JP3837248B2 - 鋼材の接合方法、構造物及び部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼材の接合方法及び装置、並びに接合面加工方法及び装置に関し、例えば鋼材を重ね合わせてボルト、リベットなどの結合部材によって締め付けることにより重ね合わせ面において強固に接合できるようにしようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物、橋梁等の鉄骨構造物建設現場においては、大型の鋼板や鉄骨などを継ぐために、一端面を互いに直接重ね合わせるか、又は目板を重ねてボルトやリベットで締め付けることにより、鋼板や鉄骨などを接合するような手法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように鋼板や鉄骨などの建造物素材やそれらを接合するために用いられる材料(以下これらの素材、材料を鋼材と呼ぶ)相互の接合面の摩擦係数が小さいと、鋼材をボルト、リベットによって仮締め又は本締めしたときに、鋼材の継目に鋼材の自重が負荷されているため、鋼材がボルトをせん断する方向に互いに面づれし、その結果設計仕様に従って鉄骨構造物を組み立てることができなくなるおそれがある。
【0004】
この点について従来は、鉄骨構造物を組み立てる前に、予め、鋼材を屋外に野積みしておくことにより、鋼材の接合面を錆させて接合面間の摩擦係数を大きくするような方法が用いられていたが、このような方法によると、鉄骨構造物の組立て作業が一段と複雑となる問題があった。
【0005】
また、この問題を解決する手段として、特願平6-171536号及び特願平7-179291号によって接合面の摩擦力を増大させるための加工工具が提案されている。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な手法によって鋼材の接合面をできるだけ強固に接合させることができるようにした鋼材の接合方法及び装置、並びに接合面加工方法及び装置を提案しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、第1及び第2の鋼材2、2Xの接合面に互いに重ね合せて接合面に穿設された結合孔11を挿通する結合部材によって第1及び第2の鋼材2、2Xを圧接固定させることにより第1及び第2の鋼材2、2Xを接合する鋼材接合方法及び構造物において、圧接固定する前に、第1の鋼材2の接合面について、第1の円錐傾斜面38A上に同心円状に1組又は複数組の山部及び谷部を有する転造刃38Bを形成してなる第1の転造ダイス36L、36Rを用いて、第1の円錐傾斜面38Aによって結合孔11を中心にして同心円を描く位置を転造させることにより、第1の鋼材2の結合孔11の周囲に同心円状に1組又は複数組の山45A及び溝45Bを形成してなる同心円状凹凸を有する第1のすべり抑制加工面45を形成すると共に、圧接固定する前に、第2の鋼材2Xの接合面について、第2の円錐傾斜面38A上に同心円状に第1の円錐傾斜面38A上の山部及び谷部の位置を入れ換えたと同様の1組又は複数組の山部及び谷部を有する転造刃38Cを形成してなる第2の転造ダイス36LX、36RXを用いて、第2の円錐傾斜面38Aによって結合孔11を中心にして同心円を描く位置を転造させることにより、第2の鋼材2Xの結合孔11の周囲に同心円状に1組又は複数組の山45A及び溝45Bを形成してなる同心円状凹凸を有する第2のすべり抑制加工面45Xを形成し、圧接固定する際に、第1のすべり抑制加工面45の同心円状凹凸の山45Aを第2のすべり抑制加工面45Xの同心円状凹凸の溝45Bに嵌め合う状態にかみ合わせ、かつ第1のすべり抑制加工面45の同心円状凹凸の溝45Bを第2のすべり抑制加工面45Xの同心円状凹凸の山45Aに嵌め合う状態にかみ合わせるように、第1及び第2のすべり抑制加工面45、45Xを互いに重ね合せて第1及び第2の鋼材2、2Xを接合するようにする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下図面について本発明の一実施の形態を詳述する。
【0010】
(1)接合面加工装置の全体構成
図1及び図2において、1は全体として接合面加工装置を示し、鋼材の加工工場の自動搬送ラインによって搬送されて来る鋼材2を導入台3上に設けられている自動ライン送り電気モータ4によって駆動される送込みローラ5及び従動ローラ6によって矢印aで示す搬入方向に案内部材3Aに沿って作業台7の作業テーブル8に送り込む。
【0011】
作業台7には、作業テーブル8の上流側及び下流側にそれぞれ位置決めローラ9及び10が設けられ、図3に示すように、鋼材2の加工基準位置PO1(例えば結合孔として機能するボルト孔11の中心位置)が作業テーブル8の作業基準位置PO2と一致する位置に案内部材7Aを用いて、鋼材2を位置決めした後、加工機構部15の主軸装置16に装着された接合面加工工具17が鋼材2に圧接した状態で転動することにより、鋼材2が転造加工処理される。この場合、主軸装置16は接合面加工工具17を装着する出力軸を、電気モータによって回転駆動すると共に、油圧装置によって作業テーブル8の方向に加工圧接させた後上昇退避するようになされている。
【0012】
かくして加工処理された鋼材2は、排出台20に設けられたモータ21によって駆動される送出しローラ22及び従動ローラ23によって矢印bによって示す搬出方向に、案内部材20Aに沿って搬出される。
【0013】
加工機構部15は、位置調整用レール25上に載置され、これにより全体として鋼材2の搬入・搬出方向(これをx方向と呼ぶ)に主軸装置16従って工具17を位置調整できるようにx方向に位置調整動作すると共に、位置調整機構26によって主軸装置16を鋼材2の搬入・搬出方向と直交する方向(これをy方向と呼ぶ)に位置調整する。
【0014】
かくして加工機構部15は、接合面加工処理対象である鋼材2が作業テーブル8に位置決めされたとき、x方向及びy方向について工具17の位置を調整することにより、工具17を鋼材2に予め穿設されているボルト孔11の中心位置に位置合せする。
【0015】
(2)接合面加工工具
接合面加工工具17は、図4に示すように、主軸装置16に工具17を取り付けるための取付子31を上方に延長させてなる工具本体部32を有する。
【0016】
工具本体部32は、回転中心軸線PO3上に順次ばね受軸32A、1つのコイルスプリング32B及び円筒状スプリングケース32Cを積み重ねることにより、スプリングケース32Cから上方に突出する取付子31を下方に押し下げたとき、コイルスプリング32Bのスプリング力に相当する押圧力をばね受軸32Aに伝えるようになされている。
【0017】
スプリングケース32Cの下端縁部はばね受軸32Aの外周面と対向する位置まで延長し、その外周面に圧力設定リング32Dがねじ込まれている。圧力設定リング32Dの下端内縁部には係合爪32Eが設けられ、これがばね受軸32Aの下端外周縁部に設けられた鍔部32Fと回転自在に係合することにより、圧力設定リング32Dをねじ込むことによってコイルスプリング32Bを圧縮して所定のスプリング力を呈する状態に設定することができる。
【0018】
ばね受軸32Aは下端面に設けられたねじ孔32Gによって工具支持部材33の上端部に結合され、工具支持部材33の圧力設定リング32Dの下端縁に対応する位置に目盛られた目盛32Hによって、圧力設定リング32Dが所定のスプリング力を生ずる状態になっているか否かを目視確認することができるようになされている。
【0019】
この実施の形態の場合、スプリングケース32Cの腹部分に上下方向に延長する長孔32Iが穿設されると共に、ばね受軸32Aの外面に植立されたトルク伝達ピン32Jが長孔32I内に突出係合され、これによりスプリングケース32Cが主軸装置16によって回転駆動されたとき当該回転トルクを長孔32I及びトルク伝達ピン32Jを介してばね受軸32A及び工具支持部材33に伝達するようになされている。
【0020】
