JP3834731B2 - ポリウレタン積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のインストルメントパネル等の部位に用いられるポリウレタン積層体に関し、より詳しくは、発泡ポリウレタン層とポリ塩化ビニル等の表皮層とからなるポリウレタン積層体に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来より、自動車のインストルメントパネル等の部位には、発泡ポリウレタン層とポリ塩化ビニル等の表皮層とが一体となったポリウレタン積層体が用いられている。
【0003】
インストルメントパネル内には、エアバッグが収納されており、エアバッグはこのポリウレタン積層体の発泡ポリウレタン層と表皮層とを突き破って展開する。従ってポリウレタン積層体は、エアバッグのスムーズな展開を実現し得るものでなければならない。
【0004】
しかしながら、従来のポリウレタン積層体は、高熱や日光に長時間さらされることにより劣化が進み、エアバッグの展開時に問題を生じ得ることが知られていた。すなわち、表皮層が予定された破断部位で破断しないためにエアバッグがスムーズに展開しないといった問題や、また発泡ポリウレタン層や表皮層の破断片が乗員側に飛散して危険であるといった問題である。
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、表皮層から発泡ポリウレタン層への可塑剤の移行が上記問題の一因であることをつきとめ、これらの問題を生じないポリウレタン積層体を得ることに成功した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のポリウレタン積層体は、発泡ポリウレタン層と表皮層とからなるポリウレタン積層体であって、上記の課題を解決するために、発泡ポリウレタン層と表皮層が共に可塑剤を含有し、発泡ポリウレタン層の可塑剤含有量が発泡ポリウレタン層の形成に用いられるポリオール100重量部に対して5〜35重量部の割合であり、表皮層の可塑剤含有量が表皮層の形成に用いられるベースポリマー100重量部に対して50〜80重量部の割合であるものとする。
【0008】
また、請求項2に記載のように、前記表皮層の形成に用いられるベースポリマーがポリ塩化ビニルであることが好ましい。
【0009】
さらに、請求項3に記載のように、前記可塑剤はトリメリット酸エステルであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリウレタン積層体の表皮層の形成に用いられるベースポリマーの種類は特に限定されないが、従来より用いられているポリ塩化ビニル樹脂(以下、PVCと略す場合がある)、ポリオレフィン樹脂等を用いることができる。中でも、成形性及びコスト面で優れている点から、PVCの使用が好ましい。
【0011】
表皮層の厚みは、通常は0.8〜1.0mm程度であるが、これに限定されず目的に応じて変化させることができる。
【0012】
本発明のポリウレタン積層体の発泡ポリウレタン層は、従来より通常用いられるポリオール成分とイソシアネート成分とから得ることができる。
【0013】
すなわちポリオール成分の例としては、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール等のポリエーテルポリオール、カルボン酸とポリオールの重縮合から得られるポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。その中でも、成形性及びコスト面で優位なポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましい。
【0014】
イソシアネート成分の例としては、4,4´−ジフェニルメタン−ジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI等の変性MDI、2,4−トリレン−ジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トリレン−ジイソシアナート(2,6−TDI)等が挙げられる。その中でも、成形性、生産性、取扱い作業性の点で優位なポリメリックMDI等の変性MDIが好ましい。
【0015】
上記ポリオール成分とイソシアネート成分との反応においては、触媒、架橋剤、発泡剤等を適宜用いることができる。
【0016】
この発泡ポリウレタン層の厚みは、通常は7〜8mm程度であるが、これに限定されない。
【0017】
本発明で用いられる可塑剤としては、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、エポキシ化エステル等が挙げられる。
【0018】
上記のうちフタル酸エステルの例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
【0019】
上記可塑剤の中でも耐熱性に優れているトリメリット酸エステル系の使用が特に好ましく、その具体例としては、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート等が挙げられる。
【0020】
本発明は、発泡ポリウレタン層と表皮層の可塑剤含有量を所定の量とし、かつ発泡ポリウレタン層の可塑剤含有量を表皮層の可塑剤含有量よりも少なくすることを特徴とする。
