JP3841187B2 - ねじのゆるみ止め液塗布装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、ボルトやビス等のねじに弛み防止やシール性向上の目的で予め塗布を施しておくためのねじのゆるみ止め液塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ねじを裸のまま使用した場合には、振動等により緩むことがあり、それを防止するためや、雄ねじと雌ねじとの隙間からの液体の浸出、浸入を防止するために、使用に当たっては、予めねじに塗布を施しておくことがある。従来、これにはディッピングと、フローコーティングの方法が用いられていた。
【0003】
ちなみに、ディッピングの場合は、容器に入ったゆるみ止め液にねじを浸けるやり方である。また、フローコーティングであると、ゆるみ止め液を常時フローコートする箇所に、ねじを連続して供給して行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のねじのゆるみ止め液塗布装置によれば、それがディッピングの場合であると、ゆるみ止め液が付着し過ぎることがあり、しかもそれがねじの先端で過剰となる場合もあるので、使用に当たっては、ねじ孔への螺入が困難となることがある。これに対して、フローコーティング法の場合であると、ゆるみ止め液の付着箇所をねじの先端から離れた箇所とすることができるために、螺入に支障が生じる度合いは少ない。しかし、ねじの外周に沿って全周に塗布することができないことも生じ、ねじの溝にゆるみ止め液が入らないこともあって、ゆるみ止め加工の目的を十分に達成できなく、殊に、シール性の向上に不完全となることは避けられなかった。
【0005】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、ねじの所定位置にゆるみ止め液を全周にわたって均等に塗布できるねじのゆるみ止め液塗布装置を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は、主体的なテーブルの上において、その上に設けたシュートの下端部に、ねじを連続して止めるとともに下方へ一個ずつ落とす待機装 置と、待機装置から送られるねじを回転可能に受ける回転保持装置とを設け、回転保持装置を挟む前側にねじを頭部で回転する回転駆動装置を、後側にそのねじの先を芯出して止める回転受けとをそれぞれ設けることにより、両方でねじをクランプして回転するように構成し、さらに、回転しているねじにゆるみ止め液を塗布可能にノズルを備える一方、ねじの塗布されたゆるみ止め液を均一にするへら装置を、そのへらがばねの弾力でねじと擦れるように備えたねじのゆるみ止め液塗布装置であって、テーブルの上にガイドレールを設置するとともに、ガイドレールに回転駆動装置を装備する前部台と、回転受けおよびへら装置を装備する後部台とをシリンダーの力で移動可能に結合し、その移動によりねじの前記クランプおよびその解除をなし得るように構成し、さらに、後部台にその移動方向を同じくするスライダーを一定範囲で移動可能に組み込み、その後部台の移動につき、スライダーに該移動のための前記シリンダーを連結し、へらを逃すレバーを後部台に軸支し、そのレバーの基端をスライダーに係合させることにより、前記ばねの弾力に抗してなすへらの逃し機構を構成したことを特徴とするねじのゆるみ止め液塗布装置を構成する。
【0007】
【作 用】
シュートにより回転保持装置へ供給されたねじが回転駆動装置と回転受けとでクランプされながら回転され、その回転中にノズルから適量点滴することによりゆるみ止め液が塗布されるので、ねじの所定位置に全周にわたって均一に塗布され、殊に、へら装置によりその均一化が良好となり、しかも、ねじの溝にゆるみ止め液がへらで塗布幅と点滴量を調整することができる。
【0008】
回転保持装置の手前に待機装置を設け、また、テーブルの上に主な装置を動かすために装備する前部台および後部台のガイドレールを設置したので、加工速度を上げるのに適し、さらに、後部台にスライダーを組み込み、その動きに伴うへらの逃し機構を構成したから、へらに妨げられることなく、ねじのクランプおよびその解除をなし得る。
【0009】
【実施例】
次に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】
