JP3834880B2 - 情報信号符号化装置、符号化方法、並びに情報信号復号方法 - Google Patents

情報信号符号化装置、符号化方法、並びに情報信号復号方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばディジタルオーディオ信号、ディジタル画像信号等のディジタル情報信号の発生データ量を低減するようにした情報信号符号化装置、符号化方法、および情報信号復号方法に関し、特に、ディジタル情報信号を量子化し、量子化情報とともに付加情報を伝送するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルオーディオ信号、ディジタル画像信号等の伝送情報量を低減するために、予測符号化が知られている。例えば1次元DPCMは、時間または空間方向において、入力サンプル値と予測値との差分(残差)を形成し、2次元DPCMは、空間方向において入力サンプル値と予測値との残差を形成する。ディジタル情報信号は、時間方向、空間方向の相関を有しているので、残差信号のレベルがサンプル値よりも小さいものとなる。従って、残差信号を元の量子化ビット数より少ないビット数により再量子化することが可能で、それによって、情報量を圧縮できる。
【0003】
残差信号を対象とする量子化装置としては、0付近の量子化ステップ幅を細かくし、レベルが大きいほど、量子化ステップ幅を粗くする非線形量子化装置が周知である。この非線形量子化を含めて従来の量子化装置は、発生しうる残差信号の全てのレベルを量子化対象としている。例えばディジタル画像信号の1サンプル(1画素)が8ビットに量子化されている場合、残差信号としては、(−255〜+255)の値が存在しうる。従来の量子化装置は、この全範囲を量子化の対象としている。
【0004】
従来の量子化装置は、発生しうる残差信号の全範囲を量子化の対象とするので、量子化ビット数を少なくした場合には、量子化精度が低下し、量子化ビット数を多くすると発生データ量が多くなる問題があった。その結果、復号した時に、充分な品質のオーディオ信号、画像信号が得られない問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、本願出願人は、残差信号をブロック化することにより残差信号のレベルの分布を集中させ、より少ない量子化ビット数によって再量子化することを可能とする量子化方法を提案している。この方法では、再量子化時の量子化ステップΔと、残差信号の0の値が含まれるコード信号を示すゼロ位置フラグZRとを伝送する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
予測符号化によるデータ量の削減と、再量子化によるデータ量の削減の結果、復号信号の品質の低下を招くことなく、伝送データ量の大幅な削減を達成することができる。しかしながら、量子化ステップΔおよびゼロ位置フラグZRをブロック毎に伝送することは、データ量の削減を阻害する。
【0007】
従って、この発明の目的は、これらの付加情報のデータ量の削減を図ることによって、さらに、量子化出力のデータ量の削減が可能な情報信号符号化装置、符号化方法、並びに復号方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、入力ディジタル情報信号を発生データ量を少なくするように符号化する情報信号符号化装置において、
入力ディジタル情報信号のサンプル値同士の残差信号を生成する残差信号生成手段と、
残差信号をブロック化するブロック化手段と、
ブロック毎に、最大値および最小値を検出し、最大値および最小値から量子化ステップと、量子化出力中の0が含まれるコード示すゼロ位置フラグを生成するフラグ生成手段と、
量子化ステップの予測値およびゼロ位置フラグの予測値を生成する予測手段と、
量子化復元値で最も0に近い値と実際の0の値との差の値によって、ブロック化された残差信号を補正する補正手段と、
補正手段によって補正された残差信号を量子化ステップの予測値およびゼロ位置フラグの予測値を使用して再量子化する量子化手段と、
量子化出力を伝送する伝送手段と
からなることを特徴とする情報信号符号化装置である。
【0009】
請求項5の発明は、入力ディジタル情報信号を発生データ量を少なくするように符号化する情報信号符号化方法において、
入力ディジタル情報信号のサンプル値同士の残差信号を生成する残差信号生成ステップと、
残差信号をブロック化するブロック化ステップと、
ブロック毎に、最大値および最小値を検出し、最大値および最小値から量子化ステップと、量子化出力中の0が含まれるコード示すゼロ位置フラグを生成するフラグ生成ステップと、
量子化ステップの予測値およびゼロ位置フラグの予測値を生成する予測ステップと、
量子化復元値で最も0に近い値と実際の0の値との差の値によって、ブロック化された残差信号を補正する補正ステップと、
補正ステップによって補正された残差信号を量子化ステップの予測値およびゼロ位置フラグの予測値を使用して再量子化する量子化ステップと、
量子化出力を伝送する伝送ステップ
からなることを特徴とする情報信号符号化方法である。
【0010】
請求項6の発明は、入力ディジタル情報信号から少なくとも第1および第2の階層データを形成し、第1および第2の階層データを符号化して伝送するようにした情報信号符号化装置において、
第1の階層データより解像度がより低い第2の階層データを形成する階層データ形成手段と、
第2の階層データから第1の階層データを予測する予測手段と、
予測されたデータと第1の階層データとの残差信号を形成する残差信号形成手段と、
残差信号をブロック化するブロック化手段と、
ブロック毎に、最大値および最小値を検出し、最大値および最小値から量子化ステップと、量子化出力中の0が含まれるコード示すゼロ位置フラグを生成するフラグ生成手段と、
量子化ステップの予測値およびゼロ位置フラグの予測値を生成する予測手段と、
量子化復元値で最も0に近い値と実際の0の値との差の値によって、ブロック化された残差信号を補正する補正手段と、
補正手段によって補正された残差信号を量子化ステップの予測値およびゼロ位置フラグの予測値を使用して再量子化する量子化手段と、
量子化出力を伝送する伝送手段と
からなることを特徴とする情報信号符号化装置である。
【0011】
請求項7の発明は、入力ディジタル情報信号から少なくとも第1および第2の階層データを形成し、第1および第2の階層データを符号化して伝送するようにした情報信号符号化方法において、
第1の階層データより解像度がより低い第2の階層データを形成する階層データ形成ステップと、
第2の階層データから第1の階層データを予測する予測ステップと、
予測されたデータと第1の階層データとの残差信号を形成する残差信号形成ステップと、
残差信号をブロック化するブロック化ステップと、
ブロック毎に、最大値および最小値を検出し、最大値および最小値から量子化ステップと、量子化出力中の0が含まれるコード示すゼロ位置フラグを生成するフラグ生成ステップと、
量子化ステップの予測値およびゼロ位置フラグの予測値を生成する予測ステップと、
量子化復元値で最も0に近い値と実際の0の値との差の値によって、ブロック化された残差信号を補正する補正ステップと、
補正ステップによって補正された残差信号を量子化ステップの予測値およびゼロ位置フラグの予測値を使用して再量子化する量子化ステップと、