工具支持部材33は断面コ字状を有し、前後位置において互いに対向して下方に延長する一対の支持板部33A及び33B間に、転造ダイスホルダ34を配設し、支持板部33A及び33Bの先端部においてそれぞれ前後方向に内方に突出するように設けられた回動支持軸35A及び35Bに、転造ダイスホルダ34を矢印dに示す方向に回動自在に軸支している。
【0021】
工具支持部材33は、工具17の回転中心軸線PO3を中心として左右対称位置を転動する一対の転造ダイス36L及び36Rを有する。転造ダイス36L及び36Rは互いに同一の構造を有し、図5(A)に示すように、円柱状の回転軸部37の先端に一体に円錐台形状のダイス頭部38が形成されている。
【0022】
ダイス頭部38の円錐傾斜面38Aには、図5(B)に示すように、円錐傾斜面38Aに沿って、中心軸線PO4を中心として同心円状に、ほぼ断面三角波形状の転造刃38Bが形成されている。
【0023】
転造ダイス36L(36R)は、それぞれベアリング収納部材40内に、スラストボールベアリング40A及びラジアルボールベアリング40Bによって回転自在に保持され、ベアリング収納部材40を取付ねじ41によって転造ダイスホルダ34に取り付けられたとき、転造ダイス36L(36R)は、鋼材2の表面が傾いていないときは、円錐傾斜面38Aが回転中心軸線PO3と直交する基準面FOと接する状態で、かつ中心線PO4が基準面FOに対して取付け角度θだけ傾斜した状態で転造ダイスホルダ34に保持される。
【0024】
因に、転造動作時には、スラストボールベアリング40Aに対して、例えば数トンの押圧力が付与されるが、この大きな押圧力を円錐傾斜面38Aの鋼材2の接触面に安定に受ける条件として、取付け角度θを、好ましくは、θ≒40°に選定する。
【0025】
このように転造ダイスホルダ34に保持された状態において、転造作業時、転造ダイス36L(36R)の円錐傾斜面38Aは、図6(A)に示すように、鋼材2の表面に圧接する状態になり、この状態において工具17が回転することにより円錐傾斜面38Aに形成された転造刃38Bの山部が鋼材2の表面に食い込みながら転動し、その結果転造刃38Bが鋼材2の表面を塑成加工しながら、図6(B)及び(C)に示すように、転造刃38Bの表面形状と同じ形状の、ほぼ断面三角波形状の、同心円状凹凸を、すべり抑制加工面45として形成する。
【0026】
この実施の形態の場合、転造刃38Bは4つの二等辺三角形状の山部及び1つの二等辺三角形の半部形状の山部を有し、これにより山部を有する刃部38Cによって構成され、各刃部38Cの山部の頂角αが、図6(A)に示すように、α=60°〜 170°に選定されている。
【0027】
因に、頂角αを60°〜 170°に選定すれば、図6(B)及び(C)に示すように、鋼材2の表面に、強度が実用上十分大きいすべり抑制加工面5の凹凸を転造できるのに対して、頂角αを60°以下に選定すると凹凸の強度が低下すると共に、 170°以上にするとすべり抑制加工面の加工作業が困難になる。
【0028】
(3)接合面の加工動作及び効果
以上の構成において、鋼材2が導入台3から作業台7に送り込まれて、接合孔となるボルト孔11の加工基準位置PO1が作業テーブル8の作業基準位置PO2と一致するような位置に鋼材2が位置決めされたとき、加工機構部15の主軸装置16がx及びy方向に工具17を位置調整動作することにより、回転中心軸線PO3がボルト孔11の加工基準位置PO1と一致する状態になる。
【0029】
この状態において、加工機構部15の主軸装置16は、電気モータによって主軸を回転させながら、油圧ポンプによって下降させることにより、工具17の転造ダイス36L(36R)を鋼材2の表面に圧接させる。
【0030】
このとき、転造ダイス36L(36R)は、工具17の回転中心軸線PO3に対して対称に、取付け角度θで、転造ダイスホルダ34に取付けられていることにより、円錐傾斜面38A上に形成された転造刃38Bの山部が鋼材2の表面上を転動しながら鋼材2の表面に食い込むことにより転造加工をする。
【0031】
その結果、鋼材2のボルト孔11の周囲には、円錐傾斜面38A上に形成された転造刃38Bの形状(この実施の形態の場合、ほぼ断面三角波形状)によって決まる凹凸(この実施の形態の場合、図6(C)に示すように、同心円状のほぼ断面三角波形状の凹凸で、複数の山45Aの間に溝45Bを有する)をもつすべり抑制加工面45が形成される。
【0032】
このようにして、円錐傾斜面38Aの刃部38Cの山部の直径が内側から外側に行くに従って大きくなることにより、工具17が回転中心軸線PO3を中心にして1回転したとき、内側及び外側の刃部38Cがすべり抑制加工面45に対して与える「こじり」の差を実用上十分に小さくすることができ、その結果すべり抑制加工面45の同心円状凹凸形状を一様な精度でかつ大きい強度で塑性加工することができる。
【0033】
因に、例えば、円錐傾斜面38Aに代えて、同筒状ダイス頭部の円筒面上に複数の刃部38Cを形成して複数の同心円状凹凸を形成しようとした場合、内側及び外側の同心円状凹凸部分の曲率半径が互いに相違するのに対して、同じ曲率半径をもつ刃部によって凹凸を刻むことになるので、内側の同心円状凹凸及び外側の同心円状凹凸に対する対応する刃部の「こじり」の差は大きくなる。
【0034】
これに対して上述の実施の形態によれば、円錐傾斜面38Aを用いることにより、内側から外側に並ぶ刃部の曲率半径の変化を、対応する同心円状凹凸の曲率半径の変化に適応させることができ、これにより内側及び外側の刃部における「こじり」の差を小さくできる。
【0035】
このすべり抑制加工面45の凹凸の深さは、工具17によって複数回(20〜30回程度)回転させて転造刃38Bによる転造作業を繰り返させることにより、深くなって行く。
【0036】
かくして転造ダイス36L(36R)の転造作業によって鋼材2のボルト孔11の周囲にすべり抑制加工面45を加工し終わると、主軸装置16が工具17を上昇させた後、当該加工後の鋼材2が排出台20によって外部に排出される。
【0037】
かかる転造作業の際に、鋼材2の表面が、転造ダイス36L(36R)の円錐傾斜面38Aの基準面FOと一致せずに傾斜しているときは、転造ダイスホルダ34が鋼材2の表面に習うように回動支持軸35A(35B)を中心にして回動調整動作をすることにより、円錐傾斜面38Aの傾きを鋼材2の表面の傾きと一致させる。これにより主軸装置16から工具17に与えられる押圧力は、転造刃38Bの各刃部38Cに対してほぼ一様に付与され、これによりすべり抑制加工面45は全面についてほぼ一様の凹凸をもつことになり、その結果すべり抑制加工面45を一様に転造加工することができる。
【0038】
このような転造作業の際に、転造ダイス36L(36R)の円錐傾斜面38Aの鋼材2の表面に対する押圧力は、工具本体部32に設けられた圧力設定リング32D及び目盛32Hによって目視確認することにより、コイルスプリンク32Bのスプリング力により決まる一定値に保持し得、これにより、鋼材2の表面に刻まれるすべり抑制加工面45を構成する山45A及び溝45Bを高くかつ安定な精度で転造できる。
【0039】
(4)鋼材の接合
図6に(A)〜(C)について上述したようにして工具17によってすべり抑制加工面45が形成された鋼材2は、図7に示すように、すべり抑制加工面45の山45Aが接合対象となる鋼材2の接合面に接触した状態でボルト孔11を挿通したボルト、リベットなどの結合部材によって締め付けられることにより、すべり抑制加工面45の山45Aが接合対象の鋼材2の表面に食い込む状態になり、その結果摩擦力を大きくできることにより鋼材2の接合面におけるすべりを小さい値に抑制できる。
【0040】
この接合作業の際に、接合対象となる鋼材2として、図7に示すように、すべり抑制加工面を形成しないものを用いることの外、その接合面にもすべり抑制加工面45と同様のすべり抑制加工面又は他のすべり抑制加工面を形成したものを用いても良い。
【0041】
(5)接合面加工工具の他の実施の形態
接合面加工工具17として、図4及び図5(A)及び(B)について上述したもの以外に、以下に述べる構成のものを適用し得る。
