JP3832542B2 - 発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電流励起などによって発光可能な有機発光層を用い、3次元のフォトニックバンドギャップ構造を有する発光装置に関する。
【0002】
【背景技術および発明が解決しようとする課題】
近年、フォトニック結晶を利用した半導体発光素子が検討されている(例えば、特開平9−232669号公報参照)。この種の半導体発光素子では、結晶内部に光を強く閉じ込める共振器を作成でき、きわめて高い効率でコヒーレント光が得られることが期待されている。
【0003】
しかし、半導体を用いた場合、単位媒質層(周期構造の一単位)が結晶であるため、単位媒質層の界面が不規則な状態になったり、あるいは、不純物の影響を受けるために、均一な周期構造を得にくく、そのため、優れたフォトニック結晶としての特性を持った良好な性能の発光素子が得られにくい。また、半導体を用いた場合、屈折率の異なる組合せの材料の選択に限界がある。
【0004】
本発明の目的は、3次元のフォトニックバンドギャップを利用し、きわめて高い効率でスペクトル幅が狭い光が得られ、かつ有機発光材料を用いて製造できる発光装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る発光装置は、3次元の周期的な屈折率分布を有し、フォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材の一部に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、を含む。
【0006】
この発光装置は、電流励起あるいは光励起によって発光可能な有機発光層を有する。たとえば、電流励起を利用する場合には、一対の電極層、すなわち陰極と陽極とからそれぞれ電子とホールとが有機発光層内に注入され、この電子とホールとを有機発光層で再結合させて、分子が励起状態から基底状態に戻るときに光が発生する。このとき、前記光学部材のフォトニックバンドギャップに相当する波長帯域の光は、光学部材内を伝搬できず、前記欠陥に起因するエネルギー準位に相当する波長帯域の光のみが光学部材内を伝搬できる。したがって、前記欠陥に起因するエネルギー準位の幅を規定することにより、3次元で自然放出が制約された発光スペクトル幅の非常に狭い光を高効率で得ることができる。
【0007】
本発明において、光学部材は、3次元の周期的な屈折率分布を有し、フォトニックバンドギャップを構成しうるものであればよく、たとえば回折格子状の構造、多層膜構造、柱状構造、あるいはこれらの構造の組合せから構成することができる。
【0008】
前記有機発光層と前記光学部材の前記欠陥部とは、以下の態様をとりうる。
(1)前記有機発光層は、前記欠陥部に形成され、欠陥としても機能する。
(2)前記有機発光層は、前記欠陥部の一部および前記光学部材の1種の媒質層としても機能する。
【0009】
より具体的に、本発明に係る発光装置は、以下の構成をとりうる。
【0010】
(A)発光装置は、第1の方向および該第1の方向と直交する第2の方向に周期的な屈折率分布を有し、2次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる第1の光学部材と、
前記第1の方向および第2の方向と直交する第3の方向に周期的な屈折率分布を有し、1次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる第2の光学部材と、前記第1および第2の光学部材の少なくとも一方に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含む。
【0011】
この発光装置は、第1の方向(X方向)および第2の方向(Y方向)での2次元の光の伝搬を規制する第1の光学部材と、第3の方向(Z方向)での1次元の光の伝搬を規制する第2の光学部材との組合せによって、3次元での自然放出が制約された発光スペクトル幅の非常に狭い光を高効率で得ることができる。
【0012】
(B)発光装置は、互いに直交する第1、第2および第3の方向に周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含み、
前記光学部材は、格子状に配列された柱状の第1の層を有し、該第1の層は少なくとも2種の媒質層によって周期構造が形成され、かつ、該第1の層の間に第2の層が形成されている。
【0013】
この発光装置は、格子状に配列された柱状の第1の層と、該第1の層の間に形成された第2の層とを有する光学部材によって、3次元での自然放出が制約された発光スペクトル幅の非常に狭い光を高効率で得ることができる。
【0014】
この発光装置では、前記格子は、例えば、正方格子状、三角格子状、あるいは蜂の巣格子状などの格子形態をとることができる。
【0015】
(C)発光装置は、互いに直交する第1、第2および第3の方向に周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含み、
前記光学部材は、前記第1、第2および第3の方向に、それぞれ、少なくとも2種の媒質層によって周期構造が形成されている。
【0016】
この発光装置は、前記第1、第2および第3の方向に、それぞれ、少なくとも2種の媒質層によって周期構造が形成された光学部材によって、3次元での自然放出が制約された発光スペクトル幅の非常に狭い光を高効率で得ることができる。
【0017】
(D)発光装置は、互いに直交する第1、第2および第3の方向に周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含み、
前記光学部材は、
前記第1の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第1の層と、
前記第2の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第2の層と、
前記第1の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第3の層と、
前記第2の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第4の層とが、前記第3の方向に周期的に配列され、
前記第1および第3の層では、該第1の層の最も近い2つの第1の媒質層の中央に対応した位置に、該第3の層の第1の媒質層が配置され、
前記第2および第4の層では、該第2の層の最も近い2つの第1の媒質層の中央に対応した位置に、該第4の層の第1の媒質層が配置されている。
【0018】
この発光装置は、ダイヤモンド構造を有する光学部材によって、後述する特定の方向において光の伝搬が規制され、3次元での自然放出が制約された発光スペクトル幅の非常に狭い光を高効率で得ることができる。
【0019】
(E)発光装置は、ダイヤモンド構造の第1の媒質層を有し、該第1の媒質層の間に第2の媒質層が配置され、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含む。
【0020】
この発光装置は、ダイヤモンド構造に配列された第1の媒質層を有する光学部材によって、後述する特定の方向において光の伝搬が規制され、3次元での自然放出が制約された発光スペクトル幅の非常に狭い光を高効率で得ることができる。
【0021】
(F)発光装置は、同心球状で周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー順位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含む。
【0022】
この発光装置は、同心球状で周期的な屈折率分布を有する光学部材によって、3次元方向の全てにおいて光の伝搬が規制され、発光スペクトル幅の非常に狭い光をさらに高効率で得ることができる。
