JP3830675B2 - 自動車のフロントワイパ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロントガラスの車幅方向の両側に設けられた自動車のフロントワイパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4において、フロントガラス3の運転席及び助手席の両側には、同一方向へ同期して往復回動するフロントワイパ5が設けられている。このフロントワイパは、フロントガラス3及びフード1間のカウルルーバ2に設けられた回転駆動軸に取付けられたアームヘッド5aに、フロントガラス3に向けてばねで押しつけられ、かつワイパブレード5cを先端部に支持するワイパアーム5bの後端部をフロントガラス3に対して離接するようにヒンジ結合して構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなフロントワイパ5では、降雪時に助手席側(同図正面視で右側)のアームヘッド5aの回動範囲に溜った雪が氷結した塊になり、その往動時に図3B及びCに示すように、さらに成長したり或は駆動力により隣の運転席側のフロントワイパ5側に塊4として移動し、その復動を拘束する場合がある。また、逆に運転席側のフロントワイパ5でその復動時に復動方向に隣の助手席側のカウルルーバ2に雪が運ばれて溜った雪が、図3Bの下方に示すように、アームヘッド5aで下方へ押されて氷結し、徐々に成長してその復動を拘束する場合がある。この現象は、助手席側から雪が運ばれる可能性の少ない運転席側自体のアームヘッド5aでも自身の積雪で発生する可能性もある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて、降雪時に特に隣のフロントワイパで運ばれた雪により払拭動作が拘束されるのを簡単な構造で防止できる自動車のフロントワイパを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1により、フロントガラスの下端部及びフードの先端部間のカウルに設けられて往復回動するアームヘッドに、フロントガラスへばねで押付けられ、かつワイパブレードを先端部に支持するワイパアームの後端部がフロントガラスに対して離反可能にヒンジ結合されると共に、互いに同一方向へ往復の払拭動作を行うようにフロントガラスの車幅方向の両側に設けられている自動車のフロントワイパにおいて、両側のフロントワイパのうち少なくとも復動方向に先方のフロントワイパのアームヘッドに、その回動範囲の積雪を砕くように、ワイパアーム方向へ同一横幅で延び、かつ少なくとも上面の傾斜で復動方向へ向けて先細にした刃形部が形成されていることを特徴とする。
【0006】
少なくとも上面傾斜による先細の刃形部が、ワイパブレードの払拭範囲より下方のカウル領域もしくはその近辺のガラスに溜った雪を復動時に確実に薄く砕いて前方へ排出する。したがって、アームヘッドの回動範囲に溜った雪、或は往動方向に隣合うワイパから復動時に運ばれた雪が氷結するとしても干渉しにくくなり、また復動方向に隣合うワイパから往動時に運ばれた氷結も小さくなって干渉しにくくなり、アームヘッドの復動を拘束しなくなる。請求項2の発明により、アームヘッドの回動範囲のカウル領域をアームヘッドの回動面にほぼ平行に形成すると共に、カウル領域に対するアームヘッドの底面の最小離間距離を3乃至7mmに設定することにより、アームヘッドの回動面がカウルに接近し、したがって往動方向に隣合うワイパへ運ばれる可能性のある氷結した雪の厚さを接近した分薄くすることができ、隣のワイパへ移動した場合でも一層容易に排出される。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1乃至図2を基に本発明の実施の形態の一例による自動車のフロントワイパを説明する。フロントガラス3及びフード1間に設けられたカウルルーバ2の両側の下端部には、前述したのと同様にフロントワイパ9のアームヘッド10が取付けられた回転駆動軸11が突設されている。アームヘッド10の先端部13には、フロントガラス3の表面に向けてばね付勢され、かつワイパブレード6を先端部に支持するワイパアーム8の後端部が、フロントガラス3に対して離反可能にピン14によりヒンジ結合されている。
【0008】
アームヘッド10には、ワイパアーム8の縦方向へ同一横幅で延び、かつ横方向へ下方に向けて、即ち復動方向へ表裏両面( 上下面 ) の傾斜で先細になった縦長形状の刃形部12が形成されている(図2A参照)。アームヘッド10の回動範囲のカウルルーバ領域2aは、その回動面にほぼ平行に形成されている。刃形部12の最大の厚み部分(アームヘッド10の横方向上端部分)の底面のカウルルーバ領域2aに対する離間距離は、非動作中の通常位置においてカウルルーバ領域2a間で凍結しないように、3〜7mm例えば5mm程度に設定されている。即ち、図2Cに示す離間距離が10mm程度の通常のアームヘッドよりも厚く形成されている。一方、刃形部12の長さは約10cmであり、往動時にカウルルーバ2の上縁から突出してフロントガラス3の下端部分に侵入する程度に設定されている。
