誘導加熱は、加熱コイルに電流を流して磁場を発生させ、被加熱部材に渦電流を発生させて加熱するもので、抵抗体加熱では得ることができない高温を発生させることができるため、各方面において採用されている。図8に示したものは、圧延機などのロールを焼入れする誘導加熱装置の概略を模式的に示したものである。
図8において、ロール10は、ロール本体12とその両端に設けたジャーナル14とから形成してある。ロール10の焼入れを誘導加熱で行なう場合、誘導加熱装置15に磁束密度の大きな磁場を発生させる加熱用コイル16と、これよりも磁束密度の小さな磁場を発生させる温度保持用コイル18とを設け、それぞれを対応するインバータからなる高周波電源20、22に接続する。これらの加熱用コイル16と温度保持用コイル18とは、両者間に隙間を生じないように接近させて配置し、両コイル16、18の境界部において温度が低下しないようにしている。そして、ロール10の焼入れは、矢印24のようにロール10をコイル16、18に向けて前進させ、ロール本体12の表層部を950℃程度に加熱して行なう。
図9は、パーシャル電磁誘導加熱装置の概略を示したものである。このパーシャル加熱装置30は、複数の加熱コイル32(32a〜32c)が上下方向に同心に配置され、それぞれが対応するインバータからなる高周波電源34(34a〜34c)に接続してある。そして、例えば炭素棒36の先端(下端)を加熱コイル32の中に挿入し、炭素棒36の周囲にガスを供給して加熱コイル32により約1500℃程度に加熱し、ガスを反応させる。この場合、熱が上方に逃げるため、より上側の加熱コイル32の磁束密度を大きくするように電源34を制御する。また、各加熱コイル32は、境界部において温度の低下を防ぐために接するように近接配置してある。
図10は、電磁誘導による容器加熱装置の概略を示したものである。この誘導加熱装置44は、例えば炭素によって形成したルツボ40の内部に炭化ケイ素(SiC)42の粉末を入れ、これを加熱コイル48(48a、48b)によって加熱し、炭化ケイ素42を蒸発させてワーク46に堆積させるようにしている。そして、誘導加熱装置44は、上下方向に同心に設けた2つの加熱コイル48a、48bを有していて、それぞれをインバータからなる高周波電源50(50a、50b)に接続し、下側の加熱コイル48bが大きな磁束密度の磁場を発生して炭化ケイ素42を加熱するようにしている。
図11は、いわゆるバウムクーヘン型誘導加熱装置の概略を示したものである。この誘導加熱装置60は、炭素などから形成したドーナツ状ステージ62を備えていて、ステージ62の上面に複数の半導体ウエハ64を配置するようになっている。そして、ステージ62の下方には、加熱コイル66が配置してあって、この加熱コイル66に通電することにより、半導体ウエハ64を加熱できるようにしてある。また、加熱コイル66は、外側コイル66a、中央コイル66b、内側コイル66cからなっていて、これらをそれぞれ対応したインバータからなる高周波電源68(68a〜68c)に接続し、ステージ62の全体を均一に加熱できるようにしている。そして、この場合においても、各コイル66a〜66cを接触する程度まで接近させて配置し、コイルの境界部において温度が低下しないようにしている。
図12は、押出し加工用の誘導加熱装置の概略を示したものである。この誘導加熱装置70は、横方向に同心状に配置した複数の加熱コイル72(72a〜72c)を有し、これらをインバータからなる対応した高周波電源74(74a〜74c)に接続し、加熱コイル72の内部に配置した金属材料76を、加工先端側から加工後端側に向けて温度が低くなるように加熱する。そして、加熱コイル72a〜72cは、境界部において温度低下を生じないように近接させて配置している。また、金属材料を液相と固相との共存状態で鍛造を行なうSSF(Semi Solid Forging)の場合にも同様の誘導加熱装置が用いられる。
ところで、誘導加熱は、大きな電力効率が得られるため、しばしば共振回路を有するいわゆる共振型インバータにより行なわれる。また、複数の加熱コイルを有する上記したような誘導加熱装置は、各加熱コイル境界部における温度の低下を防ぐため、各コイルを近接して配置している。このため、1つの加熱コイルによって発生させた磁束が他の加熱コイルに影響を与えて複数の加熱コイル間において相互誘導を生じる。したがって、複数のインバータに対応した加熱コイルを設けた誘導加熱装置は、負荷変動などにより各加熱コイル間における相互誘導の状態が変化し、各加熱コイルを流れる電流(加熱コイル電流)に歪が発生したり、各加熱コイル電流間の位相ずれを生ずる。このため、複数のインバータに対応した加熱コイルを設けた誘導加熱装置においては、各負荷電流の周波数を一致させるとともに、各加熱コイル電流間の位相を一定に保持しないと、加熱温度の高精度な制御が困難になるとともに、各加熱コイルの境界部において温度が低下する。
そこで、各加熱コイル間に磁気遮蔽用のコイルを挿入して加熱コイルの端部において磁束を吸収し、相互誘導による悪影響が生じないようにする方法が提案されている。また、2つの加熱コイルを1つの周波数変換器(高周波インバータ)に並列に接続するとともに、1つの加熱コイルに可変リアクトルを直列に接続し、可変リアクトルのL分を調整して電圧値を変化させることが提案されている(特許文献1)。
