JP3836237B2 - 画像修正方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像修正方法および装置に関し、とくにデジタルカメラなどにより取得されたデジタル画像信号により表される画像内に含まれる飽和画像の領域を修正する画像修正方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタル電子スチルカメラ(以下デジタルカメラとする)においては、撮影により取得した画像をデジタル画像信号としてデジタルカメラ内部に設けられた内部メモリやICカードなどの記憶媒体に記憶し、記憶されたデジタル画像信号に基づいて、プリンタやモニタに撮影により取得した画像を表示することができる。このように、デジタルカメラにより取得した画像をプリントする場合においては、ネガフイルムからプリントされた写真と同様の高品位な画質を有するものとすることが期待されている。
【0003】
このようなデジタルカメラによる撮像は、被写体の輝度をカメラ内の撮像部の絞りやシャッタにより露出制御し、測光した測光値を画像信号に変換し、画像信号に階調変換などの画像処理を施して記憶媒体に記憶することにより行われる。この画像信号の取り得る値の範囲は現在は8ビット=0〜255であり、被写体の100%の反射率の色(白)が255、完全な黒が0の値を取るように露出が制御される。この際、シャドー画像(小さい測光領域)では、カメラの固体撮像素子(CCDなど)が有するノイズが発生してS/Nが悪くなるため、可能な限りハイライト側一杯に階調を利用するように撮像を行う必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したデジタルカメラにおいては、カメラの露出制御やストロボ制御の失敗あるいは精度不足により撮像された画像が露出不足や露出オーバーとなる場合がある。画像が露出不足となる場合、ノイズが多くなるものの、画像内には階調が存在するためデジタル画像信号を大きくなるよう、例えばデジタル画像信号の最大値が255になるように変更することにより画像を再現することは可能である。しかしながら、露出オーバーの場合はハイライト側の画像信号が飽和(画像信号値が255を示す)してしまうため、画像に階調や色がなくなり、デジタル画像信号の階調を変更しても飽和画像信号により表される飽和画像域を再現することができない。例えば、デジタル画像信号を再現する際にプリント濃度を濃くしても、画像信号が飽和している飽和画像域は階調がなく、かつ色の繋がりのない不自然な画像として再現されることとなる。また、撮像された画像中には100%の白以上に高い反射率を有する(ハイエスト)部分が存在し、画像の立体感や質感を表す上で重要であるが、このようなハイエスト部分についてもプリント濃度を濃くすると不自然な画像となってしまう。
【0005】
このような露出オーバーについては、銀塩写真フイルムのように露出ラチチュードが広い場合には、撮像された画像をデジタル画像信号に変換し、このデジタル画像信号に対して画像処理を施すことによりプリンタやモニタに画像を再現することができる。しかしながら、デジタルカメラにおいては固体撮像素子のダイナミックレンジが銀塩写真フイルムと比較して狭いため、取得されたデジタル画像信号の飽和を完全になくすることは困難である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、デジタル画像信号に含まれる飽和画像域についても自然な画像として再現することができるように画像を修正することができる画像修正方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の画像修正方法は、デジタル画像信号を修正する画像修正方法において、
前記デジタル画像信号により表される画像から、該デジタル画像信号の飽和画像信号を含む飽和画像域を抽出し、
該飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、該飽和画像域を表すデジタル画像信号を修正することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による第2の画像修正方法は、デジタル画像信号を修正する画像修正方法において、
前記デジタル画像信号により表される画像から主要画像領域を抽出し、
該主要画像領域から前記デジタル画像信号の飽和画像信号を含む飽和画像域を抽出し、
該飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、該飽和画像域を表すデジタル画像信号を修正することを特徴とするものである。
【0009】
ここで、主要画像とは、例えば画像中における人間の顔のように、その画像中において主要な部分をなす被写体のことをいう。
【0010】