【0042】
(5−1)複数コイルスプリング型接合面加工工具
図8及び図9は複数コイルスプリング型接合面加工工具17を示すもので、この場合工具17は、図4との対応部分に同一符号を付して示すように、工具本体部32は圧力設定部材として3つのコイルスプリング52A〜52Cを有する。
【0043】
この場合、ばね受軸32A上の角等間隔を保った位置に、回転中心軸PO3に沿う方向に上方にコイルスプリング案内軸53A〜53Cが植立され、このコイルスプリング案内軸53A〜523に案内されるように配設されたコイルスプリング52A〜52Cが、スプリングケース32Cに与えられた押圧力をばね受軸32Aに伝えるように構成されている。
【0044】
以上の構成において、主軸装置16から取付子31を介してスプリングケース32Cに伝達された押圧力は、3つのコイルスプリング52A〜52Cを介してばね受軸32Aに伝達され、かくして、一対の転造ダイス36L及び36Rがコイルスプリング52A〜52Cのスプリング力に相当する圧力で鋼材2に押し付けられる。
【0045】
その結果鋼材2には、図6(A)〜(C)について上述したと同様にして、転造ダイス36L及び36Rの転造刃38Cによってほぼ断面三角波形状の同心円状凹凸をボルト孔11の周囲に刻んでなるすべり抑制加工面45が形成される。
【0046】
かくするにつき、図8の構成によれば、スプリングケース32Cから与えられる押圧力を3つのコイルスプリング52A〜52Cによって分担できることにより、各コイルスプリング52A〜52Cの構成を小型化でき、これによりコイルスプリングの製造、調整を一段と簡易化し得るような工具17を得ることができる。
【0047】
(5−2)さらばね型接合面加工工具
図10はさらばね型接合面加工工具17を示すもので、図4との対応部分に同一符号を付して示すように、工具17は、断面コ字状の取付子31を有する。
【0048】
取付子31は中央部に上下方向に貫通する中心孔55Aを有する水平板部55Bを有し、その前及び後端部から下方に互いにほぼ平行に一対の支持板部55C及び55Dが延長し、その下方端部にそれぞれ設けられた上下方向の長孔でなる支持孔55E及び55Fに、転造ダイスホルダ34から前方及び後方に突出する回動支持軸35A及び35Bを、挿通保持している。
【0049】
この実施の形態の場合、図4の場合の工具支持部材33に相当する部材はもっておらず、転造ダイスホルダ34の上端面において回転中心軸線PO3に沿うように案内子34Aが植立され、その先端部が取付子31の中心孔55A内に直接に突き出すことにより、案内子34Aの周囲における転造ダイスホルダ34の上端面及び水平板部55Bの下端面間の空間にさらばね34Bを収納支持している。
【0050】
以上の構成において、工具17が鋼材2に押し付けられていない状態において、さらばね34Bがそのスプリング力によって転造ダイスホルダ34の上面と取付子31の水平板部55Bの下面との間を押し拡げるような状態になり、このとき転造ダイスホルダ34は回動支持軸35A及び35Bが支持板部55C及び55Dの支持孔55E及び55Fの下方端面に当接した状態になる。
【0051】
この状態において、工具17が主軸装置16によって鋼材2の表面に押圧されると、その押圧力は取付子31の水平板部55Bからさらばね34Bに与えられ、これによりさらばね34Bが圧縮動作をすることにより転造ダイスホルダ34の回動支持軸35A及び35Bが支持孔55E及び55Fの下端面から離れて遊動する状態になり、かくして取付子31に与えられた押圧力がさらばね34Bに設定されたスプリング力に相当する押圧力として転造ダイスホルダ34、従って転造ダイス36L及び36Rの円錐傾斜面38Aに与えられる。
【0052】
以上の構成によれば、図6(A)〜(C)について上述したと同様にして、転造ダイス36L及び36Rによって鋼材2の表面にほぼ断面三角波形状のすべり抑制加工面45がボルト孔11の周囲に転造される。
【0053】
かくするにつき、圧力設定要素としてさらばね34Bを用いるようにしたことにより、主軸装置16が降下動作して転造ダイス36L及び36Rが鋼材2に当接したとき、大きな衝撃を与えることなく(当接した際の衝撃をさらばねの圧縮動作により吸収するため)鋼材2に対する転造動作を開始できるような工具17を得ることができる。
【0054】
(5−3)キー溝型接合面加工工具
図11はキー溝型接合面加工工具17を示すもので、この場合工具17は、図4との対応部分に同一符号を付して示すように、図4の工具17において、長孔32I及びこれと係合するトルク伝達ピン32Jでなる回転トルク伝達手段を、他の構成に置き換えたものである。
【0055】
すなわち、ばね受軸32Aはその上面外周部にコイルスプリング32Bの外周面に沿って上方に延長するリング部32Kを有し、リング部32Kの外周面の所定の角度位置に上下方向にキー溝32Lが形成されている。キー溝32Lには、スプリングケース32Cの厚味を貫通するように設けられたねじ孔に外方からねじ込まれたロック用ねじ32Mが突出係合している。
【0056】
以上の構成において、スプリングケース32Cが回転駆動されたときロック用ねじ32Mがキー溝62Lに係合していることにより、スプリングケース32Cに与えられた回転トルクがロック用ねじ32M、キー溝32Lを介してばね受軸32Aに伝達され、かくしてロック用ねじ32M及びキー溝32Lが回転トルク伝達手段を形成する。
【0057】
この場合、圧力設定リング32Dのスプリングケース32Cに対するねじ込み量が変更されることによりスプリングケース32Cのばね受軸32Aに対する相対的位置が変更されたとき、ロック用ねじ32Mのキー溝32Lに対する係合位置が上下方向にずれることにより当該圧力設定リング32Dによる調整が許容される。
【0058】
以上の構成によれば、図4の構成の工具17と同様の作用効果をもつ工具を得ることができる。
【0059】
(6)インロー方式の接合
(6−1)図12及び図13はインロー方式による鋼材の接合方法を示すもので、転造ダイス36L及び36Rとして図4、図8、図10及び図11について上述したものを用いて図12(A)〜(C)に示すような転造加工(図6(A)〜(C)について上述したと同様の)をすることにより、ほぼ断面三角波形状のすべり抑制加工面45を刻み込んだ第1の鋼材2を得る。
【0060】
これに加えて、この接合方法の場合は、図13(A)に示すように、円錐状傾斜面38Aのほぼ断面三角波形状の山部及び谷部を入れ換えたと同様の転造ダイス36LX及び36RXを用いて第2の鋼材2Xを転造加工することにより、図13(B)及び図13(C)に示すように、ボルト孔11を中心として輻方向に外方に行くに従って山45A及び溝45Bの位置が、第1の鋼材2(図12(B)及び(C))とは入れ換ったと同様のすべり抑制加工面45Xを刻み込んだ第2の鋼材2Xを得る。
【0061】
このようにして第1の転造ダイス36L及び36Rをもつ工具17によって転造加工した第1の鋼材2と、第2の転造ダイス36LX及び36RXをもつ工具17によって転造加工して得た第2の鋼材2Xは、図14に示すように、山45Aを相手方の溝45Bに互いに嵌め合うようにかみ合う凹凸形状をもつことになる。従って、第1及び第2の鋼材2及び2Xをボルト孔11を中心としてすべり抑制加工面45及び45X互いに向かい合せてボルトで締め付けたとき、一方の鋼材2のすべり抑制加工面45の山45Aが相手方の鋼材2Xのすべり抑制加工面45Xの溝45Bに丁度嵌まり込むと共に、当該一方の鋼材2のすべり抑制加工面45の溝45Bに相手方の鋼材2Xのすべり抑制加工面45Xの山45Aが丁度嵌め合うようにかみ合った状態で接合することができる(この接合方法をインロー(In a raw)方式の接合方法と呼ぶ)。
【0062】
このように2つの鋼材2及び2Xを接合するとき、各鋼材のすべり抑制加工面について、自分の山(又は溝)が相手方の溝(又は山)に丁度嵌まり合うようにかみ合うインロー方式で接合した場合、2つの鋼材の接合面におけるずれを十分に防止でき、これにより強固な鋼材の接合を実現できる。
