JP3837762B2 - イオン交換樹脂の分離、再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は混床を形成しているイオン交換樹脂を分離して再生する方法、特に復水脱塩装置に用いられる混床式イオン交換装置の分離、再生に適したイオン交換樹脂の分離、再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電プラントにおいては、復水中の不純物による系統材質の腐食やタービンスケールの防止の点から、給水の水質をより高度に維持する必要がある。このため復水を給水として循環使用するための復水脱塩装置として、高い処理水質が得られる混床式イオン交換脱塩装置が用いられている。
【0003】
混床式イオン交換脱塩装置の処理水質はイオン交換樹脂の再生状態により決定されるが、樹脂の再生状態をより高度にするためには、逆再生をできるだけ生じさせない必要がある。逆再生とは、アニオン交換樹脂の混入したカチオン交換樹脂を塩酸や硫酸など酸溶液で再生する際、アニオン交換樹脂がCl形やSO4形などに再生され、またカチオン交換樹脂の混入したアニオン交換樹脂を水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液で再生する際、カチオン交換樹脂がNa形などに再生されることである。
【0004】
従って、逆再生を生じさせないためには、混床を形成しているイオン交換樹脂を再生するとき、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とをできるだけ完全に近い状態に分離し、カチオン交換樹脂中へのアニオン交換樹脂の混入、およびアニオン交換樹脂中へのカチオン交換樹脂の混入を極力減少させる必要がある。
【0005】
復水脱塩装置(混床式イオン交換脱塩装置)は、復水中にイオン交換樹脂の再生剤である酸またはアルカリが混入しないように、脱塩塔と分離、再生塔とは完全に分離されており、再生が必要になったときは、その脱塩塔を主系統から切離し、脱塩塔内の樹脂を加圧水と加圧空気により分離、再生塔に移送して再生している。
【0006】
混床を形成するイオン交換樹脂の分離は、一般に逆洗と呼ばれる上向流通水により樹脂層を展開し、比重差および粒径差によってカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を分離している。このことは復水脱塩装置に限らず、他の目的で使用される一般の混床式イオン交換装置の場合も同様である。
【0007】
ところで従来よく知られているように、新しいイオン交換樹脂はその表面に強い電荷を持つ。このため新しいカチオン樹脂とアニオン樹脂を再生して、R−H形およびR−OH形の状態で混合すると、電荷の強い吸引力によりイオン交換樹脂の凝集が発生する。このように樹脂が凝集することは、カチオン樹脂とアニオン樹脂が均一によく混合されるため、脱塩のためには好ましいことである。
【0008】
しかし脱塩装置の再生時には、凝集が両樹脂の分離を阻害することとなり、好ましくない。特に新設の脱塩装置では、新しいイオン交換樹脂を使用しているため、その強い表面電荷により樹脂同士が強く凝集する。またその使用の初期には、交換能力を完全に使いきらない内に再生するため、R−H形,R−OH形の交換基が残存しており、強い凝集が起こる。
【0009】
このような凝集が起った状態で逆洗を行っても両樹脂を完全に分離することは困難である。この凝集の強さは、イオン交換樹脂のイオン形、樹脂のタイプ(ゲル型、ポーラス型)などにより変化するが、完全に凝集を破壊して逆洗による樹脂分離を完全に行い、逆再生の発生を防止することは、脱塩装置の処理水質を良好に保つために必要である。
【0010】
再生すべき樹脂が凝集状態の場合、樹脂の凝集を破壊するためには、その表面電荷を中和することが効果的である。従って復水中のクラッドが適量流入した樹脂は、クラッドが樹脂表面に付着し凝集状態が緩和される。
しかし、最新の発電プラントでは、水質管理と材質の改良でクラッドの発生量が少なくなっており、クラッドによる樹脂の凝集状態の破壊は期待できない。
【0011】
樹脂の凝集を破壊するために、樹脂自身の電荷をイオンの負荷により中和する方法がある。通常、塩酸や水酸化ナトリウムが凝集状態を破壊し、樹脂を分離するために用いられる。しかし、加えたイオンはイオン交換樹脂に吸着され、これらのイオンは吸着力が大きいので、これらを脱着するためには、非常に大量の再生剤が必要になる。
【0012】