また、上記第1および第2の画像修正方法においては、前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域を表すデジタル画像信号に含まれる非飽和画像信号に基づいて行うようにしてもよく、前記飽和画像域内の非飽和画像域の色バランスに基づいて行うようにしてもよい。
【0011】
さらに、前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域の略中心位置に向かって該飽和画像域内の色が徐々に変化するように行うようにしてもよく、前記飽和画像信号に基づいて算出された修正量に基づいて行うようにしてもよい。
【0012】
また、本発明による第1の画像修正装置は、上記本発明による第1の画像修正方法を実施するためのものであり、
前記デジタル画像信号により表される画像から、該デジタル画像信号の飽和画像信号を含む飽和画像域を抽出する飽和画像域抽出手段と、
該飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、該飽和画像域を表すデジタル画像信号を修正する修正手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明による第2の画像修正装置は、上記本発明による第2の画像修正方法を実施するためのものであり、
前記デジタル画像信号により表される画像から主要画像領域を抽出する主要画像領域抽出手段と、
該抽出された主要画像領域から前記デジタル画像信号の飽和画像信号を含む飽和画像域を抽出する飽和画像域抽出手段と、
該飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、該飽和画像域を表すデジタル画像信号を修正する修正手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
また、上記第1および第2の画像修正装置においては、前記修正手段は、前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域を表すデジタル画像信号に含まれる非飽和画像信号に基づいて行う手段であってもよく、前記飽和画像域内の非飽和画像域の色バランスに基づいて行う手段であってもよい。
【0015】
さらに、前記修正手段は、前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域の略中心位置に向かって該飽和画像域内の色が徐々に変化するように行う手段であってもよく、前記飽和画像信号に基づいて算出された修正量に基づいて行う手段であってもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明による第1の画像修正方法および装置によれば、デジタル画像信号により表される画像から飽和画像信号を含む飽和画像域が抽出され、この飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、飽和画像域を表すデジタル画像信号が修正される。このため、修正された画像信号を再生することにより、撮影時に露出オーバーとなった画像あるいはこの画像に含まれるハイエスト領域について、適切な階調および/または色を有する自然な仕上がりの画像を得ることができる。
【0017】
また、本発明による第2の画像修正方法および装置によれば、デジタル画像信号により表される画像から主要画像領域が抽出され、さらにこの抽出された主要画像領域から飽和画像信号を含む飽和画像域が抽出され、この飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、飽和画像域を表すデジタル画像信号が修正される。このため、修正された画像信号を再生することにより、画像中の主要画像について適切な階調および/または色を有する自然な仕上がりを有する画像を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は本発明の実施形態による画像修正装置をデジタル画像信号のプリントシステムの画像出力装置に適用した構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の実施形態を適用した画像出力装置は、BGRの3色の色信号からなるデジタル画像信号を入力するための画像信号入力手段1と、入力されたデジタル画像信号を対数変換するための対数変換手段2と、対数変換されたデジタル画像信号から後述するようにして飽和画像域を検出する飽和画像域検出手段3と、飽和画像域検出手段3において検出された飽和画像域の色を推定する色推定手段4と、飽和画像域を表す飽和画像信号を修正する修正手段5と、飽和画像域が修正されたデジタル画像信号全体に対して画像処理を施す画像処理手段6と、画像処理が施されたデジタル画像信号を真数変換する真数変換手段7と、真数変換されたデジタル画像信号を出力手段9に適合するように、2次元または3次元のルックアップテーブルを使用して変換する出力画像信号変換手段8と、デジタル画像信号を可視像として出力するプリンタ、CRTなどの出力手段9とからなる。