【0009】
このように構成されたフロントワイパ9の動作は次の通りである。降雪中に運転席側のワイパブレード6の払拭動作の復動時に、雪が復動方向に隣の助手席側(図4の正面視で右側)の払拭範囲外のアームヘッド10の近辺に運ばれて溜ると、このアームヘッドの通常位置への復動時にその刃形部12がカウルルーバ領域2a及びワイパブレード6の払拭範囲の下方のフロントガラス3上の積雪を砕いてフード1へ向けて排出することにより(図3A参照)、雪が氷結して通常位置から徐々に厚く成長して塊となってアームヘッド10の動作を拘束するのが防止される。アームヘッド10の先方の離間距離が相対的に大きいワイパアーム8の近辺に溜った雪もカウルルーバ領域2aの雪が削られることにより、順に下降して排出される。
【0010】
さらに、助手席側のアームヘッド10の往動時に、場合により運転席側に移動させられるカウルルーバ領域2aの近辺の氷塊の厚さも小さい離間距離により薄くなり(図3A参照)、運転席側のフロントワイパ9で排出され易くなる。また、運転席側のカウルルーバ2に溜った雪も自身のアームヘッド10で前方へ除去されるために、拘束が確実に防止される。
【0011】
尚、アームヘッド10の刃形部の長さは、場合により回動時にカウルルーバ2の上縁に丁度達する程度に短くても順に下降してくる雪を排出して、同様にアームヘッドの氷結を防止することができる。刃形部の形状は横幅全域に形成したり、或は図2Bに示すように上面のみを傾斜させて構成することもできる。刃形部は復動方向に隣合う助手席のアームヘッドのみに形成することも考えられる。さらに、本発明は、カウルがルーバ状に限らず、開口部を備えないカウルパネルで構成される場合にも適用される。
【0012】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、アームヘッドを刃形にする簡単な構造により、隣のワイパからその復動時にアームヘッドの回動範囲に運ばれ、かつ自身のアームブレードで払拭されない雪が薄く削られて排出可能となり、アームヘッドが氷結した雪で拘束されるのが防止される。復動方向に先方のフロントワイパ側から往動方向に先方のフロントワイパ側に氷結が運ばれたとしても小さくなり、容易に排出される。請求項2の発明によれば、アームヘッドの往動時に隣のワイパの払拭範囲に運ばれる氷結した雪が一層薄くなることにより、隣のワイパでの排出が一層容易となり、その拘束が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態によるフロントワイパの斜視図である。
【図2】 同フロントワイパのアームヘッドの横断形状を示すもので、同図Aは図1によるA−A線断面図、同図Bは別の実施の形態による対応部分の断面図、同図Cは従来の対応部分の断面図である。
【図3】 同アームヘッドの積雪時の動作を説明するもので、同図Aは図1の場合の断面図、同図Bは従来の場合の断面図、同図Cは従来の場合の斜視図である。
【図4】 両側にフロントワイパアームを備えた一般的な車両の前部斜視図である。
【符号の説明】
1 フード
2 カウルルーバ
3 フロントガラス
6 ワイパブレード
8 ワイパアーム
10 アームヘッド
12 刃形部
Claims (2)
- フロントガラスの下端部及びフードの先端部間のカウルに設けられて往復回動するアームヘッドに、フロントガラスへばねで押付けられ、かつワイパブレードを先端部に支持するワイパアームの後端部がフロントガラスに対して離反可能にヒンジ結合されると共に、互いに同一方向へ往復の払拭動作を行うようにフロントガラスの車幅方向の両側に設けられている自動車のフロントワイパにおいて、
両側のフロントワイパのうち少なくとも復動方向に先方のフロントワイパのアームヘッドに、その回動範囲の積雪を砕くように、ワイパアーム方向へ同一横幅で延び、かつ少なくとも上面の傾斜で前記復動方向へ向けて先細にした縦長形状の刃形部が形成されていることを特徴とする自動車のフロントワイパ。 - アームヘッドの回動範囲のカウル領域を前記アームヘッドの回動面にほぼ平行に形成すると共に、前記カウル領域に対する前記アームヘッドの底面の最小離間距離を3乃至7mmに設定したことを特徴とする請求項1の自動車のフロントワイパ。
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- 1998-10-26 JP JP30351798A patent/JP3830675B2/ja not_active Expired - Fee Related
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