【0063】
(6−2)インロー方式による接合の具体例として、図15に示すように、左右方向に延長し、かつ上下位置においてほぼ平行に配設された2枚の鋼板51A及び51Bを、その両端位置において垂直方向に、かつ互いにほぼ平行に、配設された2枚の鋼板51R及び51Lによって接合することにより、方形の枠建造物を組立てる。この場合、4隅において互いに重なり合う2枚の鋼板の端部を鋼板の厚みを貫通するように穿設された2つのボルト孔52A及び52Bを挿通するボルトによって締め付けることにより接合する際に、2枚の鋼板の接合面に図16に示すようなすべり抑制加工面45又は45Xを刻み込んだ後、当該すべり抑制加工面45及び45Xを互いにインロー方式で嵌め合うようにかみ合せた状態で、ボルト孔52A及び52Bを挿通したボルトによって2枚の鋼板を締めつける。
【0064】
このとき、ボルト孔52A及び52Bの周囲に同心円状にほぼ断面三角波形状の凹凸を有するすべり抑制加工面45及び45Xが嵌め合い状態において締め付けられることにより、2枚の鋼材が互いに接合面においてずれようとするとき、各すべり抑制加工面45及び45Xの山54Aが相手方の溝45Bに嵌め合うようにかみ合っていることにより2枚の鋼板のずれを妨げるような作用をする。
【0065】
この面ずれを妨げる力は、すべり抑制加工面45及び45Xが同心円状の山45A及び溝45Bを有する凹凸によって構成されていることにより、ボルト孔52A又は52Bから輻方向に全ての方向に作用する。従って、図15の枠建造物において、矢印eで示すように、水平方向にずれるような力が枠建造物に作用した場合や、矢印fで示すように、上下方向の力が枠建造物に作用したような場合にも、互いにインロー方式で嵌め合うようにかみ合った状態にあるすべり抑制加工面45及び45Xによって2枚の鋼板がずれるような動作をさせないようにできる。
【0066】
その結果、ボルト孔52A及び52Bを挿通するボルトに対してせん断力を与えないようにすることができることにより、全体として鋼板が強固に接合された枠建造物を組立てることができる。
【0067】
(6−3)次に、インロー方式の接合手法を、図17に示すような鉄骨構造物55のすじかい補強部材57に適用すれば、鉄骨構造物55の対地震性能を一段と高めることができる。
【0068】
図17の場合、鉄骨構造物55は、互いに平行な一対のはり鋼材55A及び55B間に、所定の間隔で複数のわたり鋼材55Cが渡され、わたり鋼材55Cの両端がはり鋼材55A及び55Bに固定されていることにより、複数の枠構造部56が順次はり鋼材55A及び55Bの延長方向に配列されるように形成されている。
【0069】
各枠構造部56の互いに対向する2つの隅部間には、すじかい補強部材57が設けられ、このすじかい補強部材57が各枠構造部56の変形に対する補強手段として機能する。
【0070】
すじかい補強部材57は、枠構造部56の四隅に固定されたブレース部材58を有し、互いに斜めに対向する一対のブレース部材58間を引張部材59によって連結することにより、枠構造部56の四隅部分を内側に引っ張って補強部材として作用する。
【0071】
ブレース部材58は、図18(A)及び(B)に示すように、ボルト58A及びナット58Bによって互いに重ね合せられた状態で締め付けられたブレスシート58C及びブレース58Dを有し、ブレスシート58Cの取付側面58Eが枠構造部56(図17)のはり鋼材55A又は55Bとわたり鋼材55Cとに例えば溶接により固定されると共に、ブレース58Dの先端部に溶接されたシャフト58Fが、引張部材59を構成する部材として枠構造部56の対向するブレース部材58の方向に引き出される。
【0072】
ブレスシート58Cのボルト孔58Gの周囲には、図19(A)に示すように、図12(A)〜(C)について上述したようにして転造加工されたすべり抑制加工面45が刻み込まれている。
【0073】
また、ブレース58Dのボルト孔58Hの周囲には、図19(B)に示すように、図13(A)〜(C)について上述したようにして転造加工されたすべり抑制加工面45Xがすべり抑制加工面45と嵌め合いになるように刻み込まれている。
【0074】
この場合、ブレスシート58Cのボルト孔58Gの周囲には、図20(A)及び図21(A)に示すように、円錐状傾斜面38Aに1つの山部45Aと2つの溝部45Bとをもつ転造刃38Cを形成してなる転造ダイス36L及び36Rを用いて、図21(B)及び(C)に示すように、2つの山45Aと1つの溝45Bとを有する同心円状の凹凸でなるすべり抑制加工面45が転造加工されている。
【0075】
これに加えて、ブレスシート58Dのボルト孔58Hの周囲には、図20(B)及び図22(A)に示すように、円錐状傾斜面38Aに2つの山部45A及び1つの溝部45Bをもつ転造刃38Cを形成してなる転造ダイス36LX及び36RXを用いて、図22(B)及び(C)に示すように、1つの山45Aと2つの溝45Bとを有する同心円状の凹凸でなるすべり抑制加工面45Xが転造加工されている。
【0076】
この結果、ブレスシート58C及びブレース58Dを互いに重ね合せてボルト孔58G及び58Hを挿通したボルト58Aで締め付けると、図23に示すように、すべり抑制加工面45及び45Xの山45Aが相手方の溝45Bに丁度嵌め合うようにかみ合った状態で、ブレスシート58C及びブレース58Dがインロー方式で接合される。
【0077】
かくして、ブレスシート58C及びブレース58Dは接合面におけるずれを十分に防止できることにより強固な接合を実現できる。かくするにつき、すべり抑制加工面45及び45Xとして、最小限1つの山45A及び2つの溝45B(並びに1つの溝45B及び2つの山45A)をインロー方式で互いに嵌め合うようにかみ合せるだけで実用上十分な強度が得られるので、接合すべき鋼材として、接合面の面積が小さいブレスシート58C及びブレース58Dであっても確実にすべり抑制加工面45及び45Xの転造加工を適用できる。
【0078】
実際上互いに向かい合う位置のブレース部材58のシャフト58Fの先端にはねじが切られており、当該ねじに引張部材59を構成する結合金具がシャフト58Fを互いに引き寄せる方向にねじ込むことによって結合するようになされ、これにより、枠構造部56(図17)の引張部材59が組み立てられる。
【0079】
図17〜図23の構成において、ブレース58Dがシャフト58Fによって相手方のブレース部材58の方向に引っ張られたとき、インロー方式によって互いに嵌め合う関係に加工されているすべり抑制加工面45及び45Xの山が相手方溝と噛み合うことにより、ブレスシート58Cに対するブレース58Dの面ずれを有効に防止でき、かくして、ブレスシート58C及びブレース58Dを強固に接合することができる。
【0080】
その結果、鉄骨構造部55が地震に遭遇することにより枠構造部56が変形しようとしたとき、当該変形に基づく引張力が引張部材59を介してブレース部材58のブレース58Dに与えられるが、ブレース58Dがインロー方式で互いに嵌め合うようにかみ合った状態でボルト58Aによってブレスシート58Cに締め付けられていることにより、ブレース58Dがブレスシート58Cに対して面ずれの発生を妨げるように作用し、かくして面ずれが生じたときに起こり得るボルト58Aのせん断を有効に防止し得る。
【0081】
図17〜図23の構成によれば、枠構造部56のすじかい補強部材57として、ボルトにより接合部の強度をインロー方式のすべり抑制加工面45R及び45Xによって強化できることにより、一段と対地震性に優れた鉄骨構造物55を組立てることができる。
【0082】
(6−4)次に、図24(A)〜(C)に、タイロッド60における接合方法を示す。
【0083】
タイロッド60は、棒状鋼材でなる2本のロッドの一端を互いに接合することにより一本のロッドとして使用できるように結合するもので、ロッド部60A及び60Bの先端にそれぞれ平板部60C及び60Dを形成し、当該平板部60C及び60Dの表面を2枚の間座金60E及び60Fによってサンドイッチ状に挟み込んだ状態において間座金60E及び60Fの両端部をボルト60G及びナット60H並びにボルト40I及びナット60Jによって締め付けることにより平板部60C及び60Dを互いに接合する。
