JP3836191B2 - 作業機械の座席 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パワーショベル等の建設機械、トラクタ等の農業機械、その他の作業機械の座席、特に作業機械の補助席として用いるのに好適な作業機械の座席に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、パワーショベル等の建設機械には、操縦席と補助席とが設けられており、例えば操縦者が補助席側のドアから乗降する際には補助席のシートクッション部を跳ね上げることにより操縦者が通るための通路を確保するようにしている。
【0003】
従来、補助席のシートクッション部を跳ね上げるための跳ね上げ機構としては、乗用車等の座席用のリクライニング機構が流用されていた。これは、特別な跳ね上げ機構を製造する代わりに乗用車用のリクライニング機構を流用することにより、補助席の製造費を安価に抑えるためである。
【0004】
ところで、リクライニング機構を補助席に設置する場合には、補助席が通常の座席とは逆に、シートバック部が固定され、シートクッション部が回動するようになっているため、リクライニング機構の一対の支持アームのうち、通常の座席ではシートバック部に固定される一方の支持アームが補助席のシートクッション部に固定され、通常の座席ではシートクッション部に固定される他方の支持アームが補助席のシートバック部に固定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、通常の座席のシートバック部に固定すべき支持アームには、一対の支持アームの相対回動を阻止するロック機構のロックを解除する解除レバーが設けられている。このため、従来の補助席においては、シートクッション部を跳ね上げると、解除レバーがシートクッション部と共に回動してしまい、操作レバーの操作性が悪化するという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、この発明は、車両のフレームに固定されるシートバック部と、このシートバック部に、ほぼ水平な着座位置とシートバックにほぼ突き当たった跳ね上げ位置との間を跳ね上げ機構を介して回動可能に支持されたシートクッション部とを備え、上記跳ね上げ機構として、上記シートバック部と上記シートクッション部とにそれぞれ固定され、互いの基端部どうしが回動可能に連結された一対の支持アームと、この一対の支持アームを互いの先端部どうしが接近するように回動付勢する付勢手段と、上記一対の支持アームのなす角度が所定の最小ロック角度より大きい角度であるときに一対の支持アームを適宜の回動位置で固定するロック手段と、上記一対の支持アームの一方に設けられ、上記ロック手段によるロックを解除する解除レバーとを有するリクライニング機構が用いられている作業機械の座席において、上記解除レバーが設けられた一方の支持アームを上記シートバック部に固定し、他方の支持アームを上記シートクッション部に固定し、上記シートクッション部が上記跳ね上げ位置に位置しているときに上記一対の支持アームのなす角度が上記最小ロック角度より大きくなるように構成したことを特徴としている。
この場合、上記シートクッション部には、下方に突出するブラケットが設けられ、このブラケットの下端部に上記他方の支持アームの先端部が固定されることにより、上記一対の支持アームのなす角度が上記最小角度より大きくなるように構成されていることが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図1〜図3を参照して説明する。なお、図1はこの発明に係る建設機械用の補助席(座席)Aを示す側面図であり、図2はその正面図である。図1および図2に示すように、補助席Aは、シートバック部1、シートクッション部2および跳ね上げ機構としてのリクライニング機構3を備えている。
【0008】
シートバック部1は、シートバックフレーム11を有しており、このシートバックフレーム11が略L字状をなす一対の支持板12,12によってベースプレート4に固定されている。そして、ベースプレート4が建設機械の床面にボルト(いずれも図示せず)等によって固定されることにより、シートバック部1が建設機械に固定されるようになっている。なお、符号13は補強板であり、支持板12,12間に架け渡たした状態でそれらに溶接固定されている。
【0009】
上記シートクッション部2は、シートクッションフレーム21を有しており、このシートクッションフレーム21がリクライニング機構3を介してシートバック部1に軸Oを中心として回動可能に連結されている。シートクッションフレーム21の下面部には、当接板22が設けられている。この当接板22は、シートクッション部2が図1の矢印A方向へ回動してほぼ水平な位置まで回動すると、ベースプレート4に固定された支持ブロック41に突き当たり、シートクッション部2がそれ以上矢印A方向へ回動するのを阻止する。これによって、シートクッション部2の着座位置が規定されている。この着座位置では、シートクッション部2がほぼ水平になっている。
なお、支持ブロック41は、硬質ゴムのように適度の強度と弾性とを備えた材質から構成されており、当接板22が支持ブロック41に突き当たったときの衝撃を緩和するとともに、シートクッション部2に作用する荷重を支持する。