例えば塩酸を使用すれば、アニオン交換樹脂が塩化物イオン形に転換し、これを脱塩に使用するためのR−OH形に再生するには、多量の再生剤を必要とし不経済である。また水酸化ナトリウムを添加すれば、カチオン交換樹脂がR−Na型となり、このナトリウムは樹脂からリークしやすいため水質悪化の原因となり易く、ボイラ水質を良好に保つためには、Naイオン形の除去のために大量の再生剤を使用し、完全に再生する必要がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題点を解決するため、安価な材料を用いて簡単な操作により樹脂の凝集を破壊することができ、これによりアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の分離精度を改善するとともに、再生効率を高くして、再生剤の使用量を少なくし、良好な処理水質を得ることが可能なイオン交換樹脂の分離、再生方法を提案することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のイオン交換樹脂の分離、再生方法である。
(1) 混床を形成しているイオン交換樹脂を分離して再生する方法において、
混合状態のイオン交換樹脂を、10容積%以上の二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスと接触させ、
逆洗によりカチオン交換樹脂層とアニオン交換樹脂層に分離し、
それぞれの樹脂層を再生剤と接触させて再生することを特徴とするイオン交換樹脂の分離、再生方法。
(2) 二酸化炭素含有ガスの供給量が、前記混合状態のイオン交換樹脂の樹脂量の3〜50容積倍量、かつ供給流量が0.3〜5m 3 −ガス/m 3 −樹脂/分であることを特徴とする上記(1)記載の方法。
(3) 混床を形成しているイオン交換樹脂の分離、再生が、新しい樹脂投入後、あるいは樹脂補給後の最初ないし10回目の分離、再生であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の方法。
【0015】
本発明の方法は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが混合されて混床を形成しているイオン交換樹脂の再生であれば、どのようなイオン交換樹脂の分離、再生にも適用でき、例えば2床3塔混床型の最終段の混床式イオン交換装置などにも適用でき、特に復水脱塩装置に使用されているイオン交換樹脂の分離、再生に適用するのが好ましい。
【0016】
復水脱塩装置では塔外再生する場合が多く、他の混床式イオン交換装置ではイオン交換塔内で再生される場合が多いが、本発明の方法はそのいずれの方法にも適用できる。また分離性を上げるために、中間比重の樹脂を混入する方法、または分離界面付近の中間樹脂を再生工程から除外して次回の再生時に同時に再生したり、あるいは中間樹脂を再生することなく再生後の樹脂と混合して脱塩工程に移送する方法などが採用される場合があるが、本発明の方法はこれらの場合にも適用できる。
【0017】
本発明では、上記のようなカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を使用する混床式イオン交換装置の樹脂の凝集状態を改善し、樹脂の分離性を高め、逆再生の少ない良好な再生状態を実現することができる。特に、新しい樹脂投入後、あるいは樹脂補給後の最初ないし10回目の樹脂の分離、再生に対して効果的であるが、その後の分離、再生に対しても適用可能である。
【0018】
本発明では、混床式のイオン交換樹脂を用いた脱塩後の逆洗分離に際して、混合状態のイオン交換樹脂を二酸化炭素含有ガスと接触させるが、逆洗分離に先立ち、または逆洗中に二酸化炭素含有ガスを吹き込むのが好ましい。ここで使用する二酸化炭素含有ガスとしては、純二酸化炭素ガスのほか、二酸化炭素と空気、不活性ガス、その他のガスとの混合物であってもよい。このような二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素濃度は10容積%以上、好ましくは50容積%以上とする。
【0019】
混床式イオン交換樹脂の再生時の樹脂の逆洗分離には、単に水のみを上向流で流す水逆洗のほかに、水逆洗に先立って、または水逆洗とともに空気を導入して、樹脂層を攪乱させる空気逆洗が行われる場合があるが、本発明ではこのような空気逆洗の代りに、二酸化炭素含有ガスを導入してイオン交換樹脂と接触させることができる。
【0020】
