JP3837197B2 - 画像データ伸長装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、離散余弦変換に代表される線形変換を経て圧縮された画像データを伸長する装置に関し、特に、積和演算を高速化するための改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、膨大な情報量を有する画像を効率よく通信したり蓄積したりするための、画像データの圧縮/伸長技術として、各種の高効率符号化方式が提案されている。
その方式の一例として、GIV規格のカラーファクシミリ等のためのカラー静止画符号方式JPEG(ISOのJoint Photographic Expert GroupとCCITT SGVIIの定めたカラー静止画像の国際標準符号化方式)を挙げられる。この方式の詳細は、例えば、CQ出版社刊「インターフェース」1991年12月号の160頁から182頁、その他、日経BP社刊「日経エレクトロニクス」1990年10月15日号(No.511)の115頁から142頁等に記載されている。
【0003】
以下、このJPEG方式による従来の画像データ圧縮/伸長装置を図面を用いて説明する。
図20は、従来の画像データ圧縮/伸長装置の構成を示すブロック図である。従来の画像データ圧縮/伸長装置は、大きく分けて、圧縮部2010、伸長部2020及びテーブル記憶部2030から構成される。
【0004】
圧縮部2010は、原画像データ2001の圧縮を行い、その結果得られた符号化データを伝送路や蓄積部2003に送出する機能を果たすものであり、その圧縮のための各変換処理に応じた個別の構成部、即ち、DCT部2011、量子化部2012、スキャン部2013及びエントロピー符号化部2014からなる。なお、DCTとは、”Discrete Cosine Transform(離散余弦変換)”の略である。
【0005】
同様に、伸長部2020は、伝送路/蓄積部2003から受けた符号化データの伸長を行うことにより、元の画像データ2001相当の再生画像データ2002を復元する機能を果たすものであり、その伸長のための各逆変換処理に応じた個別の構成部、即ち、エントロピー復号化部2024、座標値算出部2023、逆量子化部2022及び逆DCT部2021からなる。なお、これら4個の構成部2011〜2014が行う逆変換処理は、伸長部2020を構成する4個の各構成部2021〜2024が行う変換処理と逆の関係にある。また、逆DCTとは、離散余弦逆変換の略である。
【0006】
テーブル記憶部2030は、画像データの圧縮条件となる3種のデータテーブル、即ち、量子化テーブル2031、スキャンテーブル2032及び符号化テーブル2033からなり、これらは、圧縮部2010での変換処理及び伸長部2020での逆変換処理において参照される。
以上のように構成された従来の画像データ圧縮/伸長装置の動作を、図21に示される画像データの圧縮/伸長例を用いて説明する。
【0007】
いま、4×4の画素ブロックである原画像データP(x,y)2101が与えられたとする。ここで、P(x,y)は、例えば、各画素の輝度を4ビットで表現した値である。なお、JPEG方式によれば、1枚の静止画像を8×8の画素を1個のブロックとする複数の画素ブロックに分割し、各画素ブロックごとに圧縮/伸長を行うこととしているが、ここでは、説明の便宜のため、上記サイズの画素ブロックとして説明する。
【0008】
与えられた原画像データP(x,y)2101は、図示されていない作業用メモリに格納され、圧縮部2010において、以下に示される手順により、その圧縮が行われる。
(1)先ず、原画像データP(x,y)2101は、DCT部2011によって、DCT係数S(u,v)2102に変換される。具体的には、圧縮部2010は、数1に示されるDCTを行う。
【0009】
【数1】
Figure 0003837197
なお、DCTは線形変換の一つであり、この出力は空間周波数に対応する。つまり、DCT係数S(u,v)2102の左上、即ち、S(0,0)が最も低い周波数(DC)成分の係数に相当し、座標値u,vの増加に伴って高い周波数成分の係数に相当する。
(2)次に、DCT係数S(u,v)2102は、量子化部2012によって、量子化DCT係数R(u,v)2103に変換される。具体的には、量子化部2012は、量子化テーブルQ(u,v)2111を用いて、数2に示される数値の丸め演算を行う。
【0010】
【数2】
Figure 0003837197
(3)続いて、量子化DCT係数R(u,v)2103は、スキャン部2013によって、組データQn(z,w)2104に変換される。具体的には、スキャン部2013は、スキャンテーブル2032に格納されたスキャン方式、即ち、図21の量子化DCT係数R(u,v)2103に示された矢印に従って順次に係数を読み出して(以下、このような読み出し方式を「ジグザグスキャン」という。)一列に並べ、その列においてゼロが連続する個数z(以下、この個数を「ゼロラン長」という。)とゼロでない係数w(以下、「非零係数」という。)とを一組とする組データQn(z,w)2104の集まりにする。
【0011】
例えば、量子化DCT係数R(u,v)2103においては、ジグザグスキャンにより、先頭から”0”が4個連続した後”−2”が読み出されるので、組データQ2(4,−2)が得られる。
なお、1ブロックを構成する組データQn(z,w)2104の最後は、これ以上の組データQn(z,w)2104が存在しないことを示す予め定められた組データ”END”となる。
(4)最後に、組データQn(z,w)2104は、エントロピー符号化部2014によって、対応する符号語Wn2105に変換され、さらに、例えば、ビット直列の符号化データW2106にされた後、伝送路/蓄積部2003に送出される。具体的には、エントロピー符号化部2014は、符号化テーブル2033を用いて、エントロピー符号化の一つであるハフマン符号化を行う。
【0012】
なお、圧縮部2010で用いられた量子化テーブル2031と符号化テーブル2033は、伸長部2020での復号時に使用されるべく、出力される符号化データW2106の先頭部にパラメータとして付加されて送出される。
以上のようにして伝送路/蓄積部2003に送出された符号化データW2106は、伸長部2020によって読み出されると、以下に示される、圧縮部2010での処理と逆の手順により復号化が行われる。その際には、同時に送出されてきた量子化テーブル2031と符号化テーブル2033が使用される。
(1')先ず、符号化データW2106は、エントロピー復号化部2024での復号化よって、組データQ'n(z,w)2107に復元される。
(2')次に、組データQ'n(z,w)2107は、座標値算出部2023によって、量子化DCT係数R'(u,v)2108に復元される。具体的には、座標値算出部2023は、各組データQ'n(z,w)2107のゼロラン長zから量子化DCT係数R'(u,v)2108の座標値u,vを決定し、その非零係数wを量子化DCT係数R'(u,v)とし、その他の座標値を有する量子化DCT係数R'(u,v)をゼロとする。
(3')続いて、量子化DCT係数R'(u,v)2108は、数3に示される逆量子化部2022での逆量子化によって、DCT係数S'(u,v)2109に逆量子化される。
【0013】
【数3】
Figure 0003837197
(4')最後に、DCT係数S'(u,v)2109は、数4に示される逆DCT部2021での離散余弦逆変換によって、再生画像データ2002に復元される。
【0014】
【数4】
Figure 0003837197
なお、逆DCT部2021は、計算量を減らすために、数4に示される2次元逆DCTを一度に行う代わりに、先ず、数5に示されるu座標軸についての1次元逆DCTを行い、次に、数6に示されるv座標軸についての1次元逆DCTを行っている。
【0015】
【数5】
Figure 0003837197
【0016】
【数6】
Figure 0003837197
以上のようにして、JPEG方式により圧縮された画像データは、元の画像データ相当のデータに復元される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の画像データ圧縮/伸長装置の伸長部2020では、与えられた符号化データW2106を伸長するのに、常に、膨大な回数の積和演算が必要とされる。
