JP3841371B2 - ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料、感材ともいう)を処理するハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機(以下、単に自現機ということもある)に関し、更に詳しくは、連続処理安定性が改良され、日々の液管理や機器のメンテナンスが不要で更にドライ感覚で迅速処理可能なハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年いわゆるミニラボでは、写真処理に対する知識に乏しい非熟練技術者で写真処理を行っている場合が多く、処理液の管理や機器のメンテナンスの簡略化の要望が大きい。
【0003】
また、感光材料の処理の迅速化の要請も止まるところを知らず、現像性に優れたハロゲン化銀粒子、高速カプラー、活性な処理液等、様々な技術が検討されている。このうち、処理液の活性化の一つの手段として現像液の主薬濃度を高濃度化することが挙げられる。しかしながら実用化されている発色現像液の組成では、溶解度の関係から発色現像主薬を高濃度化して現像速度を大きくするには限界がある。一方近年の地球環境保護の観点から処理液の低補充化が進行しておりこれによって写真処理液の1日当たりの更新率が低下しつつある傾向にある。特に、迅速処理のため高濃度化されている発色現像液は空気酸化を受けやすく、沈殿の析出やタールの発生、更に液の劣化により安定した写真処理性能を保てなくなるという問題を生じやすい。
【0004】
また、最近のカラーペーパーの処理の迅速化のニーズに答えるために、発色現像主薬とアルカリ剤を2つに分離することにより発色現像主薬の浸透性を向上させる処理方法が特公平2−203338号公報や特開平2−203338号報に開示されている。しかしながら、これらの公報の技術では、連続処理安定性と迅速処理性で、いまだ不足していることがわかっている。
【0005】
また特開平7−333802号公報で38℃から50℃の高温処理で処理することでの迅速化技術も開示されているが、空気酸化を受けやすく、沈殿の析出やタールの発生、更に液の劣化により安定した処理性能が保てない。
【0006】
空気酸化を改良するために、発色現像液が密閉性のよい容器に封入し、噴霧する方式の処理方法が特開平6−324455号公報等に開示されている。この公報のみの技術だけでは十分な現像特性が得られず、実用には供しない。噴霧方式の処理方法が米国特許5,121,131号公報にも開示されているが、現像後の感材を酸化液で処理を行うものであり、本発明とは目的も実施形態も異なっている。またこれらの噴霧方式ではまたポチムラの発生があることが判明し重大な問題になることが判った。本発明でのポチムラとは処理液が感光材料の表面ではじかれ部分的に処理液が行き渡らない現象を言う。
【0007】
近年のミニラボ店の急速な増加により、機器の扱いに慣れていない人でも使用することができる処理システムが要求されている。また、ミニラボの設置箇所が屋外である場合もあり、どのような環境下でも安定した処理が要求されている。
【0008】
今日の感材処理自動現像機は、大きな容積の処理液が入っているタンクで現像され、補充液が補充されながら処理され、いわば疲労液で処理されるために、温度湿度の環境、毎日の処理液の管理、一日の処理量によって、現像液の活性度が変化し、つねに一定の現像性を得ることが困難である。現像液の劣化がない処理システムが必要とされている。
【0009】
また迅速性のためには、主薬の高濃度化が必要になるが、主薬の溶解度や結晶析出性の問題があるために、現在の発色現像液の系では不可能である。
【0010】
更に自動現像機はオフィス等でも使用され、処理液を感じさせない、いわばドライ感覚なシステムが要望されている。
【0011】
そこで本発明者らは、感光材料を直接加熱することと、主薬の下層への拡散を促進する本発明の構成をとることで、処理液の劣化をまねくことなく、またポチムラの発生を押さえ、更に熱カブリの発生を押さえ、驚く程の迅速性を達成するシステムを実現したのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、第1に1日当たりのハロゲン化銀写真感光材料の処理量が少ない場合(1日、35mmフィルム3本〜5本処理)においても、またどのような環境下でも処理が安定で、液管理と自現機の条件設定の修正等のメンテナンスが不要であり、第2にカブリが低く、ポチムラの発生がなく、大幅な迅速化が可能な処理装置であり、第3にドライ感覚であり、第4には廃液量が大幅に低減されたハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0014】
