JP3831662B2 - 溶接部の検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接部を構成するビードと金属部材との接合状態を検査する溶接部の検査方法に関し、特にビードの金属部材への溶け込み量を非破壊的に推定することで溶接部の健全性を調べる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
材料や製品を破壊しないでそれらの内部の様子を調べることに超音波パルスを利用することは従来より行われている。この、いわゆる超音波探傷の技術は、超音波を材料内に放射し、反射波の応答によって材料の良否を試験するものであるが、この技術は、例えば金属材料内部の欠陥を検出することに利用されるものであって、例えば溶接部の健全性を評価すること等には利用されることはなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶接部の健全性を評価することは非常に重要である。一例を挙げると、気体や液体を貯蔵する大型の設備においては、貯蔵部を形成する殻の部分を、多数の鋼板を溶接によって隙間なく継ぎ合わせて構成することが一般的であるが、この継ぎ目にあたる溶接部の健全性が確立されていないと、継ぎ目がいずれ破断する等して貯蔵されていた気体や液体の漏洩を引き起こす原因となりかねない。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、溶接部の健全性を非破壊的に調べる技術を提供することを目的としている。
【0005】
上記の課題を解決するための手段として、次のような構成の溶接部の検査方法を採用する。
すなわち、本発明に係る請求項1記載の溶接部の検査方法は、溶接部を構成するビードと金属部材との接合状態を検査する溶接部の検査方法であって、
検査面の直径が前記ビートの幅より大きい探触子を用い、前記探触子を前記ビードに当接させ、前記探触子から超音波を発振させ、前記溶接部に入射され、前記ビードから該ビードと前記金属部材との溶着部、前記金属部材へと伝播して前記溶接部とは反対側に位置する前記金属部材の側面で反射し、前記金属部材、前記溶着部から前記ビードへと伝播する前記超音波の往復伝播経路を事前に想定し、該往復伝播経路を前記超音波が伝播するのに要する伝播時間を算出し、前記超音波の発振から前記伝播時間が経過したときに前記ビードからの反射波を前記探触子により検出し、検出された前記反射波の強度に基づいて前記ビードの前記金属部材への溶け込みの状態を推定することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の溶接部の検査方法は、請求項1記載の溶接部の検査方法において、前記探触子を前記ビードの配設方向に移動させながら、前記探触子による前記超音波の発振および前記反射波の検出を行うことを特徴とする。
【0007】
溶接部においては、ビードが金属部材に溶け込むことにより、ビードと金属部材、またはビードを介して突き合わされた金属部材どうしの接合強度が高められる。ところで、ビードが金属部材に十分に溶け込んでいると、部材間の境界等はほとんど存在しないために超音波の伝播が阻害されることは少なく、この場合にはビードと金属部材との間を伝播する超音波に大きな減衰は見られない。しかしながら、金属部材へのビードの溶け込みが不十分であると、超音波の伝播を阻害する部材間の境界や欠陥が少なからず存在することになり、この場合はビードと金属部材との間を伝播する超音波に大きな減衰が見られることになる。
【0008】
本発明においては、溶接部に入射させた超音波の往復の伝播経路を事前に想定し、この往復の伝播経路を超音波が伝播するのに要する伝播時間を算出し、超音波の発振から前記伝播時間が経過したときに探触子によって検出される反射波の強度を、ビードの金属部材への溶け込み状態の評価に利用する。ビードが金属部材に十分に溶け込んでいれば、超音波の伝播を阻害する欠陥等はほとんど存在しないから、探触子には非常に大きなレベルの反射波が検出されることになる。
【0009】
