JP3838799B2 - 遠心形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、型内に製品の原料となる硬化性液状物質を注入し、該型を高速回転させ、その遠心力により均一な厚さ・性質を有する樹脂あるいはゴム等の成形品を形成する遠心形成方法の改良に関するもので、詳しくは、簡易な方法で厚さのばらつきを小さくし、均一な厚さを有する製品を成型する方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
遠心形成法は、ゴムおよびプラスチックをはじめとする成形品の製造方法として、種々の工業分野において広範に用いられている技術である。複写機、プリンター等静電複写プロセスの中間トナー担持体として利用されている無端状ベルトの製造方法にも用いられている。
【0003】
上記遠心形成方法は、周知の如く円筒状の型内面に、原料となる硬化性液状物質をスプレーで塗布、あるいはノズルから流し込み、該型を高速回転させ、その遠心力により液が拡がり、ゲル状又は不完全な固体状態の物質を形成させる。さらに加熱して、均一な厚さを有した樹脂あるいはゴム製品を成型する方法である。上記無端状ベルトを例に挙げる。
【0004】
従来の画像形成装置においてベルト状の中間転写体として使用される無端状ベルトは、その作像プロセスから二つ以上のローラで保持回転するユニットから構成されている。ローラは、駆動ローラおよび従動ローラにより構成されている。該装置において、高品質の画像を出力するにあたり上記ベルトの厚さのばらつきは大きな影響を及ぼす。ベルトの厚さにばらつきが生じていると、複数のローラに張架されている該ベルトは、その駆動中、ベルトの回転に歪みが生じ、該ベルトに皺が寄って画像に歪みが発生したり、ベルトがローラの片端に寄っていき、かじって破けてしまったりすることがある。該ベルトの厚さにばらつきが生じていると、電気抵抗に差異が生じ、画像の階調性が再現できなかったり、トナーが載らない白抜けと呼ばれる画質の低下・劣化を生じたりする。
【0005】
周知の遠心形成方法では、成形品の原料となる硬化性液状物質を回転する型内面にスプレーで塗布あるいはノズルから注入し、該型を高速回転する。該型の高速回転の遠心力により該物質が該型内周面に沿って拡がり、半液体の膜がある程度均一に形成される。しかし、この段階において該膜状物質の厚さにばらつきが生じていることが多い。これは、上記型の回転中、微妙に該型がふれ易いことが原因に挙げられる。該形成方法では、該型内面に上記無端状ベルトになる樹脂分散液を使用し塗布しているが、上記型の微妙なふれが上記ベルトの厚さのばらつきに影響を及ぼす。上記のようにして形成した該ベルトを加熱・硬化して最終的な製品に仕上げる場合、この加熱段階においても、加熱温度の分散が不均一になり、乾燥度合いに差が生じ、結果的に製品である無端状ベルトの厚さにばらつきが生じてしまう。この厚さのばらつきを制御するのは非常に困難であった。
【0006】
画像形成装置に使用される無端状ベルトを例に挙げたが、該ベルトのみならず、遠心形成法によって形成される他の樹脂あるいはゴム等の成形品についても、製品の厚さにばらつきが生じていると、様々な問題が生じるため、該成形品の厚さは均一であることが要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、遠心形成方法において、成形品の厚さのばらつきを極力抑えるため、低コストでかつ簡易な構成で、厚さを均一にすることができる遠心形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、円筒状の型内に製品を形成する硬化性液状物質を注入し、該型を高速回転させ、その遠心力により該型内面形状にならった該物質の製品を形成する遠心形成方法において、上記型の回転軸線が水平になるように該型の姿勢を設定し、該型内周面に沿って膜を形成し、上記型内の上記物質が指触乾燥状態になってから2個の回転体それぞれを該型の底面上の該膜に接して従動回転させることを特徴とするものである。
【0009】
