JP3836064B2 - センサ位置調整方法,及び内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,センサ位置調整方法に関し,特に,クランク軸角度とカム軸角度とを検出するセンサの位置を調整するセンサ位置調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関のクランク軸(クランクシャフト)の角度であるクランク軸角度と,カム軸(カムシャフト)の角度であるカム軸角度とは,内燃機関の運転を高効率化する上で重要な情報である。特許文献1は,クランク軸角度と,カム軸角度とを検出し,これらの角度に応答してクランク軸とカム軸との相対的な位相角を調整する技術を開示している。
【0003】
本願と同一の出願人による特許出願である特許文献2及び特許文献3(これらは,公知技術を構成しない。)は,クランク軸角度と,そのクランク軸角度におけるシリンダの圧力とを使用して内燃機関の燃焼状態を診断し,これにより内燃機関の運転を高効率化する燃焼診断装置を開示している。
【0004】
図9は,特許文献2に開示された燃焼診断装置が使用されているエンジンシステム1を示している。エンジンシステム1では,カム軸21が内燃機関の燃焼サイクルが開始する角度(以下,「カム軸トップ位置」と呼ばれる)にある時点のクランク軸角度をクランク軸角度の零点として定めてクランク軸角度を同定している。即ち,当該エンジンシステム1では,クランク軸角度の零点の同定に,カム軸角度が使用されている。
【0005】
エンジンシステム1の詳細な構成が以下に説明される。エンジンシステム1は,エンジン2を燃焼診断装置3とともに備えている。エンジン2は,シリンダ6とガス噴射装置7と備えている。ガス噴射装置7には,給気管8を介して空気が,ガス供給管9を介して燃料ガスが供給される。ガス供給管9には,ガス供給電磁弁10が挿入されている。ガス供給電磁弁10は,燃焼制御装置4による制御の下,ガス噴射装置7に供給される燃料ガスの供給量を調節する。ガス噴射装置7は,供給された空気と燃料ガスとを混合して混合気を生成し,該混合気をシリンダ6に設けられた給気弁11を介してシリンダ6に供給する。
【0006】
シリンダ6には,ピストン12が挿入されている。シリンダ6とピストン12との間の空間は,混合気を燃焼する燃焼室を構成する。燃焼室の上端には着火装置13が設けられ,燃焼室に供給された混合気は,着火装置13によって点火されて燃焼する。混合気の燃焼により生成される排気ガスは,シリンダ6に設けられた排気弁14から排気管15に排気される。
【0007】
ピストン12は,クランク16を介してクランク軸17に連結されている。ピストン12は,混合気の燃焼によって駆動されて往復運動を行い,該往復運動がクランク16によって回転運動に変換されてクランク軸17は回転する。クランク軸17の回転運動が,外部に動力として供給される。例えば,クランク軸17は,発電機18に接続される。発電機18はクランク軸17によって与えられる動力によって発電を行う。
【0008】
クランク軸17には,慣性モーメントをクランク軸17に与えるためのフライホイール19が接合されている。フライホイール19は,クランク軸17の回転運動を滑らかにする役割を果たす。フライホイール19は,クランク軸17と一体に回転する。フライホイール19の外周には,多数の歯が等間隔に設けられ,フライホイール19は,歯車として機能する。フライホイール19は,カム軸歯車20と噛み合わされている。
【0009】
カム軸歯車20は,カム軸21に接合され,カム軸21は,クランク軸17及びフライホイール19の回転に同期して回転する。カム軸21には,給気弁11と排気弁14とを開閉するためのカム(図示されない)が接合されている。フライホイール19の歯数とカム軸歯車20の歯数との比は2:1であり,クランク軸17が2回転すると,カム軸21は1回転する。これは,エンジン2の一の燃焼サイクルの間に,クランク軸17は,2回転することを意味する。
【0010】
カム軸歯車20には,更に,カム軸トップ近接片22が接合されている。カム軸トップ近接片22は,カム軸トップ位置に対応した位置においてカム軸21に接合されている。カム軸トップ近接片22は,カム軸21の回転に同期して回転する。後述されるように,カム軸トップ近接片22は,クランク軸角度の零点を検出するために使用される。
【0011】
燃焼診断装置3は,シリンダ6の圧力とクランク軸角度との対応関係に基づいて,エンジン2の燃焼状態を診断する。燃焼診断装置3は燃焼状態の診断結果を示す診断結果情報28を燃焼制御装置4に送信する。燃焼制御装置4は,診断結果情報28に応答して,ガス供給電磁弁10,及び着火装置13を制御する。更に,燃焼診断装置3は,燃焼状態の診断結果を表示装置5に表示する。
【0012】
シリンダ6の圧力を取得するために,シリンダ6には筒内圧力検出センサ27が設けられる。筒内圧力検出センサ27は,シリンダ6の内部の圧力を検出し,シリンダ6の内部の圧力を示すシリンダ圧力信号29を燃焼診断装置3に送信する。
【0013】
一方,クランク軸角度の検知は,フライホイール19の近傍に設けられるフライホイールパルスセンサ23と,カム軸トップ近接片22が回転する軌道の近傍に設けられるカム軸トップ位置センサ24とを使用して行われる。フライホイールパルスセンサ23には,電磁ピックアップが使用される。フライホイールパルスセンサ23は,電磁誘導を利用して,フライホイール19の回転に同期した波形を有するホイールパルス信号25を出力する。図10(a)は,ホイールパルス信号25の典型的な波形を示している。フライホイール19の外周に設けられた歯の一つがフライホイールパルスセンサ23に接近すると,ホイールパルス信号25は立ち上がり,該歯が離れると,ホイールパルス信号25は立ち下がる。フライホイール19の歯数をnとすると,ホイールパルス信号25は,クランク軸17が360/n°だけ回転する毎に立ち上がる。時定数が小さい電磁ピックアップが使用されるフライホイールパルスセンサ23は,フライホイール19に多数設けられた歯のそれぞれの接近を確実に検知することができる。