【0084】
かくして2本のロッド部60A及び60Bが間座金60E及び60Fを介して互いに接合されることにより、全体として1本のロッドとして使用できる。
【0085】
この接合方法の場合、平板部60C及び60Dの両面には、ボルト孔60Lの周囲に図21(A)〜(C)について上述したと同様のすべり抑制加工面45が刻み込まれているのに対して、2枚の間座金60E及び60Fの内側面には、ボルト60G及び60Iに対応するボルト孔60M及び60Nの周囲に、図22(A)〜(C)について上述したと同様に、すべり抑制加工面45と嵌め合う構造のすべり抑制加工面45Xが刻み込まれている。
【0086】
図24(A)〜(C)の構成において、ロッド部60A及び60Bの先端部に形成された平板部60C及び60Dの両面に形成されたすべり抑制加工面45には、それぞれ間座金60E及び60Fの内側面に形成されたすべり抑制加工面45Xがインロー方式で嵌め合うようにかみ合った状態で、ボルト60G及び60Iによって締め付けられている。
【0087】
この状態において、矢印gに示す方向にロッド部60A及び60Bが引っ張られたとき(図24(B))、すべり抑制加工面45及び45Xの山45A及び溝45Bが互いに噛み合うことにより、間座金60E及び60Fに対する平板部60C及び60Dの面ずれを妨ぐことができ、その結果ボルト60G及び60Iに対するせん断のおそれを一段と軽減することができる。
【0088】
(6−5)次に、図25(A)〜(D)はスプライスプレートによってほぼ同じ厚さの鋼材を接合する場合の接合方法を示すもので、図25(A)に示すように、厚さが互いにほぼ等しい2つの鋼材65A及び65Bを互いに突き合せた状態で、一対の接合部材であるスプライスプレート66A及び66Bを鋼材65A及び65Bの突き合せ端部にサンドイッチ状に重ね合せてそれぞれボルト67A及びナット67Bとボルト68A及びナット68Bとによって接合する。
【0089】
この場合、鋼材65A及び65Bの両面におけるボルト孔65C及び65Dの周囲には、図25(B)に示すように、図21(A)〜(C)について上述したすべり抑制加工面45が刻み込まれているのに対して、スプライスプレート66A及び66Bの内側面においてボルト孔66C及び66Dの周囲に、図25(C)に示すように、図22(A)〜(C)について上述したすべり抑制加工面45Xがすべり抑制加工面45に対してインロー方式で嵌め合うことができるような凹凸として刻み込まれている。
【0090】
その結果、図25(D)に示すように、鋼材65A及び65Bの突き合せ端部がスプライスプレート66A及び66Bを用いてボルト67A及び68Aによって締め付けられたとき、鋼材65A及び65Bと、スプライスプレート66A及び66Bとの間の接合面において、摩擦加工面45及び45Xがインロー方式で互いに嵌め合う状態になる。
【0091】
以上の構成によれば、互いに突き合された鋼材65A及び65Bが互いに離間する方向に引っ張られたり、互いに横にずれる方向に押圧されたりしたとき、すべり抑制加工面45及び45Xの山45A及び溝45Bが互いに噛み合うことにより、当該引張力及び押圧力に対する応力を生ずることにより、鋼材65A及び65Bが離間したりずれたりするおそれを有効に防止できる。
【0092】
かくして鋼材65A及び65Bをスプライスプレート66A及び66Bによって強固に接合することができる。
【0093】
(6−6)図26(A)〜(E)は、スプライスプレートによって、厚さの違う鋼材を接合する場合の接合方法を示すもので、この場合図26(A)に示すように、厚さが違う2つの鋼材70A及び70Bを互いに突き合せて、2枚の接合部材であるスプライスプレート71A及び71Bをサンドイッチにした状態において、各鋼板70A並びに70Bをボルト72A及びナット72B、並びにボルト73A及びナット73Bによって締め付ける。
【0094】
この場合、図26(B)に示すように、鋼材70A及び70Bの突き合せ端部の両面において、ボルト孔70C及び70Dの周囲に、図21(A)〜(C)において上述したと同様にして、すべり抑制加工面45が刻み込まれている。
【0095】
これに対して下側のスプライスプレート71Bの内側面には、図26(C)に示すように、厚さが厚い鋼材70A及び厚さが薄い鋼材70Bに対接する面がいずれも同じ高いをもつように平坦に成形され、当該平坦な内側面においてボルト72A及び73Aに対応するボルト孔71C及び71Dの周囲に図22(A)〜(C)について上述したと同様にして、すべり抑制加工面45Xが刻み込まれている。
【0096】
これに対して上側のスプライスプレート71Aの内側面には、図26(D)に示すように、厚さが厚い鋼材70Aに当接する高さが低い内側面部71Eと、厚さが薄い鋼材70Bの突き合せ端部に当接する高さが高い第2の内側面部71Fが形成されている。
【0097】
高さが低い第1の内側面部71Eのボルト72Aに対応するボルト孔71Gの周囲には、図22(A)〜(C)について上述したと同様にして、すべり抑制加工面45Xが形成されていると共に、高い第2の内側面部71Fのボルト73Aに対応するボルト孔71Hの周囲にも、図22(A)〜(C)について上述したと同様にして、すべり抑制加工面45Xが刻み込まれている。
【0098】
かくして、厚さが厚い鋼材70Aの両面が、スプライスプレート71Bの平坦面とスプライスプレート71Aの高さが低い第1の内側面部71Eとの間に隙間がない状態で挟み込まれると共に、厚さが薄い鋼材70Bの両面が、スプライスプレート71Bの平坦面とスプライスプレート71Aの高さが高い第2の内側面部71Fとの間に隙間がない状態で挟み込まれる。
【0099】
その結果、図26(E)に示すように、厚さが違う2つの鋼材70A及び70Bの突き合せ端部を2枚のスプライスプレート71A及び71Bを介してボルト72A及び73Aを締め付けると、ボルト72A及び73Aのボルト孔の周囲に形成されたすべり抑制加工面45及び45Xがインロー方式で互いに嵌め合う状態で接合できることにより、鋼材70A及び70Bが互いに離れる方向に引っ張られたり、横にずれる方向に押圧されたとき、当該すべり抑制加工面45及び45Xの山45A及び溝45Bが互いに噛み合う状態になり、これにより当該引張力又はずらす方向の押圧力に対して大きな応力が生ずる。
【0100】
このようにして、厚味が違う2つの鋼材70A及び70Bは、引張力や、横方向のずれ力に対して互いに離間したり横にずれたりする現象の発生をすべり抑制加工面45及び45Xの噛み合せによって防止することができ、その結果厚さが違う2つの鋼材70A及び70Bを2枚のスプライスプレート71A及び71Bによって強固に結合することができる。
【0101】
かくするにつき、鋼材70A及び70Bやスプライスプレート71A及び71B上にすべり抑制加工面45及び45Xを刻み込む際に、図4、図8、図10、図11について上述した接合面加工工具17を用いることにより、鋼材70A及び70Bの厚さの違いに対応するように高さが違うスプライスプレート71Aの第1及び第2の内側面部71E及び71Fや、スプライスプレート71Bの平坦面に対して、ボルト孔の周囲の狭い範囲についてそれぞれ容易にすべり抑制加工面45Xの加工をすることができる。
【0102】
(6−7)図27(A)〜(E)は、スプライスプレートによって厚さの違う鋼材を接合する場合の接合方法を示すもので、図27(A)に示すように、厚さが厚い鋼材75A及び厚さが薄い鋼材75Bを2枚の接合部材としてのスプライスプレート76A及び76Bをサンドイッチ状態に重ねてボルト77A及びナット77Bと、ボルト78A及びナット78Bとによって締め付ける。
【0103】
この場合、厚さが厚い鋼材75A及び厚さが薄い鋼材75Bの突き合せ端部の両面には、図27(B)に示すように、ボルト77A及び78Aのボルト孔75C及び75Dの周囲に、図21(A)〜(C)において上述したと同様にしてすべり抑制加工面45が刻み込まれている。