請求項1の発明においては、上記回転体は、製品の原料として注入した液状物質を型内周面形状にそって均一に拡げる作用をする。該型の高速回転により該物質は半液体の膜に形成されるが、該膜状物質には該回転体自体の重量が加重され、該回転体の回転も伴い、該物質は該型の周方向へ押し延ばされる。型の回転軸線が水平になるように該型を回転させるときは、上記回転体は該型内に載置するだけでよい。このときは、該回転体は、該型の高速回転に従動して回転する。あるいは該回転体が該物質上で自在回転するように該回転体を該型内に配設してもよい。このときは、該回転体を該型の高速回転に従動回転させる。
また、この発明においては、上記物質が指触乾燥の膜状となったときに上記回転体を該物質上で回転させるため、該物質の厚さを均一に成型し易くなる。該回転体自体の重量がそれと接する指触乾燥状態の該物質に対して均一に加重し、該物質の表面は適度に押し潰された様に該型の内周面形状に沿って周方向へ延ばされ、該物質の厚さのばらつきは抑えられ、該物質の厚さは均一化される。該物質が完全固化した状態では塑性変形は生じにくいため、該回転体の重量・回転速度共に大きくしても該物質の膜厚の均一化は難しい。逆に加熱・乾燥不足で該物質が液体に近い状態のときに上記回転体を回転させても、該回転体の加重により該物質は押し潰され、該型の回転軸方向へ流れ出てしまう。このため、該物質は適度の乾燥状態であることが必要であり、該型内面の上記物質が指触乾燥状態のときは、該物質の厚さを矯正することが容易であるため、上記指触乾燥状態において、回転体を回転させる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の遠心形成方法において、上記回転体の表面は、上記物質に対し、耐浸透性、および耐溶解性を有すことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明においては、上記回転体が、製品の原料として注入した液状物質を吸収したり、該物質に溶解するということがないため、該物質の成分や量が変化することはない。また、上記回転体は、該物質と密着することもないので該物質に接して良好に回転する。これに対し、回転体が該物質を吸収したり、該物質に溶解したりすると該物質の成分や量が変化して、製品に仕上げたときに該製品が目的の形状を有しないことがある。よって、請求項1の遠心形成方法においては、遠心形成により厚さが均一で、目的の寸法を有した成形品を形成するためには、回転体表面が、製品の原料となる硬化性液状物質に対して、耐浸透性、および耐溶解性を有すことが必要となる。なお、請求項2の発明においては、回転体の素材自体が上記性質を有していてもよいし、あるいは該回転体の表面が上記性質の素材で被覆されていてもよい。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の遠心形成方法において、上記回転体は円柱形であって、その表面は上記物質と接着しない性質を有すことを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の発明においては、上記回転体が円柱形であることとその表面が型内の液状物質と接着しない性質を有すことによって、該回転体は該型内面底部で良好に回転しながら、該回転体と接する該物質に対し均一に加重を及ぼす。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3の遠心形成方法において、上記回転体の中心軸線は水平で、型の回転軸線と平行な位置関係にあることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4の発明においては、上記回転体の中心軸線と型の回転軸線は平行かつ水平であるため、該型の回転中に回転体外周面と該型内周面は一定間隔で保たれる。該型の回転中に該回転体の位置はずれることなく、安定して回転を続ける。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本実施形態に係る遠心形成方法を説明する。
