JP3839789B2 - 歯型成形方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、鍛造用素材に加圧力を付与することにより歯型を成形することが可能な歯型成形方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、ワークの内部に予め形成された完全な歯型形状となっていない未処理の内歯をサイジングすることにより、前記ワークの内歯を所望の形状および寸法に矯正する歯型成形装置が利用されている。
【0003】
前記歯型成形装置は、軸線方向に沿って上昇可能に設けられる下パンチと、軸線方向の沿って降下可能に設けられる上パンチと、前記未処理の内歯を矯正するための歯型矯正面、歯元矯正面、歯先矯正面が外周面にそれぞれ形成された第1〜第3コアロッドが下パンチの内部に軸線方向に沿って一直線上に位置するように設けられている。
【0004】
そして、前記ワークの内部に形成された未処理の内歯が、上パンチによる押圧作用下に前記第1〜第2コアロッドに順次圧入されることにより前記未処理の内歯が段階的に矯正され、所望の寸法に矯正された歯が形成されたワークが得られる。
【0005】
詳細には、前記ワークの内部に形成された未処理の内歯に、第1コアロッドの外周面に形成される歯元矯正面が圧入されることにより歯元面が形成され、第2コアロッドの外周面に形成される歯形矯正面に圧入されることにより歯形面が形成されるとともに、第3コアロッドの外周面に形成される歯先矯正面に圧入されることにより歯先面が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−212208号公報(第3頁右欄〜第4頁左欄)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来技術に係る歯型成形装置においては、上パンチによる押圧作用下にワークを第1〜第3コアロッドに順次圧入させて下方へと変位させた際、前記ワークの未処理の内歯の内部の肉が軸線方向に沿って上方へと塑性流動し、前記未処理の内歯を矯正することにより形成されたワークの歯の内径寸法にばらつきが生じる。詳細には、歯の内径形状は、その軸線方向に沿った上方に向かって徐々に縮径するテーパ状となる。そのため、ワークの歯の内径寸法の精度が低下するという懸念がある。
【0008】
また、歯の矯正を行う際には、ワークの内部に未処理の内歯を予め形成しておく必要があるため、別個の鍛造装置等によってワークの内部に前記未処理の内歯を形成した後に、歯を矯正するために前記ワークを歯型成形装置へと搬送する必要があり、その搬送作業が煩雑である。
【0009】
本発明は、前記の不具合を考慮してなされたものであり、鍛造成形によりワークの孔部に対してスプライン溝を成形するとともに、前記孔部の寸法精度を確保することが可能な歯型成形方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、パンチにワークの孔部を挿通させ、ボディの内部に前記ワークを装填する工程と、
駆動部によって駆動する第1金型部の押圧作用下に前記ワークの孔部を前記パンチのスプライン部に圧入させ、前記ワークの孔部の内周面の肉を塑性流動させてスプライン溝を成形する工程と、
前記ワークの内周側の端面が、第1金型部の変位方向に対して第2金型部の上面で係止された状態において、前記第1金型部によって前記ワークに付勢される加圧力を任意に調整し、前記ワークの周縁部を押圧して前記ワークにモーメント力を生じさせることにより、前記スプライン溝の成形された前記孔部の内径が、前記第1金型部と前記第2金型部側において上方に向かって縮径したテーパ状から軸線と略平行な略同一直径となるように矯正する工程と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、パンチに挿通されたワークの孔部を、第1金型部の押圧作用下に前記パンチのスプライン部へと圧入することにより、前記ワークの孔部にスプライン溝を簡便に成形することができ、ワークの孔部にスプライン溝が成形された後、前記ワークの内周側の端面を第2金型部の上面で係止した状態で、前記ワークの周縁部を第1金型部によって第2金型部の方向に向かって加圧力を付与して押圧することにより、前記孔部の内径を第1金型部と第2金型側において略同一径となるように矯正することができる。従って、製造工程を短縮するとともに、前記孔部にスプライン溝が成形された後においても、前記孔部の内径寸法を高精度に維持することができる。