量子化出力を伝送する伝送ステップ
からなることを特徴とする情報信号符号化方法である。
【0012】
請求項8の発明は、量子化出力中の0が含まれるゼロ位置フラグと、量子化ステップとにより量子化されたデータを復号する情報信号復号方法において、
ゼロ位置フラグおよび量子化ステップを予測する予測ステップと、
ゼロ位置フラグの予測値および量子化ステップの予測値により量子化出力を代表値へ変換する逆量子化ステップと、
逆量子化ステップによって変換された残差信号をブロック分解し、元の順序へ変換する変換ステップとからなることを特徴とする情報信号復号方法である。
【0013】
この発明では、量子化で使用したゼロ位置フラグZRおよび量子化ステップΔを本質的に伝送する必要がない。従って、伝送データ量を一層削減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。この一実施例では、ビデオ信号が所定のサンプリング周波数でサンプリングされ、各サンプルが所定の量子化ビット数へ変換されたディジタル画像信号に対して、この発明が適用される。図1は、この発明の一実施例のシステムの構成を全体的に示す。
【0015】
図1において、121で示す入力端子にディジタルビデオ信号が供給される。入力信号が減算器123に供給され、減算器123の出力(残差信号)がブロック化回路124および予測器122に供給され、予測器122で生成された予測信号が減算器123に供給される。減算器123は、入力信号から予測信号を減算し、予測残差を発生する。この残差信号がブロック化回路124に供給され、ラスター走査の順序からブロックの順序のデータへ変換される。ブロック化された残差信号が符号化ユニット125に供給される。符号化ユニット125は、後述するように、ブロック化された残差信号をより少ないビット数でもって再量子化するとともに、再量子化に使用した量子化ステップΔおよびゼロ位置フラグZRのデータ量をクラス分類適応予測を導入することにより削減する。
【0016】
符号化ユニット125の符号化出力がエラー訂正符号エンコーダ126に供給され、エラー訂正符号の冗長コードが付加される。エラー訂正符号エンコーダ126の出力が変調部127に供給される。変調部127は、記録、伝送等に適した形態にディジタル信号を変調する。変調部127からの出力信号が記録ユニット128に供給され、記録ユニット128によって記録信号が情報信号記録媒体129に記録される。また、伝送路130を介してデータを伝送することも可能で、その場合では、記録ユニット128の代わりに伝送ユニットが使用される。量子化モードを指示するモード信号も符号化残差信号とともに、記録、あるいは伝送される。情報信号記録媒体129は、磁気、光磁気、相変化等を利用したディスク状、あるいはテープ状の記録媒体である。半導体メモリも一種の記録媒体である。
【0017】
記録媒体129からデータを再生ユニット131が再生し、または伝送路130を介して伝送されたデータが受信される。再生ユニット131により再生されたデータが復調部132により復調され、復調出力がエラー訂正符号のデコーダ133に供給される。このデコーダ133は、冗長コードを利用してエラーを訂正し、また、訂正できないで残ったエラーを目立たないように修整する。
【0018】
エラー訂正デコーダ133の出力が復号化ユニット134に供給される。復号化ユニット134は、後述するように、符号化ユニット125と逆に量子化出力を代表値(量子化復元値)に変換する、逆量子化の処理を行う。復号化ユニット134は、伝送が省略された量子化ステップ幅Δおよびゼロ位置フラグZRをクラス分類適応予測によって復元し、そして、逆量子化の処理を行う。復号化ユニット134から復号された残差信号が発生する。この復号残差信号がブロック分解回路135に供給される。ブロック分解回路135では、ブロック構造がラスター走査の順序に戻される。
【0019】
復号残差信号が加算回路136に供給される。加算回路136により復号画像信号が形成され、出力端子137に取り出される。また、この復号画像信号が予測器138に供給され、予測信号が生成される。予測信号が加算回路136に供給される。
【0020】
図2は、符号化ユニット125の一例を示す。ブロック化回路124からのブロック化された残差信号が入力端子1に供給される。図3は、残差信号の形成を概略的に示すものである。図3における一つの矩形の領域が1つの画素と対応している。a〜hのそれぞれは、局部復号された画素値を示し、A〜Pは、符号化される前の画素値を示す。画素値Aに対しての予測値A’は、近傍の局部復号画素値を使用して予測器122により生成される。例えば予測値A’は、A’=4c−3(b−f)、A’=f+c−b等の予測式に従って形成される。画素値B、C、・・・に対する予測値も同様の予測式によって計算される。一般式で表すと、予測値は、(αa+βb+γf、但し、α、β、γは定数)により生成される。
【0021】
減算器123では、画素値(例えばA)から予測値(例えばA’)が減算され、残差信号Δaが生成される。同様に、残差信号Δb、Δc、・・・が生成される。ブロック化回路124では、生成された残差信号がブロック構造に変換される。例えばブロック化回路124によって、図3Aの太線の枠で示すように、(4×4)のブロックと対応する残差信号Δa〜Δpのブロックのデータが形成される。なお、ディジタルオーディオ信号を扱う場合には、時間方向の予測値が形成され、1次元の残差信号のブロックが形成される。
【0022】
残差信号のレベル範囲は、ブロック化することによって、集中度を高めることが可能である。1画素が8ビットのデータの場合では、1画面の全体の残差信号の発生度数の分布は、0を中心として(−255〜+255)の範囲のものであり、残差が0の度数が最大となる。しかしながら、ブロックに分割した場合には、残差の度数分布がもとの分布に比してより集中したものとなる。
【0023】
これは、1画面と比較して小空間のブロック内の残差は、大きな値となるものが確率的に少なく、また、ブロック内では残差の相関が強いことに因る。従って、ブロック化された残差信号を元の量子化ビット数より少ないビット数でもって再量子化することができる。また、ブロック化された残差信号の分布において、必ずしも0の値の度数が最大とならない。例えば、ブロック内で輝度のレベルが例えば対角線方向に除々に変化する場合等では、0の値の度数が最大とならない分布が生じる。なお、残差信号の分布の集中度を高める方法は、ブロック化が一例であって、これ以外の方法も可能である。
【0024】
図2に戻って、符号化ユニット125について説明する。入力端子1からの残差信号が最大値検出回路2、最小値検出回路3、遅延回路4に供給される。最大値検出回路2では、ブロック毎の最大値MAXが検出され、最小値検出回路3では、ブロック毎の最小値MINが検出される。検出された最大値MAXおよび最小値MINがオフセット検出回路5および減算回路7へ供給される。なお、入力残差信号と同期したタイミング生成器6が設けられ、タイミング生成器6によって、残差信号のブロック位置と対応したタイミング信号が生成される。
【0025】
減算回路7では、DR=MAX−MINの演算によって、ダイナミックレンジDRが求められる。ダイナミックレンジDRが量子化ステップ計算回路8に供給される。この回路8によって、(Δ=DR/2n )により量子化ステップΔが計算される。
【0026】