1.現像主薬を含有する第1液をハロゲン化銀写真感光材料の乳剤面に供給する手段と第1液に引き続きアルカリ剤を含有する第2液をハロゲン化銀写真感光材料の乳剤面に供給する手段と、該ハロゲン化銀感光材料への供給時にハロゲン化銀感光材料の表面温度を40度〜90度の範囲に保つ加熱手段を有し、更に前記第1液の供給後、4.5秒以内に第2液を供給する制御手段を有し、かつ前記第1液と第2液の少なくとも一つの液の表面張力が20dyne/cm〜45dyne/cmの範囲であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
【0015】
2.前記第一現像液を感光材料に供給後、5秒〜20秒に引き続いて漂白能を有する処理液を供給する手段を有することを特徴とする前記1に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
【0016】
3.前記感光材料へ供給される第1液及び第2液の供給量を1m2当たりそれぞれ5ml〜100mlの範囲で供給する供給手段を有することを特徴とする前記1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
【0019】
.前記第1液及び第2液はハロゲン化銀感光材料への供給前には実質的に互いに接触しない液保持容器を有することを特徴とする前記1〜の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
【0020】
.前記第1液又は第2液の少なくとも一方が気相を介して供給する手段を有することを特徴とする前記1〜の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0022】
本発明で言う、現像処理工程とは、感光材料が最初の現像用の処理液(第1液)を供給されてから、次の工程の処理液(例えば、漂白定着液、漂白液、停止液など)を供給又は次の工程の処理液に浸漬されるまでのことである。
【0023】
現像処理工程の時間は感光材料が第1液を最初に供給されてから次の工程の処理液、即ち漂白能を持つ処理液もしくは水洗液を供給又は次の工程の処理液に浸漬されるまでの時間である。この現像工程の時間は5〜45秒であることが望ましいが、特に5〜20秒であることがより好ましい。
【0024】
本発明での第1液とは、発色現像主薬もしくは現像主薬を含有する処理液であり、界面活性剤、発色現像主薬の可溶化剤、保恒剤などが含まれる水溶液、である。第2液とはアルカリを主成分とする処理液であり、界面活性剤、発色現像主薬の可溶化剤、保恒剤、キレート剤などが含まれる水溶液である。
【0025】
第1液は通常、pHが7以下で第2液はpHが8以上の液がもちいられるが、好ましくは第1液のpHは4以下、第2液のpHが10以上である。
【0026】
本発明に用いられる発色現像主薬は、パラフェニレンジアミン系化合物が好ましく、
パラフェニレンジアミン系化合物としては、水溶性基を有する化合物が好ましい。水溶性基を有するパラフェニレンジアミン系化合物としては、パラフェニレンジアミン系化合物のアミノ基に又はベンゼン核上に少なくとも一つの水溶性基を有するものが挙げられる。具体的な水溶性基としては、−(CH2)n−CH2OH、−(CH2m−NHSO2−(CH2nCH3、−(CH2m−O−(CH2n−CH3、−(CH2CH2O)nm2m+1、(m及びnはそれぞれ0以上の整数を表す。)−COOH基,−SO3H基等が好ましいものとして挙げられる。
【0027】
本発明に好ましく用いられるパラフェニレンジアミン系化合物の具体的化合物としては、特開平4−86741号第7〜9頁に記載されている(C−1)〜(C−16)、同3−246543号第6〜10頁に記載されている(1)〜(26)等が挙げられる。
【0028】
上記パラフェニレンジアミン系化合物は通常、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩の形で使用される。
【0029】
添加量は10g/l〜150g/lの範囲で用いられ、好ましくは10g/l〜100g/l、より好ましくは15g/l〜70g/lである。
【0030】
また、本発明の現像主薬は、フェニドン、4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル−3−ピラゾリドン、メトール、アスコルビン酸、ハイドロキノン等が好ましい。
【0031】
本発明に用いられる発色現像主薬の可溶化剤は、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール類、特願平7−10769号に記載されているパラトルエンスルホン酸等が挙げられる。添加量は通常、1L当たり1g〜100gで用いられ、好ましくは5g〜80g、より好ましくは10g〜50gである。
