JP3835811B2 - ホスファターゼ又はその誘導体を含む製薬学的組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、敗血症を含むグラム−陰性バクテリアの感染により引き起こされる臨床的合併症の処置又は治療に適した製薬学的組成物に関する。特に本発明は全身的に適用可能な組成物を目的とする。組成物はバクテリア−壁誘導リポ多糖類(内毒素類としても既知)の無毒化に適した成分を含み、これらの産物を人間などの哺乳類に、特に場合により宿主−防御抵抗性(host−defence resistance)の低下と組み合わされた、すなわち臓器移植の後、癌又は癌の化学療法処置に伴う白血球減少症(参照文献1)の間、又はAIDS及びAIDS−関連疾患(参照文献2)の間の敗血症の患者にあまり有害でないようにする。
本発明は骨の形成の刺激に、例えば破壊された骨の修理に、又は骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患(metabolic bone diseases)の予防又は治療に適した製薬学的組成物、ならびに又、望ましくない骨の形成を低下させる、又は阻害する製薬学的組成物にも関する。
背景に関する情報
内毒素はグラム−陰性バクテリアの莢爽膜に存在する負に帯電したリポ多糖である(参照文献3)。内毒素類はリン脂質(脂質A)と多糖の複合体である。種々のバクテリアにより生産される内毒素類はその抗原性が異なるが、それらはすべて同じ生物学的影響を有し、それは主に脂質Aによる。本記載の目的の場合、内毒素という用語はエンテロトキシン類も含む。負に帯電した糖部分に加え、内毒素はその毒性に必須の2つのリン酸基を含む(参照文献3、4)。
内毒素は外部環境において、ならびに多くの種の胃腸管において偏在的な分子であるが、それは一度胃腸管を去るとこれらの種に非常に有害であり得、例えば10ピコグラムなどの少量でも敗血症及び潰瘍などにおける炎症を引き起こす。しかしこれまで、重要な内毒素無毒化機構は生体内で発見されなかった(参照文献5)。
内毒素は重症の、致死でさえある合併症を引き起こすことが知られている(参照文献5及び6)。事実、抗生物質の使用にもかかわらず、このバクテリア生産物は西洋社会で集中治療室における死亡の主要原因である。
種々の微生物類により生産される多種の内毒素があり、結局、生体内における内毒素の作用は、内毒素が生物中に侵入できる方法と同様に多数である。従ってグラム陰性菌感染に伴う症状も患者の間で広く異なる(参照文献7)。これらの症状はさらに敗血症性ショックを併発し、低血圧、末梢血管拡張及び散在性血管内凝固(diffuse intravascular coagulation)がその主な特徴である(参照文献8)。続いて心臓(急性心不全)、肺(成人呼吸促進症候群)、腎臓(急性尿細管壊死)及び脳などの臓器が影響を受け得る(参照文献8)。内毒素媒介の病気は、多臓器不全の症状及び一般に当該技術分野において直接又は間接的に内毒素により引き起こされると受け入れられている他の症状も含む。
今日まで、内毒素に対する抗体類は、毒性を不可逆的に減少させることが知られている内毒素無毒化タンパク質類のみであるが、これらの抗体類の臨床的価値はまだ確立されていない。内毒素に結合することができる他の物質、例えばリポ多糖結合タンパク質及び高密度リポタンパク質(HDL)(参照文献9)は、生体内で可逆的な複合体を形成するという主な欠点を示す。これらの複合体が解離すると、本来の(毒性の)分子が再び生産される。さらに血漿の無毒化活性がしばらく注目されたが(参照文献10)、この活性を担う物質の単離又は特性化の試みは成功しなかった。敗血症の処置のための他の実験的方法は、内毒素−誘導ショックの重要な媒介物であり、生体内における内毒素の影響を悪化させるサイトカイン類(例えばTNF−α)の活性に拮抗する組成物の適用を含む。この方法の主な欠点は、これらの組成物が原因である因子を無毒化せず、この毒素への体の反応の1つを阻害することである。さらに天然に存在するサイトカイン類への拮抗は複数の副作用を引き起こし得る。
アルカリ性ホスファターゼ(EC 3.1.3.1)は、人間を含む多くの種に存在する共通の酵素であり、広く研究されてきた。アルカリ性ホスファターゼをコードするDNA配列は得られたが、これまでそれらの商業的開発は起こらなかった。酵素は抗体標識として、及び肝臓及び好中球機能に関するマーカーとして日常的に適用されるが、その生物学的関連性は未知である。指示薬として用いられる特異的活性が向上した組み換えアルカリ性ホスファターゼが、例えばEP−A−0 441 252において開示されている。しかしこの特許出願はアルカリ性ホスファターゼの抗−内毒素活性又は骨形成に関して言及していない。引用のヨーロッパ特許出願は1つのアミノ算が野生型と異なる複数の誘導体を記載している。置換基はVal又はIleによるThr100の置換、ArgによるLys328の置換、AlaによるVal99の置換、ValによるThr107の置換、SerによるASP101の置換、AlaによるVal377の置換及びGlyによるSer115の置換、ならびにAspによるAla103の置換を含む。引用の特許出願に記載されている他の誘導体は、サンドイッチEIAを行うためのM マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを用いた誘導体、及びアルカリ性ホスファターゼのチオール化突然変異体であり、それはスクシンイミジル−4−N−マレイミドメチル−1−チオカプラミドシクロヘキサンカルボキシレートを用いて誘導することができる。これらのすべての誘導体の中で、アルカリ性ホスファターゼ誘導体により運ばれる電荷に関する言及はなされていない。挙げられているすべての誘導体は、AspによるAla103の置換の場合を除いて、対応する本来のアルカリ性ホスファターゼと比較して、より正の正味電荷又は等しい正味電荷を生ずることが我々により計算されたことを指摘する。
アルカリ性ホスファターゼは、細胞外分子を脱リン酸化することが知られている膜−結合エクト−酵素である。酵素は、腸、腎臓、骨芽細胞及び好中球を含む多くの臓器に存在する(参照文献11、12及び13)。試験管内でそれは約10.5の最適pHを示す(参照文献12)。この高いpHレベルは無損傷の臓器の生体組織には存在しないと思われるので、この非常に高い最適pHが生物学的関連性の認識を妨げてきた(参照文献12〜14)。
複数の公開文献において、アルカリ性ホスファターゼ及びコラーゲン、特に原繊維状コラーゲンの誘導体が記載されている。そのような誘導体の負の正味電荷については言及されていないが、我々は正味電荷が非−誘導アルカリ性ホスファターゼと比較して正であることを計算した。
US 4 409 332(1983)において、アルカリ性ホスファターゼを用いて誘導されたコラーゲン縫合糸が、コラーゲンの炎症性を減少させるとして記載されている。コラーゲンにより起こされる炎症は内毒素による炎症反応ではなく、それは起こってしまった組織の損傷により一般的に引き起こされる炎症であり、それはコラーゲンが体にとって異種である異種タンパク質であるという事実から、及びコラーゲンは常に生体内で凝固を引き起こし、それは続いて複数の方法で炎症細胞を活性化するという事実からわかる。傷の感染による炎症は、無菌の溶液を用い無菌の環境で働いている著者自身にしばしば起こる状態とは思われない。当該技術分野における熟練者は、この引用公開特許から、コラーゲンと組み合わされたアルカリ性ホスファターゼがいかにして通常コラーゲンにより引き起こされる炎症を阻害できるのかを誘導することはできない。しかし例えば特異的免疫反応の細胞に関する抗原を防御し、それにより認識を妨げることによる、又はアルカリ性ホスファターゼが負に帯電した糖基を含むので非−特異的免疫反応の正に帯電した媒介物を結合することによる、などの複数の方法を提案することができる。他の可能性は、コラーゲンのマスキング又はATP、ADP及び血小板活性化因子などの媒介物類の脱リン酸化により、あるいは正に帯電した媒介物類及び補因子の結合により凝固カスケードを阻害することである。
引用文献において、おおまかなホスファターゼの加水分解機能は50年以上広く研究されてきたが、生物にとっての酵素の価値に関する明確な像が現れないことが述べられている。要するにアルカリ性ホスファターゼの生体内活性は明白でない。引用文献においては、アルカリ性ホスファターゼと骨形成又は抗−内毒素活性が結び付けられていない。アルカリ性ホスファターゼとコラーゲンの組み合わせの抗−炎症活性に、理論的背景が示されていない。事実、当該技術分野における熟練者が抗−炎症活性をアルカリ性ホスファターゼの存在に帰因するとするかどうか、又はコラーゲンの特定の基が無作為な誘導体の存在により保護されている事実が抗−炎症活性を与えるかどうか、疑問である。これは、グルタルアルデヒドなどの架橋剤又は他の架橋手段の使用が材料の抗−炎症性を向上させると思われることが記載されている事実から誘導し得る。