【0012】
また、本発明は、駆動部と、
前記駆動部の駆動作用下に軸線方向に沿って変位する第1金型部と、
ボディ部の内部の前記第1金型部に対峙する位置に配設され、軸線方向に沿って変位する前記ワークの内周側の端面を保持する第2金型部と、
前記ボディ部の内部に配設され、外周面にスプライン溝が形成されるスプライン部を有するパンチと、
前記ボディ部の内部に設けられ、孔部を介して前記パンチに挿通された前記ワークが装填される装填部と、
前記第1金型部に設けられ、前記ワークの周縁部と対向し、前記ワークに向かって突出した突出部と、
を備え、
前記ワークの内周側の端面が第2金型部によって保持された状態において、前記駆動部の駆動作用下に前記第1金型部の突出部が、前記ワークにおける内周側の端面を支点として周縁部を第2金型部の方向に向かって押圧することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、パンチの外周面にスプライン溝が形成されたスプライン部を設け、ボディ部の装填部において前記パンチに挿通されたワークを第1金型部の押圧作用下にスプライン部へと圧入することにより、前記ワークの孔部にスプライン溝を簡便に成形することができ、ワークの孔部にスプライン溝が成形された後、前記ワークの内周側の端面を第2金型部で保持した状態で、前記ワークの周縁部と対向して前記ワークに向かって突出した前記第1金型部の突出部によって前記周縁部を前記第2金型部の方向に向かってさらに押圧することにより、孔部の内径を略同一径となるように矯正することができる。
【0014】
従って、製造工程を短縮するとともに、前記孔部にスプライン溝が成形された後、前記孔部の内径寸法を高精度に維持することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る歯型成形装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る歯型成形装置を示す。
【0018】
歯型成形装置10は、ボディ部12と、図示しない駆動源の加圧作用下に軸線方向に変位する駆動部14と、鍛造成形されるワーク16が内部に載置される金型部18と、前記ボディ部12の軸線方向に沿って変位自在に設けられ、前記ワーク16を押圧するワーク押出し機構20とを備える。
【0019】
ボディ部12は、基台22の上面に装着されるプレート状の第1基部24と、該第1基部24の上部に装着され、後述するパンチ40を保持するプレート状のパンチホルダ26と、該パンチホルダ26の上部に装着される第2基部28と、前記第1基部24、パンチホルダ26、第2基部28の外周側に設けられ、それぞれを一体的に保持する固定部材30と、前記第2基部28の上部に係合される環状のアウターリング32とからなる。
【0020】
第1基部24の略中央部には貫通孔34が形成され、前記貫通孔34の内部には下方より長尺状のシャフト36が軸線方向に沿って挿通自在に設けられている。
【0021】
また、パンチホルダ26の内部には、下方に向かって拡径した係合孔38が略中央部に形成され、前記係合孔38の内部には長尺状のパンチ40の半径外方向に拡径した一端部が係合されている。前記パンチ40の下端面は、第1基部24の上面に当接するように設けられている。すなわち、パンチ40は、パンチホルダ26の係合孔38と第1基部24の上面との間に挟持されている状態にある。
【0022】
そして、パンチホルダ26の内部には、前記係合孔38より半径外方向に所定間隔離間して挿通孔42が形成され、前記挿通孔42は係合孔38を中心として周方向に所定角度離間して複数形成されている。なお、前記挿通孔42は、軸線方向に沿って形成されるとともに、第1基部24の貫通孔34と連通している。
【0023】