即ち、再生画像データ2110を復元するには、先ず、数5より、16個のG(x,v)を求めるが、これには各4回、即ち、計64回の積和演算が必要とされる。次に、数6より、16個のP'(x,y)を求めるが、これには各4回、即ち、計64回の積和演算が必要とされる。従って、1ブロックの再生画像データP'(x,y)2110を得るには、合計128回の積和演算が必要とされる。
【0018】
ところで、JPEG方式では、上述したように、1ブロックは8×8の画素からなるので、1ブロック当たり1024(=8×8×8+8×8×8)回の積和演算が必要とされ、さらに、1枚の画像を構成する全てのブロックについて、それぞれ1024回の積和演算が必要とされる。
このように、従来の画像データ圧縮/伸長装置における伸長部2020によれば、1ブロックの再生画像データP'(x,y)2110を得るためには非常に多くの回数の積和演算を行うことが避けられず、処理時間の点において充分に満足できるものではないという問題点がある。
【0019】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、JPEG方式に代表されるような線形変換を経て圧縮された画像データを高速に伸長する画像データ伸長装置を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は、例えば、上記8×8の画素ブロックの画像データを再生するのに、1024以下の回数の積和演算により、従来と同様の再生画像データを復元する。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像データ伸長装置は、n(正の整数)次元座標空間内の各画素点が有する画素データの集まりに対してn次元線形変換を行い、その結果得られるn次元座標空間内の各係数を所定順序に従って一列に並べ、その列における非零係数とその位置を示す順番号との組からなる組データを符号化することによって前記画素データを圧縮する圧縮装置に対応して用いられる画像データ伸長装置であって、
前記n次元座標空間内の各係数を記憶する領域を有する記憶手段と、前記全ての係数を零として前記記憶手段に格納する初期化手段と、前記組データが与えられるとその組データに含まれる順番号に基づいてその組データに含まれる非零係数の前記n次元座標空間における座標値を算出する座標値算出手段と、前記座標値算出手段により算出された座標値に対応する前記記憶手段の記憶箇所に前記非零係数を格納する格納手段と、前記記憶手段において非零係数が格納されている領域を特定する非零係数領域特定手段と、前記非零係数領域特定手段により特定された領域内の係数のみを用いて積和演算で表現されるn次元逆変換を行うことにより元画素データ相当のデータを復元する逆変換手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
これにより、値がゼロである係数(以下、「零係数」という。)についての無駄な積和演算が回避されるので、圧縮された画像データを高速に伸長する装置が実現される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態に係る画像データ伸長装置を説明する。
本装置は、非零係数S'(u,v)の座標値(u,v)の中から座標軸ごとの最小値umin、vmin及び最大値umax、vmaxを特定し、その座標範囲(umin≦u≦umax、vmin≦v≦vmax)に位置する非零係数S'(u,v)についてのみ逆DCTを行うことを特徴とする。
(構成)
図1は、本装置の構成を示すブロック図である。
【0023】
本装置は、大きく分けて、伸長部120とテーブル記憶部2030から構成される。
伸長部120は、さらに、エントロピー復号化部2024、非零係数スキャン順番号計算部2023a、非零係数位置変換部2023b、逆量子化部2022、非零係数範囲計算部122、演算順序制御部123、逆DCT部2021及び係数記憶部121からなる。一方、テーブル記憶部2030は、さらに、量子化テーブル2031、スキャンテーブル2032及び符号化テーブル2033からなる。これらの構成部のうち、図20に示された従来の装置が有する構成部と同一のものについては、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0024】
係数記憶部121は、従来の装置における作業用メモリに相当するものであり、1個のブロックを構成する8×8個のDCT係数を一時的に格納する領域を有する。
非零係数スキャン順番号計算部2023a及び非零係数位置変換部2023bは、それぞれ従来の装置の座標値算出部2023における前半及び後半の処理を行うものである。
【0025】
非零係数範囲計算部122は、8×8個のDCT係数S'(u,v)2109が格納されている係数記憶部121において非零係数が存在する領域を特定し、その領域についての情報を座標値u,vを用いて演算順序制御部123に通知する。
図3は、非零係数範囲計算部122の詳細な構成と他の構成部123、2021、121との関連を示す図である。
【0026】
非零係数範囲計算部122は、本図に示されるように、本実施形態に特有の比較部122aを有し、非零係数位置変換部2023bからの通知に基づいて座標値の大小判断をする。
演算順序制御部123は、非零係数範囲計算部122から通知された領域に格納されているDCT係数S'(u,v)2109についてのみ、逆DCT部2021が逆DCTを行うよう逆DCT部2021を制御する。
【0027】
逆DCT部2021は、基本的には従来の装置のものと同一であるが、演算順序制御部123からの制御の下で逆DCTを行う点だけが異なる。
なお、量子化テーブル2031、符号化テーブル2033及び係数記憶部121はRAM等により、また、スキャンテーブル2032はROM等により、さらに、他の構成部2024、2023a、2023b、122、123、2021は加算器、乗算器、比較器等からなる専用の論理回路又は汎用のCPUと制御プログラムとの組合せにより実現することができる。
(動作)
以上のように構成された本装置の動作について説明する。ここでは、伸長部120によって伝送路/蓄積部2003から読み出された符号化データW2106が伸長部120において複数ステップの復号化処理によって最終的に再生画像データ2002に復元されるので、その過程に従って順に説明する。なお、「従来の技術」での説明と同様に、原画像データP(x,y)及び再生画像データP'(x,y)のサイズは、説明の便宜上、4×4の画素ブロックとする。
【0028】
先ず、エントロピー復号化部2024は、従来の装置と同様にして、符号化テーブル2033を参酌することにより、伸長部120が伝送路/蓄積部2003から読み出した符号化データW2106を復号することにより、組データQ'n(z,w)2107に復元する。
次に、非零係数スキャン順番号計算部2023aは、エントロピー復号化部2024から送られてきた組データQ'n(z,w)2107のゼロラン長zよりスキャン順番号を算出し、そのスキャン順番号を非零係数wと共に非零係数位置変換部2023bに出力する。ここで、スキャン順番号とは、圧縮時においてジグザグスキャンによりDCT係数が一列に並べられるが、その際における列の先頭からの順番をいう。
【0029】
具体的には、非零係数スキャン順番号計算部2023aは、最初に与えられた組データQ'1(-,0)の”−”より非零係数”0”のスキャン順番号として”1”を、2番目に与えられた組データQ'2(4,-2)の”4”より非零係数”−2”のスキャン順番号として”5(=4+1)”を、3番目に与えられた組データQ'3(2,1)の”2”より非零係数”1”のスキャン順番号として”8(=5+2+1)”を、・・・、算出し、それぞれの非零係数と共に出力する。
【0030】
