JP2024055520A - 欠陥検査方法、欠陥検査装置、欠陥検査プログラム及び試験片 - Google Patents

欠陥検査方法、欠陥検査装置、欠陥検査プログラム及び試験片 Download PDF

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Kensuke Tanaka
正人 中島
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Abstract

Figure 2024055520000001
【課題】炭素鋼層とステンレス鋼溶接金属との2層構造の溶接部により接合されるクラッド鋼の溶接継手について、溶接部の内部の欠陥を適切に検査する。
【解決手段】欠陥検査方法は、炭素鋼溶接金属及びステンレス鋼溶接金属が積層された溶接部によりクラッド鋼同士を接合する溶接継手について、溶接部の内部の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、少なくとも溶接部の炭素鋼溶接金属と、溶接部とクラッド鋼との境界とを含む第1部分を、横波斜角探傷法により探傷する横波斜角工程と、少なくとも溶接部のステンレス鋼溶接金属と、ステンレス鋼溶接金属とクラッド鋼との境界とを含む第2部分を、縦波斜角探傷法により探傷する縦波斜角工程と、横波斜角工程及び縦波斜角工程における探傷結果に基づいて合否を判定する判定工程とを含む。
【選択図】図3

Description

本開示は、欠陥検査方法、欠陥検査装置、欠陥検査プログラム及び試験片に関する。
構造物同士を溶接部により接合した溶接継手について、溶接部の内部の欠陥を検査する欠陥検査方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-161441号公報
上記のような溶接継手として、例えば炭素鋼溶接金属とステンレス鋼溶接金属との2層構造を有する溶接部によりクラッド鋼同士を溶接する構成が提案されている。このような2層構造の溶接部の内部の欠陥を適切に検査する技術が求められている。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、炭素鋼溶接金属とステンレス鋼溶接金属との2層構造の溶接部により接合されるクラッド鋼の溶接継手について、溶接部の内部の欠陥を適切に検査することが可能な欠陥検査方法、欠陥検査装置、欠陥検査プログラム及び試験片を提供することを目的とする。
本開示に係る欠陥検査方法は、炭素鋼溶接金属及びステンレス鋼溶接金属が積層された溶接部によりクラッド鋼同士を接合する溶接継手について、前記溶接部の内部の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、少なくとも前記溶接部の前記炭素鋼溶接金属と、前記溶接部と前記クラッド鋼との境界とを含む第1部分を、横波斜角探傷法により探傷する横波斜角工程と、少なくとも前記溶接部の前記ステンレス鋼溶接金属と、前記ステンレス鋼溶接金属と前記クラッド鋼との境界とを含む第2部分を、縦波斜角探傷法により探傷する縦波斜角工程と、前記横波斜角工程及び前記縦波斜角工程における探傷結果に基づいて合否を判定する判定工程とを含む。
本開示に係る欠陥検査装置は、炭素鋼溶接金属及びステンレス鋼溶接金属が積層された溶接部によりクラッド鋼同士を接合する溶接継手のうち、少なくとも前記溶接部の前記炭素鋼溶接金属と、前記溶接部と前記クラッド鋼との境界とを含む第1部分を、横波斜角探傷法により探傷した第1探傷結果と、少なくとも前記溶接部の前記ステンレス鋼溶接金属と、前記ステンレス鋼溶接金属とクラッド鋼との境界とを含む第2部分を、縦波斜角探傷法により探傷した第2探傷結果とを取得する取得部と、前記第1探傷結果及び前記第2探傷結果を表示する表示部とを備える。