前記係合孔38に係合されるパンチ40は、拡径して形成された一端部の上部に軸部44が形成される。前記軸部44は、下端部側に後述する第2下型54の軸線方向に沿った変位をガイドするガイド部46と、前記ガイド部46の上部に軸線方向に沿ってスプライン溝47が延在するスプライン部48と、前記スプライン部48の上部に形成される大径部49と、前記大径部49の上部に形成される小径部50とを有する。なお、前記軸部44の直径は、図2に示されるように、ガイド部46の直径A、スプライン部48の直径B、大径部49の直径C、小径部50の直径Dの順番に小さくなるように形成される(A>B>C>D)とともに、小径部50の直径Dは、該小径部50に挿入されるワーク16の孔部51の内径と略同等となるように形成されている。
【0024】
また、スプライン部48の軸線方向に沿った長さは、ワーク16の孔部51の軸線方向に沿った長さと略同等もしくは若干大きく形成される。
【0025】
第2基部28の略中央部には、前記金型部18の一部である第1下型52および第2下型(第2金型部)54が装着されている。そして、第2基部28の内周面には、半径外方向に所定深さだけ窪んだ溝部が形成され、前記溝部に第1下型52の半径外方向に突出した凸部56が係合される。
【0026】
アウターリング32の外周側に形成される段部58には、係合部材60が係合し、前記係合部材60は固定部材30の上面に図示しないボルトを介して一体的に固定されている。そのため、固定部材30および係合部材60によって第1基部24、パンチホルダ26、第2基部28およびアウターリング32が基台22に対して一体的に固定されている。
【0027】
また、アウターリング32の内周面は、前記アウターリング32の内部に装填されるワーク16の外周面と略同一径となるように形成されている。
【0028】
さらに、アウターリング32と、第1下型52および第2下型54の上面とによって囲繞される装填部66には、ワーク16となる鍛造成形品(例えば、ミッションギヤ)が装填される。ワーク16の孔部51の内径は、パンチ40の小径部50の直径Dと略同等であるとともに、ワーク16の外周径は、アウターリング32の内径と略同等となっている。
【0029】
駆動部14は、図示しない電源から図示しない駆動源に電流が供給されることにより軸線方向に沿って加圧力が付与されるプレート部材68と、前記プレート部材68の下面に図示しないボルトを介して一体的に連結された接続部材70とからなる。
【0030】
前記接続部材70の内部には、金型部18の一部である上型(第1金型部)72が下方に向かって突出するように係合されている。
【0031】
すなわち、図示しない駆動源の加圧作用下にプレート部材68、接続部材70および上型72が軸線方向に沿って一体的に変位する。
【0032】
金型部18は、第2基部28の内部に配設される第1および第2下型52、54と、接続部材70の下部に一体的に設けられる上型72とからなる。
【0033】
第1下型52は、その外周面が第2基部28の内周面に当接するように配設され、その外周面より半径外方向に突出した凸部56が、第2基部28の前記凸部56に対応するように窪んだ溝部に係合される。そして、第1下型52の上部には、その内周面から上方に向かって所定角度傾斜した第1傾斜面74が形成されている。
【0034】
また、第1下型52の内周側には、第2下型54が軸線方向に沿って変位自在に設けられており、第2下型54の下部は半径外方向に拡径している。そして、第2下型54の内周面がパンチ40のガイド部46の外周面に沿って軸線方向に摺動するとともに、第2下型54の外周面が第1下型52の内周面に沿って軸線方向に摺動する。
【0035】
第2下型54の下部には、その外周面から下方に向かって所定角度傾斜した第2傾斜面76が形成されている。第2傾斜面76と第1下型52の第1傾斜面74とは、シャフト36の変位作用下に第2下型54が上方に変位した際、互いに当接するように略同一角度に形成されている。
【0036】
すなわち、第2下型54の上方への変位作用下に第2傾斜面76が第1傾斜面74に当接し、第2下型54の上方への変位が係止される。そのため、第2下型54がさらに上方に変位することが規制される。
【0037】
なお、第1および第2下型52、54は、前記第1および第2下型52、54の下面がパンチホルダ26の上面に当接した状態において、軸線方向に沿って略同一の長さとなるように形成されている。
【0038】
また、接続部材70の下方に係合される上型72は、下方に突出するように設けられ、前記上型72の下端面の外周側には、下方に向かって所定長だけ突出した突出部78が形成されている。
【0039】