【0032】
本発明のアルカリ剤とは、7.0gを純水に溶解して1Lに仕上げた時のpH8.0以上のアルカリ性を呈するものであり、好ましい具体例としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ酸)、四ホウ酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属化合物が挙げられる。
【0033】
本発明の効果の点からは、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等好ましく、本発明においてはとりわけ、この中でも炭酸ナトリウムが特に好ましく用いられる。
【0034】
添加量は通常、10g/l〜300g/lの範囲で用いられ、好ましくは10g/l〜150g/l、より好ましくは20g/l〜100g/lである。
【0035】
本発明に用いられる保恒剤は亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン及び特開平8ー29924号第9〜13頁に記載されているヒドロキシルアミン類が挙げられる。
【0036】
本発明の現像液の表面張力は20dyne/cm〜45dyne/cmが好ましい。より好ましくは25dyne/cm〜35dyne/cmである。表面張力を調整するためには、特開平7−92634号公報第3〜5頁で開示されているフッ素系活性剤や、特開平4−299340号公報第11〜31頁で開示されているエチレンオキサイド系やグリシドール系のノニオンタイプや水溶性有機シロキサン系等の活性剤を含有させることが好ましい。
【0037】
ハロゲン化銀写真感光材料の乳剤面にそれぞれの供給手段から供給される現像用の処理液量は感光材料1m2当たり5〜100mlが望ましいが、10〜60mlであることがより好ましく、更に10〜30mlであることが最も好ましい。
【0038】
第2液が感光材料面に供給される時間は、第1液が供給後4.5秒以内が好ましいが、0.1秒以上2秒以内がより好ましい。
【0039】
ハロゲン化銀写真感光材料への発色現像処理液の供給は感光材料への露光量に比例させることが好ましいが、比例させなくてもよい。
【0040】
〔加熱手段〕
加熱手段により加熱された感材の表面温度は、40℃〜90℃であり、より好ましく、更に45℃以上、特に50℃以上が好ましい。また、感光材料の耐熱性や処理の制御容易性から、更に感光材料のレチキュレーション防止のために、特に70℃以下が好ましい。
【0041】
感光材料を加熱する加熱手段としては、熱ドラムや熱ベルトなどの感材と接触して伝導により加熱する伝導加熱手段や、ドライヤーなどの対流により加熱する対流加熱手段や、赤外線や高周波の電磁波などの放射により加熱する放射加熱手段などが挙げられる。
【0042】
感光材料はこれらの手段で処理液が供給される直前に加熱されていることが好ましい。更に供給されている間及び次の漂白工程に入るまでの間も、これらの手段で加熱し、所定の温度(40〜90℃)に保つことが好ましく、第1液を感光材料に供給後、5秒〜20秒以内に漂白能を有する処理液を供給する手段を有することが好ましい。
【0043】
また、加熱手段が加熱する先にハロゲン化銀写真感光材料が存在するときに、該加熱手段が加熱するように制御する加熱制御手段を有することが、不要な加熱を防止でき好ましい。これは、ハロゲン化銀写真感光材料を所定の搬送速度で搬送する搬送手段と、加熱手段が加熱する先よりも該搬送手段の搬送方向上流側の所定位置の該ハロゲン化銀写真感光材料の存在を検出する感材検出手段とを有し、該感材検出手段の検出に基づき、該加熱制御手段が制御することにより達成できる。この場合の制御は、前記感材検出手段が前記所定位置のハロゲン化銀写真感光材料の非存在から存在を検出してから所定時間経過後から該感材検出手段が該所定位置のハロゲン化銀写真感光材料の存在から非存在を検出してから所定時間経過後まで、前記加熱手段が所定の加熱をするように制御することが好ましい。
【0044】
「現像液供給手段」
処理液の供給手段としては、大別して、液体を噴射させて、いわば気相を介して供給する方法と液体とローラー等で塗布したり、直接接触させることで供給する方法に分けられる。本発明では気相を介して供給する方法が好ましい。
【0045】
気相を介して供給する方法は、圧電素子の振動を利用したピエゾ式インクジェットヘッドを用いて液を飛翔させ感光材料に供給するもの、或いは突沸を利用したサーマルジェットヘッドを用いて液を飛翔させるものが挙げられ、処理液の供給量を制御しうるし、感光材料の処理位置をも選択しうるので好ましい。更にスプレーバーのように、液体を加圧して液を噴射させる方法も挙げられる。