本開示に係る欠陥検査プログラムは、炭素鋼溶接金属及びステンレス鋼溶接金属が積層された溶接部によりクラッド鋼板を接合する溶接継手のうち、少なくとも前記溶接部の前記炭素鋼溶接金属と、前記溶接部とクラッド鋼との境界とを含む第1部分を、横波斜角探傷法により探傷した第1探傷結果と、少なくとも前記溶接部の前記ステンレス鋼溶接金属と、前記ステンレス鋼溶接金属と前記クラッド鋼との境界とを含む第2部分を、縦波斜角探傷法により探傷した第2探傷結果とを取得する取得ステップをコンピュータに実行させる。
本開示に係る試験片は、縦波探傷法に用いられる欠陥検査装置のキャリブレーションを行うための試験片であって、クラッド鋼又は炭素鋼で形成される一対の試験用鋼板と、ステンレス鋼溶接金属で形成され、前記一対の試験用鋼板を溶接し、所定径の試験用孔が形成された試験用溶接部とを備える。
本開示によれば、炭素鋼溶接金属とステンレス鋼溶接金属との2層構造の溶接部により接合されるクラッド鋼の溶接継手について、溶接部の内部の欠陥を適切に検査することが可能な欠陥検査方法、欠陥検査装置、欠陥検査プログラム及び試験片を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る欠陥検査方法の検査対象となる溶接継手の一例を示す図である。 図2Aは、本実施形態に係る欠陥検査装置の一例を模式的に示す図である。 図2Bは、ビーム路程とエコー高さとの関係の一例を示す図である。 図3は、本実施形態に係る欠陥検査方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、横波斜角工程における探傷動作の一例を模式的に示す図である。 図5は、縦波斜角工程における探傷動作の一例を模式的に示す図である。 図6Aは、本実施形態に係る試験片の一例を模式的に示す図(断面図)である。 図6Bは、本実施形態に係る試験片の一例を模式的に示す図(上面図)である。 図7は、欠陥検査装置のキャリブレーションの一例を模式的に示す図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
本実施形態に係る欠陥検査方法は、母材同士が溶接部で接合された溶接継手について、溶接部の内部の欠陥を検査する。図1は、本実施形態に係る欠陥検査方法の検査対象となる溶接継手の一例を示す図である。図1に示す溶接継手100は、例えば煙突等の構造物の一部として用いられる。図1に示すように、溶接継手100は、一対のクラッド鋼板10と、溶接部20とを有する。
一対のクラッド鋼板10は、例えばクラッド鋼であり、それぞれ厚さが同一又はほぼ同一の板状に形成される。クラッド鋼板10は、所定の間隔を空けて配置される。クラッド鋼板10は、それぞれクラッド鋼母材(炭素鋼)11と、クラッド鋼合せ材(ステンレス鋼)12とを有する。
溶接部20は、炭素鋼溶接金属21及びステンレス鋼溶接金属22が積層された構成である。炭素鋼溶接金属21は、クラッド鋼板10のクラッド鋼母材(炭素鋼)11同士を接合する。ステンレス鋼溶接金属22は、クラッド鋼板10のクラッド鋼合せ材(ステンレス鋼)12同士を接合する。ステンレス鋼溶接金属22は、クラッド鋼板10のクラッド鋼母材(炭素鋼)11の一部に跨って設けられてもよい。
図2Aは、本実施形態に係る欠陥検査装置50の一例を模式的に示す図である。本実施形態に係る欠陥検査方法では、図2Aに示す欠陥検査装置50を用いることができる。欠陥検査装置50は、探触子51と、制御部52と、表示部53とを有する。探触子51は、例えば超音波を発信し、検査対象で反射された超音波を受信する。探触子51は、受信した超音波を電気信号に変換し、探傷結果として制御部52に送信する。
制御部52は、欠陥検査装置50の動作を統括的に制御する。制御部52は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。
制御部52は、取得部54と、表示制御部55と、記憶部57とを有する。取得部54は、探触子51から送信される探傷結果を取得する。表示制御部55は、取得した探傷結果を画像として表示部53に表示させる。表示部53に表示された探傷結果に基づき、オペレータが合否の判定を行う。なお、制御部52は、取得した探傷結果に基づいて合否を判定する判定部56を有する構成であってもよい。