続いて、非零係数スキャン順番号計算部2023aから出力されたスキャン順番号と非零係数wとの組を受けとった非零係数位置変換部2023bは、スキャンテーブル2032の内容を参酌することにより、そのスキャン順番号を非零係数位置(u,v)に変換し、その非零係数位置(u,v)を非零係数範囲計算部122に出力すると共に、受け取った非零係数wをその非零係数位置(u,v)に相当する係数記憶部121の番地に格納する。ここで、非零係数位置(u,v)とは、8×8ブロックにおける非零係数の位置を示す2次元座標値(u,v)をいい、係数記憶部121における記憶番地に対応するものである。
【0031】
図2は、スキャンテーブル2032の内容を示す図であり、ここには、スキャン順番号と座標値(u,v)との対応が記されている。
具体的には、非零係数位置変換部2023bは、図2に示された対応を参酌することにより、例えば、スキャン順番号”1”と非零係数”0”との組が与えられると係数記憶部121の座標値(0、0)に相当する番地に”0”を、スキャン順番号”4”と非零係数”−2”との組が与えられると係数記憶部121の座標値(0、2)に相当する番地に”−2”を、・・・、格納する。なお、座標値算出部2023は、非零係数の格納に先立ち、係数記憶部121の全ての番地に”0”を書き込むことによって係数記憶部121を初期化している。
【0032】
以上のようにして、1個の画素ブロックを構成する全ての組データQ'n(z,w)2107についての非零係数スキャン順番号計算部2023a及び非零係数位置変換部2023bでの処理が完了し、その結果、図2に示された16個の量子化DCT係数R'(u,v)2108が生成される。
次に、逆量子化部2022は、従来の装置と同様にして、係数記憶部121に格納された全ての量子化DCT係数R'(u,v)2108を順次読み出し、数3に示されるように、量子化テーブル2031の対応する位置に格納された量子化ステップサイズQ(u,v)を用いて逆量子化し、再び係数記憶部121に戻す。その結果、係数記憶部121に格納されていた全ての量子化DCT係数R'(u,v)は、DCT係数S'(u,v)2109に復元される。
【0033】
続いて、非零係数範囲計算部122の比較部122aは、図3に示されるように、非零係数位置変換部2023bから通知された1個のブロックを構成する全ての非零係数位置(u,v)から、各座標値u、vのそれぞれの最大値umax、vmax及び最小値umin、uminを求め、その結果を演算順序制御部123に通知する。従って、例えば、最大値umaxより大きいu座標値を有する非零係数や、最小値uminより小さいu座標値を有する非零係数は、ブロックの中には存在しないことになる。
【0034】
図4は、比較部122aの動作手順を示すフローチャートである。
比較部122aは、先ず、横(u軸)方向と縦(v軸)方向のそれぞれの最小値と最大値の候補を初期化し(ステップS401)、非零係数位置変換部2023bから次々に与えられる非零係数位置(u,v)ごとに、それら候補と各座標値u,vを逐一に比較する(ステップS402〜ステップS411)。これにより、横方向の最小値の候補umin(ステップS404〜S405)、最大値の候補umax(ステップS406〜S407)、縦方向の最小値の候補vmin(ステップS408〜S409)、最大値の候補vmax(ステップS410〜S411)が求められる。
【0035】
図5は、比較部122aの具体的な動作内容を説明するための図である。
501の列は、非零係数位置変換部2023bから次々に与えられる非零係数位置(u,v)であり、502及び505の列は、その非零係数位置(u,v)のそれぞれ横方向の座標値u及び縦方向の座標値vを分離して示したものである。
【0036】
503、504、506及び507の列は、それら非零係数位置(u,v)が与えられた場合の比較部122aでの比較結果であり、それぞれ横方向の座標値uの最小値umin、最大値umax、縦方向の座標値vの最小値vmin、最大値vmaxを示している。なお、これらの初期値508をそれぞれ8、−1、8、−1に設定しておくことにより、与えられた全ての非零係数に対して同一の判断手法(ステップS404〜S411)を適用できるようにしている。
【0037】
509の行は、これら4個の非零係数が与えられた場合における比較部122aでの比較による最終結果umin、umax、vmin、vmaxを示している。
最後に、逆DCT部2021は、演算順序制御部123の制御の下に2次元逆DCTを行うことにより、係数記憶部121内の8×8(64個)のDCT係数S'(u,v)2109から8×8(64個)の再生画像データP'(x,y)2110を生成する。なお、逆DCT部2021は、この2次元逆DCTを、横方向の1次元逆DCTと縦方向の1次元逆DCTとに分解して実行している。
【0038】
これら逆DCTの処理においては、演算順序制御部123は、逆DCT部2021が、横方向の1次元逆DCTについては非零係数範囲計算部122で計算された横方向の座標値の最小値と最大値との間(umin≦u≦umax)に属するDCT係数S'(u,v)2109だけを対象として積和演算を行ない、一方、縦方向の1次元逆DCTについては非零係数範囲計算部122で計算された縦方向の座標値の最小値と最大値との間(vmin≦v≦vmax)に属するDCT係数S'(u,v)2109だけを対象として積和演算を行なうよう制御する。
【0039】
その結果、逆DCT部2021は、先ず、数7に示される横方向の1次元逆DCTの演算を行い、次に、数8に示される縦方向の1次元逆DCTの演算を行う。
【0040】
【数7】
Figure 0003837197
【0041】
【数8】
Figure 0003837197
図6(a)と図6(b)は、数7及び数8による積和演算の回数を具体的に説明するための図であり、図6(a)は、逆DCTが行われる前における係数記憶部121に格納された1ブロック分のDCT係数を、図6(b)は、横方向の1次元逆変換、即ち、数7による演算が行われた直後における係数記憶部121に格納されている中間計算値を示す模式図である。ここで、白色部分は、その値がゼロである箇所を、一方、黒色部分は、その値がゼロでない箇所を示している。
【0042】
図6(a)に示されるようなDCT係数S'(u,v)2109が与えられた場合には、非零係数範囲計算部122は、umin=0、umax=1、vmin=0、vmax=2と算出する。そして、演算順序制御部123は、それら4つの値に基づいて、逆DCT部2021が行う積和演算を制御する。
その結果、逆DCT部2021は、先ず、数7に従って、v=0〜2かつu=0、1であるDCT係数、即ち、S'(0,0)、S'(1,0)、S'(0,1)、S'(1,1)、S'(0,2)、S'(1,2)の6個のみを対象として積和演算を行い、図6(b)の黒色部分に示される12個の中間計算値G(x,v)を算出する。続いて、逆DCT部2021は、数8に従って、その12個の中間計算値G(x,v)のみを対象として積和演算を行う。
【0043】
このようにして、従来の装置で行われていたゼロとの積和演算、即ち、結果が自明である無駄な演算が、本装置においては回避される。なお、本装置においてはゼロとの積和演算のみを回避しているので、全てのDCT係数について積和演算を行う従来の装置が復元する再生画像データと本装置が復元する再生画像データとは、全く同一であることは言うまでもない。
【0044】
本装置における積和演算の回数について具体的に検討すると、u=0〜3及びv=0〜3の範囲について積和演算を行う場合に比べ、数7の演算においては、64回の積和演算が24(=6×4)回で済み、数8の演算においては、64回の積和演算が48(=12×4)回で済む。従って、この例においては、従来の装置では合計128回の積和演算が必要とされるところが、本装置によれば72回で済む。
(考察)
ところで、本装置は、従来の装置に比較し、同一の再生画像データを得るのに必要な積和演算の回数を減少させることができたが、その反面、比較部122aにおける比較演算という新たな処理が必要になっている。従って、1ブロックの符号化データW2106を伸長するのに要する処理時間を比較した場合には、本装置における積和演算と比較演算の両方の回数を考慮する必要があり、いかなる場合において本装置がその効果を発揮できるかが問題となる。
【0045】