【0046】
気相を介して供給する方法では、液滴で供給されることが好ましく、1回に供給する処理液滴の体積は0.1×10-6ml〜50×10-6mlが好ましく、より好ましくは0.5×10-6ml〜5×10-6mlである。
【0047】
次に塗布或いは直接接触方法では、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーロールコーター、カーテンコーター、ダブルローラ、スライドホッパー、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押出コーター等が挙げられる。本発明に好ましく用いられる塗布或いは直接接触方法は、塗布量及び処理液の粘性の観点でスクイズコーター、グラビアコーター、含浸コーター、ビードコーター、ブレードコーターである。
【0048】
装置のコンパクト性、簡略さの点と本発明で好ましい供給量を得られる観点で、フェルト塗布、グラビアロール、ディップ塗布が好ましい。
【0049】
特にインクジェット方式ではノズルを線状に並べて、固定したヘッドで供給してもよいし、ヘッドを走査させながら液を供給してもよい。
【0050】
また、処理後供給口と感材乳剤面との距離は、50ミクロン以上(特に1mm以上)が、液の飛翔の観点から好ましく、また10mm以下(特に5mm以下)が飛散防止の観点で好ましい。
【0051】
〔ハロゲン化銀写真感光材料〕
本発明で用いられる感光材料の例として、塩化銀乳剤を含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料や、沃臭化銀又は臭化銀乳剤を含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料、モノクロ感光材料、両面乳剤が塗布されているX線用ハロゲン化銀写真感光材料等が挙げられる。
【0052】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0053】
参考例1
〔装置〕
図1は、参考例1の自現機の主要部の概略構成図である。処理液により処理されるハロゲン化銀写真感光材料Pの搬送経路上流には、ハロゲン化銀写真感光材料Pを加熱する加熱手段10がある。加熱手段10には、加熱ドラム11がある。また、加熱ドラム11の上側に出口側ローラ12がある。加熱ドラム11の左側に入口側ローラ13がある。出口側ローラ12の左側で入口側ローラ13の上側に圧着ベルト駆動ローラ14がある。圧着ベルト15が、出口側ローラ12、入口側ローラ13及び圧着ベルト駆動ローラ14に架け渡され、加熱ドラム11の周面の90°の区間に渡って加熱ドラム11に圧っされながら動くことにより、加熱ドラム11に感材Pを圧着して搬送させる。これらにより、感材Pは加熱される。
【0054】
加熱ドラム11の感材Pの搬送経路下流に現像処理手段20がある。現像処理手段20は、感材Pを処理する第1液を収容する処理液容器25を有する。処理液容器25は外気に対して密閉されている。処理液供給手段26としては後述する供給ヘッドを使用する。これにより、処理液供給手段26が、加熱手段10により加熱された感材Pの乳剤面に気相を介して発色現像液を供給する。
【0055】
引き続き、第2液を同様にして感光材料Pの乳剤面に気相を介して供給する。第1現像液の供給後0.5秒後に第2液が供給される。
【0056】
処理液供給手段26、28により気相を介して処理液を供給される所の感材の搬送経路上流側から下流側にかけて加熱する第二加熱手段30がある。第二加熱手段30には、加熱ローラ31、駆動ローラ32、加熱ベルト33がある。加熱ベルト33は加熱ローラ31と駆動ローラ32に掛け渡されている。加熱ローラ31は、処理液供給手段26、28により気相を介して処理液を供給される先の感材Pの搬送経路上流側にあり、加熱ベルト33を加熱する。加熱ローラ31より感材Pの搬送経路下流側にある駆動ローラ32は加熱ベルト33を駆動させる。これにより、これにより、加熱ベルト33が加熱された状態で感材Pを加熱する。そして、処理液供給手段26、28が、第二加熱手段30により加熱されている最中のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤面に気相を介して処理液を供給することになる。また、処理液供給手段26、28により気相を介して処理液をその乳剤面に供給されたハロゲン化銀写真感光材料を、第二加熱手段30が加熱することになる。
【0057】