US 4 394 370において、コラーゲン及びBMPの抗−炎症性複合体が、破壊された骨の治療におけるその利用と共に記載されおり、それはさらにUS 4 409 332において明らかにされている。US 4 394 370は、骨欠損における生体内埋植のためのスポンジにおいて構成された再構築コラーゲンと無機質除去骨粒子(demineralized bone particles)、又は再構築コラーゲンと可溶化された骨形態発生タンパク質(bone morphogenetic protein)の利用につき記載している。無機質脱落骨粒子及び骨形態発生タンパク質の両者共、動物及び人間の実験において骨組織の形成を起こす能力を示した。再構築コラーゲン複合体は高度に生物適合性であり、多様な形状に構成することができる。この材料は、プラスチック及び再建手術、歯周骨移植において、及び歯内法(endodontic procedures)において移植片として用いることができる。構造的持続性はグルタルアルデヒドを用いた架橋により強化され、それは埋植の前にコラーゲン複合体を滅菌し、消毒するためにも用いられる。無機質脱落骨からの可溶性因子、骨形態発生タンパク質は骨誘導性であることが記載され、無機質脱落骨は骨形成も促進することも知られている。US 4 394 370に開示されているBMPとコラーゲンに組み合わされたアルカリ性ホスファターゼの利用はアルカリ性ホスファターゼの骨形成向上活性だけを特に目的としてはいないが、、コラーゲンに結合したアルカリ性ホスファターゼが非−誘導コラーゲンより炎症性が低いという事実がある。US 4 394 370は特にコラーゲンBMP複合体スポンジを目的としており、そのようなスポンジと複合化されたアルカリ性ホスファターゼの利用は単にBPMコラーゲンの利用の複数の実施態様の1つであり、本特許出願と同じ発明、すなわち中でも骨形成の向上のためのそのままのホスファターゼ又はその誘導体の生体内活性を目的としていない。US 4 394 370においては、アルカリ性ホスファターゼの抗−内毒素活性は言及されていない。
WO 93/00935は、骨の石灰化の促進における酵素アルカリ性ホスファターゼの可能な役割が長年提案されてきたと記載している。しかしそのような試験管内無機質化研究の、生体内の状況への関連性は、特に試験管内研究で用いられる比較的高濃度のホスフェートエステルの観点から、及びホスフェートエステルの加水分解速度及び生理学的pH値が無機質化の過程と関連させるには低すぎると思われる理由で、疑問視されてきた。引用特許出願においてBeertsen et al.は、生物適合性担体材料、好ましくはある程度それ自身が無機質化できる材料、例えば原繊維状コラーゲンと、ある量のホスファターゼ酵素の組み合わせが無機質化を促進するであろうと記載している。アルカリ性ホスファターゼと担体の組み合わせが、担体と、及び酵素と共有結合的に結合することができるカップリング剤の存在下で担体を酵素と共にインキュベートすることによりもたらされるのが好ましい。適したカップリング剤はビオチンアビジン、グルタルアルデヒド及び1−エチル−3−(3−ジメチル−アミノプロピル)カルボジイミドHClであると記載されている。特に好ましいカップリング剤は、マレイミドヘキサノイル−N−ヒドロキシスクシンイミド(MHS)と組み合わされたスクシンイミジル−s−アセチル−チオアセテート(SATA)として知られ、この場合担体がSATAと共にインキュベートされ、酵素がMHSとインキュベートされる。これらの2つのインキュベーション過程の生成物が合わされ、反応させられ、埋植材料を与える。引用文献は、コラーゲンへのアルカリ性ホスファターゼのカップリングは、そのような複合体が傷の場所に置かれると、骨形成を促進すると記載している。アルカリ性ホスファターゼは、骨形成を刺激することが既知の生成物と組み合わされて用いられる。アルカリ性ホスファターゼそのままの、又は特定の変更電荷を有する誘導体としての利用は記載されていない。原繊維状コラーゲンを用いたアルカリ性ホスファターゼの誘導体は非−誘導アルカリ性ホスファターゼと比較して正の電荷が増していることが指摘される。原繊維状コラーゲンを用いたアルカリ性ホスファターゼの誘導体は、原繊維状コラーゲンが血管内血小板活性化を引き起こし、塞栓症に導くので、全身的適用には適していない。従って原繊維状コラーゲンとアルカリ性ホスファターゼの複合体は、骨粗しょう症又は骨軟化症、あるいは全身的適用を必要とする他の骨欠陥の処置の方法で用いることができなかった。それは傷の位置にその場で固定される場合のみに用いることができる。
発明の記述
本発明の主題は、アルカリ性ホスファターゼが誘導されずにそのままで、生理学的pHレベルにおいても、すなわち生体内(in vivo)でも、ある種の生体機能を調節するホスファターゼ活性を与えられているという我々の発見に基づく。
この見識の基礎は、生体内における分子レベルで、アルカリ性微環境が試験管内の水溶液と異なって存在し得るという考えにより与えられた。生体内で負に帯電した分子は、H+に結合するその能力により弱塩基類として作用することができる。結局これらのアニオン類はpHレベルを局所的に上昇させ、それによりアルカリ性ホスファターゼがホスファターゼとして機能するのに十分なpH値を有する微環境(micro environment)を与える。
負の電荷の添加は生体内において:酵素に正味で負に帯電した基質を加える、第2に負の電荷を有する膜担体をホスファターゼに与える、及び第3にタンパク質自身の帯電基のイオン化の変更及び/又はタンパク質主鎖への負に帯電した部分の導入又はタンパク質のおそらく正に帯電した基の除去による3種類の方法で与えることができる。
単独の、又は組み合わされたこれらの種々の機構は、試験管内の酵素の通常高い最適pHを説明することができる。
他の種類のホスファターゼ類に同様の考えが適用できた。
本発明の他の側面は、アルカリ性ホスファターゼがそのままで、生理学的pHレベルにおいてさえ、内毒素無毒化活性も与えられているというさらに特定的な発見に基づく。
かくして負に帯電した部分を有する内毒素は、例えばアルカリ性ホスファターゼの微環境において必要な負に帯電した残基を供給することができる。この方法で、この偏在する酵素は生体内において、グラム陰性バクテリアの偏在産物である内毒素に対する防御を与えることができる。
内毒素自身を無毒化するための酵素組成物の利用は、初期における疾患の処置が可能であるという利点を有し、さらに内毒素の毒性を不可逆的に低下させるという利点を有する。さらに酵素の活性は基質特異性なので、アルカリ性ホスファターゼなどの酵素の使用の副作用は限られている。
内毒素の脂質A部分のホスフェート基はこのバクテリア成分の毒性を決定する。脱リン酸化された脂質A分子はその免疫刺激活性のいくらかを保持しており、かくしてワクチンの製造が可能になる。
グラム陰性バクテリアの内毒素類により媒介される病気の予防のためのワクチンは本発明の実施態様であり、該ワクチンは活性成分としてそのままのホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するホスファターゼの誘導体、及びワクチンにおいて通常用いられる添加剤を含む。ワクチンの分野で一般に許容されるいずれの種類の誘導体も用いることができる。
本発明のさらに別の側面は、骨形成の向上を必要とする処置又は予防のため、例えば破壊された骨の修理の刺激のため、あるいは特に骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患の処置及び/又は予防のための製薬学的組成物における活性成分としての、そのままのアルカリ性ホスファターゼの利用を目的とする。生体内において最適アリカリ性ホスファターゼ活性のために必要な負の電荷は、基質によってのみでなく、微環境によっても、あるいは両方によって与えられることができる。
例えば骨において、アルカリ性ホスファターゼはグリコサミノグリカン(GAG)−鎖類、オステオポンチン、オステオカルシン及び骨シアロタンパク質(bone sialo protein)の豊富な細胞外環境に存在する。これらの分子はすべて、負に帯電した残基の含有量が高いことが特に特徴である(参照文献15)。今日まで、骨形成におけるアルカリ性ホスファターゼに関する役割は不明確である。しかしその重要性は、骨形成の部位に酵素が存在するという事実により反映され得る(例えば骨折の2つの部位の間の細胞外空間に(参照文献16及び個人的観察))。さらに骨及び血清におけるアルカリ性ホスファターゼ活性の低いレベルを特徴とする低ホスファターゼ血症などの疾患は、骨格の変形を伴う(参照文献17)。
やはり、主に種々の基質を用いた酵素の非生理学的な高い最適pHのために、アルカリ性ホスファターゼの基質は未知である。しかし我々の考えから鑑みて、与えられたリン酸化基質が強い負の分子に結合すると適した微環境が作られることが容易に想像され得る。そのような条件下で、アルカリ性ホスファターゼは生理学的pHレベルにおいて最適活性を発現し、この基質を脱リン酸化し、それにより骨基質の重要な成分である不溶性カルシウムホスフェート−複合体の形成に寄与することができる。
アルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体は(まだ限定されていない性質の)有機ホスフェートエステル類を局所的に脱リン酸化し、かくしてカルシウムホスフェート−複合体の形成に寄与することができる。さらに骨−無機質化のための最適生理化学的条件を作るために、細胞外環境における高濃度の無機ホスフェートが必要なので(高いイオン濃度がホスフェート−複合体の沈澱を容易にする)、血漿アルカリホスファターゼ又はその誘導体の活性は血液における無機ホスフェート濃度を向上させ、かくしてさらに骨形成の過程に寄与することができる。従ってアルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体は生体内において二重の効果を有すると思われる;それは骨基質の無機質化を直接引き起こし、さらにそれは環境をホスフェートで過飽和させることによりこの過程を容易にする。
最近の実験データは、骨形成の間の生体内におけるアルカリ性ホスファターゼの誘導体の役割に関するこの見解を支持している。アルカリ性ホスファターゼ誘導体がコーティングされたコラーゲン層のシートは、ラットにおいて皮下に埋植されると急速に無機質化される(参照文献32)。無機質化の程度はコラーゲン埋植片に結合したアルカリ性ホスファターゼ誘導体の量、及びこれらの動物における無機ホスフェートの血清量に依存する。比較的高令の雌のラット(35週令)は、若い雄のラットと比較してPiの低い血清量及び低い程度埋移植片の無機質化を示す。さらに正常なマウスにおいて食事のホスフェートを排除すると、骨形成が損なわれる(参照文献33)。試験管内でも、アルカリ性ホスファターゼがコーティングされたコラーゲンのシートの無機質化を、媒体におけるPi濃度を減少させることにより減じることができる。
骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患は一般に高齢の人間を冒す。高齢の人々において血清アルカリ性ホスファターゼ活性は向上するか、低下するか、又は変化しないかに関して矛盾した報告がある(精査のために参照文献34を参照)。血清アルカリ性ホスファターゼ活性は組織−結合アルカリ性ホスファターゼ活性を適確に反映し得ないことが知られている(参照文献34)。事実、いくつかの報告は、例えば肝臓細胞(参照文献35)、腸及び白血球(参照文献36)におけるアルカリ性ホスファターゼ活性が年令と共に徐々に低下することを示唆している。骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患は、酵素の局所的欠乏又は微環境内の負に帯電した分子の量の減少により、アルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体のその場における活性が損なわれることを特徴とすると思われる。雌の集団における骨粗しょう症の高い発生率も、アルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体がこの疾患の病因に含まれるという見解により説明することができる:アルカリ性ホススファターゼ又はその誘導体の活性は少なくとも婦人の場合、エストラジオールなどのホルモン類により調節されており(参照文献37)、それは妊娠の間の血清アルカリホスファターゼ活性の上昇によっても示される(参照文献18)。閉経においてこの調節系は崩壊する。
低い血清アルカリホスファターゼ活性は血液におけるPiの低濃度を引き起こし、この条件は長い循環半減期の(アルカリ性)ホスファターゼ活性を有する(アルカリ性)ホスファターゼ又はその誘導体の投与により逆転させることができると思われる。上記の観点から、骨の無機質化は(アルカリ性)ホスファターゼを負に帯電した分子にカップリングさせることにより、及び/又は(アルカリ性)ホスファターゼの固有のアニオン性電荷を増加させることにより、さらに強化することができる。従ってそのままの(アルカリ性)ホスファターゼの投与、又は(内在性4(アルカリ性))ホスファターゼ活性及び/又は生産の刺激は、骨粗しょう症又は骨軟化症などの代謝性骨疾患を有する患者に有益であることができる。製薬学的組成物の活性成分としてのそのままの(アルカリ性)ホスファターゼの(多発性)骨折の人への全身的投与、及び活性成分としてそのままの(アルカリ性)ホスファターゼを含む製薬学的組成物も本発明の範囲内に含まれる。さらに(アルカリ性)ホスファターゼ活性の阻害は、骨癌又は転移性癌から誘導される続発性腫瘍(secondary tumours)などの過剰の骨形成を特徴とする悪性疾患の患者における治療のための選択できる方法(option)であり得る。従って骨肉腫組織において見られる高いアルカリ性ホスファターゼ活性(参照文献19)は、骨形成の増加に関する臨床的マーカーであるのみでなく、治療的介在のための入り口でもある。
従って本発明は骨肉腫などの急速な骨形成を伴う病気の処置の方法を目的とし、該方法は、好ましくは標的特異的方法で、すなわち該病気が起こっている位置においてアルカリ性ホスファターゼ活性を低下させる、又は阻害することを含む。ホスファターゼ活性の低下は、例えばホスファターゼの生産を低下させることにより、又はホスファターゼに競争的に結合してその脱リン酸化を妨げることによりもたらすことができる。ホスファターゼ活性及び/又は(アルカリ性)ホスファターゼ(活性)の濃度を減少させる又は阻害することができる少なくとも1つの物質を含み、該物質が好ましくは、望ましくない骨形成が妨げられるべき位置で作用するように標的化されている製薬学的組成物も本発明の範囲内に含まれる。
本発明の製薬学的組成物は循環系において無毒性であり、かくして全身的に許容され得、適用可能であるのが好ましい。これは内毒素及び代謝性骨疾患に対する利用を可能にし、破壊された骨の修理を必要としているいくつかの場合に手術の必要を取り除きもする。
アルカリ性ホスファターゼがリポ多糖類を無毒化するその能力により宿主−防御系の防御酵素であるという仮定を調べるために、我々はアルカリ性ホスファターゼが生理学的pHレベルにおいてエシェリキア・コリ(Escherichia coli)の内毒素を脱リン酸化することができるかどうかを研究した。アルカリ性ホスファターゼ活性を腸、腎臓及び脾臓の4%ホルマリン−固定クリオスタット切片(4μm)において、標準的組織化学的方法に従い、アルカリ性(参照文献20)及び生理学的pHレベル(参照文献21)において、従来の基質β−グリセロホスフェート(6.0mg/ml)又はエシェリキア・コリからの内毒素(0.55mg/ml;血清型0.55:B5、Sigma Chemical Co.St.Louis,U.S.A.)を用いて探査した。アルカリ性pHレベルにおいて、Gomori(参照文献20)の組織化学的方法を用いたが、低いpHレベルにおいてはWachstein and Meiselの方法(参照文献21)を用いた。切片を基質と共に37℃において1時間インキュベートした。基質として内毒素が用いられた場合、pH7.4及び9.0において、酵素活性を示すホスフェート沈澱が腸及び腎臓切片において見いだされた(図1)。脾臓の場合、赤色脾髄全体に散乱した強い陽性の(positive)細胞が見いだされた。反応生成物の分布は両基質に関して同じであった。基質を含まずにインキュベートされた切片はすべて完全に反応生成物がなかった。さらに選択的アルカリ性ホスファターゼ阻害剤であるレバミソール(1.0mM)(参照文献20)は、腎臓切片において内毒素からのホスフェート放出を完全に阻害し、しかし腸切片においてこの活性は腸アルカリ性ホスファターゼの周知の阻害剤であるL−フェニルアラニン(5mM)(参照文献22)により減少したが立体異性体D−フェニルアラニン(5mM)によっては減少しなかった。かくして種々の臓器における酵素活性の分布、及び選択的阻害剤を用いて得られた結果の両方共、生理学的pHレベルにおいて内毒素がアルカリ性ホスファターゼにより脱リン酸化されることを示している。
アルカリ性ホスファターゼ活性の最適pHを、ラット腎臓の尿細管刷子縁断片を用い、より定量的な方法で研究した。この特定の酵素組成物は、それを原形質膜との会合において研究できるという利点を有する。さらにそれはレバミソールにより完全に阻害され得る。12μgのタンパク質(比ホスファターゼ活性:86U/mg、pH9.8において評価)を含む尿細管刷子縁断片の組成物を(180メッシュのふるいを用いてPVGラット腎臓の皮質から単離し、0.9%食塩水中で濯ぐ)、種々のpHレベルの250μlの2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール緩衝液に加えた。緩衝液はE.コリからの内毒素(1.25mg/ml)又はパラニトロフェノールホスフェート(0.5mg/ml;pNPP)のいずれかを含んだ。インキュベーション期間の開始の直前に2mMのMgCl2を加えた。37℃における1時間のインキュベーションの後、Chandrarajanの方法(参照文献23)に従って無機ホスフェート濃度を評価した。従来の基質pNPPの場合、pHと共に一定に増加するホスフェート放出が観察された(図2、上左角);が、基質として内毒素が適用された場合、酵素活性はpH8.8において最大に達し、この高さで安定したままであった。内毒素−及びpNPP−脱リン酸化はアルカリ性ホスファターゼ阻害剤であるレバミソール(0.2mM)により阻害された。pH9.8における1時間の内毒素の予備インキュベーションは組織化学的に調べるとpH7.4において脱リン酸化を阻害しなかったので、高pHレベルにおける活性は、アルカリ性条件下で起こる内毒素の脂肪族アシル鎖の脱−アシル化により妨げられなかった。かくして基質pNPPの場合に見られる高い最適pHと対照的に、基質として内毒素が用いられると、アルカリ性ホスファターゼはあまり極端でないpHレベルにおいて最大活性に達する。試験管内で観察されるアルカリ性最適pHを模すために必要な追加の負の電荷を含むその適した微環境内で酵素が生体内研究されると、最適pHはもっと低いと思われる。
内毒素の毒性へのアルカリ性ホスファターゼの効果を研究するために、リムルス(Limulus)アッセイを行った。このリムルスアッセイは、カブトガニ、リムルス・ポリフェムス(Limulus polyphemus)に対する分子の毒性に基づく、試験管内における内毒素濃度を評価するための標準的方法である(参照文献25)。内毒素(2.0ng/ml)を尿細管断片(0.8μgタンパク質/ml、比ホスファターゼ活性86U/mg)と共に、RPMI−1640緩衝液(pH7.6)中で1時間インキュベートした。標準試料は内毒素又は尿細管刷子縁断片のいずれかが欠如していた。続いてリムルスアッセイを行った。結果は、酵素を含まずに等量の内毒素を含む懸濁液と比較して、内毒素及びアルカリ性ホスファターゼ活性を含む懸濁液において、この方法により測定された内毒素濃度の有意な減少を示している(表1)。試験管内で評価されると、アルカリ性ホスファターゼが生理学的pHレベルにおいて内毒素分子の毒性を低下させることができると結論することができる。
本発明が基質を内毒素の毒性効果から解放する方法である別の方法は、生成物をホスファターゼのホスファターゼ活性、例えばアルカリ性ホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するホスファターゼの誘導体に供することを含む。そのような誘導体は、例えば請求の範囲第1〜12項のいずれかに記載の誘導体であることができる。無毒化されるべき物質は、存在する内毒素を無毒化するのに十分な長さの時間、ホスファターゼ活性の存在に供されなければならない。当該技術分野における熟練者は、不必要な実験を行わずにどの程度の長さの時間が適しているかを突き止めることができるであろう。