ところが、画像自体が持っている以下の性質等により、多くの種類の画像データに対して、その伸長に要する時間が本装置によって短縮されることが判明している。
即ち、例えば、カメラで撮ったような自然画においては、一般に空間方向の色の変化が緩やかで滑らかな部分が多い。これは、空間周波数の低周波成分は多く含まれ、高周波成分は少ないことを意味する。従って、このような画像データから得られるDCT係数の値は、一般に、低周波成分については大きく、高周波成分については小さい。よって、これらDCT係数が整数に量子化された場合には、高周波成分についてのDCT係数の多くが零となる。
【0046】
さらに、自然画等においては重要でない高周波成分をカットすることによって情報量を圧縮するために、高周波成分に対する量子化ステップサイズを低周波成分のそれよりも大きくしておくことが多く、これによっても、高周波成分についてのDCT係数の多くが零となる。
これらのことは、JPEG方式が圧縮効率の高い符号化方式の1つであると言える根拠でもある。
【0047】
以上のことから、多くの画像に対しては、その量子化DCT係数の多くが零となる。これによって、1ブロックを構成する組データの数が少なくなり、比較部122aにおける比較演算の回数が少なくなると共に、伸長時における零との積和演算を回避できる頻度が多くなる。
よって、多くの種類の画像データに対して、その伸長に要する時間が本装置によって短縮される。
【0048】
なお、本実施形態においては、2次元逆DCTを行うために、先ず、数7に示される横(u軸)方向の1次元逆DCTを行った後に、数8に示される縦(v軸)方向の1次元逆DCTを行っているが、この順序に限定されるものではない。先ず、数9に示される縦(v軸)方向の1次元逆DCTを行った後に、数10に示される横(u軸)方向の1次元逆DCTを行っても同様の結果及び効果が得られる。
【0049】
【数9】
Figure 0003837197
【0050】
【数10】
Figure 0003837197
このことは、n次元逆DCTの性質、即ち、n次元逆DCTはn個の各軸についての1次元逆DCTに分解することが可能であり、かつ、分解された1次元逆DCTが可換である(それら1次元逆DCTを行う順序によってはn次元逆DCTの結果は変わらない)という性質に基づく。
【0051】
また、本装置では、非零係数S'(u,v)の座標値(u,v)の中から座標軸ごとの最小値umin、vmin及び最大値umax、vmaxを特定し、その座標範囲(umin≦u≦umax、vmin≦v≦vmax)に位置する非零係数S'(u,v)についてのみ逆DCTを行ったが、この特定処理を簡略化し、最大値のみを特定する方法も考えられる。
【0052】
即ち、非零係数S'(u,v)の座標値(u,v)の中から座標軸ごとの最大値umax、vmaxのみを特定し、その座標範囲(0≦u≦umax、0≦v≦vmax)に位置する非零係数S'(u,v)についてのみ逆DCTを行う方法である。この場合の処理手順は、本装置における比較部122aが特定した最小値umin、vminが双方ともゼロ、即ち、第1番目の座標値と一致した場合の処理手順と同一となる。
【0053】
この方法は、上述したように、「画像データは一般に低周波数成分を多く含むので各座標値u,vが小さい位置のDCT係数S'(u,v)の多くは非零である」という特性を利用したものである。即ち、非零係数が存在する領域の座標値の最小値umin、vminは非零になる場合が多いので、不要となる確率の高い最小値の特定という処理を回避することにより、比較部122aでの比較演算の回数を減らす(最大値の特定のみを行わせる)ものである。
【0054】
また、本実施形態においては、逆量子化部2022は、従来の装置と同様にして、係数記憶部121に格納された全ての量子化DCT係数R'(u,v)2108を順次読み出して逆量子化したが、非零係数のみを対象に逆量子化したり、非零係数範囲計算部122での結果に基づいて逆量子化するものであってもよい。
これによって、逆量子化の処理において、ゼロとの積という無駄な演算を回避することができるが、本装置は、逆量子化の高速化自体を主眼とするものではないので、これ以上の詳細な説明は行わない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る画像データ伸長装置を説明する。
【0055】
第1実施形態では、非零係数S'(u,v)の座標値(u,v)の中から座標軸ごとの最小値umin、vmin及び最大値umax、vmaxを特定したが、本実施形態では、座標軸vについては同様に最小値vmin、最大値vmaxを求め、座標軸uについては異なる座標値vごとの最小値umin、最大値umaxを求め、それらで特定される座標範囲(vmin≦v≦vmax、各vについて、umin≦u≦umax)に位置する非零係数S'(u,v)についてのみ逆DCTを行うことを特徴とする。
(構成)
本装置の基本的な構成は、図1に示されるブロック図の通りであり、第1実施形態と同一である。但し、非零係数範囲計算部122の詳細な構成及び演算順序制御部123の具体的な動作内容が異なる。以下、第1実施形態の装置と異なる点を中心に説明する。
【0056】
図7は、非零係数範囲計算部122の詳細な構成と他の構成部123、2021、121との関連を示す図である。
非零係数範囲計算部122は、本図に示されるように、本実施形態に特有の比較部122aを有し、非零係数位置変換部2023bからの通知に基づいて座標値の大小判断をする。
【0057】
演算順序制御部123は、比較部122aから通知された領域に格納されているDCT係数S'(u,v)2109についてのみ、逆DCT部2021が逆DCTを行うよう逆DCT部2021を制御する点は第1実施形態と同様であるが、比較部122aから通知される内容が異なる。
(動作)
以上のように構成された本装置の動作について説明する。
【0058】
なお、エントロピー復号化部2024、非零係数スキャン順番号計算部2023a、非零係数位置変換部2023b及び逆量子化部2022の動作は、第1実施形態と同一であるので、ここでは、非零係数範囲計算部122での処理から後の動作を説明する。
非零係数範囲計算部122の比較部122bは、図7に示されるように、非零係数位置変換部2023bから通知された1個のブロックを構成する全ての非零係数位置(u,v)から、座標値vについての最小値vmax及び最大値vmaxと、その範囲に属する各座標値v(vmin≦v≦vmax)についての座標値uの最小値umin(at v=vmin、…、vmax)及び最大値umax(at v=vmin、…、vmax)を求め、その結果を演算順序制御部123に通知する。以下、umin(at v=k)やumax(at v=k)等をumin(k)、umax(k)等と記す。
【0059】
図8は、比較部122bの動作手順を示すフローチャートであり、第1実施形態の図4に相当する。
比較部122bは、先ず、最小値と最大値の全ての候補を初期化し(ステップS801)、非零係数位置変換部2023bから次々に与えられる非零係数位置(u,v)ごとに、それら候補と各座標値u,vを逐一に比較する(ステップS802〜ステップS811)。これにより、各座標値vごとの横方向の最小値の候補umin(0)、…、umin(7)(ステップS804〜S805)、最大値の候補umax(0)、…、umax(7)(ステップS806〜S807)、縦方向の最小値の候補vmin(ステップS808〜S809)、最大値の候補vmax(ステップS810〜S811)が求められる。
【0060】
図9は、比較部122bの具体的な動作内容を説明するための図であり、第1実施形態の図5に相当する。
901の列は、非零係数位置変換部2023bから次々に与えられる非零係数位置(u,v)である。902〜907、908及び909の列は、それら非零係数位置(u,v)が与えられた場合の比較部122bでの比較結果であり、それぞれ座標値v=0である横方向の座標値uの最小値umin(0)、最大値umax(0)、座標値v=1である横方向の座標値uの最小値umin(1)、最大値umax(1)、座標値v=7である横方向の座標値uの最小値umin(7)、最大値umax(7)、縦方向の座標値vの最小値vmin、最大値vmaxを示している。なお、本図における初期値910や最終値911は、第1実施形態と同様の意味である。
