JP3830244B2 - 電気自動車用冷暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転モードを切り替えたときの冷暖房サイクル内の冷媒量を適正に維持できる電気自動車用冷暖房装置に関し、特に、極低温時の暖房運転時において冷暖房サイクル内の冷媒量監視をする電気自動車用冷暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走行駆動源が電気モータである電気自動車は、高温のエンジン冷却水が利用できるエンジン自動車に比べ、暖房熱源となる熱エネルギーが小さい。このため、電気自動車に用いることができる冷暖房装置として、冷房および暖房ともに冷媒を用いたサイクル運転を行い、窓曇りを防止しながら車室内を暖房するという除湿暖房を可能にしたエアコンシステムが開発されている(例えば、特開平9−109669号公報参照)。
【0003】
この種の冷暖房装置は、図3に示すように、ブロワ装置1により取り入れた空気を車室内に向かって送るためのダクト2を有し、熱交換器として、ダクト2内に、上流側から順にエバポレータ3と、主に暖房運転時に働く車室内コンデンサ4とが配設され、また、ダクト2外に、主に冷房運転時に働く車室外コンデンサ5が配設されている。
【0004】
また、内気と外気を選択するインテークドア16、窓曇りを防止するデフロスタ17とその開閉を行うデフロスタドア17D、ベント口18とその開閉を行うベントドア18D、フット口19とその開閉を行うフットドア19Dを備えており、乗員の望む好ましい調和空気の吹き出しが行われる。
【0005】
冷房サイクルは、コンプレッサ6、車室外コンデンサ5、車室内コンデンサ4、リキッドタンク7、膨張弁8およびエバポレータ3を配管で連結し、その中に冷媒を封入して構成されている。また、暖房運転時と冷房運転時とで機能させるコンデンサ4、5を切り替えるために、車室外コンデンサ5の入口に冷媒の流れを切り替えるための四方弁9を設け、この四方弁9に車室外コンデンサ5をバイパスするバイパス管10を接続している。また暖房運転時には車室外コンデンサ5に滞留した冷媒をコンプレッサ6の吸入側に戻す冷媒回収管50とが設けられている。
【0006】
なお、車室外コンデンサ5の背面には、この車室外コンデンサ5に熱交換用の空気を供給するためのコンデンサファン装置12が配設されている。また、車室内に吹き出される空気の温度を調節するため、車室内コンデンサ4の上流にはエアミックスドア13が回動自在に取り付けられている。
【0007】
冷房運転時においては、四方弁9が車室外コンデンサ5側に冷媒を導き、コンプレッサ6、車室外コンデンサ5、車室内コンデンサ4、リキッドタンク7、膨張弁8、エバポレータ3の順番に冷媒を流す。これにより、エバポレータ3においては、液状冷媒と取り入れ空気との熱交換が行われ、液状冷媒が蒸発しながら冷媒通路の周囲を通過する取り入れ空気が冷却され、車室内が冷房される。また、車室外コンデンサ5においては、エバポレータ3で奪った熱を外気との熱交換により外部に放出して、ガス状冷媒を冷却し凝縮液化させる。なおこのとき、車室内コンデンサ4は熱交換器として殆ど機能しない。
【0008】
これに対して暖房運転時においては、冷媒を四方弁9により、車室外コンデンサ5のバイパスをさせる。つまり、車室外コンデンサ5を使用せず、バイパス管10を介してコンプレッサ6、車室内コンデンサ4、リキッドタンク7、膨張弁8、エバポレータ3の順番に冷媒を流す。これにより、コンプレッサ6から吐出され四方弁9で車室外コンデンサ5をバイパスしたガス状冷媒は、車室内コンデンサ3で凝縮液化されて放熱を行い、エバポレータ3で冷却された空気は加熱されて車室内に吹き出され、もって車室内が暖房される。その際、エバポレータ3は空気を冷却して除湿を行うので、結局、除湿暖房が実現される。このとき、車室内に吹き出される空気の温度は、車室内コンデンサ4の上流に配設されたエアミックスドア13の開度を調節することによって行われる。