【0014】
カム軸トップ位置センサ24は,カム軸トップ近接片22が接近する毎にパルスを出力する近接センサであり,一次遅れの特性を示す。図10(b)は,カム軸トップ位置センサ24が出力するカム軸トップ位置信号26の波形を示している。カム軸トップ位置信号26は,カム軸トップ近接片22が離れている間,”High”電位に保持される。カム軸トップ位置信号26は,カム軸トップ近接片22が近接すると立ち下がり,カム軸トップ近接片22がカム軸トップ位置センサ24に近接している間,”Low”電位になる。カム軸トップ近接片22が離れるとカム軸トップ位置信号26は立ち上がり,”High”電位になる。このような過程が,カム軸トップ近接片22がカム軸トップ位置センサ24に近づく毎に繰り返される。既述のように,カム軸トップ近接片22は,カム軸21がカム軸トップ位置に相当する位置に設けられている下ら,カム軸トップ位置センサ24は,カム軸21がカム軸トップ位置になる毎にパルスを出力することになる。
【0015】
燃焼診断装置3は,ホイールパルス信号25によってトリガーされてカム軸トップ位置信号26をサンプリングする。図10は,ホイールパルス信号25が負電圧から正電圧になったときにカム軸トップ位置信号26がサンプリングされる動作を示している。カム軸トップ位置信号26が,所定の基準値を交差した後に初めてカム軸トップ位置信号26がサンプリングされたときのクランク軸角度が,クランク軸角度の零点(基準位置)と定められる。図10(b)の数”0”は,クランク軸角度の零点を示している。
【0016】
更に,燃焼診断装置3は,ホイールパルス25のパルス数をカウントすることにより,クランク軸角度を決定する。図10(b)は,ホイールパルス信号25が負電圧から正電圧になる回数をカウントすることによって,燃焼診断装置3がクランク軸角度を同定する動作を示している。図10(b)の数”1”〜”14”は,ホイールパルス信号25の基準位置からの相対歯数を示しており,該歯数は,クランク軸角度に一対一に対応している。
【0017】
クランク軸角度の零点を安定的に決定することは,クランク軸角度の正確な同定に重要である。クランク軸角度の零点の不安定性は,クランク軸角度の同定の不正確性に直結し,クランク軸角度の不正確な同定は,内燃機関の燃焼状態の診断を不正確にする。
【0018】
クランク軸角度の零点を安定的に決定するためには,カム軸トップ位置信号26が遷移している間にカム軸トップ位置信号26がサンプリングされることを防ぐ必要がある。カム軸トップ位置信号26が遷移している間にカム軸トップ位置信号26がサンプリングされると,図11(b)及び(c)に示されているように,カム軸トップ位置信号26の微少な位相の変化によって,クランク軸角度の零点がずれて検出されることになる。
【0019】
カム軸トップ位置信号26が遷移している間に,カム軸トップ位置信号26がサンプリングされることを防ぐために,ホイールパルス信号25及びカム軸トップ位置信号26の位相は,適正に調整される必要がある。ホイールパルス信号25が負電圧から正電圧になる時点でカム軸トップ位置信号26を取り込む場合には,ホイールパルス信号25が負電圧から正電圧になる位相を,カム軸トップ位置信号26の遷移が行われていない位相区間に定める必要がある。
【0020】
既述のフライホイールパルスセンサ23とカム軸トップ位置センサ24との位置は,ホイールパルス信号25及びカム軸トップ位置信号26の位相に影響を与える。従って,ホイールパルス信号25及びカム軸トップ位置信号26の位相を適正に調整するためには,フライホイールパルスセンサ23とカム軸トップ位置センサ24とを適切な位置に設ける必要がある。
【0021】
フライホイールパルスセンサ23とカム軸トップ位置センサ24との位置の調整において注意されるべきことは,クランク軸の回転数(即ち,エンジン回転数)によって,ホイールパルス信号25及びカム軸トップ位置信号26の位相差が変化することである。カム軸トップ近接片22が接近して以後,カム軸トップ位置信号26が遷移し始めるのに必要な遅延時間と,カム軸トップ位置信号26が遷移する時定数は,クランク軸の回転数によって影響を受けないため,カム軸トップ位置信号26の遷移が行われない位相区間は,クランク軸の回転数によって変化する。一般には,クランク軸の回転数が高いほど,カム軸トップ位置信号26の遷移が行われない位相区間の開始される位相は遅くなり,且つ,該位相区間は狭くなる。フライホイールパルスセンサ23とカム軸トップ位置センサ24とは,カム軸トップ位置信号26の遷移が行われない位相区間のクランク軸回転数による変化を考慮して定められた位置に設けられる必要がある。
【0022】
【特許文献1】
特開平6−173730号公報
【特許文献2】
特願2001−098635号明細書
【特許文献3】
国際特許出願PCT/JP02/03197号明細書
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は,所望範囲のエンジン回転数の全域において,クランク軸角度の零点を安定的に決定することができるフライホイールパルスセンサとカム軸トップ位置センサとの位置の調整方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
