JP3838839B2 - 運動変換装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転運動から直線運動へ、又は直線運動から回転運動への運動変換のために用いられる運動変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータ等の回転駆動源の回転運動を直線運動に変換するための運動変換装置、又はこれとは逆の運動変換を行わせるための運動変換装置が、種々の産業分野において用いられている。例えば、ステアリング操作に応じて操舵補助用のモータを駆動し、このモータの回転力を舵取機構に伝えて操舵補助を行わせる構成とした電動式の動力舵取装置においては、操向車輪(一般的には左右の前輪)に連結された舵取り軸(ラック・ピニオン式舵取機構におけるラック軸等)に前記モータの回転を伝え、前記舵取り軸の軸長方向の移動に変換すべく前述した運動変換装置が用いられている。
【0003】
このように動力舵取装置において用いられる運動変換装置は、舵取機構周辺の限られたスペースに操舵補助用のモータを含めて配設し得るように、コンパクトな構成であることが要求され、また小型のモータにより可及的に大なる操舵補助力が得られるように、高い伝動効率を有することが要求され、更には、車室の内部での静粛性を阻害しないように、運動変換に伴って発生する音が小さいことが要求されており、これらの要求に併せて応え得る運動変換装置の一つとして、本願出願人によるWO(PCT国際出願)98/38072号公報に開示された運動変換装置がある。
【0004】
この装置は、軸長方向への移動自在に支持されたねじ軸の外側に同軸上での回転自在に支持された保持筒と、この保持筒の内部に軸心を傾斜させて偏心保持され、周方向の一か所にて前記ねじ軸の周面に係合させてある複数の送りリングとを備えて構成されている。なお前記送りリングとしては、前記保持筒に嵌着固定された外輪と、前記ねじ軸の外周に係合する内輪との間に、ボール、コロ等の多数の転動体を備えた転がり軸受が用いられており、また前記ねじ軸の外周には、所要のストローク長に亘ってねじ溝が形成され、前記送りリングは、その内輪に周設された係合突起を前記ねじ溝に嵌め込んで係合されている。
【0005】
この構成によれば前記保持筒が軸回りに回転した場合、該保持筒に保持された送りリングが前記ねじ軸外周のねじ溝との係合を保って転動し、前記ねじ軸は、各送りリングの係合部に夫々の傾斜に沿って作用する摩擦力の軸方向分力により軸長方向に移動せしめられることとなり、保持筒の回転運動がねじ軸の直線運動に変換される。
【0006】
このとき、各送りリングの転動は、内輪と外輪との間に介在するボール、コロ等の転動体を介して生じるから、前述した運動変換は高い伝動効率にてなされ、また前記転動体は、内輪と外輪との間に相互間の位置を変えることなく保持されているから、転動体同士の衝突音が発生せず、静粛性を高めることができ、更に前記保持筒は、その内側に複数の送りリング(軸受)を保持させただけの簡素な構成であり、前述した要求に応え得るものとなっている。
【0007】
なお以上の如き運動変換装置は、ねじ軸の回転運動を保持筒の直線運動に変換する用途、更には、ねじ軸又は保持筒の直線運動を、保持筒又はねじ軸の回転運動に変換する用途においても用いることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
さて、以上の如く構成された運動変換装置において、前述した動作を安定して行わせるには、保持筒に保持された複数個の送りリングとねじ軸外周のねじ溝との係合状態が良好に保たれていることが重要であり、このためには、3個以上、より望ましくは4個以上送りリングを備える必要がある。
【0009】
図5は、4個の送りリングを備える運動変換装置の構成を模式的に示す側面図である。図中2は、その外周に半円形断面を有するねじ溝20が形成されたねじ軸であり、同じくAは、前記ねじ軸2の外側を同軸的に囲繞するように支持された保持筒であって、該保持筒Aの内部には4個の送りリングR1 〜R4 が、図中に破線により示す如く、前記ねじ溝20のリード角に対応する傾斜を有して保持され、夫々の傾斜が一致した周方向位置にて前記ねじ溝20に係合させてある。
【0010】
ここで前記4個の送りリングR1 〜R4 の内、両側の2個R1 ,R4 は、前記保持筒Aの両端面に円形の開口を有して形成された各別の凹所A1 ,A4 内に嵌め込み固定して取付けられているが、中央の2個R2 ,R3 は、同様の取付けが不可能であることから、以下の如くに取付けられている。
【0011】
図6は、送りリングR2 の取付け態様の説明図であり、図5のVI−VI線による保持筒Aの横断面が示されている。図示の如く保持筒Aの送りリングR2 の取付け位置には、該送りリングR2 の外径に対応する半円形の底面を有し、前記保持筒Aの周面に送りリングR2 の側断面に対応する矩形をなして開口する凹所A2 が形成されており、前記送りリングR2 は、図6(a)中に矢符にて示す如く、保持筒Aの外側から前記開口を経て凹所A2 に押し込まれ、図6(b)に示す如く、内奥側の外周を凹所A2 の底面に突き当てた状態に取付けられており、この状態で保持筒Aの内側に挿通されるねじ軸2に対し、前記底面と同側の係合位置a2 にて係合せしめられている。
【0012】
ところが、以上の如く取付けられた送りリングR1 〜R4 は、保持筒Aの軸長方向に対する夫々の位置が固定的に定められており、取付け後における相互間の位置調整が困難であることから、全ての送りリングR1 〜R4 をねじ軸2の外周に形成されたねじ溝20に良好に係合させるために、各送りリングR1 〜R4 の取付け部の加工に高い精度が要求されるという問題がある。
【0013】
特に、前記凹所A2 に取付けられる送りリングR2 及び同様の凹所に取付けられる送りリングR3 については、前記位置調整が実質的に不可能である上、前記凹所A2 の加工、及び送りリングR3 の取付け部となる同様の凹所の加工は、回転筒Aの周面の開口を経て行われる特殊な加工であるため、十分な加工精度が得られず、全ての送りリングR1 〜R4 の係合状態を良好に保ち、前述した運動変換を安定して行わせることは難しい。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、保持筒に保持された複数の送りリングの軸長方向への位置調整を可能とし、ねじ軸外周のねじ溝に対して全ての送りリングを良好に係合させて所望の運動変換を安定して行わせることができ、更に、このための加工及び組立てが容易な運動変換装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る運動変換装置は、外周面にねじ溝が形成されたねじ軸と、該ねじ軸の外側に同軸的に配された保持筒と、該保持筒の内部に前記ねじ溝のリード角と略等しい角度傾斜した軸心を有して偏心保持され、周方向の一か所にて前記ねじ溝に係合する複数の送りリングとを備える運動変換装置において、前記保持筒は、前記ねじ溝との係合位置が異なる複数個の送りリングをその内部に保持する内筒と、複数の前記内筒をその内部に同軸的に保持する外筒とを具備することを特徴とする。
【0016】
本発明においては、各複数個の送りリングを保持する複数の内筒と、これらを同軸的に保持する外筒とを備えて保持筒を構成し、外筒の内部において内筒を軸長方向に位置調整することにより、夫々の送りリングとねじ軸外周のねじ溝との間に良好な係合状態を実現する。
