JP3841751B2 - 電気化学的処理方法およびその電気化学的反応装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
この発明は、例えば電気メッキ等の電気化学的処理に好適で、超臨界または亜臨界物質、例えば二酸化炭素を用いて、各処理工程を安全で合理的かつ速やかに行なえ、使用後の二酸化炭素および処理溶液等を合理的かつ迅速に処理できるとともに、酸洗い液やメッキ液等の使用量を抑制し、更にメッキ作業から発生する廃液量を低減して環境汚染を防止し、作業環境の改善と生産性の向上、並びに前記廃液の再利用を図る一方、メッキのつき廻りを飛躍的に向上して美麗な仕上がりを得られ、被処理物の裏面や凹部にも緻密かつ一様なメッキを容易に実現するとともに、各処理に要する浴槽を省略かつ小形軽量化し、設備費の軽減と設置スペ−スのコンパクト化を図れ、更に反応浴槽を加圧して電気化学的反応させ、電解溶液の溶媒の電気分解を抑制し電流効率を向上して、電気化学的反応を合理的かつ効率良く行ない、緻密で薄厚の金属皮膜を得られる、電気化学的処理方法およびその電気化学的反応装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、電気化学的反応方法の代表的なものとして、電気メッキが挙げられる。電気メッキは、製品の装飾、防食、耐食、防錆等の工業的用途に重要な役割を果たしている。また、特定の金属を大量生産する方法として、電解精錬が挙げられる。
その他、外部電界を加えるものとしては、陰極処理として電鋳、電気泳動塗装等が挙げられ、陽極処理としはアルミニウムの陽極酸化皮膜の形成、電解研磨、電解加工、電気泳動塗装等が挙げられる。更に、外部電界を加えないものとしては、無電解メッキ、化成処理等を挙げることができる。
【0003】
上述した種々の電気化学的反応方法に関し、その反応効率を向上させ、あるいは皮膜の均一性、つきまわり性を向上させることを目的として、様々な検討がなされている。
【0004】
その一つとして、界面活性剤を用いる方法が知られている。界面活性剤は、電気化学反応による生成ガスの抑制、水切り剤として、またシミの発生の抑制、乾燥の補助等に重要な役割を果たしている。
更に、界面活性剤を用いることで、弱電流部において補助電極を用いることなく、高い電気特性をもって反応させることができる。この効果は、消費電力を低減し、析出・溶解速度を上げ、結果としてレべリング効果を高めることに寄与している。
【0005】
しかし、上記界面活性剤は、価格や工程等の理由から現実には使用されていない。それゆえ、反応性、反応効率を高め、皮膜の均一性、つきまわり性を向上させるための新技術の開発が望まれていた。
また、電気メッキ等の電気化学的反応方法の技術分野においては、使用後のメッキ液等の廃液処理の問題があり、環境問題の高まりから早急に解決すべき問題とされていた。
【0006】
前記廃液処理は、廃液中の含有毒物の分解、廃液中からの有害物の分離除去、分離された物質の処理・処分の三段階に分かれている。特に、廃液中からの有害物の分離に関しては、廃液に薬品を加え、有害物を固体の状態にして、分離する方法が多くとられている。
【0007】
しかし、この方法は、一般に能率の悪い大掛りな設備を用いて行っていることが多く、近時の規則強化の下では廃液処理の問題に十分に対処できない。
更に、従来は電気化学的反応後、メッキした電極等の目的物を洗浄する必要があった。この洗浄工程は、通常、水中ですすいだり、流水にさらす等して行われており、工程が煩雑になるという問題があった。また、洗浄に用いた液が多量の廃液となり、上述のような廃液処理の問題を招いていた。
【0008】
ところで、従来の電気メッキ工程は大別すると、前処理工程とメッキ工程、後処理工程に分けられる。このうち、前処理工程は脱脂洗浄や酸洗いを伴い、これらは通常、専用の浴槽に所定の処理液を収容して加温し、この処理液に被処理物を所定時間浸漬して行なっている。
したがって、複数の浴槽とその作業スペ−スを要して設備費が高価になり、また処理液の飛散や有害なガスが発生する状況下での作業を強いられて作業環境が悪く、しかも前記浸漬に長時間を要して生産性が悪い、という問題があった。
【0009】
また、従来の脱脂洗浄に、アルカリ加熱、電解洗浄、溶剤洗浄、エマルジョン洗浄等種々の洗浄法が提案されているが、何れも薬剤の投入や特別の設備を要し、しかも各処理液に被処理物を浸漬し、若しくは処理液の蒸気中に晒すため、その後の水切りに時間が掛かる等の問題がある。
【0010】
このような問題を解決するものとして、例えば特開2000−63891号 公報では、被洗浄物を収容する小容積のチャンバ−に超臨界状態の二酸化炭素を供給して接触させ、同時に被洗浄物を加熱し若しくは振動させて、被洗浄物に付着したPCBを溶解し除去するようにしている。
【0011】
しかし、この従来の洗浄装置は、洗浄後、超臨界状態の二酸化炭素をすべて大気へ排出しているため、前記チャンバ−より大容積の電気メッキ製品の洗浄には、前記二酸化炭素の消費量が増大して高価になり、また前記二酸化炭素の排出に伴う作業環境の劣化が予想されて、実用化は難しい。
また、従来のメッキ工程は、メッキ槽に隣接して複数の水洗いを要し、その主要な水洗槽に常時給水するため、設備費が高価になり、水の使用料が嵩む等の問題がある。
【0012】
更に、メッキ槽から被メッキ物を取り出す際のメッキ液の回収、いわゆるくみ戻しが非常に煩雑で手間が掛かり、しかもその回収液に濃縮を要する等して、生産性が非常に低かった。
一方、従来の電気メッキは、概してメッキのつき廻りが悪く、電流密度の低い被処理物の裏面や凹部にはメッキが殆ど付かないため、当該部をメッキする場合、それらの向きを変えてメッキするか、当該部に補助極を配置する面倒があり、異形の被処理物のメッキに対応できない。
【0013】
また、従来の後処理工程は、メッキ後水洗いし、湯洗いして乾燥していたが、それらに時間が掛かり生産性が悪かった。
更に、メッキ工場から排出される廃水は、その水質を法規制されているが、メッキ作業から発生する排水のうち、洗浄排水は一般に所定の薬品を添加し無害化処理してから、PH調整により重金属を水酸化物として除去し、濃厚排水は洗浄排水に少しづつ加えて処理するか、別途処理し、その処理液を薄い洗浄排水中に混合して処理していた。
しかし、前記従来の排水処理は高価な設備と種々の薬品、多量の水と多くの時間を要し、生産性が非常に悪かった。
【0014】
このような問題を解決するものとして、出願人は、超臨界状態とした物質と、電解質溶液と、界面活性剤とを反応浴槽に導入し、これらの乳濁状態の下で電気メッキし、メッキ後は超臨界物質を気化させ、これを浴槽外に排出することで、洗浄液を要することなく反応浴槽や電極等を洗浄できるようにした電気化学的反応方法を開発し、これを特願2000−253572号として既に提案している
【0015】
一方、電気メッキ等においては、電解液の電気分解によって、水素ガスや酸素ガスが発生し、その気泡が被処理表面に滞留したり移動して、メッキ欠けやメッキムラを発生させ、また前記ガスの発生に電気エネルギ−が消費され、その分メッキが阻害されて、電流効率が低下するという問題があった。
【0016】
このような問題を解決するものとして、例えば特開2000−226671号公報の無電解メッキ装置は、密閉空間内に被処理表面を上向きに配置し、前記空間内の圧力を大気圧以上にし、かつこの圧力を脈動させて、無電解銅メッキ時の還元反応に伴って発生する水素ガス気泡を、メッキ液中へ溶解させるとともに、被処理表面からの離脱を促すようにしている。
【0017】
しかし、無電解メッキにおいては、メッキの析出反応に伴って、水素ガス等が必然的に発生するため、ガスの発生を抑制する手法は、メッキの析出が低下し、メッキそのものが行なえなくなるため、実用的ではない。
すなわち、無電解メッキにおいては、水素ガス等の発生を許容した上でメッキを行ない、不都合な水素ガス等に対しては、浴中に適当な安定剤を添加し、または窒素ガスを用いる等して対応していた。
【0018】
したがって、このような水素ガス等の発生を許容する前記無電解メッキの手法は、電気メッキ等には採用できない。
しかも、前記の手法で電気メッキする場合、被処理面に対向して電極を配置しなければならず、そのようにすると被処理面から発生する水素ガスは電極に滞留して、電解液中の通電を妨げ、電気メッキが困難になるため、前記方法は電気メッキに採用できない。
【0019】
このため、本発明の主な目的は、複数の反応浴槽で使用する電解質溶液や超臨界または亜臨界状態形成物質、界面活性剤、酸化皮膜除去物質を給排し、各反応浴槽で全ての処理を順に実行させることによって、電気化学的処理作業の合理化ないし迅速化と、その生産性の向上を図れる、電気化学的処理方法および電気化学的反応装置を提供することである
【0020】
本発明の他の目的は、反応浴槽で使用した電解質溶液や超臨界または亜臨界状態形成物質、界面活性剤、酸化皮膜除去物質を、貯留槽へ移動して再利用を図り、その有効利用と生産性の向上を図れる、電気化学的処理方法および電気化学的反応装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、前記使用した電解質溶液や超臨界または亜臨界状態形成物質、界面活性剤、酸化皮膜除去物質の使用量を抑制し、その廃液量を低減して環境汚染を防止し、作業環境の改善を図れるようにした、電気化学的処理方法および電気化学的反応装置を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、メッキのつき廻りを飛躍的に向上し、美麗な仕上がりを得られるとともに、被処理物の裏面や凹部にも緻密かつ一様なメッキを容易に実現し得る、電気化学的処理方法およびその電気化学的反応装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、メッキ処理に要する各浴槽を省略かつ小形軽量化し、設備費の軽減と設置スペ−スのコンパクト化を図れる、電気化学的処理方法およびその電気化学的反応装置を提供することである。
【0022】
本発明の目的は、例えば電気メッキ等の電気化学的処理に好適で、反応浴槽を加圧して電気化学的反応させ、電解溶液の溶媒の電気分解を抑制して電流効率を向上し、電気化学的反応を合理的かつ効率良く行ない、緻密で薄厚の金属皮膜を得られる、電気化学的処理方法およびその電気化学的反応装置を提供することである。
【0023】
【発明の開示】
本発明の基本構成ないし基本原理は、超臨界状態または亜臨界状態とした物質と、電解質溶液とを含む浴中で反応させる。ここで超臨界状態とは、状態図で温度、圧力、エントロピー線図の臨界点より上の温度・圧力下にある状態をいい、気体でも液体でもない性質を示す。