ここで注入された二酸化炭素は水に溶解しやすく、溶解した二酸化炭素は重炭酸イオンとして存在する。再生塔内にはイオン交換能力を多量に持つアニオン交換樹脂が多量に存在するため、これらの重炭酸イオンの一部は交換吸着されてHCO3形となる。これらの式を次に示す。
【化1】
CO2 + H2O → H+ + HCO3 - 〔I〕
H+ + HCO3 - + R−OH → R−HCO3 + H2O 〔II〕
【0021】
水中に残留する二酸化炭素は上記〔I〕式のように解離して僅かながらイオンが増加し、塔内に存在する水のpHを低下させる。pHの変化は凝集作用に大きく影響し、樹脂の凝集が破壊される。またアニオン交換樹脂に吸着した重炭酸イオンはアニオン樹脂の表面電荷を中和する作用があると考えられ、同様に樹脂の凝集が破壊される。さらに二酸化炭素が溶解した再生水はそのpHが低く、イオン交換樹脂に吸着したクラッドを効率よく剥離する効果がある。
【0022】
従って混合樹脂層の逆洗分離に先立ち、あるいは水逆洗とともに、樹脂層下方から二酸化炭素含有ガスを供給すると、二酸化炭素は上述のような作用により樹脂の凝集を破壊し、気泡の上昇流により樹脂を攪乱して樹脂粒子を分離するとともに樹脂に付着した鉄クラッドその他の汚れをも剥離する。このときの二酸化炭素含有ガスの供給は任意であるが、樹脂量の3〜50容積倍量とするのが好ましく、流量は0.3〜5m3-ガス/m3-樹脂/分で供給するのが好適である。
【0023】
上記の二酸化炭素含有ガスの供給により凝集破壊および汚れの剥離を行った後、二酸化炭素含有ガスの供給を停止し、水逆洗のみを行うと、再生すべきイオン交換樹脂が比重差により分離し、比重の重いカチオン交換樹脂は下に、比重の軽いアニオン交換樹脂は上に成層される。
【0024】
両樹脂を別の塔で再生する場合は、上記の状態でアニオン交換樹脂をアニオン再生塔に移送し、カチオン交換樹脂はそのまま沈降させる。両樹脂を同一塔内で再生する場合は、そのままの状態で水逆洗を終了して樹脂を沈降させる。
【0025】
このように二酸化炭素含有ガスにより凝集破壊する場合でも、樹脂界面における両樹脂のより完全な分離のため、前述のように中間比重の不活性樹脂を用いたり、あるいは界面付近の樹脂を再生工程から除外することもできる。
【0026】
このような操作を選ばない場合は、カチオン交換樹脂中へのアニオン交換樹脂の混入による弊害とアニオン交換樹脂中へのカチオン交換樹脂の混入による弊害とを、はかりにかけて弊害の少ない前者を選び、分離再生塔にはカチオン交換樹脂層上部に若干のアニオン交換樹脂を残留させ、カチオン交換樹脂のほとんど混入していないアニオン交換樹脂をアニオン再生塔に移送して再生することができる。
【0027】
再生は一般のイオン交換樹脂の再生と同様であり、それぞれの樹脂層を再生剤と接触させる。接触の方法は、それぞれのイオン交換樹脂層に再生剤溶液を通液する方法が好ましい。
【0028】
再生剤はカチオン交換樹脂の場合は、2〜10重量%の硫酸、塩酸等の酸水溶液を用い、アニオン交換樹脂の場合は、2〜10重量%水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液を用いる。復水脱塩装置の場合は、硫酸および水酸化ナトリウムを用い、別々の塔で塔外再生を行うのが好ましい。それ以外の一般の混床式イオン交換装置の場合は、塩酸および水酸化ナトリウムを用いる場合が多い。
再生剤の通液速度、押出、水洗等の条件は通常の再生の場合と同様である。
【0029】
本発明では二酸化炭素含有ガスとの接触により、アニオン交換樹脂はHCO3形となっており、このHCO3形の樹脂は水酸化ナトリウムにより容易に再生される。ここで「容易に再生される」とは、アニオン交換樹脂に吸着された重炭酸イオンが水酸化ナトリウムにより容易に脱着されて再生が容易であることのほかに、Cl形から直接水酸化ナトリウムで再生する場合よりも再生効率がよく、少ない再生剤使用量での再生が可能であることを意味する。
【0030】
凝集破壊のために塩酸、硫酸、水酸化ナトリウムを用いて全樹脂がCl形、SO4形、Na形等になる場合は、これをOH形またはH形にするためには多量の再生剤を必要とするが、本発明ではHCO3形をOH形に転換するのは容易で、再生効率もよいことから、少量の再生剤で効率よく再生することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、混合状態のイオン交換樹脂を、10容積%以上の二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスと接触させ、水逆洗により樹脂を分離して再生するようにしたので、安価な材料を用いて簡単な操作により樹脂の凝集を破壊することができ、これによりアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の分離精度を改善するとともに、再生効率を高くして、再生剤の使用量を少なくし、良好な処理水質を得ることが可能なイオン交換樹脂の分離、再生方法が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、復水脱塩装置における混床式イオン交換装置のイオン交換樹脂を塔外再生する例を中心に発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は復水脱塩装置の混床式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の再生工程を示す系統図である。図1において、1は脱塩塔、2はこの脱塩塔1に充填されたイオン交換樹脂、3はカチオン再生塔(樹脂分離兼用)、3a,3b,3cは集散水用のストレーナ、3dは薬注用のストレーナ、3eはコレクタ、4はアニオン再生塔、4a,4bは集散水用のストレーナ、5は中間樹脂貯槽、V1〜V22はバルブである。
【0034】
上記の構成において、復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂2の再生は通常次のようにして行われる。まず、バルブV1、V2、V8、V13、V14、V15を開(他のバルブは閉、以下同)の状態にして、流路6から空気、および流路7から水を脱塩塔1に導入することにより、混床を形成しているイオン交換樹脂2を流路8を通してカチオン再生塔3に移送する。このときカチオン再生塔3に導入される水は、カチオン再生塔3の上部の流路9,10から排出する。
【0035】
移送終了後、水および空気の導入を停止し、バルブV5を開いて水抜きし、液面11を低下させて休止する。
その後バルブV8、V12を開き、流路12からストレーナ3cを通して二酸化炭素含有ガスを吹き込み、樹脂層をほぐして、付着物を剥離するとともに、樹脂の凝集を破壊する。
【0036】
二酸化炭素含有ガスの吹込停止後、バルブV1、V8、V11を開いて、流路12から水を導入し、上向流で水逆洗を行って樹脂層を展開させ、剥離した汚水を除去するとともに、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を分離する。
【0037】
樹脂層を展開、分離してアニオン交換樹脂層の下部(界面付近の樹脂が混合した中間樹脂層の上部)をコレクタ3eに合わせた状態でバルブV17、V19を開くと、アニオン交換樹脂は流路13からアニオン再生塔4に移送される。
バルブV17、V19を閉じ中間樹脂層の下部(カチオン交換樹脂層の上部)をコレクタ3eに合わせた状態でバルブV16を開くと、中間樹脂層の混合樹脂が流路14から中間樹脂貯槽5に移送される。
【0038】
カチオン再生塔3およびアニオン再生塔4の樹脂層を静止させ、バルブV3、V6、V18、V19を開いて、それぞれ流路15、16から再生剤(酸水溶液またはアルカリ水溶液)を注入して薬注を行い、さらにほぼ同量の水を注入して押出を行ったのち、バルブV7、V10を開いて水洗を行い、カチオンおよびアニオン交換樹脂を再生する。
【0039】
再生終了後、バルブV4、V9、V20、V21を開いて流路17,18から再生済の樹脂を樹脂貯槽(図示せず)へ移送し、混合した状態で貯留する。貯留した樹脂は、次の再生のために樹脂を取出して空になった脱塩塔1に移送して脱塩に供される。
【0040】
一方、中間樹脂貯槽5に貯留した中間樹脂はバルブV1、V2、V22を開くことにより、カチオン再生塔3に移送し、次の再生時に分離、再生される。中間樹脂貯槽5を省略する場合は、引出された中間樹脂は樹脂貯槽へ移送され、再生することなく次の脱塩時に再生済の樹脂とともに脱塩塔1へ移送することができる。
【0041】
以上は復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂の再生方法を示す好ましい形態であるが、一般の純水製造装置等における混床式イオン交換装置の再生の場合には、塔外再生を行うことなく、脱塩塔1内でカチオンおよびアニオン交換樹脂の分離再生を行う場合がある。
この場合、ストレーナ1aから二酸化炭素含有ガスを吹き込んで、樹脂を解きほぐし、汚れの剥離および凝集破壊を行った後、水逆洗を行ってカチオンおよびアニオン交換樹脂層を分離する。
【0042】