【0104】
また、下側のスプライスプレート76Bの内側面には、図27(C)に示すように、厚さが厚い鋼材75Aと当接する高さが低い第1の内側面部76Cと、厚みが薄い鋼材75Bに当接する高さが高い第2の内側面部76Dとが形成されている。
【0105】
高さが低い内側面部76C及び高さが高い内側面部76Dにおいて、ボルト77Aのボルト孔76Eと、ボルト78Aのボルト孔76Fの周囲には、それぞれ図22(A)〜(C)において上述したと同様にしてすべり抑制加工面45Xが刻み込まれている。
【0106】
これと同様に、上側のスプライスプレート76Aには、図27(D)に示すように、厚さが厚い鋼材75Aに当接する高さが低い第1の内側面部76Gと、厚さが薄い鋼材75Bに当接する高さが高い内側面部76Hとが形成されている。
【0107】
高さが低い内側面部76G及び高さが高い76Hにおいて、ボルト77Aのボルト孔76Iと、ボルト78Aのボルト孔76Jの周りには、図22(A)〜(C)について上述したと同様にしてすべり抑制加工面45Xが刻み込まれている。
【0108】
かくして、スプライスプレート76A及び76Bの高さが低い内側面部76C及び76Gが厚さが厚い鋼材75Aに隙間なく当接すると共に、スプライスプレート76A及び76Bの高さが高い内側面部76D及び76Hが厚さが薄い鋼材75Bに隙間なく当接することができる。
【0109】
その結果、図27(E)に示すように、高さが低い内側面部76C及び76Gに形成されたすべり抑制加工面45Xが厚みが厚い鋼材75Aの両面に形成されたすべり抑制加工面45に、インロー方式で嵌め合うように噛み合う状態になると共に、高さが高い内側面部76D及び76Hに形成されたすべり抑制加工面45Xが厚みの薄い鋼材75Bの両面に形成されたすべり抑制加工面45にインロー方式で嵌め合うように噛み合う状態になる。
【0110】
以上の構成によれば、厚みの異なる2つの鋼材75A及び75Bが離れる方向に引っ張られたり、横方向に互いにずれるように押圧されたとき、すべり抑制加工面45及び45Xの山及び溝が互いに噛み合うことにより、当該引張力又は押圧力に対して大きな応力を生ずる。
【0111】
この結果、2つの鋼材75A及び75Bが2枚のスプライスプレート76A及び76Bによって強固に接合されることになる。
【0112】
因に、厚みが違う2つの鋼材をスプライスプレートをサンドイッチにして結合する手法として、従来は1〔mm〕以上の隙間がある場合は、隙間分の厚さがある側の鋼材を削る加工をした後当該加工面にさびを付けた後接合したり、隙間分の鉄板を新たに差し込んで接合したりするようにしていたが、図26(A)〜(E)及び図27(A)〜(E)の実施の形態によれば、かかる面倒な処理をする必要なく、段差があるスプライスプレートの面部に図4、図8、図10、図11について上述した接合面加工工具17を用いて転造加工するだけの簡易な処理によって厚さの異なる2つの鋼材を強固に接合することができる。
【0113】
(7)他の実施の形態
(7−1)上述においては、予めボルト孔が穿設された鋼材に対してすべり抑制加工面45及び45Xを形成するようにした場合について述べたが、これに代え、ボルト孔が穿設されていない鋼材に対して、ボルト孔を穿設すべき所定位置の周囲にすべり抑制加工面45及び45Xの転造加工をした後、ボルト孔を穿設したり、すべり抑制加工面45及び45Xの転造加工と同時にボルト孔を穿設するようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0114】
(7−2)上述においては、鋼材の接合部材としてボルトを用いた場合について述べたが、接合部材としてはこれに限らず、リベット等の他の接合部材を用いるようした場合にも、上述の場合と同じように本発明を適用できる。
【0115】
(7−3)上述の場合は、転造ダイス36L(36R)の取付け角度θ(図4)を、ボールベアリングを用いた場合に好適な条件として、θ=40°にした場合について述べたが、取付け角度θはこれに限らず、ボールベアリングに代えて薄肉のオイレスメタル等を用いてθ=0°〜45°にしても良い。
【0116】
因に、取付け角度θがθ=40°の場合は、実用上円錐傾斜面38A及び38B全体について「こじり」が少ない転造加工ができる。これに対してθ=0°近傍になると、外径部分の「こじり」が大きくなる傾向があり、またθを45°より大きくすると、加工作業上ボルト孔の縁部に凹凸をつけることができなくなるおそれがある。
【0117】
(7−4)上述の場合は、加工機構部15として油圧ポンプの出力軸を下降・上昇機構に結合することによって圧力設定手段をもつ工具本体部32を介して工具17を下降・上昇動作させるようにした構成の主軸装置16を用いた場合について述べたが、これに代え、電気モータの出力軸をギヤ機構を介して下降・上昇機構部に結合するようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0118】
この場合は、油圧ポンプと比較して、構成が簡易で、降下粘度が余り高くない電気モータ構成の駆動源を用いることができることにより、接合面加工装置1を格段的に小型化・軽量化でき、その結果、工場以外の建設現場で鋼材2の加工ができるような可搬型の接合面加工装置1を実現できる。
【0119】
(7−5)上述の場合は、圧力設定手段として、コイルスプリング及びさらばねを用いたが、これに代え、油圧式調整機構、空気式調整機構を用いても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0120】
(7−6)上述の場合は、すべり抑制加工面45及び45Xとして、同心円状に複数の凹凸を形成した場合について述べたが、これに代え、図28(A)〜(E)に示すように、四角形状80A、台形形状80B、三角形状80C、五角形状80D、半楕円形状80Eなどの種々の形状の1つまたは複数の凹凸(少なくとも1つの山45をもつ)を形成するようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0121】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、円錐傾斜面上に、同心円状に互いに山部及び谷部の位置を入れ換えたと同様の1組又は複数組の山部及び谷部を有する第1及び第2の転造刃を形成してなる第1及び第2の転造ダイスを用いて、第1及び第2の鋼材の結合孔の周囲に1組又は複数組の同心円状凹凸を有しかつ互いに嵌め合うようにかみ合う山及び溝を有する第1及び第2のすべり抑制加工面を形成するようにしたことにより、第1及び第2のすべり抑制加工面として各部の同心円状凹凸に対する「こじり」の差が小さい、すべり抑制加工面をもつ接合面を実現できる。
【0122】
また、互いに接合する第1及び第2の鋼材の接合面に、互いに嵌め合うようにかみ合う山及び溝を有する第1及び第2のすべり抑制加工面を形成することにより、鋼材が結合部材によって互いに締めつけられたとき、すべり抑制加工面が互いに嵌め合うようにかみ合うことにより鋼材を強固に接合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接合面加工装置の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】加工対象となる鋼材2を示す平面図である。
【図4】図1の工具17を、一部を断面として示す正面図である。
【図5】図5(A)及び(B)は図4の転造ダイス36L(36R)の詳細構成を示す側面図である。
【図6】図6(A)〜(C)は、転造ダイス36L(36R)による加工処理動作の説明に供する略線図である。
【図7】鋼材2のすべり抑制加工面の接合状態を示す断面図である。
【図8】複数コイルスプリング型接合面加工工具を一部を断面として示す正面図である。
【図9】図8のコイルスプリングの配置を示す略線図である。
【図10】さらばね型接合面加工工具を一部を断面として示す正面図である。
