JP3829156B2 - 排ガス処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却炉から排出される燃焼排ガス中の特にはダイオキシンなどに代表される環境汚染物質等を、光触媒反応によって高温のまま酸化分解してこれを浄化処理でき、しかも既設の焼却炉にも装着できる排ガス処理装置の提供に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
焼却炉から排出される燃焼排ガスを処理対象とする排ガス処理装置として、従来は、燃焼排ガス排出路に電気集塵機やバグフィルター或いはサイクロンなどを設けて燃焼排ガス中のダストを除去するようにしたものや、活性炭や活性コークス等の吸着剤を備えて燃焼排ガス中のダイオキシン等を吸着除去するようにしたものが知られている。
【0003】
また、特開平5−285342号公報には、燃焼排ガス中に光触媒を混入して排ガス分解塔に導入し、排ガス分解塔中において低圧水銀灯によって紫外線を照射し、排ガス分解塔に続く集塵器によって光触媒を回収する装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−285342号公報に記載された装置によると、光触媒を燃焼排ガス中に混入するものであるので、排ガスの透明度をあまり高くすることができないため、光源に比較的近い領域に存在する光触媒は十分な機能を発揮することができるものの、光源からある程度離れた光触媒はほとんど励起光の照射を受けないためにその機能を十分に発揮できず、全体としては、光触媒による排ガス処理の効率が著しく低下するという欠点があった。
【0005】
また、処理後の分解ガスから光触媒を分離回収するために集塵機が必要となり、装置が全体として複雑化し、高価なものになるという問題もあった。
【0006】
一方、電気集塵機やバグフィルター、或いはサイクロンなどを設けて燃焼排ガス中の例えばダイオキシンなどの有害物質を回収除去する装置にあっては、燃焼排ガス中に含まれているダイオキシンのうち、ダスト中に含まれているものはダストとともに除去できるものの、非常に微細な飛灰に付着したダイオキシンや低沸点のガス状ダイオキシンを除去することができないという問題があった。
【0007】
また、例えば集塵機でこのような有害物質を回収除去する場合、焼却炉から排出された燃焼排ガスが高温であるため、集塵機へ導入する前に冷却装置を使用して急冷することが必要となり、装置が全体として複雑化し、高価なものになっていた。バグフィルターやサイクロンを使用する装置にあっても同様のことがいえる。
【0008】
そのため、チタン、バナジウム、白金などの金属触媒による酸化分解や還元分解を補助的な手段として導入することが提唱されている。しかし、金属触媒による酸化分解や還元分解法によると、有効な温度雰囲気が230℃付近であってしかも狭いため、上述したように、冷却装置を使用して燃焼排ガスを急冷したその後に集塵機やバグフィルター、サイクロンに導入しているから、冷やされた燃焼排ガスを再度加熱して高温にする必要があるなど、燃焼排ガスの温度管理が誠に厄介であった。
【0009】
また、上述した活性炭や活性コークス等の吸着剤による処理では、理論上は低沸点のガス状ダイオキシンを除去することができるものの、ダイオキシンを吸着した使用済みの廃吸着剤の二次処理が必要になるし、燃焼排ガス温度が150℃以上であると折角吸着させたダイオキシンが脱離して放出されることがあるとか、活性炭の吸着性能が低下して所望する吸着除去を行えなくなるとか、また、燃焼排ガス温度は変動することが常であるため、高温になると吸着していたダイオキシンが脱離して燃焼排ガス中に再飛散する等、様々な問題が顕在化していた。
【0010】
本発明は以上のような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、焼却炉から排出される燃焼排ガス中の特にはダイオキシンなどに代表される環境汚染物質等を、光触媒によって高温のまま酸化還元分解し、これにより、大気中に放出できる程度にまで浄化することができ、既設の焼却炉にも装着できる排ガス処理装置を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのために本願各請求項に記載の発明が採用した手段の要旨とするところは、叙上の特許請求の範囲に記載の通りである。
【0012】
このような構成を採用した各請求項に記載の発明に係る排ガス処理装置によると、焼却炉から排出された燃焼排ガスを区画室の複数に連続して導入でき、各区画室中に収容された光触媒体と接触させることができる。また、各区画室内に、紫外線透過性を有する筒体を設け、この筒体内に光触媒体を励起する励起光を照射する光源が備えてあるから、この光源から照射された励起光を光触媒体に確実に照射でき、これを効率的に光励起することができる。