アルカリ性ホスファターゼで処置された内毒素の毒性を、2回の連続的内毒素注射に続く局所的炎症(局所的Shwartzman反応(参照文献26))を容易に定量することができるという事実を利用して、生体内においても研究した。無毒化の仮定が確かであれば、この炎症反応はアルカリ性ホスファターゼで予備処置された内毒素組成物の投与の後、減少しなければならない。従って我々は局所的皮内Shwartzman反応を誘導し、生理学的pHにおいて尿細管刷子縁断片を用いて第2の内毒素投薬量を処置した。続いてShwartzman反応の重要な特徴である酸素ラジカル生産細胞の流入を組織化学的に調べた。かくして雌のPVGラット(200g)においてShwartzman反応を、内毒素(E.コリ 055:B5から)の20時間隔てた2回の連続的注射により誘導した。第1の内毒素注射(1mg/kg b.w.)は静脈内に投与したが、第2の注射は2mMのMgSO4及び40μgの内毒素(E)又はMgSO4のみ(C)が補足された70μlのRPMI 1640培地(pH7.6)の混合物の皮内投与から成った。注射の前に培地を、アルカリ性ホスファターゼ阻害剤レバミソール(L;最終的濃度1.0mM)を含む、又は含まない、86U/mgのアルカリ性ホスファターゼ活性を含む6μgの尿細管刷子縁断片と共にインキュベートした(1時間、37℃)(A)。標準培地は、食塩水(S)を補足され、内毒素又はアルカリ性ホスファターゼ、あるいは両方が欠如していた。皮内注射の2時間後、皮膚部位を酸素ラジカル生産細胞の流入に関して分析し、光学顕微鏡のレベルで3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)を用いて組織化学的に示した(参照文献27)。標準と比較して有意な酸素ラジカル生産細胞の流入が、未処置の内毒素を注射された皮膚部位において観察された(E/S対C/S p<0.01、Wilcoxon;図4)。この炎症応答は、尿細管刷子縁断片を用いて予備処置された内毒素を注射さた皮膚部位において減少した(E/S対E/A、p<0.05、Wilcoxon)が、尿細管断片及びレバミソールで予備処理された内毒素は、尿細管断片のみで予備処理された内毒素と比較してプロ−炎症活性(pro−inflammatory activity)の上昇を示した(E/A対E/A/L、P<0.025、Wilcoxon)。各試験は同じラットにつき二重に行い、結果は6匹のラットの算術平均(+/−SD)として表す。これらのデータは、アルカリ性ホスファターゼで処置された内毒素が生体内において毒性の減少を示し、アルカリ性ホスファターゼは生体内においても内毒素を無毒化することができることを示している。
生体内の内毒素無毒化における内在性アルカリ性ホスファターゼ活性の寄与を調べるために、我々はグラム−陰性リポ多糖類に対して比較的抵抗性の種であるラットにおける内毒素−感受性に対するレバミソールの影響を評価した。6月令の雌のPVGラットにt=−24及びt=−1時間において、アルカリ性ホスファターゼ阻害剤レバミソール(Sigma Chemical Co.St.Louis,USA)又は食塩水を腹腔内に与えた(10mg/kg b.w.)。t=0において、ラットに0.5mgの内毒素の静脈内攻撃を与え、直前、ならびにこの注射後のt=3、6、24及び48時間において血液を集めた。
肝臓の損傷(内毒素−誘導の死亡の重要な病因)を反映する血清グルタメート−ピルベートトランスアミラーゼ活性をこれらの試料において、Wroblewski and LaDueの方法に従って評価した。結果は、レバミソールのみで処置された後、食塩水で処置されたラットと比較して血清トランスアミラーゼ活性における変化がないが、内毒素の攻撃の後に増加が見いだされたことを示した(図5)。しかし内毒素のみを与えられたラットで観察された小さい増加と対照的に、レバミソールで予備処置されたラットは血清トランスアミラーゼ活性における非常に強い増加を示し(p<0.001)、生体内においてラットの内毒素−無毒化活性に内在性アルカリ性ホスファターゼ活性が含まれることを示した。
アルカリ性ホスファターゼの無毒化活性を、ラット及びマウスにおける敗血症性ショックの実験モデルにおいても研究した。かくしてラットに、1.0x1010コロニー形成単位(CFU)の十分に特性化されたエシェリキア・コリバクテリアの株(ATCC 25922)を腹腔内に注射し、マウスに0.2x1010CFUを与えた。この投薬量の接種は、約6時間以内に血小板減少症、白血球減少症、肝機能の損傷及び体温の低下(直腸内)を特徴とするフルブロウン(full blown)敗血症性ショック症候群に導く。
比較的内毒素に対して抵抗性のほとんどのラットはE.コリバクテリアの注射に生き残った(図7A)。しかしアルカリ性ホスファターゼ阻害剤であるレバミソール(50mg/kg b.w.バクテリアの2時間前に皮下投与)と組み合わされると、グラム−陰性バクテリアの接種は致死であった。10匹中の9匹がショックの臨床的症状で死亡した。レバミソールで処置されたラットにおけるアルカリ性ホスファターゼ活性の血清量は、注射の6時間後に50%減少した。レバミソールは致死量以下の投薬量のグラム−陽性バクテリアを与えられたラットの生き残りに影響を与えなかった;1.0x1010CFUのスタフィロコックス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の投与の2時間前に50mg/kg b.w.のレバミソールを与えられたラットはほとんどすべてが生き残った(1群当たり8匹のラット、図7B)。これは、ラットの内在性アルカリ性ホスファターゼ活性がグラム−陰性バクテリアの内毒素に対する抵抗性に含まれることを示す。
ラットと対照的に、10匹中9匹のマウスは0.2x1010CFUのE.コリの投薬量から死亡した(図8)。しかしバクテリアの投与の2時間前に0.15Uの精製ヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼの1回の腹腔内注射を受けた動物はすべて、この致死投薬量の接種に生き残った(n=10)。アルカリ性ホスファターゼはブタノール(50% v/v)を用いてヒト胎盤から抽出し、ジエチルアミノエチルセルロースカラム及びアフィニティーカラム(ウサギ−抗−ヒト−胎盤アルカリ性ホスファターゼ抗体がカップリングされたCNBr−セファロース4Bカラム)を用いて精製した。かくしてアルカリ性ホスファターゼは生体内で内毒素を無毒化できると思われ、内毒素性ショックの処置に適用できると思われる。
胎盤アルカリ性ホスファターゼの循環半減期はヒト血液において約7日間である(参照文献31)。ラットにおいて、71/2分の循環半減期を有する腸アルカリ性ホスファターゼ(参照文献28)と対照的に、ヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼは約3日間血液中で検出される(個人的観察)。これらのデータに基づき、及びマウスにおける研究の結果(上記参照)に基づき、胎盤アルカリ性ホスファターゼは、製薬学的組成物、特に敗血症の予防などのための全身的適用可能な組成物における活性成分とするのに特に適していると結論することができる。
アルカリ性ホスファターゼにより示される脱リン酸化活性に基づく抗−内毒素活性は当然、他のホスファターゼ類、特に試験管内でアルカリ性pHにおいて最適pHを有するホスファターゼ類、又はホスファターゼ活性を有するホスファターゼ類の誘導体に関して除外することはできない。従って本発明は、内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体により媒介される病気の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造のための活性成分としての、そのままのホスファターゼ、又はホスファターゼ活性を有するその誘導体の利用を目的とする。活性成分として全身的適用に適した少なくとも1種のそのままのホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するその誘導体を含む、あるいは全身的適用に適したそのままのホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するその誘導体を生産することができるビヒクルを含み、該ホスファターゼ又は該誘導体が内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有しており、さらに製薬学的に許容し得る担体を含む組成物は、本発明の範囲内に含まれる。特にそのままのアルカリ性ホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するその誘導体、あるいはそのままのアルカリ性ホスファターゼを生産することができるビヒクルを含む製薬学的組成物は、本発明の好ましい実施態様を構成する。製薬学的組成物で用いるために、ホスファターゼは実質的に純粋な形態で得ることができなければならない。一般に組み換えDNA法が本発明の製薬学的組成物で用いる
今日までに、4種の別の遺伝子によりコードされる4種のイソ酵素が記載された。これらは腸形態、肝臓/骨/腎臓−型(好中球にも存在)、胎盤−型及び胎盤−様イソ酵素(胚細胞に存在)を含む。腸形態及び肝臓/骨/腎臓−型アルカリ性ホスファターゼの両方は内毒素無毒化活性を示すが、アルカリ性ホスファターゼの他のイソ酵素が内毒素を分解することができないと考える理由はない。従って本発明はいずれかのそのようなイソ酵素を含む製薬学的組成物を包含する。特に胎盤型のアルカリ性ホスファターゼは、生体内におけるその長い半減期の故に適している。
