JP3839104B2 - 円形物の画像読取装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨等の円形物に照明光を照射して、その反射光を受光して画像を読取る装置に関するものであり、例えば、画像処理による硬貨判別等に利用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像読取装置等において硬貨の反射光による画像を読取る装置のセンサ取り付けは、無調整なので装置毎に取り付けばらつきがあり、図7(A)及び (B)に示すように、画像読取エリア20a(破線枠内)における画像有効エリア部20b(斜線部)の範囲が装置毎に異なる。例えば、図7(A)の例では読取画像の32CHが、搬送路2と硬貨片寄せ側の幅規制ガイド2Aとの境界に位置するチャンネル(以下、「片寄せ側境界チャンネル」とする)HLEとなっており、図7(B)では20CHが片寄せ側境界チャンネルHLEとなっている。そのため、読取画像から硬貨6の位置を検出する際、搬送路幅方向に関して読取画像エリア20aの全範囲、つまり0CHから255CHまでをエッジ検索し、図7(A)では32回、図7(B)では20回検索して片寄せ側の硬貨エッジを見つけている。そして、もう一方の硬貨エッジを255CHから逆に検索し、2つのエッジの中点を搬送路幅方向の硬貨中心位置としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した硬貨画像の読取装置では、取得画像のエッジ検出範囲が広く、図7中の幅規制ガイド2Aの部分のように本来無効である範囲まで検索するため検索処理時間がかかるという問題点があった。また、本来無効である範囲まで検索するので、硬貨が通過しない搬送路の外側のノイズをエッジとして検出してしまうという問題点もあった。
【0004】
本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、取得画像の画像有効エリアのチャンネルが装置によってばらつかず、円形物のエッジ検索の際、画像有効範囲のみエッジ検索し、検索時間の短縮を図ると共に、無効範囲のノイズをエッジとして検出しないようにした円形物の画像読取装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、搬送路を搬送する円形物の表面に照明光を照射し、前記円形物からの反射光による画像を読取り、画像データを記憶させるようにした円形物の画像読取装置に関するものであり、本発明の上記目的は、前記円形物に照明光を照射する照明手段と、前記照明手段により照明された前記円形物の画像を画像読取センサにより読取る画像読取手段と、前記画像読取センサの各出力チャンネルから出力される画像情報の前記搬送路の幅方向における読取画像位置を調整値に基づいて調整する画像位置調整手段と、前記画像位置調整手段からの画像データを記憶する画像記憶手段とを具備し、且つ、前記読取画像位置を調整する保守モードと前記円形物を識別する運用モードとを備え、前記保守モードでは、前記画像読取センサにより読取った画像情報に基づいて前記搬送路の一方の幅規制ガイドと前記搬送路との境界を画像有効エリアの一方の境界として検出し、該境界に位置すべき前記画像読取センサの基準境界チャンネルの位置と前記画像有効エリアの境界とのずれを調整する値を前記調整値として設定し、前記運用モードでは、前記調整値に基づいて前記画像位置調整手段により、前記読取画像位置を調整後の画像データを、前記基準境界チャンネルの位置と前記画像有効エリアの一方の境界とが一致するように前記画像記憶手段に記憶させ、該円形物の画像データから前記円形物の中心位置を求めるためのエッジ検索を行うときに、前記基準境界チャンネル及び前記搬送路の幅を隔てたもう一方の境界チャンネルの2つの固定チャンネル位置からエッジ検索することにより前記円形物の両端のエッジを検出可能とすることによって達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の画像読取装置の構成例をブロック図で示しており、所定の搬送路を搬送される硬貨は、照明手段10によって照明光が表面に照射され、硬貨面からの反射光による画像が画像読取手段20によって読取られて、その画像情報VINが画像位置調整手段30に入力されるようになっている。