【0061】
次に、逆DCT部2021は、演算順序制御部123の制御の下に、2次元逆DCTを横方向の1次元逆DCTと縦方向の1次元逆DCTとに分解して実行するが、逆DCTを行う対象となるDCT係数S'(u,v)が第1実施形態の場合と異なる。
即ち、演算順序制御部123は、逆DCT部2021が、横方向の1次元逆DCTについては非零係数範囲計算部122で計算された各座標値vごとの横方向の座標値uの最小値と最大値との間(umin(v)≦u≦umax(v))に属するDCT係数S'(u,v)2109だけを対象として積和演算を行ない、一方、縦方向の1次元逆DCTについては第1実施形態と同様の範囲(vmin≦v≦vmax)に属するDCT係数S'(u,v)2109だけを対象として積和演算を行なうよう制御する。
【0062】
その結果、逆DCT部2021は、先ず、数11に示される横方向の1次元逆DCTの演算を行い、次に、数8に示される縦方向の1次元逆DCTの演算を行う。即ち、第1実施形態における数7の演算に代わって、本装置では、数11の演算が行われる。
【0063】
【数11】
Figure 0003837197
図10(a)と図10(b)は、数11及び数8による積和演算の回数を具体的に説明するための図であり、第1実施形態における図6(a)と図6(b)に対応する。
即ち、図10(a)に示されるようなDCT係数S'(u,v)2109が与えられた場合には、非零係数範囲計算部122は、umin(0)=0、umax(0)=1、umin(1)=1、umax(1)=1、umin(2)=1、umax(2)=1、vmin=0、vmax=2と算出する。そして、演算順序制御部123は、それら6つの値に基づいて、逆DCT部2021が行う積和演算を制御する。
【0064】
その結果、逆DCT部2021は、数11に従って、v=0に対してはu=0及び1、v=1に対してはu=1、v=2に対してはu=1のDCT係数、即ち、S'(0,0)、S'(1,0)、S'(1,1)、S'(1,2)の4個のみを対象として積和演算を行う。従って、数7を用いた第1実施形態の場合(6個)よりも、さらに、その対象が2個減っている。
【0065】
但し、数11に基づく演算の結果得られる中間計算値G(x,v)は、第1実施形態と同様に、図10(b)の黒色部分に示される12個であるので、続く数8に基づく演算における積和演算の回数は、第1実施形態の場合と同一である。
このようにして、従来の装置で行われていたゼロとの積和演算、即ち、結果が自明である無駄な演算が、本装置においては回避される。
【0066】
なお、本実施形態においては、比較部122bは、座標値vについての最小値vmax及び最大値vmaxと、その範囲に属する各座標値v(vmin≦v≦vmax)についての座標値uの最小値umin()及び最大値umax()を求めたが、各座標軸u,vを相互に入れ替えた処理を行うものであっても同様の効果を得られることは言うまでもない。
【0067】
また、第1実施形態で述べたように、非零係数S'(u,v)が存在する座標範囲の特定処理を簡略化する方法も考えられる。
即ち、非零係数S'(u,v)の座標値(u,v)の中から最大値のみ、即ち、座標値vの最大値vmax、各座標値v(0≦v≦vmax)についての座標値uの最大値umax()のみを特定し、その座標範囲(0≦u≦umax()、0≦v≦vmax)に位置する非零係数S'(u,v)についてのみ逆DCTを行う方法である。これによって、不要となる確率の高い最小値の特定という処理を回避することができるので、比較部122aでの必要な比較演算の回数が減る。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る画像データ伸長装置を説明する。
【0068】
第1及び第2実施形態では、1次元逆DCTを行う対象となる座標軸の順序(先ずu軸、次にv軸)が固定的であったが、本実施形態では、与えられたDCT係数の内容によって、その順序を動的に変更することを特徴とする。
(構成)
本装置の基本的な構成は、図1に示されるブロック図の通りであり、第1実施形態と同一である。また、非零係数範囲計算部122の詳細な構成、即ち、非零係数範囲計算部122は比較部122aを有している点も同一である。
【0069】
但し、演算順序制御部123の詳細な構成とその動作内容が異なる。以下、第1実施形態の装置と異なる点を中心に説明する。
図11は、演算順序制御部123の詳細な構成と他の構成部122、2021、121との関連を示す図である。
演算順序制御部123は、第1実施形態における機能、即ち、比較部122aから通知される横軸及び縦軸のそれぞれの最大値及び最小値に基づいて逆DCT部2021での演算順序を制御する点で第1実施形態の場合と同一であるが、本図に示されるように、第1実施形態が有する機能に加えて本実施形態に特有の減算部123aとソート部123bとを有し、減算とソートという本実施形態に特有の演算を施しその結果に基づいて逆DCTを制御している点が第1実施形態の場合と異なる。
(動作)
以上のように構成された本装置の動作について説明する。
【0070】
減算部123aは、比較部122aから横方向の最大値umaxと最小値umin、縦方向の最大値vmaxと最小値vminの4個が与えられると、それぞれの方向における最大値と最小値との差、即ち、Δu(=umax−umin)とΔv(=vmax−vmin)を算出する。
続いて、ソート部123bは、減算部123aで算出された全ての減算値Δu、Δvを降順に並び替える。演算順序制御部123は、その結果得られた座標軸の順序を1次元逆DCTを施す座標軸の順序とし、逆DCT部2021を制御する。
【0071】
従って、最後に、逆DCT部2021は、それらの範囲(umin≦u≦umax、vmin≦v≦vmax)に属するDCT係数S'(u,v)2109を対象として逆DCTを行うが、その際の1次元逆DCTの順序、即ち数7の演算の後に数8の演算を行うか又は数9の演算の後に数10の演算を行うかは、演算順序制御部123からの指示によって定められる。
【0072】
図12(a)と図12(b)は、演算順序制御部123による制御の下に逆DCT部2021が行う積和演算の回数を具体的に説明するための図であり、第1実施形態における図6(a)と図6(b)に対応する。
図12(a)に示されるようなDCT係数S'(u,v)2109が与えられた場合には、比較部122aは、第1実施形態と同様に、umin=0、umax=1、vmin=0、vmax=2と算出する。
【0073】
続いて、減算部123aは、それら4つの値に基づいて、Δu(=1)とΔv(2)を算出する。
ソート部123bは、ΔuとΔvを降順、即ち、Δvの後にΔuの順に並べ替える。
演算順序制御部123は、ソート部123bで得られた座標軸の順に逆DCT部2021を制御する。その結果、逆DCT部2021は、先ず、Δv方向、即ち、数9に基づく1次元逆DCTを実行することにより、図12(b)の黒色部分に示される中間計算値G(x,v)を求め、次に、Δu方向、即ち、数10に基づく1次元逆DCTを実行する。
【0074】
その結果、第1実施形態においては、数7の積和演算に対しては6個のDCT係数がその対象となり、続く数8の積和演算に対しては12個の中間計算値がその対象となったが、本実施形態においては、数9の積和演算に対しては6個のDCT係数がその対象となり、続く数10の積和演算に対しては8個の中間計算値がその対象となっている。
【0075】
このように、本実施形態では、第1実施形態と比較して、逆DCTの演算においては、1次元逆DCTを行う際の座標軸の順序が異なっているだけである。それにも拘らず、本実施形態では、第1実施形態に比べ、後半の1次元逆DCTにおける積和演算の回数が減少している。
これは、1次元逆DCTが行われると次の1次元逆DCTの積和演算の対象となる中間計算値が存在する位置がその1次元領域全体に広がるという数学的な特性を考慮したためであり、このことは、数7及び数8あるいは数9及び数10から明らかである。即ち、本実施形態では、umin、umax、vmin、vmaxで特定される2次元座標上の矩形領域が、正方形でなく長方形である場合には、その辺が長い方向の座標軸を優先して1次元逆DCTを実行することとしている。このように、逆DCTの対象となる座標上の面積が少なくなる座標方向から先に1次元逆DCTを行なうことで、非零係数の広がり方を抑えることができ、積和演算の回数を減少させている。