上記手段によれば、高い拡散定数を有する超臨界物質により、反応浴槽が均質化され、電極等の周辺にイオンが効率良く供給されて反応性が高まる。
また、電解質溶液が少量で済むため、処理すべき廃液の量が抑えられる。
【0024】
また、超臨界状態または亜臨界状態とした物質と、電解質溶液と、界面活性剤とを含み、乳濁させた反応浴槽中で反応させることにより、超臨界状態とした物質と電解質溶液とが一層均一に分散し、電極等の表面における反応効率が向上する。
前記超臨界状態または亜臨界状態とした物質は、実用性および適合性の観点から、二酸化炭素、3フッ化メタン、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン、メチルエーテル、クロロホルムから一つ以上が選ばれる。
【0025】
前記電気化学的反応後、超臨界状態の物質を臨界点以下の状態へ移行させ、反応を終えた後に減圧する等して、超臨界状態の物質を急激に気化又は液化させることにより、激しく系に流れを生じさせ、電極等の表面の不純物を吹き飛ばして洗浄させる。
【0026】
前記電気化学的反応方法において、反応浴槽中での反応が、電気メッキ、電鋳、陽極酸化皮膜の形成、電解研磨、電解加工、電気泳動塗装、電解精錬、化成処理、及び無電解メッキであり、本発明の適用可能な工業分野が特定される。
すなわち、上記電解メッキ等の各工業分野において、電解浴(その他メッキ浴、処理液等)中に、超臨界状態または亜臨界状態とした物質と、電解質溶液と、必要に応じて界面活性剤とを含むことにより、反応が効率的に行われる。
【0027】
したがって、本発明の電気化学的処理方法は、電気化学的反応の前処理時に、被処理物と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを反応浴槽へ供給し、前記反応浴槽内を超臨界または亜臨界状態で乳濁し、該乳濁状態の下で被処理物の酸化皮膜を除去し、電気メッキ、電鋳、陽極酸化皮膜の形成、電解研磨、電解加工、電気泳動塗装、電解精錬、化成処理、無電解メッキの何れか一つの電気化学的反応時に、被処理物と、電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを反応浴槽へ供給し、前記反応浴槽内を超臨界または亜臨界状態で乳濁し、該乳濁状態の下で被処理物を電気化学的反応させ、前記電気化学的反応の前処理後、前記前処理に使用した超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを前記反応浴槽から排出するとともに、前記電気化学的反応後、前記電気化学的反応に使用した電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを前記反応浴槽から排出する電気化学的処理方法であって、前記被処理物の電気化学的反応およびその前後の処理工程を実行可能な複数の反応浴槽を設け、前記電気化学的反応の前処理時に、一の反応浴槽に被処理物と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを供給し、前処理後に使用した超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを前記一の反応浴槽から次の反応浴槽へ排出する一方、前記一の反応浴槽に電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを供給して電気化学的反応を実行し、該反応後に使用した電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを前記次の反応浴槽へ排出し、各反応浴槽において電気化学的反応の前処理、電気化学的反応、電気化学的反応の後処理の順に全ての処理を実行させさせることによって、各反応浴槽で使用する、例えば電解質溶液や超臨界または亜臨界状態形成物質、界面活性剤、酸化皮膜除去物質の給排を円滑かつ容易に行ない、電気化学的処理作業の合理化ないし迅速化と、その生産性の向上を図るようにしている。
【0028】
また、本発明の電気化学的処理方法は、前記各反応浴槽の使用後の電解質溶液、酸化皮膜除去物質、界面活性剤、超臨界または亜臨界状態形成物質を各貯留槽へ移動し再利用するようにして、その有効利用を図るようにしている。
【0029】
本発明の電気化学的反応装置は、電気化学的反応の前処理時に、被処理物と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを反応浴槽へ供給可能に設け、前記反応浴槽内を超臨界または亜臨界状態で乳濁可能にし、該乳濁状態の下で被処理物の酸化皮膜を除去し、電気化学的反応可能にするとともに、電気メッキ、電鋳、陽極酸化皮膜の形成、電解研磨、電解加工、電気泳動塗装、電解精錬、化成処理、無電解メッキの何れか一つの電気化学的反応時に、被処理物と、電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを反応浴槽へ供給可能に設け、前記反応浴槽内を超臨界または亜臨界状態で乳濁可能にし、該乳濁状態の下で被処理物を電気化学的反応可能にし、前記電気化学的反応の前処理後、前記前処理に使用した超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを前記反応浴槽から排出可能にするとともに、前記電気化学的反応後、前記電気化学的反応に使用した電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを前記反応浴槽から排出可能にした電気化学的反応装置であって、前記被処理物の電気化学的反応およびその前後の処理工程を実行可能な複数の反応浴槽を設け、前記電気化学的反応の前処理時に、一の反応浴槽に被処理物と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを供給可能に設け、前処理後に使用した超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを前記一の反応浴槽から次の反応浴槽へ排出可能にする一方、前記一の反応浴槽に電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを供給可能に設け、該一の反応浴槽で電気化学的反応を実行可能に設け、該反応後に使用した電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを前記次の反応浴槽へ排出し、各反応浴槽において電気化学的反応の前処理、電気化学的反応、電気化学的反応の後処理の順に全ての処理を実行可能にし、各反応浴槽で使用した、例えば電解質溶液や超臨界または亜臨界状態形成物質、界面活性剤、酸化皮膜除去物質等の給排を円滑かつ容易に行ない、電気化学的処理作業の合理化ないし迅速化と、その生産性の向上を図るようにしている。
【0030】
また、本発明の電気化学的反応装置は、前記各反応浴槽の使用後の電解質溶液、酸化皮膜除去物質、界面活性剤、超臨界または亜臨界状態形成物質を、各貯留槽へ移動可能かつ再利用可能にし、その有効利用を図るようにしている。
【0047】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明すると、図1は本発明の基本構成ないし基本原理の第1の形態である、電気化学的反応方法による反応過程を示し、同図(a)は反応前、同図(b)は反応中、同図(c)は反応後の各状態を示している。
前記基本構成は、反応浴槽6中に電極4を設置して外部電界7を加える場合であり、したがって、電気メッキ、電鋳、陽極酸化皮膜の形成、電解研磨電解加工、電気泳動塗装、電解精錬等の各方法に共通して適用することができる。
【0048】
また、無電解メッキ、化成処理等の外部電界7を加えない場合であっても、陰極及び陽極に代えて、被メッキ物(被処理物)を浸漬させることにより、電界を加える場合と同様に実施することができる。
このうち、図1(a)の状態は、反応浴槽6中に電解質溶液1と、臨界点以下の物質2とを含んでいる。図中、10はスイッチである。
この状態から図1(b)の状態、すなわち臨界点以下の物質2を超臨界状態に移行させ、電解質溶液と相溶した均一状態3にする。或いは、浴中に界面活性剤を加えて乳濁させた状態とすることもできる。
なお、超臨界状態にするためには、通常、コンプレッサーや熱交換器等を用いて、圧力、温度を上げることにより行なう。
【0049】
前記電極4の表面は、温度・圧力を上げて超臨界状態とする過程で、系に生じた流れのため、自然に脱脂洗浄される。したがって、従来、反応工程前に予め行っていた電極4の脱脂作業を省略することができる。
従来の脱脂作業は、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロエタン等の溶剤を用いて行っているが、これらの溶剤は毒性が強く、環境汚染を引き起こす惧れがあり規制基準も厳しく、安全面にも問題があった。
前記基本構成により、上記溶剤系脱脂剤が不要となるため、環境保全型のシステムを実現することができる。なお、以上の説明は、従来と同様に電極4を予め脱脂洗浄することを妨げるものではない。
【0050】
続いて、図1(b)の状態で反応を行う。超臨界状態とした物質2は、高い拡散定数を有するため、電解質溶液中の金属イオン等が電極4の周囲に効率良く供給され、電極4の表面の析出・溶解速度が大きくなるとともに、系が常に均質化されるため、つきまわり性、皮膜の均一性も向上する。
更に、高い反応効率は維持しつつ、使用する電解質溶液1は少量で済むため、処理すべき廃液の量を削減でき、環境保全、コストの面で好ましい。
【0051】
次に、反応を行った後、減圧するか又は温度を下げることにより、超臨界状態の物質を、再び臨界点以下の状態へ移行させ、図1(c)の相分離した状態とする。
この過程で、超臨界状態の物質が急激に気化又は液化するため、系に激しい流れが生じ、それに伴い電極4表面の不純物が吹き飛ばされて洗浄される。
したがって、反応後に従来行っていた水等による洗浄が不要となり、洗浄に用いた水等の廃液を生じない。なお、相分離した電解質溶液1および反応浴6は回収し、反応により失われた電解質を適宜補充し濃度を調整した上で再利用することができる。
【0052】
次に、反応浴槽6中の各成分についてそれぞれ説明する。
まず、超臨界状態とする物質は、特に限定されるものではなく、その物質に固有の臨界温度、臨界圧力を考慮して、従来知られた気体、液体物質の中から適宜選択して用いることができる。
具体例として、二酸化炭素、3フッ化メタン(フルオロホルム)、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン、メチルエーテル、クロロホルム等を挙げることができる。