画像位置調整手段30は、画像読取センサの取付けばらつき等に伴う読取画像エリアの基準位置からのずれ(誤差)を補正するための手段であり、画像読取手段20で読取った画像情報VINの取込開始位置を調整値VR2に基づいて調整し、画像位置調整後の画像データ、すなわち上記のずれを補正した画像データVCDを出力して画像記憶部40に記憶させる。上記調整値VR2の値は、モード設定手段60により設定した制御モードが読取画像位置調整モードのときに制御部50によって決定され、調整値記憶部70に記憶されると共に画像位置調整手段30に設定されるようになっており、調整値記憶部70に調整値VR2が無ければ基準調整値VR1が設定される。
【0007】
制御部50は、運用モードや保守モードなどの各制御モードに応じて装置の動作を制御する。制御部50では、モード設定手段60により保守モードのサブモードが読取画像位置調整モードに設定されているときに、画像記憶部40から画像データVCDを読み出し、画像有効エリアの境界を検索して基準境界位置との誤差を検出し、検出した誤差に基づいて調整値VR2を決定する。本例では、境界検出用部材として反射板を搬送路にセットし、その画像データを読み出して反射板と幅規制ガイドとの境界を検索し、検索した境界に位置するチャンネルとその境界に位置すべき基準のチャンネルとの差から上記の誤差を検出するようにしている。そして、決定した調整値VR2を調整値記憶部70に書込むと共に、画像位置調整手段30に送出して調整値VR2を設定する。
【0008】
一方、制御モードが運用モードのときには、搬送硬貨の画像情報VINを画像位置調整手段30を介して取込み、画像位置調整後の画像データVCDを画像記憶部40から読込む。そして、画像有効エリアの範囲を画像処理の対象として硬貨のエッジを検索し、画像データVCDから硬貨パターンデータを取り出し、予め金種判定基準記憶部80に用意している金種毎の基準パターンRPDと比較して類似度を判定し、金種を決定する。なお、画像位置調整手段30は電子回路で構成されており、以下、画像位置調整回路30と称して説明する。
【0009】
次に、画像読取装置の一構成例を示して、読取画像位置を調整する際の制御と計数処理時の制御について、それぞれ詳細に説明する。図2は、画像読取装置を搬送路幅方向に切り、搬送方向から見た断面図である。図2の画像読取装置において、硬貨は搬送ベルト3と搬送路(ガラス板等の透明部材)2に挟まれた状態で、搬送路2を滑りながら搬送ベルト3で搬送され、搬送路2の一方の幅規制ガイド(片寄せ側)2Aに沿つて画像読取装置1を通過するよう、図示しない寄せ機構で制御されている。照明手段10は搬送路2の下方に硬貨表面を斜め下方から照明するための複数の照明用LED11がリング状に配置されたものであり、画像読取手段20は硬貨表面からの反射光を捉えるレンズ21と硬貨画像を読取るエリア型CCD22から成っている。また、画像読取タイミングを検出するためのタイミングセンサ5の設置位置は、図3に示すように、対象となる最大径の硬貨6が遮光した時点で画像を読取れば、硬貨全体が画像読取エリア20a内に存在する位置としている。
【0010】
上述のような構成において、読取画像位置を調整する際の制御例を説明する。まず、画像読取装置1を保守モードにして電源投入する。電源投入後、画像位置調整回路30を設定する調整値VR2が調整値記憶部70に無ければ基準調整値VR1で設定し、調整値VR2があれば調整値VR2で設定し、照明用LED11を点灯する。次に、図2に示すように画像読取装置1の搬送路2上に搬送路幅一杯の反射板4をセットし、図示しないモード設定スイッチを操作し、装置の制御モードを読取画像位置調整モードにセットする。
【0011】
