JP3836240B2 - アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復運動を回転運動に変換伝達してトルクを得るアクチュエータに関し、特に、ボールバルブやバタフライバルブ等の回転弁を駆動するために好適なアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールバルブ等の回転弁に用いられるアクチュエータには、例えば実公平3−31842号公報に開示されたものが知られている。
この種のアクチュエータ1は、図6に示すように、空気圧や油圧等の流体圧をシリンダ部2に加え、得られたピストンロッド3による推力の直線運動を、スコッチヨーク4による変換機構によって回転運動に換えることによりスコッチヨーク4とキー8を介して結合した出力軸5に伝達し、この出力軸5に連結した回転弁のステムを回動させて弁体を開閉駆動するようにしている。
【0003】
また、これを改良した従来例におけるスコッチヨーク4と出力軸5との結合構造は、通常、図7に示すように、出力軸5に設けたキー溝6に板バネ7を介してキー8を突出状態に付勢させ、かつスコッチヨーク4の係止溝9にキー8を係止させてスコッチヨーク4を出力軸5に回転不能に結合させたものである。
【0004】
そして、図6においては、アクチュエータ1の分解・組立て時に出力軸5をハウジング10より取り出したり、装入する場合、ハウジング10に大きな径の軸支孔10aを形成し、この軸支孔10aにハウジングカバー10bを着脱することによって、キー8とともに出力軸5を軸支孔10aより装脱するようにしている。
これに対して、図7に於ては板バネ7を圧縮することによりキー8が出力軸5と同径になるので軸支孔を大きくする必要が無く、ハウジングカバーもいらない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来例おけるアクチュエータは、次のような課題点を有している。
まず、図7に示すように、出力軸5に設けた結合構造は、板バネ7を用いているから、板バネ7がキー8を押圧する部位Pが1つであるうえに、キー8の全体に板バネ7の荷重が掛かることなく、偏荷重の状態でキー8を押圧保持するおそれがあり、しかも、キー8などの加工部品にかえり等があると、キー8は斜めの状態で装着される場合がある。
【0006】
そのため、キー8が部分当りとなって、使用中に、局部的磨耗や変形が生じて経時的なガタツキが原因となり、特に回転弁に用いた場合は、確実な開閉駆動がなされないなどの課題を有している。
【0007】
また、上記のように、従来例によると、ハウジングカバー10aを必要とすると共に、径の大きな軸支孔10aを設けなければならず、そのため、部品点数が多くなるばかりでなく、アクチュエータの分解・組立てが面倒であった。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みて開発したものであり、その目的とするところは、アクチュエータの分解・組立てを容易に行なえるようにすると共に、部品点数を少なくして、構造を簡略化し、もって、往復運動を確実に回転運動に変換して安定したトルクを得ることのできるアクチュエータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のアクチュエータは、本体内に支持し、駆動源により往復移動するピストンロッドと、ピストンロッドに近接させて直交方向に配置した出力軸と、出力軸を回動自在に支持する本体と、出力軸にキー結合により回り止めして支持した伝達駒と、ピストンロッドに設け、伝達駒と係合するピンとを有するアクチュエータであって、出力軸に設けたキー溝の両端寄りの底に独立のバネを入れ、バネを介してキーを突出状態に進出付勢してキー溝に嵌合し、本体に設けた出力軸の支持孔を、キーの突出状態では貫通不能の径としたものである。
【0010】
この場合、キー溝のバネ部分に出力軸を貫通する孔を設け、この孔と連通させて伝達駒にも貫通孔を設け、これらの孔よりキーの装着状態を確認する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるアクチュエータの実施の一形態を図1乃至図5に基づいて説明する。