なお、合否の判定は所定のエコー高さを超える欠陥を検出した場合に,欠陥長さ(欠陥評価長さ又は欠陥評価長さの総和)を測定し、欠陥長さが所定の値を超えた場合に不合格とするものとする。図2Bは、ビーム路程とエコー高さとの関係の一例を示す図である。図2Bにおいては、溶接部20の厚さ方向の3点について探傷した場合について示している。また、以下の表1は、溶接継手100の板厚と欠陥評価長さの境界値との関係を示す表である。また、以下の表2は、エコー高さ領域と欠陥評価長さとの関係を示す表である。なお、表1と表2は、鋼構造建築溶接部の超音波探傷検査規準・同解説(日本建築学会)の記載に基づいて作成した。また、表3は、ステンレス建築構造溶接部の超音波探傷検査基準SSBS401-2004(日本鋼構造協会)の記載に基づいて作成した。
Figure 2024055520000002
Figure 2024055520000003
Figure 2024055520000004
図2B、表1及び表2に示すように、例えば、エコー高さが最も高い領域(V)で板厚9mmのクラッド鋼板10で欠陥評価長さが15mm以上及び欠陥評価長さ総和20mm以上、板厚42mmのクラッド鋼板10で欠陥評価長さが31.5mm以上(3t/4)、総和が42mm以上(t)を「(2)2点目」で測定された場合は不合格となる。
また、図2B、表1及び表2に示すように、例えば、エコー高さが低い領域(II)で板厚9mmのクラッド鋼板10を測定したとき欠陥評価長さが30mm以上及び欠陥評価長さ総和が40mm以上、板厚42mm(t)のクラッド鋼板10で欠陥評価長さが63mm以上(3t/2)、総和が84mm以上(2t)を「(2)2点目」で測定された場合は不合格となる。
なお、エコー高さが所定の値を超える欠陥を検出した場合(例えば、エコー高さが領域(V)であった場合、等)には、欠陥の長さを測定することなく不合格としてもよい。
また、制御部52が判定部56を有する構成である場合、判定部56は、上記の表1及び表2に記載の内容に基づいて、探傷結果に基づいて合否の判定を行うことができる。この場合、表1及び表2に記載の内容を記憶部57に予め記憶させておく。判定部56は、例えば取得したエコー高さが所定の値を超えるか否かを判定する。判定部56は、エコー高さが所定の値を超えると判定した場合、表2の記載に基づいて欠陥長さ(欠陥評価長さ又は欠陥評価長さの総和)を測定する。判定部56は、測定した欠陥評価長さ又は欠陥評価長さの総和と、予め測定される板厚とに基づいて、表1により合否を自動的に判定することができる。判定部56は、エコー高さが所定の値を超えるか否かの判定、欠陥長さの測定、及び合否の判定のうちの全てを行う構成であってもよいし、一部を行う構成であってもよい。
記憶部57は、各種の情報を記憶する。記憶部57は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部57として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部57は、取得部54、表示制御部55、判定部56の各部が所定の機能を発揮するためのプログラム、データ等を記憶する。記憶部57は、判定部56における判定を行うための教師データ、学習モデル等を記憶してもよい。
記憶部57は、例えば欠陥検査プログラムを記憶する。欠陥検査プログラムは、炭素鋼溶接金属21及びステンレス鋼溶接金属22が積層された溶接部20によりクラッド鋼板10同士を接合する溶接継手100のうち、溶接部20の炭素鋼溶接金属21と、溶接部20とクラッド鋼板10との境界R1とを含む第1部分31を、横波斜角探傷法により探傷した第1探傷結果と、溶接部20のステンレス鋼溶接金属22と、ステンレス鋼溶接金属22とクラッド鋼板10との境界R2とを含む第2部分32を、縦波斜角探傷法により探傷した第2探傷結果とを取得する取得ステップと、取得した第1探傷結果及び第2探傷結果に基づいて合否を判定する判定ステップとを、例えば制御部52等のコンピュータに実行させる。