【0023】
これらの発光装置は、前記有機発光層が電流励起によって発光可能な材料からなり、該有機発光層に電界を印加するための一対の電極層を含むことができる。
【0024】
これらの態様の発光装置は、さらに、ホール輸送層および電子輸送層の少なくとも一方を有することが望ましい。
【0025】
本発明によれば、有機発光層を有することにより、半導体によってフォトニックバンドギャップを構成する場合より以下の点で有利である。つまり、該有機発光層を含む発光装置では、半導体を用いた場合のように発光層の界面の不規則な状態や不純物の影響を受けやすい難点を有さず、優れたフォトニックバンドギャップによる特性が得られる。さらに、有機層により媒質層を形成する場合には、製造が容易であり、かつ、良好な屈折率の周期構造を得やすく、より優れたフォトニックバンドギャップによる特性が得られる。
【0026】
次に、本発明に係る発光装置の各部分に用いることができる材料の一部を例示する。これらの材料は、公知の材料の一部を示したにすぎず、例示したもの以外の材料を選択できることはもちろんである。
【0027】
(有機発光層)
有機発光層の材料は、所定の波長の光を得るために公知の化合物から選択される。
【0028】
このような有機化合物としては、例えば、特開平10−153967号公報に開示された、アロマティックジアミン誘導体(TPD)、オキシジアゾール誘導体(PBD)、オキシジアゾールダイマー(OXD−8)、ジスチルアリーレン誘導体(DSA)、ベリリウム−ベンゾキノリノール錯体(Bebq)、トリフェニルアミン誘導体(MTDATA)、ルブレン、キナクリドン、トリアゾール誘導体、ポリフェニレン、ポリアルキルフルオレン、ポリアルキルチオフェン、アゾメチン亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、フェナントロリンユウロピウム錯体などが使用できる。
【0029】
より具体的には、有機発光層の材料としては、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135361号公報、同2−135359号公報、同3−152184号公報、さらに、同8−248276号公報および同10−153967号公報に記載されているものなど、公知のものが使用できる。これらの化合物は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0030】
(光学部材)
光学部材の媒質層としては、公知の無機材料および有機材料を用いることができる。
【0031】
代表的な無機材料としては、例えば特開平5−273427号公報に開示されているような、TiO2、TiO2−SiO2混合物、ZnO、Nb2O5、Si3N4、Ta2O5、HfO2またはZrO2などを例示することができる。
【0032】
また、代表的な有機材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および光硬化性樹脂など、公知の樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、層の形成方法などを考慮して適宜選択される。例えば、熱および光の少なくとも一方のエネルギーによって硬化することができる樹脂を用いることで、汎用の露光装置やベイク炉、ホットプレートなどが利用できる。
【0033】
このような物質としては、例えば、本願出願人による特願平10−279439号に開示された紫外線硬化型樹脂がある。紫外線硬化型樹脂としては、アクリル系樹脂が好適である。様々な市販の樹脂や感光剤を利用することで、透明性に優れ、また、短期間の処理で硬化可能な紫外線硬化型のアクリル系樹脂を得ることができる。
【0034】
紫外線硬化型のアクリル系樹脂の基本構成の具体例としては、プレポリマー、オリゴマー、またはモノマーがあげられる。
【0035】
プレポリマーまたはオリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、ポリエーテルアクリレート類、スピロアセタール系アクリレート類等のアクリレート類、エポキシメタクリレート類、ウレタンメタクリレート類、ポリエステルメタクリレート類、ポリエーテルメタクリレート類等のメタクリレート類等が利用できる。
【0036】
モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、カルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、1,3−ブタンジオールアクリレート等の単官能性モノマー、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート等の二官能性モノマー、トリメチロールプロバントリアクリレート、トリメチロールプロバントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能性モノマーが利用できる。
【0037】
有機材料としては、他に、ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などを例示できる。
【0038】
以上、光学部材の媒質を構成する無機材料あるいは有機材料を例示したが、媒質層としては、有機発光層が媒質層として機能する場合には、この層を構成する材料も採用し得る。
【0039】
(ホール輸送層)
必要に応じて設けられるホール輸送層の材料としては、公知の光伝導材料のホール注入材料として用いられているもの、あるいは有機発光装置のホール注入層に使用されている公知のものの中から選択して用いることができる。ホール輸送層の材料は、ホールの注入あるいは電子の障壁性のいずれかの機能を有するものであり、有機物あるいは無機物のいずれでもよい。その具体例としては、例えば、特開平8−248276号公報に開示されているものを例示することができる。
【0040】
(電子輸送層)
必要に応じて設けられる電子輸送層の材料としては、陰極より注入された電子を有機発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料は公知の物質から選択することができる。その具体例としては、例えば、特開平8−248276号公報に開示されたものを例示することができる。
【0041】
(電極層)
必要に応じて設けられる陰極としては、仕事関数の小さい(例えば4eV以下)電子注入性金属、合金電気伝導性化合物およびこれらの混合物を用いることができる。このような電極物質としては、例えば特開平8−248276号公報に開示されたものを用いることができる。
【0042】
必要に応じて設けられる陽極としては、仕事関数の大きい(例えば4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を用いることができる。陽極として光学的に透明な材料を用いる場合には、CuI,ITO,SnO2,ZnOなどの導電性透明材料を用いることができ、透明性を必要としない場合には金などの金属を用いることができる。
【0043】
本発明において、光学部材はフォトニックバンドギャップを構成するように、媒質層の材料(その屈折率など)、媒質層の形状、格子や柱状部分のピッチ、格子や柱状部分の数、格子や柱状部分のアスペクト比などが調整される。
【0044】
本発明において、光学部材の形成方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。その代表例を以下に例示する。
【0045】
▲1▼リソグラフィーによる方法
ポジまたはネガレジストを紫外線やX線などで露光および現像して、レジスト層をパターニングするこにより、光学部材を作成する。ポリメチルメタクリレートあるいはノボラック系樹脂などのレジストを用いたパターニングの技術としては、例えば特開平6−224115号公報、同7−20637号公報などがある。
【0046】
