形成するに際し、このように、粉砕物やエキス粉末の嵩密度を計測し、嵩密度が予め設定したしきい値以上であるものを用いることで、カプセル充填、タブレット打錠を確実に行うことが可能となる。
なお、しきい値となる嵩密度は、上記以外であってもよく、例えばカプセルやタブレットの大きさ、充填するエキス粉末の量に応じて設定すればよい。
ここで、本製造方法によって最終的に得られるエキス粉末の嵩密度がしきい値以上となるのであれば、嵩密度の計測は、適宜タイミングで行えばよい。例えば、粉砕された子実体の粉砕物の嵩密度を計測することで、最終的に得られるエキス粉末の嵩密度をコントロールしても良いし、また、エキスを粉末化することで得られるエキス粉末の嵩密度を直接計測することもできる。
図1は、本実施の形態における茸類エキスの抽出プロセス、茸類エキス製品の製造プロセスの流れを説明するための図である。
霊芝(茸類)エキスを抽出するための子実体は、培地に菌が植え付けられ、これを一定期間培養することで得られた菌床を、所定範囲内の湿度・温度・照度環境に維持することで得られる。菌床からは、万年茸の鹿角状の子実体(いわゆる鹿角霊芝)が生えてくる。この子実体を菌床から切り取り、所定期間乾燥させると乾燥子実体が得られるので、この乾燥子実体から、以下のようにして霊芝エキスの抽出を行う。
乾燥子実体(以下、単に子実体と称する)を、回転刃の付いた破砕装置等で粗粉砕した後、乾式ジェットミル等の粉砕手段によって微粉砕する。
得られた微粉砕物は、熱水抽出、エタノール抽出、含水エタノール抽出等といった抽出法により、微粉砕物からβ−グルカン等の有効成分の抽出が行われる。本実施の形態では、その抽出法を限定する意図は無く、上記以外の他の抽出法を用いるようにしてもよい。
微粉砕物からの有効成分の抽出後、水やエタノールを常圧あるいは減圧雰囲気下で蒸発させることで、エキス抽出自体は完了する。
引き続き、抽出されたエキスと残渣が混在するスラリー状のエキスを、スプレードライヤ等で粉末化し、エキス粉末を得る。
得られたエキス粉末を計量し、図2に示すように、ボディ1と、このボディ1に嵌め合わされるキャップ2とからなるカプセル(カプセル本体)3に、所定重量のエキス粉末を充填することで、カプセル状の茸類エキス製品を製造できる。また、所定重量のエキス粉末にバインダ等を混合して所定形状の打錠成形することで、タブレット状の茸類エキス製品を形成できる。
X=W/V [g/cm3]
もちろん、粉砕工程の直後において、微粉砕物の嵩密度Xを計測し、さらに、粉末化工程を経て得られるエキス粉末の嵩密度Xを計測し、合計2回、嵩密度Xによる管理を行っても良い。
例えば、2号カプセルに、150mgのエキス粉末を充填する場合、嵩密度Xは、0.3とするのが好ましい。また、2号カプセルに、200mgのエキス粉末を充填する場合は、嵩密度Xを0.4とするのが好ましい。
通常用いられているカプセルには、00号(内容量0.95ml)、0号(内容量0.68ml)、1号(内容量0.47ml)、2号(内容量0.37ml)、3号(内容量0.27ml)、4号(内容量0.20ml)、5号(内容量0.13ml)がある。
これらのサイズのカプセルに対し、上記と同様に、嵩密度Xを0.3、0.4、0.5とした場合の、カプセルへのエキス粉末の充填量の関係を図4に示した。もちろん、カプセルへの充填量が、図4に示したものと重ならない中間値となる場合は、嵩密度Xも0.3、0.4、0.5以外の中間値を取ればよい。
収穫後、乾燥した鹿角霊芝を3mm角程度に粗粉砕した後、乾式ジェットミルで微粉砕を行い、微粉砕物を得た。ここで、乾式ジェットミルに対する、粗粉砕後の粗粉砕物の供給速度を、
Test1:5.0[kg/Hr]
Test2:3.5[kg/Hr]
Test3:2.5[kg/Hr]
Test4:1.5[kg/Hr]
Test5:0.5[kg/Hr]
とし、粉砕状態の異なる5種類の微粉砕物を得た。
言い換えれば、10[kg]の粗粉砕物を処理するのに要する時間(粉砕時間)は、
Test1:2時間
Test2:2時間50分
Test3:4時間
Test4:6時間42分
Test5:20時間
となる。
図5(a)はTest1、図5(b)はTest2、図6(a)はTest3、図6(b)はTest4、図7はTest5によって得られた微粉砕物のSEM写真である。