その後、現像処理手段20により発色現像処理された感材Pは漂白定着処理液槽BFで漂白定着処理され、安定化処理槽STで安定化処理される。
【0058】
図3は第二加熱手段30の概略構成部である。吸引ポンプ34によって、15mm間隔で直径5mmの穴が開いている加熱ベルト33上の感材Pをベルトに吸引圧着させる。加熱ベルトには加熱ベルト33には面ヒータが入っており、感材Pを所定の温度に加熱することが出来る。駆動モーター35で加熱ベルト33は駆動される。又、36は吸引口、37は加熱ベルト、38は加熱ローラーである。
【0059】
〔加熱条件〕
表面温度80℃の加熱ドラム11により感材乳剤面温度を80℃にする。
【0060】
〔第二加熱条件〕
表面温度80℃の加熱ベルト33により、感材Pの支持体面から加熱し、感材乳剤面温度を80℃に保つ。
【0061】
〔供給ヘッド〕
ピエゾ式インクジェット方式の線状の供給ヘッドを使用する。この線状の供給ヘッドは感光材料の搬送方向と垂直である。供給口の配列は二列の千鳥配列である。供給口の間隔は最近接供給口との縁間距離200μmである。供給口の直径100μm(面積7.85×10-92)で1秒間の処理液供給回数5000回、ハロゲン化銀写真感光材料1m2当たりの処理液供給量は50mlである。
【0062】
〔感光材料〕
通常の方法で露光されたコニカ株式会社QA−A6ペーパー使用。
【0063】
{処理液容器内の処理液処方}
(処理液処方:1リットルあたり)
第1液
亜硫酸ナトリウム 0.4g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 3.0g
p−トルエンスルホン酸 20.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(B−(メタンスルホン
アミド)エチル)アニリン硫酸塩(CD−3) 40.0g
水酸化カリウム又は硫酸を用いてpH2.0に調整する。
【0064】
第2液
ジエチレントリアミン5酢酸5トリウム 3.0g
炭酸カリウム 80.0g
p−トルエンスルホン酸 20.0g
水酸化カリウム又は硫酸を用てpH13.5に調整する。
【0065】
(漂白定着・安定化処理工程)
コニカ株式会社CPK−2−28プロセスの処理条件で同プロセス用処理剤を用いて処理を行った。
【0066】
〔ポチムラ:目視評価〕
評価基準
○:全く発生がない、
△:実用性には問題ないが、若干発生、
×:発生があり、写真性能上問題となるレベル。
【0067】
結果
迅速な発色現像をすることができ、ポチムラもなく、処理液が飛散することもなく、良好な結果を得た。
【0068】
参考例2
〔装置〕
図2は、参考例2の自現機の概略構成図である。
【0069】
加熱ドラム11の感光材料Pの搬送経路下流に現像手処理手段40がある。現像処理手段40は、感材Pを処理する第1液を収容する処理液容器43を有する。処理液供給手段42としては後述するグラビアロールを使用する。これにより、処理液供給手段42が、加熱手段10により加熱された感材Pの乳剤面に発色現像液を供給する。このとき、感光材料Pの裏面側に対向ローラが設けられていて、感光材料Pと圧着している。
【0070】
引き続き、第2液を同様にして供給する。第1液の供給後1.0秒後に第2液が供給される。
【0071】
処理液供給手段42及び45により処理液を供給される所の感光材料Pの搬送経路上流側から下流側にかけて加熱する第二加熱手段30がある。第二加熱手段30には、加熱ローラ31、駆動ローラ32、加熱ベルト33がある。加熱ベルト33は加熱ローラ31と駆動ローラ32に掛け渡されている。加熱ローラ31は、処理液供給手段42及び43により気相を介して処理液を供給される先の感材Pの搬送経路上流側にあり、加熱ベルト33を加熱する。加熱ローラ31より感材Pの搬送経路下流側にある駆動ローラ32は加熱ベルト33を駆動させる。これにより、これにより、加熱ベルト33が加熱された状態で感材Pを加熱する。そして、処理液供給手段42及び45が、第二加熱手段30により加熱されている最中のハロゲン化銀写真感光材料Pの乳剤面に処理液を供給することになる。また、処理液供給手段42及び45により処理液をその乳剤面に供給されたハロゲン化銀写真感光材料Pを、第二加熱手段30が加熱することになる。また、加熱ベルトに多数の穴を空けておき、ベルト後部からファンやエアーコンプレッサーで吸引することで加熱ベルトと感光材料Pを密着させてもよい。
【0072】
その後、現像処理手段40により発色現像処理された感材Pは漂白定着処理液槽BFで漂白定着処理され、安定化処理槽STで安定化処理される。
【0073】
〔加熱条件〕
表面温度80℃の加熱ドラム11により感材乳剤面温度を80℃にする。
【0074】
〔第二加熱条件〕