本例におけるアクチュエータは、ピストンを内蔵したシリンダ部11内に、空気圧、油圧、ガス等の流体圧力でピストンロッド12を往復運動させ、この往復運動を本体13内に設けた後述する伝達駒14(変換機構)により回転運動に変えるものである。この場合、本体13の一端にバネ機構を設けたスプリングリターン形のシリンダ式アクチュエータでもよく、何れにしてもアクチュエータの駆動源は、各種の駆動源方式を採用するものとし、上記の例に限定されるものではない。
【0012】
また、ピストンロッド12に近接させて直交方向に出力軸15を配置し、この出力軸15の上下を本体13の支持孔16,17に回転自在に支持し、更に、このピストンロッド12に設けたピン25に伝達駒14のアーム部14aを係合させて往復運動を回転運動に変換し伝達させている。図中、18a,18bは止め輪、19a,19bはベアリング、20はダストシールリングである。
【0013】
更に、出力軸15の途中に、図4に示すように、伝達駒14の嵌着孔14bを嵌め、キー21による結合により回し止めして支持している。そしてこのキー結合による構造は、出力軸15に設けたキー溝22の両端寄りの底に装入穴23を本例において2個設け、それぞれの装入穴23に独立の圧縮コイルバネ24を入れ、一方、端部に案内テーパ面21aを有するキー21をキー溝22と伝達駒14の嵌着孔14bに形成した係止溝14cに装入すると共に、このバネ24の一端をキー21の両端位置に当接させ、このバネ24によりキー21の両端にバランス良く荷重をかけてキー21を正確な突出状態に進出付勢させている。
【0014】
このバネ24は、圧縮コイルバネに限ることなく、その他のバネでもよく、又、バネ24は少なくとも2個設けてあればよく、その数は限定されない。何れにしてもこのバネ24でキー21をバランス良く突出状態に進出付勢していれば良い。
【0015】
また、図3に示すように、キー溝22の両端は円弧状に形成されているので、キー21の両端部がこの円弧状部22aに係合して使用に際してキー21が軸方向にみだりに動くおそれがない。
【0016】
更に図4及び図5において、キー溝22の両端寄りの底に設けた装入穴23に連通して出力軸15を貫通する2個の孔26を形成し、この孔26と連通させた2個の貫通孔27を伝達駒14に設け、この孔26と連通させた2個の貫通孔27を伝達駒14に設けて、キー21の装着状態を外方より視認できるようにしている。従って、2個の貫通孔27からキー21の両端の装着具合を簡単に確認できる。
【0017】
また、図1に示すように、上記した支持孔16,17の径は、キー21が突出した状態において、出力軸15がこの支持孔16,17より貫通することができない程度の孔径で、しかもバネ24を圧縮させた状態でキー21をキー溝21に押し込むときには出力軸15を支持孔16,17より抜き出すことができる程度の孔径である。
【0018】
なお、図中28は出力軸15の上端部に設けた手動操作部、29は出力軸15の下端部に設けた被作動体の連結部であり、本例においては、この連結部29にボールバルブ等の回転弁のステムを直接又は間接的に連結している。30は流体圧力の出入口、31はOリングである。
【0019】
次に上記実施形態の作用を説明する。
図1において、空気圧等の流体圧力を出入口30より出入させると、シリンダー部11内にピストンによってピストンロッド12が往復運動し、この運動に伴ってピン25に係合した伝達駒14が回転運動に変換して出力軸15を回転させる。
【0020】
この場合、出力軸15の連結部29にボールバルブ等の回転弁のステムを連結しておくと、例えば、出力軸15を略90°毎に回転駆動させることにより、ボールバルブ等の回転弁の弁体を90°毎に開閉させることができる。
【0021】
また、出力軸15に設けたキー溝22の両端寄りの底部位に独立の圧縮コイルバネ24を装入しているので、キー21の両端位置に2つの圧縮コイルバネ24の一端部がそれぞれ均一に荷重を掛けており、キー21はバランス良く突出付勢しているため、伝達駒14は、出力軸15に確実に回り止め支持されており、伝達駒14が経時的なガタツキの原因となるおそれもない。
【0022】