図3は、本実施形態に係る欠陥検査方法の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施形態に係る欠陥検査方法は、横波斜角工程S10と、縦波斜角工程S20と、判定工程S30とを含む。
横波斜角工程S10では、少なくとも溶接部20の炭素鋼溶接金属21と、溶接部20とクラッド鋼板10との境界R1とを含む第1部分31を、横波斜角探傷法により探傷する。図4は、横波斜角工程S10における探傷動作の一例を模式的に示す図である。図4には、上面視(クラッド鋼合せ材12側から見た図)を併せて示している。図4に示すように、横波斜角工程S10では、探触子51を板厚によって45度~70度の屈折角αの探触子を選定し、X(溶接線と並行の距離)及びYの範囲に移動させつつ、クラッド鋼板10の一方の面及び他方の面の両側から第1部分31に超音波を照射する。Yは、例えばクラッド鋼板10の厚さを18mm、屈折角70度の接触子を選定した場合、ビーム路程1S=2t/cos(70°)=約105mm、溶接線を起点としてY=2t×tan(70°)=約99mmの範囲を動かしてよい。探触子51は、第1部分31で反射される超音波を受信し、受信した超音波を電気信号に変換して、第1探傷結果として制御部52に送信する。
第1部分31を縦波斜角探傷法により探傷しようとする場合、超音波が第1部分31の炭素鋼溶接金属21を透過しやすいため、欠陥を過大評価する可能性がある。これに対して、本実施形態のように第1部分31を横波斜角探傷法により探傷することで、欠陥の過大評価を抑制できる。
縦波斜角工程S20は、少なくとも溶接部20のステンレス鋼溶接金属22と、ステンレス鋼溶接金属22とクラッド鋼板10との境界R2とを含む第2部分32を、縦波斜角探傷法により探傷する。図5は、縦波斜角工程S20における探傷動作の一例を模式的に示す図である。図5には、上面視(クラッド鋼合せ材12側から見た図)を併せて示している。図5に示すように、探触子51を移動させつつ、クラッド鋼板10の一方の面及び他方の面の両側から第2部分32に超音波を照射する。探触子51は、第2部分32で反射される超音波を受信し、受信した超音波を電気信号に変換して、第2探傷結果として制御部52に送信する。
縦波斜角工程S20では、例えば探触子51による探傷範囲を以下のように設定することができる。探触子51を板厚によって45度~70度の屈折角βの探触子を選定し、X(溶接線と並行の距離)及びYの範囲に移動させつつ、クラッド鋼板10の一方の面及び他方の面の両側から第1部分31に超音波を照射する。Yは、例えばクラッド鋼板10の厚さを18mm、屈折角45度の接触子を選定した場合、ビーム路程0.5S=t/cos(45°)=約25mm、溶接線を起点としてY=t×tan(45°)=約18mmの範囲を動かしてよい。
そして、クラッド鋼板10の厚さをtとすると、探傷範囲の深さは、クラッド鋼合せ材(ステンレス鋼)12の表面からt/2の深さとなる範囲であり、上限範囲を10mmとすることができる。また、クラッド鋼合せ材(ステンレス鋼)12の厚さが2mmを超える場合には、上記の探傷範囲及び上限範囲のそれぞれに2mmを加算した範囲とすることができる。このように範囲を設定することで、溶接部20のステンレス鋼溶接金属22の深さを計測することなく、縦波斜角工程S20においてステンレス鋼溶接金属22の全体に亘る範囲に超音波が照射されるように第2部分32の範囲を設定できる。
第2部分32を横波斜角探傷法により探傷しようとする場合、第2部分32のステンレス鋼溶接金属22により超音波が減衰するため、ステンレス鋼溶接金属22の内部を十分に探傷することが困難である。これに対して、本実施形態のように第2部分32を縦波斜角探傷法により探傷することで、ステンレス鋼溶接金属22の内部に超音波を透過させることができるため、内部を十分に探傷することができる。