【0009】
また、このような暖房運転の初期においては、車室外コンデンサ5に滞留している冷媒を四方弁9の切り替えによりコンプレッサ6の吸入側に戻す。これによりサイクル内の冷媒量を適性に保つことができるので良好な暖房効果が得られる。
【0010】
この冷房運転モードと暖房運転モードの切り替えは設定温度によって制御される。たとえば、設定温度が24℃以下であるときは冷房運転モード、設定温度が26℃以上であるときは暖房運転モードにそれぞれ設定され、それらの中間であるときはコンプレッサ6をオフしてサイクル運転を停止させている。
【0011】
また、サイクル内の冷媒の圧力を検出するために、図示しない圧力スイッチが冷媒配管内のリキッドタンク7に設けられている。この圧力スイッチは高圧側と低圧側に、それぞれスイッチの開閉をする設定値が定められており、高圧側と低圧側のいずれかの設定値に圧力が達した場合にコンプレッサの動作を停止するものである。つまり、高圧と低圧の途中の値に対しては何等かの信号が出力されるわけではなく、設定された圧力値の時点でのみにおいて、信号出力もしくはスイッチの開閉がおこなわれるだけであった。
【0012】
このような圧力スイッチによるコンプレッサ制御により、極低温時の冷媒の圧力低下や、もしくはOリングの破損等による冷媒抜けの圧力低下などに対して各々区別すること無く、コンプレッサの回転を停止して、サイクルの保護を行っていた。
【0013】
また特に、従来の圧力スイッチによる制御では外気温度が約摂氏0度になると検出限界値によりオフの動作をしてしまい、エンジン冷却水などの熱源を持たない電気自動車において求められる摂氏−20度での暖房運転には対応できなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
このような電気自動車用冷暖房装置では、前記のような特に暖房運転モードにおいての始動時におけるコンプレッサ6の動作を制御する場合において、圧力スイッチによるサイクル内の冷媒監視が行われていた。これにより冷媒抜けによる潤滑不足を未然に検出し、これを原因とするコンプレッサ6の焼き付きに対する保護が行われている。
【0015】
しかしながら、駐車中などコンプレッサ6が停止しているときには、上記の冷房サイクルは機能しないので、サイクルバランス、車両条件、外気条件などの影響を受けてサイクル内の冷媒が移動することがある。
【0016】
たとえば、冷媒は温度が低い方へ移動する性質があるので、昼夜の温度差によりエンジンルーム内の温度が低くなり過ぎて、車室内コンデンサ4から車室外コンデンサ5へ冷媒が流出し当該車室外コンデンサ5に過剰の冷媒が溜まることがある。このまま暖房運転を行うと、圧力スイッチの低圧側の感度限界により循環冷媒量が不足しているものと判断され、コンプレッサ6が作動せず暖房性能が得られなかったりするおそれがあった。
【0017】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、暖房運転時の暖房サイクル内の冷媒圧力を極低圧時から連続して検出して、コンプレッサ6を保護しつつ暖房効果を得ることができる電気自動車用冷暖房装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電気自動車用冷暖房装置は、コンプレッサ、車室外コンデンサ、車室内コンデンサ、膨張弁、およびエバポレータが冷媒配管によりこの順序で連結され、前記コンプレッサから吐出された冷媒が前記車室外コンデンサを迂回して前記車室内コンデンサに導かれるバイパス管と、前記コンプレッサから吐出される冷媒の流路を切り替えるために前記コンプレッサの下流の冷媒配管に設けられた冷媒流路切替弁とを有し、前記コンプレッサから吐出される冷媒が、冷房運転時には前記冷媒流路切替手段により前記車室外コンデンサに導入され、暖房運転時には前記冷媒流路切替手段によりバイパス管を介して直接前記車室内コンデンサに導入される電気自動車用冷暖房装置において、前記冷媒配管に設けられた圧力トランスデューサーを有し、圧力トランスデューサー(7)による圧力検出結果に基づいて所定の時間内での圧力上昇の傾き値を測定し、測定された圧力上昇の傾き値が所定の閾値以下であれば、前記コンプレッサ(6)の運転を停止する一方、測定された圧力上昇の傾き値が所定の閾値より大きければ、前記コンプレッサ(6)の運転を継続することを特徴とする。