【0017】
また本発明の第2発明に係る運動変換装置は、前記複数の内筒の夫々に保持された複数個の送りリングの係合位置が、前記ねじ軸の半径方向に対向する位置に設定してあり、前記夫々の内筒に保持された送りリングの係合位置が、前記ねじ軸の周方向にずらせて設定してあることを特徴とする。
【0018】
この発明においては、ねじ軸外周のねじ溝への送りリングの係合位置を、複数の内筒の夫々に保持された送りリングを組とし、夫々の組内では半径方向に対向する位置に設定し、夫々の組間では周方向にずらせた位置に設定して、これらによりねじ軸を安定して支持し、該ねじ軸外周のねじ溝と各送りリングとの間の良好な係合状態を維持する。
【0019】
また本発明の第3発明に係る運動変換装置は、前記内筒が、その両端面に夫々の開口を有して形成された凹所内に各1個の送りリングを嵌着保持する構成としてあることを特徴とする。
【0020】
この発明においては、夫々の内筒に保持させる送りリングを2個とし、これらを、内筒の両端面に開口を有して高精度に形成し得る凹所内に各1個保持させ、ねじ軸外周のねじ溝に対して良好に係合させる。
【0021】
また本発明の第4発明に係る運動変換装置は、前記外筒の内部での複数の内筒の保持位置を、軸長方向に各別に変更する手段を備えることを特徴とする。
【0022】
この発明においては、外筒内部での内筒の保持を、例えば、外筒の内面に形成されたねじ部と内筒の外面に形成されたねじ部とを螺合せしめて実現し、両ねじ部の螺進により、外筒内での内筒の位置を軸長方向に変更可能とし、夫々の内筒に保持された送りリングとねじ軸外周のねじ溝との係合状態を調整する。
【0023】
また本発明の第5発明に係る運動変換装置は、前記外筒に保持された複数の内筒が同一形状をなして構成してあることを特徴とする。
【0024】
この発明においては、同一形状をなす複数の内筒を外筒内に保持させて保持筒を構成し、構成の簡素化を図り、組立てを容易化する。
【0025】
更に本発明の第6発明に係る運動変換装置は、前記送りリングが、前記内筒に嵌着固定された外輪と、前記ねじ溝に係合する内輪とを備える転がり軸受により構成してあることを特徴とする。
【0026】
この発明においては、ねじ軸に係合する送りリングとして、玉軸受、コロ軸受等の転がり軸受を用い、動作音が小さく静粛な動作が可能な運動変換装置を簡素に構成する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る運動変換装置の構成を示す側断面図である。図示の運動変換装置は、図5に示す運動変換装置と同様、軸長方向への移動自在に支持され、外周面に半円形断面を有するねじ溝20が形成されたねじ軸2と、該ねじ軸2の外側を囲繞し、同軸上での回転自在に支持された保持筒1と、該保持筒1の内部に偏心保持され、前記ねじ溝20に係合する複数個(図においては4個)の送りリングR1 〜R4 とを備えて構成されている。
【0028】
ねじ軸2外周のねじ溝20は、保持筒1の内側部分を含む所定の長さに亘って形成されている。また前記送りリングR1 〜R4 は、前記ねじ溝20のリード角に対応する傾斜を有して保持筒1の内部に偏心保持させてあり、傾斜角度が整合する周方向の一か所において前記ねじ溝20に係合させてある。
【0029】
以上の如く構成された運動変換装置において、前記保持筒1が軸回りに回転した場合、該保持筒1に保持された送りリングR1 〜R4 が、ねじ軸2外周のねじ溝20との係合を保って転動し、この転動によりねじ軸2には、前記ねじ溝20に沿った摩擦力が加わり、該ねじ軸2は、前記摩擦力の軸方向分力により押圧されて軸長方向に移動せしめられる。この移動の方向は、保持筒1の回転方向に応じて定まり、保持筒1の回転運動からねじ軸2の直線運動への運動変換がなされる。一方、ねじ軸2が軸長方向に移動せしめられた場合には、逆方向の伝動により保持筒1が軸回りに回転せしめられることとなり、ねじ軸2の直線運動から保持筒1の回転運動への運動変換がなされる。
【0030】
更に、保持筒1を軸長方向への移動自在に支持し、ねじ軸2を軸回りの回転自在に支持した構成においては、ねじ軸2の回転運動から保持筒1の直線運動への運動変換、又は保持筒1の直線運動からねじ軸2の回転運動への運動変換を夫々行わせることができる。
【0031】
以上の運動変換を安定して行わせるためには、前記送りリングR1 〜R4 の夫々が、ねじ軸2外周のねじ溝20に対して常に良好な係合状態を保つことが重要である。本発明においては、前記送りリングR1 〜R4 を保持する保持筒1が、長寸円筒形の外筒10と、この外筒10の内部に同軸的に並べて保持された複数(図においては2つ)の内筒11,12とを備えて構成されており、この構成により前記係合状態の適正化が図れるようにしてある。
【0032】
図1において外筒10は、その中途部を内輪として一体形成された4点接触玉軸受Bにより、筒形をなす伝動ハウジングHの内部に回転自在に支持されており、その内面には、長手方向の略中央に突設された所定幅の止め縁 10aを余してねじ部が形成されている。また内筒11,12は、その外面に形成されたねじ部を外筒10内面の前記ねじ部に螺合させ、これらのねじ部の螺進により軸方向位置を適宜に変更可能に外筒10内に保持させてあり、4個の送りリングR1 〜R4 は、一方の内筒11に2個(R1 ,R2 )が、他方の内筒12に残りの2個(R3 ,R4 )が、夫々逆向きの傾斜を有して保持されている。
【0033】
図2は、内筒11における送りリングR1 ,R2 の取付け態様の説明図である。本図に示す如く内筒11には、前記送りリングR1 ,R2 の外径に対応する円形断面をなす凹所13,14が、軸心に対して逆向きに略等しい角度だけ傾斜し、両端面に開口する態様に形成してあり、前記送りリングR1 ,R2 は、図2(a)中に矢符により示す如く、前記両端面の開口を経て対応する凹所13,14に夫々圧入され、図2(b)に示す如く、夫々の凹所13,14の底面に一側を突き当て、各凹所13,14の内面に係着された止め輪15,15により抜け止めして取付けられている。
【0034】
このように送りリングR1 ,R2 を保持した内筒11の外筒10への取付けは、外筒10の内部に一方の開口から内筒11を螺合し、該内筒11の内奥側の端面を前記止め縁 10aにスペーサ環17を介して突き当て、同じく他側の端面に、外筒10の同側の開口部に螺合する止めナット18を締め付けてなされている。
【0035】
残りの2個の送りリングR3 ,R4 の他方の内筒12への取付けも全く同様になされ、また、このように送りリングR3 ,R4 を保持した内筒12の外筒10への取付けは、外筒10の他方の開口から、前記内筒11の場合と同様になされている。
【0036】
以上の如く外筒10内に取付けられる2つの内筒11,12は、図1に示す如く、各2個の送りリングR1 ,R2 又はR3 ,R4 の装着用の凹所13,14の形成態様を含めて同一の形状をなす部品であり、前記保持筒1は、これらの内筒11,12を外筒10内に螺合し、略 180°位相をずらせた位置に固定して構成されている。従って、部品点数の削減による構成の簡素化が図れ、また組立てに際し、外筒10内への内筒11,12の組み付け順に配慮する必要がなく、組立てを容易化することが可能となる。
【0037】