【0010】
上記リクライニング機構3は、乗用車等の車両の座席に用いられているリクライニング機構を流用したものであり、その構造は周知のものと同様である。そこで、リクライニング機構3の構造を簡単に説明すると、リクライニング機構3は、一対の支持アーム31,32を有している。一対の支持アーム31,32は、基端部どうしが軸Oを中心として回動可能に連結されており、一方の支持アーム31がシートバック部1のシートフレーム11に固定され、他方の支持アーム32がシートクッション部2のシートクッションフレーム21に固定されている。また、一対の支持アーム31,32間には、渦巻きばね等の弾性部材(図示せず)が配設されており、この弾性部材によって互いのなす角度が小さくなるように、つまり互いの先端部どうしが接近するように、支持アーム32が図1の矢印B方向へ回動付勢されている。したがって、後述するロック機構によるロックを解除すると、シートクッション部2が軸Oを中心として矢印B方向へ跳ね上げ回動する。シートクッション部2の跳ね上げ回動量は、シートバック部1に突き当たることによって規制されており、シートクッション部2がシートバック部1に突き当たった位置が跳ね上げ位置である。
【0011】
また、リクライニング機構3は、ロック機構(図示せず)を備えている。このロック機構は、周知のように、一対の支持アーム31,32のなす角度が所定の最小ロック角度θ0(図3参照)より小さいときには支持アーム31,32の自由な相対回動を許容するが、最小ロック角度θ0より大きいときには所定の角度間隔(例えば、2.5°)毎に支持アーム31,32を固定することができるように構成されている。
【0012】
なお、最小ロック角度θ0は、リクライニング機構3をそれが用いられるべき本来の車両に設置した場合において、その車両の座席のシートバック部とシートクッション部とが通常の着座姿勢(図1に示す姿勢と同様の姿勢)になっているものとしたときの一対の支持アーム31,32のなす角度(120°程度)より若干小さい角度に設定されている。通常、最小ロック角度θ0は、90°〜110°に設定されている。
【0013】
上記一対の支持アーム31,32は、シートクッション部2を跳ね上げ位置に回動させたとき、互いのなす角度θ 3 が最小ロック角度θ0より大きくなるように、シートバック部1およびシートクッション部2にそれぞれ固定されている。
すなわち、図3に示すように、仮に支持アーム31,32を乗用車の取り付ける場合と同様に、シートバック部1およびシートクッション部2にほぼ沿うようにそれぞれ取り付けたものとすると、シートクッション部2が着座位置に位置しているときには支持アーム31,32のなす角度θ1が最小ロック角度θ0より大きいが、シートクッション部2が跳ね上げ位置まで回動したときには支持アーム31,32のなす角度θ2が最小ロック角度θ0より小さくなってしまう。この結果、跳ね上げ位置においてはシートクッション部2が着座位置側へ自由に回動可能になる。このため、操縦者が補助席Aの前を通るときに跳ね上げられたシートクッション部2に手をつくと、シートクッション部2が着座位置側へ回動してしまい、操縦者がバランスを崩してころぶおそれがある。
【0014】
そこで、この補助席Aにおいては、図1に示すように、シートクッションフレーム21の下面部に下方に突出するブラケット23を設け、このブラケット23の下端部に支持アーム32を固定することにより、支持アーム32を跳ね上げ回動方向と逆方向へ角度αだけ予め回動させておく。そして、これによりシートクッション部2が跳ね上げ位置まで回動したときでも支持アーム31,32のなす角度θ3(図1参照)が最小ロック角度θ0より大きくなるようにしている。
【0015】
なお、この実施の形態では、角度αをシートクッション部2の跳ね上げ回動角度βとほぼ同一に設定しているので、θ1=θ3になっているが、角度αについてはシートクッション部2の跳ね上げ回動角度βより若干小さくしてもよく、あるいは大きくしてもよい。要は、シートクッション部2を跳ね上げ位置まで跳ね上げたときに、支持アーム31,32のなす角度θ3(図1参照)が最小ロック角度θ0より大きくなるように設定しておけばよい。
【0016】
また、シートバック部1に取り付けられた支持アーム31には、解除レバー33が設けられている。この解除レバー33は、ロック機構による支持アーム31,32のロックを解除するためのものであり、解除レバー33を図1に示す状態から時計方向または反時計方向へ回動させると、ロック機構によるロックが解除されるようになっている。
【0017】
なお、図2に示すように、上記リクライニング機構3は、補助席Aの一方側(この実施の形態では、前方から見て左側)に配置されており、補助席Aの他方側には、リクライニング機構3の一対の支持アーム31,32と同様の支持アーム51,52を有する回転支持機構5が設けられている。この回転支持機構5の各支持アーム51,52は、シートクッション部1とシートバック部2とにそれぞれ固定されるとともに、軸Oと軸線を一致させた軸O′を中心として互いに回動可能に連結されている。
【0018】