更に、キー溝22のバネ部分に出力軸15を貫通する孔26を設け、この孔26に連通する貫通孔27を伝達駒14に設けているので、これらの貫通孔27と孔26を通して外部よりキー21と圧縮コイルバネ24の装着状態を寸法測定により確認することができる。
【0023】
また、本体13に設けた出力軸15の支持孔16,17を、図1に示すように、キー21が突出した状態では貫通することが不可能な径としているので、図6における従来例のように、大きな軸支孔10aとハウジングカバー10bを設けることなく、本体13に支持孔16,17を設けるのみで良く、従来例に比較して構造を簡素化することができる。
【0024】
この場合、アクチュエータを分解・組み立てる際に、出力軸15を本体13より取り外すには、図1において、止め輪18a,18bを外し、次いで、出力軸15を本体13の上方より引き抜くと、伝達駒14よりキー14とともに出力軸15が抜かれて上方へ移動し、キー21の案内テーパ面21aが本体13の支持孔16の下端面に当接しながらキー21がキー溝22に押し込まれ、キー21とともに出力軸15が本体13より引き抜かれ、本体13より出力軸15を分解することが可能となる。
【0025】
また、本体13へキー21と共に出力軸15を組み立てるには、上記とは反対に、本体13の支持孔17より挿入すると、キー21の案内テーパ面21aに本体13の支持孔17の外端面が当接して上記と同様に本体13の内部に装入され、内部に位置している伝達駒14にキー21と出力軸15を嵌合して両者をキー結合することができる。なお、キー21の両端に案内テーパ面21aを設ければ、出力軸15は本体13の支持孔16,17の何れの方向からも分解・組立てが可能となる。
【0026】
本発明におけるアクチュエータの被作動体は、上記の回転弁に限定されることなく、出力軸15の回転駆動で作動できるその他の被作動体に広く適用することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明によると、構造を簡略化し、かつ部品点数を少なくしているので、アクチュエータの分解組立てが容易に行なえると共に、往復運動を回転運動に確実に変換して安定したトルクを得るアクチュエータを提供することができる。
【0028】
また、キーの両端位置に独立したバネが個別にバランス良く荷重をかけて押圧しているので、長期間の使用によってもガタツクことなく、確実にキー結合状態を長期にわたって維持することができる。
【0029】
更に、貫通孔と孔を通して外部よりキーとバネの装着状態を視認することができるので、常に正確な装着状態で駆動させることができると共に、点検・保守作業も容易になる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるアクチュエータの一例を示す一部切欠き正面図である。
【図2】図1の一部切欠き平面図である。
【図3】図1における出力軸のキー溝部分を示す正面図である。
【図4】図1の出力軸と伝達駒をキー結合により設けた部分を示す拡大断面図である。
【図5】図4の横断面図である。
【図6】従来のアクチュエータを示す一部切欠き部分正面図である。
【図7】従来のアクチュエータの他例を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
12 ピストンロッド
13 本体
14 伝達駒
15 出力軸
16,17 支持孔
21 キー
22 キー溝
24 バネ
25 ピン
26 孔
27 貫通孔
Claims (1)
- 本体内に支持し、駆動源により往復運動するピストンロッドと、該ピストンロッドに近接させて直交方向に配置した出力軸と、該出力軸を回転自在に支持する本体と、前記出力軸にキー結合により回り止めして支持した伝達駒と、前記ピストンロッドに設け、前記伝達駒と係合するピンとを有するアクチュエータにおいて、前記出力軸に設けたキー溝の両端寄りの底に独立のバネを入れ、該バネを介してキーを突出状態に進出付勢して前記キー溝に嵌合し、前記本体に設けた前記出力軸の支持孔を、前記キーの突出状態では貫通不能の径とし、前記キー溝のバネ部分に出力軸を貫通する孔を設け、該孔と連通させて伝達駒にも貫通孔を設けたことを特徴とするアクチュエータ。
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