円筒状の型をゆっくり回転させながら、該型内部の硬化性液状物質吐出部から該液状物質を所定の膜厚を有すのに必要量を該型内面に注入した。該型を高速回転させると、該物質は該型の内面形状に沿って周方向に広がり、一定の厚さを有す膜状物質となった。上記段階においては、該物質の厚さは大まかに均一である。上記状態で加熱し、該型の回転を停止しても該物質の剥離や液垂れが生じない程度である指触乾燥まで該物質を加熱乾燥した。該物質が所定の指触乾燥状態になったときに該型の回転を停止し、円柱形の回転体を該型内部に挿入した。このとき、該回転体の中心軸線が該型の回転軸線に対して平行になるようにし、再度該型を高速回転させた。指触乾燥状態の該物質は未だ軟らかいため、該回転体によって該物質は均一に加重されながら該型の周方向へ薄く押し延ばされる。薄く押し延ばされた該物質は、該型内面において上記回転体からの加重がない部分、該部分は該物質の厚さが比較的薄い箇所であるが、この部分まで押されて結果的に該物質の厚さのばらつきは抑えられ、該物質の厚さは均一化する。
【0019】
該回転体は、該物質が形成された後に該物質上に載置するだけでもよいし、該物質と接するように回転自在に該回転体を該型内に保持しておいてもよい。該回転体を載置したときは、該回転体は該型の高速回転に従動回転する。該回転体が自在回転するように該型内に保持したときは、該回転体を該型に従動回転させてもよいし、該型の高速回転とは別に該回転体自体を該物質上で回転駆動させてもよい。該回転体を載置したときは、該型内の該回転体の交換が容易になる。
【0020】
上記の回転体は、上記膜状物質が指触乾燥状態のときに上記型内に挿入されるが、該回転体表面は、上記指触乾燥状態の物質たる分散液に密着しない性質を有すことが必要である。該回転体の素材自体が上述の密着性を有しないか、あるいは上述の密着性を有しない材質で被覆されているかいずれでもよい。また、上記回転体の軸方向の幅は、型内の上記膜状物質の軸方向の幅より大きいことも必要である。該回転体の軸方向の幅が、該型内の膜状物質の軸方向の幅より小さければ、上述のような該回転体の物質に対する加重が及ばない部分が該物質に生じ、該物質の膜厚を均一化できないからである。該回転体により、それと接する物質が均一に加重されながら、該物質の厚さを均一にするためには、該回転体の軸方向の幅は、型内の上記膜状物質の軸方向の幅より大きいことが必要でなる。
【0021】
上記型の回転中、該回転体の中心軸線と型の回転軸線とは平行を保ったままで、該回転体の位置はずれることなく定位置において終始安定して回転した。従って、該回転体の回転中に位置ずれ防止対策は不要である。しかし、該回転体の重量や上記物質の厚み等が増加すると該物質端部は形状に歪みを生じる可能性もあるため、必要に応じて該型内側の両端部にスペーサーとしてリング、あるいはテープを施してもよい。上記方法で成型した膜状物質をさらに加熱して完全に乾燥させた結果、目的の寸法を有し、厚さが均一なベルト状の成形品を得ることができた。
【0022】
本実施形態においては、上記回転体を回転させて上記物質の厚さを均一化した後、該回転体が型内に存在している状態で硬化処理としての加熱を行ったので、回転体は該加熱に耐える程度の耐熱性を要する。具体的なベルトの原料となる硬化性液状物質としては、以下に述べるポリイミド酸溶液を使用した。該ポリイミド酸溶液を使用する場合には、上記加熱を300℃程度で行うので、約300℃の耐熱性が該回転体に要求される。該加熱温度はあくまで一例であり、300℃に限定されない。該回転体が上記物質上において安定して回転続けるためには、該回転体は、製品の原料となる硬化性液状物質に対して耐溶解性・耐浸透性を有し、該物質には付着せず、該物質と剥離し易い性質を有していることが必要である。上記条件を満たす材質としては、無機質で弾性のある材料、一般的にはクロムメッキ、ニッケルチタン処理、および金蒸着等施した金属、ならびにフッ素系樹脂を被覆した金属等が挙げられる。
【0023】
遠心形成方法を用いて形成する成形品の中で、複写機、プリンター等の静電複写プロセスの中間トナー担持体として使用される無端状ベルトを例に挙げ、本発明に係る遠心形成方法の具体的実施例1、2および3を以下に示す。
【0024】