以下の症例履歴(case histry)は、ヒトなどの哺乳類におけるアルカリ性ホスファターゼ活性の低下の有害な結果を例示する。1才の女児が再発する内毒素血奨に苦しんだ。これらの期間に生命を脅かすショックの症状が伴った。処置を行うと回復が得られたが、多くの場合に数週間以内に再発が続き、その時点で内毒素血症が再び起こった。10カ月の間に12回の再発が起こり、ついに子供は1才で死亡した。死因はグラム−陰性バクテリアにより引き起こされた敗血症性ショックと診断された。再発する内毒素血症自身の原因は未知であった。我々の最近の研究は、肝臓及び脾臓においてアルカリ性ホスファターゼは正常であるように見えたが、正常にはヒトの体において最高の酵素活性を発現する臓器である回腸において酵素活性がほとんど不在であったことを示した。我々の発見の観点から、そのような決定的な臓器におけるアルカリ性ホスファターゼ活性の低下は死因を説明することができる。腸管におけるE.コリの高い含有量を考慮し、腸における内毒素無毒化機構の欠如が再発する内毒素血症を生ずることは容易に想像できる。そのような欠乏症は本発明に従って適切に処置することができる。
再発する内毒素血症に苦しむ患者(悪性疾患又は肝臓病などの根源的な合併症はない)における回顧的研究は、血清アルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体の活性が臨床的状態と関連することを示した。かくして敗血症が起こった時に、ラットにおいても見られた現象である血清アルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体の活性の強い減少が必ず測定され得、数日以内に血清におけるアルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体の活性の向上が続き得た。ある特定の場合に、重症の病気の間に炎症組織が除去された(部分的回腸切除)。これは直後に血清アルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体の活性を正常なレベルに上昇させた。これらの観察は、グラム−陰性バクテリア感染の間の酵素の代謝回転(turn−over)の増加を指摘しており、敗血症の患者へのアルカリ性ホスファターゼ又はその誘導体の投与が有用であり得るという見解を支持している。
従って、患者に治療的量のホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するホスファターゼの誘導体を投与することを含む、内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体により媒介される病気の治療又は予防の方法は、本発明の範囲内に含まれる。生体内pH近辺において最適活性を有する誘導体が好ましいであろう。従って内毒素又は内毒素の誘導体により媒介される病気の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造法におけるホスファターゼ誘導体の利用は当然、本発明の範囲内に含まれる。全身的に適用可能な誘導体は、そのままのホスファターゼの場合にすでに説明した通り、処置されるべき患者の血流中に適用することができるので、そのような誘導体が特に好ましい。グラム−陰性バクテリア感染に対する効力のために、活性成分は好ましくはグラム−陰性バクテリア又はその内毒素が位置することができるいずれの位置にも到達しなければならない。
本発明の他の側面は、酸類及び塩基類のBronsted−Lowry分類に従い、ポリアニオン類がH+に結合できる故に弱い塩基として作用することができるという見解にある。かくしてこれを、タンパク質類又はポリペプチド類の最適機能性が多くの場合にpH依存性であり、特に試験管内においてインキュベーション培地が該タンパク質類又はポリペプチド類、特にアルカリ性ホスファターゼの最適活性のためにアルカリ性でなければならないことが例示された事実に外挿し、我々は生体内のポリアニオン部位、例えば細胞膜と会合した負に帯電したシアロ糖タンパク質がそのような酵素又はポリペプチドのpH要求を満たすことができると結論した。
アルカリ性ホスファターゼは主に原形質膜と会合して見いだされる。例えば好中球は酵素を炎症性微環境中に放出する代わりにそれらの負に帯電した細胞膜の背景に対して与える。この理由で、ポリアニオン性基質はさらに、通常アルカリ性pHにおいて最適を有するホスファターゼ及びその誘導体のホスファターゼ活性、特にアルカリ性ホスファターゼのホスファターゼ活性のための生体内における好ましいアニオン性条件に寄与することができると思われる。
内毒素の負に帯電した糖部分がこの酵素活性の最適pHに影響を与えるとすると、ポリカチオン類がこの反応を妨げることが予想される。従って我々は基質をカチオン類、ポリ−エチレンイミン(PEI)又はポリ−L−リシン(Lys)で処理した。基質は0.5%PEI、0.75%ポリ−L−リシン又は蒸留水(C)と共に30分間予備インキュベートした。続いて上記の通りにインキュベーションを行い、ホスフェート放出を評価した。両カチオンは、負の電荷を中和することにより内毒素の脱リン酸化に強く影響を与えたが、それらの1つもpNPP分解に有意に影響を与えなかった(図3)。内毒素分解へのPEIの顕著な効果は負の電荷の中和により引き起こされ得るが、この効果に立体障害も加わり得る。興味深いことに、ポリ−L−リシンは最適pHをもっと高いレベルに移動させ、微環境における負に帯電した残基が最適pHを決定するという考えを支持している。
微環境において負に帯電した分子がアルカリ性ホスファターゼの最適pHに影響を与えるという見解の追加の支持は、腸酵素を用いた実験からも誘導された。基質pNPPを用いたGomoriの方法を適用したラット腸のクリオスタット切片(4μm)におけるアルカリ性ホスファターゼの最適pHの組織化学的評価は、インキュベーション培地のpHレベルを7.8から9.8に変化させ場合、染色強度に有意な変化を現さなかった。しかし腸由来であることが示されている血清におけるアルカリ性ホスファターゼ活性は、9.8又はそれより高い最適pHを示した。その場における、及び血清における腸アルカリ性ホスファターゼの間の重要な差は、それらのシアロ糖タンパク質含有量である。腸酵素はシアル化された原形質膜に固定されているが、血清アルカリ性ホスファターゼはこれらのポリアニオンにより囲まれていない。
従って本発明は、ホスファターゼ活性を有し、負に帯電した部分の含有量が対応する本来のホスファターゼより正味で高いホスファターゼの誘導体も目的とする。特に本発明はアルカリ性ホスファターゼなどのアルカリ性pHに最適を有するホスファターゼから誘導された誘導体を目的とする。
負に帯電した部分の含有量が高い本発明のホスファターゼの誘導体は、誘導されたアルカリ性アミノ部分の含有量が対応する本来のホスファターゼより高いことができる。これは例えば、負に帯電したN−アセチルノイラミン酸基(=シアル酸基)の含有量が対応する本来のホスファターゼより高い該誘導体により達成することができる。他の可能性は、対応する本来のそのままのホスファターゼより負に帯電した酸部分の含有率が高い、及び/又は塩基性部分の数が減少した誘導体、あるいは前記の実施態様との組み合わせにある。さらに別の本発明の実施態様の場合、ホスファターゼの誘導体は、負に帯電したタンパク質又はポリペプチドに結合したホスファターゼ部分を含むことができる。そのような負に帯電したタンパク質の適した例は負に帯電した修飾アルブミン、例えばスクシニル化アルブミンである。Wo 93/00935、US 4394370、US4409332及びEP−A−0441252で開示されたホスファターゼの誘導体は、正味の負の電荷が増加した誘導体ではないことを繰り返す。該文献において開示された唯一の、より負に帯電した誘導体は、AspによるAla103の置換を有する組み換えE.コリアルカリ性ホスファターゼである。さらに開示された誘導体のいずれも全身的に適用可能でない。当該技術分野における熟練者は、どの種類の誘導体を全身的に適用可能という用語が意味するかわかるであろう。特に興味深いものは、経口的投薬形態又は静脈内溶液、あるいは活性成分が血流中に侵入することができるようないずれかの医薬投薬形態で用いることができる誘導体である。コラーゲン誘導体のような毒性誘導体は許容され得ない。
本発明の他の側面において、ホスファターゼの誘導体は、例えばガラクトースレセプターへの結合の妨害などにより生体内における該誘導体の半減期を延長させるための少なくとも1つの修飾を含むことができ、該修飾は例えばアルカリ性ホスファターゼなどのホスファターゼの末端ガラクトース残基に位置する。例えば血清アルカリ性ホスファターゼの除去は、肝臓ガラクトースレセプター類により媒介されることが既知である(参照文献28)が、そのようなレセプターの基質を修飾する試みは以前に記載又は示唆されていなかった。修飾は例えば酸化又は還元の結果であることができる。
本発明は上記の種々の実施態様におけるそのままの誘導体を含むのみでなく、そのような実施態様の種々の側面の組み合わせも含む。
ホスファターゼの誘導体として可能な種々の実施態様に関し、WO 92/15316は、それらのアミノ基及び/又は他の塩基性官能基を、塩基性アミノ基及び/又は他の塩基性官能基のプロトン化を妨げる試薬を用いて誘導する、あるいは該塩基性基を、負の電荷を有する1つ又はそれ以上の官能基で置換することにより、タンパク質類又はポリペプチド類を修飾し、追加の正味の負の電荷を有する修飾物質を与える方法の例を示している。誘導されるべき基はヒスチジン及びリシン残基であることができる。試薬はアルデヒド類、無水物類、酸クロリド類及びイソチオシアナート類から選ばれることができる。血清アルブミンの場合、適した試薬はシス−アコニチン酸無水物である。修飾され、ホスファターゼに結合し、本発明の誘導体を形成するべき他の適したタンパク質はα−酸糖タンパク質である。
生理学的pHにおいて最適ホスファターゼ活性を有するアルカリ性ホスファターゼの誘導体を創造することもでき、その誘導体は従って、生体内における使用に適しており、そのような誘導体も本発明の範囲内に含まれる。
本発明は種々の実施態様において上記に記載した誘導体を含むのみでなく、ホスファターゼ活性を有するそのようなホスファターゼの誘導体を少なくとも1種、又はホスファターゼ活性を有するそのようなホスファターゼの誘導体を生産することができるビヒクルを活性成分として含み、さらに製薬学的に許容され得る担体を含む製薬学的組成物も含む。
