JP3840969B2 - 多芯ケーブルの端末処理方法及び端末処理済み多芯ケーブル - Google Patents

多芯ケーブルの端末処理方法及び端末処理済み多芯ケーブル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多芯ケーブルの端末処理方法及び端末処理済み多芯ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な多芯ケーブルの端末処理方法としては、圧接や圧着等のコネクタ接続、基板への半田接続等が挙げられる。これらの接続方法は、ノイズ対策としてシールドを施す等の付加機能を設けることはあっても、導体間の遅延時間差(Skew)については考慮されていない。このため導体間の遅延時間差は多芯ケーブルの性能にのみ左右される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の通信機器や情報処理装置の高速伝送化に伴い、接続に用いられる多芯ケーブルについて、導体間の遅延時間差を極力小さくすることが要求されている。遅延時間差による誤動作や動作不安定等を防止するためである。
【0004】
しかしながら、多芯ケーブルの製造条件の安定による小遅延時間差化にはある程度限界があり、さらなる小遅延時間差化に対応できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、導体間の遅延時間差が極めて小さい多芯ケーブルの端末処理方法及び端末処理済み多芯ケーブルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の多芯ケーブルの端末処理方法は、複数のケーブルをフラットに整列させ、両面を粘着テープで貼り合わせて多芯ケーブルを形成し、その多芯ケーブルの両端末の被覆を除去して導体を露出させ、多芯ケーブルの一方の端末の各導体をベタパッド付のプリント基板のベタパッドに一括接続し、各導体ごとに接続されたパッドが形成されるように、プリント基板のベタパッドを切断加工した後、各導体間の遅延時間差を測定し、多芯ケーブルの他方の端末の各導体をベタパッド付の他のプリント基板のベタパッドに一括接続し、測定結果に基づいて各導体間の遅延時間差がなくなるように他のプリント基板のベタパッドをトリミング及び切断加工を施して遅延時間差調整部とパッドとを各導体ごとに形成するものである。
【0007】
本発明の多芯ケーブルの端末処理方法は、多芯ケーブルの両端末の被覆を除去して導体をそれぞれ露出させ、多芯ケーブルの一方の端末の各導体をベタパッド付のプリント基板のベタパッドに一括接続し、各導体ごとに接続されたパッドが形成されるように、プリント基板のベタパッドを切断加工した後、各導体間の遅延時間差を測定し、多芯ケーブルの他方の端末の各導体をベタパッド付の他のプリント基板のベタパッドに一括接続し、測定結果に基づいて各導体間の遅延時間差がなくなるように他のプリント基板のベタパッドをトリミング及び切断加工を施して遅延時間差調整部とパッドとを各導体ごとに形成するものである。
【0008】
本発明の端末処理済み多芯ケーブルは、多芯ケーブルと、多芯ケーブルの両端末の各導体ごとに接続されたパッドを有する一対のプリント基板と、いずれか一方のプリント基板の各パッドと各導体との間に、各導体間の遅延時間差をなくすための遅延時間差調整部が設けられているものである。
【0009】
本発明によれば、多芯ケーブルの導体とプリント基板のパッドとの間に各導体間の遅延時間差を調整するための遅延時間差調整部を設けるので、導体間の遅延時間差が極めて小さい多芯ケーブルの端末処理方法及び端末処理済み多芯ケーブルの提供を実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0011】
図1(a)〜(d)は本発明の多芯ケーブルの端末処理方法の一実施の形態を示す工程図である。
【0012】
複数(図では4本であるが限定されない。)のケーブル1を粘着テープ2に並列に貼り付け(整列フラット化)、ケーブル1を挟むように粘着テープ3を貼り付けて多芯ケーブル4を形成する。多芯ケーブル4の両端末の被覆を除去して各導体5をそれぞれ露出させる(図1(a))。