オフセット検出回路5では、後述するように、ブロック化された残差信号、最大値MAXおよび最小値MINが供給され、そのブロックが0の残差信号を含む場合、最大値MAXと最小値MINに応じた複数の量子化復元値の中から最も0に近い量子化復元値が0となるように、データを補正する値、すなわち、オフセットoff が算出され、また、0の値を含む量子化コードを指示するゼロ位置フラグZRが検出される。算出されたオフセットoff は、オフセット検出回路5から減算回路9に供給される。
【0027】
減算回路9には、遅延時間補償用の遅延回路4から残差信号が供給される。減算回路9において、残差信号からオフセットoff が減算される。減算回路9からの修正された残差信号が量子化回路10に供給される。量子化回路10では、量子化ステップによって、修正残差信号が再量子化され、量子化出力qが量子化回路10から発生する。
【0028】
ここで、オフセットoff によりなされるデータの修正について概略的に図4を参照して説明する。上述したように予測符号化により発生し、ブロック化された残差信号は、図4Aに示すように、そのブロックによってさまざまな偏りを持っている。図4Aにおいて、aで示す残差信号は、負側に偏っており、bで示す残差信号は、最大度数が0の値と一致したものであり、cで示す残差信号は、正側に偏っている。図4Bは、あるブロックの残差信号の度数分布を示している。残差信号を量子化する場合では、例えばMAXおよびMINの間が5等分され、その範囲に属する残差信号に同一のコードが割り当てられる。そのコードは、復元されると、範囲の中央の代表値(矢印で示す)へ変換される。一般的には、コードのビット数がnの場合、2n の個数の範囲にMAXおよびMINの間が分割される。
【0029】
この図4Bから分かるように、一般的に残差信号の実際の0の値と量子化復元値の0の値とにずれが生じる。残差信号の0の値を0に復元することは、原信号を復元するために重要である。若し、残差信号の0の値が0に復元されない場合、その誤差が蓄積され、大きな画質劣化の原因となる。好ましくは、予測誤差の累積を防止するために、周期的にリフレッシュ用の原データを伝送するようになされる。
【0030】
この一実施例では、量子化復元値で最も0に近い値と、実際の0の値の誤差を算出し、その値をオフセットoff として、減算回路9において、残差信号から減算する。この結果、図4Bの残差信号が図4Cに示すように補正されることになり、残差信号の0が量子化復元値においても0で表現することが可能となる。また、この発明では、伝送データ量を削減するために、ダイナミックレンジ情報(DR、MIN、MAX等)を伝送しない。そのため、量子化ステップΔと、量子化出力のどこに0の値が含まれるかを示すゼロ位置フラグZRが必要とされる。さらに、この発明では、後述のように、量子化ステップΔおよびゼロ位置フラグZRの伝送も省略するものである。
【0031】
各ブロックのオフセットoff およびゼロ位置フラグZRを発生する、オフセット検出回路5の一例を図5に示す。減算器21に対してブロックの最大値MAXおよび最小値MINが供給され、MAX−MINの減算によって、ブロックのダイナミックレンジDRが算出される。ダイナミックレンジDRがゼロ位置検出回路22、コード検出回路23および演算回路25に供給される。ゼロ位置検出回路22から出力端子24にゼロ位置フラグZRが取り出され、演算回路25から出力端子26にオフセットoff が取り出される。
【0032】
オフセット検出回路5のゼロ位置検出回路22は、再量子化のビット数nとダイナミックレンジDRと最小値MINとから、下記の式(1)に基づいて、ゼロ位置フラグZRを発生する。
Figure 0003834880
〔 〕は、括弧内の値の整数化することを意味する。
【0033】
オフセット検出回路5のコード検出回路23は、再量子化のビット数nとダイナミックレンジDRと最小値MINとから、下記の式に基づいて、コードcodeを発生する。
Figure 0003834880
〔 〕は、括弧内の値の整数化することを意味する。
【0034】
演算回路25は、ダイナミックレンジDRと最小値MINとcodeとから、下記の式に基づいて、オフセットoff を発生する。
Figure 0003834880
【0035】
この発明の一実施例の量子化処理について、図6を参照してより詳細に説明する。図6Aは、あるブロックの残差信号のレベル範囲を具体的に示す。すなわち、(MIN=−5、MAX=+35、DR=40)であり、再量子化のビット数nが2とされ、従って、Δ=40/22 =10である。このブロックの残差信号が4個のレベル範囲の何れに含まれるかによって、(00)(01)(10)(11)のコードqに変換される。ゼロ位置フラグZRは、残差信号の0が含まれるコード(00)、またはこのコードを示すものである。各コードと対応する復元値は、各レベル範囲の中央の値(0、+10、+20、+30)である。
【0036】
量子化は、量子化ステップによって残差信号を除算し、商を整数化する処理である。しかしながら、残差信号のレベル値を除算したのみでは、ブロックの残差信号の相対的値(量子化出力)が決定できない。そのために、基準位置を示すものとして、ゼロ位置フラグZRが必要とされる。さらに、図6Aに示すものと異なり、ブロック化された残差信号のレベル範囲が0を跨がない場合もありうる。残差信号の最小値MINが0より大きい場合、残差信号の最大値MAXが0より小さい場合がそうである。これらの場合では、0の値の残差信号が存在するものとみなして、ゼロ位置フラグZRを生成する。
【0037】
図6Aに示される残差信号は、残差信号の0の値が量子化復元値の0と一致する。すなわち、off =0の例である。図6Aのように量子化されたデータを伝送する時に、ゼロ位置フラグZRと量子化ステップΔとコードqとを伝送すれば良い。復号側では、コードqに量子化ステップΔを乗算し、ゼロ位置フラグZRで示されるコードの復元値を0とする、逆量子化がなされる。
【0038】
図6Bは、ブロックの残差信号の他の具体的例である。オフセットoff による残差信号の修正を行わないとすると、逆量子化によって、残差信号の−3の値が復元値0とされる。オフセットoff による修正を行うことによって、図6Cに示すように、残差信号の0の値を量子化復元値の0と一致させることができる。
【0039】
上述した量子化の場合では、量子化ステップΔおよびゼロ位置フラグZRを伝送する必要がある。この発明の一実施例は、これらの付加情報のデータ量をより削減するものである。すなわち、伝送データ量を削減するために、例外処理を除くと、これらの付加情報を伝送しない。例外処理は、ブロックが画面の周辺部に位置するために、予測に必要な周辺のブロックの付加情報が存在しない場合になされる。例外処理では、生成された量子化ステップΔおよびゼロ位置フラグZRを伝送する。
【0040】
図2に戻って説明すると、量子化回路10では、オフセットoff により修正された残差信号が量子化ステップΔにより再量子化され、量子化出力qが生成される。この場合に使用する量子化ステップおよびゼロ位置フラグは、スイッチング回路13a、13bを介して供給される。スイッチング回路13aは、オフセット検出回路5において検出されたゼロ位置フラグZRと、クラス分類適応予測回路12aにより予測された予測値ZR’とを選択する。スイッチング回路13bは、量子化ステップ計算回路8において計算された量子化ステップΔと、クラス分類適応予測回路12bにより予測された予測値Δ’とを選択する。