なお、縦波斜角工程S20では、上記の探傷動作に先立ち、溶接継手100に対応する試験片200を用いて欠陥検査装置のキャリブレーションを行ってもよい。図6A及び図6Bは、本実施形態に係る試験片200の一例を模式的に示す図である。図6Aは断面図を示し、図6Bは上面図(クラッド鋼合せ材112側から見た図)を示している。図6A及び図6Bに示す試験片200は、縦波探傷法に用いられる欠陥検査装置50のキャリブレーションを行うための試験片である。試験片200は、試験用鋼板110と、試験用溶接部120とを備える。
試験用鋼板110は、クラッド鋼又は炭素鋼で形成される。試験用鋼板110は、例えば上記した溶接継手100のクラッド鋼母材(炭素鋼)と同一の材料を用いてもよい。図6A及び図6Bに示す例において、試験用鋼板110は、クラッド鋼板10と同様に、クラッド鋼母材(炭素鋼)111及びクラッド鋼合せ材(ステンレス鋼)112を有する。クラッド鋼合せ材(ステンレス鋼)112は、例えばステンレスで形成される。試験用鋼板110の厚さ等の寸法、及び一対の試験用鋼板110同士の間隔については、上記した溶接継手100のクラッド鋼板10の寸法及び一対のクラッド鋼板10同士の間隔と同様とすることができる。
試験用溶接部120は、一対の試験用鋼板110を溶接する。試験用溶接部120は、例えば全体がステンレス鋼溶接金属で形成される。試験用鋼板110および試験用溶接部120は、所定径の試験用孔121が形成される。試験用孔121の径(所定径)は、3~4mm程度に設定することができる。図6A及び図6Bに示すように、試験用鋼板110及び試験用溶接部120には、エコー高さの感度調整用に探傷面から5mmずつ2箇所試験用孔121を設ける。
また、試験用鋼板110試験用溶接部120には、クラッド鋼板10の厚さをtとすると、探傷屈折角の測定用でt/2の位置に1箇所試験用孔121を設ける。なお、孔の奥行DPは、安定したエコー高さを確保するため、照射する超音波の波長、ビーム路程、探触子の幅で以下の式で設定できる。
DP=2×λ×S/D
例えば、試験用鋼板110の厚さ18mmの場合、
λ:波長(音速/周波数)音速 3230m/秒 周波数 2MHz
S:使用する最大のビーム路程(図7参照) 105mm
D:振動子(探触子51)の幅(図7参照) 14mm とすると、
DP=2×3230000/2000000×105/14
=24.255(mm)
従って24.255mm以上の奥行孔を設定することができる。
欠陥検査装置50のキャリブレーションは、縦波斜角探傷法により試験片200の試験用溶接部120を探傷して試験用孔121を適切に検知するように欠陥検査装置50の探触子51を較正する。
図7は、欠陥検査装置50のキャリブレーションの一例を模式的に示す図である。図7には、上面視(クラッド鋼合せ材12側から見た図)を併せて示している。図7に示すように、欠陥検査装置50のキャリブレーションでは、試験用鋼板110に対して、縦波斜角工程S20における探傷と同様に探触子51を移動させつつ、試験用溶接部120に超音波を照射する。探触子51は、探傷結果を制御部52に送信し、制御部52において表示制御部55が表示部53に探傷結果を画像として表示させる。
オペレータは、例えば表示部53に表示される画像を見て、試験用孔121の位置、寸法、範囲等が適切に検出されているかどうかを判断しながら、周波数と、屈折角とが適切な探触子51を選定し、探触子51で受信した超音波の感度等を調整する。
本実施形態において、試験片200は、試験用溶接部120の全体がステンレスで形成される。この場合、ステンレスを十分に含む部分でキャリブレーションを行うことができるため、縦波斜角探傷法で探傷する際に欠陥を過小評価することを抑制でき、クラッド鋼同士の2種類の溶接金属を用いる場合に比べて安全側に評価することができる。
判定工程S30は、横波斜角工程S10及び縦波斜角工程S20における探傷結果に基づいて合否を判定する。判定工程S30において、取得部54は、探触子51から送信される第1探傷結果及び第2探傷結果を取得する。表示制御部55は、取得された第1探傷結果及び第2探傷結果を表示部53に表示させる。第1探傷結果及び第2探傷結果は、例えば溶接部20の内部の状況に応じたエコー高さとして表示部53に表示される(図4、図5参照)。