表面温度80℃の加熱ベルト33により、感材Pの支持体面から加熱し、感材乳剤面温度を80℃に保つ。
【0075】
〔供給ヘッド〕
グラビアロールを使用する。グラビアロールの回転数は搬送方向に1分間に100回である。グラビアロールの横ピッチ数は1インチ当たり80線でラセンタイプを使用した。
【0076】
〔感光材料〕
参考例1と同様。
【0077】
{処理液容器内の処理液処方}
参考例1と同様。
【0078】
結果
迅速な発色現像をすることができ、ポチムラもなく、処理液がたれることもなく、良好な結果を得た。また図6bに示されるブレードをローラ45に付けることで、容器中の第1液と容器中の第2液を実質的に接触しないようにでき、現像安定性が改良された。
【0079】
参考例3
参考例1の図1で示される自現機を用いて、現像処理工程時間を12秒とし、感材の表面温度を表1のように変化させ、予めウェッジ状に露光された試料を処理した以外は参考例1と同様の操作を行い、処理後の試料のポチムラの発生も参考例1と同様な評価基準で評価した。またDminの濃度を測定し、現像かぶりの程度を評価した。更に試料の乳剤面を観察し、レチキュレーションの有無を調べた。
【0080】
〔感光材料〕
参考例1と同様。
【0081】
{処理液容器内の処理液処方}
参考例1と同様。
【0082】
【表1】
Figure 0003841371
【0083】
表1から明らかなように感光材料の表面温度を40度〜90度にたもつことでポチムラの発生を押さえ、感材のレチキュレーションの発生を押さえ、感材のカブリ濃度を押さえることが分かる。
【0084】
参考例4
参考例3の実験No.1−6で発色現像処理工程時間を表2のように変化させた以外は、参考例1と同様な操作、評価を行った。またDmax(Y)の濃度も測定した。本発明の実施例においてはDmax(Y)が1.9より低い場合は濃度として不十分であり、2.0より大きければ十分な濃度であるとする。また現像むらのありなしを目視で観察評価した。本発明での現像むらとは同一露光量で軽微な現像濃度差が発生することをいう。また、現像かぶりはDmix(M)測定し、その値で評価した。
【0085】
〔感光材料〕
参考例1と同様。
【0086】
{処理液容器内の処理液処方}
参考例1と同様。
【0087】
【表2】
Figure 0003841371
【0088】
結果
現像処理工程時間が5秒未満であると、十分なDmax得られず、若干の現像むらが見られる、また20秒を越えると現像かぶりがおおきくなり、5秒から20秒がより好ましい領域である。またポチムラは全くなかった。
【0089】
参考例5
参考例3の実験No.1−6で液供給量を表3のように変化させた以外は、参考例4と同様な操作、評価を行った。
【0090】
〔感光材料〕
参考例1と同様。
【0091】
{処理液容器内の処理液処方}
参考例1と同様。
【0092】
【表3】
Figure 0003841371
【0093】
結果
液供給量が本発明の好ましい領域であると、現像むらの発生がなく、良好な階調が得られた。またポチムラはまったくなかった。
【0094】
実施例6
参考例3の実験No.1−4で表4に示す界面活性剤を添加することで表面張力を表4のように変化させた以外は、参考例4と同様な操作、評価を行った。また24時間放置し、ノズルのオリフィス部の液ダレを観察した。
【0095】
〔感光材料〕
参考例1と同様。
【0096】
{処理液容器内の処理液処方}
参考例1と同様。
【0097】
【表4】
Figure 0003841371
【0098】
化合物I:p−オクチルフェノール・エチレノキシド10モル付加物
化合物II:p−ノニルフェノール・2−ヒドロキシプロピレノキシド10モル付加物
化合物III:パーフルオロオクチルスルホン酸リチウム
結果
液供給量が本発明好ましいの領域であると、現像むらの発生がなく、良好な階調が得られた。また液ダレの発生もない。
【0099】
参考例7
図4はノズル幅狭いインクジェット用ヘッドを用いてシリアル方式で処理する自動現像機の現像部の概略図である。感材Pは参考例1と同様に加熱手段部を通過して、液滴下部に搬送される。処理液供給手段51と52は、それぞれ第1液と第2液を供給する手段であり、感材搬送方向と垂直方向に左右に移動し、感材P上に処理液を供給する。第1液が先に供給されるように、処理液供給手段51と52はヘッドノズル列の幅だけずれて前後に構成されている。処理液の供給後は参考例1と同様の装置にて加熱されながら、搬送されBF槽に搬送される。
【0100】
処理液は供給管55から順次処理液供給手段51及び52にそれぞれ供給される。
【0101】
〔供給ヘッド〕