【0013】
また、各区画室は、その上蓋側と底板側で若しくは対峙する側壁側で互い違いに連通させてあるから、燃焼排ガスを上向きと下向きに若しくは左方向と右方向に交互に移動させ、各区画室において燃焼排ガスを対流させながら移動させることができる。さらに、酸化チタンの熱励起による励起作用が加わり、これらを相乗的に作用させることができる。
【0014】
すなわち、燃焼排ガスを例えば温度調節することなく光触媒体に接触させた場合であっても、燃焼排ガスに含まれる特にはダイオキシンなどの環境汚染物質を効率的に酸化分解でき(無害化でき)、燃焼排ガスを大気中に放出できる程度にまで浄化することができる。
【0015】
また、例えば集塵機やバグフィルター、サイクロン等を使用する従来の浄化装置とは異なり、焼却炉から排出された燃焼排ガスを冷却装置を使用して急冷するとか、冷やされた燃焼排ガスを再度加熱して高温にする必要も無く、燃焼排ガスの温度管理が不要となり、また、活性炭や活性コークス等吸着剤によって吸着する装置とは異なり、使用済み廃吸着剤の二次処理が不要となる。
【0016】
また、本発明に係る排ガス処理装置によると、燃焼排ガス排出路と排ガス処理装置との連結部に空気供給用パイプ孔が形成され区画室の中心部に空気供給できるように構成されているため、上記各請求項に記載の排ガス処理装置が具有する作用に加えて、特には、酸素不足になりがちな区画室の中心部に存在する光触媒体に対しても空気(酸素)を十分に供給でき、これら光触媒体に対して十分な酸素を接触させることができる。すなわち、上述したように、区画室中心部においても反応性に富んだ活性種(スーパーオキサイドイオン(O2-)や水酸ラジカル(・OH))を生成させることができ、これにより、燃焼排ガス中の環境汚染物質を酸化還元分解することができる(無害化できる)。
【0017】
さらにまた、本発明に係る排ガス処理装置によると、ガス処理装置に対して燃焼排ガスを温度調節することなく供給するため、燃焼排ガスの厄介な温度管理が不要となる。すなわち、上記各請求項に記載の発明に係る排ガス処理装置が具有する作用に加えて、燃焼排ガスを急冷するための冷却装置や、冷やされた燃焼排ガスの再度加熱装置が不要となり、装置全体が簡単になる。
【0018】
特に、請求項3記載の発明に係る排ガス処理装置によると、光源として、254nm付近に極大波長を有する紫外線を放射する殺菌ランプと、380nm付近に極大波長を有する紫外線を放射するブラックライトとが組み合せ使用されているから、殺菌ランプから放射される紫外線で光触媒体表面を励起することができ、ブラックライトより放射された紫外線を光触媒体を通過して区画室の内部まで透過させることができる。すなわち、特には、区画室の中央部にある光触媒体に対しても十分に励起光を照射でき、その光触媒機能を発揮させることができる。
【0019】
つぎに、請求項4記載の発明に係る排ガス処理装置によると、各区画室の内壁面がミラー加工されているから、特には、光源から照射された素通り励起光を反射させ、光源とは反対側からも光触媒体を励起できる。すなわち、光源から照射された励起光を区画室の中央部にある光触媒体に対して、請求項3記載の発明に係る排ガス処理装置によるよりも、無駄なくより多量照射でき、その光触媒機能を効率的に発揮させることができる。
【0020】
つぎに、請求項5記載の発明に係る排ガス処理装置によると、上記各請求項記載の排ガス処理装置が具有する作用に加えて、特には、光源が筒体内において空冷可能に装着されているから、光源の寿命延長が図れる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る排ガス処理装置の実施の形態を、図面に示す具体的な実施例に基いてさらに詳細に説明するが、これは代表的なものを示したものであり、その要旨を越えない限り、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【0022】
本発明において、光触媒体は、多孔質の担体の表面に光触媒微粒子を担持させたもののことであり、多孔質の担体としては、ニッケル−カドミウム、ステンレス鋼、バーマロイ、アルミニウム合金、銅等の代表される多孔質金属と、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス等に代表される多孔質のセラミックスとを例示することができるが、他のものにくらべて表面積が大きいこととコストの観点から、活性炭、活性アルミナ、シリカゲルなどの多孔質セラミックスを担体として使用することが好ましい。なお、多孔質の担体の形状は、粒状、板状、円筒状、角柱状、円錐状、球状、ラグビーボール状などどのような形状であっても良い。