その中でも二酸化炭素が、コスト、安全性、臨界条件等の点で最も好ましい。前記二酸化炭素は、臨界温度304.5K、臨界圧力7.387MPaであり、それ以上の範囲で超臨界状態に移行する。
【0053】
なお、前記の二酸化炭素等の超臨界流体については、塗装技術や塗料に応用することが既に提案されている。具体的には、特開平5−132656号公報、特開平8−231903号公報、特表平9−503158号公報に、ペイント、エナメル、ラッカー、ワニス、接着剤、化学薬剤、剥離剤、保護油、非水系洗浄剤、農業用コーティング等の成分として用いることが開示されている。しかし、本発明のように電気化学的反応における反応浴6として用いることを示唆するものは皆無である。
【0054】
次に、電解質溶液としては、溶媒に対して、一種又は二種以上の金属の塩、有機電解質、リン酸等の酸、アルカリ物質等の各種電解質を溶解させたものが用いられる。
前記溶媒は、極性溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体例として、水、エタノール、メタノール等のアルコール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類、或いはこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0055】
金属の塩としては、析出させようとする金属、合金、酸化物の種類等を考慮して適宜選択すれば良い。電気化学的に析出させることができる。
金属としては、Cu、Zn、Ga、As、Cr、Se、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ru、Rh、Pd、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、W、Po、Re、Os、Ir、Pt等が挙げられる。
また、有機電解質としては、ポリアクリル酸等の陰イオン系電解質、ポリエチレンイミン等の陽イオン系電解質が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0056】
電解質溶液1には、上記物質の他にも、溶液の安定化等を目的として一種又はそれ以上の物質を含むことができる。具体的には、析出する金属のイオンと錯塩をつくる物質、電解質溶液の導電性をよくするための無関係塩、電解質溶液の安定剤、電解質溶液の緩衝材、析出金属の物性を変える物質、陰極の溶解を助ける物質、電解質溶液の性質あるいは析出金属の性質を変える物質、二種以上の金属を含む混合溶液の安定剤等を挙げることができる。
【0057】
更に具体的に、主な電気化学的反応方法における電解質溶液の主成分を挙げれば以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
a.銅を析出させる場合
結晶硫酸銅及び硫酸、ホウフッ化銅及びホウフッ酸、シアン化銅及びシアン化ソーダ、ピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム、及びアンモニア水
b.ニッケルを析出させる場合
硫酸ニッケル、塩化アンモニウム、及びホウ酸、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、及びホウ酸、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、及びホウ酸
【0058】
c.クロムを析出させる場合
クロム酸及び硫酸、クロム酸、酢酸バリウム、及び酢酸亜鉛
d.亜鉛を析出させる場合
硫酸亜鉛、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホウ酸、及びデキストリン、酸化亜鉛、シアン化ソーダ、及び苛性ソーダ、(3)酸化亜鉛及び苛性ソーダ
e.カドミウムを析出させる場合
酸化カドミウム、シアン化ソーダ、ゼラチン、及びデキストリン
【0059】
f.スズを析出させる場合
硫酸第一スズ、硫酸、クレゾールスルホン酸、β−ナフトール、及びゼラチン、すず酸カリ及び遊離苛性カリ
g.銀を析出させる場合
シアン化銀及びシアン化カリ
h.金を析出させる場合
金、シアン化カリ、炭酸カリ、及びリン酸水素カリ
i.白金を析出させる場合
塩化白金酸、第二リン酸アンモニウム、及び第二リン酸ソーダ、塩化白金酸及び酢酸塩
【0060】
j.ロジウムを析出させる場合
濃硫酸及びロジウム、リン酸及びリン酸ロジウム
k.ルテニウムを析出させる場合
ルテニウム錯体
l.黄銅を析出させる場合
シアン化第一銅、シアン化亜鉛、シアン化ナトリウム、及び炭酸ナトリウム
【0061】
m.スズ鉛合金を析出させる場合
スズ、鉛、遊離ホウフッ酸、及びペプトン、スズ、鉛、遊離ホウフッ化水素酸、及びペプトン
n.鉄ニッケル合金を析出させる場合
スルファミン酸ニッケル、スルファミン酸第一鉄、及び酢酸ナトリウム o.コバルト燐を析出させる場合
塩化コバルト、亜リン酸、及びリン酸
【0062】
また、前述したような、超臨界状態とする物質2及び電解質溶液1の浴槽6中での仕込み比は、特に限定されるものではなく、電解質溶液1の濃度や反応条件等を考慮して適宜設定することができる。
しかし、電解質溶液1が少な過ぎると反応が進み難くなるため、臨界点以下の物質2に対して少なくとも0.01wt%以上の電解質溶液1を含むことが好ましい。
【0063】
更に、反応させる浴6中には、上述したような超臨界状態とする物質2及び電解質溶液1に加えて、界面活性剤を含むことができる。例えば、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を選択した場合、二酸化炭素は無極性であるので電解質溶液1とは非相溶であり、そのため、超臨界状態に移行させたときに通常は相分離してしまう。そこで、界面活性剤を加えることにより、系を乳濁させて均一とし、反応効率を向上させるものである。
前記界面活性剤としては、従来知られた陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、及び両性イオン性界面活性剤の中から、少なくとも一種以上を適宜選択して使用することができる。
【0064】
前記陰イオン性界面活性剤としては、石鹸、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、フェニルエーテル硫酸エステル塩、メチルタウリン酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、硫酸化油、リン酸エステル、パーフルオロオレフィンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル硫酸エステル塩、パーフルオロフェニルエーテル硫酸エステル塩、パーフルオロメチルタウリン酸塩、スルホパーフルオロコハク酸塩、パーフルオロエーテルスルホン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
上記陰イオン性アニオン界面活性剤の塩のカチオンとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、電解可能な陽イオンであれば用いることができる。
【0066】
前記非イオン性界面活性剤としては、C1〜25アルキルフェノール系、C1〜20アルカノール、ポリアルキレングリコール系、アルキロールアミド系、C1〜22脂肪酸エステル系、C1〜22脂肪族アミン、アルキルアミンエチレンオキシド付加体、アリールアルキルフェノール、C1〜25アルキルナフトール、C1〜25アルコキシ化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、スチレン化フェノール、アルキルアミンエチレンオキシド/プロピレンオキシド付加体、アルキルアミンオキサイド、C1〜25アルコキシ化リン酸(塩)、パーフルオロノニルフェノール系、パーフルオロ高級アルコール系、パーフルオロポリアルキレングリコール系、パーフルオロアルキロールアミド系、パーフルオロ脂肪酸エステル系、パーフルオロアルキルアミンエチレンオキシド付加体、パーフルオロアルキルアミンエチレンオキシド/パーフルオロプロピレンオキシド付加体、パーフルオロアルキルアミンオキサイド等を挙げることができるが、これらに限定されるものはない。
【0067】
前記陽イオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルベンジルラウリルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルベンジルアンミニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、ラウリルピリジニウム塩、ドデシルピコリニウム塩、ステアリルアミンアセテート、ラウリルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテート、モノアルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、エチレンオキシド付加型アンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、酢酸モノアルキルアンモニウム、イミダゾリニウムベタイン系、アラニン系、アルキルベタイン系、モノパーフルオロアルキルアンモニウムクロライド、ジパーフルオロアルキルアンモニウムクロライド、パーフルオロエチレンオキシド付加型アンモニウムクロライド、パーフルオロアルキルベンジルアンモニウムクロライド、テトラパーフルオロメチルアンモニウムクロライド、トリパーフルオロメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラパーフルオロブチルアンモニウムクロライド、酢酸モノパーフルオロアルキルアンモニウム、パーフルオロアルキルベタイン系等を挙げることができるが、これらに限定されるものはない。
【0068】
前記両性イオン性界面活性剤としては、ベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸等が挙げられ、また、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化又はスルホン酸化付加物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、電解質溶液に対して、0.0001〜20wt%程度とすることが好ましく、最も好ましくは0.001〜10wt%である。