以下に,[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて,課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は,[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されている。但し,付加された番号・符号は,[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0025】
本発明によるセンサ位置調整方法は,クランク軸(17)と,クランク軸(17)に接合され,複数の歯が外周に等間隔に設けられたフライホイール(19)と,歯の接近に同期してホイールパルス信号(25)を出力するフライホイールパルスセンサ(23)と,クランク軸(17)に同期して回転されるカム軸(21)と,カム軸(21)に接合されたカム軸トップ近接片(22)と,カム軸トップ近接片(22)の接近を逐次に検知するカム軸トップ位置センサ(24)と,ホイールパルス信号(25)をトリガーとして,カム軸トップ位置センサ(24)の出力をサンプリングし,カム軸トップ位置センサ(24)の出力を所定の基準値と比較して,クランク軸(17)の回転角度であるクランク軸角度の零点を検知し,ホイールパルス信号(25)に基づいて前記クランク軸角度を検知するクランク軸角度検知器(3)とを備えた内燃機関(2)のフライホイールパルスセンサ(23)とカム軸トップ位置センサ(24)との位置を調整するセンサ位置調整方法である。当該センサ位置調整方法は,
(a)内燃機関(2)を運転して,クランク軸(17)の回転数とカム軸トップ位置センサ(24)の出力とを検出することと,
(b)クランク軸(17)の回転数とカム軸トップ位置センサ(24)の出力とから,フライホイールパルスセンサ(23)とカム軸トップ位置センサ(24)との相対位置の補正量を算出するステップと,
(c)補正量に応じて相対位置を変化させて相対位置を調整するステップ
とを備えている。
【0026】
該(b)ステップは,
(d)クランク軸(17)の回転数とカム軸トップ位置センサ(24)の出力とに対応する,フライホイールパルスセンサ(23)とカム軸トップ位置センサ(24)との相対位置の補正値を示すテーブルを提供するステップと,
(e)該テーブルを参照して,該補正量を算出するステップ
とを含むことが好適である。
【0027】
該(d)ステップは,
(f)フライホイールパルスセンサ(23)とカム軸トップ位置センサ(24)との相対位置とクランク軸(17)の回転数とからなる複数の組のそれぞれについて,カム軸トップ位置センサ(24)の出力を検知することと,
(g)(e)ステップで検知されたカム軸トップ位置センサ(24)の出力に対して指数回帰を行うことにより,任意のクランク軸(17)の回転数,及び任意のカム軸(21)の角度におけるカム軸トップ位置センサ(24)の出力の近似式を得るステップと,
(h)得られた近似式から,既述のテーブルを得るステップ
とを備えていることが好適である。
【0028】
該(g)ステップは,
(i)クランク軸(17)が第1回転数N1で回転するときのカム軸トップ位置センサ(24)の出力V1を下記式:
V1=VH, (X<X1)
V1=exp(A1X+B1)+VL, (X≧X1)
X1={ln(VH)−B1−VL}/A1
によって表すステップと,
(j)クランク軸(17)が第2回転数N2で回転するときのカム軸トップ位置センサ(24)の出力V2を下記式:
V2=VH, (X<X2)
V2=exp(A2X+B2)+VL, (X≧X2)
X2={ln(VH)−B2−VL}/A2
によって表すステップと,
(k)前記近似式を,カム軸トップ位置センサ(24)の出力Vと,カム軸(21)の角度Xと,クランク軸(17)の回転数Nとを用いて,
V=VH, (X<XN)
V=exp(A・X+B), (XN≧0)
A=A1・N1/N(=A2・N2/N),
B=ln(VH−VL)−A・XN,
X0=(N2X1−N1X2)/(N2−N1),
XN=(X1−X0)・N/N1+X0,
によって表すステップ
とを含むことが好適である。
【0029】
該(b)ステップは,
(l)クランク軸(17)の回転数が0の極限において,カム軸トップ位置センサ(24)の出力が変化し始めるカム軸(21)の角度である近接センサ検知位置X0を算出するステップと,
(m)クランク軸(17)の回転数が許容最大回転数であるときについて,カム軸トップ位置センサ(24)の出力が所定の基準値と一致するカム軸(21)の角度である基準値位置XMを算出するステップと,
(n)フライホイール(19)の前記歯の数をnとして,フライホイール(19)が360°/nだけ回転する間に,カム軸(21)が回転する角度XPを算出するステップと,
(o)近接センサ検知位置X0と基準値位置XMと角度XPとに基づいて,カム軸トップ位置信号(26)が所定の基準値VMを交差して以後,初めて前記カム軸トップ位置信号がサンプリングされるカム軸角度の最適値XBを算出するステップと,
(p)クランク軸(17)の回転数とカム軸トップ位置センサ(24)の出力とから,カム軸トップ位置信号(26)が所定の基準値VMを交差して以後,初めてカム軸トップ位置信号(26)がサンプリングされるカム軸トップ電圧取得カム軸角度Xαを算出するステップと,
(q)カム軸トップ電圧取得カム軸角度Xαと最適値XBとの差を該補正量とするステップ
とを含むことが好適である。
【0030】
該(l)ステップは,
(i)クランク軸(17)が第1回転数N1で回転するときのカム軸トップ位置センサ(24)の出力V1を下記式:
V1=VH, (X<X1)
V1=exp(A1X+B1)+VL, (X≧X1)
X1={ln(VH)−B1−VL}/A1
によって表すステップと,
(j)クランク軸(17)が第2回転数N2で回転するときのカム軸トップ位置センサ(24)の出力V2を下記式:
V2=VH, (X<X2)
V2=exp(A2X+B2)+VL, (X≧X2)