ねじのゆるみ止め液塗布装置は、図1ないし図6に一実施例を示し、パーツフィーダ1から供給されるねじSに一個づつゆるみ止め液2を塗布するようにしたもので、テーブルTの上において、パーツフィーダ1から傾斜するシュート3を設け、その下端部に、ねじSの待機装置5と、待機装置5から一個づつ供給されるねじSの回転保持装置7とを設け(図1および図2)、さらに、テーブルTの上には、回転駆動装置9と、それに対向する回転受け11とを設ける他(図5)、回転するねじSにゆるみ止め液2を適量に出す注出装置13と、付着したゆるみ止め液2を均一にするへら装置15とが備えられる(図4)。そして、テーブルTの上には、後記するような装置の作動のため、LMガイドのガイドレール16が設置される。
【0011】
シュート3は、傾斜する長尺の基板17の側面に上下一対の挾持板19,19を、セパレータ21,21を介して隔てて結合したもので(図3,図5)、両挾持板19,19間にねじSの頭部が抜けないガイド溝23を有する。そこで、パーツフィーダ1からこのガイド溝23に整列されて転入されると、各ねじS,S,・・が頭部どうしで接触した状態で待機装置5に連続して支える(図2)。
【0012】
待機装置5は、エスケープシリンダー25に、先後一対のストッパー26,27を、ねじSの通る箇所に出入り自在に設けたもので、先のストッパー26が上がった状態で後のストッパー27が引っ込む動きで一本づつねじSが回転保持装置7に転送される。両ストッパー26,27の間の上方にその間のねじSを感知するセンサー29が設けられる。
【0013】
回転保持装置7は、位置決めシリンダー30にねじSの頭部が当たるストッパー31を出入り自在に設けたもので、基板17には、回転駆動装置9の駆動用の窓孔33が設けられ、その窓孔33にねじSの頭部が同心で位置するように、ストッパー31の位置が調整可能となっている。この位置にねじSの頭部を感知するセンサー32が設けられる他、ストッパー31の後方(下方)には、排出ねじSを感知するセンサー34が設けられる。
【0014】
センサーによる制御については、第一のセンサー29で準備体勢ができているかの確認(ねじSがなければ作動しない)を行い、第二のセンサー32でねじSが加工の所定位置についたかを確認し、これで塗布を開始する。この時タイマーにより、液の量、塗布時間の変更ができる(ネジサイズによって調整)。また、塗布終了後にねじSが排出されるのを第三のセンサー34が確認すると、待機装置5から回転保持装置7へねじSが転送される。
【0015】
回転駆動装置9は、ガイドレール16の上の前部台35に、モーター37と、それにより回転する駆動軸39を装備したもので、台35の移動により駆動軸39が窓孔33に出入りするようになっている。40が台35の移動用のシリンダーである。駆動軸39の先端には、駆動先41が着脱自在に取り付けられる。この駆動先41としては、ねじSの頭部の形態により、例えば、磁石等の吸着ドライバーであったり、+または−の形状ドライバーであったりする。
【0016】
ガイドレール16には、前部台35の他に、後部台36が載せられており、その台36には、回転受け11と、へら装置15とが搭載され、シリンダー43により移動可能となっている。なお、台35,36について、35a,36aは、ガイドレール16とスライド可能に結合するガイドブロックである。
【0017】
回転受け11は、自由に回転するように台36にベアリングで軸支され、前記した駆動先41とこの回転受け11との間にねじSが挾まれるクランプ機構が構成される。そこで、回転保持装置7へねじSが供給されるときには、その回転受け11が台36と共に後退しているようになっている。なお、回転受け11の端面には、ねじSを芯出しするためにすり鉢状の凹部が設けられる。
【0018】
注出装置13は、テーブルTに立設される支柱45の上端に注出シリンダー47のホルダー46を取り付け、その取付けについては、支柱45に昇降体48を係合させ、昇降体48の上端にホルダー46が一体に設けられる。ねじSの軸方向に対する注出シリンダー47のノズル49の位置については、台36の前進位置の設定により、それが調整可能となっている。なお、注出シリンダー47へは図示しないゆるみ止め液タンクからチューブによりゆるみ止め液が供給される。
【0019】
ノズル49はねじSに接近して使用されるので(図4)、ねじSに対するゆるみ止め液2の塗布作業が終わってからは、排出および次の供給の妨げにならないように、ノズル49が上昇するようになっている(図5)。この昇降機構については、図6に示すように、昇降体48の下端に円形の突部52を設け、台36には突部52と擦り合う斜面54を設け、台36の前進により、コイルばね56の弾力に抗して昇降体48が下降するようになっている(図1,図6)。従って、塗布作業が終わって台36が後退したときに、ノズル49がばね56の引っ張りにより浮き上がる。
【0020】