【0020】
画像信号入力手段1は、例えばデジタルカメラにより撮像されたデジタル画像データが入力されるものであるが、デジタルカメラと画像出力装置との直結、PCカード、スマートメディアカード、コンパクトフラッシュメモリカード、CD−R、ZIPなどの記録媒体、あるいはインターネットや画像通信手段による入力であってもよいものである。なお、入力されるデジタル画像信号はそれぞれ画素数が異なる場合があるため、一定の画素数となるように画像信号を補間あるいは間引いて画素数を調節する。
【0021】
対数変換手段2は、真数値であるB(ブルー)、G(グリーン)、R(レッド)のデジタル画像信号を、後の演算を容易にするために対数値に変換する(B濃度信号、G濃度信号、R濃度信号:以下、単にB濃度、G濃度、R濃度とする)ものである。但し、この対数変換は、デジタル画像信号の全画素について行う必要はなく、以降の処理に必要な画素に対してのみ行えばよい。例えば、一定間隔で画素を間引いたり、複数画素の平均値やフィルタリングによってノイズを軽減したり、演算時間を短縮できるように適切な画素数とすることが好ましい。
【0022】
画像処理手段6は、不図示の画像処理出力条件決定手段において決定された出力条件に従って、デジタル画像信号の全画素に対して画像処理を行うものである。具体的には、出力画像の濃度を変更するために、出力条件値(対数値)から求めた値(真数値)により全画素値を除することによって修正を行ったり、色調整のためのマトリクス処理、階調処理、シャープネス強調処理などの出力画像の画質を良好にするための処理を行うものである。
【0023】
飽和画像域検出手段3は、デジタル画像信号中の少なくとも1色の色信号が最大画像信号値(255)である飽和画像信号からなる飽和画像域を全て検出するものである。この検出処理のフローチャートを図2に示す。図2に示すように、まずステップS1において最大画像信号値を有する飽和画素を選択する。そして、ステップS2において、飽和画素に隣接する画素により飽和画素の領域を抽出して仮の飽和画像域を決定する。次いで、ステップS3において、仮の飽和画像域に対して飽和画像条件を満たすか否かを判定し、この飽和画像条件を満たす仮の飽和画像域のみを真の飽和画像域として選択する。ここで、飽和画像条件とは、ノイズなどにより偶然最大画像信号値となった画像領域を飽和画像域として検出しないようにするための条件であり、具体的には仮の飽和画像域の面積あるいは面積率が所定値以上のものや、仮の飽和画像域の色が少なくとも所望とする色(例えば肌色または中性色)であるもの、あるいは仮の飽和画像域の色の彩度が所定値以上のもののみを選択するような条件である。
【0024】
また、検出処理の他の例を表すフローチャートを図3に示す。図3に示すように、まずステップS11において、色相、彩度および/または明度が類似する類似画素をクラスタリングする。この類似画素のクラスタリングは以下のようにして行う。なお、本実施形態では色に基づいて類似画素のクラスタリングを行うものとする。まず、対象とする画素について、この画素に隣接する上下、左右、左上、左下、右上および右下の8つの画素との色を比較して、色が類似している場合に類似画素としてラベリングを行う。このラベリングは、類似する画素に対しては同一の番号を付し、類似していない画素に対しては新たな番号を付することにより行う。そして各画素について順次その周囲の画素の色を調べることによって画素を色によって分類する。図4には類似画素のクラスタリングにより、白丸と黒丸との2色の色が存在する場合に2つの領域に分類した例を示す図である。図2において白丸の画素は隣接する画素と色が類似すると判定した結果である。なお、実際の画素では異なった色毎に多数の領域に分類される。
【0025】
ここで、画素の色が類似するか否かの判定は、例えば2つの画素間における色の差が予め定めた値以下の場合に類似すると判定するものである。例えば、ある画素の濃度信号がRGB、これに隣接する画素の濃度信号がR′G′B′である場合には、2つの画素は、|(R−G)−(R′−G′)|<aかつ|(B−G)−(B′−G′)|<b(a,bは予め定めた値)のときに類似すると判定するものである。なお、判定方法はこれに限定されるものではなく、色を色相および彩度で定義し、色相および彩度が近似しているときに類似画素であると判定するようにしてもよい。また、明度(濃度)が類似または所定範囲内のときに類似画素であると判定するようにしてもよい。
【0026】
ステップS11の後、次のステップS12においては、クラスタ内における飽和画像信号の領域が所定面積以上あるいは面積率が所定値以上となるクラスタを選択する。
【0027】