しかし、上記した各加熱コイルの境界部に磁気遮蔽用コイルを配置する方法は、コイル端部における磁束が磁気遮蔽コイルに吸収され、その部分における温度低下を生じて均一な加熱を行なうことができない。また、特許文献1に記載のように、1つの加熱コイルに可変リアクタを直列接続し、可変リアクトルによって電圧を変化させる方法は、可変リアクトルを制御すると、全体の周波数が変わること、電力制御の時定数が長いこと、1台の電力制御が系全体の各加熱コイルの電力値を変えてしまい、各加熱コイルのそれぞれについて独立に温度制御をすることが困難であること、などの欠点を有する。
一方、各インバータは、出力電流と出力電圧との位相差を小さくしないと、インバータ出力効率(力率)が悪く、インバータの容量低減および効率の低下を招く。したがって、インバータは、出力電流と出力電圧とが同期するように運転することが望ましい。
なお、関連する先行特許文献
2〜4がある。
特許文献2には並列共振インバータの電圧同期制御方式が
開示されている。特許文献3には、PWMインバータで相互誘導している誘導加熱コイルへ同期した電流を給電する同期制御方式が
開示されている。更に、
先行特許文献4には、複数の誘導加熱コイルに同じ周波数を与えるために、所定の共振回路からの検出した電圧波形に基づき、他の共振回路と周波数を同期化する発振制御を行う方法が
開示されている。
実開平3−39482号公報
実開平3−79191号公報
特開2001−35645号公報
特開平7−135070号公報
本発明に係る誘導加熱方法の好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態に係る誘導加熱方法を実施するための誘導加熱装置の説明図である。この誘電加熱装置100は、主加熱ユニット110mと従属加熱ユニット110sとの一対から形成してある。各加熱ユニット110m、110sは、それぞれ電源部112m、112sと、これらの電源部112m、112sから電力が供給される負荷コイル部150m、150sとを備えている。
各電源部112m、112sは、サイリスタによってブリッジ回路を形成した整流回路である順変換部114m、114sを有し、これらの順変換部114m、114sがそれぞれ三相交流電源116m、116sに接続してある。そして、順変換部114m、114sの出力側には、平滑リアクトル118m、118sを介してインバータ(逆変換部)120m、インバータ120sが接続してある。実施形態の場合、主加熱ユニット110m側のインバータ120mが主インバータであって、従属加熱ユニット110s側のインバータ120sが従属インバータとなっている。そして、各インバータ120m、120sは、実施形態の場合、電流型であって、周知のようにダイオードとトランジスタとを直列接続したアームからなるブリッジ回路によって形成してある。
インバータ120m、120sの出力側に接続した負荷コイル部150m、150sは、負荷コイルである加熱コイル152m、152sを有している。そして、各加熱コイル152m、152sとその内部抵抗156m、156sとには、コンデンサ154m、154sが並列に接続してあって、加熱コイル152とコンデンサ154とによって並列共振回路を形成している。すなわち、実施形態の場合、インバータ120m、120sは、並列共振型インバータを構成している。また、加熱コイル152m、152sは、実施形態の場合、相互に近接して配置してある。
各負荷コイル部150m、150sには、コンデンサ154m、154sと並列に変圧器158m、158sが設けてあって、インバータ120m、120sの出力電圧に対応した電圧値を得ることができるようにしてある。そして、主加熱ユニット110m側の変圧器158mの出力電圧Vmは、詳細を後述する主側の電力制御部122mと駆動制御部124mとにフィードバックするようにしてある。また、従属加熱ユニット110s側の変圧器158sの出力電圧Vsは、従属側の電力制御部122sにフィードバックするようにしてある。さらに、インバータ120m、120sとコンデンサ154m、154sとの間には、インバータ120m、120sの出力電流Im、Isを検出する変流器160m、160sが設けてある。変流器160m、160sの検出した出力電流Im、Isは、対応する電力制御部122m、122sにフィードバックするようになっている。
各電力制御部122m、122sは、順変換部114m、114sを構成しているサイリスタに駆動パルスを与えるもので、電力設定器126m、126sが接続してある。そして、主側の駆動制御部124mは、変圧器158mから入力する電圧Vmのゼロクロスを検出し、このゼロクロスに同期してインバータ120mを構成しているトランジスタTRmA1、TRmA2、TRmB1、TRmB2に駆動パルスを出力する。また、駆動制御部124mは、従属側の駆動制御部124sに前記の駆動パルスに同期した信号を入力する。従属側駆動制御部124sは、主側駆動制御部124mから入力する信号に基づいて、従属側インバータ120sを構成しているトランジスタTRsA1、TRsA2、TRsB1、TRsB2を駆動するパルスを生成してこれらのトランジスタに与える。