【0076】
このようにして、従来の装置で行われていたゼロとの積和演算、即ち、結果が自明である無駄な演算が、本装置においては回避される。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で述べたように、非零係数S'(u,v)が存在する座標範囲の特定処理を簡略化する方法も考えられる。
即ち、非零係数S'(u,v)の座標値(u,v)の中から最大値のみ、即ち、座標値vの最大値vmax、座標値uの最大値umaxのみを特定し、それら最大値umax、vmaxを降順にソートし、その順序に従って1次元逆DCTを行う方法である。これによって、本実施形態の減算部123aでの減算という処理が不要となり、演算順序制御部123での必要な演算回数が減る。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る画像データ伸長装置を説明する。
【0077】
第1〜第3実施形態では、逆DCTを行う対象となる非零係数の座標範囲を特定するために比較演算が行われたが、本実施形態では、その比較演算に代わって、予め作成されたテーブルが参照されることを特徴とする。
(構成)
図13は、本装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【0078】
本図が第1実施形態の図1と異なるのは、接続関係だけであり、非零係数位置変換部2023bの出力が非零係数範囲計算部122に接続されるのではなく、非零係数スキャン順番号計算部2023aの出力が非零係数範囲計算部122に接続されている点である。
なお、非零係数範囲計算部122の詳細な構成も、第1実施形態の場合と異なる。以下、第1実施形態の装置と異なる点を中心に説明する。
【0079】
図14は、非零係数範囲計算部122の詳細な構成と他の構成部123、2021、121との関連を示す図である。
非零係数範囲計算部122は、本図に示されるように、本実施形態に特有の対応表122cを有し、この対応表122cを参酌することにより、非零係数スキャン順番号計算部2023aから通知されるスキャン順番号の最後のスキャン順番号から、非零係数が存在する領域の両座標軸の最大値を特定する。
【0080】
図15は、対応表122cの内容を示す図である。
対応表122cは、図15に示されるような、予め作成された内容のデータを記憶している。列1501には、1ブロックを構成する全てのスキャン順番号が格納され、列1502及び1503には、各スキャン順番号までのDCT係数S'(u,v)の全てが非零であると仮定した場合の非零係数が有する座標値(u,v)中の各座標軸ごとの最大値umax、vmaxが格納されている。
【0081】
図16は、対応表122cにおけるスキャン順番号1501と、umax1502及びvmax1503の関係を説明するための図である。
例えば、非零係数スキャン順番号計算部2023aから通知された最後のスキャン順番号が”5”の場合には、図15において、umax=1、vmax=2となっている。図16から判るように、スキャン順番号が1から5までの5個のDCT係数S'(u,v)がいずれも非零であった場合には、それらDCT係数S'(u,v)のu軸及びv軸ごとの座標値u,vの最大値umax、vmaxは、それぞれ1及び2である。
【0082】
このように、本実施形態では、1ブロックの左上から右下へのジグザグスキャンによって圧縮された画像データの伸長を対象としているので、一義的な対応表122cの作成が可能となる。
(動作)
以上のように構成された本装置の動作について説明する。
【0083】
非零係数スキャン順番号計算部2023aは、1ブロックを構成する全ての非零係数とそのスキャン順番号との組を非零係数範囲計算部122に通知するが、この点は第1実施形態の場合と同様である。
非零係数範囲計算部122は、非零係数スキャン順番号計算部2023aからスキャン順番号が次々に通知されると、最新のスキャン順番号のみを更新しながら記憶すると共に、それが1ブロックを構成する最後の非零係数であるかどうかをも判断する。1ブロックの最後の非零係数であるかどうかの判断は、1ブロックの最後に置かれたデータ”END”を検出することにより行われる。
【0084】
その結果、最後の非零係数を獲得すると、非零係数範囲計算部122は、対応表122cを参酌することにより、その非零係数と一致するジグザグスキャン順番号の行に格納された2個の最大値umax、vmaxを読み出して演算順序制御部123に通知する。即ち、非零係数範囲計算部122は、対応表122cを1回引くだけで、非零係数が存在する座標範囲を特定している。
【0085】
上記最大値umax、vmaxの通知を受けた演算順序制御部123は、それら最大値umax、vmaxに基づいて逆DCT部2021を制御するが、この制御の基本的な内容は第1実施形態と同様である。即ち、逆DCT部2021は、数7及び数8(但し、umin=0、vmin=0)に従って、逆DCTを実行する。
図17(a)と図17(b)は、本実施形態における積和演算の回数を具体的に説明するための図であり、第1実施形態における図6(a)と図6(b)に対応する。図17は、非零係数スキャン順番号計算部2023aから通知された最後のスキャン順番号が”5”である場合における係数記憶部121に格納されたDCT係数S'(u,v)2109の値を示しており、図17(a)の黒色部分が非零係数、灰色部分が零係数であることを示している。
【0086】
この場合には、非零係数範囲計算部122は、対応表122cを引くことにより、umax=1とvmax=2を獲得し演算順序制御部123に通知するので、逆DCT部2021は、先ず、6個のDCT係数S'(0,0)、S'(1,0)、S'(0,1)、S'(1,1)、S'(0,2)、S'(1,2)を対象として横(u軸)方向の1次元逆DCTを行い、次に、その結果得られた図17(b)の黒色部分に示される12個の中間計算値G(x,v)のみを対象として縦(v軸)方向の1次元逆DCTを行う。
【0087】
このように、本実施形態では、逐一に座標値の比較演算を行なうのではなく、予め作成された対応表122cを1回だけ引くことにより、逆DCTを行う対象となる非零係数の座標範囲を特定している。これによって、第1実施形態等で行っていたような比較演算を不要とすることができる。なお、従来の装置で行われていたゼロとの積和演算、即ち、結果が自明である無駄な演算が回避される点は、第1実施形態の場合と同様である。
【0088】
なお、本装置は、図15に示されるように、umaxとvmaxの2種類の最大値のみを記憶する対応表122cを用いたが、この表に替えて、例えば、図18(a)に示される対応表、あるいは図18(b)に示される対応表を用いるものであってもよい。
図18(a)の対応表は、図15の対応表122cを詳細化したものであり、図15に示された1種類のumaxに替えて、各座標値v(但し、0≦v≦vmax)ごとの最大値umax(v)を予め記憶している。
【0089】
例えば、非零係数スキャン順番号計算部2023aから通知された最後のジグザグスキャン順番号が”5”である場合には、非零係数範囲計算部122は、この対応表を参酌することにより、umax(0)=1、umax(1)=1、umax(2)=0、umax(3)=−1、vmax=2を獲得し、演算順序制御部123に通知する。その結果、逆DCT部2021は、図19(a)に示される5個のDCT係数S'(0,0)、S'(1,0)、S'(0,1)、S'(1,1)、S'(0,2)のみを対象として横(u軸)方向の1次元逆DCTを行う。
【0090】
具体的には、v=0の中間計算値G(x,0)の算出にはS'(0,0)とS'(1,0)のみを対象として積和演算を行い、v=1の中間計算値G(x,1)の算出にはS'(0,1)とS'(1,1)のみを対象として積和演算を行い、v=2の中間計算値G(x,2)の算出にはS'(0,2)のみを対象として積和演算を行う。なお、続く、縦(v軸)方向の1次元逆DCTにおける積和演算の回数は、図19(b)から明らかなように、図15の対応表を用いる場合との差は生じない。