【0019】
本発明の電気自動車用冷暖房装置において、冷房運転時には、冷媒流路切替手段を操作することにより、コンプレッサから吐出された冷媒を車室外コンデンサに導入する。つまり、コンプレッサ→車室外コンデンサ→車室内コンデンサ→膨張弁→エバポレータ→コンプレッサなる冷房サイクルを形成する。これにより、エバポレータにおいては、液状冷媒と取り入れ空気との熱交換が行われ、液状冷媒が蒸発しながら冷媒通路の周囲を通過する取り入れ空気が冷却され、車室内が冷房される。また、車室外コンデンサにおいては、エバポレータで奪った熱を外気との熱交換により外部に放出して、ガス状冷媒を冷却し凝縮液化させる。なおこのとき、車室内コンデンサは熱交換器として殆ど機能しない。
【0020】
これに対して暖房運転時においては、冷媒流路切替手段を操作することにより、コンプレッサから吐出された冷媒を車室外コンデンサをバイパスさせ、直接車室内コンデンサに導入する。つまり、車室外コンデンサを使用せず、コンプレッサ→バイパス管→車室内コンデンサ→膨張弁→エバポレータ→コンプレッサなる暖房サイクルを形成する。これにより、コンプレッサから吐出され冷媒流路切替手段で車室外コンデンサをバイパスしたガス状冷媒は、車室内コンデンサで凝縮液化されて放熱を行い、エバポレータで冷却された空気は加熱されて車室内に吹き出され、もって車室内が暖房される。その際、エバポレータは空気を冷却して除湿を行うので、除湿暖房が実現される。
【0021】
また、暖房運転時に車室外コンデンサをバイパスさせる暖房サイクルとなるため、車室外コンデンサに冷媒が滞留することにより暖房サイクルを循環する冷媒量が不足するおそれがあるが、冷媒回収管により車室外コンデンサに滞留した冷媒をコンプレッサの吸入側に戻すことにより暖房サイクル内の冷媒量を適正に維持することができる。
【0022】
また本願発明によれば、圧力トランスデューサーによる圧力検出結果に基づいて所定の時間内での圧力上昇の傾き値を測定し、測定された圧力上昇の傾き値が所定の閾値以下であれば、前記コンプレッサの運転を停止する一方、測定された圧力上昇の傾き値が所定の閾値より大きければ、前記コンプレッサの運転を継続する。したがって、圧力上昇の傾き値から「冷媒抜け」と「初期の冷媒の一時的な不足」とを判別でき、外気温が極低温であっても暖房サイクルの制御並びに運転が可能であるので、従来の圧力スイッチによる制御では運転停止してしまう低い外気温においても暖房効果が得られる。また常時、冷媒の圧力変化を連続的に監視することができるので、連続的にコンプレッサを回転させる使用条件においても、常にコンプレッサ回転数と冷媒圧力の関係を適切に保つ制御が可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1および図2は、本発明の実施の形態である電気自動車用冷暖房装置を示す構成図であり、図1は本発明の電気自動車用冷暖房装置の構成全体を示すものであり、図2は本発明の電気自動車用冷暖房装置の冷媒不足監視制御の流れ図である。
【0025】
本実施の形態である電気自動車用冷暖房装置は、図1に示すように、ブロワ装置(図示せず)により取り入れた空気を車室内に向かって送るためのダクト2を有し、熱交換器として、ダクト2内に、上流側から順にエバポレータ3と、主に暖房運転時に働く車室内コンデンサ4とが配設され、また、ダクト2外に、主に冷房運転時に働く車室外コンデンサ5が配設されている。ダクト2の一端には、外気または内気を選択的に取り入れるためのインテークドア16が設けられ、またダクト2の他端には、フロントガラス内面に調和空気を吹き出すデフ吹出口(図示せず)、乗員の上半身に調和空気を吹き出すベント吹出口(図示せず)、乗員の足元に温風を吹き出すフット吹出口(図示せず)が設けられ、それぞれの吹出口には当該吹出口を開閉する図示しないデフドア、ベントドア、フットドアがそれぞれ設けられている。