ピエゾ式インクジェット方式の供給ヘッドを使用する。この供給ヘッドのノズル列の方向は、感材Pの搬送方向と平行である。供給口の配列は図4に示すように2列の千鳥配列である。供給口の間隔は150μmである。供給口の直径は90μmで、一秒間の処理液供給回数は7500回、ハロゲン化銀写真感光材料1m2あたりの処理液供給量は30mlである。供給ヘッドのスキャンスピードは800mm/secである。加熱条件等は参考例1と同等である。
【0102】
〔感光材料〕
参考例1と同様。
【0103】
{処理液容器内の処理液処方}
参考例1と同様。
【0104】
結果
迅速な発色現像をすることができ、ポチムラもなく、処理液が飛散することもなく、良好な結果を得た。
【0105】
参考例8
図5は処理液供給手段にスクイズコーター方式を用いたものである。ローラー64によって処理液溜まり61の第1液が感材Pに供給せれ、引き続きローラー65によって処理液溜まり62の第2液が感材Pに供給される。その他の加熱手段等は参考例1と同様である。
【0106】
結果
迅速な発色現像をすることができ、ポチムラもなく、処理液が飛散することもなく、良好な結果を得た。
【0107】
参考例9
図6は処理液供給手段に含浸コーター方式とグラビヤコーター方式を用いたものである。液溜まり70によって第1液71が感材Pに供給せられ、引き続きローラー75によって処理液溜まり73の第2液74が感材Pに供給される。対向ローラ76は感材Pの搬送時のみ圧着する。ブレード77によって混合された液が処理液溜まり73に混入することを防止する。即ち、図6(b)に示すようにローラー75から混合された液をブレード77でかき取り、液排出口78に流しこむ。その他の加熱手段等は参考例1と同様である。
【0108】
〔感光材料〕
参考例1と同様。
【0109】
{処理液容器内の処理液処方}
参考例1と同様。
【0110】
結果
迅速な発色現像をすることができ、ポチムラもなく、処理液が飛散することもなく、良好な結果を得た。
【0111】
【発明の効果】
本発明により、第1にどのような環境下でも処理が安定で、液管理と自現機の条件設定の修正等のメンテナンスが不要であり、第2にカブリが低く、ポチムラの発生がなく、大幅な迅速化が可能な処理装置であり、第3にドライ感覚であり、第4には廃液量が大幅に低減されたハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の自現機の主要部の概略構成図である。
【図2】 参考例2の自現機の概略構成図である。
【図3】 第二加熱手段30の概略構成部を示す図である。
【図4】 ノズル幅狭いインクジェット用ヘッドを用いてシリアル方式で処理する自動現像機の現像部の概略図である。
【図5】 処理液供給手段にスクイズコーター方式を用いた時の概略図である。
【図6】 処理液供給手段に含浸コーター方式とグラビヤコーター方式を用いた時の概略図である。
【符号の説明】
10 加熱手段
11 加熱ドラム
30 第二加熱手段
31 加熱ローラ
32 駆動ローラ
P 感材

Claims (5)

  1. 現像主薬を含有する第1液をハロゲン化銀写真感光材料の乳剤面に供給する手段と第1液に引き続きアルカリ剤を含有する第2液をハロゲン化銀写真感光材料の乳剤面に供給する手段と、該ハロゲン化銀感光材料への供給時にハロゲン化銀感光材料の表面温度を40度〜90度の範囲に保つ加熱手段を有し、更に前記第1液の供給後、4.5秒以内に第2液を供給する制御手段を有し、かつ前記第1液と第2液の少なくとも一つの液の表面張力が20dyne/cm〜45dyne/cmの範囲であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
  2. 前記第1液をハロゲン化銀感光材料に供給後、5秒〜20秒に引き続いて漂白能を有する処理液を供給する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
  3. 前記ハロゲン化銀感光材料へ供給される第1液及び第2液の供給量を1m2当たりそれぞれ5ml〜100mlの範囲で供給する供給手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
  4. 前記第1液及び第2液はハロゲン化銀感光材料への供給前には実質的に互いに接触しない液保持容器を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
  5. 前記第1液又は第2液の少なくとも一方が気相を介して供給する手段を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機。
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