従属加熱ユニット110sには、位相検出器220が設けてある。この位相検出器220は、主側加熱コイル152mに供給する加熱コイル電流ILmと、従属側加熱コイル152sに供給する加熱コイル電流ILsとの位相差φmsを求める。すなわち、負荷コイル部150m、150sには、加熱コイル152m、152sとコンデンサ154m、154sとの間に、加熱コイル電流検出器180m、180sが加熱コイル152m、152sと直列に設けてある。加熱コイル電流検出器180m、180sは、対応する加熱コイル電流ILm、ILsを検出して位相検出器220に入力する。そして、位相検出器220は、加熱コイル電流ILmと加熱コイル電流ILsとの位相差φmsを求めて従属側の駆動制御部124sに入力する。従属側駆動制御部124sは、詳細を後述するように、位相検出器220の出力信号に基づいて、加熱コイル電流ILm、ILsの位相を一致させるように従属側のインバータ120sに与える駆動信号(ゲートパルス)の位相を調整する。
従属加熱ユニット110sは、詳細を後述するように、インバータ120sの出力電流Isと出力電圧Vsとの位相差を零にするための位相制御部170を有している。この位相制御部170は、変圧器158sと変流器160sとが出力する電圧Vs、電流Isが入力する位相差検出部172と、この位相差検出部172の出力信号に基づいて、インバータ120sと加熱コイル152sとの間に設けた可変リアクトル部162を制御する位相調整部174とから構成してある。そして、可変リアクトル部162は、実施形態の場合、加熱コイル152sとコンデンサ154sとに並列接続した可変容量リアクタンス164と、加熱コイル152sに直列接続した可変誘導リアクタンス166とから構成してある。
上記のごとく構成した誘導加熱装置100は、主加熱ユニット110mの加熱コイル152mと、従属加熱ユニット110sの加熱コイル152sとが接するように近接して配置してある。各電源部112m、112sは、順変換部114m、114sのサイリスタが電力制御部122m、122sの出力する駆動パルスによって駆動し、三相交流電源116m、116sの出力する交流電力を整流して直流電力に変換し、平滑リアクトル118m、118sを介してインバータ(逆変換部)120m、120sに与える。電力制御部122mは、図2に示したように構成してある。従属側の電力制御部122sも同様な構成となっている。
すなわち、電力制御部122mは、変圧器158mの出力電圧Vmと変流器160mの出力電流Imとが入力される電力変換器130と、電力変換器130の出力側に設けた電力比較器132と、電力比較器132の出力側に接続した順変換位相制御器134、この順変換位相制御器134の出力信号が入力する順変換ゲートパルス発生器136とから構成してある。
電力変換器130は、入力する電圧値Vmと電流値Imとからインバータ120mの出力電力Pmを求めて電力比較器132に出力する。電力比較器132には、電力設定器126mが接続してあって、電力変換器130が求めた電力値Pmを電力設定器126mの出力する設定値Pmcと比較し、両者の偏差に対応した出力信号を順変換位相制御器134に送出する。そして、順変換位相制御器134は、電力比較器132の出力信号に応じて順変換部114mを構成している各サイリスタに与えるゲートパルスの発生タイミングを調整し、検出した電力値Pmと設定値Pmcとの差が零となるサイリスタの駆動タイミングを求める。順変換位相制御器134は、求めた駆動タイミングに合わせて順変換ゲートパルス発生器136に駆動信号を与える。順変換ゲートパルス発生器136は、順変換位相制御器134の出力信号に同期してゲートパルスを発生し、順変換部114mの各サイリスタに駆動信号として与える。なお、サイリスタの出力電力は、電力設定器126mの設定値Pmcを変えることによって変えることができる。
インバータ120m、120sを駆動する駆動制御部124m、124sは、図3に示したようになっている。すなわち、駆動制御部124mと駆動制御部124sとは、それぞれトランジスタ用ゲートパルス発生器140m、140sを有し、それぞれの出力側に一対のゲートユニット142mA、142mB、142sA、142sBが接続してある。また、従属側の駆動制御部124sには、位相調整回路143が設けてある。この位相調整回路143は、負荷電流制御部となっていて、後述するように、主側加熱コイル152mと従属側加熱コイル152sとを流れる加熱コイル電流ILm、ILsの位相が一致(同期)するように調整するためのもので、位相調整回路143の出力側にトランジスタ用ゲートパルス発生器140sが接続してある。さらに、位相調整回路143には、主側トランジスタ用ゲートパルス発生器140mの出力パルスと、位相検出器220が求めた加熱コイル電流ILm、ILsの位相差φmsとが入力するようになっている。そして、主側の駆動制御部124mは、トランジスタ用ゲートパルス発生器140mに変圧器158mの出力電圧Vmがフィードバックするようになっている。駆動制御部124mは、図4に示したように、ゲートパルス発生器140mが電圧Vmのゼロクロスを検出してトランジスタを駆動するためのゲートパルスを発生し、ゲートユニット142mA、142mBに入力するとともに、従属側の駆動制御部124sに同期信号として与える。