また、図1(b)の状態での反応条件は、超臨界状態で反応させることを必須条件とする以外は適宜設定できる。例えば、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を選択した場合には、その臨界点である温度304.5K、かつ圧力7.387MPa以上の条件で反応させることが必須とされる。
【0069】
なお、二酸化炭素の場合の反応温度は、304.5K以上である限り特に限定されないが、好ましくは304.5K〜573.2K、最も好ましくは304.5K〜473.2Kの範囲である。
また、反応圧力は7.387MPa以上である限り特に限定されないが、好ましくは7.387MPa〜40.387MPa、最も好ましくは7.4MPa〜20.387MPaの範囲である。
また、反応時間は、析出させようとする皮膜の厚さ等により異なり、特に限定されない。必要に応じて0.001秒〜数ヶ月程度の時間が適宜設定される。
【0070】
次に、本発明の基本構成の第2の形態を図2により説明する。
この第2の形態では、反応前の図2(a)の状態において、反応浴槽6中に電解質溶液1と臨界点以下の物質2とを含むことは、第1の形態と同様であるが、系の圧力を上げる等して、臨界点以下の物質2を超臨界状態の物質5に移行させたときに、図2(b)に示すように相分離した状態となる。
この状態では、超臨界状態の物質5の密度が、電解質溶液1のそれよりも高いために、超臨界状態の物質5が電解質溶液1よりも下側に位置するようになる。
【0071】
そして、この図2(b)の状態で電気化学的反応を行ない、反応後、再び臨界点以下の状態に移行させることにより、超臨界状態の物質5が急激に気化または液化しつつ上側の層に移動するため、前記第1の形態と同様に系に流れが生じ、電極4の表面が洗浄される
なお、浴槽6中の各成分の組成、反応条件等は、第1の形態の場合に準ずる。
【0072】
次に、本発明の基本構成の種々の応用形態ないし変形例の具体例および比較例に基いて詳細に説明する。
しかし、本発明の基本構成はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載した範囲内において、超臨界状態とする物質、電解質溶液、界面活性剤等の組成、濃度、及び電流等の反応条件は適宜変更することができる。
(具体例1)
陽極に純ニッケル板、陰極にハルセル試験用真鍮板を用い、電気メッキを行った。電解質溶液としてはニッケルワット浴を用いた。その組成を以下に示す。
「メッキ浴組成」
硫酸ニッケル 330g/l
塩化ニッケル 80g/l
ホウ酸 50g/l
光沢剤 0.45g/l
pH 4.3
【0073】
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して、1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度50℃(323K)、圧力15MPa、電流密度2A/dmで10分間反応を行った。
その結果、陰極表面に、つきまわり性良く均一なニッケル皮膜が形成され、得られた皮膜の中心部析出厚さは8.0μmであった。これを従来の方法である比較例1(後述)と比較すると、析出速度、析出効率ともに格段の向上が見られた
【0074】
また、反応終了後、減圧することにより二酸化炭素が気化し、電極が洗浄された。従来の、500mlの水で2回のためすすぎ、流水で3分間の洗浄と、同程度の洗浄効果が得られた。
(比較例1)
前記具体1と同様に、陽極に純ニッケル板、陰極にハルセル試験用真鍮板を用いて電気メッキを行った。電解質溶液としてニッケルワット浴を用いた。その組成は以下の通りである。
「メッキ浴組成」
硫酸ニッケル 330g/l
塩化ニッケル 80g/l
ホウ酸 50g/l
光沢剤 0.45g/l
pH 4.3
そして、温度50℃、電流密度2A/dmで10分間反応を行った。
その結果、陰極表面に、つきまわり性良くニッケル皮膜が形成され、得られた皮膜の中心部析出厚さは5.6μmであった。
【0075】
(具体例2)
陽極に純銅板、陰極にハルセル試験用真鍮板を用い、電気メッキを行なった。電解質溶液としてはシアン銅浴を用いた。その組成を以下に示す。
「メッキ浴組成」
シアン化第一銅 30g/l
シアン化ナトリウム 45g/l
(遊離シアン化ナトリウム) 15g/l
炭酸ナトリウム 15g/l
pH 12.5
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を、上記電解質溶液に対して、1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度50℃(323K)、圧力15MPa、電流密度5A/dmで10分間反応を行った。
その結果、陰極表面に、つきまわり性良く均一な銅皮膜が形成され、得られた皮膜の中心部析出厚さは10.8μmであった。従来の方法である比較例2(後述)と比較し、析出速度、析出効率ともに格段の向上が見られた。
【0076】
(比較例2)
具体例2と同様にして、陽極に純銅板、陰極にハルセル試験用真鍮板を用い、電気メッキを行った。電解質溶液としてシアン銅浴を用いた。その組成は以下の通りである。
「メッキ浴組成」
シアン化第一銅 30g/l
シアン化ナトリウム 45g/l
(遊離シアン化ナトリウム) 15g/l
炭酸ナトリウム 15g/l
pH 12.5
そして、温度50℃、電流密度5A/dmで10分間反応を行なった。
その結果、陰極表面に、つきまわり性良く銅皮膜が形成され、得られた皮膜の中心部析出厚さは8.3μmであった。
【0077】
(具体例3)
陽極に亜鉛板、陰極にハルセル試験用真鍮板を用い、電気メッキを行なった。電解質溶液としては亜鉛ジンケート浴を用いた。その組成を以下に示す。
「メッキ浴組成」
酸化亜鉛 40g/l
水酸化ナトリウム 180g/l
pH 5.1
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を、上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度50℃(323K)、圧力15MPa、電流密度5A/dmで10分間反応を行なった。
その結果、陰極表面に、つきまわり性良く均一な亜鉛皮膜が形成され、得られた皮膜の中心部析出厚さは13.1μmであった。従来の方法である比較例3(後述)と比較し、析出速度、析出効率ともに格段の向上が見られた。
【0078】
(具体例3)
前記具体例3と同様にして、陽極に亜鉛板、陰極にハルセル試験用真鍮板を用い、電気メッキを行った。電解質溶液として亜鉛ジンケート浴を用いた。
その組成は以下の通りである。
「メッキ浴組成」
酸化亜鉛 40g/l
水酸化ナトリウム 180g/l
pH 5.1
そして、温度50℃、電流密度5A/dmで10分間反応を行なった。
その結果、陰極表面に、つきまわり性良く亜鉛皮膜が形成され、得られた皮膜の中心部析出厚さは8.9μmであった。
【0079】
(具体例4)
陽極には銅板、陰極にはハルセル試験用真鍮板を用い、電鋳を行なった。電解質溶液には硫酸銅浴を用いた。その組成を以下に示す。
「硫酸銅浴」
硫酸銅 200g/l
硫酸 60g/l
塩酸 30mg/l
pH 4.5
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度50度(323K)、圧力15MPa、電流密度20A/dmで10分間反応を行なった。
その結果、陰極表面に、つきまわり性良く均一な銅電鋳皮膜が形成され、得られた皮膜の中心部析出厚さは40μmであった。
【0080】
(具体例5)
陽極にはアルミニウム板、陰極にはハルセル試験用鉛板を用い、陽極酸化を行った。電解質溶液には硫酸浴を用いた。その組成を以下に示す。
「硫酸浴」
硫酸銅 200g/l
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度15度(288K)、圧力15MPa、電流密度2A/dmで30分間反応を行なった。
その結果、陽極表面に、均一な酸化皮膜が形成された。
【0081】
(具体例6)
陽極にはステンレス板、陰極には炭素板を用い、電解研磨を行なった。電解質溶液には硫酸浴を用いた。その組成を以下に示す。
「硫酸浴」
硫酸 300g/l
リン酸 600g/l
クロム酸 50g/l
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度60度(333K)、圧力15MPa、電流密度500A/dmで10分間反応を行なった。
その結果、陽極表面において平滑化され光沢のある研磨面が形成された。
【0082】
(具体例7)
陽極には銅板、陰極には板厚4mmのクロム板を用い、電解加工を行なった。電解質溶液には塩化ナトリウム水溶液を用いた。その組成を以下に示す。
「液組成」
塩化ナトリウム 200g/l
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度50度(323K)、圧力15MPa、電流密度100A/dmで20分間反応を行なった。その結果、陰極表面は十分にエッチングされ、中心部の厚さが550μm減少した。
【0083】
(具体例8)
陽極にはSUS304板、陰極には鉄板を用い、電気泳動塗装を行なった。電解質溶液には日本ペイント製のパワートップ(商標)U−30系(pH6.5)を用いた。
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度50度(323K)、圧力15MPa、電流密度20A/dmで15秒間反応を行なった。
その結果、陰極表面はつきまわり良く均一に塗装され、得られた皮膜の中心部析出厚さは22μmであった。
【0084】
(具体例9)
陽極には純銅板、陰極にはハルセル試験用真鍮板を用い、電解精錬を行なった 電解質溶液には硫酸銅浴を用いた。その組成を以下に示す。
「硫酸銅浴」
硫酸銅 200g/l
硫酸 60g/l
塩酸 30mg/l
pH 4.5
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度50度(323K)、圧力15MPa、電流密度20A/dmで10分間反応を行った。
その結果、陰極表面に均一で純度の高い純銅が析出し、得られた純銅の中心部析出厚さは40μmであった。
【0085】
(具体例10)
素材は鉄鋼を用い、パーカライジング法化成処理を行なった。液組成を以下に示す。
「液組成」
リン酸 25g/l
二酸化マンガン 1.5g/l
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度100度(378K)、圧力15MPaで60分間反応を行なった。その結果、素材表面に、均一なリン酸鉄皮膜が形成された。
【0086】
(具体例11)
素材は亜鉛メッキをされた鉄を用い、化成処理の一つであるクロメート処理法を行なった。液組成を以下に示す。