また、保持筒1に保持された送りリングR1 〜R4 は、外輪と内輪との間に多数のボールを保持する玉軸受であり、各送りリングR1 〜R4 の内輪の内周面には、ねじ軸2外周のねじ溝20の断面に対応する半円形の係合突起が周設されており、夫々の係合位置a1 〜a4 でのねじ溝20への係合は、前記係合突起を介してなされている。また、前記内筒11,12は、前記スペーサ環17の厚さを調整することにより、外筒10の内部での軸長方向位置を適宜に変えることが可能である。
【0038】
従って、前記送りリングR1 〜R4 の係合位置a1 〜a4 は、一方の内筒11に保持された送りリングR1 ,R2 を第1の組とし、また内筒12に保持された送りリングR3 ,R4 を第2の組として、組毎に軸長方向に調整することができ、この位置調整により各係合位置a1 〜a4 での係合状態を適正化することが可能である。
【0039】
また、送りリングR1 ,R2 の装着部となる前記凹所13,14は、内筒11の軸心に対して逆向きの傾斜を有しており、これらに保持された第1の組の送りリングR1 ,R2 の係合位置a1 ,a2 は、図1に示す如く、半径方向に対向する位置となる。図中の係合位置a1 ,a2 は、図の正面側にあるものを○により、背面側にあるものを●により夫々示してある。他方の内筒12に保持された第2の組の送りリングR3 ,R4 の係合位置a3 ,a4 についても同様に、半径方向に対向する位置となるが、これらは、前記a1 ,a2 に対して周方向に所定角度だけずれた位置となるようにしてある。
【0040】
これによりねじ軸2は、周方向に異なる4か所の係合位置a1 〜a4 にて支持されたこととなり、ねじ軸2に対して種々の方向に外力が作用する使用条件下においても安定した支持が可能となる。また前記係合位置a1 〜a4 は、周方向に対向する位置にある2組(a1 ,a2 及びa3 ,a4 )により構成され、これらが、内筒11,12の軸長方向の位置調整により組単位にて調整可能であるから、各係合位置a1 〜a4 での送りリングR1 〜R4 の係合状態を常に良好に保つことができ、前述した運動変換を安定して行わせることができる。
【0041】
また、送りリングR1 〜R4 は、外輪と内輪との間に多数のボールを備える玉軸受であり、前述の如く保持筒1の内筒11,12への嵌め込みにより固定された簡素な構成である上、前記各ボールは、相互間の位置を変えることなく転動し、衝突する虞れがないから、前述した運動変換に伴って発生する音を小さく抑え、静粛な動作を行わせることができる。
【0042】
また、前記送りリングR1 〜R4 を保持させるべく内筒11,12に形成された凹所13,14は、エンドミル等の汎用の工具を使用して、前記内筒11,12の両端面から容易に、しかも高精度に加工することができ、これらに保持される各2個の送りリングR1 ,R2 及びR3 ,R4 の位置(傾き角度、偏心量、軸方向位置等)を高精度に実現することができる。
【0043】
図3は、本発明に係る運動変換装置を備えた動力舵取装置の要部の構成を示す一部破断正面図であり、操舵補助用のモータ3の回転をねじ軸2としてのラック軸4に伝え、該ラック軸4を軸長方向に移動させるべく、図1に示す運動変換装置が用いられている。
【0044】
前記ラック軸4は、筒形をなすラックハウジング40の内部に軸長方向への移動自在に支承され、図示しない車体の左右方向に延設されており、ラックハウジング20の両側に夫々突出するラック軸4の両端は、各別のタイロッドを介して図示しない操向用車輪(一般的には左右の前輪)に連結されている。ラックハウジング40の中途部には、これと軸心を交叉させてピニオンハウジング41が連設され、該ピニオンハウジング41の内部には、その軸心回りでの回転自在にピニオン軸42が支承されている。図3においてピニオン軸42は、ピニオンハウジング41の上部への突出端のみが示してあり、この突出端を介して図示しない舵輪(ステアリングホィール)に連結され、舵取りのための舵輪の操作に応じて軸回りに回転するようになしてある。
【0045】
ピニオンハウジング41の内部に延設されたピニオン軸42の下部には、図示しないピニオンが一体的に形成してある。また、ラックハウジング40内に支承されたラック軸4には、ピニオンハウジング41との交叉位置を含めた適長に亘って、ラック歯43が形成され、ピニオン軸42の下部の前記ピニオンに噛合させてある。而して、舵輪の操作に伴うピニオン軸42の回転が、該ピニオン軸42下部のピニオン及びラック歯43の噛合によりラック軸4の軸長方向の移動に変換され、更に、ラックハウジング40内でのラック軸4の移動が、前記タイロッドを介して左右の操向用車輪に伝達され、これらが前記舵輪の操作に応じて操舵されるラック・ピニオン式の舵取り機構が構成されている。
【0046】
以上の如く行われる操舵を補助する操舵補助用のモータ3は、ラック軸4を囲繞するラックハウジング40の中途部を適長に亘って拡径して一体的に構成された円筒形のモータハウジング30の内部に、該モータハウジング30の内周面に固設されたステータ31と、該ステータ31の内側に同軸的に配されたロータ32とを備える3相ブラシレスモータとして構成されている。ロータ32は、ラック軸4の外径よりも大なる内径を有する円筒体の外周に、前記ステータ31の内面にわずかな隙間を有して対向する磁極33を保持して構成されており、左右一対の玉軸受34,35により、モータハウジング30の軸心回りに回転自在に支承され、前記ステータ31への通電に応じて正逆両方向に回転するようになしてある。
【0047】
以上の如く生じるモータ3の回転は、回転部材としてのロータ32の一側に構成された本発明に係る運動変換装置の動作により、前記ラック軸4の軸長方向の移動に変換されて伝達されるようにしてある。前記図1は、ラック軸4をねじ軸2に置き換えれば、以上の如き動力舵取装置における運動変換装置の構成部分近傍の拡大断面図となる。
【0048】
運動変換装置は、外筒10及び内筒11,12を備える保持筒1と、該保持筒1の内部に保持された4個の送りリングR1 〜R4 とを備えて前述の如く構成されている。保持筒1は、その中途部を内輪として一体形成された4点接触玉軸受Bにより、モータハウジング30を同側に延長して構成された伝動ハウジングHの内部に回転自在に支持され、また前記ロータ32の一側端部に連結ブラケット36(図3参照)を介して同軸的に連結されて、前記モータ3の回転に応じてラック軸4と同軸上にて回転するようになしてある。
【0049】
前記ラック軸4の外周には、図示の如く半円形の断面を有するねじ溝20が、前記保持筒1の内側を含む所定の長さ範囲に亘って形成されており、前記保持筒1の内筒10,11に前述の如く保持された送りリングR1 〜R4 は、内周面に周設された半円形の係合突起を介して前記ねじ溝20に係合させてある。
【0050】
以上の如く構成された動力舵取装置において、前記保持筒1は、前述した如く操舵補助用のモータ3の回転に応じて軸回りに回転し、この回転に伴って該保持筒1に保持された4個の送りリングR1 〜R4 が、夫々の内輪を係合させたラック軸4外周のねじ溝20に沿って転動する。この転動によりラック軸4には、各送りリングR1 〜R4 の係合位置a1 〜a4 に前記ねじ溝20に沿った摩擦力が加わり、該ラック軸4は、前記摩擦力の軸方向分力により押圧されて軸長方向に移動する。このように操舵補助用のモータ3の回転がラック軸4の軸長方向の移動に変換され、この移動が、図示しないタイロッドを介して左右の操向用車輪に伝達されることとなり、舵輪の操作に応じて前述の如く行われる操舵が、前記モータ3の発生力により補助される。