【0026】
この電気自動車用冷暖房装置は、図3に示す従来の装置と同様、冷房、暖房共に冷媒を用いたサイクル運転を行うことによって車室内の冷房と除湿暖房を行うものであって、従来と同様の冷凍サイクルを有している。
【0027】
すなわち、この装置の冷凍サイクルは、コンプレッサ6、車室外コンデンサとしてのメインコンデンサ5、車室内コンデンサとしてのサブコンデンサ4、リキッドタンク7、膨張弁8、およびエバポレータ3が冷媒配管11で連結され、その中に冷媒が封入されている。また、暖房運転時と冷房運転時とで機能させるコンデンサ4、5を切り替えるために、メインコンデンサ5の入口には冷媒の流れを切り替えるための四方弁90(たとえば、パイロット差圧作動式電磁弁)が冷媒流路切替手段として設けられ、この四方弁90にはメインコンデンサ5をバイパスするバイパス管10が接続され、さらに、このバイパス管10は、メインコンデンサ5の出口とサブコンデンサ4の入口とをつなぐ配管11に連結されている。また、メインコンデンサ5の背面には、このコンデンサ5に空気を送るための送風手段としてのコンデンサファン装置12が配設されている。
【0028】
このような構成により、冷房運転時には、四方弁90を切り替え、図1に示すようにコンプレッサ6から吐出された冷媒をメインコンデンサ5側に導き、コンプレッサ6→メインコンデンサ5→サブコンデンサ4→リキッドタンク7→膨張弁8→エバポレータ3→コンプレッサ6へと循環させる冷房サイクルを形成する。この過程において、エバポレータ3は熱交換により液状冷媒を蒸発させて冷媒通路の周囲を通過する取り入れ空気を冷却し、これにより車室内が冷房される。また、メインコンデンサ5はエバポレータ3で奪った熱を空気との熱交換により外部に放出してガス状冷媒を冷却し凝縮液化させる。このとき、サブコンデンサ4はほとんど熱交換器として機能しない。
【0029】
一方、暖房運転時には、四方弁90を切り替え、図1に示すようにコンプレッサ6から吐出された冷媒をバイパス管10を介して直接サブコンデンサ4に導き、コンプレッサ6→サブコンデンサ4→リキッドタンク7→膨張弁8→エバポレータ3→コンプレッサ6へと循環させる暖房サイクルを形成する。この過程において、コンプレッサ6から吐出され四方弁90でメインコンデンサ5をバイパスしたガス状冷媒は、サブコンデンサ4で凝縮液化されて放熱を行う。これにより、エバポレータ3で冷却された空気は加熱されて車室内に吹き出され、もって車室内が暖房される。その際、エバポレータ3は空気を冷却して除湿を行うので、結局、除湿暖房が実現される。このとき、車室内に吹き出される空気の温度は、サブコンデンサ4の上流に配設されたエアミックスドア23の開度を調節することによって行われる。
【0030】
また暖房能力に比較して環境温度が低く、温風の温度が低い場合にはPTCヒーター28による補助暖房も行われる。
【0031】
なお、上記した冷房運転モードと暖房運転モードの切り替えは設定温度によって制御することができる。たとえば、設定温度が24℃以下であるときは冷房運転モード、設定温度が26℃以上であるときは暖房運転モードにそれぞれ設定され、それらの中間であるときはコンプレッサ6をオフしてサイクル運転を停止させる。
【0032】
コンプレッサ6は、図示しないが、電気自動車の駆動源とは別である電気モータによって駆動される。つまり、電気モータをバッテリー(図示せず)で駆動することにより、電気自動車のコンプレッサ6の駆動が行われる。
【0033】