「液組成」
重クロム酸ナトリウム 10g/l
硫酸 0.5ml/l
硝酸 3ml/l
酢酸 1.5ml/l
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度32度(305K)、圧力15MPaで15秒間反応を行なった。その結果、素材表面に、均一なクロメート皮膜が形成された。
【0087】
(具体例12)
素地にはハルセル試験用真鍮板を用い、無電解メッキを行なった。メッキ浴の組成を以下に示す。
「メッキ浴組成」
硫酸ニッケル 21g/l
次亜リン酸ナトリウム 60g/l
乳酸 25g/l
プロピオン酸 3g/l
安定剤(鉛) 3mg/l
pH 4.5
また、界面活性剤として、ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドのブロックポリマー(PEO−PBO、分子量=860−b−660g/mol)を上記電解質溶液に対して1.5wt%加えた。
そして、超臨界状態とする物質として二酸化炭素を用い、常圧における電解質溶液と二酸化炭素の体積比を1/2とし、温度90度(363K)、圧力15MPaで10分間反応を行なった。
その結果、素地表面に、つきまわり性良く均一なニッケル−リン皮膜が形成され、得られた皮膜の中心部析出厚さは4μmであった。
【0088】
第3図乃至第10図は、本発明の基本構成を電気メッキ(ニッケルメッキ)に適用した第3の形態を示している。
前記第3の形態において、6は電気化学的反応浴槽であるステンレス鋼製のメッキ槽で、その内面を塩化ビニ−ルや硬質ゴムでライニングしており、その上側の開口部に蓋体(図示略)が気密かつ着脱可能に装着されている。
前記メッキ槽6の外部に外部電界である直流電源7が設けられ、その正極側に導通する電極物質である陽極8と、負極側に導通する、電極物質でかつ被処理物である陰極9とが、メッキ槽6に収容可能にされている。
【0089】
前記第3の形態では陽極8に純ニッケル板、陰極9にハルセル試験用真鍮板が使用されている。図中、10は直流電源7の給電回路に挿入されたスイッチで、電気化学的反応時、つまり電気メッキ時にのみONされ、陽極8および陰極9に通電可能にしている。11はメッキ槽6底部に設けたスタ−ラ等の攪拌子で、メッキ槽6に導入された超臨界物質である後述の二酸化炭素と、界面活性剤を含む電解質溶液若しくは酸溶液とを攪拌可能にしている。
前記メッキ槽6の外部に、超臨界物質である二酸化炭素12を高圧に加圧して収容したガス容器13と、互いに異種の電解質溶液14,15を収容した電解質溶液槽16,17と、PH7およびそれ以下の酸溶液18を収容した酸溶液槽19とが配置されている。
【0090】
また、前記メッキ槽6の外部に、使用後の二酸化炭素20を収容するガス溜槽21と、使用後の界面活性剤を含む酸溶液22、若しくは使用後の界面活性剤を含む電解質溶液23,24を収容する、複数の貯留槽である液溜槽25〜27とが配置されている。
これらの液溜槽25〜27には、前記各溶液槽16,17,19に連通するリターンパイプ54〜56が接続され、使用後の各溶液22〜24を界面活性剤と分離し、または分離せずに若干高濃度に調製して再生後、これを各溶液槽14,15,18へ還流させている。
【0091】
前記ガス容器13は導管23を介してメッキ槽6の上部に連通し、該管28に圧縮ポンプ29とバルブ30が介挿されている。前記圧縮ポンプ29は、二酸化炭素7を所定圧、前記第3の形態では二酸化炭素12をその臨界圧7.38MPa以上の10.0MPaに加圧可能にしている。
この場合、二酸化炭素12を超臨界に限らず、亜臨界状態に加圧して以降の処理を実行することも可能である。
前記バルブ25は、メッキ作業の各処理工程、つまり脱脂処理、酸化皮膜除去、いわゆる酸洗い処理、メッキ処理、乾燥の各処理前と、前記各工程の間に実行する陰極9の洗浄工程時に一定時間開弁し、超臨界状態の二酸化炭素12をメッキ槽6に導入可能にしている。
【0092】
前記導管28の下流側にヒ−タ等の加熱手段31が配置され、前記二酸化炭素12をその臨界温度31.1℃以上に加熱可能にしている。前記各槽16〜18は導管32〜34を介してメッキ槽6の下部に連通し、該管32〜34にバルブ35〜37と、共用の送液ポンプ38が介挿されている。
このうち、前記バルブ35,36は、メッキ処理前に一定時間開弁し、所定の界面活性剤を含む電解質溶液14,15を、送液ポンプ38を介してメッキ槽6に導入可能にしている。
前記バルブ37は酸洗い前に一定時間開弁し、所定の界面活性剤を含む酸溶液18を、送液ポンプ38を介してメッキ槽6に導入可能にしている。
図中、39〜41は前記電解質溶液14,15および酸溶液18に添加する界面活性剤で、前記溶液14,15,18の供給時に適宜ポンプ(図示略)を介して導入可能にしている。
【0093】
前記ガス溜槽20は導管42を介してメッキ槽6の上部に連通し、該管42にバルブ43が介挿されている。前記バルブ43は脱脂処理、酸洗い、メッキ処理、乾燥の各処理前、およびそれらの間に行なう被処理物9の洗浄前に一定時間開弁し、使用後の二酸化炭素20をガス溜槽21に導入可能にしている。
図中、44は前記ガス溜槽20に一端を接続したリターンパイプで、他端を前記圧縮ポンプ29に接続し、該パイプ44に水および油脂分を吸収可能なカラム45を挿入している。
【0094】
そして、前記ガス溜槽20に所定量の二酸化炭素20が貯留された際、該二酸化炭素20をカラム45へ導いて初期状態に再生し、これを前記圧縮機29へ還流可能にしている。
前記液溜槽25〜27は導管46〜48を介してメッキ槽6の下部に連通し、これら各管46〜48にバルブ49〜51が介挿されている。このうち、前記バルブ49は陰極9の酸洗い後、一定時間開弁し、使用後の酸洗い溶液22を界面活性剤41と一緒に液溜槽25へ導入可能にしている。
また、前記バルブ50,51は各メッキ処理後、一定時間開弁し、使用後の電解質溶液23,24を界面活性剤39,40と一緒に液溜槽26,27へ導入可能にしている。
【0095】
この他、図中52は、前記送液ポンプ38および導管32〜34に並列に介挿した洗浄水槽で、各溶液14,15,18をメッキ槽6に送液後、前記ポンプ38内を洗浄可能にしている。
53はアルコール等の有機溶媒からなるエントレーナで、ガス容器13と圧縮機29との間の導管28に選択的に導入し、しつこい油脂分を脱脂可能にしている。
【0096】
このように構成した前記第3の形態である電気化学的反応装置は、メッキ前処理、つまり脱脂、酸洗い、洗浄の各処理、メッキ処理、メッキ後処理、つまり被処理物9の回収、乾燥の多工程を単一のメッキ槽6で行なっているから、各処理毎に専用の浴槽を要する従来のメッキ処理法および設備に比べて、構成が簡単で設置スペ−スがコンパクトになり、設備費の低減を図れる。
また、前記第3の形態の装置は、前記脱脂、酸洗い、洗浄、メッキ処理乾燥の各作業から排出する種々の排出物、つまり二酸化炭素や界面活性剤を含む酸洗い溶液や電解質溶液をガス溜槽21や複数の液溜槽25〜27に排出し、外部への排出を回避するとともに、これを合理的に処理しているから、従来のような高価かつ大形の排水処理設備を要しない
【0097】
しかも、前記各処理は非常に良好な拡散性を有する超臨界二酸化炭素を利用して行なっているから、メッキ液に被処理物を浸漬する従来のメッキ法に比べて、酸溶液や電解質溶液の使用量が非常に少量で足り、したがってそれらの使用量の節減と排出処理設備の小形軽量化を図れる。
更に、前記各処理を超臨界二酸化炭素を利用して行ない、溶液や水の使用を可及的に抑制したから、前記排水処理設備の省略化を図れるとともに、被処理物の洗浄や回収、乾燥、電解質溶液の回収を容易かつ速やかに行える。
【0098】
また、前記第3の形態の装置は超臨界物質として、比較的低温かつ低圧の臨界点を持つ二酸化炭素を使用しているから、超臨界状態を比較的小さなエネルギ−で容易かつ速やかに得られ、その使用コストの低減を図れるとともに、メッキ槽1の耐圧強度の緩和を図れ、これを安価に製作できる。
このような電気化学的反応装置を使用して電気メッキを行なう場合は、電極8,9の通電停止状況の下で、先ずメッキ槽6の負極側に、例えば表面を研磨処理し終えたメッキ対象の被処理物9を取り付け、蓋(図示略)を閉めてメッキ槽6を密閉する。
【0099】
次に圧縮ポンプ29を駆動し、加熱手段31を作動してガス容器13を開け、内部の二酸化炭素12を圧縮ポンプ29へ導き、これを臨界圧以上の高圧に加圧し、更に加熱手段31で臨界温度以上に加熱して、超臨界二酸化炭素を生成し、これをバルブ30の開弁を介してしてメッキ槽6へ導入する。
前記超臨界二酸化炭素はメッキ槽6に高速に拡散し、該槽6内の二酸化炭素も超臨界状態になって、前記被処理物9に接触し、該被処理物9および陽極8に付着している油脂分や水分、異物等を高速かつ効率良く洗浄する。
その際、撹拌子11を作動して超臨界二酸化炭素を撹拌すれば、前記拡散が一様化され洗浄能率が向上する。
しかも、従来のエマルジョン洗浄のような水、溶液の使用を廃しているから、その分被処理物9の乾燥が促される。
【0100】
このように前記第3の形態は、超臨界状態の下で被処理物9の脱脂洗浄を行なっているから、被処理物を脱脂液に浸漬する従来の方法に比べて、有害な脱脂剤の使用をなくし、作業環境を改善して、これを安全で迅速かつ容易に行えるとともに、メッキ槽6で脱脂洗浄を行なっているから、従来のような専用の脱脂槽を要せず、その分設備費の低減を図れる。
そして、所定時間洗浄後、バルブ43を開弁し、代わりにバルブ30を閉じて圧縮ポンプ29の駆動を停止する。
【0101】
このようにすると、前記二酸化炭素が減圧されて臨界点以下の状態に移行し、急激に気化または液化してメッキ槽6内を上方へ移動し、導管42に導かれてガス溜槽21へ移動する。この状況は図4のようである。
したがって、前記二酸化炭素に捕集された油脂分や水分、異物等がガス溜槽21へ移動し、かつ前記二酸化炭素の移動時に系に流れが発生して、陽極8および被処理物9を洗浄し、前述の洗浄と相俟って洗浄精度を高める。こうして使用後の二酸化炭素20をガス溜槽21へ排出後、バルブ43を閉じる。
【0102】
次に前記洗浄後、被処理物9を酸洗いする。この酸洗いに際しては、前記通電停止状態とメッキ槽6の気密状態の下でバルブ37を開弁し、酸溶液槽19内の酸溶液18を送液ポンプ38へ送り出し、同時に前記酸溶液18に所定の界面活性剤41を加えて、これらをメッキ槽6内へ送り込む。
前記酸溶液18と界面活性剤41は、第5図(a)のようにメッキ槽6内で二層を形成する。この状況の下で圧縮ポンプ29を駆動し、加熱手段31を作動してガス容器13を開弁し、内部の二酸化炭素を圧縮ポンプ29へ導き、これを臨界圧以上の高圧に加圧し、更に前記二酸化炭素を加熱手段31で臨界温度以上に加熱して、超臨界二酸化炭素を生成し、これをバルブ30を開弁してメッキ槽6へ導入する。