【0091】
このように、図15の対応表を用いた場合には、6個のDCT係数が積和演算の対象となっていたが、図18(a)の対応表を用いることにより、その個数を5個に減少させることができた。なお、図15の対応表に替えて図18(a)の対応表を用いることは、第2実施形態において、第1実施形態の比較部122aに替えて比較部122bを用いたことと基本的な技術的思想が共通するのは言うまでもない。
【0092】
一方、図18(b)の対応表は、図18(b)の対応表のサイズを小さくしたものであり、図18(b)における複数のジグザグスキャン順番号をまとめて7個のグループにしたものである。
これは、「ジグザグスキャン順番号は画像の空間周波数の昇順に対応するものであり、一般的に、その周波数が高くなる程それに含まれる成分は少なくなる」という性質を利用している。
【0093】
この対応表を用いることにより、図18(a)の対応表よりもサイズを小さくできると共に、図15の対応表よりもゼロとの積和演算を回避できる確率が増える。
以上、本発明を4つの実施形態に基づいて説明したが、本発明は何もこれら実施形態に限定されないのはもちろんである。
【0094】
即ち、上記実施形態においては、2次元画像データP(x,y)を対象としたが、この次元に限定されるものではない。
例えば、第2実施形態において、3次元立体画像データP(x,y,z)を対象とする場合であれば、減算部123aは3軸を対象に差を算出し、ソート部123bは3軸を対象にソートし、演算順序制御部123は3種の1次元逆DCTの順序を制御することとなる。
【0095】
また、上記装置は、線形変換の一つであるDCTを経て圧縮された画像データを伸長するものであったが、線形変換の種類としては、このDCTに限定されるものではなく、例えば、K−L変換(Karhunen-Loeve transform)などであってもよい。また、DCTやK−L変換は直交変換の一つであるが、直交変換に限定されるものでもない。本装置は、ゼロとの積和演算を回避することによって高速な伸長を実現しているので、逆変換が積和演算となるような線形変換を経て圧縮された画像データを伸長するものである。
【0096】
また、製造の都合で、本発明の一つの必要不可欠の構成要件を複数に分割したり、逆に複数の構成要件を一体としたり、あるいは、適宜これらを組み合わせたりしてもよい。
また、動画の圧縮方式であるMPEGの復号化においても、Iピクチャと呼ばれる最初の画像やシーンが変化した場合の最初の画像において、本発明を使用してもよい。
【0097】
さらに、MPEGの復号化においては、PピクチャあるいはBピクチャと呼ばれる時間方向の差分を取り、更に動き補償などを行なった画像を復号化するが、この場合には、更に2次元離散余弦変換された係数の高周波部分に、零係数が多くなるため、時間方向の差分の復元とに動き補償の復元と本発明とを併用することもできる。
【0098】
【発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像データ伸長装置は、n(正の整数)次元座標空間内の各画素点が有する画素データの集まりに対してn次元線形変換を行い、その結果得られるn次元座標空間内の各係数を所定順序に従って一列に並べ、その列における非零係数とその位置を示す順番号との組からなる組データを符号化することによって前記画素データを圧縮する圧縮装置に対応して用いられる画像データ伸長装置であって、
前記n次元座標空間内の各係数を記憶する領域を有する記憶手段と、前記全ての係数を零として前記記憶手段に格納する初期化手段と、前記組データが与えられるとその組データに含まれる順番号に基づいてその組データに含まれる非零係数の前記n次元座標空間における座標値を算出する座標値算出手段と、前記座標値算出手段により算出された座標値に対応する前記記憶手段の記憶箇所に前記非零係数を格納する格納手段と、前記記憶手段において非零係数が格納されている領域を特定する非零係数領域特定手段と、前記非零係数領域特定手段により特定された領域内の係数のみを用いて積和演算で表現されるn次元逆変換を行うことにより元画素データ相当のデータを復元する逆変換手段とを備えたことを特徴とする。
【0099】
これにより、零係数についての無駄な積和演算が回避されるので、圧縮された画像データは高速に伸長される。
ここで、前記n次元逆変換はn個の独立した1次元逆変換に分解可能であり、前記非零係数領域特定手段は前記n次元座標空間を構成するm(1以上n以下の整数)個の座標軸について座標軸ごとに前記非零係数が存在する座標区間を特定し、前記逆変換手段は、前記m個の座標軸について座標軸ごとに前記非零係数領域特定手段により特定された座標区間に属する係数のみを用いて1次元逆変換を行う第1逆変換部と、残る(n−m)個の座標軸について、座標軸ごとに、全座標区間の係数を用いて1次元逆変換を行う第2逆変換部とからなるとすることもできる。
【0100】
これにより、n次元逆変換は1次元逆変換に分解されて行われ、座標軸ごとに無駄な積和演算が回避されるので、一括してn次元逆変換を行う場合に比べ、より少ない回数の積和演算でn次元逆変換が終了する。
また、前記非零係数領域特定手段は前記m個の座標軸について座標軸ごとに前記座標値算出手段により算出された全ての非零係数の座標値の中から最大値を特定し、その最大値を一端として前記座標区間を特定するとすることもできる。
【0101】
これにより、座標値が上記最大値より大きい零係数についての積和演算が回避されるので、伸長処理が高速化される。
また、前記非零係数領域特定手段は、前記m個の座標軸について座標軸ごとに前記座標値算出手段により算出された全ての非零係数の座標値の中から最小値と最大値を特定し、その最小値以上かつ最大値以下を前記座標区間として特定するとすることもできる。
【0102】
これにより、座標値が上記最小値より小さい零係数や上記最大値より大きい零係数についての積和演算が回避されるので、伸長処理がより高速化される。
また、前記mは前記nに等しいとすることもできる。
これにより、全ての座標軸について、座標値が上記最小値より小さい零係数や上記最大値より大きい零係数についての積和演算が回避されるので、伸長処理がより高速化される。
【0103】
また、前記変換は直交変換であり、前記逆変換は前記直交変換に対応する直交逆変換としたり、さらに、前記変換はDCTであり、前記逆変換は逆DCTとすることもできる。
これにより、本装置は、JPEG方式等の業界標準の圧縮方式による画像データに好適な伸長装置となる。
【0104】
また、前記mは2以上であり、前記逆変換手段は、さらに、前記m個の座標軸について前記非零係数領域特定手段により特定された座標区間の長さの降順に座標軸を並べるソート部を有し、前記第1逆変換部は前記第2逆変換部による1次元逆変換の終了後であって、かつ、前記ソート部により並べられた座標軸の順に前記1次元逆変換を行うとすることもできる。
【0105】
これにより、単に座標値が上記最小値より小さい零係数や上記最大値より大きい零係数についての積和演算が回避されるのではなく、積和演算の回数をより少なくできる座標軸の順に1次元逆変換が行われるので、1次元逆変換を行う順序を考慮しない場合に比べ、より少ない回数の積和演算でn次元逆変換が終了する。
【0106】
また、前記非零係数領域特定手段は、前記順番号とその順番号以下の前記係数が全て非零係数であると仮定した場合におけるそれら非零係数の座標値の中の座標軸ごとの最大値との対応を全ての順番号について記憶する第1対応記憶部と、元画素データ相当の全データを復元するために必要な非零係数中の最後の非零係数が与えられたことを検出する最終非零係数検出部と、前記第1対応記憶部に記憶された対応に基づいて前記最終非零係数検出部により検出された非零係数についての順番号に対応する前記座標軸ごとの最大値を特定し、その最大値を一端として前記座標区間を特定する第1最大値特定部とからなるとすることもできる。
【0107】
これにより、上記最大値を特定するための多数回の比較演算が不要となり、画像データの伸長に要する全体の時間が短縮化される。