【0051】
このとき、操舵補助用のモータ3の回転をラック軸4の移動に変換すべく用いられている本発明に係る運動変換装置においては、外筒10の内部にて前述の如く行われる内筒11,12の位置調整により、ラック軸4外周のねじ溝20に対する4個の送りリングR1 〜R4 の係合状態が良好に保たれていることから、前記モータ3からラック軸4への伝動を確実に行なわせることができる。
【0052】
図4は、本発明に係る運動変換装置を備えた動力舵取装置の他の実施の形態を示す要部拡大断面図である。この動力舵取装置は、図3に示す動力舵取装置と同様、モータハウジング30の一側に延設された伝動ハウジングHの内部に、ロータ32からの伝動によりラック軸4と同軸上にて回転する回転筒1と、該回転筒1の内部に偏心保持された複数個(図においては4個)の送りリングR1 〜R4 とを備え、回転筒1の回転に伴う送りリングR1 〜R4 の回転をラック軸4の軸長方向の移動に変換する構成としてある。
【0053】
前記回転筒1は、各2個の送りリングR1 ,R2 及びR3 ,R4 を保持する内筒11,12を、外筒10内に取付けて構成されている。本図に示す運動変換装置の特徴は、前記外筒10が、ロータ32の一側(玉軸受35による支持側)を拡径して延長し、他側に開口を有して一体に構成されているところにある。
【0054】
前記内筒11,12は、送りリングR1 ,R2 及びR3 ,R4 の取付け部の構成を含めて、図2及び図3に示す内筒11,12と同一であり、これらは、夫々の外面に形成されたねじ部を外筒10の内面のねじ部に螺合させつつ、該外筒10の内部に挿入され、前記外筒10の開口部に螺合する止めナット18の締め付けにより、両内筒11,12間に介装されたスペーサ環 10bと共に、外筒10の底面との間に挾持固定されている。
【0055】
以上の如く外筒10内に取付けられた内筒11,12は、前記スペーサ環 10bの厚さを変えることにより、軸長方向の位置調整が可能であり、この調整により、前記内筒11,12内に保持された送りリングR1 〜R4 とラック軸4外周のねじ溝20との係合状態が良好となり、操舵補助用のモータ3からラック軸4への伝動を確実に行なわせることができる。またこの構成においては、回転筒1の外筒10が、操舵補助用のモータ3の筒形ロータ32の一側に一体構成されており、図3に示す構成と比較した場合、構成部品の数が少なくなり、構成の簡素化を図ることができる。
【0056】
なお以上の実施の形態においては、外筒10内部の2つの内筒11,12に各2個が保持された4個の送りリングR1 〜R4 を備える構成について述べたが 本発明に係る運動変換装置は、5個以上の送りリング及びこれらを保持する3つ以上の内筒を備えて構成することもできる。
【0057】
また図3及び図4においては、ラックピニオン式の動力舵取装置において、操舵補助用のモータ3からの伝動により、ねじ軸2としてのラック軸4を軸長方向に移動させる用途への適用例について述べたが、本発明に係る運動変換装置は、これに限らず、軸長方向への移動により舵取りを行わせる舵取り軸に操舵補助用のモータの回転を伝達する構成とした各種の形式の動力舵取装置に適用でき、更には、動力舵取装置に限らず、回転運動から直線運動への運動変換、又は直線運動から回転運動への運動変換が必要な伝動系の全般に適用可能であることは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る運動変換装置においては、ねじ軸外周のねじ溝に係合する送りリングを複数の内筒に各複数個保持させ、これらの内筒を外筒内に同軸的に保持させて保持筒を構成したから、外筒の内部での内筒の位置調節により、前記ねじ溝に対する各送りリングの係合状態を適正化することができ、保持筒の回転からねじ軸の軸長方向移動への運動変換、又はこれと逆の運動変換を安定して行わせることができる。
【0059】
また第2発明に係る運動変換装置においては、複数の内筒の夫々に保持された送りリングを組とし、ねじ軸外周のねじ溝へのこれらの係合位置を、夫々の組内では半径方向に対向する位置に、夫々の組間では周方向にずらせた位置に夫々設定したから、種々の方向に外力が作用する条件下においても各送りリングと舵取り軸外周のねじ溝との間に良好な係合状態を維持することができる。
【0060】
また第3発明に係る運動変換装置においては、内筒の両端面に夫々の開口を有して形成された凹所内に各1個の送りリングを嵌着保持する構成としたから、加工が容易な前記凹所への取付けにより各送りリングの位置精度を高め、ねじ軸外周のねじ溝に良好に係合させることができ、また前記加工に要する手間を削減することができる。
【0061】
また第4発明に係る運動変換装置においては、送りリングを保持する複数の内筒の外筒の内部での保持位置を調整可能としたから、ねじ軸外周のねじ溝と各送りリングとの係合状態を容易に適正化することができ、前記運動変換を安定して行わせることが可能となる。
【0062】
また第5発明に係る運動変換装置においては、複数の内筒を同一形状をなして構成したから、部品点数の削減により構成を簡素化することができ、また外筒への組み付けが誤りなく行え、組立てを容易化することができる。
【0063】
更に第6発明に係る運動変換装置においては、前記送りリングとして転がり軸受を用いたから、動作音が小さく静粛な運転が可能な運動変換装置を簡素に構成することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る運動変換装置の構成を示す側断面図である。
【図2】内筒への送りリングの取付け態様の説明図である。
【図3】図1に示す運動変換装置を備えた動力舵取装置の要部の構成を示す一部破断正面図である。
【図4】本発明に係る運動変換装置を備えた動力舵取装置の他の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図5】従来の運動変換装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図6】図5に示す運動変換装置における送りリングの取付け態様の説明図である。
【符号の説明】
1 保持筒
2 ねじ軸
3 モータ
4 ラック軸
10 外筒
11 内筒
12 内筒
20 ねじ溝
H 伝動ハウジング
R1 〜R4 送りリング
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転運動から直線運動へ、又は直線運動から回転運動への運動変換のために用いられる運動変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータ等の回転駆動源の回転運動を直線運動に変換するための運動変換装置、又はこれとは逆の運動変換を行わせるための運動変換装置が、種々の産業分野において用いられている。例えば、ステアリング操作に応じて操舵補助用のモータを駆動し、このモータの回転力を舵取機構に伝えて操舵補助を行わせる構成とした電動式の動力舵取装置においては、操向車輪(一般的には左右の前輪)に連結された舵取り軸(ラック・ピニオン式舵取機構におけるラック軸等)に前記モータの回転を伝え、前記舵取り軸の軸長方向の移動に変換すべく前述した運動変換装置が用いられている。