【0103】
こうして、超臨界二酸化炭素がメッキ槽6へ導かれると、これがメッキ槽6に高速に拡散して、前記酸溶液18と界面活性剤41に急速に混合して乳濁させ、その微粒子が被処理物9の表面に接触し、該被処理物9表面の錆を落とし酸化皮膜を除去して、表面を活性化する。
この状況は第5図(b)のようで、その際撹拌子11を作動し、前記乳濁物質を撹拌すれば、前記拡散が均一化され、酸化皮膜が均一かつ効率良く除去されて、酸洗い能率が向上する。
そして、所定時間酸洗い後、バルブ49を開弁すると、臨界二酸化炭素が減圧されて臨界点以下の状態に移行し、メッキ槽6内に使用後の酸溶液18と界面活性剤41との二層状態が回復される。この状況は第5図(c)のようである。
【0104】
その間、バルブ30から高圧の二酸化炭素がメッキ槽6内に導入され、その圧力によって使用後の酸溶液18と界面活性剤41とが押し出され、これが導管46に導かれて液溜槽25へ移動して収容される。この状況は第4図のようである。
このように前記第3の形態は超臨界状態の下で、被処理物9の酸化皮膜を除去しているから、被処理物を酸溶液に浸漬する従来の酸洗い法に比べて、酸溶液の使用量を低減し、これを迅速かつ容易に行えるとともに、メッキ槽6で酸洗いを行なっているから、従来のような専用の酸洗い槽を要せず、その分設備費の低減を図れる。
【0105】
こうして、酸溶液22を排出し終えたところで、前記バルブ49を閉弁し、代わりにバルブ53を開弁して、メッキ槽6内の使用後の二酸化炭素を前記導入下の二酸化炭素によって押し出し、これを導管42に導いてガス溜槽20へ移動し、収容する。
その際、前記二酸化炭素の移動時に系に流れが発生して、陽極8および被処理物9を洗浄する。この状況は第6図のようである。
この場合、酸溶液17と使用後の二酸化炭素の排出順序を前述と反対にしても良いが、前述のようにすれば両者を能率良く精密に排出できる。
【0106】
そして、使用後の二酸化炭素を排出後、バルブ43を閉じ、所定時間高圧の二酸化炭素12をメッキ槽6内に導入する。
このようにすると、メッキ槽6内が加圧かつ加温され、二酸化炭素の臨界状態が形成されて、この超臨界二酸化炭素が被処理物9に接触し、該被処理物9および陽極8に付着している水分を高速かつ効率良く洗浄し乾燥する。
その際、撹拌子11を作動して超臨界二酸化炭素を撹拌すれば、前記拡散が増進され洗浄能率が向上する。
【0107】
こうして被処理物9を洗浄し乾燥後、圧縮ポンプ29を停止し、バルブ30を閉じて、二酸化炭素の導入を停止し、代わりにバルブ43を開弁し、メッキ槽6内の使用後の二酸化炭素を導管42に導き、ガス溜槽20へ移動して収容する。
その際、前記二酸化炭素の移動時に系に流れが発生して、陽極8および被処理物9を洗浄する。この状況は第6図のようである。
したがって、メッキ槽6内に前記種々の前処理を終え、乾燥された被処理物9が置かれている。
【0108】
このような状況の下でバルブ35または36、この例ではバルブ35を開弁し、電解質溶液槽16内の電解質溶液14を送液ポンプ38へ送り出し、同時に前記溶液14に所定の界面活性剤39を加えて、これらをメッキ槽6内へ送り込む 前記電解質溶液14と界面活性剤39は、第7図(a)のようにメッキ槽6内で二層を形成する。この状況の下で圧縮ポンプ29を駆動し、加熱手段31を作動してガス容器13を開弁し、内部の二酸化炭素12を圧縮ポンプ29へ導き、これを臨界圧以上の高圧に加圧し、更に前記二酸化炭素を加熱手段31で臨界温度以上に加熱して、超臨界二酸化炭素を生成し、これをバルブ30の開弁を介してしてメッキ槽6へ導入する。
【0109】
こうして、超臨界二酸化炭素がメッキ槽6へ導かれると、これがメッキ槽6に高速に拡散し、前記電解質溶液14と界面活性剤39に急速に混合して乳濁化し、電解質溶液14の微粒子がメッキ槽6内に高密度に拡散し、被処理物9の表面に接触する。
この状況の下でスイッチ10を閉じ、陽極8および陰極9に通電すると、陽極片である純ニッケルが電解して乳濁化した電解質溶液14に析出し、これが被処理物9の表面に付着する。
その際、撹拌子11を作動し、前記乳濁物質を撹拌して前記電解ニッケルイオンを均一に分布させ、被処理物9の表面に緻密に付着させる。この状況は第7図(b)のようである。
【0110】
しかも、前記電解ニッケルイオンの電解、析出および付着を超臨界状態で行なっているから、電解ニッケルイオンがメッキ槽6内を速やかに拡散し、かつ高密度で均一に分布して、被処理物9の表面および裏面に付着する。
したがって、電解質溶液中で陽極物質を電解し析出、付着する従来のメッキ法に比べて、いわゆるメッキのつき廻りが非常に良く、被処理物9の表面および裏面に均一かつ緻密なメッキ状態を得られ、良好な仕上がり面を得られる。
【0111】
このため、従来のメッキ法のように、被処理物9の表面と裏面のメッキを分けて行なう面倒がなく、その分生産性を向上でき、しかも被処理物9が複雑な形状の場合でも、補助極を要することなく容易に対応できる。
前記メッキ工程終了後、スイッチ10をOFFし、撹拌子11を停止してバルブ50を開弁すると、前記二酸化炭素が減圧されて臨界点以下の状態に移行し、急激に気化または液化するとともに、電解質溶液15と界面活性剤39とが二層状態を回復する。この状況は第7図(c)のようである。
【0112】
この後、バルブ50を開弁し、使用後の電解質溶液23を界面活性剤39と一緒にメッキ槽6から押し出し、これを導管47から液溜槽26へ導いて収容する そして、電解質溶液23を排出後、バルブ50を閉じ、代わりにバルブ43を開いて使用後の二酸化炭素をメッキ槽6から押し出し、これを導管42からガス溜槽21へ導いて収容する。
その際、前記二酸化炭素の移動時に系に流れが発生して、陽極8および被処理物9を洗浄する。
使用後の二酸化炭素を排出後、バルブ43を閉じ、かつその間バルブ30を開弁して、高圧の二酸化炭素12をメッキ槽6に導入する。
【0113】
このようにすると、メッキ槽6内が加圧かつ加温され、二酸化炭素の超臨界状態が形成されて、この超臨界二酸化炭素が被処理物9に接触し、該被処理物9および陽極8に付着している水分を高速かつ効率良く洗浄し乾燥する。
その際、撹拌子11を作動して超臨界二酸化炭素を撹拌すれば、前記拡散が増進され洗浄能率が向上する。
こうして被処理物9を洗浄し乾燥後、圧縮ポンプ29を停止しバルブ30を閉じて、二酸化炭素の導入を停止し、メッキ槽6の蓋(図示略)を開けて、メッキ処理後の被処理物9を取り出せば、一連のメッキ作業が終了する。
【0114】
なお、使用後の二酸化炭素がガス溜槽21に所定量貯留されると、その外部のバルブを開弁し、前記使用後の二酸化炭素をリターンパイプ44を介してカラム45へ導き、該カラム45で前記ニ酸化炭素中の水および油脂分を吸収し、初期状態に再生して適時、圧縮ポンプ29へ還流し、再利用する。
したがって、使用後の二酸化炭素を大気中へ放出する無駄を解消し、また前記放出による作業環境の悪化を未然に防止し得る。
【0115】
また、使用後の酸溶液22および電解質溶液23,24が液溜槽25〜27に所定量貯留されると、これらを混入した界面活性剤と分離し、または分離せずに若干高濃度に調製して再生後、各溶液槽16,17,19へ還流する。
したがって、従来のように被処理物9を回収後、メッキ液等の煩雑な汲み戻しや濃縮調整の面倒がない。
なお、被処理物9に複数のメッキ層を形成する、いわゆる重ねメッキを行なう場合は、一層目のメッキ終了後、被処理物9をメッキ槽6から取り出すことなく、前述の前処理を実行してメッキ処理すれば良い。
したがって、従来の重ねメッキのように、メッキ終了後、被処理物9をメッキ槽からいちいち取り出し、これを各槽へ移動して前処理を行なう面倒がなく、生産性が向上する。
【0116】
第10図は本発明の本発明の基本構成の第4の形態を示し、前述の第3の実施形態と対応する構成部分には同一の符号を用いている。
なお、第10図は前記第4の形態の要部のみを図示し、各反応浴槽6,6aに対する超臨界または亜臨界二酸化炭素の供給と排出、並びに貯留部分の構成、および各種溶液の供給と排出、並びに貯留部分の構成は図示を省略しており、当該部は第3図と実質的に同一である。
この第4の形態は、実質的に同一な反応浴槽6,6aを複数、実施形態では2つ並設し、これらを導管57,58で連通し、該導管57,58にバルブ59,60を介挿している。
【0117】
これらの反応浴槽6,6aは、相前後するメッキ処理工程を順次実行し、一方の反応浴槽6で所定の処理工程を実行し、当該処理後、該反応浴槽6で使用した電解質溶液14や界面活性剤39等を反応浴槽6aへ移動し、該反応浴槽6aで前記反応浴槽6の処理を実行し、以降、浴槽6,6aの間で一工程分ずらせて、順次一連のメッキ処理工程を実行可能にしている。
これを、例えば第7図に示す電気メッキ処理工程で説明すると、第10図(a)の第1ステップでは、一方の反応浴槽6は電気メッキに備え、浴槽6内に電解質溶液14と界面活性剤39とを導入し、他方の反応浴槽6aでは、該浴槽6a内に導入した電解質溶液14と界面活性剤39とを乳濁し、超臨界状態の下でスイッチ10をONし、ニッケルイオンを被処理物9の表面に析出および付着させている。
【0118】
次に第10図(b)の第2ステップでは、一方の反応浴槽6では電解質溶液14と界面活性剤39とを乳濁し、超臨界状態の下でスイッチ10をONし、ニッケルイオンを被処理物9の表面に析出および付着し、前記反応浴槽6aの処理を一工程分遅れて実行させている。
一方、他方の反応浴槽6aでは電気メッキ終了後、臨界点以下の状態へ移行し、超臨界物質である二酸化炭素を急激に気化または液化させ、陽極8および被処理物9を洗浄している。
【0119】
このように、前記第4の形態では、複数の反応浴槽6,6aで相前後するメッキ処理を順次行なわせ、かつその際、先行の浴槽で使用した電解質溶液13や酸洗い溶液、界面活性剤等を後行の浴槽へ移動し、それらの有効利用を図るとともに、一連のメッキ処理を合理的かつ迅速に行なうようにしている。
なお、前述の第4の形態のように電解した電極物質を他方の電極物質に析出付着する方法は、原理的に同様な電鋳および陽極酸化皮膜形成法に適用することができ、前述と同様な効果を得られる。
【0120】
また、反応浴槽に電解物質と電極物質を収容し、一方の電極物質を電解し、これを他方の電極物質側で採集する電解法にも、本発明の基本構成を適用することが可能であり、そのようにすることで、例えば金属の電解精製、電解抽出、電解研磨等に適用することができ、前述と同様な効果を得られる。
更に、電解物質を収容可能な反応浴槽に被処理物を収容し、電解質溶液に含まれる電解物質を前記被処理物に析出付着し、外部電界を加えない無電解メッキや化成処理法にも本発明の基本構成を適用することが可能であり、そのようにすることで前述と同様な効果を得られる。