【0041】
スイッチング回路13aの出力は、クラス分類適応予測回路12aにも供給され、スイッチング回路13bの出力は、クラス分類適応予測12bにも供給される。さらに、オフセット検出回路5からのゼロ位置フラグZRがゲート回路14aを介してフレーミング回路15に供給される。量子化ステップ計算回路8の出力Δがゲート回路14bを介してフレーミング回路15に供給される。フレーミング回路15には、量子化回路10の出力qも供給される。フレーミング回路9の出力端子10には、これらの入力データが所定のフレーム構造のデータとして出力される。
【0042】
スイッチング回路13a、13b、ゲート回路14a、14bは、接続線の表記が省略されているが、タイミング生成器6からのタイミング信号で制御される。上述したように、量子化の対象のブロックが画面の周辺に位置している場合では、予測に必要な周辺のデータが存在しないために、例外処理がなされる。この例外処理では、スイッチング回路13a、13bが実際のゼロ位置フラグZRおよび量子化ステップΔを選択し、また、ゲート回路14a、14bがオンする。例外処理は、画面の周辺位置でなされるので、タイミング生成器6からは、この周辺の位置のブロックを指示するタイミング信号が発生し、このタイミング信号によって、スイッチング回路13a、13b、ゲート回路14a、14bが制御される。このように、この発明の一実施例では、例外処理では、付加情報(ZR、Δ)を伝送し、通常処理では、付加情報の伝送を省略することができる。
【0043】
クラス分類適応予測回路12aは、スイッチング回路13aからのゼロ位置フラグを使用して予測値ZR’を推定する。クラス分類適応予測回路12aは、クラス毎に予め学習により求められている予測係数x1 、x2 、x3 が記憶されているメモリを有し、供給されたゼロ位置フラグの周辺のゼロ位置フラグのパターンからクラスを決定し、そのクラスに応じて予測係数x1 、x2 、x3 を読み出す。そして、その読み出された予測係数とすでに供給されているゼロ位置フラグZRとを用いて、ゼロ位置フラグZRの予測値ZR´を推定する。
【0044】
例えば、図8Aの太線で囲まれたブロックのゼロ位置フラグZRに対応するゼロ位置フラグの予測値ZR´を推定する時、その推定対象ブロックに対して、垂直方向における1ブロック上に存在するブロック、垂直方向における1ブロック上でかつ水平方向における1ブロック前に存在するブロック(つまり、左斜め上方向に存在するブロック)および水平方向における1ブロック前に存在するブロックのゼロ位置フラグZR1 、ZR2 およびZR3 が使用される。図8は、簡単のため、1画面が(4×6=24)ブロックで構成される例を示している。これらの周辺のゼロ位置フラグZR1、ZR2およびZR3のパターンに基づいてクラスが決定され、そのクラスに対応する予め学習により求められている予測係数x1 、x2 、x3 がメモリから読み出される。そして、次の式(3)を用いて、ゼロ位置フラグの予測値ZR´が算出される。
【0045】
ZR´=x1 ×ZR1 +x2 ×ZR2 +x3 ×ZR3 (3)
【0046】
また、クラス分類適応予測回路12bは、クラス毎に予め学習により求められている予測係数y1 、y2 、y3 とが記憶されているメモリを有し、周辺の量子化ステップのパターンからクラスを決定し、そのクラスに応じて予測係数y1 、y2 、y3 を読み出す。そして、その読み出された予測係数と周辺の量子化ステップから量子化ステップの予測値Δ´を推定する。
【0047】
例えば、図8Bの太線で囲まれたブロックの量子化ステップΔに対応する量子化ステップの予測値Δ´を推定する時、その推定対象ブロックに対して、垂直方向における1ブロック上に存在するブロック、垂直方向における1ブロック上でかつ水平方向における1ブロック前に存在するブロック(つまり、左斜め上方向に存在するブロック)および水平方向における1ブロック前に存在するブロックの量子化ステップΔ1、Δ2およびΔ3が使用される。そして、供給された量子化ステップΔの周辺の量子化ステップΔ1、Δ2およびΔ3のパターンに基づいてクラスが決定され、そのクラスに対応する予め学習により求められている予測係数y1 、y2 、y3 がメモリから読み出される。そして、次の式(4)を用いて、量子化ステップの予測値Δ´が算出される。
【0048】
Δ´=y1 ×Δ1 +y2 ×Δ2 +y3 ×Δ3 (4)
【0049】
クラス分類適応予測回路12a、12bは、上述したように、予測対象ブロックの周辺のブロックのゼロ位置フラグおよび量子化ステップを使用するので、図8Cにおいて斜線で示すように、予測対象ブロックが画面の周辺部に位置する時では、例外処理が必要とされる。これらの周辺のブロックでは、前述のように、実際に求められたゼロ位置フラグZRおよび量子化ステップΔが使用される。なお、予測のためにZR4(図8A)、Δ4(図8B)で示す値を使用しても良い。この場合では、例外処理が必要とされるブロック数がより増加する。
【0050】
さらに、図7を用いて、クラス分類適応予測回路12aの構成について詳細に説明する。入力端子31からクラス分類適応予測回路12aに供給されたゼロ位置フラグは、周辺コード値形成部32に供給される。周辺コード値形成部32は、図8Aに示されるように、予測対象ブロックの周辺に存在する3つのゼロ位置フラグZR1、ZR2およびZR3をクラス分類部33に供給する。
【0051】
クラス分類部33は、3つのゼロ位置フラグZR1、ZR2およびZR3のパターンを検出し、そのパターンに対応するクラスコードを予測係数メモリ34に供給する。クラス分類部33は、1ビットADRC等で構成されており、その場合は、3ビットのクラスコードを出力する。予測係数メモリ34には、予め学習により求められたクラス毎の予測係数が記憶されており、予測係数メモリ34は、クラスコードをアドレス信号として、そのアドレス信号に対応する予測係数x1 、x2 、x3 を予測演算部36に供給する。また、予測演算部36には、遅延部35を介して3つのゼロ位置フラグZR1、ZR2およびZR3が供給される。予測演算部35は、予測係数x1 、x2 、x3 および3つのゼロ位置フラグZR1、ZR2およびZR3を用いて、ゼロ位置フラグZRの予測値ZR´を算出する。
【0052】
生成された予測値ZR´は、図2に示されるように、スイッチング回路13aに供給される。例外処理では、周辺に必要とするゼロ位置フラグが存在しないので、スイッチング回路13aがオフセット検出回路5からのゼロ位置フラグZRを選択し、通常処理では、予測されたゼロ位置フラグZR’を選択する。
【0053】
クラス分類適応予測回路12bは、上述したクラス分類適応予測回路12aと同様の構成とされる。すなわち、周辺の3個の量子化ステップΔ1、Δ2、Δ3と、予め学習により求められ、メモリに格納されている予測係数y1 、y2 、y3 とを使用して量子化ステップの予測値Δ’を生成する。生成された予測値Δ´は、図2に示されるように、スイッチング回路13bに供給される。例外処理では、周辺に必要とする量子化ステップが存在しないので、スイッチング回路13bが量子化ステップ計算回路8からの量子化ステップΔを選択し、通常処理では、予測された量子化ステップΔ’を選択する。
【0054】