駆動制御部124mのトランジスタ用ゲートパルス発生器140mは、実施形態の場合、図4(1)のように変化する電圧Vmが入力すると、電圧Vmが下側からゼロクロスしたときに、同図(3)に示したように、A相用トランジスタTRmA1、TRmA2を駆動するゲートパルスを生成してゲートユニット142mAと従属側の位相調整回路143とに出力する。ゲートユニット142mAは、ゲートパルス発生器140mから入力したゲートパルスをトランジスタTRmA1、TRmA2のベースに駆動信号として与える。また、ゲートパルス発生器140mは、電圧Vmが上側からゼロクロスしたときに、A相用のゲートパルスの生成を停止するとともに、図4(4)に示したように、B相用トランジスタTRmB1、TRmB2を駆動するゲートパルスを生成し、ゲートユニット142mBに出力する。ゲートユニット142mBは、入力したゲートパルスをB相のトランジスタTRmB1、TRmB2のベースに与えてこれを駆動する。これにより、主側のインバータ120mは、固有の周波数で駆動され、図4(5)に示したように、電圧Vmに同期した電流Imが出力され、力率がほぼ1になる。また、同図(2)に示したように、加熱コイル152mに加熱コイル電流ILmが与えられる。
一方、従属側駆動制御部124sの位相調整回路143は、主側のゲートパルス発生器140mが出力したパルスの立上がり、立下がりに同期して信号をトランジスタ用ゲートパルス発生器140sに出力する。ゲートパルス発生器140sは、図4(6)に示したように、位相調整回路143からパルスが入力すると、これに同期してA相用パルスをA相用ゲートユニット142sAに出力する。ゲートユニット142sAは、入力したパルスを対応するトランジスタTRsA1、TRsA2のベースに駆動信号として与えて作動させる。また、従属側ゲートパルス発生器140sは、同図(7)に示したように、B相用パルスを生成してB相用ゲートユニット142sBに与える。ゲートユニット142sBは、入力したパルスに基づいてトランジスタTRsB1、TRsB2を駆動する。これにより、インバータ120sは、図4(8)に示したように、主側インバータ120mの出力する電流Imに同期した電流Isを出力し、加熱コイル152sに加熱コイル電流ILsが供給される(図4(10)参照)。
従属加熱ユニット110sに設けた位相制御部170の位相差検出部172には、従属側インバータ120sの出力側に設けた変圧器158sと変流器160sとが検出したインバータ120sの出力電圧Vsと出力電流Isとが入力する。そして、位相差検出部172は、これらの位相差を求めて位相調整部174に入力する。位相調整部174は、加熱コイル152m、152sに加熱コイル電流ILm、ILsが流れ、負荷変動などにより両者間に位相ずれを生じ、各加熱コイル152m、152s間の相互誘導の状態の変化などにより、従属側インバータ120sの出力電圧Vsと出力電流Isとの間に位相ずれを生ずると、これらの位相が一致するように可変リアクトル部162を制御する。
図5は、位相制御部170の作用を説明するフローチャートである。位相制御部170の位相差検出部172は、従属側の変圧器158sと変流器160sとから電圧Vsと電流Isとが入力すると、図5のステップ190に示したように、両者の位相差を検出して位相角ψを求めて位相調整部174に送出する。位相調整部174は、位相差検出部172が出力した位相角ψが入力すると、電圧Vsと電流Isとの位相が一致しているか、すなわちψ=0であるか否かを判断する(ステップ191)。そして、位相が一致している場合には、位相差検出部172が出力する次の位相角ψを読み込む。
位相調整部174は、ステップ191において位相角ψ=0でないと判断した場合、ステップ192に進んで電流Isの位相が電圧Vsの位相より進んでいるか遅れているかを判断する。位相調整部174は、図4(9)の破線に示したように、電圧Vs(Vs1)が電流Isに対して位相角ψ1だけ位相が遅れている場合、すなわち電流の位相が電圧の位相より進んでいる場合、ステップ193に示したように、位相角ψ1に応じて可変リアクトル部162の可変容量リアクタンス164のCを減少、または可変誘導リアクタンス166のLを減少、もしくは両方を減少させて電圧Vsの位相を進めもしくは電流Isの位相を遅らせ、図4(9)の実線に示したように、電圧Vsの位相を電流Isの位相と一致させる。
位相調整部174は、ステップ192において図4(9)の一点鎖線に示したように、電圧Vs(Vs2)が電流Isに対してψ2だけ位相が進んでいる(電流の位相が電圧の位相より遅れている)と判断した場合、ステップ192からステップ194に進み、位相角ψ2に応じて可変容量リアクタンス164のCを増加、または可変誘導リアクタンス166のLを増加、もしくは両者を増加させて電圧Vsの位相を遅らせ、もしくは電流Isの位相を進め、電圧Vsと電流Isとの位相を一致させる。これにより、インバータ120sの力率が改善され、運転効率を向上することができる。