オペレータは、表示部53に表示される第1探傷結果及び第2探傷結果のそれぞれを見て、例えばエコー高さが所定値を超える部分を欠陥部分とし、当該欠陥部分の欠陥長さ(欠陥評価長さ又は欠陥評価長さの総和)を求める。オペレータは、求めた欠陥部分の欠陥長さ及び当該欠陥部分のエコー高さに基づいて合否判定を行う。なお、欠陥部分の判定、欠陥長さの算出、及び合否判定の少なくとも1つを制御部52の判定部56において行ってもよい。
上記した横波斜角探傷法で探傷される第1部分31と、縦波斜角探傷法で探傷される第2部分32とは、一部が重複してもよい。以下、この部分を重複部分33(図1参照)と表記する。判定工程S30では、重複部分33について横波斜角探傷法及び縦波斜角探傷法の一方の探傷結果が不合格であると判定される場合に、横波斜角探傷法及び縦波斜角探傷法の両方の探傷結果について不合格であると判定する。この場合、両方の探傷結果における欠陥を共に修正することで、欠陥を確実に修正することができる。このように、重複部分33について、横波斜角探傷法及び縦波斜角探傷法の一方の探傷結果が不合格であると判定される場合に両方の探傷結果を不合格とすることにより、例えば一方の探傷結果による欠陥を修正しても他方の探傷結果による修正が残ってしまうような事態を回避できる。
以上のように、本開示の第1態様に係る欠陥検査方法は、炭素鋼溶接金属21及びステンレス鋼溶接金属22が積層された溶接部20によりクラッド鋼のクラッド鋼板10同士を接合する溶接継手100について、溶接部20の内部の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、少なくとも溶接部20の炭素鋼溶接金属21と、溶接部20とクラッド鋼板10との境界R1とを含む第1部分31を、横波斜角探傷法により探傷する横波斜角工程S10と、少なくとも溶接部20のステンレス鋼溶接金属22と、ステンレス鋼溶接金属22とクラッド鋼板10との境界R2とを含む第2部分32を、縦波斜角探傷法により探傷する縦波斜角工程S20と、横波斜角工程S10及び縦波斜角工程S20における探傷結果に基づいて合否を判定する判定工程S30とを含む。
この構成によれば、炭素鋼溶接金属21及びステンレス鋼溶接金属22が積層された2層構造の溶接部20の欠陥の検査において、炭素鋼溶接金属21を含む第1部分31については横波斜角探傷法により探傷し、ステンレス鋼溶接金属22を含む第2部分32については縦波斜角探傷法により探傷するため、2層構造の溶接部20の内部の欠陥を適切に検査することが可能となる。つまり、第1部分31を縦波斜角探傷法により探傷しようとする場合、超音波が第1部分31の炭素鋼溶接金属21を透過しやすいため、欠陥を過大評価する可能性がある。これに対して、第1部分31を横波斜角探傷法により探傷することで、欠陥の過大評価を抑制できる。また、第2部分32を横波斜角探傷法により探傷しようとする場合、第2部分32のステンレス鋼溶接金属22により超音波が減衰するため、ステンレス鋼溶接金属22の内部を十分に探傷することが困難である。これに対して、第2部分32を縦波斜角探傷法により探傷することで、ステンレス鋼溶接金属22の内部に超音波を透過させることができるため、内部を十分に探傷することができる。
本開示の第2態様に係る欠陥検査方法は、本開示の第1態様に係る欠陥検査方法の判定工程S30において、探傷結果においてエコー高さが所定値よりも高く、欠陥長さが所定値よりも長い場合に不合格であると判定し、第1部分31及び第2部分32のうち横波斜角探傷法及び縦波斜角探傷法の両方で重複して探傷される重複部分33について、横波斜角探傷法及び縦波斜角探傷法の一方の探傷結果が不合格であると判定される場合には、横波斜角探傷法及び縦波斜角探傷法の両方の探傷結果について不合格であると判定する。この場合、両方の探傷結果における欠陥を共に修正することで、欠陥を確実に修正することができる。このように、重複部分33について、横波斜角探傷法及び縦波斜角探傷法の一方の探傷結果が不合格であると判定される場合に両方の探傷結果を不合格とすることにより、例えば一方の探傷結果による欠陥を修正しても他方の探傷結果による修正が残ってしまうような事態を回避できる。