【0013】
この多芯ケーブル4の一方(図では左側)の端末の各導体5をベタパッド付フレキシブルプリント基板(以下「FPC」という。)6のベタパッド7に導体5の向きを揃えずに不整線の状態で半田8を用いて一括接続する(図1(b))。
【0014】
導体5が一括接続されたFPC6のベタパッド7を、図示しないレーザ若しくは切断金型を用いて導体5及び半田8ごと切断して不要個所(右下がり斜線部9)を除去することにより、直線状のパッド10が形成され、半製品が得られる(図1(c))。
【0015】
この半製品について各導体5間の遅延時間差を測定する。測定後、端末処理されていない他方(図では右側)の端末の各導体5を他のFPC11のベタパッド12に導体5の向きを揃えずに不整線(図では整線となっている。)の状態で一括接続する。測定結果に基づいて各導体5間の遅延時間差がなくなるようにFPC11のベタパッド12をレーザ光照射によりトリミングして不要個所(右下がり斜線部14)を除去して折線状若しくは曲線状の遅延時間差調整部13と直線状のパッド15とを各導体5ごとに形成することにより、遅延時間差が極めて小さい端末処理済み多芯ケーブルの完成品が得られる(図1(d))。
【0016】
なお、本実施の形態では複数のディスクリートケーブルを用いた場合で説明したが、本発明はこれに限定されず、複数対のツイストペアケーブルやフラットケーブルや同軸ケーブルに適用してもよい。また、端末処理済み多芯ケーブルの接続先はPCB(Printed Circuit Board:プリント基板)やコネクタであってもよい。ベタパッドの切断加工は、レーザ加工機、切断用金型、研磨機等を用いてもよい。導体のベタパッドへの接続方法は、半田付けの他熱圧着、溶接等を用いてもよい。さらに、本実施の形態ではベタパッドに導体のピッチを揃えずに不整線の状態で一括接続したが、本発明はこれに限定されず、ピッチを揃えた整線の状態で一括接続してもよい。さらに、本実施の形態ではフレキシブルプリント基板を用いた場合で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、通常のプリント基板や両面基板や多層基板を用いてもよい。
【0017】
次に具体的な数値を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
【実施例】
(実施例1)
導体(コア)5が40AWG(American Wire Gauge:外径約0.09mm)の錫メッキ銅合金線、絶縁体が厚さ0.08mm(外径0.25mm)のPFA(四フッ化エチレンパーフロロプロピルビニルエーテル共重合体)からなるディスクリートケーブルワイヤ1を、ピッチP1=0.5mmでフラットに整列し、両側から粘着テープ2、3で挟むように貼り合わせて固定する。このテープ状の多芯ケーブル4を長さL1(例えば400mm)に切断する。多芯ケーブル4の両端から各々長さL2=2mmの位置にCO2レーザ光を照射してスリットを形成し、粘着テープ2、3とケーブル1の絶縁体とを一括して剥離し、導体5を露出させる(図1(a))。
【0019】
次に露出した導体5を図示しない半田バスに浸漬し、導体5に予備半田を施す。多芯ケーブル4の一端の導体5を不整線のまま一括接続可能なベタパッド付FPCに一括半田付けを行う(図1(b))。
【0020】
レーザ光を照射して半田8をピッチP1=0.5mm、幅W1=0.3mm、パッド間隔S1=0.2mmになるように切断して半製品を形成する(図1(c))。
【0021】
半製品について遅延時間を測定する。測定後、端末処理されていない方の端末について、前述と同様にFPC11に一括半田付けを行う。測定結果に基づいて、遅延時間の大きい導体5は遅延時間の小さい導体5より電気長が長くなり、かつパッド15のピッチP2=0.5mm、幅W2=0.3mm、パッド間隔S2=0.2mmとなるように切断パターン(遅延時間差調整部)13を決定し、レーザ光照射により切断する。このような切断パターンにより遅延時間を調整して、遅延時間差を小さくした端末処理済み多芯ケーブルの完成品が得られる。なお、遅延時間差調整部の形状は図では鋸波状、U字形状、V字形状となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、正弦波状、矩形波状のいずれであってもよい(図1(d))。