【0023】
光触媒とは、結晶の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したときに荷電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、電導電子と正孔を生成しうる物質のことであり、例えば、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化バナジウム、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウ、硫化カドミウムなどを例示することができ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。他のものに比べて優れた光触媒作用を発揮するという点では、酸化チタンを使用することが好ましい。また、結晶性の酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のものがあり、どれを使用しても構わないが、このうち最も優れた光触媒作用を発揮するという観点からは、アナターゼ型の酸化チタンを使用することが極めて好ましい。
【0024】
ところで、光触媒に対して紫外線を照射しこれを光励起すると、上述したように、光触媒の表面において電子−正孔対が生じる。このうち電子は表面酸素を還元してスーパーオキサイドイオン(O2-)を生成し、正孔は表面水酸基を酸化して水酸ラジカル(・OH))を生成する。そして、これらの反応性に富んだ活性種(スーパーオキサイドイオン(O2-)や水酸ラジカル(・OH))により、燃焼排ガス中の環境汚染物質を極めて効率的にそして確実に酸化還元分解処理できる(無害化できる)のである。
【0025】
本発明となる実施の態様において、光触媒が酸化チタンである場合、光触媒体は、例えば酸化チタン微粒子を水に懸濁させて得られるチタニアゾルか、有機チタネートの加水分解によって得られるチタニアゾルを、ディップコーティング法や滴下法、スプレー法等によって、上述した多孔質担体の表面にコーティングを施し、加熱焼成することによって製造されたものである。
【0026】
また、多孔質担体表面を被覆している酸化チタン被膜の表面に、さらに、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、鉄、銀、銅、亜鉛等の金属被膜を、光電着法やCVD法、スパッタリングや真空蒸着法等のPVD法等で被覆させることができ、これにより、電子と正孔の電荷分離を容易にして光触媒作用による酸化還元分解を促進すると共に、前記金属触媒による酸化分解や還元分解を補助的な手段として導入することができる。
【0027】
つぎに、各請求項記載の発明に係る排ガス処理装置は、その複数を直列に連結して1組としこれを燃焼排ガス排出路に連結したり、複数の排ガス処理装置を複数列に並列に連結して1組としこれを燃焼排ガス排出路に連結したり、また、複数の排ガス処理装置を直列に連結したものを複数用意しこれを複数列に並列に連結して1組として燃焼排ガス排出路に連結して実施することができる。
【0028】
また、本発明に係る排ガス処理装置は、焼却炉の燃焼排ガス排出路に連結されるものすべてを意図しており、焼却炉を築炉する際に必須の構成ユニットとして組み込まれる当該排ガス処理装置と、既設の焼却炉の燃焼排ガス排出路に後付けされる当該排ガス処理装置の両方を含み、燃焼排ガス排出路に対して脱着自在に組み付けされたものであっても、脱着不能に固着されたものであっても構わない。
【0029】
以下では、便宜上、排ガス処理装置を単独使用した場合を例にしてより具体的に説明することにする。
【0030】
図1は、第1実施例となる排ガス処理装置1の外観形状を模式的に示す斜視図であり、図2はこの排ガス処理装置の縦断面図であり、図3は図2のA−A線に沿った断面図である。
【0031】
図において、この排ガス処理装置1は、上蓋11側と底板12側で互い違いに連通する区画室13として形成され、この区画室13内に紫外線透過性を有する筒体14を設けたケーシング10と、各区画室13内に収容され焼却炉より排出される燃焼排ガスに接触する光触媒体20と、前記筒体14内に着脱自在に装着されて前記光触媒体20を励起する励起光を放射する光源30と、を備えているところに構成的特徴がある。なお、本発明に係る排ガス処理装置1において、図示しない水循環路を設け、光触媒体20を例えば毎月1乃至2回程度水洗浄すると、光触媒21の触媒機能の劣化を防止でき、面倒な光触媒体20の交換作業を少なくすることができるから、好ましい。
【0032】