本開示の第3態様に係る欠陥検査方法は、本開示の第1態様又は第2態様に係る欠陥検査方法の縦波斜角工程S20において、溶接継手100に対応する試験片を用いて欠陥検査装置50のキャリブレーションを行い、試験片200は、クラッド鋼又は炭素鋼で形成される試験用鋼板110同士がステンレス鋼溶接金属で形成される試験用溶接部120により接合され、試験用溶接部120に所定径の試験用孔121が形成された構成であり、キャリブレーションは、縦波斜角探傷法により試験片200の試験用溶接部120を探傷して試験用孔121を検知するように欠陥検査装置50を較正する。したがって、縦波斜角探傷法による検出精度を向上させることができる。
本開示の第4態様に係る欠陥検査装置50は、炭素鋼溶接金属21及びステンレス鋼溶接金属22が積層された溶接部20によりクラッド鋼板10同士を接合する溶接継手100のうち、少なくとも溶接部20の炭素鋼溶接金属21と、溶接部20とクラッド鋼板10との境界とを含む第1部分31を、横波斜角探傷法により探傷した第1探傷結果と、少なくとも溶接部20のステンレス鋼溶接金属22と、ステンレス鋼溶接金属22とクラッド鋼板10との境界とを含む第2部分32を、縦波斜角探傷法により探傷した第2探傷結果とを取得する取得部54と、取得した第1探傷結果及び第2探傷結果に基づいて合否を判定する判定部56とを備える。
この構成によれば、第1探傷結果及び第2探傷結果に基づいて判定部56により合否を自動的に判定することができるため、オペレータの負担を低減できる。
本開示の第5態様に係る欠陥検査プログラムは、炭素鋼溶接金属21及びステンレス鋼溶接金属22が積層された溶接部20によりクラッド鋼板10同士を接合する溶接継手100のうち、少なくとも溶接部20の炭素鋼溶接金属21と、溶接部20とクラッド鋼板10との境界とを含む第1部分31を、横波斜角探傷法により探傷した第1探傷結果と、少なくとも溶接部20のステンレス鋼溶接金属22と、ステンレス鋼溶接金属22とクラッド鋼板10との境界とを含む第2部分32を、縦波斜角探傷法により探傷した第2探傷結果とを取得する取得ステップと、取得した第1探傷結果及び第2探傷結果に基づいて合否を判定する判定ステップとをコンピュータに実行させる。
この構成によれば、第1探傷結果及び第2探傷結果に基づいて判定部56により合否を自動的に判定することができるため、オペレータの負担を低減できる。
本開示の第6態様に係る試験片200は、縦波探傷法に用いられる欠陥検査装置50のキャリブレーションを行うための試験片200であって、クラッド鋼又は炭素鋼で形成される一対の試験用鋼板110と、ステンレス鋼溶接金属で形成され、一対の試験用鋼板110を溶接し、所定径の試験用孔121が形成された試験用溶接部120とを備える。
この構成によれば、縦波斜角探傷法による検出精度を向上させることが可能な試験片200を提供できる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記した横波斜角工程S10と縦波斜角工程S20とは、いずれを先に行ってもよい。また、判定工程S30については、横波斜角工程S10及び縦波斜角工程S20で探傷された探傷結果を表示部53に表示させながら、リアルタイムで判定を行ってもよい。
また、例えば、上記したクラッド鋼板10は、板厚9ミリ以上・直径500ミリ以上の円周接手や曲径750ミリ以上の鋼管長さ接手に使用するクラッド鋼管にも置き換えてもよい。
10 クラッド鋼板
11 クラッド鋼母材(炭素鋼)
12 クラッド鋼合せ材(ステンレス鋼)
20 溶接部
21 炭素鋼溶接金属
22 ステンレス鋼溶接金属
31 第1部分
32 第2部分
33 重複部分
50 欠陥検査装置
51 探触子
52 制御部
53 表示部
54 取得部
55 表示制御部
56 判定部
57 記憶部
100 溶接継手
110 試験用鋼板
111 試験用クラッド鋼母材(炭素鋼)
112 試験用クラッド鋼合せ材(ステンレス鋼)