また、ビードの金属部材への溶け込みが十分でなく、超音波の伝播を阻害する部材間の境界や欠陥が存在すれば、それらの大きさや数に応じて超音波の伝播が阻害されることになるから、探触子にはビードの金属部材への溶け込みの度合いに応じたレベルの反射波が検出されることになる。つまり、探触子によって検出される反射波の強度をもとに、ビードの金属部材への溶け込みの度合いを推定することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る溶接部の検査方法の第1の実施形態を図1ないし図6に示して説明する。
本実施形態において評価の対象としたのは、ガスホルダに施工される溶接部である。ガスホルダとは、例えば製鉄所等で発生する副生ガス等の気体を貯蔵するための設備であって、円筒形の筐体の周囲を等間隔に立設した支持柱(以下ではこれを基柱という)で支える構造となっている。
【0011】
図1は基柱11と筐体を構成する側板12との接合部分の平断面図である。基柱11にはH型鋼が使用されており、一方のフランジ11aの側面に側板12が溶接により固定されている。側板12には板状の鋼板12a,12bが使用されており、ウェブ11bとの接合部に沿うフランジ11aのほぼ中央で両鋼板12a,12bの側縁が溝状のルートギャップg1を隔てて突き合わされ、さらにルートギャップg1にビード13を流し込むようにして基柱11に溶接されている。ビード13は鋼板12a,12bの側縁に溶け込んで両鋼板12a,12bを接合するとともに、ルートギャップg1に露出するフランジ11aの表面に溶け込んで鋼板12a,12bを基柱11に接合している。固化した後のビード13は、鋼板12a,12bの側面(筐体の内面)にならって平滑に研削されている。
【0012】
基柱11と鋼板12a,12bとをビード13を介して溶接してなる溶接部10は、ビード13の溶け込みが不十分であるとひび割れや側板12の剥がれを生じ、ガス漏れの原因となるため、施工後に十分に検査する必要がある。
【0013】
検査にあたっては、まず、図1に示す超音波探触子(以下では単に探触子と呼ぶ)20の検査面21を筐体の内側からグリセリン等の接触媒質(図示略)を介してビード13に当接したうえで、探触子20から超音波を発振させると、発振された超音波が、ビード13から基柱11(詳くは一方のフランジ11a、ウェブ11b、他方のフランジ11c)へと伝播し、溶接部10とは反対側に位置する他方のフランジ11cの側面で反射する。反射した超音波すなわち反射波は、基柱11からビード13へと逆の経路を辿って伝播するので、この反射波を探触子20で検出し、検出された反射波の強度をもとにビード13の基柱11に対する接合状態を検査する。
【0014】
探触子20を接続された波形表示装置には、超音波の伝播距離に応じた反射波の強度(送信波に対する反射波の強度)が、図2に示すように表示される。特に、上記の経路を辿り、距離としては側板12の板厚t1と基柱11の両フランジ11a,11b間距離t2との和の2倍を伝播して戻ってきた反射波が、他の反射波に比べて極めて強く検出される。
【0015】
しかしながら、伝播距離を2×(t1+t2)とする反射波の強度は、溶接部10の溶接の状態に応じて異なる。例えば、ビード13の基柱11への溶け込みが十分な場合は、ビード13と基柱11との間での超音波の伝播が良好になされて反射波が強く検出されるが、ビード13の基柱11への溶け込みが十分ではなくビード13と基柱11との間に欠陥等を生じている場合は、この欠陥によって超音波の伝播が阻害されるために反射波は減衰され、さほど強くは検出されない。
【0016】
そこで、この伝播距離を2×(t1+t2)とする反射波に着目し、その強度と基準強度とを比較することで溶接部10の接合状態を検査する。なお、基準強度には、実用に足ると判断される溶接部について実際に測定を行い、検出された反射波の強度を適用する。
【0017】
図1と同構造の試験体を3つ用意し、各試験体について実際に測定を実施してそれぞれの評価を行った。各試験体の寸法を以下に示す。
【0018】
測定に使用した装置の仕様を以下に示す。
[探触子] 型式;PC−5Z20N−G(動作周波数;5MHz、検査面直径;20mm、検査面にゴム保護膜付き)
[波形表示装置] パナメトリクス社製Epoch−2300
[接触媒質] グリセリン
【0019】
測定にあたっては、図3に示すように、ビード13と平行に定規30を固定し、ビード13に探触子20を当接し、20mmずつ移動させて各所において反射波の強度を測定した。また、図4に示すように、測定を行った各所を切断し、その切断面についてマクロ調査を実施してビード13の基柱11に対する溶け込み(溶着部)14の幅Wを測定するとともに溶接の状態を調べた。なお、ここでいう溶け込み幅とは、ビード13が基柱11の表面に溶け込んで十分に接合強度を得ている部分の、ビード13に直交する方向の長さである。