【0121】
第11図乃至第20図は本発明の基本構成の第5の形態を示し、前記第3および第4の形態と対応する構成部分に同一の符号を用いている。
この第5の形態態は、本発明の基本構成を電気メッキ(ニッケルメッキ)に適用しており、メッキ槽6の外部に設置したガス容器13に、加圧媒体ないしは加圧物質である、例えば液化二酸化炭素12等の加圧流体を約6MPaに充填している。
前記加圧媒体ないしは加圧物質、および電解溶液等の給排方法、およびその再利用方法は、前述の第3の実施形態と基本的に同一で、それらの構造および設備を使用可能である
【0122】
この場合、前記加圧物質ないし媒体は液体または気体の何れでも良いが、電解質溶液14、15を溶解する溶媒が水の場合は、無害かつ安全で化学的に安定した二酸化炭素が好適である。しかし、前記第5の形態の加圧液体は電解質溶液と不溶性の全ての液体を含ませることができる。
また、この他の加圧物質として窒素やアルゴン等の気体、電解質溶液14、15と混合しないスピンドル油、油脂類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の石油類、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素を用いることができる。
更に、前記溶媒がプロピレンカ−ボネ−ト、アセトニトリル、ポリエチレンオキサイド等の有機電解質の場合は、これらの溶媒と反応しない気体、相分離し、かつその相にイオンが移行しない種々の圧力物質等を用いることができる。
【0123】
前記加圧物質ないし加圧媒体は、複数種の液体若しくは気体を混合使用することができ、例えば液化圧力が低圧な物質を採択することで、メッキ槽6の強度を緩和でき、これを安価に製作できる。
前記圧縮ポンプ29は、二酸化炭素12を所定圧、実施形態では大気圧以上で超臨界圧以下の1〜8MPaに加圧可能にしている。
【0124】
前記二酸化炭素12は、加圧かつ液化状態でメッキ作業の各処理工程、つまり脱脂処理、酸化皮膜除去、いわゆる酸洗い処理、メッキ処理、メッキ処理後の乾燥の各処理前と、これら各工程の間に実行するメッキ槽6および陰極9の洗浄工程時に、メッキ槽6へ導入可能にしている。
前記導管28の下流側に、ヒ−タ等の加熱手段31が配置され、前記メッキ処理時に圧力液体二酸化炭素12を、その臨界温度以下の0〜31℃に加熱可能にしている。
また、前記液化二酸化炭素12と酸溶液18、電解質溶液14,15との各密度比を、1:5乃至5:1に設定し、界面活性剤による乳濁状態の均一化を図るようにしている。
【0125】
前記第5の形態は、メッキ処理に関する多工程を単一のメッキ槽6で行っているから、従来のメッキ処理法および設備に比べて、構成が簡単で設置スペ−スがコンパクトになり、設備費の低減を図れる。
また、メッキ処理から排出する種々の排出物を複数の液溜槽25〜275へ排出し、外部への排出を回避するとともに、これを合理的に処理して、従来のような高価かつ大形の排水処理設備を要しない。
しかも、前記各処理は拡散性を有する圧力液体二酸化炭素を利用して行なっているから、メッキ液に被処理物を浸漬する従来のメッキ法に比べて、酸溶液や電解質溶液の使用量を節減でき、排出処理設備の小形軽量化を図れる。
【0126】
更に、前記第5の形態の装置は加圧液体物質として、無害で安全かつ化学的に安定した液体二酸化炭素を低温低圧で使用しているから、超臨界状態で電気メッキする場合に比べ、加圧手段や加熱手段の小能力化を図れる。
しかも、メッキ槽6の加圧手段として、汎用の加圧ポンプ29を使用し、ピストンを内蔵した大掛かりな加圧装置を要しないから、設備の小形軽量化と設備費の低減を図れるとともに、省エネルギ−で稼働コストの低減を図れる。
したがって、前記低圧分、超臨界状態のメッキ槽6に比べ耐圧強度の緩和を図れ、これを安価に製作できる。
【0127】
このような第5の形態による電気化学的反応装置を使用して電気メッキを行なう場合は、前述の第3の形態と同様な前処理工程を採用し、それらの各工程では液化二酸化炭素を導入して、前述と同様な作用効果を得られるが、それらについては重複を避けるため説明を省略し、特徴的な電気メッキ時を以下に説明する。
すなわち、被処理物9を前処理し乾燥後、ガス容器13を開弁し、圧縮ポンプ29を駆動して、ガス容器13内の液化二酸化炭素12を適宜圧(1〜8MPa)に加圧し、これを加熱してメッキ槽6へ導入する。
こうして、加圧された液化二酸化炭素がメッキ槽6へ導かれると、これが前記電解質溶液14と界面活性剤39に急速に混合して乳濁化し、その微粒子がメッキ槽6内に高密度に拡散し、被処理物9の表面に接触する。
【0128】
この状況の下でスイッチ10を閉じ、陽極8および陰極9に通電すると、陽極片である純ニッケルが電解して、乳濁化した電解質溶液14に析出し、これが被処理物9の表面に付着する。
その際、撹拌子11を作動し、前記乳濁物質を撹拌して、前記電解ニッケルイオンを均一に分布させ、被処理物9の表面に緻密に付着させる。
この場合、前記電解ニッケルイオンの電解、析出および付着を、加圧下のメッキ槽6で行なっているから、電解ニッケルイオンがメッキ槽6内を速やかに拡散し、かつ均一に分布して、被処理物9の表面および裏面に付着する。
【0129】
したがって、常圧の電解質溶液中で陽極物質を電解し析出、付着する従来のメッキ法に比べて、いわゆるメッキのつき廻りが良く、被処理物4の表面および裏面に均一かつ緻密なニッケル皮膜を得られ、良好な仕上がり面を得られる。
このため、従来のメッキ法のように、被処理物9の表面と裏面のメッキを分けて行なう面倒がなく、その分生産性を向上でき、しかも被処理物4が複雑な形状の場合でも、補助極を要することなく容易に行える。
【0130】
一方、このようなメッキ処理時は、電解質溶液18、つまり水の電気分解によって、つまり水の電気分解によって水素ガスや酸素ガスが発生し、その気泡が被処理物9の表面に滞留し、若しくは前記攪拌により被処理物9表面を移動して、メッキ欠けやメッキムラの原因になる惧れがある。
このような電解質溶液18ないし水の電気分解時には、液体の小さい体積からガス状態の大きな体積に変化するが、実施形態のように液化二酸化炭素によってメッキ槽6内を加圧する圧力下では、前記反応は体積の小さな方向へ移行し、前記電気分解を抑制することとなる。
【0131】
このため、水素ガスや酸素ガスの発生が抑制され、それらの気泡が被処理物9の表面に滞留し、移動する事態を抑制し、これによるメッキ欠けやメッキムラを防止する。
また、前記ガスや酸素ガスは、前述のような圧力下では、電解質溶液14に対する溶解度が高くなるから、それらが被処理物9の表面に付着し滞留する量が少なくなり、前述と相俟ってメッキ欠け、メッキムラ防止を増進する。
しかも、前述のような圧力下では、前記水素ガスや酸素ガスの気泡は押し縮められ微細化または押し潰されるから、大気圧下で行なう従来のメッキ法に比べ、被処理物9の表面に緻密かつ一様で薄膜のメッキ皮膜を得られ、また被処理物9の細部までメッキ液が進入し、スル−ホ−ルのメッキを容易に行なえる。
【0132】
したがって、被メッキ物に対し、使用するメッキ金属や電着物質を減量しても、従来と同様なメッキを得られ、特に貴金属のメッキに有利になる。
更に、前述のように発生ガスが微細化されるから、界面活性剤が効率良く働き、被処理物9の表面に付着する発生ガスを速やかに剥離し、電解質溶液14に対する溶解を促し、前述と相俟ってメッキ欠けやメッキムラを防止する。
【0133】
一方、前記第5の形態は前述のように、メッキ時の水の電気分解を抑制するから、その分の電気エネルギ−消費を節減し、これをメッキや電着に使用できるから、電流効率が向上する。
また、メッキ槽6の加圧下では、内部の液体が圧縮され、単位体積当たりのイオン濃度が大きくなり、それらの電気抵抗値が低下するから、ジュ−ル熱の発生も少なくなり、前述と相俟って電流効率の向上を増進する。
そして、このようにメッキ槽6内を加圧し、水の電気分解を抑制しても、メッキの電気化学的反応に支障はなく、むしろ電流効率が向上し、また薄厚で良好なメッキを得られる
【0134】
第18図は前記第5の形態の適用範囲を示し、メッキ槽6内を超臨界状態よりも低温低圧の液相下の乳濁状態で、電気メッキを行なっている。
したがって、超臨界状態より加圧手段や加熱手段の小能力化を図れ、設備の小形軽量化と設備費の低減を図れ、省エネルギ−で稼働コストの低減を図れる。
また、電気メッキ前後は、前述のように液化二酸化炭素の給排によって、前処理工程や使用後の各種溶液の排出と、メッキ槽6、被処理物9、電極8の洗浄および乾燥を実現している。
前記第5の形態による電気メッキの諸特性は第19図および第20図のようである。
【0135】
このうち、第19図は液化二酸化炭素を加圧して電気メッキした場合のメッキの析出量を、超臨界状態でのメッキの析出量と比較したもので、超臨界状態でのメッキと遜色ないことを示している。しかも、この第5の形態による電流効率は後述のように向上するから、メッキが効率良く析出する。なお、同図では超臨界相90%時の析出量を1としている 第20図は液体二酸化炭素を加圧して電気メッキする際の、電解質溶液に対する電流効率を、超臨界二酸化炭素による電流効率と比較したもので、超臨界状態に比べ全体的に劣るが、従来の電気メッキ法よりは優れていることが確認された。
【0136】
こうして、前記メッキ工程終了後、スイッチ10をOFFし、撹拌子11を停止してバルブ50を開弁すると、前記二酸化炭素が減圧され、前記乳濁状態が消失して、電解質溶液15と界面活性剤39とが二層状態を回復する。この状況は第15図(c)のようである。
この後、バルブ45を開弁し、使用後の電解質溶液18を界面活性剤39と一緒にメッキ槽6から押し出し、これを導管47から液溜槽26へ導いて収容する そして、電解質溶液23を排出後、バルブ50を閉じ、代わりにバルブ43を開いて使用後の液化二酸化炭素をメッキ槽6から押し出し、これを導管42からガス溜槽21へ導いて収容する。
【0137】
その際、前記二酸化炭素の移動時に系に流れが発生して、陽極8および被処理物9を洗浄する。こうして、使用後の二酸化炭素を排出後、バルブ43を閉じ、液化二酸化炭素12をメッキ槽6に導入する。
このようにすると、前記二酸化炭素が被処理物9に接触し、該被処理物9および陽極8に付着している水分を効率良く洗浄する。その際、撹拌子11を作動して液化二酸化炭素を撹拌すれば、前記洗浄能率が向上する。
こうして被処理物9を洗浄し乾燥後、圧縮ポンプ29を停止しバルブ30を閉じて、液化二酸化炭素の導入を停止し、メッキ槽6の蓋(図示略)を開けて、メッキ処理後の被処理物9を取り出せば、一連のメッキ作業が終了する。
【0138】