該ベルト原料となる硬化性液状物質としては、熱、触媒作用、凝縮、化学反応あるいはこれらの組合せ等、硬化可能なものであることが必要である。本実施例では、上記物質にポリイミド酸溶液を使用した。上記ベルトの基本素材としては、ポリイミドを用いたが、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、特定の有機溶剤に溶解し、熱あるいは触媒によってポリイミドに変化する性質を有する。基本原料としてポリアミド酸を用いて遠心形成するとポリイミドを基本素材とする無端状ベルトが形成される。上記ポリアミド酸および導電剤を有機溶剤N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMACと称する )に分散させ、30%に希釈してポリイミド酸溶液を調整した。基本原料はポリイミドに限定されるものではなく、溶媒もDMACに限るものでもない。他に、ポリウレタンやエポキシ系樹脂など、また、有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トルエン等多くある。
【0025】
[実施例1]
内径180φ、幅700mmの円筒状金型をゆっくり回転させながら、該型内部にある液吐出口から該型内面にベルトの原料となる上記ポリイミド酸液を該型内面に必要量注入した。該型を1000rpmで高速回転させると、該型回転の遠心力により、上記溶液が該型の内面形状に沿って該型の周方向に流延し、ほぼ均一な膜厚を有したポリアミド酸膜が形成された。さらに、該型を300℃に加熱し、該膜に含有する溶剤を蒸発させ、指で触れても該膜が指に付着しない程度の指触乾燥状態まで加熱を継続した。
【0026】
上記膜が所定の指触乾燥状態になったとき、上記型の回転を停止させ、上記型内部に10φの円柱状鉄棒を挿入した。該鉄棒の中心軸線が該型の回転軸線に対して平行となるように、該鉄棒を該型内面の上記膜の上に載置した。再度該型を高速回転させながら、300℃で30分間加熱を行い、最終的な製品である無端状ベルトを成型した。上記鉄棒には予めクロムメッキを施しておいた。冷却後、上記型の回転を止め、該型内から上記鉄棒を取り出し、成形された該ベルトを該型から剥離して取り出し、該ベルトの厚さを測定した。
【0027】
[実施例2]
実施例1と同様、同例1で使用した円筒状金型の内面に、上記ポリイミド酸液を必要量注入し、該型を高速回転させた。該型内面形状に沿ってほぼ均一な厚さを有したポリアミド酸膜を形成し、該膜が指触乾燥状態になるまで加熱した。該膜が所定の指触乾燥状態になったとき上記型の回転を停止し、該型内に30φの円柱状のアルミ棒を挿入し、該型内の該膜上に載置した。再度該型を高速回転させながら、200℃で30分間加熱した。アルミ棒には予めタフラム処理を施しておいた。該アルミ棒は、該アルミ棒の中心軸線が該型の回転軸線に対して平行となるように配設した。
【0028】
冷却後、該型の回転を止め、上記アルミ棒を取り出し、上記膜付着のまま、該型を300℃の炉内で20分間加熱処理した。冷却後、成形した上記ベルトを該型から剥離して取り出し、該ベルトの厚さを測定した。
【0029】
[実施例3]
実施例1で使用した円筒状金型内面の両端に幅10mm、厚さ100μmのPTFEテープを貼り付けて使用した。実施例1と同様、上記型の内面に上記ポリイミド酸液を必要量注入し、該型を高速回転させた。該型内面形状に沿ってほぼ均一な厚さを有したポリアミド酸膜が形成された後、該膜が指触乾燥状態になるまで加熱した。その後該型の回転を停止し、フッ素樹脂を被覆した径20φの円柱状の真鍮棒を該型内に挿入した。該真鍮棒の中心軸線が該型の回転軸線に対して平行となるように該真鍮棒を上記膜の上に載置した。再度該型を高速回転させながら、100℃で30分間加熱した。
【0030】
冷却後、上記型の回転を止め、上記真鍮棒を取り出した。該型に貼り付けたテープを剥がし、上記膜が付着したままの型を300℃の炉内で50分間加熱した。冷却後、成形した上記ベルトを該型から剥離して取り出し、該ベルトの厚さを測定した。
【0031】