120 試験用溶接部
121 試験用孔
200 試験片
R1,R2 境界
S10 横波斜角工程
S20 縦波斜角工程
S30 判定工程

Claims (8)

  1. 炭素鋼溶接金属及びステンレス鋼溶接金属が積層された溶接部によりクラッド鋼同士を接合する溶接継手について、前記溶接部の内部の欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
    少なくとも前記溶接部の前記炭素鋼溶接金属と、前記溶接部と前記クラッド鋼との境界とを含む第1部分を、横波斜角探傷法により探傷する横波斜角工程と、
    少なくとも前記溶接部の前記ステンレス鋼溶接金属と、前記ステンレス鋼溶接金属と前記クラッド鋼との境界とを含む第2部分を、縦波斜角探傷法により探傷する縦波斜角工程と、
    前記横波斜角工程及び前記縦波斜角工程における探傷結果に基づいて合否を判定する判定工程と
    を含む欠陥検査方法。
  2. 前記判定工程では、前記探傷結果においてエコー高さが所定値よりも高く、欠陥長さが所定値よりも長い場合に不合格であると判定し、前記第1部分及び前記第2部分のうち前記横波斜角探傷法及び前記縦波斜角探傷法の両方で重複して探傷される重複部分について前記横波斜角探傷法及び前記縦波斜角探傷法の一方の前記探傷結果が不合格であると判定される場合には、前記横波斜角探傷法及び前記縦波斜角探傷法の両方の前記探傷結果について不合格であると判定する
    請求項1に記載の欠陥検査方法。
  3. 前記縦波斜角工程では、前記溶接継手に対応する試験片を用いて欠陥検査装置のキャリブレーションを行い、
    前記試験片は、クラッド鋼又は炭素鋼で形成される一対の試験用鋼板同士がステンレス鋼溶接金属で形成される試験用溶接部により接合され、前記試験用溶接部に所定径の試験用孔が形成された構成であり、
    前記キャリブレーションは、前記縦波斜角探傷法により前記試験片の前記試験用溶接部を探傷して前記試験用孔を検知するように前記欠陥検査装置を較正する
    請求項1に記載の欠陥検査方法。
  4. 炭素鋼溶接金属及びステンレス鋼溶接金属が積層された溶接部によりクラッド鋼同士を接合する溶接継手のうち、少なくとも前記溶接部の前記炭素鋼溶接金属と、前記溶接部と前記クラッド鋼との境界とを含む第1部分を、横波斜角探傷法により探傷した第1探傷結果と、少なくとも前記溶接部の前記ステンレス鋼溶接金属と、前記ステンレス鋼溶接金属とクラッド鋼との境界とを含む第2部分を、縦波斜角探傷法により探傷した第2探傷結果とを取得する取得部と、
    前記第1探傷結果及び前記第2探傷結果を表示する表示部と
    を備える欠陥検査装置。
  5. 取得した前記第1探傷結果及び前記第2探傷結果に基づいて合否を判定する判定部を更に備える
    請求項4に記載の欠陥検査装置。
  6. 炭素鋼溶接金属及びステンレス鋼溶接金属が積層された溶接部によりクラッド鋼板を接合する溶接継手のうち、少なくとも前記溶接部の前記炭素鋼溶接金属と、前記溶接部とクラッド鋼との境界とを含む第1部分を、横波斜角探傷法により探傷した第1探傷結果と、少なくとも前記溶接部の前記ステンレス鋼溶接金属と、前記ステンレス鋼溶接金属と前記クラッド鋼との境界とを含む第2部分を、縦波斜角探傷法により探傷した第2探傷結果とを取得する取得ステップをコンピュータに実行させる欠陥検査プログラム。
  7. 取得した前記第1探傷結果及び前記第2探傷結果に基づいて合否を判定する判定ステップを更にコンピュータに実行させる
    請求項6に記載の欠陥検査プログラム。
  8. 縦波探傷法に用いられる欠陥検査装置のキャリブレーションを行うための試験片であって、
    クラッド鋼又は炭素鋼で形成される一対の試験用鋼板と、
    ステンレス鋼溶接金属で形成され、前記一対の試験用鋼板を溶接し、所定径の試験用孔が形成された試験用溶接部と
    を備える試験片。
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