次にステップS13において、選択されたクラスタが飽和画像条件を満たすか否かを判定し、この飽和画像条件を満たす仮の飽和画像域のみを真の飽和画像域として選択する。この飽和画像域の選択は以下のようにして行う。図5は飽和画像域の選択を説明するための図である。図5における領域Aはクラスタリングされた肌色領域であり、領域Bが飽和画像域である。なお、領域Bの中心を符号Pで示す。領域Bの被写体は肌色であるが、信号値は肌色を示しておらず、領域Bの内側に向かって順次肌色から完全に飽和した白に変化しているものである。領域Bにおいては、徐々に肌色から白に変化すれば、上記ステップS11において類似画素であると判定されるため領域Aとして判定される可能性もあるが、飽和画像域(例えばRGBの3色が255の値となる)は容易に判定することができるため、飽和画素に着目した領域決定を行えば、領域Bを飽和画像域として定めることができ、この領域Bが飽和画像域として選択される。
【0028】
なお、飽和画像域の選択は、図5に示すようにクラスタの中から選択するようにしてもよく、またクラスタ全体を飽和画像域(図5における領域A)として選択するようにしてもよい。この場合、ステップS1における類似画素の判定の条件を厳しくするほど、飽和画像のクラスタが選択される率が多くなるものである。
【0029】
色推定手段4は、飽和画像域検出手段3により検出された飽和画像域の色を推定する手段であり、具体的には飽和画像域に隣接する画素の色の平均値をもってその飽和画像域の色と推定する。この推定は、経験的にある画像領域内に飽和画像域が含まれる場合、その画像領域の中心部ほど画像信号が飽和していることが多いということに基づいて行われるものである。
【0030】
修正手段5は、具体的には以下のようにして飽和画像信号を修正するものである。図6は飽和画像信号の修正を説明するための図であり、図6(a)は図5の飽和画像域とその中心Pを含む肌色の領域の濃度バランスとその位置との関係を模式的に示し、図6(b)は修正後の濃度バランスとその位置との関係を模式的に示すものである。図6(a)に示す肌色領域には飽和画像域(横軸の矢印部分)が含まれており、再現画像における飽和画像域の色は中心に向かうにつれて濃度が下がりイエローから白に色が変化している。そしてこの修正手段5においては最も濃度が高いイエロー濃度を制御するB濃度に基づいて、肌色のバランスを保って図6(b)に示すようにG濃度およびR濃度を定めるものである。以下、その具体的手法について説明する。
【0031】
図7は、濃度修正の具体的手法を説明するための図である。なお図7においては再現画像の飽和画像域が肌色(イエロー濃度>マゼンダ濃度>シアン濃度)であって、この肌色を修正するものであり、再現画像のマゼンダ濃度およびシアン濃度を制御するGおよびRの2色の濃度が飽和している画像域を修正するものとする。まず、図7に示すように、BGRの各濃度の傾きが平行となるように階調を補正し、その後、G濃度およびR濃度をB濃度に基づいて下記の式により修正する(第1の修正条件)。
【0032】
G=(a−b)−B
R=(a−c)−B
但し、a,b,cは任意の位置における各色の濃度値
ここで、G,Rはマイナス濃度となるため、−R濃度分各画素の濃度値に加算する(第2の修正条件)。これにより、図7に示すようにGおよびRの2色の色が飽和している場合には、B濃度には−R、G濃度には(G−R)加算され、R濃度は0となる。そして、このように飽和画像信号を修正することにより、飽和して白っぽくなった再現画像の濃度を濃くすることができるものである。なお、第2の修正条件においては−R濃度分各画素の濃度値に加算しているが、肌濃度が好ましい濃度となるように修正してもよい。
【0033】
また、飽和画像域が肌色であり、かつR濃度のみが飽和している場合の修正は以下のようにして行う。図8はR濃度のみが飽和している場合の修正を説明するための図である。この場合は非飽和画像域のBGR3色のバランスを保ちながら飽和しているRの濃度値を以下の式により求める。
【0034】
R={(b−c)B−(a−c)G}/(a−b)
ここで、Rはマイナス濃度となるため、図7の場合と同様に−R濃度分各画素の濃度値に加算する。そして、このように飽和画像信号を修正することにより、Rのみ飽和した肌色領域の濃度を修正することができる。
【0035】
さらに、BGRの3色とも飽和している場合は、擬似的に階調を作るかまたは階調なしの一定色(本実施形態では肌色)となるように各色の濃度を修正する。このような方法であっても、飽和画像域の面積が小さい場合は再現画質は大きく改善され、さらに飽和画像域の面積が大きい場合でも、完全に白くなってしまう場合よりも画質を改善することができる。
【0036】
また、飽和画像域に階調を持つ信号がわずかしかない場合の修正について図9を参照して説明する。図9(a)に示すように、飽和画像域に階調を持つ信号がわずかしかない場合画像のハイエストである可能性が高く、図9(b)に示すように、BGRの全濃度値を大きくし、肌色から飽和画像域の中心に向かって徐々に白色に変化するように階調および色を修正する。但し、図9(b)に示すような修正は、肌色の飽和画像域が全肌色画像の数%(例えば5%)以下の場合に可能であり、肌色の飽和画像域の面積が大きい場合、階調の情報がないと階調の不具合が目立ってくる。このため、肌色の飽和画像域の面積が大きい場合は図9(b)に示すような修正を行うよりも一定色となるように修正した方が画像の破綻がない。したがって、飽和画像域の面積や、2色以下の飽和画像域の面積と3色の飽和画像域の面積との比較結果など飽和画像域の状況に応じて、修正の内容を変更することが好ましい。