図1は、本実施形態に係る遠心形成方法によって無端状ベルトを製造した場合の装置の断面図である。図は、型1の内周面上に硬化性液状物質が膜状2に遠心形成され、回転体3によって厚さが均一な無端状ベルト2が形成された状態を示している。回転体3の中心軸線が型1の回転軸線に対して平行となる位置に該回転体3を配設し、上記ベルト2に対して一定の重力を及ぼしている。該回転体3は定位置において安定して回転するため、該ベルト2の厚さは徐々に均一化される。回転体3の回転中に該回転体3に位置ずれは生じなかったが、回転体3の位置ずれ防止のために、型1の内側底部の両端部に回転体3の間にスペーサーとして、小さい回転体4を置いてもよい。該型1の内面端部周囲にテープを貼ってもよい。本実施例では、ベルト製造中に回転体3の位置はずれなかったので、敢えて回転体3の位置ずれ防止の対策は不要であった。
【0032】
比較例として、従来の遠心形成方法によって製造した場合を示す。詳細には、上記実施例1、2および3の製造方法において、型内に回転体を挿入しないで無端状ベルトの製造を行った。形成した上記ベルトを各々比較例1、2および3とする。
【0033】
上記のとおり製造した6種類のベルトについて、厚さを各々100箇所ランダムに測定した。
測定結果を表1に示す。実施例と比較例の差は顕著であった。
【表1】
【0034】
実施例1、2および3のベルトの厚さはほぼ100μmであった。ベルトの厚さのばらつきをみると、実施例1、2および3については2.3〜3.1であるのに対し、比較例1、2および3については7〜10であった。本実施形態に係る遠心形成方法によって製造したベルトは、従来の遠心形成方法によって製造したベルトに比較して、厚さのばらつきは小さかった。
【0035】
さらに、上記実施例1、2および3、ならびに比較例各々1、2および3で製造した無端状ベルトを実際に、電子写真複写機に使用されている中間転写ベルトとして取り付け、該ベルトの耐久性および画質を調べた。
【0036】
複写機は、(株)リコー製フルカラー複写機プリテールを使用した。
図2は、本実施形態に係る複写機の要部概略構成図である。該複写機についてカラー画像が完成するまでの過程を簡単に説明する。図2において、公知の工程で感光体9に静電潜像が形成された後、現像ユニット14、15、16、および17により各色の現像が繰り返され、感光体9上に各々の色画像(トナー像)が順次形成される。各色トナー像は、それぞれ単色毎に中間転写ベルト19上の同じ位置に順次重なって転写される。この転写は、転写バイアスローラ20aに印加された所定のバイアス電圧によって生じる。中間転写ベルト19上に転写された後、紙転写バイアスローラー23aにより、紙等の転写材に一括転写される。転写完了後、該転写材は、定着装置28に送られてトナー像が定着され、フルカラー画像となって現れる。中間転写ベルト19は、転写バイアスローラ20a、アースローラ20b、ベルト駆動ローラ21、および従動ローラ群に張架されており、図示しない駆動モータにより駆動制御される。
【0037】
上記実施例および比較例を合わせた計6種類のベルトについて、中間転写ベルトとして複写機に設置するに適した幅に該ベルトを切断した。該ベルトのずれ防止として寄り止めテープを張り付け、該ベルトを上記装置内に取り付けた。該装置を駆動し、画出しを行いながら上記ベルトについて、中間転写ベルトとしての耐久性を評価した。
【0038】
その結果、実施例1、2および3で製造したベルトについては、いずれも白抜けは発生せず、画像に何ら異常は現れなかった。階調性・画質ともに良好で、鮮明な画像が得られた。また、出力を繰り返し行っても、ベルト駆動時にローラー群上においてベルトの位置ずれや寄り等の問題も生じなかった。比較例1および3のベルトについては白抜けが発生し、比較例2のベルトは階調性が悪く画像コントラストも著しく不良であった。
【0039】
以上のように、本実施例に係る遠心形成方法によって製造したベルトと従来の遠心形成方法によるベルトでは、その差は明瞭で、本実施例による方法で製造したベルトは耐久性に優れ、画質・階調性共に優れ、中間転写ベルトとして画像形成装置に使用するのに適していた。
【0040】
実施例として、複写機、プリンター等の静電複写プロセスの中間トナー担持体として使用される無端状ベルトを例に挙げたが、これに限るものではない。本実施例に係る遠心形成方法は、遠心形成法が用いられる樹脂あるいはゴム等の成形品を製造する様々な工業分野において実施できるものである。
【0041】