次に、上述したクラス分類適応予測回路12a、12bにおいて用いられる予測係数について説明する。この予測係数は、予め学習により作成される。ここでは、ゼロ位置フラグに対応するクラス毎の予測係数x1、x2、x3を生成する際の学習の手順について説明する。予測係数x1、x2、x3は、最小自乗法により生成される。最小自乗法は、以下に述べるように適用される。
【0055】
学習時における一般化した例として、Xを入力データ(ZR1 、ZR2 、ZR3 )、Wを予測係数(x1 、x2 、x3 )、Yを予測値(ZR’)として次式(5)を考える。
観測方程式; XW=Y (5)
【0056】
【数1】
Figure 0003834880
【0057】
この観測方程式により収集されたデータに対して最小二乗法を適用する。式(1)の例では、n=3で、mが学習データ数となる。式(5)および(6)の観測方程式をもとに、次式(7)の残差方程式を考える。
【0058】
【数2】
Figure 0003834880
【0059】
式(7)の残差方程式から、各予測係数wi の最確値は、誤差の二乗和を最小にする条件が成り立つ場合と考えられる。誤差の二乗和は、次の数式で示される。
【0060】
【数3】
Figure 0003834880
【0061】
すなわち、次式(8)の条件を考慮すれば良いわけである。
【0062】
【数4】
Figure 0003834880
【0063】
式(8)のiに基づく条件を考え、これを満たすw1 、w2 、‥‥、wn を算出すれば良い。そこで、残差方程式の式(7)から次式(9)が得られる。
【0064】
【数5】
Figure 0003834880
式(8)と式(9)により次式(10)が得られる。
【0065】
【数6】
Figure 0003834880
そして、式(7)と式(10)から正規方程式として次式(11)が得られる。
【0066】
【数7】
Figure 0003834880
【0067】
式(11)の正規方程式は、未知数の数nと同じ数の方程式を立てることが可能であるので、各wi の最確値を求めることができる。そして、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)を用いて連立方程式を解く。したがって、この上述した方法を用いて、予測係数を各クラス毎に求める。
【0068】
ここで、この最小自乗法を用いた学習をソフトウェアで行う一例を図9のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1の学習データ形成において、予測係数wiを学習するために、既に知られている画像に対応した学習データが生成される。つまり、ゼロ位置フラグの予測値ZR´を推定する場合は、学習対象のゼロ位置フラグZRが生成され、量子化ステップの予測値Δ´を推定する場合は、学習対象の量子化ステップΔが生成される。なお、このように学習データを生成する際には、1つの画像のみを用いるのではなく、複数の画像を用いて多数の画像データを生成すれば、より正確な予測係数を得ることができる。
【0069】
ステップS2において、ステップS1で生成した学習データの数が予測係数を得るために必要なだけ生成されたか否かを判定する。学習データ数が満たないと判定された場合にはステップS3を実行する。ステップS3のクラス決定において、学習データをクラス分類する。クラス分類は、まず、3個の周辺コード値からクラスが決定される。3個の周辺コード値は、例えば、その推定対象ブロックに対応する値に対して、垂直方向における1ブロック上に存在するブロックに対応する値、垂直方向における1ブロック上でかつ水平方向における1ブロック前に存在するブロック(つまり、左斜め上方向に存在するブロック)に対応する値および水平方向における1ブロック前に存在するブロックに対応する値である。つまり、クラス分類適応予測回路12a、46aでは、上述した3個の周辺位置のブロックのZRを使用し、クラス分類適応予測回路12b、46bでは、上述した3個の周辺位置のブロックのΔを使用する。
【0070】
次に、ステップS4の正規方程式生成において、各クラス毎に式(11)に示す正規方程式を生成する。データ終了の判定のステップ2において、学習対象データ数の終了が確認されるまで、正規方程式の生成プロセスが繰り返される。
【0071】
そして、学習対象データ数の終了が確認された場合、このステップS2(データ終了)からステップS5の予測係数決定へ制御が移る。ステップS5(予測係数決定)では、多くの学習データより生成された、クラス毎の式(11)の正規方程式が解かれる。その連立方程式の解法として、この一例では、上述した掃き出し法が用いられる。こうして得られた各クラス毎の予測係数は、ステップS6の予測係数登録において、クラス別にアドレス分割されたROM等の記憶部に登録される。このような学習過程により、クラス分類適応予測演算部の予測係数が生成される。
【0072】
さらに、この発明は、クラス毎に予測係数が記憶された予測係数メモリを設けるとともに、予測係数メモリからの予測係数と周辺コード値とを用いて、予測演算を行う予測演算部を設けて、入力されたコード値に対応する予測値を出力する場合について述べた。しかしながら、この発明はこれに限らず、予測係数メモリと予測演算部に換えて、クラス毎に予測値が記憶された予測値メモリを設けることも可能である。その場合、予測値に記憶される予測値は、予め学習により求められており、クラス分類適用予測部の出力値に対応する。
【0073】
このような方法は、例えば、本出願人により特開平5−328185号公報において提案されている。実際に、このような予測値を求める方法として、加重平均を用いた学習方法がある。また、他の方法として、正規化による学習方法がある。
【0074】
次に、図10を参照して、図2中の復号化ユニット134の一例について説明する。エラー訂正デコーダ133からの再生、あるいは受信データが復号化ユニット134の入力端子141に供給される。フレーム分解回路142によって、残差信号のコードqと、ゼロ位置フラグZRと、量子化ステップΔとが分離される。また、タイミング生成器143が設けられ、入力データと同期してブロック位置を指示するタイミング信号が生成される。符号化ユニット125と同様に、タイミング生成器143によってスイッチング回路147a、147bを制御するタイミング信号が生成される。
【0075】
分離されたコードqが逆量子化回路144に供給され、コードqが逆量子化され、出力端子148に復元された代表値が取り出される。この代表値は、オフセットoff により修正されているので、実際の残差信号の0の値と対応して0となる。逆量子化回路144に対しては、スイッチング回路147aにより選択されたゼロ位置フラグと、スイッチング回路147bにより選択された量子化ステップとが供給される。これらの付加情報を使用してコードが代表値に変換される。出力端子148に取り出された復号残差信号がブロック分解回路135に供給される(図1参照)。
【0076】
スイッチング回路147aは、通常処理では、クラス分類適応予測回路146aからの予測値ZR’を選択する。スイッチング回路147bは、通常処理では、クラス分類適応予測回路146aからの予測値Δ’を選択する。クラス分類適応予測回路146aは、符号化ユニット125のクラス分類適応予測回路12aと同様に、周辺ブロックのゼロ位置フラグを使用して予測値ZR’を生成する。クラス分類適応予測回路146bは、符号化ユニット125のクラス分類適応予測回路12bと同様に、周辺ブロックの量子化ステップを使用して予測値Δ’を生成する。これらのクラス分類適応予測回路146a、146bについては、説明の重複を避けるために省略する。