本実施の形態である電気自動車用冷暖房装置においては、コンプレッサ、車室外コンデンサ、車室内コンデンサ、膨張弁、およびエバポレータが冷媒配管によりこの順序で連結されており、前記コンプレッサから吐出された冷媒が前記車室外コンデンサを迂回して前記車室内コンデンサに導かれるバイパス管と、前記コンプレッサから吐出される冷媒の流路を切り替えるために前記コンプレッサの下流の冷媒配管に設けられた冷媒流路切替弁とを有しており、この前記コンプレッサから吐出される冷媒が、冷房運転時には前記冷媒流路切替手段により前記車室外コンデンサに導入され、暖房運転時には前記冷媒流路切替手段によりバイパス管を介して直接前記車室内コンデンサに導入される電気自動車用冷暖房装置において、前記冷媒配管に設けられた圧力トランスデューサーを有し、前記コンプレッサが前記圧力トランスデューサーの出力電圧により制御されることを特徴とする。
【0034】
この圧力トランスデューサー7aはその検出原理に様々なものが存在するが、本実施の形態の説明に一例として用いるのは静電容量型圧力変換器と呼ばれるものである。これは可動部分が存在しないので機械的な信頼性が高く、また部品寿命も長いという特徴を有している。また、この圧力トランスデューサー7aからは圧力変化に比例した出力電圧が得られ、このためこの電圧値に基づいた制御を行うことで容易に圧力変動に追従する連続的な制御動作が行える。
【0035】
以下に前記圧力トランスデューサー7aを用いての本発明の実施の形態の一例を示す。
【0036】
昼夜の温度差などが原因でメインコンデンサ5に冷媒が多量に滞留した場合、そのまま暖房運転を行うと暖房サイクルを流れる冷媒量が不足し、所望の暖房性能が発揮できなかったり、潤滑性が低下したりする。
【0037】
冷媒は温度が低い方へ移動する性質があるので、昼夜の温度差によりエンジンルーム内の温度が低くなり過ぎて、車室内コンデンサ4から車室外コンデンサ5へ冷媒が流出し当該車室外コンデンサ5に過剰の冷媒が溜まることがある。このまま暖房運転を行うと、圧力スイッチの低圧側の感度限界により循環冷媒量がいわゆる「冷媒抜け」により不足しているものと判断され、コンプレッサ6が作動せず暖房性能が得られない。また、強制的にコンプレッサ6を始動しても、本当に「冷媒抜け」が起きている場合には、コンプレッサ6の焼き付きによる破損という事態を招いてしまう。
【0038】
そのため、本実施の形態では、かかる暖房運転を行う前にメインコンデンサ5に滞留した冷媒を暖房サイクル内へ回収した後、圧力トランスデューサー7aよりの出力値を監視しながらコンプレッサ6の運転を行う。
【0039】
この運転の制御は図2に示す流れ図にしたがって行われ、エアコンのスイッチがオンしたのちに最初に圧力トランスデューサー7aからの出力値を読み取る。この出力値が2kg/cm2G以上ならばコンプレッサ6の運転が開始される。これに対して、圧力トランスデューサー7aの初期値が2kg/cm2G以下ならば、まずコンプレッサ6を始動して30秒と60秒の間の圧力上昇の傾き値を測定する。この圧力上昇の差異が0.15kg/cm2G以下ならばコンプレッサ6を停止して、焼き付きを未然に防ぐ。また、0.15kg/cm2G以上の値を示す場合はそのままで運転を続ける。
【0040】
このようにして、運転をしているコンプレッサ6に対し、圧力トランスデューサー7aよりの出力値を監視して、圧力上昇の差異が0.15kg/cm2G以上を維持している場合は通常運転になる。この監視制御は圧力トランスデューサー7aの初期値が2kg/cm2G以上であった場合にも同様に行われる。
【0041】
コンプレッサ6が通常運転を行っているときの制御は、圧力トランスデューサー7aからの出力値が15kg/cm2G以下ならばオンとし、27kg/cm2G以上ならばオフとなる。また、オンの制御にも拘らずコンプレッサ6が始動しないときには、異常事態としてコンプレッサ6停止の制御が行われる。
【0042】