X2={ln(VH)−B2−VL}/A2
によって表すステップと,
(r)下記式:
X0=(N2X1−N1X2)/(N2−N1),
によって近接センサ検知位置X0を算出するステップ
を備えていることが好適である。
【0031】
該(b)ステップは,更に,
(s)前記カム軸トップ位置センサ(24)の出力Vを,前記カム軸(21)の角度Xと,前記クランク軸(17)の回転数Nとを用いて,
V=VH, (X<XN)
V=exp(A・X+B), (XN≧0)
A=A1・N1/N(=A2・N2/N),
B=ln(VH−VL)−A・XN,
XN=(X1−X0)・N/N1+X0,
によって表すステップを含み,
前記(m)ステップは,
(t)下記式:
XM={ln(VM−VL)−B}/A
によって前記基準値位置XMを算出するステップ
を備えていることが好ましい。
【0032】
本発明による内燃機関は,クランク軸(17)と,クランク軸(17)に接合され,複数の歯が外周に等間隔に設けられたフライホイール(19)と,歯の接近に同期してホイールパルス信号(25)を出力するフライホイールパルスセンサ(23)と,クランク軸(17)に同期して回転されるカム軸(21)と,カム軸(21)に接合されたカム軸トップ近接片(22)と,ホイールパルス信号(25)をトリガーとして,カム軸トップ近接片(22)の接近を逐次に検知するカム軸トップ位置センサ(24)と,カム軸トップ位置センサ(24)の出力を所定の基準値と比較して,クランク軸(17)の回転角度であるクランク軸角度の零点を検知し,ホイールパルス信号(25)に基づいてクランク軸角度を検知するクランク軸角度検知器(3)と,フライホイールパルスセンサ(23)と前記カム軸トップ位置センサ(24)とのうちの少なくとも一方の位置を調整するセンサ位置調整機構(31,41)とを備えている。
【0033】
当該内燃機関は,更に,クランク軸(17)の回転数とカム軸トップ位置センサ(24)の出力とから,フライホイールパルスセンサ(23)とカム軸トップ位置センサ(24)との相対位置の補正量を算出する補正量算出器(42)を備え,センサ位置調整機構(41)は,算出された補正量に応答して,自動的にフライホイールパルスセンサ(23)とカム軸トップ位置センサ(24)とのうちの少なくとも一方の位置を調整することが好ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明によるセンサ位置調整方法の実施の一形態では,図9のエンジンシステム1に含まれるカム軸トップ位置センサ24の位置が調節される。当該センサ位置調整方法は,図1に示されているように,エンジン2を運転するステップで開始される(ステップS01)。
【0035】
エンジン回転数(クランク軸17の回転数)が所定の回転数に調節され,その状態におけるカム軸トップ電圧が測定される(ステップS02)。カム軸トップ電圧とは,カム軸トップ位置信号26が所定の基準値VMより低くなって以後,初めてカム軸トップ位置信号26が燃焼診断装置3によってサンプリングされたときのカム軸トップ位置信号26の電圧である。
【0036】
続いて,エンジン回転数とカム軸トップ電圧値とから,カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量が算出される(ステップS03)。カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量は,図2に示された補正量算出グラフを使用して決定される。図2の補正量算出グラフでは,カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量は,カム軸21を見込む角で記述されている。例えば,エンジン回転数が500rpm,カム軸トップ電圧値が4.5Vである場合には,カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量は,−0.5°であると決定される。図2の補正量算出グラフの作成方法は,後に詳細に記述される。エンジン回転数とカム軸トップ電圧値とから,カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量を算出可能であることを開示する文献は,出願人の知る限りにおいて存在しない。
【0037】
続いて,元あった位置から,ステップS04において算出された補正量だけカム軸トップ位置センサ24の位置がずらされ,カム軸トップ位置センサ24の位置の調整が完了する(ステップS04)。このように,本実施の形態のセンサ位置調整方法は,図2の補正量算出グラフを予め作成しておくことにより,極めて容易な工程によりカム軸トップ位置センサ24の位置の調整が可能である。
【0038】
図2の補正量算出グラフは,以下の工程で作成可能である。まず,第1のエンジン回転数N1について,ホイールパルス信号25とカム軸トップ位置信号26の位相差を様々に変更しながらカム軸トップ位置信号26を測定する。これにより,図3(a)に示されているように,エンジン2をエンジン回転数N1で運転したときのカム軸角度とカム軸トップ位置信号26との関係が得られる。
【0039】
ホイールパルス信号25とカム軸トップ位置信号26の位相差の変更は,フライホイールパルスセンサ23とカム軸トップ位置センサ24との位置を変更することによって可能である。複数のエンジンシステム1を使用する場合,手作業によってフライホイールパルスセンサ23とカム軸トップ位置センサ24とをエンジンシステム1に組み立てれば,自然と,ホイールパルス信号25とカム軸トップ位置信号26の位相差が異なるエンジンシステム1が得られる。
【0040】