【0077】
次に、この発明を階層符号化に対して適用した他の実施例について説明する。ここで説明する階層符号化装置は、階層間で予測を行ない、また、階層間データに対し単純な算術式を用いることで、符号化対象画素数の増加を防止することができるものである。
【0078】
図11を参照してこの階層符号化方法について説明する。図11は、一例として第1階層を最下位階層(原画)とし、第4階層を最上位階層とする4階層からなる階層間の模式図を示している。例えば、上位階層データ生成法として、空間的に対応する4画素の下位階層データの平均値を採用する場合、伝送画素数が増加しないようにできる。
【0079】
すなわち、上位階層データをM、下位階層画素値をx0 、x1 、x2 、x3 とすると、
M=1/4・(x0 +x1 +x2 +x3
によりデータMが形成される。そして、データMと、4個のデータの内の例えばx3 以外の3個のデータを伝送する。受信あるいは再生側では、
3 =4・M−(x0 +x1 +x2
という単純な算術式により非伝送画素x3 を容易に復元することができる。図11において、斜線の矩形は、非伝送画素を示している。
【0080】
図12は、上述した平均化を使用する例えば5階層の階層符号化の構成を示す。第1階層が入力画像の解像度レベルであるとする。この第1階層のブロックサイズは、(1×1)である。第2階層データは、第1階層データの4画素平均により生成される。この例では、第1階層データX1 (0)〜X1 (3)の平均値により、第2階層データX2 (0)が生成される。X2 (0)に隣接する第2階層データX2 (1)〜X2 (3)も同様に第1階層データの4画素平均により生成される。この第2階層のブロックサイズは、(1/2×1/2)である。
【0081】
さらに、第3階層データは、空間的に対応する第2階層データの4画素平均により生成される。この第3階層のブロックサイズは、(1/4×1/4)である。また、第4階層のデータも同様に第3階層のデータから生成される。この第4階層のブロックサイズは、(1/8×1/8)である。最後に、最上位階層である第5階層データX5 (0)が第4階層データX4 (0)〜X4 (3)の平均値により生成される。この第5階層のブロックサイズは、(1/16×1/16)である。
【0082】
上述した符号化対象画素数の増加を防止した階層構造データに対し、上位階層データにクラス分類適応予測を適用することで、下位階層データを予測し、下位階層データとその予測値との差分(すなわち、残差信号)を生成することで伝送データ量の削減を図ることができる。図13は、そのような符号化ユニットを示す。入力端子41を介して第1階層データd0が入力画像データd0として平均化回路42および減算器46へ供給される。第1階層データが元の解像度の画像データである。
【0083】
入力画素データd0は、平均化回路42において、1/4平均処理が実行され、階層データd1が生成される。この階層データd1は、図12に示す第2階層データに対応する。生成された階層データd1は、平均化回路43および減算器47へ供給される。
【0084】
階層データd1に対して、平均化回路43では、平均化回路42と同様な処理が施され、階層データd2が生成される。この階層データd2は、第3階層データに対応する。生成された階層データd2は、平均化回路44および減算器48へ供給される。また、平均化回路44でも同様に階層データd2に対して1/4平均処理がなされ、階層データd3が生成される。この階層データd3は、第4階層データに対応する。生成された階層データd3は、平均化回路45および減算器49へ供給される。さらに、平均化回路45でも同様に階層データd3に対して1/4平均処理がなされ、階層データd4が生成される。この階層データd4は、第5階層データに対応する。生成された階層データd4は、量子化器54へ供給される。
【0085】
そして、これら5つの階層データについて階層間で予測が行われる。先ず、第5階層においてなされる圧縮のための量子化処理は、量子化器54によりなされる。この量子化器54の出力データd21が可変長符号のエンコーダ71に供給されると共に、逆量子化器58へも供給される。エンコーダ71の出力が出力端子76に第5階層のデータとして取り出される。符号化データd21が供給された逆量子化器58の出力データd16がクラス分類適応予測回路62へ供給される。
【0086】
クラス分類適応予測回路62では、データd16を使用して予測処理がなされ、第4階層データの予測値d12が生成され、この予測値d12が減算器49へ供給される。この減算器49では、平均化回路44から供給される階層データd3と予測値d12との差分値が求められ、その差分値d8が量子化器53へ供給される。
【0087】
差分値d8が供給された量子化器53では、量子化器54と同様に量子化ビット数を低減するように、再量子化がなされる。この量子化器53の出力データが演算器66および逆量子化器57へ供給される。この演算器66では、4画素から1画素を間引く処理が行われる。演算器66から出力されるデータd20が可変長符号のエンコーダ70で符号化され、エンコーダ70の出力が出力端子75に第4階層の出力データとして取り出される。
【0088】
クラス分類適応予測回路62により予測された第4階層データd12と、逆量子化器57の出力データ(復号残差信号)d15がクラス分類適応予測回路61へ供給される。クラス分類適応予測回路61では、データd12に対してデータd15を加算することによって、第4階層のローカル復号データを形成し、このローカル復号データを使用して予測処理がなされ、第3階層データの予測値d11が生成され、この予測値d11が減算器48へ供給される。この減算器48では、平均化回路43から供給されるデータd2と予測値d11との差分値が求められ、その差分値d7が量子化器52へ供給される。
【0089】
差分値d7が供給された量子化器52の出力データが演算器65および逆量子化器56へ供給される。この演算器65では、4画素から1画素を間引く処理が行われる。演算器65から出力される第3階層データd19が可変長符号のエンコーダ69に供給され、エンコーダ69の出力が出力端子74に第3階層のデータとして取り出される。
【0090】
クラス分類適応予測回路61により予測された第3階層データd11と、量子化器52から符号化データが供給された逆量子化器56の出力データd14がクラス分類適応予測回路60へ供給される。クラス分類適応予測回路60では、データd11に対してデータd14を加算することによって、第3階層のローカル復号データを形成し、このローカル復号データを使用して予測処理がなされ、第2階層データの予測値d10が生成され、この予測値d10が減算器47へ供給される。この減算器47では、平均化回路42から供給されるデータd1と予測値d10との差分値が求められ、その差分値d6が量子化器51へ供給される。
【0091】
量子化器51の出力データは、演算器64および逆量子化器55へ供給される。この演算器64では、4画素から1画素を間引く処理が行われる。演算器64から出力される第2階層データd18が可変長符号のエンコーダ68に供給され、エンコーダ68の出力が出力端子73に第2階層のデータとして取り出される。