円柱形の回転体は1個に限らず、該回転体の材質・重量・大きさにより、型内に数個配置してもよい。回転体の軸方向の幅は、型内の上記膜状物質の軸方向の幅より大きければ、その他の寸法は異なっていてもよい。型内に配置する該回転体の重量・大きさ・数により、該型内周面上に形成した膜状物質の厚さのばらつきを小さくし、該物質の厚さを均一化する効果は異なる。
【0042】
図3は、型内面形状に沿って遠心形成した膜状物質の上に2個の回転体を載置して該物質の厚さの均一化を行ったときの状態を示す。該型1内周面上に形成した膜状物質2が指触乾燥状態の時に、該物質2上に2個の回転体3を載置した。該型1を高速回転させると該回転体3が従動回転することによって、該物質2の厚さばらつきを抑え、厚さの均一化を図ったものである。該回転体3の材質・寸法・重量は同一にした場合である。該型1内の膜状物質2の上に置いた回転体3の数以外の条件を同一にして、遠心形成方法によって製造すると、該型内物質である成形品の厚さのばらつきはともに小さかった。同一の回転体2個を用いると、1個の時よりも該回転体の回転時間を短くできるので、作業効率も向上し、経済的な効果が得られる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1乃至4の発明によれば、厚さのばらつきが小さい成形品を容易に製造することができる。成形品の厚さのばらつきを制御することは、これまで技術的に困難であったが、本発明に係る遠心形成方法では、特別な装置や繁雑な作業を要せず、簡易な構成で容易に実現できる。更に、回転体を従動回転させるときは上記物質は指触乾燥状態であるため膜厚を矯正するのに適しており、該物質に接して上記回転体は安定して回転を続けるため、該回転体によって該物質は均一に加重され、該物質の厚さのばらつきを抑え該物質の厚さを均一化することができる。また更に、回転体を2個用いるので1個の時よりも該回転体の回転時間を短くできるので、作業効率も向上し、経済的な効果が得られるという優れた効果がある。
【0044】
特に請求項2または3の発明によれば、上記膜状物質に接して上記回転体は、上記型内面底部において良好に回転するため、該回転体との接触部では該回転体の重量により該物質は均一に加重され、形成品の厚さのばらつきを小さく抑えることができるという優れた効果がある。
【0046】
また特に、請求項4の発明によれば、上記型の回転中、上記回転体は位置ずれすることなく、上記物質に接して安定して回転続けるため、該回転体によって該物質は均一に加重され、該物質の厚さのばらつきを小さくしより均一にすることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る無端状ベルトの製造装置の概略断面図。
【図2】本実施例に係る無端状ベルトを適用することができる電子複写機の概略構成図。
【図3】回転体2個を使用して、無端状ベルトの厚さを均一にする装置の説明図。
【符号の説明】
1 円筒状型
2 膜状物質
3 回転体
4 スペ−サー
9 感光体
14、15、16、17 現像ユニット
19 中間転写ベルト
20a 転写バイアスローラ
20b アースローラ
21 ベルト駆動ローラ
23a 紙転写バイアスローラー
28 定着装置
Claims (4)
- 型内に製品を形成する熱硬化性液状物質を注入し、該型を高速回転させ、その遠心力により該型内面形状にならった該物質の製品を形成する遠心形成方法において、
上記型の回転軸線が水平になるように該型の姿勢を設定し、該型内周面に沿って膜を形成し、上記型内の上記物質が指触乾燥状態になってから2個の回転体それぞれを該型の底面上の該膜に接して従動回転させることを特徴とする遠心形成方法。 - 請求項1の遠心形成方法において、
上記回転体の表面は、上記物質に対し、耐浸透性、および耐溶解性を有すことを特徴とする遠心形成方法。 - 請求項1又は2の遠心形成方法において、
上記回転体は円柱形であって、その表面は上記物質と接着しない性質を有すことを特徴とする遠心形成方法。 - 請求項1、2又は3の遠心形成方法において、
上記回転体の中心軸線は水平で、型の回転軸線と平行な位置関係にあることを特徴とする遠心形成方法。
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