前記上型72の略中央部には、軸線方向に沿って貫通孔80が形成され、前記上型72の変位作用下に貫通孔80の内部にパンチ40の小径部50が挿通される。なお、前記貫通孔80の直径は、パンチ40の外周径よりも大きく形成されている。
【0040】
ワーク押出し機構20は、第1基部24の貫通孔34の内部に挿通されるシャフト36と、前記シャフト36の半径外方向に拡径した一端部に上方に向かって複数設けられる押出しピン82とからなる。
【0041】
前記押出しピン82は、貫通孔34を介してパンチホルダ26に形成される挿通孔42に変位自在に挿入され、押出しピン82の上面は、常に第2下型54の下面に当接するように設けられている。
【0042】
本発明の実施の形態に係る歯型成形装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0043】
まず、予め所望の形状(例えば、ミッションギヤ)に鍛造成形されたワーク16の孔部51の内周面にスプライン溝84(歯型)を成形する方法について説明する。なお、駆動部14が上方に変位し、それに伴って上型72が上方に変位した状態を初期位置(図2参照)として説明する。
【0044】
図2に示されるように、初期位置においてワーク16となる鍛造用素材の孔部51をパンチ40の小径部50に挿通させる。その際、前記小径部50の下部に形成される大径部49の直径Cが、ワーク16が挿通された小径部50の直径Dより大きく形成されているため、パンチ40の小径部50に挿通された前記ワーク16は、その下部に形成された大径部49によって下方への変位が規制された状態となる。そのため、ワーク16は、大径部49の上方で小径部50に挿入された状態で係止される。
【0045】
次に、図示しない電源から図示しない駆動源に電流が供給されることにより、図1に示されるように、前記駆動源の加圧作用下に前記プレート部材68と接続部材70とが一体的に軸線方向に沿って下方(矢印X1方向)に変位する。そして、図3に示されるように、上型72の突出部78がワーク16の外周側の上面(周縁部)に当接し、さらに前記駆動部14(図1参照)が下方へと付勢されると、前記ワーク16が上型72の突出部78を介して下方に押圧され、軸線方向に沿って下方(矢印X1方向)へと変位する。
【0046】
その際、ワーク16の孔部51は、前記駆動部14の駆動作用下に小径部50の下方に形成された大径部49へと挿通されて拡径される。
【0047】
そして、駆動部14による駆動作用下にさらに上型72が下方へと変位すると、ワーク16が上型72の突出部78を介して下方に押圧されて軸線方向に沿って変位し、前記ワーク16の孔部51が、大径部49の下方に形成されたスプライン部48に挿入される。なお、ワーク16の孔部51よりスプライン部48のスプライン溝47の内周側の直径の方が大きく形成されているため、前記孔部51がスプライン部48に軽圧入された状態となる(図4参照)。
【0048】
その際、ワーク16の孔部51の肉が、スプライン部48のスプライン溝47によって前記ワーク16の変位方向に沿って下方から上方へと押し出されることにより塑性流動し、ワーク16の孔部51の内周面にスプライン溝84(歯型)が成形される(図6参照)。
【0049】
そして、ワーク16の内周側の下面(端面)86が、第2下型54の上面に当接することによりワーク16の変位が停止して変位終端位置となり、ワーク16の孔部51の内周面にスプライン溝84を成形する工程が完了する(図4参照)。
【0050】
一方、ワーク16の孔部51にスプライン溝84が成形される際、パンチ40のスプライン溝47によって前記孔部51の肉が下方から上方へと塑性流動するため、孔部51の内径は、前記孔部51の軸線方向に沿った上部と下部との間でばらつきが生じる。
【0051】
詳細には、ワーク16の孔部51は、その下方から上方側へと塑性流動して押し出された肉によって、前記孔部51の下方から上方に向かって徐々に前記孔部51の内径が小さくなる(図7参照)。換言すると、スプライン溝84が成形された孔部51の内周面は、その上方に向かって徐々に縮径するテーパ状となる。
【0052】
次に、スプライン溝84を成形することによりテーパ状となったワーク16の孔部51を、その内径が略同一直径となるように矯正する方法について説明する。
【0053】