【0092】
クラス分類適応予測回路60により予測された第2階層データd10と、量子化器51から符号化データが供給された逆量子化器55の出力データd13がクラス分類適応予測回路59へ供給される。クラス分類適応予測回路59では、データd10に対してデータd13を加算することによって、第2階層のローカル復号データを形成し、このローカル復号データを使用して予測処理がなされ、第1階層データの予測値d9が生成され、この予測値d9が減算器46へ供給される。この減算器46では、入力端子41から供給される入力画素データd0と予測値d9との差分値が求められ、その差分値d5が量子化器50へ供給される。
【0093】
差分値d5が供給された量子化器50の出力データは、演算器63へ供給される。この演算器63では、4画素から1画素を間引く処理が行われる。演算器63から出力される第1階層データd17が可変長符号のエンコーダ67に供給され、エンコーダ67の出力が出力端子72に第1階層のデータとして取り出される。
【0094】
クラス分類適応予測回路59、60、61、62のそれぞれは、予測しようとする下位階層の画素をその空間的に近傍の複数の画素(上位階層に含まれる)のレベル分布に基づいて予測するものである。これらのクラス分類適応予測回路は、前述した図7と同様の構成とされているきで、その説明は、簡単のため省略する。
【0095】
上述した一実施例における符号化ユニット125(図2参照)と同様の構成が階層符号化のエンコーダ側にも設けられている。つまり、符号化ユニット125の構成と同様の構成を量子化器50、51、52、53、54がそれぞれ有する。
【0096】
次に、上述のエンコーダと対応する階層符号化のデコーダ側の構成例を図14に示す。エンコーダ側で生成された各階層データは、d30〜d34として入力端子81、82、83、84、85にそれぞれ供給される。そして、可変長符号のデコーダ86、87、88、89、90にて可変長符号の復号がなされる。これらのデコーダに対して、逆量子化器91、92、93、94、95がそれぞれ接続される。
【0097】
先ず、第5階層入力データd34は、逆量子化器95において、エンコーダで施された量子化に対応する復号処理が行われ、画像データd39となり、クラス分類適応予測回路107および演算器103へ供給される。また画像データd39は、第5階層の画像出力として、出力端子112から取り出される。
【0098】
クラス分類適応予測回路107では、第4階層の画像データに対してクラス分類適応予測が施され、第4階層データの予測値d47が生成される。逆量子化器94からのデータd38(すなわち、差分値)と予測値d47とが加算器99で加算される。加算器99から画像データd43が演算器103へ供給され、演算器103では、非伝送画素の値を求めるために、上述した演算が実行され、逆量子化器95から供給された画像データd39と画像データd43から第4階層の全画素値が復元される。この演算器103において、復元された全画素値は、画像データd51として、クラス分類適応予測回路106および演算器102へ供給される。また画像データd51は、第4階層の出力として、出力端子111から取り出される。
【0099】
クラス分類適応予測回路106では、第3階層の画像データに対してクラス分類適応予測が施され、第3階層データの予測値d46が生成される。逆量子化器93からのデータd37と予測値d46とが加算器98で加算される。加算器98から画像データd42が演算器102へ供給され、演算器102により非伝送画素の値が求められ、演算器103から供給された画像データd51と画像データd42から第3階層の全画素値が復元される。この演算器102において、復元された全画素値は、画像データd50として、クラス分類適応予測回路105および演算器101へ供給される。また画像データd50は、第3階層の出力として、出力端子110から取り出される。
【0100】
また、クラス分類適応予測回路105では、第2階層の画像データに対してクラス分類適応予測が施され、第2階層データの予測値d45が生成される。逆量子化器92からのデータd36と予測値d45とが加算器97で加算される。加算器97から画像データd41が演算器101へ供給され、演算器101により非伝送画素の値が求められ、演算器102から供給された画像データd50と画像データd41から第2階層の全画素値が復元される。この演算器101において、復元された全画素値は、画像データd49として、クラス分類適応予測回路104および演算器100へ供給される。また画像データd49は、第2階層の出力として、出力端子109から取り出される。
【0101】
さらに、クラス分類適応予測回路104では、第1階層の画像データに対してクラス分類適応予測が施され、第1階層データの予測値d44が生成される。逆量子化器91からのデータd35と予測値d44とが加算器96で加算される。加算器96から画像データd40が演算器100へ供給され、演算器100により非伝送画素の値が求められ、演算器101から供給された画像データd49と画像データd40から第1階層の全画素値が復元される。この演算器100において、復元された全画素値は、画像データd48として、第1階層の出力として、出力端子108から取り出される。クラス分類適応予測回路104、105、106、107のそれぞれは、図7に示すのと同様の構成を有している。
【0102】
上述した一実施例の復号化ユニット134と同様の構成を逆量子化器91、92、93、94、95がそれぞれ有する。従って、上述した階層符号化に対してこの発明を適用した他の実施例によっても、上述した一実施例と同様に、ゼロ位置フラグZRおよび量子化ステップΔを伝送する必要がなく、伝送データ量をより少なくすることができる。
【0103】
【発明の効果】
この発明は、再量子化で発生する量子化値のコードのビット数を減少させるようにした符号化(あるいは量子化)において、伝送する必要がある、付加情報(ZR、Δ)のデータ量を大幅に削減することができ、伝送データ量を一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用できる記録/再生、あるいは伝送システムの一例のブロック図である。
【図2】この発明の一実施例のブロック図である。
【図3】この発明の一実施例中の残差信号の生成と、そのブロック化の説明に用いる略線図である。
【図4】この発明の一実施例における量子化処理の説明に用いる略線図である。
【図5】この発明の一実施例中のオフセット検出回路の一例のブロック図である。
【図6】この発明の一実施例中の量子化処理の説明に用いる略線図である。
【図7】この発明の一実施例中のクラス分類適応予測回路の構成を示すブロック図である。
【図8】クラス分類適応予測回路の処理を説明するために使用する略線図である。
【図9】クラス分類適応予測回路の係数の学習方法の一例を示すフローチャートである。
【図10】この発明の一実施例における復号化ユニットのブロック図である。
【図11】階層符号化の一例の説明に用いる略線図である。
【図12】階層符号化の一例の説明に用いる略線図である。
【図13】階層符号化に対してこの発明を適用した他の実施例のエンコード側の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】この発明の他の実施例のデコード側の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