【0037】
次いで、本実施形態の動作について説明する。
【0038】
まず、画像信号入力手段1より画像信号を入力し、対数変換手段2において画像信号を対数変換する。次いで、対数変換された画像信号に基づいて、飽和画像域検出手段3において、上述したように飽和画像域の検出を行う。ここで、飽和画像域が存在しない場合には、画像信号は画像処理手段6に入力される。飽和画像域が存在する場合には、次の色推定手段4において飽和画像域の色が推定され、修正手段5において飽和画像域の階調および濃度の補正が上述したように行われる。修正手段5により修正された画像信号は画像処理手段6において所定の画像処理が行われ、真数変換手段7において対数から真数への変換が行われ、さらに出力画像信号変換手段8において出力手段9において適合するように変換され、プリンタやCRTなどの出力手段9において可視像として再現される。
【0039】
このように、本実施形態においては、飽和画像域の階調や色を修正するようにしたため、露出オーバーとなったデジタルカメラ画像により取得された画像あるいはこの画像に含まれるハイエスト領域について、適切な階調および/または色を有する画像として再生することができる。
【0040】
また、飽和画像信号を含む画像信号を、飽和画像信号を含まない画像信号からなる画像と同一の手法により画像を再現した場合、飽和画像域の不自然さのため濃度を上げることができずその結果白っぽい画像しか得ることができなかったが、本実施形態のように飽和画像信号の階調および/または濃度を修正することにより、出力濃度を適切に上げて再現される画像の画質を向上させることができる。
【0041】
なお、上記実施形態においては、肌色の領域に含まれる飽和画像域を修正するものについて説明したが、これに限定されるものではなく、青空、曇天の空の領域あるいは彩度が高い色の車の車体や衣装における飽和画像域に対しても同様に修正を行うことができるのはもちろんである。
【0042】
また、上記実施形態においては、画像信号を対数変換した後に飽和画像域の検出、色の推定、および修正を行うようにしているが、対数変換することなく真数の画像信号に対して処理を行うようにしてもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態においては、飽和画像域検出手段3により画像から飽和画像域を検出しているが、図10に示すように、飽和画像域検出手段3に代えて飽和画像信号を検出する飽和画像信号検出手段13を設け、この飽和画像信号検出手段13により飽和画像信号のみを検出するようにしてもよい。この場合、飽和画像信号に隣接する非飽和画像信号の画素の色を用いて上記修正手段5における修正と同様の修正を行えばよい。この場合、隣接する画素とは1画素であっても、複数画素であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、飽和画像域検出手段3により飽和画像域を検出するようにしているが、図11に示すように、主要画像領域抽出手段14を設けて画像から主要画像領域を抽出し、抽出された主要画像領域から飽和画像域検出手段3により飽和画像域を検出するようにしてもよい。以下、主要画像領域抽出手段14の詳細について説明する。
【0045】
図12は主要画像領域抽出手段14において行われる処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態においては主要画像領域を人間の顔として説明する。まず、ステップS21において、画像信号の画素が40000画素となるように画素結合する。通常、デジタルカメラにより取得された画像信号の画素数は、数十万から数百万画素であるため、プリントサイズに相当する一定画素数(例えば百数十万画素)となるように画像信号を補完して画素数を増加させている。しかしながら、主要画像領域の抽出にはこれほど多数の画素を必要とせず、また画素数が多いと演算に時間を要するため、このように画素結合により画素数を減少させるものである。具体的には、6×6の画素内における画像信号を平均して1画素に変換することにより画素数を減少させる。
【0046】
次のステップS22においては、色相、明度および/または形状により画素をクラスタリングする。このクラスタリングは、例えば特開昭52−156624号公報、特開平4−346332号公報に記載されている色、色相と彩度、または色相と彩度と明度によるクラスタリングや、特開平8−122944号公報に記載されている形状によるクラスタリングにより行うものである。
【0047】