【0003】
このように動力舵取装置において用いられる運動変換装置は、舵取機構周辺の限られたスペースに操舵補助用のモータを含めて配設し得るように、コンパクトな構成であることが要求され、また小型のモータにより可及的に大なる操舵補助力が得られるように、高い伝動効率を有することが要求され、更には、車室の内部での静粛性を阻害しないように、運動変換に伴って発生する音が小さいことが要求されており、これらの要求に併せて応え得る運動変換装置の一つとして、本願出願人によるWO(PCT国際出願)98/38072号公報に開示された運動変換装置がある。
【0004】
この装置は、軸長方向への移動自在に支持されたねじ軸の外側に同軸上での回転自在に支持された保持筒と、この保持筒の内部に軸心を傾斜させて偏心保持され、周方向の一か所にて前記ねじ軸の周面に係合させてある複数の送りリングとを備えて構成されている。なお前記送りリングとしては、前記保持筒に嵌着固定された外輪と、前記ねじ軸の外周に係合する内輪との間に、ボール、コロ等の多数の転動体を備えた転がり軸受が用いられており、また前記ねじ軸の外周には、所要のストローク長に亘ってねじ溝が形成され、前記送りリングは、その内輪に周設された係合突起を前記ねじ溝に嵌め込んで係合されている。
【0005】
この構成によれば前記保持筒が軸回りに回転した場合、該保持筒に保持された送りリングが前記ねじ軸外周のねじ溝との係合を保って転動し、前記ねじ軸は、各送りリングの係合部に夫々の傾斜に沿って作用する摩擦力の軸方向分力により軸長方向に移動せしめられることとなり、保持筒の回転運動がねじ軸の直線運動に変換される。
【0006】
このとき、各送りリングの転動は、内輪と外輪との間に介在するボール、コロ等の転動体を介して生じるから、前述した運動変換は高い伝動効率にてなされ、また前記転動体は、内輪と外輪との間に相互間の位置を変えることなく保持されているから、転動体同士の衝突音が発生せず、静粛性を高めることができ、更に前記保持筒は、その内側に複数の送りリング(軸受)を保持させただけの簡素な構成であり、前述した要求に応え得るものとなっている。
【0007】
なお以上の如き運動変換装置は、ねじ軸の回転運動を保持筒の直線運動に変換する用途、更には、ねじ軸又は保持筒の直線運動を、保持筒又はねじ軸の回転運動に変換する用途においても用いることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
さて、以上の如く構成された運動変換装置において、前述した動作を安定して行わせるには、保持筒に保持された複数個の送りリングとねじ軸外周のねじ溝との係合状態が良好に保たれていることが重要であり、このためには、3個以上、より望ましくは4個以上送りリングを備える必要がある。
【0009】
図5は、4個の送りリングを備える運動変換装置の構成を模式的に示す側面図である。図中2は、その外周に半円形断面を有するねじ溝20が形成されたねじ軸であり、同じくAは、前記ねじ軸2の外側を同軸的に囲繞するように支持された保持筒であって、該保持筒Aの内部には4個の送りリングR1 〜R4 が、図中に破線により示す如く、前記ねじ溝20のリード角に対応する傾斜を有して保持され、夫々の傾斜が一致した周方向位置にて前記ねじ溝20に係合させてある。
【0010】
ここで前記4個の送りリングR1 〜R4 の内、両側の2個R1 ,R4 は、前記保持筒Aの両端面に円形の開口を有して形成された各別の凹所A1 ,A4 内に嵌め込み固定して取付けられているが、中央の2個R2 ,R3 は、同様の取付けが不可能であることから、以下の如くに取付けられている。
【0011】
図6は、送りリングR2 の取付け態様の説明図であり、図5のVI−VI線による保持筒Aの横断面が示されている。図示の如く保持筒Aの送りリングR2 の取付け位置には、該送りリングR2 の外径に対応する半円形の底面を有し、前記保持筒Aの周面に送りリングR2 の側断面に対応する矩形をなして開口する凹所A2 が形成されており、前記送りリングR2 は、図6(a)中に矢符にて示す如く、保持筒Aの外側から前記開口を経て凹所A2 に押し込まれ、図6(b)に示す如く、内奥側の外周を凹所A2 の底面に突き当てた状態に取付けられており、この状態で保持筒Aの内側に挿通されるねじ軸2に対し、前記底面と同側の係合位置a2 にて係合せしめられている。
【0012】
ところが、以上の如く取付けられた送りリングR1 〜R4 は、保持筒Aの軸長方向に対する夫々の位置が固定的に定められており、取付け後における相互間の位置調整が困難であることから、全ての送りリングR1 〜R4 をねじ軸2の外周に形成されたねじ溝20に良好に係合させるために、各送りリングR1 〜R4 の取付け部の加工に高い精度が要求されるという問題がある。
【0013】
特に、前記凹所A2 に取付けられる送りリングR2 及び同様の凹所に取付けられる送りリングR3 については、前記位置調整が実質的に不可能である上、前記凹所A2 の加工、及び送りリングR3 の取付け部となる同様の凹所の加工は、回転筒Aの周面の開口を経て行われる特殊な加工であるため、十分な加工精度が得られず、全ての送りリングR1 〜R4 の係合状態を良好に保ち、前述した運動変換を安定して行わせることは難しい。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、保持筒に保持された複数の送りリングの軸長方向への位置調整を可能とし、ねじ軸外周のねじ溝に対して全ての送りリングを良好に係合させて所望の運動変換を安定して行わせることができ、更に、このための加工及び組立てが容易な運動変換装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る運動変換装置は、外周面にねじ溝が形成されたねじ軸と、該ねじ軸の外側に同軸的に配された保持筒と、該保持筒の内部に前記ねじ溝のリード角と略等しい角度傾斜した軸心を有して偏心保持され、周方向の一か所にて前記ねじ溝に係合する複数の送りリングとを備える運動変換装置において、前記保持筒は、前記ねじ溝との係合位置が異なる複数個の送りリングをその内部に保持する内筒と、複数の前記内筒をその内部に同軸的に保持する外筒とを具備することを特徴とする。
【0016】
本発明においては、各複数個の送りリングを保持する複数の内筒と、これらを同軸的に保持する外筒とを備えて保持筒を構成し、外筒の内部において内筒を軸長方向に位置調整することにより、夫々の送りリングとねじ軸外周のねじ溝との間に良好な係合状態を実現する。
【0017】
また本発明の第2発明に係る運動変換装置は、前記複数の内筒の夫々に保持された複数個の送りリングの係合位置が、前記ねじ軸の半径方向に対向する位置に設定してあり、前記夫々の内筒に保持された送りリングの係合位置が、前記ねじ軸の周方向にずらせて設定してあることを特徴とする。
【0018】
この発明においては、ねじ軸外周のねじ溝への送りリングの係合位置を、複数の内筒の夫々に保持された送りリングを組とし、夫々の組内では半径方向に対向する位置に設定し、夫々の組間では周方向にずらせた位置に設定して、これらによりねじ軸を安定して支持し、該ねじ軸外周のねじ溝と各送りリングとの間の良好な係合状態を維持する。
【0019】