まず、図7に示されるように、ワーク16の孔部51の内周面にスプライン溝84が成形された後、図示しない駆動源の加圧作用下に上型72をさらに下方(矢印X1方向)へと変位させる。なお、その際、ワーク16の内周側の下面86が、第2下型54の上面によって保持されている状態とする。
【0054】
そして、上型72が下方へ変位した際、ワーク16の外周側が上型72の突出部78によって下方(矢印X1方向)へと押圧される。その際、ワーク16の内周側の下面86は、第2下型54によって保持されて軸線方向に沿った下方への変位が規制されている状態であるため、ワーク16の内周側を支点としてワーク16の外周側近傍が下方へと変位する方向にモーメント力が生じる(図8中、矢印E方向)。それと同時に、同様にワーク16に対して孔部51の軸線方向に沿った上部には、前記孔部51の対向するパンチ40の軸部44から離間する方向にモーメント力が生じる(図8中、矢印F方向)。
【0055】
その結果、上方に向かって縮径するテーパ状に形成された孔部51の内径が、軸線に略平行な略同一直径となるように矯正される。
【0056】
なお、前記孔部51の内径のばらつき量(テーパ状の孔部51の内周面の傾斜角度の大きさ)によって、図示しない駆動源の加圧作用下に上型72からワーク16に付勢される加圧力を任意に調整することにより、ワーク16に生じるモーメント力を調整することができる。すなわち、上型72からワーク16に付勢される加圧力を調整することにより、常に孔部51の内径を軸線に略平行な略同一直径となるように矯正することができる。
【0057】
最後に、スプライン部48によって孔部51にスプライン溝84が成形され、かつ前記孔部51の内径が略同一となるように矯正されたワーク16を取り出す際には、図示しない駆動源の加圧作用下にプレート部材68を上方に変位させることにより接続部材70および上型72を一体的に上方(矢印X2方向)へと変位させる(図5参照)。
【0058】
そして、第1基部24に挿通されるシャフト36を図示しない駆動源によって上方(矢印X2方向)へと変位させ、前記シャフト36の上部に設けられる押出しピン82でワーク16の内周側の下面86を上方(矢印X2方向)へと押圧する。
【0059】
その結果、ワーク16が上方(矢印X2方向)へと変位し、前記ワーク16を装填部66より簡便に取り出すことができる。
【0060】
なお、ワーク16の孔部にスプライン溝84が成形された後、前記スプライン溝84には、前記スプライン溝84の近傍の強度向上を目的として高温にて熱処理が施される。その際、前記熱処理によって熱歪みが生じるため孔部51の内径に寸法差が生じる。
【0061】
その場合においても、前記熱歪みの影響によって生じる孔部51の内径変化を予め考慮して前記内径を矯正しておくことにより、熱処理が施された後においても孔部51の内径を所望の寸法に高精度に維持することができる。
【0062】
以上のように、本実施の形態では、パンチ40の外周面にスプライン溝47が形成されたスプライン部48を設け、前記パンチ40に挿通されるワーク16を上型72の押圧作用下にスプライン部48へと軽圧入することにより、ワーク16の孔部51にスプライン溝84を簡便に成形することができる。換言すると、パンチ40にスプライン部48を設けるのみで簡便にスプライン溝84を成形することができる。
【0063】
また、鍛造成形によってワーク16の孔部51にスプライン溝84が成形された後、前記孔部51の内部の肉が軸線方向に沿った下方から上方に向かって塑性流動するため孔部51の内径にばらつきが生じる。詳細には、孔部51は下方から上方に向かって縮径するテーパ状となる。
【0064】
その際、第2下型54の上面でワーク16の内周側の下面86を保持した状態で、上型72の突出部78によってワーク16の外周側を上方から押圧することにより、ワーク16の内周側の下面86を支点として下方へと変位するモーメントが生じるため、孔部51の上方がパンチ40の小径部50より離間する方向に変位し、孔部51の内径を略同一の直径に矯正することができる。
【0065】
その結果、製造工程が短縮され、それに伴ってコストを低減することができる。また、スプライン溝84が成形される際に生じる孔部51の内径のばらつきを簡便に矯正することができるため、孔部51の内径寸法を高精度に維持することができる。
【0066】