特に上記の活性成分、すなわちそのままのホスファターゼ、全身的に適用可能であり、及び/又は対応する本来のホスファターゼの負の電荷より大きい正味の負の電荷を有するホスファターゼの誘導体、あるいはホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するこの誘導体を生産することができるビヒクルが、好ましくは負に帯電した膜成分と組み合わされて、リポソームの脂質二重層に埋め込まれている製薬学的組成物が本発明の好ましい実施態様である。そのような組成物においてホスファターゼは、内毒素又はその誘導体に関する無毒化活性を有するホスファターゼ活性を持つホスファターゼである。
内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体により媒介される病気の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造のため活性成分としての、上記の実施態様のいずれかにおけるホスファターゼ誘導体の利用も、従って本発明に含まれる。特に負に帯電した、及び/又は全身的に適用可能なアルカリ性ホスファターゼの誘導体、あるいは上記の実施態様のいずれかにおける誘導体のアルカリ性ホスファターゼをデリバーできる、及び/又はそれらの合成を誘導できるビヒクルを含む製薬学的組成物は、本発明の好ましい実施態様を構成する。全身的に適用可能な製薬学的組成物が好ましい。
患者に治療的量のそのような製薬学的組成物、又はホスファターゼ活性を有するホスファターゼの誘導体及び製薬学的に許容され得る担体を投与することを含む、内毒素又は内毒素活性を有するその誘導体により媒介される病気の治療又は予防の方法も本発明の範囲内に含まれる。特に本発明は、移植又は輸血の後の、内毒素又は内毒素活性を有するその誘導体により媒介される病気の発病を予防する方法も目的としており、該方法は、移植又は輸血されるべき材料を移植又は輸血の前、及び/又はその間、及び/又はその後にそのままの、又は製薬学的組成物の活性成分としての以下の成分の1つ:
−内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有し、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ、より好ましくはヒトアルカリ性ホスファターゼである、そのままのホスファターゼ;
−上記の本発明の実施態様の少なくとも1つに従う、ホスファターゼ活性を有するホスファターゼの誘導体;
−内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有するホスファターゼ又はホスファターゼ誘導体のホスファターゼ活性をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができ、該ホスファターゼガ好ましくはアルカリ性ホスファターゼであるビヒクル;
−上記の本発明に従うホスファターゼの誘導体のホスファターゼ活性をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクルで処置することを含む。製薬学的組成物は、活性成分を血流中に侵入できるようにする形態を有するのが好ましい。
内毒素無毒化機構がこのバクテリア産物の存在下でアップレギュレーションされるか否かを調べるために、ヒト好中球を単離し、内毒素と共に予備インキュベートし、アルカリ性ホスファターゼ活性に関してアッセイした。かくして好中球を正常なヒトのボランティアから標準的方法に従って単離し、無菌の培地中に集めた。好中球は、これらの細胞による超酸化物アニオン生産の測定により評価した場合、単離法の間は活性化されなかった。続いて細胞(0.9x107細胞/ml)を、内毒素(20pg/ml)又は食塩水が補足された緩衝液中で37℃においてインキュベートした。30分後、pNPPを基質として用い、pH9.8において標準的方法に従い、これらの試料においてアルカリ性ホスファターゼ活性をアッセイした。ホスファターゼ活性はレバミソール(1mM)を培地に加えて、及び加えずに測定した。結果は、内毒素により誘導される好中球アルカリ性ホスファターゼ活性における335%の増加を示し(図6)、それは提案されたこの酵素の機能と合致する。
本発明は、以下の成分の少なくとも1つ:
−内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有するホスファターゼ又はその誘導体のホスファターゼ活性、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ活性を刺激するための物質;
−内毒素に関する、又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有するホスファターゼ又はその誘導体のホスファターゼ活性、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ活性を刺激するための物質をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル、
を活性成分として含み、さらに製薬学的に許容し得る担体を含む製薬学的組成物を含み、該製薬学的組成物は全身的に適用可能である。
本発明は以下の成分の少なくとも1つ:
−内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有するホスファターゼ又はその誘導体のホスファターゼ活性、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ活性を刺激するための物質;
−内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有するホスファターゼ又はその誘導体のホスファターゼ活性、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ活性を刺激するための物質をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル、
を活性成分として、さらに製薬学的に許容し得る担体を、そのままのホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するホスファターゼの誘導体、あるいは該ホスファターゼ又は該誘導体をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクルである他の活性成分と組み合わせて含む製薬学的組成物も含み、但し該製薬学的組成物は(アルカリ性)ホスファターゼをコラーゲン及び/又は無機質脱落骨との誘導体としては含まない、すなわち所望の骨形成の場における骨形成のための、Beersten et al.により記載された製薬学的組成物を含まない。対応する本来のホスファターゼと比較して正味の負の電荷を有するホスファターゼの誘導体、あるいは該誘導体をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクルを活性成分の1つとして、ホスファターゼ活性を刺激することができる物質又は物質生産ビヒクルと組み合わせて含む製薬学的組成物は、本発明の範囲内に含まれる。ホスファターゼ、好ましくは内在性ホスファターゼ、特にアルカリ性ホスファターゼの天然の無毒化活性は、かくしてさらに刺激され、内毒素又は内毒素活性を有するその誘導体により引き起こされる負の病理学的症状に対する防御の手段を与える。特にホスファターゼ活性を刺激する、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ活性を刺激するための物質は、以下の1つ又はそれ以上から選ばれることができる:内毒素、内毒素活性を有する物質、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、レチノイン酸、グルココルチコイド及び他のサイトカイン類又はホスファターゼ活性を刺激することが知られている物質(参照文献13、29及び30)。
本発明は又、内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体により媒介される病気の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造のための活性成分としての、ホスファターゼ活性を刺激するための上記の活性成分のいずれかの利用も含む。本発明は又、そのような製薬学的組成物の製造のための、そのままのホスファターゼ又はホスファターゼ活性を有するホスファターゼの誘導体、あるいは該誘導体をデリバー、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクルと組み合わされた、ホスファターゼ活性を刺激するための該活性成分の利用も含む。
特に内在性アルカリ性ホスファターゼ活性の向上により、例えば上記の成分の1つをそのままで、又は製薬学的組成物の活性成分として患者に投与することによって患者におけるその生産を向上させることにより、ホスファターゼ活性を刺激することを含む、内毒素又は内毒素活性を有するその誘導体により媒介される病気の発病を予防するための方法も本発明の範囲内に含まれる。移植又は輸血の後の内毒素又は内毒素活性を有するその誘導体により媒介される病気の発病を予防するための方法と同様に、該方法は移植又は輸血されるべき材料を、特に内在性アルカリ性ホスファターゼ活性を向上させることにより、例えば以下の成分の少なくとも1つ:
−特に内毒素又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有する内在性ホスファターゼ又はその誘導体の活性を向上させることによりホスファターゼ活性を刺激するための物質;
−ホスファターゼ活性を刺激するための物質をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