カム軸トップ位置センサ24がカム軸トップ近接片22の接近に対して一次遅れの特性を示すため,カム軸トップ位置信号26の電圧Vが遷移し始めるカム軸角度X1の近傍におけるカム軸角度Xと,エンジン回転数N1についてのカム軸トップ位置信号26の電圧V1との関係は,
V1=VH, (X<X1) …(1)
V1=exp(A1X+B1)+VL, (X≧X1) …(2)
によって記述される。
【0041】
電圧VHは,カム軸トップ位置信号26の電圧Vが遷移する直前までの電圧であり,図3(a)のグラフから算出可能である。電圧VLは,カム軸トップ位置信号26の電圧Vの遷移が終了した後のカム軸トップ位置信号26の電圧であり,同様に,図3(a)のグラフから算出可能である。
【0042】
図3(b)に示されているように,A1及びB1は,カム軸トップ位置信号26の電圧Vが遷移しているカム軸角度の区間における電圧Vを指数回帰することにより得られる。
【0043】
X1は,エンジン2がエンジン回転数N1で運転されているときに,カム軸トップ位置信号26の電圧Vが遷移し始めるカム軸角度である。X1は,
X1={ln(VH)−B1−VL}/A1, …(3)
と表される。
【0044】
更に,第1のエンジン回転数N1と異なる第2のエンジン回転数N2について,ホイールパルス信号25とカム軸トップ位置信号26の位相差を様々に変更しながらカム軸トップ位置信号26を測定する。図4(a)乃至(e)は,エンジン回転数N1より高いエンジン回転数N2でエンジン2が運転されたときの,ホイールパルス信号25及びカム軸トップ位置信号26の波形を示している。エンジン回転数が高い場合,図4(a)に示されているように,ホイールパルス信号25の周波数が上がる。一方,図4(b)に示されているように,カム軸トップ位置センサ24の応答時間は変化しない。従って,図4(c),(d)に示されているように,カム軸角度に対するホイールパルス信号25の波形は,エンジン回転数N1とエンジン回転数N2とで実質的に同一であるのに対し,エンジン回転数N1より高いエンジン回転数N2では,カム軸角度に対するカム軸トップ位置信号26の電圧の波形は,カム軸角度の軸方向に引き伸ばされる。
【0045】
図4(e)に示されているように,エンジン回転数N1についてのカム軸トップ位置信号26の電圧V1の近似式の導出と同一の過程により,エンジン回転数N2についてのカム軸トップ位置信号26の電圧V2の近似式が導出される。カム軸トップ位置信号26の電圧V2は,
V2=VH, (X<X2) …(4)
V2=exp(A2X+B2)+VL, (X≧X2) …(5)
X2={ln(VH)−B2−VL}/A2, …(6)
で表される。X2は,エンジン回転数N2において,カム軸トップ位置信号26の電圧V2が遷移し始めるカム軸角度である。VH,VLは,エンジン回転数N1及びエンジン回転数N2について共通の値が使用される。
【0046】
A1とA2とは,下記関係式:
A2=A1・N1/N2, …(7)
を満足する必要がある。従って,A2が,式(7)によって算出され,B2は,エンジン回転数N2でエンジン2が算出されたときの,ある一のカム軸角度におけるカム軸トップ位置信号26の電圧V2から算出されることが可能である。
【0047】
X1,X2の差は,カム軸トップ近接片22がカム軸トップ位置センサ24に接近してからカム軸トップ位置信号26の電圧が遷移し始めるまでに一定の時間遅れが存在することに起因する。更に,カム軸トップ近接片22がカム軸トップ位置センサ24に接近するカム軸角度をセンサ近接位置X0とすると,センサ近接位置X0は,エンジン回転数の0の極限において,カム軸トップ位置信号26の電圧Vが遷移し始めるカム軸角度に一致する。
【0048】
図5を参照して,センサ近接位置X0について,
X1−X0:X2−X0=N1:N2, …(8)
が成立する。式(8)から,
X0=(N2X1−N1X2)/(N2−N1), …(9)
が得られる。
【0049】
以上より,任意のエンジン回転数Nについての,カム軸トップ位置信号26の電圧Vの近似式は,
V=VH, (X<XN) …(10)
V=exp(A・X+B), (XN≧0) …(11)
A=A1・N1/N(=A2・N2/N), …(12)
と表される。但し,XNは,カム軸トップ位置信号26が立ち下がり始めるカム軸角度であり,
X1−X0:XN−X0=N1:N, …(13)
から
XN=(X1−X0)・N/N1+X0, …(14)
と算出される。更に,式(11)のBは,
VH=exp(A・XN+B)+VL, …(15)
が成立することから,
B=ln(VH−VL)−A・XN, …(16)
と表される。
【0050】
式(11)から,任意のエンジン回転数Nについて,カム軸トップ位置信号26の電圧Vと,該電圧を取得した時点のカム軸角度Xとの関係が得られる。図6は,エンジン回転数Nが,0,100,200,300,400,500,600,700,720,750,850rpmである場合のそれぞれについて,カム軸トップ位置信号26の電圧Vと,該電圧を取得した時点のカム軸角度Xとの関係を示す図である。エンジン回転数Nが高くなるほど,カム軸トップ位置信号26の電圧Vが遷移し始めるカム軸角度は大きくなる。但し,カム軸角度の正負は,カム軸21が回転するに従ってカム軸角度が大きくなるように定められている。更に,カム軸トップ位置信号26の電圧Vが遷移し始めて以後,カム軸トップ位置信号26の電圧VがVLに安定するのに要するカム軸角度の区間も長くなる。
【0051】
ここで,フライホイール19の歯数をnとして,フライホイール19が360°/nだけ回転する間に,カム軸21が回転する角度をXPとする。XPは,カム軸トップ位置信号26がサンプリングされるカム軸角度の間隔に相当する。
【0052】