また、ポリイミドをフォトリソブラフィーによりパターニングする技術としては、例えば特開平7−181689号公報および同1−221741号公報などがある。さらに、レーザアブレーションを利用して、ガラス基板上にポリメチルメタクリレートあるいは酸化チタンの光学部材を形成する技術として、例えば特開平10−59743号公報がある。
【0047】
▲2▼光照射による屈折率分布の形成による方法
光導波路の光導波部に屈折率変化を生じさせる波長の光を照射して、光導波部に屈折率の異なる部分を周期的に形成することにより光学部材を形成する。このような方法としては、特に、ポリマーあるいはポリマー前駆体の層を形成し、光照射などにより部分的に重合を行い、屈折率の異なる領域を周期的に形成させて光学部材とすることが好ましい。この種の技術として、例えば、特開平9−311238号公報、同9−178901号公報、同8−15506号公報、同5−297202号公報、同5−32523号公報、同5−39480号公報、同9−211728号公報、同10−26702号公報、同10−8300号公報、および同2−51101号公報などがある。
【0048】
▲3▼スタンピングによる方法
熱可塑性樹脂を用いたホットスタンピング(特開平6−201907号公報)、紫外線硬化型樹脂を用いたスタンピング(特願平10−279439号)、電子線硬化型樹脂を用いたスタンピング(特開平7−235075号公報)などのスタンピングによって光学部材を形成する。
【0049】
▲4▼エッチングによる方法
リソグラフィーおよびエッチング技術を用いて、薄膜を選択的に除去してパターニングし、光学部材を形成する。
【0050】
以上、光学部材の形成方法について述べたが、要するに、光学部材は互いに異なる屈折率を有する少なくとも2領域の周期構造を有すればよく、例えば、屈折率の異なる2種の材料により2領域を形成する方法、一種の材料を部分的に変性させるなどして、屈折率の異なる2領域を形成する方法、などにより形成することができる。
【0051】
また、発光装置の各層は、公知の方法で形成することができる。たとえば、有機発光層は、その材質によって好適な成膜方法が選択され、具体的には、蒸着法、スピンコート法、LB法、インクジェット法などを例示できる。
【0052】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る発光装置1000を模式的に示す、断面を有する斜視図である。発光装置1000は、基板10、陽極20、有機発光層40、陰極30、第1の光学部材100および回折格子状の第2の光学部材200を有する。
【0053】
第1の光学部材100は、その形状(寸法)や媒質の組合せに基づいて、第1の方向(X方向)および第2の方向(Y方向)に周期的な屈折率分布を有し、所定の波長帯域に対して2次元のフォトニックバンドギャップを構成する。第2の光学部材200は、その形状(寸法)や媒質の組合せに基づいて、X方向およびY方向と直交する第3の方向(Z方向)に周期的な屈折率分布を有し、所定の波長帯域に対して1次元のフォトニックバンドギャップを構成する。そして、第1の光学部材100は、第2の光学部材200の周期方向(異なる媒質層が周期的に繰り返される方向)の中間に形成され、第1の光学部材100の上側および下側にそれぞれ第2の光学部材が連続する状態で形成されている。
【0054】
第1の光学部材100は、屈折率の異なる第1の媒質層110と第2の媒質層120とが、X方向およびY方向にそれぞれ交互に配列されている。第2の光学部材200は、屈折率の異なる第1の媒質層210と第2の媒質層220とが交互に配列されている。
【0055】
第1の媒質層110と第2の媒質層120、および第1の媒質層210と第2の媒質層220とは、それぞれ周期的な分布によってフォトニックバンドギャップを形成しうる物質であればよく、その材質は特に限定されない。たとえば、第1の光学部材100においては、一方の媒質層として空気などの気体であってもよい。このように、気体の層でいわゆるエアギャップ構造の光学部材を形成する場合には、発光装置に用いる一般的な材料の選択範囲で、光学部材を構成する2媒質層の屈折率差を大きくすることができる。
【0056】
第1の光学部材100の下面には陽極20が形成され、第1の光学部材100の上面には陰極30が形成されている。これらの陽極20および陰極30は、出射光に対して光学的に透明である。陰極20と陰極30の位置は逆でもよい。このことは、他の実施の形態でも同様である。
【0057】
第1の光学部材100は、欠陥部300を有し、この欠陥部300は有機発光層40によって構成されている。つまり、本実施の形態では、第1の光学部材100の欠陥部300は、発光層40としても機能している。第1の光学部材100のX方向においては、欠陥部300は、その欠陥に起因するエネルギー準位が、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に存在するように形成される。これに対し、第1の光学部材100のY方向および第2の光学部材200のZ方向のフォトニックバンドギャップは、少なくとも有機発光層40の電流励起による発光スペクトルの波長帯域を含み、有機発光層40で発生した光がY方向およびZ方向を伝搬しないように設定される。
【0058】
つまり、Y方向についてみると、有機発光層40は欠陥部として機能しないように構成される。また、Z方向についてみると、第1の光学部材100、陽極20および陰極30から構成される積層部400は、第2の光学部材200の欠陥部として機能しないように、第2の光学部材200の少なくとも1ペアの格子を構成する。
【0059】
本実施の形態では、例えばX方向において、第1の光学部材100を構成する、欠陥部300より一方の側の光学部材100aと他方の側の光学部材100bとの光の閉じ込め状態に差を設けることにより、出射光の方向を規定できる。たとえば、図1に示すように、X方向において、欠陥部300の左側より光を出射させたい場合には、一方の光学部材100aの光の閉じ込め状態を他方の光学部材100bの光の閉じ込め状態より弱くすればよい。また、Y方向においては、Y方向での光の閉じ込め状態が、X方向の光の閉じ込め状態より強く設定されることで、光の閉じ込めがなされる。そして、Z方向においては、第2の光学部材200を構成する、積層部400の上下の光学部材200aおよび200bによって光の閉じ込めがなされる。
【0060】
光学部材の光の閉じ込めの強弱は、光学部材のペア数、光学部材を構成する媒質層の屈折率差などを考慮することによって、好ましくは光学部材のペア数によってコントロールできる。また、両者の光学部材100aおよび100bの光の閉じ込めを同程度にすれば、第1の光学部材100のX方向の両サイドから同じ程度の強弱で光を出射させることもできる。
【0061】
本実施の形態の発光装置1000は、X方向およびY方向のフォトニックバンドギャップを有する第1の光学部材100およびZ方向のフォトニックバンドギャップを有する第2の光学部材200によって、光を閉じ込めるので、X方向、Y方向およびZ方向の3次元での光伝搬が制御される。そして、その他の方向には漏れモードの光の伝搬が許容される。これらの漏れモードの光の伝搬を抑制するために、必要に応じて、光の閉じ込めを目的として、図示しないクラッド層や誘電体多層ミラーを設けることもできる。このことは、他の実施の形態でも同様である。
【0062】
次に、この発光装置1000の動作および作用について説明する。
【0063】
陽極20と陰極30とに所定の電圧が印加されることにより、陰極30から電子が、陽極20からホールが、それぞれ有機発光層40内に注入される。有機発光層40内では、この電子とホールとが再結合されることにより励起子が生成される。
【0064】