ここで、特開昭52−156624号公報に記載された方法は、カラー画像信号を複数の測光点に分割するとともに、各測光点をBGRの3色に分解して測光し、測光されたデータから計算した各測光点の色が肌色範囲内か否かを判定し、肌色範囲内であると判定された場合に、その測光点のクラスタを主要画像域として抽出するものである。
【0048】
また、特開平4−346332号公報に記載された方法は、測光により得られたデータに基づいて色相値および彩度値についてのヒストグラムを求め、求めたヒストグラムを山毎に分解し、各画素が分割した山のいずれに属するかを判断して各画素を分割した山に対応する群に分け、各群毎にカラー画像を複数の領域に分割し、この複数の領域のうち人物の顔に相当する領域を推定するようにした方法である。
【0049】
さらに、特開平8−122944号公報に記載された方法は、画像を二値化などの手法により複数領域に分割し、非人物領域を除外した後に人物の頭部の輪郭を表す形状パターンを検出し、検出したパターンに応じて顔候補領域を設定する。そして、顔の内部構造を表す形状パターン、胴体の輪郭を表す形状パターンを検出し、検出したパターンにより顔候補領域の整合性を判定することにより顔に相当する領域である確率が最も高い領域を顔領域として検出するものである。
【0050】
次いで、ステップS23において、クラスタリングされた画素から一定面積以上となる肌色の領域を顔画像領域として抽出して処理を終了する。
【0051】
なお、主要画像抽出の処理においては、図13に示すように、クラスタリングの後、ステップS33に示すように、1つのクラスタリング中に1つまたは複数のクラスタが内包される場合にこれらを同一の領域として1つのクラスタに統合するようにしてもよい。
【0052】
そして、主要画像領域抽出手段14において抽出された顔画像領域に対して、上記と同様に飽和画像域の検出、色推定、修正、画像処理を行う。この場合、画像処理手段6においては、顔領域に相当する画像信号が所定の出力画像濃度(または色濃度)となるように変換することが好ましい。この場合、抽出された顔画像領域の特徴量(例えば平均値)によって画像処理条件を決定するようにしてもよく、飽和画像域が含まれている場合は、飽和画像域の情報を考慮して画像処理条件を決定すればよい。具体的には、本実施形態において飽和画像信号を修正してもなお飽和画像域が存在する場合には、顔画像領域の特徴量から求めた画像処理条件まで修正しないようにするものである。
【0053】
なお、図11に示す実施形態においては、主要画像領域抽出手段14において肌色の顔画像領域を抽出しているため、色推定手段4を設けなくとも飽和画像信号の修正処理を行うことができる。
【0054】
また、上記実施形態においては、主要画像領域の抽出後、抽出された主要画像領域から飽和画像域を検出するようにしているが、主要画像領域抽出手段14の前段に飽和画像域検出手段3を設けるようにしてもよい。さらに、主要画像抽出処理と飽和画像域検出処理とを交互に行うようにしてもよい。この場合、主要画像領域抽出手段14において、例えば顔であるか否かの判定に、丸または一塊りのクラスタであるという条件、または肌色領域が一定面積以上であるという条件を用いる。ここで、顔の中や外周に隣接して飽和画像域が存在する場合、中空や凹形の肌色領域になったり肌色面積が小さくなったりするため、顔画像領域の判定が困難になる。このため、主要画像領域の抽出と飽和画像域の検出とを交互に行って飽和画像域を内包した領域と飽和画像域とを同じ1つの領域に統合し、その領域が顔画像領域であるか否かを判定する。このように、主要画像領域の抽出と飽和画像域の検出とを交互に行うことにより、主要画像領域であるか否かの判定精度を向上させることができる。
【0055】
さらに、上記実施形態においては、本発明による画像修正方法および装置をプリントシステムの画像出力装置に適用しているが、これに限定されるものではなく、例えばデジタルカメラに本発明による画像出力装置を設け、デジタルカメラ内において飽和画像域の修正を行うようにしてもよいものである。さらにまた、銀塩フイルムからのデジタル画像処理によるプリントシステムに本発明を適用してもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による画像修正装置を適用した画像出力装置の構成を示すブロック図
【図2】飽和画像検出手段において行われる処理を示すフローチャート
【図3】飽和画像検出手段において行われる他の処理を示すフローチャート
【図4】図3の処理を説明するための図
【図5】図3の処理を説明するための図
【図6】修正手段において行われる処理を説明するための図(その1)
【図7】修正手段において行われる処理を説明するための図(その2)
【図8】修正手段において行われる処理を説明するための図(その3)
【図9】修正手段において行われる処理を説明するための図(その4)
【図10】本発明の他の実施形態による画像修正装置を適用した画像出力装置の構成を示すブロック図
【図11】本発明の他の実施形態による画像修正装置を適用した画像出力装置の構成を示すブロック図