また本発明の第3発明に係る運動変換装置は、前記内筒が、その両端面に夫々の開口を有して形成された凹所内に各1個の送りリングを嵌着保持する構成としてあることを特徴とする。
【0020】
この発明においては、夫々の内筒に保持させる送りリングを2個とし、これらを、内筒の両端面に開口を有して高精度に形成し得る凹所内に各1個保持させ、ねじ軸外周のねじ溝に対して良好に係合させる。
【0021】
また本発明の第4発明に係る運動変換装置は、前記外筒の内部での複数の内筒の保持位置を、軸長方向に各別に変更する手段を備えることを特徴とする。
【0022】
この発明においては、外筒内部での内筒の保持を、例えば、外筒の内面に形成されたねじ部と内筒の外面に形成されたねじ部とを螺合せしめて実現し、両ねじ部の螺進により、外筒内での内筒の位置を軸長方向に変更可能とし、夫々の内筒に保持された送りリングとねじ軸外周のねじ溝との係合状態を調整する。
【0023】
また本発明の第5発明に係る運動変換装置は、前記外筒に保持された複数の内筒が同一形状をなして構成してあることを特徴とする。
【0024】
この発明においては、同一形状をなす複数の内筒を外筒内に保持させて保持筒を構成し、構成の簡素化を図り、組立てを容易化する。
【0025】
更に本発明の第6発明に係る運動変換装置は、前記送りリングが、前記内筒に嵌着固定された外輪と、前記ねじ溝に係合する内輪とを備える転がり軸受により構成してあることを特徴とする。
【0026】
この発明においては、ねじ軸に係合する送りリングとして、玉軸受、コロ軸受等の転がり軸受を用い、動作音が小さく静粛な動作が可能な運動変換装置を簡素に構成する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る運動変換装置の構成を示す側断面図である。図示の運動変換装置は、図5に示す運動変換装置と同様、軸長方向への移動自在に支持され、外周面に半円形断面を有するねじ溝20が形成されたねじ軸2と、該ねじ軸2の外側を囲繞し、同軸上での回転自在に支持された保持筒1と、該保持筒1の内部に偏心保持され、前記ねじ溝20に係合する複数個(図においては4個)の送りリングR1 〜R4 とを備えて構成されている。
【0028】
ねじ軸2外周のねじ溝20は、保持筒1の内側部分を含む所定の長さに亘って形成されている。また前記送りリングR1 〜R4 は、前記ねじ溝20のリード角に対応する傾斜を有して保持筒1の内部に偏心保持させてあり、傾斜角度が整合する周方向の一か所において前記ねじ溝20に係合させてある。
【0029】
以上の如く構成された運動変換装置において、前記保持筒1が軸回りに回転した場合、該保持筒1に保持された送りリングR1 〜R4 が、ねじ軸2外周のねじ溝20との係合を保って転動し、この転動によりねじ軸2には、前記ねじ溝20に沿った摩擦力が加わり、該ねじ軸2は、前記摩擦力の軸方向分力により押圧されて軸長方向に移動せしめられる。この移動の方向は、保持筒1の回転方向に応じて定まり、保持筒1の回転運動からねじ軸2の直線運動への運動変換がなされる。一方、ねじ軸2が軸長方向に移動せしめられた場合には、逆方向の伝動により保持筒1が軸回りに回転せしめられることとなり、ねじ軸2の直線運動から保持筒1の回転運動への運動変換がなされる。
【0030】
更に、保持筒1を軸長方向への移動自在に支持し、ねじ軸2を軸回りの回転自在に支持した構成においては、ねじ軸2の回転運動から保持筒1の直線運動への運動変換、又は保持筒1の直線運動からねじ軸2の回転運動への運動変換を夫々行わせることができる。
【0031】
以上の運動変換を安定して行わせるためには、前記送りリングR1 〜R4 の夫々が、ねじ軸2外周のねじ溝20に対して常に良好な係合状態を保つことが重要である。本発明においては、前記送りリングR1 〜R4 を保持する保持筒1が、長寸円筒形の外筒10と、この外筒10の内部に同軸的に並べて保持された複数(図においては2つ)の内筒11,12とを備えて構成されており、この構成により前記係合状態の適正化が図れるようにしてある。
【0032】
図1において外筒10は、その中途部を内輪として一体形成された4点接触玉軸受Bにより、筒形をなす伝動ハウジングHの内部に回転自在に支持されており、その内面には、長手方向の略中央に突設された所定幅の止め縁 10aを余してねじ部が形成されている。また内筒11,12は、その外面に形成されたねじ部を外筒10内面の前記ねじ部に螺合させ、これらのねじ部の螺進により軸方向位置を適宜に変更可能に外筒10内に保持させてあり、4個の送りリングR1 〜R4 は、一方の内筒11に2個(R1 ,R2 )が、他方の内筒12に残りの2個(R3 ,R4 )が、夫々逆向きの傾斜を有して保持されている。
【0033】
図2は、内筒11における送りリングR1 ,R2 の取付け態様の説明図である。本図に示す如く内筒11には、前記送りリングR1 ,R2 の外径に対応する円形断面をなす凹所13,14が、軸心に対して逆向きに略等しい角度だけ傾斜し、両端面に開口する態様に形成してあり、前記送りリングR1 ,R2 は、図2(a)中に矢符により示す如く、前記両端面の開口を経て対応する凹所13,14に夫々圧入され、図2(b)に示す如く、夫々の凹所13,14の底面に一側を突き当て、各凹所13,14の内面に係着された止め輪15,15により抜け止めして取付けられている。
【0034】
このように送りリングR1 ,R2 を保持した内筒11の外筒10への取付けは、外筒10の内部に一方の開口から内筒11を螺合し、該内筒11の内奥側の端面を前記止め縁 10aにスペーサ環17を介して突き当て、同じく他側の端面に、外筒10の同側の開口部に螺合する止めナット18を締め付けてなされている。
【0035】
残りの2個の送りリングR3 ,R4 の他方の内筒12への取付けも全く同様になされ、また、このように送りリングR3 ,R4 を保持した内筒12の外筒10への取付けは、外筒10の他方の開口から、前記内筒11の場合と同様になされている。
【0036】
以上の如く外筒10内に取付けられる2つの内筒11,12は、図1に示す如く、各2個の送りリングR1 ,R2 又はR3 ,R4 の装着用の凹所13,14の形成態様を含めて同一の形状をなす部品であり、前記保持筒1は、これらの内筒11,12を外筒10内に螺合し、略 180°位相をずらせた位置に固定して構成されている。従って、部品点数の削減による構成の簡素化が図れ、また組立てに際し、外筒10内への内筒11,12の組み付け順に配慮する必要がなく、組立てを容易化することが可能となる。
【0037】
また、保持筒1に保持された送りリングR1 〜R4 は、外輪と内輪との間に多数のボールを保持する玉軸受であり、各送りリングR1 〜R4 の内輪の内周面には、ねじ軸2外周のねじ溝20の断面に対応する半円形の係合突起が周設されており、夫々の係合位置a1 〜a4 でのねじ溝20への係合は、前記係合突起を介してなされている。また、前記内筒11,12は、前記スペーサ環17の厚さを調整することにより、外筒10の内部での軸長方向位置を適宜に変えることが可能である。
【0038】
従って、前記送りリングR1 〜R4 の係合位置a1 〜a4 は、一方の内筒11に保持された送りリングR1 ,R2 を第1の組とし、また内筒12に保持された送りリングR3 ,R4 を第2の組として、組毎に軸長方向に調整することができ、この位置調整により各係合位置a1 〜a4 での係合状態を適正化することが可能である。