そして、第1の光学部材100のX方向では、欠陥部300(有機発光層40)の欠陥に起因するエネルギー準位の光が伝搬し、第1の光学部材100のY方向およびZ方向にフォトニックバンドギャップを有する第2の光学部材200ではY方向およびZ方向で、欠陥準位がないため光の伝搬がない。すなわち、第1の光学部材100のフォトニックバンドギャップに相当する波長帯域の光は、第1の光学部材100内を伝搬できないが、有機発光層40で発生した励起子は、欠陥に起因するエネルギー準位で基底状態に戻り、このエネルギー準位に相当する波長帯域の光のみが発生する。したがって、前記欠陥に起因するエネルギー準位によって規定された波長の光は、伝搬が許容されたX方向で光の閉じ込めの弱い方向に優先的に出射される。この光は、発光スペクトル幅が非常に狭く高い効率を有する。
【0065】
なお、本実施の形態では、X方向での光の出射について述べたが、これに限定されず、例えば、Y方向あるいはZ方向で発光層40に欠陥部を形成することで、Y方向あるいはZ方向での光の出射を行うこともできる。
【0066】
そして、本実施の形態では、有機発光層を有しており、この発光装置1000は、半導体を用いた場合のように、発光層の界面が不規則な状態になったり、あるいは、不純物の影響を受けやすい難点を有さないため、優れたフォトニックバンドギャップによる特性が得られる。これらのことは、以下に述べる他の実施の形態でも同様である。
【0067】
また、光学部材を構成する媒質層を有機層により形成する場合には、製造が容易であり、かつ、良好な屈折率の周期構造を得やすく、より優れたフォトニックバンドギャップによる特性が得られる。
【0068】
発光装置1000の光学部材100,200の製造方法および各層を構成する材料などについては、前述した方法あるいは材料などを適宜用いることができる。また、ホール輸送層および電子輸送層を必要に応じて、有機発光層と電極との間に設けることができる。これらの製造方法、材料および構成については、以下に述べる他の実施の形態でも同様である。
【0069】
(第2の実施の形態)
図2は、本実施の形態に係る発光装置2000を模式的に示す断面図である。発光装置2000は、第1の実施の形態に係る発光装置1000と、基本的構造は似ているが、第1の光学部材100の構成および出射光の方向において発光装置1000と異なる。発光装置2000は、基板10、陽極20、有機発光層40、陰極30、第1の光学部材100および第2の光学部材200を有する。
【0070】
第1の光学部材100は、第1の方向(X方向)および第2の方向(Y方向)に周期的な屈折率分布を有し、所定の波長帯域に対して2次元のフォトニックバンドギャップを構成する。第2の光学部材200は、X方向およびY方向と直交する第3の方向(Z方向)に周期的な屈折率分布を有し、所定の波長帯域に対して1次元のフォトニックバンドギャップを構成する。そして、第1の光学部材100は、第2の光学部材200の周期方向の中間に形成され、第1の光学部材100の上側および下側にそれぞれ第2の光学部材が連続する状態で形成されている。
【0071】
第1の光学部材100は、屈折率の異なる第1の媒質層110と第2の媒質層120とが、X方向およびY方向にそれぞれ交互に配列されている。そして、第2の媒質層120は、有機発光層40によって形成されている。第2の光学部材200は、屈折率の異なる第1の媒質層210と第2の媒質層220とが交互に配列されている。
【0072】
第1の媒質層110と第2の媒質層120、および第1の媒質層210と第2の媒質層220とは、それぞれ周期的な分布によってフォトニックバンドギャップを形成しうる物質であればよく、その材質は特に限定されない。たとえば、第1の光学部材100においては、第1の媒質層110は空気などの気体であってもよい。このように、気体の層でいわゆるエアギャップ構造の光学部材を形成する場合には、発光装置に用いる一般的な材料の選択範囲で、光学部材を構成する2媒質層の屈折率差を大きくすることができる。
【0073】
第1の光学部材100の下面には陽極20が形成され、第1の光学部材100の上面には陰極30が形成されている。これらの陽極20および陰極30は、出射光に対して光学的に透明である。そして、第1の光学部材100は、有機発光層40(第2の媒質層120)を有し、発光層としても機能している。
【0074】
第1の光学部材100、陽極20および陰極30から構成される積層部400は、第2の光学部材200の欠陥部として機能している。そのため、Z方向では、欠陥部(積層部400)は、その欠陥に起因するエネルギー準位が、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に存在するように設定される。これに対し、第1の光学部材100のフォトニックバンドギャップは、X方向およびY方向で、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に欠陥が存在しないように設定される。
【0075】
本実施の形態では、第2の回折格子200を構成する、欠陥部(積層部400)より一方の側の光学部材200aと他方の側の光学部材200bとの光の閉じ込め状態に差を設けることにより、出射光の方向を規定できる。たとえば、図2に示すように、欠陥部400の下側より光を出射させたい場合には、一方の光学部材200aの光の閉じ込め状態を他方の光学部材200bの光の閉じ込め状態より弱くすればよい。光学部材の光の閉じ込めの強弱は、光学部材のペア数、光学部材を構成する媒質層の屈折率差などを考慮することによってコントロールできる。また、両者の光学部材200aおよび200bの光の閉じ込めを同程度にすれば、第2の光学部材200の両サイドから同様の強度で光を出射させることもできる。
【0076】
本実施の形態の発光装置2000は、第1の実施の形態と同様に、X方向およびY方向のフォトニックバンドギャップを有する第1の光学部材100およびZ方向のフォトニックバンドギャップを有する第2の光学部材200によって、光を閉じ込めるので、X方向、Y方向およびZ方向の3次元での光伝搬が制御される。そして、その他の方向には漏れモードの光の伝搬が許容される。
【0077】
次に、この発光装置2000の動作および作用について説明する。
【0078】
陽極20と陰極30とに所定の電圧が印加されることにより、陰極30から電子が、陽極20からホールが、それぞれ有機発光層40内に注入される。有機発光層40内では、この電子とホールとが再結合されることにより励起子が生成される。そして、第2の光学部材200のZ方向では、欠陥部(積層部400)の欠陥に起因するエネルギー準位の光が伝搬し、第1の光学部材100のX方向およびY方向では欠陥準位がないため光の伝搬がない。すなわち、第2の光学部材200のフォトニックバンドギャップに相当する波長帯域の光は、第2の光学部材200内を伝搬できないが、欠陥部(積層部400)の有機発光層40で発生した励起子は、欠陥に起因するエネルギー準位で基底状態に戻り、このエネルギー準位に相当する波長帯域の光のみが発生する。したがって、前記欠陥に起因するエネルギー準位によって規定された波長の光は、光の伝搬が許容されたZ方向で、光の閉じ込めの弱い方向に優先的に出射される。この光は、発光スペクトル幅が非常に狭く高い効率を有する。
【0079】
なお、本実施の形態では、Z方向での光の出射について述べたが、これに限定されず、例えば、X方向あるいはY方向で発光層40に欠陥部を形成することで、X方向あるいはY方向での光の出射を行うこともできる。
【0080】
(第3の実施の形態)
図3は、本実施の形態に係る発光装置3000を模式的に示す断面図である。発光装置3000は、基板10、陽極20、有機発光層40、陰極30、および光学部材500を有する。
【0081】