エンジン2のエンジン回転数が0以上NMAX以下の任意の回転数をとる場合についてカム軸トップ位置(即ち,クランク軸の零点の位置)が安定的に決定できるように,カム軸トップ電圧を取得するカム軸角度(即ち,カム軸トップ位置信号26が所定の基準値VMより低くなって以後,初めてカム軸トップ位置信号26が燃焼診断装置3にサンプリングされるカム軸角度)は,決定される必要がある。このカム軸角度を,以下,「カム軸トップ電圧取得カム軸角度」ということとすると,カム軸トップ電圧取得カム軸角度は,エンジン回転数が許容最大値NMAXである場合に,カム軸トップ位置信号26の電圧が既述の基準値VMとなるカム軸角度XM以上であり,X0+XP以下である必要がある。カム軸角度XMは,下記式:
XM={ln(VM−VL)−B}/A, …(17)
によって算出可能である。XPは,カム軸トップ位置信号26がサンプリングされるカム軸角度の間隔であり,フライホイール19の歯数をnとして,フライホイール19が360°/nだけ回転する間に,カム軸21が回転する角度に一致する。X0は,既述の通り,近接カム軸角度である。近接カム軸角度X0は,エンジン回転数が0の極限であるときにカム軸トップ位置信号26の電圧が既述の基準値VMとなるカム軸角度に一致することに留意されたい。
【0053】
カム軸トップ電圧取得カム軸角度の最適値XBは,下記式:
XB=(XM+X0+XP)/2, …(18)
によって算出可能である。式(17)は,カム軸トップ電圧取得カム軸角度が許容される範囲,即ち,XM以上X0+XP以下の範囲の中央が,カム軸トップ電圧取得カム軸角度の最適値XBであることを意味している。
【0054】
図6は,カム軸トップ位置センサ24を設けるべき位置を直接的に示すグラフではない。しかし,あるエンジン回転数におけるカム軸トップ電圧を測定することにより,図6のグラフから,カム軸トップ位置センサ24が現在設けられている位置と最適なカム軸トップ位置センサ24との位置の差,即ち,カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量を算出することが可能である。例えば,エンジン回転数が600rpmであり,このときのカム軸トップ電圧が6Vであったとする。この場合,図6のグラフから,エンジン回転数が600rpmであり,カム軸トップ電圧が6Vであるときのカム軸トップ電圧取得カム軸角度Xαを算出可能である。カム軸トップ電圧取得カム軸角度の最適値XBと,算出されたカム軸トップ電圧取得カム軸角度Xαとの差が,カム軸トップ位置センサ24の補正量である。同様にして,エンジン回転数とカム軸トップ電圧とから,カム軸トップ電圧取得カム軸角度を算出し,算出されたカム軸トップ電圧取得カム軸角度とカム軸トップ電圧取得カム軸角度の最適値XBとの差をとることにより,カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量が算出可能である。
【0055】
カム軸トップ位置センサ24の補正量を示すグラフである図2は,図6の縦軸と横軸を入れ替え,更に,図6を最適値XBを原点として描きなおすことによって得られる。これは,式(11)の逆関数を算出することに相当する。以上の過程により,図2の補正量算出グラフが作成可能である。図2の補正量算出グラフを用いて算出された補正量だけカム軸トップ位置センサ24の位置をずらすことにより,クランク軸角度の零点を安定的に検出することが可能になる。
【0056】
本実施の形態では,カム軸トップ位置センサ24の位置が調整されているが,フライホイールパルスセンサ23の位置を,カム軸トップ位置センサ24の代わりに調整することが可能である。カム軸トップ電圧取得カム軸角度は,フライホイールパルスセンサ23とカム軸トップ位置センサ24との相対位置で決定されるからである。フライホイールパルスセンサ23の位置が調整される場合,カム軸トップ位置センサ24の補正量からフライホイールパルスセンサ23の位置の補正量が算出される。更に,フライホイールパルスセンサ23とカム軸トップ位置センサ24との両方の位置を調整することも可能である。
【0057】
カム軸トップ位置センサ24の位置を調整するためには,図7に示されているセンサ位置調整機構31を使用することが好適である。センサ位置調整機構31は,カム軸トップ位置センサ24に接合される可動片32と,筒状の固定筒33と,ボルト34と,矢印の形状を有する矢35と,目盛36とを含む。固定筒33は,固定されたフレーム37に固定される。可動片32は,固定筒33に摺動可能に挿入される。可動片32には,雌ねじが切られており,ボルト34は,その雌ねじによって可動片32と螺合される。更に,固定筒33には,その底面を貫通する雌ねじが切られており,ボルト34は,その雌ねじに挿入されて固定筒33に螺合される。矢35は,カム軸トップ位置センサ24に接合され,カム軸トップ位置センサ24と可動片32と同体に移動可能である。ボルト34を回転することにより,可動片32は,ボルト34の中心軸と平行な方向に移動し,カム軸トップ位置センサ24も可動片32と同体に移動する。矢35と目盛36とは,カム軸トップ位置センサ24の移動量を容易に把握可能にする。このような構造を有するセンサ位置調整機構31は,カム軸トップ位置センサ24の位置の調整を容易化する。
【0058】
図7において,カム軸トップ位置センサ24の代わりにフライホイールパルスセンサ23が可動片32に接合されることにより,フライホイールパルスセンサ23の位置の調整が容易化されることも可能である。
【0059】