そして樹脂界面付近に設けたストレーナ1bから排水しながら、塔底からカチオン交換樹脂層に上向流で通水するとともに、ストレーナ1cから再生剤(アルカリ水溶液)を薬注してアニオン交換樹脂層の再生を行い、さらにほぼ同量の水を注入して押出を行う。その後塔上部からアニオン交換樹脂層に下向流で通水するとともに、ストレーナ1aから再生剤(酸水溶液)を薬注してカチオン交換樹脂の再生を行い、さらにほぼ同量の水を注入して押出を行う。
【0043】
さらに両樹脂層を水洗した後、塔底部から空気を吹込んで樹脂層を攪拌し、カチオンおよびアニオン交換樹脂を混合して混床を形成し、再生工程を終る。その後通水を再開してイオン交換工程に移る。
【0044】
上記のような1塔内で再樹脂の分離再生を行う再生を、脱塩塔とは別に設けた再生塔で行う場合もある。この場合は脱塩塔から再生塔に樹脂を移送した後、上記の操作を行い、再生後両樹脂を脱塩塔に戻して混合する。
【0045】
さらに脱塩塔をカチオン再生塔として用い、アニオン交換樹脂を別の再生塔で再生する場合もある。この場合は脱塩塔で、二酸化炭素含有ガスの吹込および逆洗分離を行ったのち、アニオン交換樹脂を再生塔に移送し、それぞれの樹脂を再生する。再生後はアニオン交換樹脂を脱塩塔に戻して混合する。
【0046】
そのほか目的に応じて種々の分離再生方法があるが、いずれの場合も、混合樹脂の逆洗分離の際、二酸化炭素含有ガスを吹き込むことにより、凝集破壊を行い、両樹脂の分離性を改善する。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。各例中、%は重量%である。
【0048】
比較例1
図1の復水脱塩装置を模擬した以下の仕様の装置で試験した。脱塩塔1は、塔径350mmφ、高さ2.1mの円柱状の塔である。カチオン再生塔3は塔径250mmφ、高さ3.1mの円柱状の塔である。アニオン再生塔4は塔径150mmφ、高さ3.1mの円柱状の塔である。
【0049】
この脱塩塔に再生済の新しいカチオン交換樹脂を85 liter、再生済の新しいアニオン交換樹脂を40 liter充填して混合後、1mg/lのNH3を含む合成復水を10m3/hの流速で7日間通水した後、樹脂をカチオン再生塔3に移送した。そして空気逆洗により樹脂層をほぐすとともに、汚れを剥離した後、水逆洗により両樹脂を分離し、上部のアニオン交換樹脂をアニオン再生塔4に移送した。次いで、中間樹脂として中間樹脂槽にカチオン再生塔に残った樹脂の上部樹脂6 literを移送した。
【0050】
カチオン交換樹脂は硫酸で、アニオン交換樹脂は水酸化ナトリウムで1回目の樹脂再生を行った結果、再生後のカチオン交換樹脂のカチオン交換基全体に対するR−Na形の比率は1.2%、再生後のアニオン交換樹脂のアニオン交換基全体に対するR−Cl形の比率は18%であった。
【0051】
再生後の樹脂を水洗して、脱塩塔1に移送混合して、前サイクルと同様に合成復水を通水した。そして通水後の樹脂を前記と同様に再生塔に移送して2回目の再生操作を同様に行った。
再生後のカチオン交換基全体に対するR−Na形の比率は0.6%、再生後のアニオン交換基全体に対するR−Cl形の比率は15%であった。
【0052】
以下同様に、3回目の再生を行った結果、R−Na形の比率は0.4%、R−Cl形の比率は13%、4回目の再生結果は、R−Na形の比率は0.15%、R−Cl形の比率は10%であった。
このような繰り返しを、10回実施した後の再生では、R−Na型比率は0.15%、R−Cl型比率は6%で9回目の再生結果とほぼ同一値であった。
【0053】
実施例1
比較例1と同一の装置において、樹脂を新樹脂に入れ替え、同一操作を実施した。ただし樹脂を脱塩塔から再生塔に移送した後、比較例1の空気逆洗の代りに100容積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスを150N liter/minで7分間注入した後、水逆洗分離操作を実施した。他の操作は比較例1と同様である。
【0054】
1回目の再生を行った結果、再生後のカチオン交換基全体に対するR−Na形の比率は0.4%、再生後のアニオン交換基全体に対するR−Cl形の比率は8%であった。
2回目の再生後のR−Na形の比率は0.3%、R−Cl形の比率は6.5%であった。
【0055】
3回目の再生結果はR−Na形の比率は0.2%、R−Cl形の比率は6%、4回目の再生結果はR−Na型比率0.15%、R−Cl形の比率は6%であり、比較例1で10回実施した後の再生結果と同一の再生状態を4回の再生で得ることができた。
このように実施例1では、比較例1の従来法に比較して、より早くから安定した樹脂の再生状態を得ることができ、二酸化炭素注入により樹脂の分離性が改善され、逆再生が防止されることがわかる。