このようにして主インバータ120mと従属インバータ120sとが運転される。しかし、負荷が変動することなどにより、主側加熱コイル152mに供給される加熱コイル電流ILmと、従属側加熱コイル152sに供給される加熱コイル電流ILsとの間に、図7に示したような位相ずれを生ずることがある。このため、加熱コイル152m、152sとの間における相互誘導の状態が変化する。そこで、この実施形態においては、加熱コイル電流ILm、ILsの位相差φmsを位相検出器220によって検出し、図3に示したように、従属側駆動制御部124sの位相調整回路143に入力する。位相調整回路143は、例えば図7(3)のように、従属側加熱コイル電流ILsが主側加熱コイル電流ILmに対してφms1だけ位相が遅れている場合、この位相差φms1をなくすようにゲートパルス発生器140sに与える信号の発生タイミングを進める。
すなわち、図13(4)、(5)に示したように、従属側の加熱コイル電流ILsが主側の加熱コイル電流ILmに対して位相がφms1だけ遅れている場合、位相調整回路143には、位相検出器220から遅れた位相差φms1を示す信号が入力する。位相調整回路143は、主側のゲートパルス発生器140mから入力する図13(1)のA相用パルスと、位相差φms1とに基づいて、従属側インバータ120sのA相用およびB相用ゲートパルスを、主側インバータ120mのA相用およびB相用ゲートパルスに対して位相差φms1だけ早く出力するように、位相調整信号をゲートパルス発生器140sに与える。これにより、従属側のゲートユニット142sA、142sBの出力するA相用ゲートパルスとB相用ゲートパルスとが図13(6)、(7)に示したように、同図(1)、(2)に示した主側のA相用、B相用ゲートパルスに対してφms1だけ位相が進められて出力される。したがって、インバータ120sの位相調整後の出力電圧Vscは、同図(8)のように主側インバータ120mの出力電圧Vm(図13(3)参照)より位相がφms1だけ進む。そして、加熱コイル152sに供給される加熱コイル電流ILscは、同図(8)の示したように、主側の加熱コイル電流ILmと位相が一致する。
位相調整回路143は、反対に従属側加熱コイル電流ILsが主側加熱コイル電流ILmに対して、図7(4)のようにφms2だけ位相が進んでいる場合、この位相差φms2をなくすように、ゲートパルス発生器140sに与える駆動信号(ゲートパルス)の位相(出力タイミング)を遅らせ、加熱コイル電流ILmと加熱コイル電流ILsとの位相を一致させる。
これにより、加熱コイル電流ILm、ILsは、負荷の状態が変動した場合であっても、位相が完全に一致させられるため、負荷の変動による影響を受けずにインバータを正常に運転することができる。したがって、加熱コイル152m、152sを相互に近接して配置したとしても、負荷変動の影響を受けることなく誘導加熱を行なうことができ、温度制御を容易、高精度に行なえ、加熱コイル152m、152sの境界部における加熱温度の低下などの不都合をなくすことができる。そして、実施の形態においては、主加熱ユニット110mと従属加熱ユニット110sとのそれぞれに電力制御部122m、122sを設け、加熱コイル152m、152sに供給する電力を独立して調整をできるようにしたことにより、加熱コイル152m、152s間で任意に加熱温度を変えることができるとともに、高精度の温度制御を行なうことができる。
なお、前記第1実施形態においては、従属加熱ユニット110sを1つだけ設けた場合について説明したが、従属加熱ユニットは複数設けてもよい。そして、複数の加熱ユニットを設けた場合、基準とする主となるものは、任意の加熱ユニットであってよい。また、第1実施形態においては、従属側の電流Isと電圧Vsとの位相を一致させる場合に、位相制御部170の位相差検出部172に電流Vsと電流Isとを入力させる場合について説明したが、電流Isの代わりに従属側インバータ120sのトランジスタに与えるゲートパルスを用いてもよい。そして、前記実施の形態においては、加熱コイル152m、152sを近接配置する場合にて説明したが、加熱コイル152m、152sを近接配置しない場合にも適用できることはもちろんである。さらに、前記第1実施形態においては、従属側に設けた可変リアクトル部162を可変容量リアクタンス164と可変誘導リアクタンス166とによって構成した場合について説明したが、可変リアクトル部162は、可変容量リアクタンス164または可変誘導リアクタンス166のいずれか一方によって形成してもよい。また、前記第1実施形態においては、主側のインバータ120mと従属側のインバータ120sとの加熱コイル電流ILm、ILsの位相を一致(同期)させる場合について説明したが、必要に応じて両者の間に一定の位相差を保持させるようにしてもよい。
図6は、第2実施形態の説明図である。第2実施形態の誘導加熱装置200は、主加熱ユニット210mと従属加熱ユニット210sとから構成してある。そして、主側の駆動制御部124mは、主側インバータ120mにのみゲートパルスを出力するようになっている。また、従属側の駆動制御部212sは、主側の変圧器158mの電圧Vmが入力し、この電圧Vmに基づいて、従属側インバータ120sを構成しているトランジスタの駆動信号(ゲートパルス)を生成してインバータ120sに与えるようになっている。すなわち、第2実施形態においては、従属側駆動制御部124s(212s)の位相調整回路143に、主側ゲートパルス発生器140mの出力パルスに代えて、図3に破線で示したように、主側インバータ120mの出力電圧Vmが入力するようにしてある。他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