2・・・最大値検出回路,3・・・最小値検出回路,5・・・オフセット検出回路、8・・・量子化ステップ計算回路、10・・・量子化回路、12a、12b、146a、146b・・・クラス分類適応予測回路

Claims (8)

  1. 入力ディジタル情報信号を発生データ量を少なくするように符号化する情報信号符号化装置において、
    上記入力ディジタル情報信号のサンプル値同士の残差信号を生成する残差信号生成手段と、
    上記残差信号をブロック化するブロック化手段と、
    上記ブロック毎に、最大値および最小値を検出し、上記最大値および上記最小値から量子化ステップと、量子化出力中の0が含まれるコード示すゼロ位置フラグを生成するフラグ生成手段と、
    上記量子化ステップの予測値および上記ゼロ位置フラグの予測値を生成する予測手段と、
    量子化復元値で最も0に近い値と実際の0の値との差の値によって、上記ブロック化された残差信号を補正する補正手段と、
    上記補正手段によって補正された残差信号を上記量子化ステップの予測値および上記ゼロ位置フラグの予測値を使用して再量子化する量子化手段と、
    上記量子化出力を伝送する伝送手段と
    からなることを特徴とする情報信号符号化装置。
  2. 請求項1に記載の情報信号符号化装置において、
    上記予測手段は、
    予測しようとするブロックの周辺に、予測に使用するゼロ位置フラグおよび量子化ステップが存在しない場合に、上記最大値および最小値から求められた上記ゼロ位置フラグおよび上記量子化ステップを上記量子化手段に供給すると共に、伝送する、例外処理を行うことを特徴とする情報信号符号化装置。
  3. 請求項1に記載の情報信号符号化装置において、
    上記予測手段は、
    予測しようとするブロックの周辺に存在するブロックのゼロ位置フラグによりクラス分類を行い、周辺に存在するブロックのゼロ位置フラグと、
    予め学習によって、クラス毎に求められた係数との演算により、ゼロ位置フラグの予測値を生成するクラス分類適応予測手段と、
    予測しようとするブロックの周辺に存在するブロックの量子化ステップによりクラス分類を行い、周辺に存在するブロックの量子化ステップと、
    予め学習によって、クラス毎に求められた係数との演算により、量子化ステップの予測値を生成するクラス分類適応予測手段と
    からなることを特徴とする情報信号符号化装置。
  4. 請求項1に記載の情報信号符号化装置において、
    上記予測手段は、
    予測しようとするブロックの周辺に存在するブロックのゼロ位置フラグによりクラス分類を行い、予め学習によって、クラス毎に求められた、ゼロ位置フラグの予測値を生成するクラス分類適応予測手段と、
    予測しようとするブロックの周辺に存在するブロックの量子化ステップによりクラス分類を行い、予め学習によって、クラス毎に求められた、量子化ステップの予測値を生成するクラス分類適応予測手段と
    からなることを特徴とする情報信号符号化装置。
  5. 入力ディジタル情報信号を発生データ量を少なくするように符号化する情報信号符号化方法において、
    上記入力ディジタル情報信号のサンプル値同士の残差信号を生成する残差信号生成ステップと、
    上記残差信号をブロック化するブロック化ステップと、
    上記ブロック毎に、最大値および最小値を検出し、上記最大値および上記最小値から量子化ステップと、量子化出力中の0が含まれるコード示すゼロ位置フラグを生成する ラグ生成ステップと、
    上記量子化ステップの予測値および上記ゼロ位置フラグの予測値を生成する予測ステップと、
    量子化復元値で最も0に近い値と実際の0の値との差の値によって、上記ブロック化された残差信号を補正する補正ステップと、
    上記補正ステップによって補正された残差信号を上記量子化ステップの予測値および上記ゼロ位置フラグの予測値を使用して再量子化する量子化ステップと、
    上記量子化出力を伝送する伝送ステップとからなることを特徴とする情報信号符号化方法。
  6. 入力ディジタル情報信号から少なくとも第1および第2の階層データを形成し、上記第1および第2の階層データを符号化して伝送するようにした情報信号符号化装置において、
    上記第1の階層データより解像度がより低い上記第2の階層データを形成する階層データ形成手段と、
    上記第2の階層データから上記第1の階層データを予測する予測手段と、
    上記予測されたデータと上記第1の階層データとの残差信号を形成する残差信号形成手段と、
    上記残差信号をブロック化するブロック化手段と、
    上記ブロック毎に、最大値および最小値を検出し、上記最大値および上記最小値から量子化ステップと、量子化出力中の0が含まれるコード示すゼロ位置フラグを生成するフラグ生成手段と、
    上記量子化ステップの予測値および上記ゼロ位置フラグの予測値を生成する予測手段と、
    量子化復元値で最も0に近い値と実際の0の値との差の値によって、上記ブロック化された残差信号を補正する補正手段と、
    上記補正手段によって補正された残差信号を上記量子化ステップの予測値および上記ゼロ位置フラグの予測値を使用して再量子化する量子化手段と、
    上記量子化出力を伝送する伝送手段とからなることを特徴とする情報信号符号化装置。
  7. 入力ディジタル情報信号から少なくとも第1および第2の階層データを形成し、上記第1および第2の階層データを符号化して伝送するようにした情報信号符号化方法において、
    上記第1の階層データより解像度がより低い上記第2の階層データを形成する階層データ形成ステップと、
    上記第2の階層データから上記第1の階層データを予測する予測ステップと、
    上記予測されたデータと上記第1の階層データとの残差信号を形成する残差信号形成ステップと、
    上記残差信号をブロック化するブロック化ステップと、
    上記ブロック毎に、最大値および最小値を検出し、上記最大値および上記最小値から量子化ステップと、量子化出力中の0が含まれるコード示すゼロ位置フラグを生成するフラグ生成ステップと、
    上記量子化ステップの予測値および上記ゼロ位置フラグの予測値を生成する予測ステップと、
    量子化復元値で最も0に近い値と実際の0の値との差の値によって、上記ブロック化された残差信号を補正する補正ステップと、
    上記補正ステップによって補正された残差信号を上記量子化ステップの予測値および上記ゼロ位置フラグの予測値を使用して再量子化する量子化ステップと、
    上記量子化出力を伝送する伝送ステップとからなることを特徴とする情報信号符号化方法。
  8. 量子化出力中の0が含まれるゼロ位置フラグと、量子化ステップとにより量子化されたデータを復号する情報信号復号方法において、
    上記ゼロ位置フラグおよび上記量子化ステップを予測する予測ステップと、
    上記ゼロ位置フラグの予測値および上記量子化ステップの予測値により上記量子化出力を代表値へ変換する逆量子化ステップと、
    上記逆量子化ステップによって変換された残差信号をブロック分解し、元の順序へ変換する変換ステップとからなることを特徴とする情報信号復号方法。
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