をそのままで、又は製薬学的組成物の活性成分として患者に投与することにより、その該材料の生産を増加させることによりホスファターゼ活性を刺激する処置に供することを含む。本発明のこの側面の適した実施態様は、ホスファターゼ活性を刺激するための上記の成分の少なくとも1つをそのままで、又は組成物の活性成分として適用することを含む、動物又はヒトの体、組織又は体液におけるアルカリ性ホスファターゼ、好ましくは内在性アルカリ性ホスファターゼの存在を増加させるための方法に見いだすことができる。
上記の実験から要するに、アルカリ性ホスファターゼ活性に基づく酵素組成物は、内毒素を脱リン酸化し、それにより試験管内及び生体内におけるこの分子の毒性を弱めることができると結論することができる。この酵素の生理学的活性は、適した微環境条件を与える負に帯電した残基が伴う場合に最も顕著である。さらに、アルカリ性ホスファターゼ活性は、宿主−防御系の細胞においてアップレギュレーションされることができ、内毒素に対する天然の障壁を与える。
本発明は以下の成分の少なくとも1つ:
−生体内において骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有する、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ、より好ましくはヒト(アルカリ性)ホスファターゼであり、好ましくは組み換えホスファターゼであるそのままのホスファターゼ;
−生体内において骨内又は骨上で該ホスファターゼ活性を有する全身的に許容され得るアルカリホスファターゼの誘導体、及び/又は請求の範囲第1〜12項のいずれかに記載の誘導体;
−そのままの該ホスファターゼ及び/又は該誘導体のホスファターゼ活性、及び/又は誘導体をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
を、生体内における活性成分として含み、さらに製薬学的許容し得る担体を含む製薬学的組成物も含む。本明細書に関し、生体内は生理学的pH、すなわち7〜8のpHを有する大環境(macro environment)内を意味する。そのような製薬学的組成物の適した実施態様は、好ましくは負に帯電した膜成分と組み合わされてリポソームの脂質二重層に埋め込まれた活性成分を含む。
本発明はさらに以下の成分の少なくとも1つ:
−生体内において、好ましくは骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有し、より好ましくはアルカリ性ホスファターゼ、及びより好ましくはヒトアルカリ性ホスファターゼであり、好ましくは組み換えホスファターゼであるそのままのホスファターゼ;
−生体内において、好ましくは骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有するアルカリ性ホスファターゼの誘導体;
−該そのままのホスファターゼ及び/又は該誘導体をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
の、骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造のための生体内における活性成分としての利用を含む。
以下の成分の少なくとも1つ:
−生体内において、好ましくは骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有し、より好ましくはアルカリ性ホスファターゼ、及びより好ましくはヒト(アルカリ性)ホスファターゼであり、好ましくは組み換えホスファターゼであるそのままのホスファターゼ;
−生体内において、好ましくは骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有し、生体内でホスファターゼ活性を有する全身的に適用可能なアルカリ性ホスファターゼの誘導体、ならびに/又は好ましくは対応する本来のホスファターゼと比較して正味の負の電荷が増加した請求の範囲第1〜12項のいずれかに記載の誘導体であるホスファターゼの誘導体;
−該そのままのホスファターゼ及び/又は該誘導体のホスファターゼ活性をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
の、破壊された骨の修理の刺激などの骨形成の向上を必要とする病気の予防又は治療、ならびに骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造のための活性成分としての利用も、本発明の範囲内である。
又、以下の成分の少なくとも1つ:
−内毒素及び/又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有し、及び/又は生体内において、特に骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有する、好ましくは内在性ホスファターゼ又はその誘導体のホスファターゼ活性を刺激するための、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ活性、より好ましくはヒト(アルカリ性)ホスファターゼを刺激するための物質である物質;
−ホスファターゼ活性、より好ましくはヒト(アルカリ性)ホスファターゼ活性を刺激するための該物質をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
を活性成分として含み、さらに製薬学的に許容し得る担体を含み、全身的に適用可能である製薬学的組成物も本発明の範囲内である。本発明は以下の成分の少なくとも1つ:
−内毒素及び/又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体に関する無毒化活性を有し、及び/又は生体内において、特に骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有する、好ましくは内在性ホスファターゼ又はその誘導体のホスファターゼ活性を刺激するための、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ活性、より好ましくはヒト(アルカリ性)ホスファターゼを刺激するための物質である物質;
−ホスファターゼ活性、より好ましくはヒト(アルカリ性)ホスファターゼ活性を刺激するための該物質をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
を活性成分として、及びさらに製薬学的に許容し得る担体を、生体内活性成分としての活性成分の少なくとも1つ:
−生体内において、好ましくは骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有し、より好ましくはアルカリ性ホスファターゼ、及びより好ましくはヒトアルカリ性ホスファターゼであり、好ましくは組み換えホスファターゼであるそのままのホスファターゼ;
−生体内において、好ましくは骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有する(アルカリ性)ホスファターゼの誘導体;
−該そのままのホスファターゼ及び/又は該誘導体をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
と、あるいは活性成分としての以下の成分の少なくとも1つ:
−内毒素及び/又は内毒素活性を有するその誘導体に関する無毒化活性を有し、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ、より好ましくはヒトアルカリ性ホスファターゼであり、好ましくは組み換えホスファターゼであるそのままのホスファターゼ;
−内毒素及び/又は内毒素活性を有するその誘導体に関するホスファターゼ活性を有し、好ましくはアルカリ性ホスファターゼであり、より好ましくはヒトアルカリ性ホスファターゼであり、好ましくは組み換えホースファターゼであるホスファターゼの、全身的に許容され得るホスファターゼの誘導体であり、及び/又は好ましくは対応する本来のホスファターゼと比較して正味の負の電荷が増加した請求の範囲第1〜12項のいずれかに記載の誘導体である誘導体;
−該そのままのホスファターゼ及び/又はホスファターゼの誘導体のホスファターゼ活性をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
と組み合わせて含む製薬学的組成物も目的とする。
アルカリ性ホスファターゼ活性を刺激するための物質は、以下の1つ又はそれ以上:内毒素、内毒素活性を有する物質、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、レチノイン酸、グルココルチコイドから適切に選ばれることができる。当該技術分野における熟練者に既知のいずれの他のそのような物質も本発明に従う所望の(アルカリ性)ホスファターゼ活性の刺激を得るために用いることができる。
ホスファターゼ活性を刺激するための物質、又はそのような上記の物質をデリバーすることができるビヒクルを含む製薬学的組成物において、さらに別の活性成分は、成分:
−内毒素及び/又は内毒素活性を有するその誘導体に関するその無毒化活性を有し、好ましくはアルカリ性ホスファターゼ、より好ましくはヒトアルカリ性ホスファターゼであり、好ましくは組み換えホスファターゼであるそのままのホスファターゼ;
−ホスファターゼ活性を有し、全身的に適用可能であり、及び/又は、好ましくは対応する本来のホスファターゼと比較して負の電荷が増加した請求の範囲第1〜12項のいずれかに記載の誘導体であるホスファターゼの誘導体;
−該そのままのホスファターゼ及び/又は該誘導体のホスファターゼ活性をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル;