このように構成した第2実施形態においては、従属側駆動制御部212sに主側の電圧Vmが入力すると、主側駆動制御部124mと同様に電圧Vmのゼロクロスを検出し、このゼロクロスに同期してA相用トランジスタゲートパルスとB相用トランジスタゲートパルスとを生成し、インバータ120sの各トランジスタのベースに駆動信号として与える。これにより、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、従属側の駆動制御部212sに、主側の変流器160mの出力する電流Imを入力し、この電流Imに基づいてトランジスタゲートパルスを生成し、これを従属側インバータ120sのトランジスタに与え、従属側インバータ120sを主側の電流Imに同期させて運転をしてもよい。
図14は、第3実施形態の概略説明図であって、電圧型インバータに適用した例を示したものである。図14において、誘導加熱装置300は、交流電源302に順変換部304が接続してあり、この順変換部304の出力側に平滑コンデンサ306が設けてある。そして、誘導加熱装置300は、主側加熱ユニット310mと従属側加熱ユニット310sとが平滑コンデンサ306に並列に接続してある。
加熱ユニット310m、310sは、それぞれ直流電源部312m、312s、インバータ314m、314s、負荷コイル部320m、320sを有する。直流電源部312m、312sは、周知のチョッパ回路316m、316sとこの出力側に設けたコンデンサ318m、318sとから構成してある。また、各インバータ314m、314sは、各アームがトランジスタと、このトランジスタに逆並列に接続したダイオードからなるブリッジ回路によって構成してある。そして、インバータ314m、314sの出力側には、負荷コイル部320m、320sが接続してある。各負荷コイル部320m、320sは、加熱コイル322m、322sとコンデンサ324m、324sとが直列に接続された直列共振型となっている。また、従属側の負荷コイル部320sには、加熱コイル322sと直列に可変リアクトル326が設けてある。
さらに、各加熱ユニット310m、310sのチョッパ回路316m、316sには、電力制御部330m、330sが接続してある。電力制御部330m、330sは、チョッパ回路316m、316sの、トランジスタとダイオードの逆並列によって形成したチョップ部328m、328sをオン・オフし、チョッパ回路316m、316sの通流率を変化させる。このため、直流電源部312m、312sは、コンデンサ318m、318sの両端の電圧の大きさが変化し、インバータ314m、314sに与える電圧の大きさが変わって、インバータ314m、314sの出力電力を変化させる。また、各インバータ314m、314sには、インバータの駆動を制御する駆動制御部332m、332sが接続してある。さらに、従属側には、負荷コイル部320sに設けた可変リアクトル326を制御する位相制御部334が接続してある。なお、図14において、加熱コイル322m、322sの内部抵抗は省略してある。
この第3実施形態の誘導加熱装置300においては、インバータ314m、314sの出力する電圧Vm、Vsと電流(加熱コイル電流)ILm、ILsが図14に図示しない変圧器と変流器とによって検出され、電力制御部330m、330sに入力される。電力制御部330m、330sは、入力された電圧と電流とからインバータ314m、314sの出力電力を求め、本図に図示しない電力設定器の設定値と比較し、出力電力が設定値となるようにチョップ部328m、328sの駆動パルス幅を調整する。
主側の駆動制御部332mは、インバータ314mの出力電流が入力し、この出力電流のゼロクロスを検出してインバータ314mの各トランジスタを駆動する駆動信号(ゲートパルス)を生成してインバータ314mの各トランジスタに与える。一方、従属側の駆動制御部332sは、本図に図示しない位相検出器が接続してあって、位相検出器の出力する主側の加熱コイル電流ILmと従属側の加熱コイル電流ILsとの位相差が入力するとともに、主側の駆動制御部332mの出力したゲートパルスが入力する。そして、駆動制御部332sは、主側駆動制御部332mから入力したゲートパルスを基準にして、主側の加熱コイル電流ILmと従属側の加熱コイル電流ILsとの位相差φmsに応じて、位相差φmsが零となるように、または位相差φmsが所定の位相差Φとなるように、インバータ314sに与える駆動信号(ゲートパルス)の位相(出力タイミング)を調整して出力する。これにより、主側と従属側との加熱コイル電流ILm、ILsの位相を同期させたり、両者を一定の位相差Φに保持してインバータ314m、314sを運転することができる。このため、誘導加熱装置300は、負荷が変動した場合であっても、加熱コイル電流ILm、ILsの位相が一致、または所定の位相差Φに保持されるため、インバータ314の正常な運転が可能となり、加熱コイル322m、322sの境界部における温度低下などを防ぐことができる。