また、前記n次元逆変換はn個の独立した1次元逆変換に分解可能であり、前記非零係数領域特定手段は、前記n次元座標空間を構成するn個の座標軸中の1個の座標軸についてその1個を除く(n−1)個の座標軸についての座標値の組合せごとに前記非零係数が存在する座標区間を特定する第1特定部を有し、前記逆変換手段は、前記1個の座標軸について前記第1特定部により特定された座標区間に属する係数のみを用いて1次元逆変換を行う第3逆変換部と、残る(n−1)個の座標軸について座標軸ごとに1次元逆変換を行う第4逆変換部とからなるとすることもできる。
【0108】
これにより、座標軸ごとではなく、(n−1)個の座標軸の座標値の組合せごとに、無駄な零係数のついての積和演算が回避されるので、さらに、伸長処理が高速化される。
また、前記n次元逆変換はn個の独立した1次元逆変換に分解可能であり、
前記非零係数領域特定手段は、前記順番号と「その順番号以下の前記係数が全て非零係数であると仮定した場合におけるそれら非零係数」のうち「前記n次元座標空間を構成するn個の座標軸中の1個の座標軸を除く(n−1)個の座標軸についての全ての座標値の組合せが同一である非零係数」の「前記1個の座標軸についての座標値の中の前記組合せごとの最大値」と「前記仮定をした場合における前記非零係数」の「前記(n−1)個の座標軸ごとの最大値」との対応を全ての順番号について記憶する第2対応記憶部と、元画素データ相当の全データを復元するために必要な非零係数中の最後の非零係数が与えられたことを検出する最終非零係数検出部と、前記第2対応記憶部に記憶された対応に基づいて、前記最終非零係数検出部により検出された非零係数についての順番号に対応する前記組合せ及び前記座標軸ごとの最大値を特定し、その最大値を一端として前記座標区間を特定する第2最大値特定部とからなり、前記逆変換手段は、前記1個の座標軸について、前記第2最大値特定部により特定された座標区間に属する係数のみを用いて1次元逆変換を行う第7逆変換部と、残る(n−1)個の座標軸について、座標軸ごとに、前記第2最大値特定部により特定された座標区間に属する係数のみを用いて1次元逆変換を行う第8逆変換部とからなるとすることもできる。
【0109】
これにより、上記最大値を特定するための多数回の比較演算が不要となるばかりでなく、(n−1)個の座標軸の座標値の組合せごとに無駄な零係数のついての積和演算が回避されるので、さらに、画像データの伸長に要する全体の時間が短縮化される。
以上のように、本発明に係る画像データ伸長装置により、線形変換を経て圧縮された画像データの伸長処理時間が従来よりも飛躍的に短縮化されるので、特に、MPEG方式により圧縮された動画像データの高速伸長が要求されるマルティメディア分野における実用的効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像データ伸長装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同装置のスキャンテーブル2032の内容を示す図である。
【図3】同装置の非零係数範囲計算部122の詳細な構成と他の構成部との関連を示す図である。
【図4】同装置の比較部122aの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】同装置の比較部122aの具体的な動作内容を説明するための図である。
【図6】図6(a)は、同実施形態において、最初に行われる1次元逆DCTの対象となるDCT係数を示す模式図である。
図6(b)は、同実施形態において、次に行われる1次元逆DCTの対象となる中間計算値を示す模式図である。
【図7】第2実施形態における非零係数範囲計算部122の詳細な構成と他の構成部との関連を示す図である。
【図8】同装置の比較部122bの動作手順を示すフローチャートである。
【図9】同装置の比較部122bの具体的な動作内容を説明するための図である。
【図10】図10(a)は、同実施形態において、最初に行われる1次元逆DCTの対象となるDCT係数を示す模式図である。
図10(b)は、同実施形態において、次に行われる1次元逆DCTの対象となる中間計算値を示す模式図である。
【図11】第3実施形態における演算順序制御部123の詳細な構成と他の構成部との関連を示す図である。
【図12】図12(a)は、同実施形態において、最初に行われる1次元逆DCTの対象となるDCT係数を示す模式図である。
図12(b)は、同実施形態において、次に行われる1次元逆DCTの対象となる中間計算値を示す模式図である。
【図13】第4実施形態に係る画像データ伸長装置の構成を示すブロック図である。
【図14】同装置の非零係数範囲計算部122の詳細な構成と他の構成部との関連を示す図である。
【図15】同装置の対応表122cの内容を示す図である。
【図16】同装置の対応表122cにおけるスキャン順番号と最大値umax、vmaxとの関係を説明するための図である。
【図17】同装置の非零係数範囲計算部122の具体的な動作内容を説明するための図である。
【図18】図18(a)は、同装置の対応表122cを詳細化した場合の別の対応表の内容を示す図である。
図18(b)は、図18(a)の対応表を複数のジグザグスキャン順番号ごとにまとめた場合の別の対応表の内容を示す図である。
【図19】図18の対応表を用いた場合の非零係数範囲計算部122の具体的な動作内容を説明するための図である。
【図20】従来の画像データ圧縮/伸長装置の構成を示すブロック図である。
【図21】画像データが圧縮/伸長されて変化する様子を示す図である。
【符号の説明】
120 伸長部
121 係数記憶部
122 非零係数範囲計算部
122a 比較部
122b 比較部
122c 対応表
123 演算順序制御部
123a 減算部
123b ソート部
2021 逆DCT部
2022 逆量子化部
2023a 非零係数スキャン順番号計算部
2023b 非零係数位置変換部
2024 エントロピー復号化部
2030 テーブル記憶部
2031 量子化テーブル
2032 スキャンテーブル
2033 符号化テーブル

Claims (4)

  1. n(正の整数)次元座標空間内の各画素点が有する画素データの集まりに対してn次元線形変換を行い、その結果得られるn次元座標空間内の各係数を所定順序に従って一列に並べ、その列における非零係数とその位置を示す順番号との組からなる組データを符号化することによって前記画素データを圧縮する圧縮装置に対応して用いられる画素データ伸長装置であって、
    前記n次元座標空間内の各係数を記憶する領域を有する記憶手段と
    記組データが与えられると、その組データに含まれる順番号に基づいて、その組データに含まれる非零係数の前記n次元座標空間における座標値を算出する座標値算出手段と、
    任意の座標軸について、前記座標値算出手段により算出された非零係数の座標値の中から前記任意の座標軸の座標値の最小値、最大値を求め、他の座標軸については、前記任意の座標軸の異なる座標値ごとに非零係数の座標値の最小値、最大値を求めることにより、非零係数の座標領域を特定する非零係数領域特定手段と、
    前記非零係数領域特定手段により特定された座標領域の係数を用いて積和演算で表現されるn次元逆変換を行うことにより元画素データ相当のデータを復元する逆変換手段と
    を備えたことを特徴とする画像データ伸長装置。
  2. 前記n次元逆変換は、n個の独立した1次元逆変換に分解可能であり
    記逆変換手段は、
    前記任意の座標軸について、前記非零係数領域特定手段により特定された座標領域に属する係数のみを用いて1次元逆変換を行う第1逆変換部と、
    他の座標軸について、前記非零係数が存在する座標区間を特定し、前記座標区間の係数を用いて1次元逆変換を行う第2逆変換部とからなることを特徴とする請求項1記載の画像データ伸長装置。
  3. 前記変換は直交変換であり、
    前記逆変換は前記直交変換に対応する直交逆変換であることを特徴とする請求項2記載の画像データ伸長装置。
  4. 前記変換はDCTであり、
    前記逆変換は逆DCTであることを特徴とする請求項3記載の画像データ伸長装置。
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