このように、圧力トランスデューサー7aにより極低圧からの圧力変化を連続的に検出するので、圧力上昇の傾き値から「冷媒抜け」と「初期の冷媒の一時的な不足」とを判別できる。外気温が極低温であっても暖房サイクルの制御並びに運転が可能であるので、従来の圧力スイッチによる制御では運転停止してしまう低い外気温においても暖房効果が得られる。また常時、冷媒の圧力変化を連続的に監視することができるので、連続的にコンプレッサ6を回転させる使用条件においても、常にコンプレッサ回転数と冷媒圧力の関係を適切に保つ制御が可能となる。
【0043】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、圧力トランスデューサーにより極低圧からの圧力変化を連続的に検出し、圧力トランスデューサーによる圧力検出結果に基づいて所定の時間内での圧力上昇の傾き値を測定し、測定された圧力上昇の傾き値が所定の閾値以下であれば、前記コンプレッサの運転を停止する一方、測定された圧力上昇の傾き値が所定の閾値より大きければ、前記コンプレッサの運転を継続する。したがって、圧力上昇の傾き値から「冷媒抜け」と「初期の冷媒の一時的な不足」とを判別でき、外気温が極低温であっても暖房サイクルの制御並びに運転が可能であるので、従来の圧力スイッチによる制御では運転停止してしまう低い外気温においても暖房効果が得られる。また常時、冷媒の圧力変化を連続的に監視することができるので、連続的にコンプレッサを回転させる使用条件においても、常にコンプレッサ回転数と冷媒圧力の関係を適切に保つ制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である電気自動車用冷暖房装置を示す構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態である電気自動車用冷暖房装置の冷媒圧力監視制御の流れ図である。
【図3】 従来の電気自動車用冷暖房装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1…ブロワ装置、
2…ダクト、
3…エバポレータ、
4…サブコンデンサ(車室内コンデンサ)、
5…メインコンデンサ(車室外コンデンサ)、
6…コンプレッサ、
7…リキッドタンク、
7a…圧力トランスデューサー、
8…膨張弁、
10…バイパス管、
11…冷媒配管、
12…電動ファン、
14…逆止弁、
15…逆止弁、
16…インテークドア、
20…コンプレッサ制御、
21…アキュムレータ、
22…制御センサ、
23…ミックスドア、
24…ヒーターコントロール、
26…逆止弁、
28…PTCヒーター、
50…冷媒回収管、
60…パイロット差圧作動式電磁弁、
80…制御装置、
90…四方弁(冷媒流路切替弁)。
Claims (1)
- コンプレッサ(6)、車室外コンデンサ(5)、車室内コンデンサ(4)、膨張弁(8)およびエバポレータ(3)が冷媒配管(11)によりこの順序で連結され、前記コンプレッサ(6)から吐出された冷媒が前記車室外コンデンサ(5)を迂回して前記車室内コンデンサ(4)に導かれるバイパス管(10)と、前記コンプレッサ(6)から吐出される冷媒の流路を切り替えるために前記コンプレッサ(6)の下流の冷媒配管に設けられた冷媒流路切替弁(90)とを有し、前記コンプレッサ(6)から吐出される冷媒が、冷房運転時には前記冷媒流路切替手段(90)により前記車室外コンデンサ(5)に導入され、暖房運転時には前記冷媒流路切替手段(90)により前記バイパス管(10)を介して直接前記車室内コンデンサ(4)に導入される電気自動車用冷暖房装置において、
前記冷媒配管(11)に設けられた圧力トランスデューサー(7)を有し、圧力トランスデューサー(7)による圧力検出結果に基づいて所定の時間内での圧力上昇の傾き値を測定し、測定された圧力上昇の傾き値が所定の閾値以下であれば、前記コンプレッサ(6)の運転を停止する一方、測定された圧力上昇の傾き値が所定の閾値より大きければ、前記コンプレッサ(6)の運転を継続することを特徴とする電気自動車用冷暖房装置。
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