【0039】
また、送りリングR1 ,R2 の装着部となる前記凹所13,14は、内筒11の軸心に対して逆向きの傾斜を有しており、これらに保持された第1の組の送りリングR1 ,R2 の係合位置a1 ,a2 は、図1に示す如く、半径方向に対向する位置となる。図中の係合位置a1 ,a2 は、図の正面側にあるものを○により、背面側にあるものを●により夫々示してある。他方の内筒12に保持された第2の組の送りリングR3 ,R4 の係合位置a3 ,a4 についても同様に、半径方向に対向する位置となるが、これらは、前記a1 ,a2 に対して周方向に所定角度だけずれた位置となるようにしてある。
【0040】
これによりねじ軸2は、周方向に異なる4か所の係合位置a1 〜a4 にて支持されたこととなり、ねじ軸2に対して種々の方向に外力が作用する使用条件下においても安定した支持が可能となる。また前記係合位置a1 〜a4 は、周方向に対向する位置にある2組(a1 ,a2 及びa3 ,a4 )により構成され、これらが、内筒11,12の軸長方向の位置調整により組単位にて調整可能であるから、各係合位置a1 〜a4 での送りリングR1 〜R4 の係合状態を常に良好に保つことができ、前述した運動変換を安定して行わせることができる。
【0041】
また、送りリングR1 〜R4 は、外輪と内輪との間に多数のボールを備える玉軸受であり、前述の如く保持筒1の内筒11,12への嵌め込みにより固定された簡素な構成である上、前記各ボールは、相互間の位置を変えることなく転動し、衝突する虞れがないから、前述した運動変換に伴って発生する音を小さく抑え、静粛な動作を行わせることができる。
【0042】
また、前記送りリングR1 〜R4 を保持させるべく内筒11,12に形成された凹所13,14は、エンドミル等の汎用の工具を使用して、前記内筒11,12の両端面から容易に、しかも高精度に加工することができ、これらに保持される各2個の送りリングR1 ,R2 及びR3 ,R4 の位置(傾き角度、偏心量、軸方向位置等)を高精度に実現することができる。
【0043】
図3は、本発明に係る運動変換装置を備えた動力舵取装置の要部の構成を示す一部破断正面図であり、操舵補助用のモータ3の回転をねじ軸2としてのラック軸4に伝え、該ラック軸4を軸長方向に移動させるべく、図1に示す運動変換装置が用いられている。
【0044】
前記ラック軸4は、筒形をなすラックハウジング40の内部に軸長方向への移動自在に支承され、図示しない車体の左右方向に延設されており、ラックハウジング20の両側に夫々突出するラック軸4の両端は、各別のタイロッドを介して図示しない操向用車輪(一般的には左右の前輪)に連結されている。ラックハウジング40の中途部には、これと軸心を交叉させてピニオンハウジング41が連設され、該ピニオンハウジング41の内部には、その軸心回りでの回転自在にピニオン軸42が支承されている。図3においてピニオン軸42は、ピニオンハウジング41の上部への突出端のみが示してあり、この突出端を介して図示しない舵輪(ステアリングホィール)に連結され、舵取りのための舵輪の操作に応じて軸回りに回転するようになしてある。
【0045】
ピニオンハウジング41の内部に延設されたピニオン軸42の下部には、図示しないピニオンが一体的に形成してある。また、ラックハウジング40内に支承されたラック軸4には、ピニオンハウジング41との交叉位置を含めた適長に亘って、ラック歯43が形成され、ピニオン軸42の下部の前記ピニオンに噛合させてある。而して、舵輪の操作に伴うピニオン軸42の回転が、該ピニオン軸42下部のピニオン及びラック歯43の噛合によりラック軸4の軸長方向の移動に変換され、更に、ラックハウジング40内でのラック軸4の移動が、前記タイロッドを介して左右の操向用車輪に伝達され、これらが前記舵輪の操作に応じて操舵されるラック・ピニオン式の舵取り機構が構成されている。
【0046】
以上の如く行われる操舵を補助する操舵補助用のモータ3は、ラック軸4を囲繞するラックハウジング40の中途部を適長に亘って拡径して一体的に構成された円筒形のモータハウジング30の内部に、該モータハウジング30の内周面に固設されたステータ31と、該ステータ31の内側に同軸的に配されたロータ32とを備える3相ブラシレスモータとして構成されている。ロータ32は、ラック軸4の外径よりも大なる内径を有する円筒体の外周に、前記ステータ31の内面にわずかな隙間を有して対向する磁極33を保持して構成されており、左右一対の玉軸受34,35により、モータハウジング30の軸心回りに回転自在に支承され、前記ステータ31への通電に応じて正逆両方向に回転するようになしてある。
【0047】
以上の如く生じるモータ3の回転は、回転部材としてのロータ32の一側に構成された本発明に係る運動変換装置の動作により、前記ラック軸4の軸長方向の移動に変換されて伝達されるようにしてある。前記図1は、ラック軸4をねじ軸2に置き換えれば、以上の如き動力舵取装置における運動変換装置の構成部分近傍の拡大断面図となる。
【0048】
運動変換装置は、外筒10及び内筒11,12を備える保持筒1と、該保持筒1の内部に保持された4個の送りリングR1 〜R4 とを備えて前述の如く構成されている。保持筒1は、その中途部を内輪として一体形成された4点接触玉軸受Bにより、モータハウジング30を同側に延長して構成された伝動ハウジングHの内部に回転自在に支持され、また前記ロータ32の一側端部に連結ブラケット36(図3参照)を介して同軸的に連結されて、前記モータ3の回転に応じてラック軸4と同軸上にて回転するようになしてある。
【0049】
前記ラック軸4の外周には、図示の如く半円形の断面を有するねじ溝20が、前記保持筒1の内側を含む所定の長さ範囲に亘って形成されており、前記保持筒1の内筒10,11に前述の如く保持された送りリングR1 〜R4 は、内周面に周設された半円形の係合突起を介して前記ねじ溝20に係合させてある。
【0050】
以上の如く構成された動力舵取装置において、前記保持筒1は、前述した如く操舵補助用のモータ3の回転に応じて軸回りに回転し、この回転に伴って該保持筒1に保持された4個の送りリングR1 〜R4 が、夫々の内輪を係合させたラック軸4外周のねじ溝20に沿って転動する。この転動によりラック軸4には、各送りリングR1 〜R4 の係合位置a1 〜a4 に前記ねじ溝20に沿った摩擦力が加わり、該ラック軸4は、前記摩擦力の軸方向分力により押圧されて軸長方向に移動する。このように操舵補助用のモータ3の回転がラック軸4の軸長方向の移動に変換され、この移動が、図示しないタイロッドを介して左右の操向用車輪に伝達されることとなり、舵輪の操作に応じて前述の如く行われる操舵が、前記モータ3の発生力により補助される。
【0051】
このとき、操舵補助用のモータ3の回転をラック軸4の移動に変換すべく用いられている本発明に係る運動変換装置においては、外筒10の内部にて前述の如く行われる内筒11,12の位置調整により、ラック軸4外周のねじ溝20に対する4個の送りリングR1 〜R4 の係合状態が良好に保たれていることから、前記モータ3からラック軸4への伝動を確実に行なわせることができる。
【0052】