光学部材500は、基板10上に所定の配列パターンで形成された柱状部からなる第1の層(柱状媒質層)200と、この第1の層200の相互間を埋める第2の層110とから構成されている。第1の層200は、図4の平面図に示すように、正方格子状のパターンを有している。そして、第1の層200は、互いに屈折率の異なる第1の媒質層210および第2の媒質層220を有している。そして、第2の層110は、第3の媒質層から構成されている。従って、この光学部材500は、第1の方向(X方向)、第2の方向(Y方向)および第3の方向(Z方向)に周期的な屈折率分布を有し、これらの3方向において、所定の波長帯域に対してフォトニックバンドギャップを構成する。
【0082】
第1の層200を構成する、第1の媒質層220と第2の層110とは、周期的な分布によってフォトニックバンドギャップを形成しうる物質であればよく、その材質は特に限定されない。また、第2の層110は空気などの気体であってもよい。このように、気体の層でいわゆるエアギャップ構造の光学部材を形成する場合には、発光装置に用いる一般的な材料の選択範囲で、光学部材を構成する2媒質層の屈折率差を大きくすることができる。さらに、第1の層200を構成する媒質層210および媒質層220のいずれかは、第2の層110を構成する第3の媒質層と同じ材質であってもよい。
【0083】
第1の層200は、その一部に有機発光層40を有する。そして、有機発光層40の下面には陽極20が形成され、有機発光層40の上面には陰極30が形成されている。これらの陽極20および陰極30は、出射光に対して光学的に透明である。
【0084】
有機発光層40、陽極20および陰極30から構成される積層部400は、Z方向の光の伝搬に対して欠陥部として機能している。そして、積層部400は、有機発光層40を有し、発光層としても機能している。欠陥部(積層部400)は、その欠陥に起因するエネルギー準位が、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に存在するように形成される。
【0085】
本実施の形態では、欠陥部(積層部400)より一方の側の部分200aと他方の側の部分200bとの光の閉じ込め状態に差を設けることにより、出射光の方向を規定できる。たとえば、図3に示すように、欠陥部400の下側より光を出射させたい場合には、一方の部分200aの光の閉じ込め状態を他方の部分200bの光の閉じ込め状態より弱くすればよい。
【0086】
光学部材の光の閉じ込めの強弱は、光学部材のペア数、光学部材を構成する媒質層の屈折率差などを考慮することによってコントロールできる。また、両者の部分200aおよび200bの光の閉じ込めを同程度にすれば、Z方向の両サイドから同様の強度で光を出射させることもできる。
【0087】
本実施の形態の発光装置3000は、正方格子状に配列された第1の層(柱状媒質層)200を有するので、X方向、Y方向およびZ方向の3次元での光伝搬が制御される。そして、その他の方向には漏れモードの光の伝搬が許容される。
【0088】
次に、この発光装置3000の動作および作用について説明する。
【0089】
陽極20と陰極30とに所定の電圧が印加されることにより、陰極30から電子が、陽極20からホールが、それぞれ有機発光層40内に注入される。有機発光層40内では、この電子とホールとが再結合されることにより励起子が生成される。そして、Z方向では、欠陥部(積層部400)の欠陥に起因するエネルギー準位の光が伝搬する。これに対し、X方向およびY方向では、欠陥準位がないため、光の伝搬がない。
【0090】
すなわち、第1の層(柱状媒質層)200のフォトニックバンドギャップに相当する波長帯域の光は、第1の層200内を伝搬できないが、欠陥部(積層部400)の有機発光層40で発生した励起子は、欠陥に起因するエネルギー準位で基底状態に戻り、このエネルギー準位に相当する波長帯域の光のみが発生する。したがって、前記欠陥に起因するエネルギー準位によって規定された波長の光は、光の伝搬が許容されたZ方向で、光の閉じ込めの弱い方向に優先的に出射される。この光は、発光スペクトル幅が非常に狭く高い効率を有する。
【0091】
本実施の形態では、第1の層200を構成する媒質層210,220、有機発光層40、陽極20、および陰極30などを基板10上に所定の順序で堆積した後、基板10に垂直方向に溝を形成し、この溝内に第2の層110を構成する第3の媒質層を埋め込むことにより、あるいはエアギャップの場合は、溝を利用して、比較的容易に発光装置を形成することができる。
【0092】
本実施の形態では、柱状媒質層の配列として正方格子の例について述べたが、この他にも、前記柱状媒質層としては、三角格子状、蜂の巣格子状などの配列をとることもできる。
【0093】
また、本実施の形態では、Z方向での光の出射について述べたが、これに限定されず、例えば、X方向あるいはY方向で発光層40に欠陥部を形成することで、X方向あるいはY方向での光の出射を行うこともできる。
【0094】
さらに、本実施の形態では、柱状媒質層が基板に対して垂直に形成された例について述べたが、これに限定されず、柱状媒質層は基板の平行に形成されていてもよい。
【0095】
(第4の実施の形態)
図5は、本実施の形態に係る発光装置4000を模式的に示す断面図である。発光装置4000は、基板10、陽極20、有機発光層40、陰極30、および光学部材500を有する。
【0096】
光学部材500は、第1の方向(X方向)、第2の方向(Y方向)および第3の方向(Z方向)のそれぞれに、第1の媒質層120と第2の媒質層130とが交互に配列された周期構造を有する。つまり、どの面においても、第1の媒質層120と第2の媒質層130とがモザイク状に配列されている。従って、この光学部材500は、X方向、Y方向およびZ方向に、それぞれ周期的な屈折率分布を有し、これらの3方向において、所定の波長帯域に対してフォトニックバンドギャップを構成する。
【0097】
そして、X方向およびY方向に、有機発光層40を含む層100が形成されている。この層100は、有機発光層40からなる第3の媒質層140と第4の媒質層110とによって、X方向およびY方向のそれぞれに周期構造が形成されている。そして、有機発光層40を含む層100の下面には陽極20が形成され、層100の上面には陰極30が形成されている。これらの陽極20および陰極30は、出射光に対して光学的に透明である。
【0098】
有機発光層40を含む層100、陽極20および陰極30から構成される積層部400は、Z方向の光の伝搬に対して欠陥部として機能している。つまり、Z方向において、欠陥部(積層部400)は、その欠陥に起因するエネルギー準位が、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に存在するように形成される。また、X方向およびY方向においては、積層部400は欠陥部として機能しないように構成されている。
【0099】
本実施の形態では、欠陥部(積層部400)より一方の側の部分200aと他方の側の部分200bとの光の閉じ込め状態に差を設けることにより、出射光の方向を規定できる。たとえば、図5に示すように、欠陥部400の下側より光を出射させたい場合には、一方の部分200aの光の閉じ込め状態を他方の部分200bの光の閉じ込め状態より弱くすればよい。
【0100】
光学部材の光の閉じ込めの強弱は、光学部材のペア数、光学部材を構成する媒質層の屈折率差などを考慮することによってコントロールできる。また、両者の部分200aおよび200bの光の閉じ込めを同程度にすれば、Z方向の両サイドから同様の強度で光を出射させることもできる。
【0101】
本実施の形態の発光装置4000は、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ周期的な屈折率分布を有し、X方向、Y方向およびZ方向の3次元での光伝搬が制御される。そして、その他の方向には漏れモードの光の伝搬が許容される。
【0102】
次に、この発光装置3000の動作および作用について説明する。
【0103】