第21図は本発明の実施形態を示し、前述の実施形態、特に第4の形態と対応する構成部分に同一の符号を用いている。
なお、第21図は、この実施形態の要部のみを図示し、各反応浴槽6,6aに対する加圧した液体二酸化炭素の供給と排出、並びに貯留部分の構成、および各種溶液の供給と排出、並びに貯留部分の構成は、図示を省略している。
この実施形態は、実質的に同一な反応浴槽6,6aを複数、実施形態では2つ並設し、これらを導管57,58で連通し、該導管57,58にバルブ59,60を介挿している
これらの反応浴槽6,6aは、相前後するメッキ処理工程を順次実行し、一方の反応浴槽6で所定の処理工程を実行し、当該処理後、該反応浴槽6で使用した電解質溶液14や界面活性剤39等を反応浴槽6aへ移動し、該反応浴槽6aで前記反応浴槽6の処理を実行し、以降、浴槽6,6aの間で一工程分ずらせて、順次一連のメッキ処理工程を実行可能にしている。
これを、例えば第15図に示す電気メッキ処理工程で説明すると、第21図(a)の第1ステップでは、一方の反応浴槽6は電気メッキに備え、浴槽6内に電解質溶液14と界面活性剤39とを導入し、他方の反応浴槽6aでは、該浴槽6a内に導入した電解質溶液14と界面活性剤39とを乳濁し、超臨界状態の下でスイッチ10をONし、ニッケルイオンを被処理物9の表面に析出および付着させている。
次に第21図(b)の第2ステップでは、一方の反応浴槽6では電解質溶液14と界面活性剤39とを乳濁し、超臨界状態の下でスイッチ10をONし、ニッケルイオンを被処理物9の表面に析出および付着し、前記反応浴槽6aの処理を一工程分遅れて実行させている。
一方、他方の反応浴槽6aでは電気メッキ終了後、臨界点以下の状態へ移行し、超臨界物質である二酸化炭素を急激に気化または液化させ、陽極8および被処理物9を洗浄している。
このように、この実施形態では複数の反応浴槽6,6aで相前後するメッキ処理を順次行なわせ、かつその際、先行の浴槽で使用した電解質溶液13や酸洗い溶液、界面活性剤等を後行の浴槽へ移動し、それらの有効利用を図るとともに、一連のメッキ処理を合理的かつ迅速に行なうようにしている。
なお、電解した電極物質を他方の電極物質に析出付着する方法は、原理的に同様な電鋳および陽極酸化皮膜形成法に適用することができ、前述と同様な効果を得られる。
また、反応浴槽に電解物質と電極物質を収容し、一方の電極物質を電解し、これを他方の電極物質側で採集する電解法にも、本発明を適用することが可能であり、そのようにすることで、例えば金属の電解精製、電解抽出、電解研磨等に適用することができ、前述と同様な効果を得られる。
(産業上の利用可能性)
以上のように、本発明の電気化学的処理方法およびその電気化学的反応装置は、反応させる反応浴槽中に電極を設置して外部電界を加える、電気メッキ、電鋳、陽極酸化皮膜の形成、電解研磨、電解加工、電気泳動塗装、電解精錬等の各方法および装置に適用することができる。また、無電解メッキ、化成処理等の外部電界を加えない場合にも、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の基本構成ないし基本原理の第1の形態による反応過程を(a),(b),(c)の順に示す説明図である。
第2図は、本発明の基本構成の第2の形態による反応過程を(a),(b),(c)の順に示す説明図である。
第3図は、本発明の基本構成の第3の形態を示す説明図で、単一の反応浴槽を用いてメッキ処理の多工程を実施させている。
第4図は、前記第3の形態におけるメッキ処理の脱脂および洗浄処理工程を示す説明図である。
第5図は、前記第3の形態におけるメッキ処理の酸化皮膜除去および被処理物活性化処理工程を、(a),(b),(c)の順に示す説明図である。
第6図は、前記第3の形態におけるメッキ処理の酸溶液排出および洗浄工程を示す説明図である。
第7図は、前記第3の形態におけるメッキ処理のメッキ工程を、(a),(b),(c)の順に示す説明図である。
第8図は、前記第3の形態におけるメッキ処理の電解質溶液排出および洗浄工程を示す説明図である。
第9図は、前記第3の形態におけるメッキ処理の乾燥および洗浄工程を示す説明図である。
第10図は、本発明の基本構成の第4の形態の要部を示す説明図で、二つの反応浴槽を用いてメッキ処理の各工程をそれぞれ独自に実行させている。
第11図は、本発明の基本構成の第5の形態を示す説明図で、単一の反応浴槽を用いてメッキ処理の多工程を実施させている。
第12図は、前記第5の形態におけるメッキ処理の脱脂および洗浄処理工程を示す説明図である。
第13図は、前記第5の形態におけるメッキ処理の酸化皮膜除去および被処理物活性化処理工程を、(a),(b),(c)の順に示す説明図である。
第14図は、前記第5の形態におけるメッキ処理の酸溶液排出および洗浄工程を示す説明図である。
第15図は、前記第5の形態におけるメッキ処理のメッキ工程を、(a),(b),(c)の順に示す説明図である。
第16図は、前記第5の形態におけるメッキ処理の電解質溶液排出および洗浄工程を示す説明図である。
第17図は、前記第5の形態におけるメッキ処理の乾燥および洗浄工程を示す説明図である。
第18図は、前記第5の形態のメッキ処理への適用範囲を示す相図である。
第19図は、前記第5の形態において、液体二酸化炭素を用いてメッキ処理した際の、電解質溶液に対するメッキの析出量を示す特性図で、超臨界二酸化炭素を用いたメッキの析出量と比較している。
第20図は、前記第5の形態において、液体二酸化炭素を用いてメッキ処理した際の、電解質溶液量に対する電流効率を示す特性図で、超臨界二酸化炭素を用いての電流効率と比較している。
第21図は、本発明の実施形態の要部を示す説明図で、二つの反応浴槽を用いてそれぞれメッキ処理を実施させている。
Claims (4)
- 電気化学的反応の前処理時に、被処理物と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを反応浴槽へ供給し、前記反応浴槽内を超臨界または亜臨界状態で乳濁し、該乳濁状態の下で被処理物の酸化皮膜を除去し、電気メッキ、電鋳、陽極酸化皮膜の形成、電解研磨、電解加工、電気泳動塗装、電解精錬、化成処理、無電解メッキの何れか一つの電気化学的反応時に、被処理物と、電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを反応浴槽へ供給し、前記反応浴槽内を超臨界または亜臨界状態で乳濁し、該乳濁状態の下で被処理物を電気化学的反応させ、前記電気化学的反応の前処理後、前記前処理に使用した超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを前記反応浴槽から排出するとともに、前記電気化学的反応後、前記電気化学的反応に使用した電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを前記反応浴槽から排出する電気化学的処理方法であって、前記被処理物の電気化学的反応およびその前後の処理工程を実行可能な複数の反応浴槽を設け、前記電気化学的反応の前処理時に、一の反応浴槽に被処理物と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを供給し、前処理後に使用した超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを前記一の反応浴槽から次の反応浴槽へ排出する一方、前記一の反応浴槽に電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを供給して電気化学的反応を実行し、該反応後に使用した電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを前記次の反応浴槽へ排出し、各反応浴槽において電気化学的反応の前処理、電気化学的反応、電気化学的反応の後処理の順に全ての処理を実行させることを特徴とする電気化学的処理方法。
- 前記各反応浴槽の使用後の電解質溶液、酸化皮膜除去物質、界面活性剤、超臨界または亜臨界状態形成物質を各貯留槽へ移動し再利用する請求項1記載の電気化学的処理方法。
- 電気化学的反応の前処理時に、被処理物と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを反応浴槽へ供給可能に設け、前記反応浴槽内を超臨界または亜臨界状態で乳濁可能にし、該乳濁状態の下で被処理物の酸化皮膜を除去し、電気化学的反応可能にするとともに、電気メッキ、電鋳、陽極酸化皮膜の形成、電解研磨、電解加工、電気泳動塗装、電解精錬、化成処理、無電解メッキの何れか一つの電気化学的反応時に、被処理物と、電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを反応浴槽へ供給可能に設け、前記反応浴槽内を超臨界または亜臨界状態で乳濁可能にし、該乳濁状態の下で被処理物を電気化学的反応可能にし、前記電気化学的反応の前処理後、前記前処理に使用した超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを前記反応浴槽から排出可能にするとともに、前記電気化学的反応後、前記電気化学的反応に使用した電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを前記反応浴槽から排出可能にした電気化学的反応装置であって、前記被処理物の電気化学的反応およびその前後の処理工程を実行可能な複数の反応浴槽を設け、前記電気化学的反応の前処理時に、一の反応浴槽に被処理物と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを供給可能に設け、前処理後に使用した超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤と、酸化皮膜除去物質とを前記一の反応浴槽から次の反応浴槽へ排出可能にする一方、前記一の反応浴槽に電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを供給可能に設け、該一の反応浴槽で電気化学的反応を実行可能に設け、該反応後に使用した電解質溶液と、超臨界または亜臨界状態形成物質と、界面活性剤とを前記次の反応浴槽へ排出し、各反応浴槽において電気化学的反応の前処理、電気化学的反応、電気化学的反応の後処理の順に全ての処理を実行可能にしたことを特徴とする電気化学的反応装置。
- 前記各反応浴槽の使用後の電解質溶液、酸化皮膜除去物質、界面活性剤、超臨界または亜臨界状態形成物質を、各貯留槽へ移動可能かつ再利用可能にした請求項3記載の電気化学的反応装置。
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