図4は、本発明に係る運動変換装置を備えた動力舵取装置の他の実施の形態を示す要部拡大断面図である。この動力舵取装置は、図3に示す動力舵取装置と同様、モータハウジング30の一側に延設された伝動ハウジングHの内部に、ロータ32からの伝動によりラック軸4と同軸上にて回転する回転筒1と、該回転筒1の内部に偏心保持された複数個(図においては4個)の送りリングR1 〜R4 とを備え、回転筒1の回転に伴う送りリングR1 〜R4 の回転をラック軸4の軸長方向の移動に変換する構成としてある。
【0053】
前記回転筒1は、各2個の送りリングR1 ,R2 及びR3 ,R4 を保持する内筒11,12を、外筒10内に取付けて構成されている。本図に示す運動変換装置の特徴は、前記外筒10が、ロータ32の一側(玉軸受35による支持側)を拡径して延長し、他側に開口を有して一体に構成されているところにある。
【0054】
前記内筒11,12は、送りリングR1 ,R2 及びR3 ,R4 の取付け部の構成を含めて、図2及び図3に示す内筒11,12と同一であり、これらは、夫々の外面に形成されたねじ部を外筒10の内面のねじ部に螺合させつつ、該外筒10の内部に挿入され、前記外筒10の開口部に螺合する止めナット18の締め付けにより、両内筒11,12間に介装されたスペーサ環 10bと共に、外筒10の底面との間に挾持固定されている。
【0055】
以上の如く外筒10内に取付けられた内筒11,12は、前記スペーサ環 10bの厚さを変えることにより、軸長方向の位置調整が可能であり、この調整により、前記内筒11,12内に保持された送りリングR1 〜R4 とラック軸4外周のねじ溝20との係合状態が良好となり、操舵補助用のモータ3からラック軸4への伝動を確実に行なわせることができる。またこの構成においては、回転筒1の外筒10が、操舵補助用のモータ3の筒形ロータ32の一側に一体構成されており、図3に示す構成と比較した場合、構成部品の数が少なくなり、構成の簡素化を図ることができる。
【0056】
なお以上の実施の形態においては、外筒10内部の2つの内筒11,12に各2個が保持された4個の送りリングR1 〜R4 を備える構成について述べたが 本発明に係る運動変換装置は、5個以上の送りリング及びこれらを保持する3つ以上の内筒を備えて構成することもできる。
【0057】
また図3及び図4においては、ラックピニオン式の動力舵取装置において、操舵補助用のモータ3からの伝動により、ねじ軸2としてのラック軸4を軸長方向に移動させる用途への適用例について述べたが、本発明に係る運動変換装置は、これに限らず、軸長方向への移動により舵取りを行わせる舵取り軸に操舵補助用のモータの回転を伝達する構成とした各種の形式の動力舵取装置に適用でき、更には、動力舵取装置に限らず、回転運動から直線運動への運動変換、又は直線運動から回転運動への運動変換が必要な伝動系の全般に適用可能であることは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る運動変換装置においては、ねじ軸外周のねじ溝に係合する送りリングを複数の内筒に各複数個保持させ、これらの内筒を外筒内に同軸的に保持させて保持筒を構成したから、外筒の内部での内筒の位置調節により、前記ねじ溝に対する各送りリングの係合状態を適正化することができ、保持筒の回転からねじ軸の軸長方向移動への運動変換、又はこれと逆の運動変換を安定して行わせることができる。
【0059】
また第2発明に係る運動変換装置においては、複数の内筒の夫々に保持された送りリングを組とし、ねじ軸外周のねじ溝へのこれらの係合位置を、夫々の組内では半径方向に対向する位置に、夫々の組間では周方向にずらせた位置に夫々設定したから、種々の方向に外力が作用する条件下においても各送りリングと舵取り軸外周のねじ溝との間に良好な係合状態を維持することができる。
【0060】
また第3発明に係る運動変換装置においては、内筒の両端面に夫々の開口を有して形成された凹所内に各1個の送りリングを嵌着保持する構成としたから、加工が容易な前記凹所への取付けにより各送りリングの位置精度を高め、ねじ軸外周のねじ溝に良好に係合させることができ、また前記加工に要する手間を削減することができる。
【0061】
また第4発明に係る運動変換装置においては、送りリングを保持する複数の内筒の外筒の内部での保持位置を調整可能としたから、ねじ軸外周のねじ溝と各送りリングとの係合状態を容易に適正化することができ、前記運動変換を安定して行わせることが可能となる。
【0062】
また第5発明に係る運動変換装置においては、複数の内筒を同一形状をなして構成したから、部品点数の削減により構成を簡素化することができ、また外筒への組み付けが誤りなく行え、組立てを容易化することができる。
【0063】
更に第6発明に係る運動変換装置においては、前記送りリングとして転がり軸受を用いたから、動作音が小さく静粛な運転が可能な運動変換装置を簡素に構成することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る運動変換装置の構成を示す側断面図である。
【図2】内筒への送りリングの取付け態様の説明図である。
【図3】図1に示す運動変換装置を備えた動力舵取装置の要部の構成を示す一部破断正面図である。
【図4】本発明に係る運動変換装置を備えた動力舵取装置の他の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図5】従来の運動変換装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図6】図5に示す運動変換装置における送りリングの取付け態様の説明図である。
【符号の説明】
1 保持筒
2 ねじ軸
3 モータ
4 ラック軸
10 外筒
11 内筒
12 内筒
20 ねじ溝
H 伝動ハウジング
R1 〜R4 送りリング
Claims (6)
- 外周面にねじ溝が形成されたねじ軸と、該ねじ軸の外側に同軸的に配された保持筒と、該保持筒の内部に前記ねじ溝のリード角と略等しい角度傾斜した軸心を有して偏心保持され、周方向の一か所にて前記ねじ溝に係合する複数の送りリングとを備える運動変換装置において、
前記保持筒は、前記ねじ溝との係合位置が異なる複数個の送りリングをその内部に保持する内筒と、
複数の前記内筒をその内部に同軸的に保持する外筒とを具備することを特徴とする運動変換装置。 - 前記複数の内筒の夫々に保持された複数個の送りリングの係合位置は、前記ねじ軸の半径方向に対向する位置に設定してあり、前記夫々の内筒に保持された送りリングの係合位置は、前記ねじ軸の周方向にずらせて設定してある請求項1記載の運動変換装置。
- 前記内筒は、その両端面に夫々の開口を有して形成された凹所内に各1個の送りリングを嵌着保持する構成としてある請求項1又は請求項2記載の運動変換装置。
- 前記外筒の内部での複数の内筒の保持位置を、軸長方向に各別に変更する手段を備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の運動変換装置。
- 前記外筒に保持された複数の内筒は同一形状をなして構成してある請求1乃至請求項4のいずれかに記載の運動変換装置。
- 前記送りリングは、前記内筒に嵌着固定された外輪と、前記ねじ溝に係合する内輪とを備える転がり軸受により構成してある請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の運動変換装置。
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