【図12】主要画像領域抽出手段において行われる処理を示すフローチャート
【図13】主要画像領域抽出手段において行われる他の処理を示すフローチャート
【符号の説明】
1 画像信号入力手段
2 対数変換手段
3 飽和画像域検出手段
4 色推定手段
5 修正手段
6 画像処理手段
7 真数変換手段
8 出力画像信号変換手段
9 出力手段
14 主要画像領域抽出手段
Claims (14)
- デジタル画像信号を修正する画像修正方法において、
前記デジタル画像信号により表される画像から、該デジタル画像信号の飽和画像信号を含む飽和画像域を抽出し、
該飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、該飽和画像域を表すデジタル画像信号を修正することを特徴とする画像修正方法。 - デジタル画像信号を修正する画像修正方法において、
前記デジタル画像信号により表される画像から主要画像領域を抽出し、
該主要画像領域から前記デジタル画像信号の飽和画像信号を含む飽和画像域を抽出し、
該飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、該飽和画像域を表すデジタル画像信号を修正することを特徴とする画像修正方法。 - 前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域を表すデジタル画像信号に含まれる非飽和画像信号に基づいて行うことを特徴とする請求項1または2記載の画像修正方法。
- 前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域内の非飽和画像域の色バランスに基づいて行うことを特徴とする請求項1または2記載の画像修正方法。
- 前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域の略中心位置に向かって該飽和画像域内の色が徐々に変化するように行うことを特徴とする請求項1または2記載の画像修正方法。
- 前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像信号に基づいて算出された修正量に基づいて行うことを特徴とする請求項1または2記載の画像修正方法。
- デジタル画像信号を修正する画像修正装置において、
前記デジタル画像信号により表される画像から、該デジタル画像信号の飽和画像信号を含む飽和画像域を抽出する飽和画像域抽出手段と、
該飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、該飽和画像域を表すデジタル画像信号を修正する修正手段とを備えたことを特徴とする画像修正装置。 - デジタル画像信号を修正する画像修正装置において、
前記デジタル画像信号により表される画像から主要画像領域を抽出する主要画像領域抽出手段と、
該抽出された主要画像領域から前記デジタル画像信号の飽和画像信号を含む飽和画像域を抽出する飽和画像域抽出手段と、
該飽和画像域の階調および/または色が再現されるように、該飽和画像域を表すデジタル画像信号を修正する修正手段とを備えたことを特徴とする画像修正装置。 - 前記修正手段は、前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域を表すデジタル画像信号に含まれる非飽和画像信号に基づいて行う手段であることを特徴とする請求項7または8記載の画像修正装置。
- 前記修正手段は、前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域内の非飽和画像域の色バランスに基づいて行う手段であることを特徴とする請求項7または8記載の画像修正装置。
- 前記修正手段は、前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像域の略中心位置に向かって該飽和画像域内の色が徐々に変化するように行う手段であることを特徴とする請求項7または8記載の画像修正装置。
- 前記修正手段は、前記デジタル画像信号の修正を、前記飽和画像信号に基づいて算出された修正量に基づいて行う手段であることを特徴とする請求項7または8記載の画像修正装置。
- 最大画像信号値を有する飽和画素に基づいて仮の飽和画像域を決定し、所定の飽和画像条件を満たす該仮の飽和画像域を前記飽和画像域として抽出することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の画像修正方法。
- 前記飽和画像域抽出手段は、最大画像信号値を有する飽和画素に基づいて仮の飽和画像域を決定し、所定の飽和画像条件を満たす該仮の飽和画像域を前記飽 和画像域として抽出する手段であることを特徴とする請求項7から12のいずれか1項記載の画像修正装置。
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