カム軸トップ位置センサ24(及びフライホイールパルスセンサ23)の位置は,図8に示されているセンサ位置調整装置41により,自動的に調整されることが可能である。センサ位置調整装置41は,補正量算出装置42と駆動装置43とを含む。補正量算出装置42は,既述のカム軸トップ電圧を燃焼診断装置3から受信し,回転数検出器44からエンジン2のエンジン回転数を受信する。補正量算出装置42は,図2の補正量算出グラフに対応した関数を記憶している。補正量算出装置42は,該関数を用いて,エンジン回転数とカム軸トップ電圧とから,カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量(又はフライホイールパルスセンサ23の位置の補正量)を算出する。駆動装置43は,補正量算出装置42が算出した補正量だけ,カム軸トップ位置センサ24(又はフライホイールパルスセンサ23)を移動する。このようなセンサ位置調整装置41は,カム軸トップ位置センサ24(及びフライホイールパルスセンサ23)の位置を自動的に最適にすることを可能にする。
【0060】
【発明の効果】
本発明により,所望範囲のエンジン回転数の全域において,クランク軸角度の零点を安定的に決定することができるフライホイールパルスセンサとカム軸トップ位置センサとの位置の調整方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,本発明によるセンサ位置調整方法の実施の一形態を示すフローチャートである。
【図2】図2は,エンジン回転数とカム軸トップ電圧値とから,カム軸トップ位置センサ24の位置の補正量が算出するのに使用される補正量算出グラフを示す。
【図3】図3(a)乃至(c)は,エンジン2をエンジン回転数N1で運転したときのカム軸角度とカム軸トップ位置信号26の電圧との関係を示す。
【図4】図4(a)乃至(e)は,エンジン2をエンジン回転数N2で運転したときのカム軸角度とカム軸トップ位置信号26の電圧との関係を示す。
【図5】図5は,エンジン回転数がN1のとき,カム軸トップ位置信号26が遷移し始めるカム軸角度X1と,エンジン回転数がN2のとき,カム軸トップ位置信号26が遷移し始めるカム軸角度X2と,センサ近接位置X0とを示す。
【図6】図6は,エンジン回転数Nが,0,100,200,300,400,500,600,700,720,750,850rpmである場合のそれぞれについて,カム軸トップ位置信号26の電圧Vと,該電圧を取得した時点のカム軸角度Xとの関係を示す図である。
【図7】図7は,センサ位置調整機構31を示す図である。
【図8】図8は,センサ位置調整装置41を示す図である。
【図9】図9は,クランク軸角度を用いて燃焼状態を診断する燃焼診断装置が組み込まれたエンジンシステム1を示す。
【図10】図10は,ホイールパルス信号25とカム軸トップ位置信号26の波形を示す図である。
【図11】図11は,ホイールパルス信号25とカム軸トップ位置信号26との位相差の調整の重要性を説明するための図である。
【符号の説明】
1:エンジンシステム
2:エンジン
3:燃焼診断装置
4:燃焼制御装置
5:表示装置
6:シリンダ
7:ガス噴射装置
8:給気管
9:ガス供給管
10:ガス供給電磁弁
11:給気弁
12:ピストン
13:着火装置
14:排気弁
15:排気管
16:クランク
17:クランク軸
18:発電機
19:フライホイール
20:カム軸歯車
21:カム軸
22:カム軸トップ近接片
23:フライホイールパルスセンサ
24:カム軸トップ位置センサ
25:ホイールパルス信号
26:カム軸トップ位置信号
27:筒内圧力センサ
28:診断結果情報
29:シリンダ圧力信号
31:センサ位置調整機構
32:可動片
33:固定筒
34:ボルト
35:矢
36:目盛
37:フレーム
41:センサ位置調整装置
42:補正量算出装置
43:駆動装置
44:回転数検出器
Claims (9)
- クランク軸と,
前記クランク軸に接合され,複数の歯が外周に等間隔に設けられたフライホイールと,
前記歯の接近に同期してホイールパルス信号を出力するフライホイールパルスセンサと,
前記クランク軸に同期して回転されるカム軸と,
前記カム軸に接合されたカム軸トップ近接片と,
前記カム軸トップ近接片の接近を逐次に検知するカム軸トップ位置センサと,
前記ホイールパルス信号をトリガーとして,前記カム軸トップ位置センサの出力をサンプリングし,前記カム軸トップ位置センサの出力電圧を所定の基準値と比較して,クランク軸の回転角度であるクランク軸角度の零点を検知し,前記ホイールパルス信号に基づいて前記クランク軸角度を検知するクランク軸角度検知器
とを備えた内燃機関の前記カム軸トップ位置センサの位置を調整するセンサ位置調整方法であって,
(a)前記内燃機関を運転して,前記クランク軸の回転数と前記カム軸トップ位置センサの出力電圧とを検出することと,
(b)前記クランク軸の前記回転数と前記カム軸トップ位置センサの前記出力電圧とから,前記カム軸トップ位置センサの位置の補正量を算出するステップと,
(c)前記補正量に応じて前記カム軸トップ位置センサの位置を調整するステップ
とを備え,
前記カム軸トップ位置センサの位置の補正量は,前記カム軸が回転する方向を正方向として,前記カム軸トップ位置センサの出力電圧が大きくなるにつれて負方向に変化し,且つ,前記クランク軸の前記回転数が大きくなるにつれて正方向に変化するように算出される
センサ位置調整方法。 - 請求項1に記載のセンサ位置調整方法であって、
前記(b)ステップは,
(d)前記クランク軸の回転数と前記カム軸トップ位置センサの出力電圧とに対応する,前記カム軸トップ位置センサの位置の補正量を示すテーブルを提供するステップと,
(e)前記テーブルを参照して,前記カム軸トップ位置センサの位置の前記補正量を算出するステップ
とを含む
センサ位置調整方法。 - 請求項2に記載のセンサ位置調整方法において,
前記(d)ステップは,
(f)前記相対位置と前記クランク軸の回転数とからなる複数の組のそれぞれについて,前記カム軸トップ位置センサの出力電圧を検知することと,
(g)前記(e)ステップで検知された前記カム軸トップ位置センサの前記出力電圧に対して指数回帰を行うことにより,任意の前記クランク軸の回転数,及び任意の前記カム軸の角度における前記カム軸トップ位置センサの出力電圧の近似式を得るステップと,