へら装置15は、コイルばね51の弾力によりへら50がねじSの下面を押圧するように、台36にピン52により軸支されたもので、ねじSの供給および排出時には、回転受け11と共にへら50が逃げているように、逃げのためにへら50を下へ押すL字形の屈折したレバー53が設けられている。その間の構造は次のようになっている。
【0021】
後部台36には、その移動方向を同じくするスライダー55が組み込まれ、台36にレバー53が軸ピン57で軸支され、その基端が作用ピン59によりスライダー55に係合されている。そこで、スライダー55が矢印P方向へ後退すると、レバー53の先端が下がって、へら50を下へ逃す(図5の実線)。シリンダー43は、このスライダー55に連結されているので、このへら50の逃げが先行し、次に、台36と共に回転受け11の退却が生じるようになっている。
【0022】
このタイムラグについては、後部台36に対してスライダー55は、一定範囲で移動するように、長孔60とピン62との係合により一定範囲で移動するようになっている。台36とスライダー55との間には圧縮ばね64が介在されているので、スライダー55から台36への動きの伝達は緩和される。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のねじのゆるみ止め液塗布装置によれば、ノズルからの注出によりねじにゆるみ止め液を塗布するので、ねじ込みの支障にならないように、先端から外れた所定箇所に塗布加工ができることはもとより、回転しながら全周に均等に塗布できるだけでなく、ねじの溝にも入るように塗布を充実できるため、ねじの緩み防止およびシール性の向上の目的で塗布する場合に、その目的を確実に達成できるとともに、その塗布加工を自動的且つ能率的に施すことができ、しかも、へら装置を設けたので、均等塗布および充実塗布が確実となる。
【0024】
さらに、回転保持装置の手前に待機装置を設け、また、テーブルの上にガイドレールを設置し、それに移動可能に結合する前部台と後部台に主な装置を設けたので、加工速度を上げるのに適し、加えて、後部台にスライダーを組み込むことにより、その双方の相対的動きによるへら装置におけるへらの逃し機構を構成したから、へらに妨げられることなく、ねじのクランプおよびその解除をなし得るという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ねじのゆるみ止め液塗布装置のほゞ全体の側面断面図である。
【図2】 シュートに設けられる待機装置および回転保持装置を示す正面から見た断面説明図である。
【図3】 待機装置におけるシュートの上から見た縦方向の断面図である。
【図4】 へら装置の正面から見た説明図である。
【図5】 ねじの塗布加工箇所を拡大して示す断面図である。
【図6】 ノズルの昇降の機構を示す説明図である。
【符号の説明】
2 ゆるみ止め液
3 シュート
5 待機装置
7 回転保持装置
9 回転駆動装置
11 回転受け
15 へら装置
16 ガイドレール
35 前部台
36 後部台
40 シリンダー
43 シリンダー
49 ノズル
50 へら
51 ばね
53 レバー
S ねじ
T テーブル
Claims (1)
- 主体的なテーブルの上において、その上に設けたシュートの下端部に、ねじを連続して止めるとともに下方へ一個ずつ落とす待機装置と、待機装置から送られるねじを回転可能に受ける回転保持装置とを設け、回転保持装置を挟む前側にねじを頭部で回転する回転駆動装置を、後側にそのねじの先を芯出して止める回転受けとをそれぞれ設けることにより、両方でねじをクランプして回転するように構成し、さらに、回転しているねじにゆるみ止め液を塗布可能にノズルを備える一方、ねじの塗布されたゆるみ止め液を均一にするへら装置を、そのへらがばねの弾力でねじと擦れるように備えたねじのゆるみ止め液塗布装置であって、テーブルの上にガイドレールを設置するとともに、ガイドレールに回転駆動装置を装備する前部台と、回転受けおよびへら装置を装備する後部台とをシリンダーの力で移動可能に結合し、その移動によりねじの前記クランプおよびその解除をなし得るように構成し、さらに、後部台にその移動方向を同じくするスライダーを一定範囲で移動可能に組み込み、その後部台の移動につき、スライダーに該移動のための前記シリンダーを連結し、へらを逃すレバーを後部台に軸支し、そのレバーの基端をスライダーに係合させることにより、前記ばねの弾力に抗してなすへらの逃し機構を構成したことを特徴とするねじのゆるみ止め液塗布装置。
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