【0020】
上記の測定によって得られた情報から、測定を行った各所における反射波の強度(基準強度に対する反射波の強度の比率)Pと実際の溶け込み幅Wとの関係を図5に示す。
【0021】
図5を参照しつつ、反射波の強度Pが10%に満たなかった測定箇所でのマクロ調査の結果を検証すると、ビード13の基柱11への溶け込みがほとんど見られず、したがって溶け込み幅Wはルートギャップに相当する4mmには全く届かず未溶着といってよい状態であった。また、反射波の強度Pが10%以上100%未満であった測定箇所でのマクロ調査の結果を検証すると、ビード13の基柱11への溶け込みは見られるものの溶け込み幅Wは4mmに届かないものが多く、しかも空隙等の内部欠陥が多く存在するために実用に耐えるとはいい難い状態であった。反射波の強度Pが100%以上200%未満であった測定箇所でのマクロ調査の結果を検証すると、ビード13の基柱11への溶け込みは十分とはいえないものの溶け込み幅Wはほとんどが4mmに達しており、内部欠陥の数も僅かで実用に耐えられる状態であった。反射波の強度Pが200%以上であった測定箇所でのマクロ調査の結果を検証すると、溶け込み幅Wはいずれも4mmを超えており、内部欠陥も見られずビード13の基柱11への溶け込みが十分になされた完全溶け込みの状態であった。
【0022】
そこで、実際のガスホルダの支持構造を検査するひとつの方法として、図5のように、反射波の強度Pを10%未満(I)、10%以上100%未満(II)、100%以上200%未満(III)、200%以上(IV)とランク分けし、実際に測定された反射波の強度がいずれのランクに入るかで測定箇所にあたる溶接部10の接合状態を推定する。これにより、溶接部10の健全性を調べることが可能になる。
【0023】
さらに、もうひとつの検査方法として、図6のように、プロットされた各点について回帰直線を求め、さらにこの回帰直線から反射波の強度Pと溶け込み幅Wとの関係を表す近似式を求める。ここで、回帰直線は、溶け込み幅Wがルートギャップに相当する4mmとなり、反射波の強度Pが150%となる点を境に傾きを変化させるため、反射波の強度Pが150%以下の部分と150%以上の部分とで以下のような近似式を別々に求めることとする。
150%以下;W=0.027×P(mm)
150%以上;W=0.006×P+3.1±1.0(mm)
この近似式に、実際に測定された反射波の強度をあてはめて溶け込み幅Wを推定する。これによっても、溶接部10の健全性を調べることが可能になる。
【0024】
次に、本発明に係る溶接部の検査方法の第2の実施形態を図7ないし図9に示して説明する。なお、上記実施形態において既に説明した構成要素には同一符号を付して説明は省略する。
上記第1の実施形態に示したガスホルダの構造に改善を施した例を図7に示す。基柱11には図1と同形状、同寸法のH型鋼が使用されており、一方のフランジ11aの側面に側板12が溶接により固定されている。側板12には板状の鋼板12a,12bが使用されており、これら鋼板12a,12bは、フランジ11a上で向かい合う互いの側縁間に短冊状の補修板15を挟み、鋼板12aと補修板15との間に溝状のルートギャップg2を隔て、鋼板12bと補修板15との間にも同じく溝状のルートギャップg2を隔てて突き合わされ、さらに2つのルートギャップg2にそれぞれビード13を流し込むようにして基柱11に溶接されている。一方のビード13は鋼板12aおよび補修板15の側縁に溶け込んで両者を接合し、他方のビード13は鋼板12bおよび補修板15の側縁に溶け込んで両者を接合している。さらに両ビード13はルートギャップg2に露出するフランジ11aの表面に溶け込んで鋼板12a,12bおよび補修板15を基柱11に接合している。
【0025】
補修板15の板厚は側板12よりも厚いが、ルートギャップg2では両者の側縁が等しく向かい合うように、補修板15に傾斜面15aが設けられている。また、鋼板12aと補修板15との間の開先は、溶接部10の強度を増すために鋼板12aの側縁がテーパ状に形成されている。
【0026】