以下、図4のフローチャートに沿つて調整値決定処理を説明する。制御部50は、照明用LED11によって照明されている反射板4の画像をエリア型CCD22で読取り(ステップS1)、電源投入時に上記調整値が設定された画像位置調整回路30を介して読取画像位置を調整し(ステップS2)、画像記憶部40に読取画像データVCDを記憶させる(ステップS3)。次に、画像記憶部40から読取画像データVCDを読み出し、反射板4と幅規制ガイド2Aの境界、つまり、画像有効エリア20bの境界チャンネルHLEを検出する。検出するのは、本例では硬貨を片寄せしている側の画像有効エリアの境界としている(ステップS4)。次に、検出した境界のチャンネルHLEが、基準の“k”CH(本例では、基準境界チャンネルk=28)になるように調整値VR2を決定し(ステップS5)、決定した調整値VR2を調整値記憶部70へ記憶させ(ステップS6)、決定した調整値VR2で画像位置調整回路30を再設定し(ステップS7)、読取画像位置調整モードにおける処理を終了する。
【0012】
例えば、境界チャンネルHLEを28CHとしたときの基準調整値VR1を128としている場合、ステップS4で検出した境界チャンネルHLEが32CHであった場合には、下記の数1により調整値VR2を124(128+(28−32))として画像位置調整回路30を設定する。
【0013】
【数1】
VR2=VR1+(HLEr−HLEd)
但し、HLErは画像読取エリアにおける基準の境界チャンネル番号、HLEdは検出した境界チャンネル番号。
【0014】
画像位置調整回路30では、ビデオ入力される画像の取込タイミングを調整値VR2により設定し、境界チャンネルHLEを基準の28CHに合わせる。つまり、図6に示すタイミングチャートのように、エリア型CCD22からのビデオ入力信号VINと水平同期信号HDを入力し、画像取込信号PTにより画像情報の取込開始位置を調整値VR2で調整して取込む。これにより、図3に示すように、境界チャンネルHLEと基準の28CHとが常に一致した画像読取エリア20aの画像データが取込まれることになる。なお、上記ステップS4で硬貨を片寄せしている側の画像有効エリアの境界チャンネルHLEのみ検出するのは、硬貨搬送路幅は所定幅であるので、もう一方の境界チャンネルHREを検出しなくても、そのチャンネルは決定できるからである。
【0015】
次に、画像読取装置の計数処理時の制御例を説明する。まず、画像読取装置1を運用モードにして電源投入する。電源投入後、画像位置調整回路30を調整値で設定し、照明用LED11を点灯する。次に、計数開始釦を操作して計数処理モードに入る。以下、図5の計数処理のフローチャートに沿って説明する。計数開始が指示されると、搬送されてくる硬貨6によってタイミングセンサ5が遮光されるかを監視し(ステップS11)、遮光されると画像読取タイミングと判断して、照明用LED11によって照明されている硬貨6の画像をエリア型CCD22で読取り(ステップS12)、電源投入時に設定された画像位置調整回路30を介して読取画像位置を調整し(ステップS13)、画像記憶部40に読取画像データVCDを記憶させる(ステップS14)。
【0016】
続いて、画像記憶部40から画像データVCDを読み出し、硬貨位置を認識するために硬貨のエッジを検索する(ステップS15)。この時、画像記憶部40から読み出した画像データは、図3に示すように、画像位置調整回路30で片寄せ側境界チャンネルHLEを28CHに調整しているので、28CHからもう一方の境界チャンネルHREの227CHまでの画像有効エリア20bを検索すれば良く、どの装置においても固定範囲を検索すれば良い。例えば、寄せ機構では硬貨6を一方の幅規制ガイド2Aヘ片寄せして搬送するが、硬貨のエッジが幅規制ガイド2Aから少し離れた3OCHにあった場合、28CHから硬貨エッジを検索するので3回の検索で見つかり、検索回数が少ないので検索時間が短縮され、また、画像有効範囲のみ検索するので幅規制ガイド2A上の硬貨粉等をエッジとすることがない。もう一方の硬貨エッジは、境界チャンネルHREの227CHから検索する。
【0017】
次に、ステップS15で検索した2つの硬貨エッジの中点を搬送路幅方向の硬貨中心位置とし、搬送方向についても硬貨の中心を求める(ステップS16)。そして、硬貨の中心位置を基準として、画像データVCDから硬貨パターンデータを取り出し、予め金種判定基準記憶部80に用意している金種毎の基準パターンRPDと比較して類似度を判定し、金種を決定する(ステップS17)。硬貨1枚分の処理が終了すると、計数終了か否かを判断し(ステップS18)、計数中の時はステップS11へ戻り、計数終了時は計数処理を終了する。