陽極20と陰極30とに所定の電圧が印加されることにより、陰極30から電子が、陽極20からホールが、それぞれ有機発光層40内に注入される。有機発光層40内では、この電子とホールとが再結合されることにより励起子が生成される。そして、Z方向では、欠陥部(積層部400)の欠陥に起因するエネルギー準位の光が伝搬し、X方向およびY方向では欠陥準位がないため光の伝搬がない。すなわち、Z方向のフォトニックバンドギャップに相当する波長帯域の光は、Z方向に伝搬できないが、欠陥部(積層部400)の有機発光層40で発生した励起子は、欠陥に起因するエネルギー準位で基底状態に戻り、このエネルギー準位に相当する波長帯域の光のみが発生する。したがって、前記欠陥に起因するエネルギー準位によって規定された波長の光は、光の伝搬が許容されたZ方向で、光の閉じ込めの弱い方向に優先的に出射される。この光は、発光スペクトル幅が非常に狭く高い効率を有する。
【0104】
また、本実施の形態では、Z方向での光の出射について述べたが、これに限定されず、例えば、X方向あるいはY方向で発光層40に欠陥部を形成することで、X方向あるいはY方向での光の出射を行うこともできる。
【0105】
さらに、本実施の形態では、有機発光層40はX−Y方向の層100で一方の媒質層を構成したが、これに限定されず、図1に示すように、一部に形成されて欠陥部として機能してもよい。
【0106】
(第5の実施の形態)
図6は、本実施の形態に係る発光装置5000を模式的に示す断面図である。発光装置5000は、前述した発光装置4000と基本的な構成はよく似ているが、媒質層の積層構造が異なる。発光装置5000は、基板10、陽極20、有機発光層40、陰極30、および光学部材500を有する。
【0107】
光学部材500は、第1の方向(X方向)、第2の方向(Y方向)および第3の方向(Z方向)のそれぞれに、異なる屈折率を有する複数の媒質層が配列された周期構造を有する。
【0108】
たとえば、図6に示す例においては、光学部材500は、第1の層50aと第2の層50bとが、Z方向に交互に配列された周期構造を有する。第1の層50aは、X方向に、柱状の第1の媒質層130と柱状の第2の媒質層140とが交互に配列されている。第2の層50bは、Y方向に、柱状の第3の媒質層150と柱状の第4の媒質層160とが交互に配列されている。
【0109】
従って、この光学部材500は、X方向、Y方向およびZ方向に、それぞれ周期的な屈折率分布を有し、これらの3方向において、所定の波長帯域に対してフォトニックバンドギャップを構成する。なお、第1および第2の媒質層130および140と、第3および第4の媒質層150および160とは、少なくとも一方は同一の材料から形成されていてもよいし、異なった材料で形成されていてもよい。
【0110】
この実施の形態の周期構造は、光学部材500における部分200a,200bのそれぞれで、これらを構成する各層ごとにX方向またはY方向に周期的な屈折率分布が形成されている。
【0111】
発光装置5000では、X方向およびY方向に、有機発光層40を含む層100が形成されている。この層100は、有機発光層40からなる第5の媒質層120と第6の媒質層110とによって、X方向およびY方向のそれぞれに周期構造が形成されている。そして、この層100の下面には陽極20が形成され、層100の上面には陰極30が形成されている。これらの陽極20および陰極30は、出射光に対して光学的に透明である。
【0112】
有機発光層40を含む層100、陽極20および陰極30から構成される積層部400は、Z方向の光の伝搬に対して欠陥部として機能している。つまり、Z方向において、欠陥部(積層部400)は、その欠陥に起因するエネルギー準位が、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に存在するように形成される。また、積層部400は、X方向およびY方向では欠陥部として機能しないように設定される。
【0113】
本実施の形態では、欠陥部(積層部400)より一方の側の部分200aと他方の側の部分200bとの光の閉じ込め状態に差を設けることにより、出射光の方向を規定できる。たとえば、図6に示すように、欠陥部400の下側より光を出射させたい場合には、一方の部分200aの光の閉じ込め状態を他方の部分200bの光の閉じ込め状態より弱くすればよい。
【0114】
光学部材の光の閉じ込めの強弱は、光学部材のペア数、光学部材を構成する媒質層の屈折率差などを考慮することによってコントロールできる。また、両者の部分200aおよび200bの光の閉じ込めを同程度にすれば、Z方向の両サイドから同様の強度で光を出射させることもできる。
【0115】
本実施の形態の発光装置4000は、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ周期的な屈折率分布を有し、X方向、Y方向およびZ方向の3次元での光伝搬が制御される。そして、その他の方向には漏れモードの光の伝搬が許容される。
【0116】
次に、この発光装置5000の動作および作用について説明する。
【0117】
陽極20と陰極30とに所定の電圧が印加されることにより、陰極30から電子が、陽極20からホールが、それぞれ有機発光層40内に注入される。有機発光層40内では、この電子とホールとが再結合されることにより励起子が生成される。そして、Z方向では、欠陥部(積層部400)の欠陥に起因するエネルギー準位の光が伝搬し、X方向およびY方向では欠陥準位がないため光の伝搬がない。すなわち、Z方向のフォトニックバンドギャップに相当する波長帯域の光は、Z方向に伝搬できないが、欠陥部(積層部400)の有機発光層40で発生した励起子は、欠陥に起因するエネルギー準位で基底状態に戻り、このエネルギー準位に相当する波長帯域の光のみが発生する。したがって、前記欠陥に起因するエネルギー準位によって規定された波長の光は、光の伝搬が許容されたZ方向で、光の閉じ込めの弱い方向に優先的に出射される。この光は、発光スペクトル幅が非常に狭く高い効率を有する。
【0118】
また、本実施の形態では、Z方向での光の出射について述べたが、これに限定されず、例えば、X方向あるいはY方向で発光層40に欠陥部を形成することで、X方向あるいはY方向での光の出射を行うこともできる。
【0119】
さらに、本実施の形態では、有機発光層40はX−Y方向の層100で一方の媒質層を構成したが、これに限定されず、図1に示すように、一部に形成されてそれ自体が欠陥部として機能してもよい。
【0120】
(第6の実施の形態)
図7は、本実施の形態に係る発光装置6000を模式的に示す断面図である。発光装置6000は、前述した発光装置5000と基本的な構成はよく似ているが、媒質層の積層構造が異なる。発光装置6000は、基板10、陽極20、有機発光層40、陰極30、および光学部材500を有する。
【0121】
光学部材500は、第1の方向(X方向)、第2の方向(Y方向)および第3の方向(Z方向)のそれぞれに、異なる屈折率を有する複数の媒質層が配列された周期構造を有する。
【0122】
たとえば、図7に示す例においては、光学部材500は、第1の層60a〜第4の層60dがZ方向に配列された周期構造を有する。第1の層60aは、X方向に、柱状の第1の媒質層130と柱状の第2の媒質層140とが交互に配列されている。第2の層60bは、Y方向に、柱状の第3の媒質層150と柱状の第4の媒質層160とが交互に配列されている。第3の層60cは、X方向に、柱状の第1の媒質層130と柱状の第2の媒質層140とが交互に配列されている。第4の層60dは、Y方向に、柱状の第3の媒質層150と柱状の第4の媒質層160とが交互に配列されている。
【0123】
この実施の形態の周期構造は、第1の層60aにおいて最も近い2つの第2の媒質層140,140の中央に対応した位置に、第3の層60cにおける第2の媒質層140が配置されている。また、第2の層60bにおいて最も近い2つの第4の媒質層160,160の中央に対応した位置に、第4の層60dにおける第4の媒質層160が配置されている。すなわち、媒質層の周期方向が同じ層において、1層毎に2種の媒質層の位置がシフトした状態で形成されている。なお、第1および第2の媒質層130および140と、第3および第4の媒質層150および160とは、少なくとも一方は同一の材料から形成されていてもよいし、異なった材料で形成されていてもよい。