また、補修板15は、補修板15に形成した貫通孔(図示略)にビード16を流し込むようにして基柱11に溶接されている(これを栓溶接という)。固化した後のビード13は、鋼板12a,12bの側面(筐体の内面)にならって平滑に研削されている。
【0027】
図7の構造について、同様の試験体を5つ用意し、各試験体について実際に測定を実施してそれぞれの評価を行った。各試験体の寸法を以下に示す。
【0028】
測定に使用した装置の仕様を以下に示す。
[探触子] 型式;PC−5Z10N−G(動作周波数;5MHz、検査面直径L;10mm、検査面にゴム保護膜付き)、
[波形表示装置] パナメトリクス社製Epoch−2300、
[接触媒質] グリセリン
【0029】
測定にあたっては、上記第1の実施形態と同様に、ビード13と平行に定規を固定し、ビード13に探触子20を当接し、20mmずつ移動させて各所において反射波の強度を測定した。また、測定を行った各所を切断し、その切断面についてマクロ調査を実施してビード13の基柱11に対する溶け込み幅Wを測定するとともに溶接の状態を調べた。
【0030】
本実施形態では、上記の測定によって得られた情報から、測定を行った各所における溶け込み領域αの面積Sα、および探触子20が検査可能な領域β(検査面21に相当)の面積Sβを算出し、さらに各所における溶け込み面積比(Sα/Sβ)を算出する。なお、ここでいう溶け込み領域とは、ビード13が基柱11に十分な強度を有して溶け込んでいると見なせる領域である。図8には探触子20の検査可能領域βに溶け込み領域αを投影した図である。探触子20には、円形の検査面21の直径L(10mm;既定値)がいずれの試験体のルートギャップg2よりも大きいものが選択されているため、検査可能領域βの中央には、ルートギャップg2にならってほぼ一定の幅Wを有する溶け込み領域αが切り取られ、その両側には溶け込みがなく超音波の伝播が起こらない領域が切り取られる。
【0031】
ここで、検査可能領域βの中央を中心Oとしてルートギャップg2に沿う方向にX軸、X軸に直交してY軸をとり、溶け込み領域αのルートギャップg2に沿う境界線と検査可能領域βの境界線との交点をC(x,y)として線分OCとX軸とがなす角をθすると、
θ=sin-1(W/L)
と表されるから、溶け込み領域あるαの面積Sαは次のような数式で表される。なお、線分OCの長さは検査面21の直径Lの半分と見なす。
【数1】
また、検査可能領域βの面積Sβは、検査面21が円形であることからπL2で表されるので、測定を行った各所における溶け込み面積比(Sα/Sβ)は次のような数式で溶け込み幅Wの関数として表される。
【数2】
【0032】
そして、測定を行った各所の切断面についてマクロ調査によって得られた溶け込み幅Wを数式▲1▼に代入すると、測定を行った各所における溶け込み面積比(Sα/Sβ)が算出される。
【0033】
上記の測定によって得られた情報から、測定を行った各所における反射波の強度Pと実際の溶け込み面積比(Sα/Sβ)との関係を図9に示す。図9によると、反射波の強度Pは溶け込み面積比(Sα/Sβ)に比例することがわかる。さらに、ばらつきの誤差は最大30%程度と見なされるので、反射波の強度Pによる溶け込み面積比(Sα/Sβ)を算出する数式は、
Sα/Sβ=P/(100±30)…▲2▼
となる。
【0034】
数式▲2▼によると、反射波の強度Pが100%のときの溶け込み面積比(Sα/Sβ)は1.0となり、探触子20の検査可能領域βのすべてに溶け込みがなされて十分な溶着が確保されると見なせるが、上記の誤差を安全側に配慮すれば、反射波の強度Pが100%のときの溶け込み面積比(Sα/Sβ)は0.7となる。ちなみに、溶け込み面積比(Sα/Sβ)が0.7の場合でも溶け込み幅Wは6.0mm程度となり、ビード13は当初のルートギャップg2を越えて基柱11、側板12および補修板15の三者に跨り十分な溶着が確保される。
【0035】
また、反射波の強度Pが40%のときでも、溶け込み面積比(Sα/Sβ)は0.5程度で溶け込み幅Wは4mmを上回り、ビード13は当初のルートギャップg2を越えて基柱11、側板12および補修板15の三者に跨り十分な溶着が確保されていると見なせる。また、反射波の強度Pが20%以上40%未満となれば、溶け込み幅Wが当初のルートギャップg2にあたる4mmを下回ることになるが、ある程度の溶け込みはなされており、十分とはいえないまでも溶着が確保されているとは見なせる。しかしながら、反射波の強度Pが20%未満ともなれば、溶け込み幅Wは2mmにも満たなくなり、溶け込みが不十分で内部欠陥も発生するため未溶着といってよい状態となる。