比較のため、上記Test1〜Test5の微粉砕物を、メタノール中に超音波を用いて分散させ、レーザー回折式粒度分布測定機により、微粉砕物の粒度分布を測定した。
その結果が表1である。
Test1:0.18[g/cm3]
Test2:0.22[g/cm3]
Test3:0.26[g/cm3]
Test4:0.28[g/cm3]
Test5:0.35[g/cm3]
と、Test1〜Test5の微粉砕物で明らかに異なっており、また図5〜図7に示したSEM写真と同様、乾式ジェットミルへの粗粉砕物の供給速度を低く、つまり粉砕時間を長くし、乾式ジェットミル内で粉砕される時間を長くするほど、得られる微粉砕物の嵩密度が大きくなる、という相関関係が得られている。
得られた微粉砕物を、熱水または含水エタノール溶液でエキス抽出し、残渣を含んだ状態のスラリー状エキスをスプレードライにより乾燥し、エキス粉末を得た。乾燥処理は入熱185℃、排熱95℃、ノズル口径1.3mm、噴霧圧力170kg/cm2、溶液濃度10〜15%で行った。
図9は、嵩密度0.26[g/cm3]の微粉砕物を、抽出・乾燥処理した粉体(エキス粉末)のSEM写真である。
この図9に示すように、微粉砕した際の針状の形態とは異なり、エキス成分と残渣が混ざった状態で乾燥したことにより、顆粒状となった。
続いて、得られたエキス粉末の嵩密度を測定した。
この図10に示すように、抽出前の微粉砕物の嵩密度と抽出処理後のエキス粉末の嵩密度に相関関係があることが確認され、抽出前の微粉砕物の嵩密度に対し、抽出処理後のエキス粉末は約2倍の嵩密度を有していることが確認された。つまり、空隙の少ない顆粒状の粒子になったことで、微粉末の状態より嵩密度も大きくなったと言える。
その結果、抽出前の微粉砕物の嵩密度が、0.17[g/cm3]、抽出処理後のエキス粉末の嵩密度で0.30[g/cm3]のエキス粉末では、カプセルに170mgしか充填できず、それ以上充填しようとするとカプセルのキャップがロックしなかったり、ロックの際に打痕がカプセルに残るなどし、目標量の280mgの充填はできなかった。これに対し、抽出前の微粉砕物の嵩密度で0.25[g/cm3]以上、抽出処理後のエキス粉末の嵩密度で0.50[g/cm3]以上のエキス粉末では、カプセルへの充填が正常に行えた。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で示した構成に対し、構成の変更、削除、追加等を行うことが可能である。
Claims (4)
- 茸類の子実体を粉砕する粉砕工程と、
粉砕された前記子実体の粉砕物から、前記子実体のエキスを抽出する抽出工程と、
抽出された前記エキスを粉末化する粉末化工程と、
前記粉末化工程で得られたエキス粉末を用い、茸類エキス製品を形成する製品形成工程と、
所定量の前記エキス粉末をカプセルに充填、または所定量の前記エキス粉末をタブレットに打錠できるよう、前記粉砕物および前記エキス粉末の少なくとも一方の嵩密度を計測する嵩密度計測工程と、を備え、
前記嵩密度計測工程にて前記粉砕物の嵩密度を計測するときには、前記嵩密度が予め設定したしきい値以上となるまで、前記粉砕工程を続け、
前記嵩密度計測工程にて前記エキス粉末の嵩密度を計測するときには、前記製品形成工程にて、前記嵩密度が予め設定したしきい値以上の前記エキス粉末を前記カプセルに充填または前記タブレットに打錠して、前記茸類エキス製品を形成することを特徴とする茸類エキス製品の製造方法。 - 前記嵩密度計測工程にて前記粉砕物の嵩密度を計測するときには、前記しきい値を0.25[g/cm 3 ]とすることを特徴とする請求項1に記載の茸類エキス製品の製造方法。
- 前記嵩密度計測工程にて前記エキス粉末の嵩密度を計測するときには、前記しきい値を0.5[g/cm 3 ]とすることを特徴とする請求項1に記載の茸類エキス製品の製造方法。
- 茸類の子実体を粉砕する工程と、
粉砕された前記子実体の粉砕物から、前記子実体のエキスを抽出する工程と、
抽出された前記エキスを粉末化してエキス粉末を得る工程と、
カプセルに所定量の前記エキス粉末が充填できるよう、前記粉砕物および前記エキス粉末の少なくとも一方の嵩密度を計測する工程と、を備え、
前記嵩密度が予め設定されたしきい値以上の前記エキス粉末を得ることを特徴とするエキス粉末の製造方法。
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