【0124】
この光学部材500は、図15に示すダイヤモンド構造のブリルアンゾーンのГ−K−L−K−X’により定義される複数の面方向に、それぞれ周期的な屈折率分布を有し、これらの方向において、所定の波長帯域に対してフォトニックバンドギャップを構成し、光の閉じ込めがなされる。
【0125】
発光装置6000では、X−Y方向に、有機発光層40を含む層100が形成されている。この層100は、有機発光層40からなる第5の媒質層120と第6の媒質層110とによって、Y方向に周期構造が形成されている。そして、この層100の下面には陽極20が形成され、層100の上面には陰極30が形成されている。これらの陽極20および陰極30は、出射光に対して光学的に透明である。
【0126】
有機発光層40を含む層100、陽極20および陰極30から構成される積層部400は、たとえば、Z方向が上述のフォトニックバンドギャップ構造を構成する光の閉じ込め方向での一方向である場合に、光の伝搬に対して欠陥部として機能している。つまり、Z方向において、欠陥部(積層部400)は、その欠陥に起因するエネルギー準位が、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に存在するように形成される。また、他の光の閉じ込め方向では、積層部400は欠陥部として機能しないように設定されている。
【0127】
本実施の形態では、欠陥部(積層部400)より一方の側の部分200aと他方の側の部分200bとの光の閉じ込め状態に差を設けることにより、出射光の方向を規定できる。たとえば、図7に示すように、欠陥部400の下側より光を出射させたい場合には、一方の部分200aの光の閉じ込め状態を他方の部分200bの光の閉じ込め状態より弱くすればよい。
【0128】
光学部材の光の閉じ込めの強弱は、光学部材のペア数、光学部材を構成する媒質層の屈折率差などを考慮することによってコントロールできる。また、両者の部分200aおよび200bの光の閉じ込めを同程度にすれば、Z方向の両サイドから同様の強度で光を出射させることもできる。
【0129】
本実施の形態の発光装置6000は、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ周期的な屈折率分布を有し、上述した複数の方向で3次元の光伝搬が制御される。そして、その他の方向には漏れモードの光の伝搬が許容される。
【0130】
次に、この発光装置6000の動作および作用について説明する。
【0131】
陽極20と陰極30とに所定の電圧が印加されることにより、陰極30から電子が、陽極20からホールが、それぞれ有機発光層40内に注入される。有機発光層40内では、この電子とホールとが再結合されることにより励起子が生成される。そして、上述したダイヤモンド構造のブリルアンゾーンによる面の方向であって、たとえばZ方向では、欠陥部(積層部400)の欠陥に起因するエネルギー準位の光が伝搬し、他の方向では光の伝搬がない。すなわち、Z方向のフォトニックバンドギャップに相当する波長帯域の光は、光学部材500内を伝搬できないが、欠陥部(積層部400)の有機発光層40で発生した励起子は、欠陥に起因するエネルギー準位で基底状態に戻り、このエネルギー準位に相当する波長帯域の光のみが発生する。したがって、前記欠陥に起因するエネルギー準位によって規定された波長の光は、光の伝搬が許容されたZ方向で、光の閉じ込めの弱い方向に優先的に出射される。この光は、発光スペクトル幅が非常に狭く高い効率を有する。
【0132】
また、本実施の形態では、Z方向での光の出射について述べたが、これに限定されず、他の光の閉じ込め方向で発光層40に欠陥部を形成することで、これらの方向での光の出射を行うこともできる。
【0133】
さらに、本実施の形態では、有機発光層40は層100で一方の媒質層を構成したが、これに限定されず、図1に示すように、一部に形成されてそれ自体が欠陥部として機能してもよい。
【0134】
(第7の実施の形態)
図8は、本実施の形態に係る発光装置7000を模式的に示す断面図である。発光装置7000は、基板10、陽極20、有機発光層40、陰極30、および光学部材700を有する。
【0135】
光学部材700は、いわゆるダイヤモンド構造を有し、このダイヤモンド構造の格子点に相当する部分に第1の媒質層110を有する。第1の媒質層110の相互間は、第2の媒質層120で構成されている。
【0136】
図9および図10は、ダイヤモンド構造を示す斜視図および格子点を平面的に示す図である。図8は、図9の前面F100からみた状態を示す図である。図8には、各格子点のレベルL1〜L5に相当する符号(図10参照)を付してある。ダイヤモンド構造は、これらの図に示すように、第1のレベル(L1)に5個の格子点1を、第2のレベル(1/4ピッチ)(L2)に2個の格子点2を、第3のレベル(2/4ピッチ)(L3)に4個の格子点3を、第4のレベル(3/4ピッチ)(L4)に2個の格子点4を、第5のレベル(4/4ピッチ)(L5)に5個の格子点5を有する。
【0137】
このダイヤモンド構造の光学部材700は、図15に示すダイヤモンド構造のブリルアンゾーンのГ−K−L−K−X’およびГ−L−W’−K’により定義される複数の面方向に、それぞれ周期的な屈折率分布を有し、これらの方向において、所定の波長帯域に対してフォトニックバンドギャップを構成し、光の閉じ込めがなされる。
【0138】
発光装置7000では、たとえば第3のレベル(L3)の格子点のひとつが、有機発光層40から形成されている。この有機発光層40は、欠陥部300としても機能している。そして、この有機発光層40が形成された層(L3)の下面には陽極20が形成され、層(L3)の上面には陰極30が形成されている。これらの陽極20および陰極30は、出射光に対して光学的に透明である。
【0139】
本実施の形態では、欠陥部300は、その欠陥に起因するエネルギー準位が、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に存在するように形成される。そして、欠陥部300の位置および形状などを特定することにより、光の出射方向を規定することができる。つまり、1方向から光を出射させる場合には、光学部材700のフォトニックバンドギャップは、上述したダイヤモンド構造のブリルアンゾーンの特定の方向のうち光を出射したい方向以外については、有機発光層40の電流励起による発光スペクトル内に欠陥が存在しないように設定される。また、例えば、光学部材700を構成する、欠陥部300の位置および形状などによっては、複数の方向から光を出射させることもできる。
【0140】
本実施の形態では、図9および図10に示すダイヤモンド構造の1単位を1次元、2次元または3次元の方向に複数配列することができる。
【0141】
次に、この発光装置7000の動作および作用について説明する。
【0142】
陽極20と陰極30とに所定の電圧が印加されることにより、陰極30から電子が、陽極20からホールが、それぞれ有機発光層40内に注入される。有機発光層40内では、この電子とホールとが再結合されることにより励起子が生成される。そして、上述したダイヤモンド構造のブリルアンゾーンによる面の方向であって、たとえばZ方向では、欠陥部(積層部400)の欠陥に起因するエネルギー準位の光が伝搬し、他の方向では光の伝搬がない。すなわち、Z方向のフォトニックバンドギャップに相当する波長帯域の光は、光学部材500内を伝搬できないが、欠陥部(積層部400)の有機発光層40で発生した励起子は、欠陥に起因するエネルギー準位で基底状態に戻り、このエネルギー準位に相当する波長帯域の光のみが発生する。したがって、前記欠陥に起因するエネルギー準位によって規定された波長の光は、光の伝搬が許容されたZ方向で、光の閉じ込めの弱い方向に優先的に出射される。この光は、発光スペクトル幅が非常に狭く高い効率を有する。