また、従属側に設けた位相制御部334は、インバータ314sの出力する電圧と電流とを読み込み、両者の位相差ψを求める。位相制御部334は、電圧と電流との間に位相差がある場合、可変リアクトル326を調整して両者の位相を一致させる。これにより、インバータ314の力率が改善され、インバータ314sの運転効率を向上することができる。
図15は、第4実施形態の概略説明図である。この第4実施形態に係る誘導加熱装置350は、主側と従属側とに電圧型インバータ314m、314sを有する。これらのインバータ314m、314sは、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式によって出力電力が制御されるようになっている。すなわち、各インバータ314m、314sには、電力制御部352m、352sが駆動制御部354m、354sを介して接続してある。
各電力制御部352m、352sは、対応するインバータ314m、314sの出力電力を設定値と比較する。電力制御部352m、352sは、インバータ314m、314sの出力電力が設定値となるように、インバータ314m、314sを駆動するパルス幅を求めて対応する駆動制御部354m、354sに出力する。主側の駆動制御部354mは、主側インバータ314mの出力電流のゼロクロスを検出し、電力制御部352mが求めたパルス幅のゲートパルスをインバータ314mに与える。すなわち、駆動制御部354mは、インバータ314mの出力電力が設定値より小さい場合、よりパルス幅の長いゲートパルスを出力し、インバータ314mを構成しているトランジスタがオンしている時間を長くして出力電力を大きくする。
従属側の駆動制御部354sは、前記と同様にして主側の加熱コイル電流ILmと従属側の加熱コイル電流ILsとの位相差φmsを求め、この位相差φmsを零となるようにインバータ314sに与える駆動信号(ゲートパルス)の位相(出力タイミング)を調整してゲートパルスを出力する。このゲートパルスは、電力制御部352sが求めたパルス幅を有する。また、位相制御部334は、前記と同様にして従属側インバータ314sの出力電圧と出力電流との位相差ψが零となるように可変リアクトル326を調整し、インバータ314sの力率の調整を行なう。
これらの第3実施形態の誘導加熱装置300および第4実施形態の誘導加熱装置350においても、必要に応じて主側の加熱コイル電流ILmと従属側の加熱コイル電流ILsとを設定される位相差に保持するように、インバータ314m、314sを運転してもよい。
図16は、第5実施形態の説明図である。図16に示した誘導加熱装置400は、順変換部304の出力側に設けた平滑コンデンサ306に、複数(実施形態の場合、4つ)の加熱ユニット310(310a〜310d)が並列に接続してある。これらの加熱ユニット310は、電圧型インバータが設けてあって、チョッパ回路316(316a〜316d)と、このチョッパ回路316の出力側にコンデンサ318(318a〜318d)を介して接続したインバータ314(314a〜314d)を有する。これらのインバータ314は、直列共振型インバータとなっていて、加熱コイル322(322a〜322d)とコンデンサ324(324a〜324d)とを直列接続した負荷コイル部320(320a〜320d)が接続してある。また、各負荷コイル部320には、可変リアクトル326(326a〜326d)が加熱コイル322と直列に接続してある。さらに、負荷コイル部320には、変圧器158(158a〜158d)と変流器160(160a〜160d)とが設けてあって、インバータ314の出力電圧と出力電流とを検出できるようになっている。
誘導加熱装置400は、各加熱ユニット310に対応して制御ユニット420(420a〜420d)を有している。制御ユニット420a〜420dは、同じに形成してある。そして、これらの制御ユニット420の具体的構成が、制御ユニット420dのブロック図として示してある。
制御ユニット420dは、電力制御部330dを有する。電力制御部330dは、電力設定器126dから設定値が入力する。また、電力制御部330dは、負荷コイル部320dに設けた変圧器158dと変流器160dとが接続してあって、これらが検出したインバータ314dの出力電圧と出力電流(加熱コイル電流IL4)とが入力するようになっている。電力制御部330dは、変圧器158dと変流器160dとから入力する電圧値と電流値とからインバータ314dの出力電力を求め、電力設定器126dが出力する設定値と比較する。そして、電力制御部330dは、インバータ314dの出力電力が設定値となるように、チョッパ回路316dのチョップ部328dに与えるゲートパルスの長さを調節する。
さらに、制御ユニット420dは、インバータ314dの駆動を制御する駆動制御部422dを備えている。この駆動制御部422dの入力側には、位相検出器424dが接続してある。位相検出器424dには、変流器160dの出力信号が入力するとともに、基準信号生成部426の出力信号が入力するようになっている。基準信号生成部426は、実施形態の場合、加熱コイル322に供給する加熱コイル電流IL(IL1〜IL4)の波形を生成する。そして、基準信号生成部426は、生成した電流波形を各制御ユニット420a〜420dに設けてある位相検出器424a〜424d(位相検出器424a〜424cは図示せず)に基準信号として与える。位相検出器424dは、変流器160dによって検出された加熱コイル電流IL4の位相を基準信号生成部426が出力する基準電流波形の位相と比較し、両者の位相差を求めて駆動制御部422dに入力する。