【0018】
なお、上述した実施例では搬送路幅一杯の反射板4を置いて搬送路2の片寄せ側の画像位置を調整する例を示したが、片寄せ側でない方の画像位置で調整するようにしても良い。また、反射板4は搬送路2の片寄せ側に沿つて置けば、搬送路幅一杯の幅のものでなくても良い。また、搬送方向の反射板4の長さについては、例えば搬送路幅にするなど、適宜決めればよい。また、実施例では硬貨を例として説明したが、ゲームコイン等の円形物にも本発明を適用できる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、取得画像の位置を調整しているので、装置毎の取得画像位置にばらつきが無くなり、取得画像のエッジ検索開始位置を装置によらず固定でき、検索回数が少なくなるので検索時間が短縮される。また、搬送路幅の範囲のみエッジ検索するので、搬送路外にたまっている硬貨粉等のノイズの影響を受けなくなり、円形物の位置を正確に認識できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像読取装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】画像読取装置を搬送路幅方向に切り、搬送方向から見た断面図である。
【図3】読取位置調整後の画像読取装置で読取った画像例を示す図である。
【図4】画像読取装置の画像位置調整時の動作例を示すフローチャートである。
【図5】画像読取装置の計数処理時の動作例を示すフローチャートである。
【図6】画像位置調整回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図7】従来の画像読取装置で読取った画像例、又は、本発明による読取位置調整前の画像例を示す図である。
【符号の説明】
1 画像読取装置
2 搬送路
2A 幅規制ガイド
3 搬送ベルト
4 反射板
5 タイミングセンサ
6 硬貨
10 照明手段
11 照明用LED
20 画像読取手段
20a 画像読取エリア
21 レンズ
22 エリア型CCD
30 画像位置調整手段
40 画像記憶部
50 制御部
60 モード設定手段
70 調整値記憶部
80 金種判定基準記憶部

Claims (1)

  1. 搬送路を搬送する円形物の表面に照明光を照射し、前記円形物からの反射光による画像を読取り、画像データを記憶させるようにした円形物の画像読取装置において、
    前記円形物に照明光を照射する照明手段と、前記照明手段により照明された前記円形物の画像を画像読取センサにより読取る画像読取手段と、前記画像読取センサの各出力チャンネルから出力される画像情報の前記搬送路の幅方向における読取画像位置を調整値に基づいて調整する画像位置調整手段と、前記画像位置調整手段からの画像データを記憶する画像記憶手段とを具備し、
    且つ、前記読取画像位置を調整する保守モードと前記円形物を識別する運用モードとを備え、
    前記保守モードでは、前記画像読取センサにより読取った画像情報に基づいて前記搬送路の一方の幅規制ガイドと前記搬送路との境界を画像有効エリアの一方の境界として検出し、該境界に位置すべき前記画像読取センサの基準境界チャンネルの位置と前記画像有効エリアの境界とのずれを調整する値を前記調整値として設定し、
    前記運用モードでは、前記調整値に基づいて前記画像位置調整手段により、前記読取画像位置を調整後の画像データを、前記基準境界チャンネルの位置と前記画像有効エリアの一方の境界とが一致するように前記画像記憶手段に記憶させ、該円形物の画像データから前記円形物の中心位置を求めるためのエッジ検索を行うときに、前記基準境界チャンネル及び前記搬送路の幅を隔てたもう一方の境界チャンネルの2つの固定チャンネル位置からエッジ検索することにより前記円形物の両端のエッジを検出可能としたことを特徴とする円形物の画像読取装置。
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