【0036】
実際のガスホルダの支持構造を検査する方法としては、ビード13に探触子20を当接し、50mmずつ移動させて各所において反射波の強度を測定する。各測定箇所において反射波の強度Pが40%以上であれば十分な溶着が確保されていると判定する。反射波の強度Pが20%以上40%未満となっても、前後の測定個所における反射波の強度Pが40%以上であれば、実用に足る溶接状態が確保されていると判定する。連続する測定箇所において反射波の強度Pが40%未満となれば、当該の測定箇所の間を詳細に測定する。反射波の強度Pが20%未満となれば、当該の測定箇所を含む周辺を詳細に測定する。連続する測定箇所において反射波の強度Pが20%未満となれば、溶接が実用に足るものではなく再溶接を必要とすると判定する。1点でも反射波の強度Pが0%となれば、これも溶接が実用に足るものではなく再溶接を必要とすると判定する。これにより、溶接部10の健全性を調べることが可能になる。
【0037】
ところで、上記の各実施形態においては、筋状の溶接部を対象にした評価について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば栓溶接による溶接部を対象にしても正確な評価を下し得るものである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る溶接部の検査方法によれば、探触子によって検出される反射波の強度に基づいてビードの金属部材への溶け込みの度合いを推定することが可能となり、これによって溶接部の健全性をより正確に調査することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施形態を示す図であって、基柱と側板との接合部の断面図である。
【図2】 所定の伝播距離を経て探触子に検出された反射波の波形を示す図表である。
【図3】 探触子をビードに沿って移動させるための治具と移動のさせ方を示す図である。
【図4】 溶け込み幅の定義を説明するための溶接部の断面図である。
【図5】 測定を行った各所における反射波の強度Pと実際の溶け込み幅Wとの関係を示し、特に反射波の強度をランク分けして溶接部の接合状態を推定するために用いる図表である。
【図6】 測定を行った各所における反射波の強度Pと実際の溶け込み幅Wとの関係を示し、特に実際に測定された反射波の強度を近似式にあてはめて溶け込み幅Wを推定するために用いる図表である。
【図7】 本発明に係る第2の実施形態を示す図であって、基柱と側板との接合部の断面図である。
【図8】 探触子の検査可能領域に溶接部の溶け込み領域を投影した図である。
【図9】 測定を行った各所における反射波の強度Pと実際の溶け込み面積比(Sα/Sβ)との関係を示す図表である。
【符号の説明】
11 基柱
11a,11c フランジ
11b ウェブ
12a,12b 鋼板
13 ビード
14 溶け込み(溶着部)
15 補修板
20 探触子
α 溶け込み領域
β 検査可能領域
W 溶け込み幅
Claims (2)
- 溶接部を構成するビードと金属部材との接合状態を検査する溶接部の検査方法であって、
検査面の直径が前記ビートの幅より大きい探触子を用い、
前記探触子を前記ビードに当接させ、
前記探触子から超音波を発振させ、
前記溶接部に入射され、前記ビードから該ビードと前記金属部材との溶着部、前記金属部材へと伝播して前記溶接部とは反対側に位置する前記金属部材の側面で反射し、前記金属部材、前記溶着部から前記ビードへと伝播する前記超音波の往復伝播経路を事前に想定し、該往復伝播経路を前記超音波が伝播するのに要する伝播時間を算出し、前記超音波の発振から前記伝播時間が経過したときに前記ビードからの反射波を前記探触子により検出し、
検出された前記反射波の強度に基づいて前記ビードの前記金属部材への溶け込みの状態を推定することを特徴とする溶接部の検査方法。 - 前記探触子を前記ビードの配設方向に移動させながら、前記探触子による前記超音波の発振および前記反射波の検出を行うことを特徴とする請求項1記載の溶接部の検査方法。
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