駆動制御部422dは、インバータ314dを構成しているトランジスタに与えるゲートパルス(駆動信号)の位相(出力タイミング)を、加熱コイル電流IL4の位相が基準電流波形の位相と一致するように調整して出力し、インバータ314dの各トランジスタに与える。各制御ユニット420a〜420cの駆動制御部も同様にして、基準信号生成部426の出力する基準電流波形の位相と一致するように、インバータ314a〜314cに与えるゲートパルスの位相を調整する。これにより、各加熱コイル322a〜322dに供給される加熱コイル電流IL1〜IL4の位相が同期され、負荷状態が変化しても各加熱コイル322間における相互誘導の状態が変化するのを阻止できる。このため、各加熱コイル322を接するように近接配置した場合であっても、各加熱コイル322に供給する加熱コイル電流ILは、負荷状態の変化による影響を受けることがなく、温度制御を容易、確実に行なえるとともに、各加熱コイル322の境界部において温度の低下を防ぐことができる。
なお、制御ユニット420dに設けられている位相制御部334dは、変圧器158dと変流器160dとが検出したインバータ314dの出力電圧と出力電流(加熱コイル電流)とに基づいて、両者の位相差ψを検出し、位相差ψが零となるように、すなわち出力電圧と出力電流とが同期するように可変リアクトル326dを調整する。これにより、インバータ314dの力率が改善され、インバータ314dの運転効率を向上することができる。そして、各制御ユニット420a〜420cは、制御ユニット420dと同様の制御を行なう。
なお、この実施形態においては、各加熱コイル電流IL1〜IL4の位相を同期させる場合について説明したが、必要に応じて各加熱コイル電流を相互に設定される位相差に保持してインバータ314を運転してもよいし、任意の加熱コイル電流を他の加熱コイル電流に対して設定される位相差を保持するようにインバータ314を運転してもよい。また、この実施形態においては、基準信号生成部426が基準信号として電流波形を出力する場合について説明したが、基準信号はインバータ314に与えるゲートパルスなどであってもよい。さらに、実施形態においては、基準信号生成部426が出力する信号に加熱コイル電流を同期させる場合について説明したが、複数のインバータ314の任意のインバータを基準のインバータとし、このインバータの出力を基準信号としてもよい。また、実施形態においては、基準信号生成部426の出力信号に同期させる場合について説明したが、各加熱コイル電流ILの位相の平均を基準信号としてもよい。この場合、加熱コイル電流の平均位相は、誘導加熱装置400の運転を開始した時点や、所定の間隔でパルスを出力し、このパルスを基準にして求めることができる。そして、本発明は、前記に説明した内容に限定されるものではない。すなわち、図17、図18に示した基本回路によって表されるインバータに適用することができるばかりでなく、あらゆる共振型インバータに対して適用することができる。
図17に示した回路は、並列共振型インバータであって、インバータ440の各アームが直列接続したトランジスタとダイオードとによって形成してある。そして、インバータ440に接続された負荷部442は、加熱コイル(負荷コイル)444とコンデンサ446とが並列接続してある。また、図18に示した回路は、直列共振型インバータであって、インバータ450の各アームがトランジスタとダイオードとの逆並列接続によって構成してある。そして、インバータ450に接続された負荷部452は、加熱コイル454とコンデンサ456とが直列接続してある。
以上に説明したように、本発明は、複数の加熱コイルのそれぞれに対応させた共振型インバータによって前記各加熱コイルに給電する場合に、各加熱コイルに供給する電流の周波数を一致させるとともに、電流位相を同期させ、または設定される位相差に保持して運転するため、負荷状態が変化した場合であっても、インバータを正常に運転することができる。したがって、本発明は、負荷変動の影響を受けることなく温度制御を容易、確実に行なえ、複数の加熱コイルの境界部における温度低下を防止することができる。しかも、インバータは、出力電流と出力電圧との位相差が調整されるため、インバータの力率が改善されて運転効率の低下を防止することができる。
100………誘導加熱装置、110m………主加熱ユニット、110s………従属加熱ユニット、112m,112s………電源部、120m,120s………インバータ、122m,122s………電力制御部、124m,124s………駆動制御部、126………電力設定器、130………電力変換器、132………電力比較器、143………位相調整回路、150m,150s………負荷コイル部、152m………主側加熱コイル、152s………従属側加熱コイル、162m………可変リアクトル部、164………可変容量リアクタンス、170………位相制御部、172………位相差検出部、174………位相調整部、180m,180s………加熱コイル電流検出器、220………位相検出器。