【図11】キー溝型接合面加工工具を一部を断面として示す正面図である。
【図12】図12(A)〜(C)は転造ダイス36L(36R)によりすべり抑制加工面45の加工処理動作の説明に供する略線図である。
【図13】図13(A)〜(C)は転造ダイス36LX(36RX)によりすべり抑制加工面45Xを加工する際の加工処理動作の説明に供する略線図である。
【図14】すべり抑制加工面45及び45Xのインロー方式による接合を示す断面図である。
【図15】鋼板を接合することにより組立てられる枠構造物を示す斜視図である。
【図16】図15の鋼板の接合部の説明に供する部分的拡大図である。
【図17】鉄骨枠構造物に使用されるすじかい補強部材57を示す正面図である。
【図18】図18(A)及び(B)は図17のブレース部材を示す平面図及び側断面図である。
【図19】図19(A)及び(B)は図18のブレスシート及びブレースを示す正面図である。
【図20】図20(A)及び(B)は転造ダイス36L(36R)及び36LX(36RX)を示す側面図である。
【図21】図21(A)〜(C)は転造ダイス36L(36R)を用いてすべり加工面45を加工する際の加工処理動作の説明に供する略線図である。
【図22】図22(A)〜(C)は転造ダイス36LX(36RX)を用いてすべり抑制加工面45Xを加工する際の加工処理動作の説明に供する略線図である。
【図23】ブレース及びブレスシートのすべり抑制加工面45及び45Xのインロー方式によるはめ合い状態の説明に供する断面図である。
【図24】図24(A)〜(C)はタイロッド60においてロッド部60A及び60Bを間座金60E及び60Fによって説明する接合方法を示す平面図、側面図及び正面図である。
【図25】図25(A)〜(D)は鋼材65A及び65Bをスプライスプレート66A及び66Bによって接合する接合方法の説明に供する断面図及び平面図である。
【図26】図26(A)〜(E)は厚さが違う鋼材70A及び70Bをスプライスプレート71A及び71Bによって接合する接合方法の説明に供する断面図及び平面図である。
【図27】図27(A)〜(E)は厚さが違う鋼材75A及び75Bをスライスプレース76A及び76Bによって接合する接合方法の説明に供する断面図及び平面図である。
【図28】図28(A)〜(E)はすべり抑制加工面の凹凸形状を示す略線図である。
【符号の説明】
1……接合面加工装置、2……鋼材、3……導入台、5……送込みローラ、6……従動ローラ、7……作業台、8……作業テーブル、9、10……位置決めローラ、11……ボルト孔、15……加工機構部、16……主軸装置、17……工具、20……排出台、22……送出しローラ、23……従動ローラ、25……位置調整用レール、26……位置調整機構、31……取付子、32……工具本体、32B、53A〜53C……コイルスプリング、32C……スプリングケース、33……工具支持部材、33A(33B)……支持板部、34……転造ダイスホルダ、34A……案内子、34B……さらばね、35A(35B)……回動支持軸、36L(36R)、36LX(36RX)……転造ダイス、37……回転軸部、38……ダイス頭部、38A……円錐傾斜面、38B……転造刃、40A……スラストボールベアリング、40B……ラジアルボールベアリング、45、45X……すべり抑制加工面、51A(51B)、51R(51L)……鋼板、55……鉄骨枠構造物、55A……中心孔、55C(55D)……支持板部、56……枠構造部、57……すじかい補強部材、58……ブレース部材、58C……ブレスシート、58D……ブレース、58F……シャフト、60……タイロッド、60A(60B)……ロッド部、60E(60F)……間座金、65A(65B)……鋼材、66A(66B)……スプライスプレート、70A(70B)……鋼材、71A(71B)……スプライスプレート、75A(75B)……鋼材、76A(76B)……スプライスプレート。
Claims (9)
- 第1及び第2の鋼材の接合面に互いに重ね合せて上記接合面に穿設された結合孔を挿通する結合部材によって上記第1及び第2の鋼材を圧接固定させることにより上記第1及び第2の鋼材を接合する鋼材接合方法において、
上記圧接固定する前に、上記第1の鋼材の接合面について、第1の円錐傾斜面上に同心円状に1組又は複数組の山部及び谷部を有する転造刃を形成してなる第1の転造ダイスを用いて、上記第1の円錐傾斜面によって上記結合孔を中心にして同心円を描く位置を転造させることにより、上記第1の鋼材の上記結合孔の周囲に同心円状に1組又は複数組の山及び溝を形成してなる同心円状凹凸を有する第1のすべり抑制加工面を形成すると共に、
上記圧接固定する前に、上記第2の鋼材の接合面について、第2の円錐傾斜面上に同心円状に上記第1の円錐傾斜面上の山部及び谷部の位置を入れ換えたと同様の1組又は複数組の山部及び谷部を有する転造刃を形成してなる第2の転造ダイスを用いて、上記第2の円錐傾斜面によって上記結合孔を中心にして同心円を描く位置を転造させることにより、上記第2の鋼材の上記結合孔の周囲に同心円状に1組又は複数組の山及び溝を形成してなる同心円状凹凸を有する第2のすべり抑制加工面を形成し、
上記圧接固定する際に、上記第1のすべり抑制加工面の上記同心円状凹凸の山を上記第2のすべり抑制加工面の上記同心円状凹凸の溝に嵌め合う状態にかみ合わせ、かつ上記第1のすべり抑制加工面の上記同心円状凹凸の溝を上記第2のすべり抑制加工面の上記同心円状凹凸の山に嵌め合う状態にかみ合わせるように、上記第1及び第2のすべり抑制加工面を互いに重ね合せて上記第1及び第2の鋼材を接合する
ことを特徴とする鋼材の接合方法。 - 第1及び第2の鋼材の第1及び第2の接合面を互いに重ね合せて上記第1及び第2の接合面にそれぞれ穿設された第1及び第2の結合孔を挿通する結合部材によって上記第1及び第2の鋼材を圧接固定させることにより互いに接合される部材であって、
上記第1の鋼材の上記第1の接合面において、上記第1の結合孔の周囲に同心円状に1組又は複数組の山及び溝を転造してなる第1の同心円状凹凸をもつ第1のすべり抑制加工面を形成すると共に、
上記第2の鋼材の上記第2の接合面において、上記第2の結合孔の周囲に同心円状に上記第1の同心円状凹凸の山及び溝の位置を入れ換えたと同様の1組又は複数組の山及び溝を転造してなる第2の同心円状凹凸をもつ第2のすべり抑制加工面を形成し、
上記第1のすべり抑制加工面の上記同心円状凹凸の山を上記第2のすべり抑制加工面の上記同心円状凹凸の溝に嵌め合う状態にかみ合わせ、かつ上記第1のすべり抑制加工面の上記同心円状凹凸の溝を上記第2のすべり抑制加工面の上記同心円状凹凸の山に嵌め合う状態にかみ合わせるように上記第1及び第2のすべり抑制加工面を互いに重ね合せて上記第1及び第2の鋼材を接合する
ことを特徴とする部材。 - 互いに接合すべき第1及び第2の鋼材の互いに重ね合わされた先端部にそれぞれ厚さを貫通するように穿設された第1及び第2の結合孔と、
上記第1の鋼材の接合面において、上記第1の結合孔の周囲に、同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第1の同心円状凹凸を有する第1のすべり抑制加工面と、
上記第2の鋼材の接合面において、上記第2の結合孔の周囲に同心円状に上記第1の同心円状凹凸の山及び溝の位置を入れ換えたと同様の1組又は複数組の山及び溝でなる第2の同心円状凹凸を有する第2のすべり抑制加工面と、
上記第1のすべり抑制加工面の山を上記第2のすべり抑制加工面の溝に嵌め合う状態にかみ合わせると共に、上記第1のすべり抑制加工面の溝を上記第2のすべり抑制加工面の山に嵌め合う状態にかみ合わせて、上記第1及び第2の鋼材の上記第1及び第2の結合孔を挿通すると共に、上記第1及び第2の鋼材の厚さ方向に締めつけることにより固定する 結合部材と
を具えることを特徴とする接合構造物。 - 互いに接合すべき第1及び第2の鋼材の互いに重ね合わされた先端部にそれぞれ厚さを貫通するように第1及び第2の結合孔を穿設し、