【0143】
また、本実施の形態では、Z方向での光の出射について述べたが、これに限定されず、他の光の閉じ込め方向で発光層40が欠陥となるように形成することで、これらの方向での光の出射を行うこともできる。
【0144】
(第8の実施の形態)
図11は、本実施の形態に係る発光装置8000を模式的に示す断面図である。この発光装置8000は、欠陥部300を構成する有機発光層40を中心にして、その周りに第1の媒質層110と第2の媒質層120とが交互に同心球状に配置された光学部材800を有する。図12は、図11においてC−C線に沿った断面図を示し、図12は、図11においてD−D線に沿った断面図を示し、図14は、図11においてE−E線に沿った断面図を示す。
【0145】
図11に示す例では、欠陥部300(有機発光層40)を中心として、その周囲に第1の媒質層110から構成される、2つの同心球体S100およびS200(鎖線で示す)を有する。たとえば、光学部材800が縦方向に9層の層(L1〜L9)で構成された場合を想定すると、各層L1〜L9での第1の媒質層110は、同心球体S100およびS200にできるだけ近似したパターンを有するように形成される。光の閉じ込めを考慮すると、第1の媒質層110によって形成される球状の層はできるだけ球体に近いほうがよいので、この発光装置8000を形成する場合には、10〜100層の堆積層を形成することが望ましい。
【0146】
また、第1の媒質層および第2の媒質層の屈折率差に応じて、特にこの屈折率差が小さいほど光の閉じ込めをより完全にするため、上述の堆積層の数を多くすることが好ましい。
【0147】
この構造の発光装置8000では、3次元方向の全てにおいて光の伝搬が規制され、前述の実施の形態に比べてさらに光の閉じ込めが強い。この例の場合、欠陥部300を構成する有機発光層40は、平面形状が楕円形をなしているが、そのほかにも欠陥として機能すればその形状は特定されない。この構造の発光装置8000においても、有機発光層や媒質層の配置および形状などによって欠陥部を規定することにより、少なくとも一方向から光を出射させることができる。
【0148】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、有機発光層を用い、3次元のフォトニックバンドギャップとしての特性を持った、発光スペクトル幅の非常に狭い高性能の発光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【図4】図3に示す発光装置を模式的に示す平面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態に係る発光装置を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第7の実施の形態に係る発光装置を模式的に示す図である。
【図9】図8に示す発光装置のダイヤモンド構造を示す斜視図である。
【図10】図8に示す発光装置のダイヤモンド構造を示す平面図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態に係る発光装置を模式的に示す図である。
【図12】図11のC−C線に沿った断面図である。
【図13】図11のD−D線に沿った断面図である。
【図14】図11のE−E線に沿った断面図である。
【図15】ダイヤモンド構造のブリルアンゾーンを示す図である。
【符号の説明】
10 基板
20 陽極
30 陰極
40 有機発光層
100,200 光学部材
110,120,130,140,150,210,220 媒質層
300,400 欠陥部
500,700,800 光学部材
Claims (10)
- 互いに直交する第1、第2および第3の方向に周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含み、
前記光学部材は、格子状に配列された柱状の第1の層を有し、該第1の層は少なくとも2種の媒質層によって周期構造が形成され、かつ、該第1の層の間に第2の層が形成された、発光装置。 - 請求項1において、
前記光学部材を構成する前記第1の層は、基板に対して垂直に形成された、発光装置。 - 請求項1において、
前記光学部材を構成する前記第1の層は、基板に対して平行に形成された、発光装置。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記欠陥部は、前記第1の層に形成された、発光装置。 - 互いに直交する第1、第2および第3の方向に周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含み、
前記光学部材は、前記第1、第2および第3の方向のそれぞれに、第1の媒質層と第2の媒質層とが交互に配列された周期構造を有し、
さらに、前記第1および第2の方向に有機発光層を含む層が形成され、該層は、有機発光層からなる第3の媒質層と、第4の媒質層とによって前記第1および第2の方向のそれぞれに周期構造が形成された、発光装置。 - 互いに直交する第1、第2および第3の方向に周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含み、
前記光学部材は、前記第1、第2および第3の方向に、それぞれ、少なくとも2種の媒質層によって周期構造が形成され、
前記第1の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第1の層と、前記第2の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第2の層とが、前記第3の方向に周期的に配列された、発光装置。 - 互いに直交する第1、第2および第3の方向に周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー準位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含み、
前記光学部材は、
前記第1の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第1の層と、
前記第2の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第2の層と、
前記第1の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第3の層と、
前記第2の方向に、柱状の第1の媒質層と柱状の第2の媒質層とが交互に配列された第4の層とが、前記第3の方向に周期的に配列され、
前記第1および第3の層では、該第1の層の最も近い2つの第1の媒質層の中央に対応した位置に、該第3の層の第1の媒質層が配置され、
前記第2および第4の層では、該第2の層の最も近い2つの第1の媒質層の中央に対応した位置に、該第4の層の第1の媒質層が配置される、発光装置。 - 同心球状で周期的な屈折率分布を有し、3次元のフォトニックバンドギャップを構成しうる光学部材と、
前記光学部材に形成され、欠陥に起因するエネルギー順位が所定の発光スペクトル内に存在するように設定された欠陥部と、
有機発光層と、
を含む、発光装置。 - 請求項8において、
前記欠陥部は、前記屈折率分布の同心球状構造の中心に設けられ、該欠陥部は有機発光層からなる、発光装置。 - 請求項8または9において、
前記光学部材は、屈折率の異なる第1の媒質層と第2の媒質層から構成され、該第1および第2の媒質層が前記有機発光層を中
心に同心球状に交互に配置された、発光装置。
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