【0021】
すなわち、発泡ポリウレタン層の可塑剤含有量は、上記ポリオール成分100重量部に対し5〜35重量部、好ましくは10〜20重量部の割合とする。この含有量が少なすぎると、本発明で狙いとする可塑剤の移行防止効果が得られずに表皮の劣化が生じ、一方、多すぎると、ウレタンの収縮が大きくなる等、成形性が悪化し、また形状保持性も悪化するといった問題がある。
【0022】
一方、表皮層の可塑剤含有量は、上記ベースポリマー100重量部に対して50〜80重量部、好ましくは60〜70重量部の割合とする。この含有量が少なすぎると、低温時の伸びが小さく、表皮が所定の破断部で破断しないためエアバッグの展開に支障があるという問題があり、一方、多すぎると、伸びが大きくなり過ぎ、高温時に表皮が破断し難いため、やはりエアバッグの展開に支障があるという問題がある。また、フォギングが発生し易くなるという問題もある。
【0023】
また、両者の可塑剤含有量の差は15〜75重量部の範囲内であるが、40〜60重量部の範囲が特に好ましい。この差が大きすぎると、上記した移行防止効果が得られなくなる。
【0024】
可塑剤含有量を上記のように調整することにより、表皮層から発泡ポリウレタン層への可塑剤の移行が防止でき、優れた耐熱性を得ることができる。
【0025】
なお、表皮層及び発泡ポリウレタン層には、上記以外に、充填材、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤等を必要に応じて用いることができる。
【0026】
本発明のポリウレタン積層体の製造方法は特に限定されないが、従来より用いられているモールド成形法で製造することができる。
【0027】
すなわち、加熱したモールド内にPVCパウダーを投入して、モールド表面に所定の厚みでパウダーを融着させ、冷却後、得られたPVC成形品を取り出す。このPVC成形品が表皮として用いられ、その厚みは通常は約1mm程度である。
【0028】
この表皮を表面側のモールドにセットして、ウレタン樹脂組成物を注入後、裏面側のモールドをセットして、モールド内部で発泡成形を行う。反応終了後、得られた成形体をモールドから取り出して、製品外部分を除去する。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0030】
実施例1
(1)表皮層の形成
PVCパウダー(住友化学(株)製スミリットFIX、可塑剤含有量60重量部)を約220℃に加熱したモールドに投入し、モールド表面に融着させて、冷却後、得られたPVC成形品を取り出した。このPVC成形品の厚みは0.8mmであった。
【0031】
(2)ポリウレタン層の形成
(1) で得られた表皮を表面側モールドにセットし、以下の組成からなるA成分に予め可塑剤を添加したものとB成分とを混合してこれに注入した。裏面側のモールドをセットして、そのまま5分間保持した後、得られた成形体をモールドから取り出した。ポリウレタン層の厚みは8mm、密度は0.14g/cm3 であった。
【0032】
比較例1
発泡ポリウレタン層に可塑剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン積層体を得た。各層の厚み、及び発泡ポリウレタン層の密度は、実施例1と同じであった。
【0033】
上記実施例及び比較例により得られたポリウレタン積層体から試験片を作成し、110℃の恒温槽中に保持して、500時間、1000時間、1500時間、2000時間後に、JISK6301に準拠して下記の条件で伸びを調べた。
【0034】
伸び(%)=(l−40)/40×100
l:破断時の標線間距離(mm)
ただし、試験片として引張試験ダンベル1号を用い、中心部に40mm間隔の標線を記した。
【0035】
結果を表1及び図1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
本発明のポリウレタン積層体によれば、耐熱性が優れるため、エアバッグドアに用いた場合に、表皮層が所定の部位で破断し、エアバッグがスムーズに展開する。
【0038】
特に請求項3のように、可塑剤としてトリメリット酸エステルを用いた場合は、耐熱性が特に向上し、上記効果が著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1と比較例1の積層体の熱老化試験の結果を示すグラフである。
Claims (3)
- 発泡ポリウレタン層と表皮層とからなるポリウレタン積層体であって、
前記発泡ポリウレタン層と表皮層が共に可塑剤を含有し、
前記発泡ポリウレタン層の可塑剤含有量が前記発泡ポリウレタン層の形成に用いられるポリオール100重量部に対して5〜35重量部の割合であり、
前記表皮層の可塑剤含有量が前記表皮層の形成に用いられるベースポリマー100重量部に対して50〜80重量部の割合である
ことを特徴とするポリウレタン積層体。 - 前記表皮層の形成に用いられるベースポリマーがポリ塩化ビニルである
ことを特徴とする、請求項1記載のポリウレタン積層体。 - 前記可塑剤がトリメリット酸エステルである
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のポリウレタン積層体。
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