上記第1の鋼材の接合面において、上記第1の結合孔の周囲に、同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第1の同心円状凹凸を有する第1のすべり抑制加工面を形成すると共に、上記第2の鋼材の接合面において、上記第2の結合孔の周囲に、同心円状に上記第1の同心円状凹凸の山及び溝の位置を入れ換えたと同様の同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第2の同心円状凹凸を有する第2のすべり抑制加工面を形成し、
上記第1のすべり抑制加工面の山を上記第2のすべり抑制加工面の溝に嵌め合う状態にかみ合せると共に、上記第1のすべり抑制加工面の溝を上記第2のすべり抑制加工面の山に嵌め合う状態にかみ合せ、上記第1及び第2の鋼材を、上記第1及び第2の結合孔を挿通する結合部材によって上記第1及び第2の鋼材の厚さ方向に締めつけることにより固定する
ことを特徴とする鋼材の接合方法。 - 互いに接合すべき第1及び第2の鋼材の互いに重ね合わされる先端部に、それぞれ厚さを貫通するように第1及び第2の結合孔を穿設され、
上記第1の鋼材の先端部の接合面において、上記第1の結合孔の周囲に同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第1の同心円状凹凸を有する第1のすべり抑制加工面が形成され、
上記第2の鋼材の先端部の接合面において、上記第2の結合孔の周囲に同心円状に上記第1の同心円状凹凸の山及び溝の位置を入れ換えたと同様の同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第2の同心円状凹凸を有する第2のすべり抑制加工面が形成され、
上記第1及び第2のすべり抑制加工面は、上記第1及び第2の結合孔を挿通する結合部材によって上記第1及び第2の鋼材が締めつけられたとき、上記第1のすべり抑制加工面の山が上記第2のすべり抑制加工面の溝に嵌り合うようにかみ合い、かつ上記第1のすべり抑制加工面の溝が上記第2のすべり抑制加工面の山に嵌り合うようにかみ合う
ことを特徴とする部材。 - 鉄骨構造物の枠構造物に用いられるすじかい補強部材であって、
根元端部を上記枠構造部に固定され、かつ先端部に厚さを貫通するように穿設された第1の結合孔を有する第1の鋼材と、
先端部に厚さを貫通するように穿設された第2の結合孔を有し、かつ他端部に一体に引張り部材が固定された第2の鋼材と、
を具え、上記第1の鋼材の接合面において、上記第1の結合孔の周囲に、当該第1の結合孔と同心円状に1組又は複数組の山及び溝でなる第1の同心円状凹凸を有する第1のすべり抑制加工面を形成すると共に、上記第2の鋼材の先端部の接合面において、上記第2の結合孔の周囲に同心円状に上記第1の同心円状凹凸の山及び溝の位置を入れ換えたと同様の同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第2の同心円状凹凸を有する第2のすべり抑制加工面を形成し、
上記第1及び第2の鋼材の上記先端部を互いに重ね合せた状態において、上記第1及び第2の結合孔を挿通する結合部材によって上記第1及び第2の鋼材が締め付けられたとき、上記第1のすべり抑制加工面の山が上記第2のすべり抑制加工面の溝に嵌め合う状態にかみ合い、かつ上記第1のすべり抑制加工面の溝が上記第2のすべり抑制加工面の山に嵌り合うようにかみ合う
ことを特徴とするすじかい補強部材。 - 左右方向に延長しかつ上下位置においてほぼ平行に配設された第1及び第2の鋼材と、
上記第1及び第2の鋼材と交差するように上下方向に延長しかつ上記第1及び第2の鋼材の左右位置においてほぼ平行に配設された第3及び第4の鋼材と
を具え、
上記第1及び第3の鋼材の第1の交差部分、上記第1及び第4の鋼材の第2の交差部分、上記第2及び第3の鋼材の第3の交差部分、並びに上記第2及び第4の鋼材の第4の交差部分において、互いに交差する2つの鋼材の一方及び他方の接合面にそれぞれ厚みを貫通するように少なくとも2つの結合孔が穿設され、上記一方の鋼材の接合面において、上記結合孔の周囲に同心円状に1組又は複数組の山及び溝でなる第1の同心円状凹凸を有するすべり抑制加工面が形成されると共に、上記他方の鋼材の接合面において、上記結合孔の周囲に同心円状に上記第1の同心円状凹凸の山及び溝の位置を入れ換えたと同様の同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第2の同心円状凹凸を有するすべり抑制加工面が形成され、上記一方及び他方の鋼材の接合面が互いに重ね合わされて上記結合孔を挿通する結合部材によって上記一方及び他方の鋼材が締め付けられたとき上記第1のすべり抑制加工面の山が上記第2のすべり抑制加工面の溝に嵌め合う状態にかみ合い、かつ上記第1のすべり抑制加工面の溝が上記第2のすべり抑制加工面の山に嵌め合う状態にかみ合う
ことを特徴とする枠構造物。 - 第1及び第2の鋼材の先端部を互いに突き合せた状態において、上記第1及び第2の鋼材の先端部の両面を挟み込むように配設された一対の接合部材と、
上記第1の鋼材の先端部及び上記一対の接合部材の厚さを貫通するように穿設された第1の結合孔と、
上記第2の鋼材の先端部及び上記一対の接合部材の厚さを貫通するように穿設された第2の結合孔と、
上記第1の結合孔を挿通すると共に、上記第1の鋼材の先端部及び上記一対の接合部材を厚さ方向に締め付けることにより、上記一対の接合部材の内面及び当該一対の接合部材の内面と対向する上記第1の鋼材の先端部の両面にそれぞれ形成された第1のすべり抑制加工面を互いに圧接させた状態で、固定する第1の結合部材と、
上記第2の結合孔を挿通すると共に、上記第2の鋼材の先端部及び上記一対の接合部材を厚さ方向に締め付けることにより、上記一対の接合部材の内面及び当該一対の結合部材の内面と対向する上記第2の鋼材の先端部の両面にそれぞれ形成された第2のすべり抑制加工面を互いに圧接させた状態で、固定する第2の結合部材と
を具え、
上記圧接された第1のすべり抑制加工面の一方は、上記第1の結合孔の周囲に同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第1の同心円状凹凸を有すると共に、上記圧接された第1のすべり抑制加工面の他方は、上記第1の結合孔の周囲に同心円状に上記第1の同心円状凹凸の山及び溝の位置を入れ換えたと同様の同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第2の同心円状凹凸を有し、上記第1のすべり抑制加工面の上記一方及び他方が互いに圧接されたとき、上記一方のすべり抑制加工面の山が上記他方のすべり抑制加工面の溝に嵌め合う状態にかみ合い、かつ上記一方のすべり抑制加工面の溝が上記他方のすべり抑制加工面の山に嵌め合う状態にかみ合い、
上記圧接された第2のすべり抑制加工面の一方は、上記第2の結合孔の周囲に同心円状に1組又は複数組の山及び溝でなる第3の同心円状凹凸を有すると共に、上記圧接された第2のすべり抑制加工面の他方は、上記第2の結合孔の周囲に同心円状に上記第3の同心円状凹凸の山及び溝の位置を入れ換えたと同様の同心円状の1組又は複数組の山及び溝でなる第4の同心円状凹凸を有し、上記第2のすべり抑制加工面の上記一方及び他方が互いに圧接されたとき、上記一方のすべり抑制加工面の山が上記他方のすべり抑制加工面の溝に嵌め合う状態にかみ合い、かつ上記一方のすべり抑制加工面の溝が上記他方のすべり抑制加工面の山に嵌め合う状態にかみ合う
ことを特徴とする接合構造物。 - 上記第2の鋼材の先端部の厚さが上記第1の鋼材の先端部の厚さより薄いとき、上記一対の接合部材のうち、上記第2の鋼材の先端部に対接する部分の厚さを、上記第1及び第2の鋼材の先端部の厚さの差に相当する分厚くすることにより、上記第2の鋼材のすべり抑制加工面の山及び溝が、当該第2の鋼材のすべり抑制加工面に圧接する接合部材のすべり抑制加工面の溝及び山に、すき間なく嵌め合う状態にかみ合う
ことを特徴とする請求項8に記載の接合構造物。
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