上記構成の補助席Aにおいて、いまシートクッション部2が着座位置に位置しているものとする。その状態からシートクッション部2を跳ね上げる場合には、解除レバー33を回動操作してロック機構によるロックを解除する。すると、シートクッション部2が弾性部材の付勢力によってシートバック部1に突き当たるまで回動し、跳ね上げ位置に達する。このとき、支持アーム31,32のなす角度θ3が最小ロック角度θ0より大きくなっているから、解除レバー33を元に戻すと、シートクッション部2がシートバック部1に固定される。したがって、操縦者がシートクッション部2に手をついたとしてもシートクッション部2が着座位置側へ回動することがない。したがって、操縦者がころぶような事故を未然に防止することができる。
【0019】
跳ね上げ位置に位置しているシートクッション部2を着座位置に戻す場合には、解除レバー33を回動操作してロック機構によるロックを解除し、シートクッション部2を弾性部材の付勢力に抗して回動させる。そして、当接板22が支持ブロック41に突き当たったら、解除レバー33を元に戻し、シートクッション部2を着座位置に固定する。
【0020】
ここで、上記の補助席Aにおいては、解除レバー33をシートバック部1に固定された支持アーム31に設けているので、シートクッション部2を跳ね上げ回動させても解除レバー33がシートクッション部2と共に回動することがなく、常に一定の位置に位置している。したがって、従来の補助席に比して解除レバー33の操作性を大幅に改善することができる。
【0021】
なお、この発明は上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜設計変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、シートクッション部2を跳ね上げ位置でロックすることができるよう、跳ね上げ位置での支持アーム31,32の角度θ3を最小ロック角度θ0より大きくしているが、シートクッション部2を跳ね上げ位置に固定する必要がない場合には、支持アーム32を乗用車等に取り付ける場合と同様に、つまり角度αだけ回動させることなくシートクッション部2に取り付けるようにしてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、解除レバーの操作性を大幅に改善することができるという効果が得られる。
請求項2に係る発明によれば、シートクッション部を跳ね上げ位置でロックすることができる。したがって、操縦者が跳ね上がったシートクッション部に手をついてころぶ等の不慮の事故を未然に防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、跳ね上げ位置での一対の支持アームの角度を最小ロック角度より大きくすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る補助席を示す側面図である。
【図2】同補助席の正面図である。
【図3】同補助席において用いられているリクライニング機構の回動角度関係を示す図である。
【符号の説明】
A 補助席(座席)
1 シートバック部
2 シートクッション部
3 リクライニング機構
23 ブラケット
31 支持アーム
32 支持アーム
33 解除レバー
Claims (2)
- 車両のフレームに固定されるシートバック部と、このシートバック部に、ほぼ水平な着座位置とシートバックにほぼ突き当たった跳ね上げ位置との間を跳ね上げ機構を介して回動可能に支持されたシートクッション部とを備え、上記跳ね上げ機構として、上記シートバック部と上記シートクッション部とにそれぞれ固定され、互いの基端部どうしが回動可能に連結された一対の支持アームと、この一対の支持アームを互いの先端部どうしが接近するように回動付勢する付勢手段と、上記一対の支持アームのなす角度が所定の最小ロック角度より大きい角度であるときに一対の支持アームを適宜の回動位置で固定するロック手段と、上記一対の支持アームの一方に設けられ、上記ロック手段によるロックを解除する解除レバーとを有するリクライニング機構が用いられている作業機械の座席において、上記解除レバーが設けられた一方の支持アームを上記シートバック部に固定し、他方の支持アームを上記シートクッション部に固定し、上記シートクッション部が上記跳ね上げ位置に位置しているときに上記一対の支持アームのなす角度が上記最小ロック角度より大きくなるように構成したことを特徴とする作業機械の座席。
- 上記シートクッション部には、下方に突出するブラケットが設けられ、このブラケットの下端部に上記他方の支持アームの先端部が固定されることにより、上記一対の支持アームのなす角度が上記最小角度より大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機械の座席。
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JP21606896A JP3836191B2 (ja) | 1996-07-29 | 1996-07-29 | 作業機械の座席 |
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- 1996-07-29 JP JP21606896A patent/JP3836191B2/ja not_active Expired - Fee Related
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