−生体内において、骨内又は骨上でホスファターゼ活性を有し、好ましくはアルカリ性ホスファターゼであり、より好ましくはヒト(アルカリ性)ホスファターゼであり、好ましくは組み換えホスファターゼである、そのままのホスファターゼ;
−生体内において、骨内又は骨上で該ホスファターゼ活性を有する全身的に許容され得るアルカリ性ホスファターゼの誘導体、ならびに/又は請求の範囲第1〜12項のいずれかに記載の誘導体;
−該そのままのホスファターゼ及び/又は該誘導体のホスファターゼ活性をデリバーする、及び/又はその合成を誘導することができるビヒクル
のいずれであることもできる。
開示されているいずれの実施態様においても、製薬学的組成物は、好ましくは負に帯電した膜成分と組み合わされてリポソームの脂質二重層に埋め込まれた活性成分を含むことができる。製薬学的組成物は全身的に許容し得るのが好ましい。
本発明は、ホスファターゼ活性を刺激するための物質、あるいは該物質をデリバーする、及び/又はその合成を刺激するためのビヒクルを活性成分として含む製薬学的組成物の少なくとも1つの活性成分の、内毒素及び/又は内毒素活性を有する内毒素の誘導体により媒介される病気の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造のための利用も目的とする。上記で言及した活性成分の少なくとも1つの、骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造のための活性成分としての利用も本発明の範囲内である。さらに、活性成分としての請求の範囲第25〜27項のいずれかに記載の製薬学的組成物の活性成分の少なくとも1つと組み合わされた、請求の範囲第20〜22項のいずれかに記載の製薬学的組成物の活性成分の少なくとも1つの、破壊された骨の修理の刺激などの骨形成の向上を必要とする行気の予防又は治療、及び骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患の予防又は治療のための製薬学的組成物の製造のための利用は本発明の範囲内である。本発明は又、骨形成の向上を必要とする骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患の予防又は治療のための方法を目的とし、該方法は、処置されるべき患者への請求の範囲第23又は24項の成分の少なくとも1つの適用を含む。破壊された骨の修理の刺激などの骨形成の向上を必要とする病気の予防又は治療、ならびに骨粗しょう症及び骨軟化症などの代謝性骨疾患の予防又は治療のための、請求の範囲第20〜22及び25〜27項のいずれかに記載の製薬学的組成物の活性成分の少なくとも1つをそのまま、又は組成物の活性成分として、処置されるべき患者に投与することを含む方法、ならびに骨肉腫などの急速な骨形成を伴う病気の処置のための、好ましくは標的特異的方法で、すなわち該病気が起こっている位置において、アルカリ性ホスファターゼ活性を低下させる、又は阻害することを含む方法は、本発明の一部を構成する。開示されているすべての方法において、活性成分は全身的に適用可能である。前に挙げた製薬学的組成物に加えて、ホスファターゼ活性及び/又はホスファターゼの濃度、特にアルカリ性ホスファターゼ(活性)を低下させる、又は阻害することができる少なくとも1つの物質を含み、該物質が好ましくは望ましくない骨形成が妨げられるべき位置において作用するように標的化されている製薬学的組成物は、本発明に包含される。
図面の説明
図1
基質β−グリセロホスフェートを用い、pH9.0において示されるラット腸(A)及び腎臓(B)のクリオスタット切片におけるアルカリ性ホスファターゼ活性。図C及びDはpH7.4において基質として内毒素を用いて示される腸(C)及び腎臓(D)の切片におけるホスファターゼ活性を示す。腸陰窩に沿って(図C)及び腎臓の尿細管刷子縁において内毒素の有意な脱リン酸化が見い出され、アルカリ性ホスファターゼ活性の局在化と対応している(図A及びB)。さらに腸切片においてこの活性はL−フェニル−アラニンの添加により低下するが(図E)、腎臓切片における内毒素脱リン酸化はレバミソールにより完全に阻害される(図F)。略字:m=髄質。倍率:35x(A、B)、140x(C、E)及び56x(D、F)。
図2
基質として内毒素を用いた種々のpHレベルにおいての尿細管刷子縁の懸濁液における、1時間当たりの無機ホスフェート(Pi)放出として表されるホスファターゼ活性。基質パラ−ニトロフェノールホスフェート(pNPP)を用いたホスファターゼ活性が上左角に示されている。尿細管刷子縁断片はPVGラット腎臓の皮質から単離され、E.コリ内毒素(1.25mg/ml)又はpNPP(0.5mg/ml)を含む種々のpHレベルにおける250μlの2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール緩衝液に加えられた。インキュベーションの直前に2mMのMgCl2を加えた。破線はレバミソール(0.2mM)の存在下におけるホスファターゼ活性を示す。37℃で1時間インキュベートした後、無機ホスフェート濃度を以前に記載された通りに(参照文献29)評価した。結果は6回のアッセイの算術平均(±SD)として表し、各アッセイは二重に行った。結果は内毒素の最大脱リン酸化がpH8.8において起こるが、pNPPの脱リン酸化はpH9.8まで一定の増加を示すことを示している。
図3
基質として内毒素(図A)又はpNPP(図B)を用いた種々のpHレベルにおいての尿細管刷子縁の懸濁液における、1時間当たりのホスフェート(Pi)放出として表されるホスファターゼ活性。基質は0.5%ポリ−エチレンイミン(PEI)、0.75%のポリ−L−リシン(Lys)又は蒸留水(C)と共に30分間予備インキュベートした。続いて図2において記載した通りにインキュベーションを行った。結果は4回のアッセイの算術平均として表し、各アッセイは二重に行った(±SD)。
図4
生体内における内毒素の毒性を評価するために、背中の種々の位置においてPVGラットの皮膚に局所的Shwartzman反応(参照文献16)を誘導した。注射の前にすべての培地を、アルカリ性ホスファターゼ活性を含む6μgの尿細管刷子縁断片(A)又は0.9%の食塩水(S)と共にインキュベートした(1時間、37℃)。示されている場合はアルカリ性ホスファターゼ阻害剤、レバミソール(L)を加えた(最終的濃度1.0mM)。皮内注射の2時間後、皮膚部位を酸素ラジカル生産細胞の流入に関して分析し、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)を用いて光学顕微鏡のレベルで組織化学的に示した17。各試験は同じラットに関して二重に行い、6匹のラットの算術平均(±SD)として表す。
図5
PVGラットにおける、肝臓細胞の損傷を反映するグルタメート−ピルベートトランスアミラーゼ(GPT)の血清量への内毒素の影響。動物の一部はt=−24及び−1時間においてレバミソール(L;10mg/kg b.w.)で予備処置した。t=0においてラットに0.5mgのE.コリからの内毒素を静脈内に、又は0.5mlの食塩水を与えた。結果は群当たりの算術平均(±SD 4匹のラット)として表す。
図6
ヒト好中球のアルカリ性ホスファターゼ(AP)活性への内毒素の影響。好中球は標準的方法に従って全血から単離し、E.コリからの内毒素(20pg/ml)を含む、又は含まない0.9%の食塩水中で37℃において30分間インキュベートした。続いてこれらの細胞のホスファターゼ活性を、基質としてパラニトロフェノールホスフェートを用い、pH9.8において測定した。ホスフェート放出にアルカリ性ホスファターゼが含まれることを確証するためにレバミソール(1mM)を加えた。
図7A
Y−軸に沿った、時における時間に対し、X−軸に沿ってE.コリ−(実線)、レバミソール(Le)(三角形を有する破線)又は両方(丸を有する破線)の注射後のラットの生き残りのパーセンテージを示す。
図7B
スタフィロコックス・アウレウス(実線)、レバミソール(Le)(三角形を有する破線)又は両方(丸を有する破線)の注射後のラットの生き残りのパーセンテージを示す。
図8
アルカリ性ホスファターゼ処置を行って(破線)、及びアルカリ性ホスファターゼを含まずに(実線)、E.コリを注射した後のマウスの生き残りを示す。
Claims (7)
- アルカリ性ホスファターゼ活性を示し且つ内毒素を無毒化し得るタンパク質を有効成分として含有することを特徴とする内毒素により媒介される病状の処置又は予防のための薬剤。
- アルカリ性ホスファターゼ活性を示すタンパク質が哺乳動物のアルカリ性ホスファターゼである請求の範囲第1項に記載の薬剤。
- アルカリ性ホスファターゼ活性を示すタンパク質がヒトのアルカリ性ホスファターゼである請求の範囲第1項又は第2項に記載の薬剤。
- アルカリ性ホスファターゼ活性を示すタンパク質が胎盤アルカリ性ホスファターゼ、胎盤様アルカリ性ホスファターゼ、腸アルカリ性ホスファターゼ及び肝臓/骨/腎臓アルカリ性ホスファターゼよりなる群から選ばれる請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の薬剤。
- アルカリ性ホスファターゼ活性を示すタンパク質が組換えホスファターゼである請求の範囲第1〜4項のいずれかに記載の薬剤。
- アルカリ性ホスファターゼ活性を示すタンパク質が、アルカリ性ホスファターゼ活性を示す対応する修飾されていないタンパク質に比べて、その血清半減期を増大するように化学的に修飾されており、その際、増加した血清半減期がホスファターゼの末端ガラクトースの還元又は酸化によるガラクトース受容体への結合を阻止する化学的修飾の結果である請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載の薬剤。
- 試験管内調製物を請求の範囲第1〜6項のいずれかに記載のアルカリ性ホスファターゼ活性を示すタンパク質と接触させることを特徴とする内毒素の試験管内無毒化方法。
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