【0056】
比較例2
2床3塔混床型純水装置の最終段の混床式イオン交換脱塩塔として塔径250mmφ、高さ3.7mの円柱状の塔で試験した。
この塔内に再生済の新しいカチオン交換樹脂を20 liter、再生済の新しいアニオン交換樹脂を44 liter充填して、水道水を11m3通水した後、空気逆洗および水逆洗を行って両樹脂を分離した。そしてカチオン交換樹脂は塩酸で、アニオン交換樹脂は水酸化ナトリウムで1回目の再生を行った結果、再生後のカチオン交換基全体に対するR−Na形の比率は8.2%、再生後のアニオン交換基全体に対するR−Cl形の比率は43%であった。
【0057】
同様に水道水を通水した後、第2回目の樹脂再生を行った結果、再生後のカチオン樹脂交換基全体に対するR−Na形の比率は7.2%、再生後のアニオン樹脂交換基全体に対するR−Cl形の比率は37%であった。
さらに水道水を通水した後、第3回目の再生を実施した結果は、R−Na形の比率は5%、R−Cl形の比率は31%であった。
【0058】
このような繰り返しを、10回実施した後の再生では、R−Na型比率は3.2%、R−Cl型比率は28%で9回目の再生結果と同一値であった。
上記の通り、通常の混床塔では、混合樹脂の分離、再生を1回行っても、再生されない樹脂がかなり多く残り、10回の分離再生後にようやく再生されない樹脂の割合が一定になることがわかる。
【0059】
実施例2
比較例2と同一の装置において、再生した新しい樹脂に入れ替え、比較例2の空気逆洗に代え、100容積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスを80N liter/minで5分間注入した後、水逆洗を行って分離操作を行い、他は比較例2と同条件で試験を行った。
【0060】
すなわち、水道水を11m3通水した後、二酸化炭素を注入し、水逆洗で両樹脂を分離した。そしてカチオン交換樹脂は塩酸で、アニオン交換樹脂は水酸化ナトリウムで1回目の再生を行った結果、再生後のカチオン交換基全体に対するR−Na形の比率は3.5%、再生後のアニオン交換基全体に対するR−Cl形の比率は29.5%であった。
同様に水道水を通水し、2回目の樹脂再生を行った結果、再生後のカチオン交換基全体に対するR−Na形の比率は3.2%、再生後のアニオン樹脂交換基全体に対するR−Cl形の比率は29%であった。
【0061】
さらに水道水を通水した後、3回目の再生を実施した結果は、R−Na形の比率は3.2%、R−Cl形の比率は28.4%であった。
【0062】
このような繰り返しを、10回実施した後の再生では、R−Na型比率は3.2%、R−Cl型比率は27%で3回目の再生結果と同一値であった。
以上のように、1回目の再生で比較例2の従来法の10回再生に近いところまで再生され、ほぼ3回の再生で定常値までになり、二酸化炭素の注入により樹脂の分離性が改善され、逆再生が防止されることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明は復水脱塩装置に適用した実施形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 脱塩塔
1a,1b,1c ストレーナ
2 イオン交換樹脂
3 カチオン再生塔
3a,3b,3c,3d ストレーナ
3e コレクタ
4 アニオン再生塔
4a,4b ストレーナ
5 中間樹脂貯槽
V1〜V22 バルブ
Claims (3)
- 混床を形成しているイオン交換樹脂を分離して再生する方法において、
混合状態のイオン交換樹脂を、10容積%以上の二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスと接触させ、
逆洗によりカチオン交換樹脂層とアニオン交換樹脂層に分離し、
それぞれの樹脂層を再生剤と接触させて再生することを特徴とするイオン交換樹脂の分離、再生方法。 - 二酸化炭素含有ガスの供給量が、前記混合状態のイオン交換樹脂の樹脂量の3〜50容積倍量、かつ供給流量が0.3〜5m 3 −ガス/m 3 −樹脂/分であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 混床を形成しているイオン交換樹脂の分離、再生が、新しい樹脂投入後、あるいは樹脂補給後の最初ないし10回目の分離、再生であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
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