(h)前記近似式から,前記テーブルを得るステップ
とを備えた
センサ位置調整方法。 - 請求項3に記載のセンサ位置調整方法において,
前記(g)ステップは,
(i)前記クランク軸が第1回転数N1で回転するときの前記カム軸トップ位置センサの出力電圧V1を下記式:
V1=VH, (X<X1)
V1=exp(A1X+B1)+VL, (X≧X1)
X1={ln(VH)−B1−VL}/A1
によって表すステップと,
(j)前記クランク軸が第2回転数N2で回転するときの前記カム軸トップ位置センサの出力電圧V2を下記式:
V2=VH, (X<X2)
V2=exp(A2X+B2)+VL, (X≧X2)
X2={ln(VH)−B2−VL}/A2
によって表すステップと,
(k)前記近似式を,前記カム軸トップ位置センサの出力電圧Vと,前記カム軸の角度Xと,前記クランク軸の回転数Nとを用いて,
V=VH, (X<XN)
V=exp(A・X+B), (XN≧0)
A=A1・N1/N(=A2・N2/N),
B=ln(VH−VL)−A・XN,
X0=(N2X1−N1X2)/(N2−N1),
XN=(X1−X0)・N/N1+X0,
によって表すステップ
とを含む
センサ位置調整方法。 - 請求項1に記載のセンサ位置調整方法において,
前記(b)ステップは,
(l)前記クランク軸の回転数が0の極限において,前記カム軸トップ位置センサの出力電圧が変化し始める前記カム軸の角度である近接センサ検知位置X0を算出するステップと,
(m)前記クランク軸の回転数が許容最大回転数であるときについて,前記カム軸トップ位置センサの出力電圧が前記所定の基準値と一致する前記カム軸の角度である基準値位置XMを算出するステップと,
(n)前記フライホイールの前記歯の数をnとして,前記フライホイールが360°/nだけ回転する間に,前記カム軸が回転する角度XPを算出するステップと,
(o)前記近接センサ検知位置X0と前記基準値位置XMと前記角度XPとに基づいて,前記カム軸トップ位置信号が前記所定の基準値VMを交差して以後,初めて前記カム軸トップ位置信号がサンプリングされるカム軸角度の最適値XBを算出するステップと,
(p)前記クランク軸の回転数と前記カム軸トップ位置センサの出力電圧とから,前記カム軸トップ位置信号が前記所定の基準値VMを交差して以後,初めて前記カム軸トップ位置信号がサンプリングされるカム軸トップ電圧取得カム軸角度Xαを算出するステップと,
(q)前記カム軸トップ電圧取得カム軸角度Xαと前記最適値XBとの差を前記補正量とするステップ
とを含む
センサ位置調整方法。 - 請求項5に記載のセンサ位置調整方法において,
前記(l)ステップは,
(i)前記クランク軸が第1回転数N1で回転するときの前記カム軸トップ位置センサの出力電圧V1を下記式:
V1=VH, (X<X1)
V1=exp(A1X+B1)+VL, (X≧X1)
X1={ln(VH)−B1−VL}/A1
によって表すステップと,
(j)前記クランク軸が第2回転数N2で回転するときの前記カム軸トップ位置センサの出力電圧V2を下記式:
V2=VH, (X<X2)
V2=exp(A2X+B2)+VL, (X≧X2)
X2={ln(VH)−B2−VL}/A2
によって表すステップと,
(r)下記式:
X0=(N2X1−N1X2)/(N2−N1),
によって前記近接センサ検知位置X0を算出するステップ
を備えた
センサ位置調整方法。 - 請求項6に記載のセンサ位置調整方法において
前記(b)ステップは,更に,
(s)前記カム軸トップ位置センサの出力電圧Vを,前記カム軸の角度Xと,前記クランク軸の回転数Nとを用いて,
V=VH, (X<XN)
V=exp(A・X+B), (XN≧0)
A=A1・N1/N(=A2・N2/N),
B=ln(VH−VL)−A・XN,
XN=(X1−X0)・N/N1+X0,
によって表すステップを含み,
前記(m)ステップは,
(t)下記式:
XM={ln(VM−VL)−B}/A
によって前記基準値位置XMを算出するステップ
を備えた
センサ位置調整方法。 - クランク軸と,
前記クランク軸に接合され,複数の歯が外周に等間隔に設けられたフライホイールと,
前記歯の接近に同期してホイールパルス信号を出力するフライホイールパルスセンサと,
前記クランク軸に同期して回転されるカム軸と,
前記カム軸に接合されたカム軸トップ近接片と,
前記ホイールパルス信号をトリガーとして,前記カム軸トップ近接片の接近を逐次に検知するカム軸トップ位置センサと,
前記カム軸トップ位置センサの出力電圧を所定の基準値と比較して,クランク軸の回転角度であるクランク軸角度の零点を検知し,前記ホイールパルスに基づいて前記クランク軸角度を検知するクランク軸角度検知器と,
前記クランク軸の回転数と前記カム軸トップ位置センサの出力電圧とから,前記カム軸トップ位置センサの位置の補正量を算出する補正量算出器と,
前記補正量に応答して,前記カム軸トップ位置センサの位置を自動的に調整するセンサ位置調整機構
とを備え,
前記補正量は,前記カム軸が回転する方向を正方向と定義したとき,前記カム軸トップ位置センサの出力電圧が大きくなるにつれて負方向に変化し,且つ,前記クランク軸の前記回転数が大きくなるにつれて正方向に変化するように算出される
内燃機関。 - 請求項8に記載の内燃機関であって、
前記補正量算出器は,前記クランク軸の回転数と前記カム軸トップ位置センサの出力電圧とに対応する前記カム軸トップ位置センサの位置の補正量を示すテーブルを含み,且つ,前記テーブルを参照して,前記カム軸トップ位置センサの位置の前記補正量を算出する
内燃機関。
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