さらに、この歯型成形装置10は、ワーク16の孔部51にスプライン溝84を成形する工程と、ワーク16にスプライン溝84を形成する際に生じた孔部51の内径のばらつきを矯正する工程とを兼ね備えているため、その工程毎にワーク16を搬送するという煩雑な作業が不要となる。そのため、製造作業をより一層効率的に行うことができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0068】
すなわち、パンチに挿通されるワークを第1金型部の押圧作用下にスプライン部へと圧入することにより、前記ワークの孔部にスプライン溝を簡便に成形し、ワークの孔部にスプライン溝が成形された後に、ワークの周縁部と対向して前記ワークに向かって突出した第1金型部の突出部によって前記周縁部を第2金型部の方向に向かってさらに押圧して前記孔部の内径が略同一径となるように矯正することにより、製造工程を短縮することができるとともに、前記孔部の内径を略同一直径として前記内径寸法を高精度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る歯型成形装置を示す縦断面図である。
【図2】歯型成形装置の駆動部が上方に変位し、ワークがパンチの小径部に挿通された状態を示す縦断面動作説明図である。
【図3】歯型成形装置の駆動部が下方に変位してワークの上面に当接し、パンチの大径部にワークが挿通された状態を示す縦断面動作説明図である。
【図4】歯型成形装置の駆動部が下方に変位してワークを下方へと押圧し、ワークがスプライン部に軽圧入されてワークの孔部にスプライン溝が成形された状態を示す縦断面動作説明図である。
【図5】歯型成形装置のワークの孔部にスプライン溝が成形された後、ワークが装填部より押出しピンによって上方に押し出された状態を示す縦断面動作説明図である。
【図6】孔部にスプライン溝が成形されたワークの斜視図である。
【図7】ワークに対してスプライン部が軽圧入された状態を示す部分拡大縦断面図である。
【図8】ワークにスプライン溝が成形された後、上型の押圧作用下にワークが矯正された状態を示す部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
10…歯型成形装置 12…ボディ部
14…駆動部 16…ワーク
18…金型部 20…ワーク押出し機構
24…第1基部 26…パンチホルダ
28…第2基部 32…アウターリング
36…シャフト 40…パンチ
46…ガイド部 48…スプライン部
50…小径部 52…第1下型
54…第2下型 72…上型
78…突出部 82…押出しピン
Claims (2)
- パンチにワークの孔部を挿通させ、ボディの内部に前記ワークを装填する工程と、
駆動部によって駆動する第1金型部の押圧作用下に前記ワークの孔部を前記パンチのスプライン部に圧入させ、前記ワークの孔部の内周面の肉を塑性流動させてスプライン溝を成形する工程と、
前記ワークの内周側の端面が、第1金型部の変位方向に対して第2金型部の上面で係止された状態において、前記第1金型部によって前記ワークに付勢される加圧力を任意に調整し、前記ワークの周縁部を押圧して前記ワークにモーメント力を生じさせることにより、前記スプライン溝の成形された前記孔部の内径が、前記第1金型部と前記第2金型部側において上方に向かって縮径したテーパ状から軸線と略平行な略同一直径となるように矯正する工程と、
を有することを特徴とする歯型成形方法。 - 駆動部と、
前記駆動部の駆動作用下に軸線方向に沿って変位する第1金型部と、
ボディ部の内部の前記第1金型部に対峙する位置に配設され、軸線方向に沿って変位する前記ワークの内周側の端面を保持する第2金型部と、
前記ボディ部の内部に配設され、外周面にスプライン溝が形成されるスプライン部を有するパンチと、
前記ボディ部の内部に設けられ、孔部を介して前記パンチに挿通された前記ワークが装填される装填部と、
前記第1金型部に設けられ、前記ワークの周縁部と対向し、前記ワークに向かって突出した突出部と、
を備え、
前記ワークの内周側の端面が第2金型部によって保持された状態において、前記駆動部の駆動作用下に前記第1金型部の突出部が、前記ワークにおける内周側の端面を支点として周縁部を第2金型部の方向に向かって押圧することを特徴とする歯型成形装置。
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