【0022】
(実施例2)
内部導体(以下「コア」という。)5が28AWG(外径約0.38mm)の錫メッキ軟銅線で、絶縁体が厚さ0.10mm(外径約0.58mm)のPVC(ポリ塩化ビフェニール)からなる10対シールドケーブルにおいて、ケーブルを加工長L1=900mmに切断後、内部導体5のピッチが0.8mmとなるようにフラットに整列し、両側から熱融着テープ2、3で挟むように貼り合わせて固定する。
【0023】
固定後、両端末から長さL2=5mmの位置にてストリップ刃を入れストリップし、内部導体5を露出させる(図1(a))。
【0024】
内部導体5を露出させた後、実施例1と同様に予備半田を行い、一方の端末の内部導体5にFPC6の一括半田接続を行う(図1(b))。
【0025】
レーザ光照射を行い、ピッチP1=0.8mm、幅W1=0.4mm、パッド間隔S1=0.4mmになるように切断して半製品を形成する(図1(c))。
実施例1と同様に半製品の遅延時間を測定し、他方の端末の内部導体5に一括半田接続し、切断パターン13を決定した後、切断作業を行うことにより端末処理済み多芯ケーブルの完成品が得られる(図1(d))。
【0026】
実施例1の効果を表1に示し、実施例2の効果を表2に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003840969
【0028】
【表2】
Figure 0003840969
【0029】
両表より、遅延時間差を小さくすることができ、導体間の遅延時間差が極めて小さい端末処理済み多芯ケーブルが得られることが分かる。
【0030】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、導体間の遅延時間差が極めて小さい多芯ケーブルの端末処理方法及び端末処理済み多芯ケーブルの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は本発明の多芯ケーブルの端末処理方法の一実施の形態を示す工程図である。
【符号の説明】
1 ケーブル
2、3 粘着テープ(熱融着テープ)
4 多芯ケーブル
5 導体(コア、内部導体)
6、11 ベタパッド付フレキシブルプリント基板(FPC)
8 半田
10、15 パッド
13 遅延時間差調整部(切断パターン)

Claims (2)

  1. 複数のケーブルをフラットに整列させ、両面を粘着テープで貼り合わせて多芯ケーブルを形成し、その多芯ケーブルの両端末の被覆を除去して導体を露出させ、該多芯ケーブルの一方の端末の各導体をベタパッド付のプリント基板のベタパッドに一括接続し、各導体ごとに接続されたパッドが形成されるように、上記プリント基板のベタパッドを切断加工した後、各導体間の遅延時間差を測定し、上記多芯ケーブルの他方の端末の各導体をベタパッド付の他のプリント基板のベタパッドに一括接続し、測定結果に基づいて各導体間の遅延時間差がなくなるように他のプリント基板のベタパッドをトリミング及び切断加工を施して遅延時間差調整部とパッドとを各導体ごとに形成することを特徴とする多芯ケーブルの端末処理方法。
  2. 多芯ケーブルの両端末の被覆を除去して導体をそれぞれ露出させ、該多芯ケーブルの一方の端末の各導体をベタパッド付のプリント基板のベタパッドに一括接続し、各導体ごとに接続されたパッドが形成されるように、上記プリント基板のベタパッドを切断加工した後、各導体間の遅延時間差を測定し、上記多芯ケーブルの他方の端末の各導体をベタパッド付の他のプリント基板のベタパッドに一括接続し、測定結果に基づいて各導体間の遅延時間差がなくなるように他のプリント基板のベタパッドをトリミング及び切断加工を施して遅延時間差調整部とパッドとを各導体ごとに形成することを特徴とする多芯ケーブルの端末処理方法。
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