ケーシング10はステンレス鋼製であり、ケーシング10に向けて燃焼排ガスを供給するための第1連結部16と、燃焼排ガスを排出するための第2連結部17とが対設されており、燃焼排ガス排出路に対し両連結部16,17を介して直列で気密的に連通されている。各区画室13の内部には、透明なシリカゲルの表面を光触媒(酸化チタン被膜)21で被覆した光触媒体20が充填されている。なお、第1連結部16と第2連結部17は中空円柱以外、例えば図4に示す円錐台形状であってもよく、その寸法形状等はいずれも設計変更自在の事項である。
【0033】
ケーシング10の寸法形状は、燃焼排ガスの処理量、排ガスの流速等により適宜設計される事項であるが、その横断面が方形であると、先ず、ケーシング内に供給された排ガスを最初の区画室13内壁面に衝突させ、この位置を渦巻き状に攪拌することができる。また、区画室13内を上方に向けて移動する排ガスを、さらに上蓋11の内面に衝突させ、この位置においても渦巻き状に攪拌することができる。同様のことが各区画室13内で起きる。そのため、光触媒体20と排ガス中の環境汚染物質との衝突機会を激増させることができ、環境汚染物質の分解処理効率を向上させることができる。また、区画室13内壁面に、図示しない邪魔板を互い違いに備えると、光触媒体20と環境汚染物質との衝突機会をさらに激増させることができるようになる。
【0034】
また、図6に示すように、ケーシング10’の横断面が楕円形乃至円形であり且つ第1連結部16’と第2連結部17’とを結ぶ線と直交する向きに区画室13’を形成すると、ケーシング10’を作製し易くまた原材の量が少なくてもその内容積を最大限確保でき、上記と同様の作用が得られるから、好ましい。
【0035】
なお、第1連結部16に、外部から内部に連通する空気供給用のパイプ16aを例えば螺旋状に備えておくと(図4に例示)、燃焼排ガス中に外気を供給して両者を混合でき、これにより、光触媒体20に対して十分な酸素を供給できるので、好ましい。また、第1連結部16( 16’)の内壁や第2連結部17(17’)の内壁に、例えば誘導板、邪魔板等18が設けてあってもよい(図6に例示)。
【0036】
つぎに、各区画室13の内壁面がミラー加工されていると、励起光を反射することができ、光源30と反対側にある光触媒を効果的に励起でき、光触媒機能の効率化が図れるので、好ましい。
【0037】
筒体14は石英ガラス製で、各区画室13にほぼ等間隔離間して備えてあり、その中に光源30が着脱自在に装着される。筒体14は、透明で紫外線透過性を有し且つ耐熱性のある素材を使用して形成されていれば何でも良く、石英ガラス製以外、例えば熔融石英ガラス製であっても、硬質ガラス製であっても、透光性アルミナ製等であってもよい。また、筒体14の一端のみを外方に開放する構成でも構わないが(図3)、筒体14の両端がともに外方に開放されていると(図5に例示)、光源ランプ21を効率的に空冷でき、光源20寿命の延長が図れるから好適である。各区画室13に備える筒体14の数量や配置位置等は、区画室13の寸法形状や、燃焼排ガスの処理量、流速等により適宜設計される事項である。
【0038】
光源30としては、殺菌ランプ、ブラックライト、蛍光灯、白熱灯、水銀灯、UVライト、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等が使用できる。なお、光源として、254nm付近に極大波長を有する紫外線を放射する殺菌ランプと、380nm付近に極大波長を有する紫外線を放射するブラックライトとを組み合せ使用すると、殺菌ランプから放射される紫外線で光触媒体20表面を励起することができ、ブラックライトから放射された紫外線を光触媒体20を通過させて区画室13の内部まで透過させることができる。すなわち、各区画室13に充填された光触媒体20に対して十分な励起光を照射でき、光触媒21を十分に励起できる。
【0039】
このように構成された排ガス処理装置1によると、焼却炉から排出され燃焼排ガス排出路に導かれた燃焼排ガスを第1連結部16を介して区画室13に導入することができ、複数の区画室13を通過して第2連結部17より大気中に排出できる。
【0040】
各区画室13内に導入された燃焼排ガスは、内部に充填された光触媒体20表面に被覆した酸化チタン被膜に接触することになる。この時、酸化チタン被膜中の光触媒(酸化チタン)21は、筒体13内に備えた光源20より放射される紫外線(励起光)の照射を受けて励起され、筒体13のミラー加工された内壁面で反射した紫外線(励起光)の照射を受けて励起され、さらに、酸化チタンの熱励起による励起作用が加わり、これらが相乗的に作用する。そのため、上述したように、光触媒体20表面に反応性に富んだ活性種を生成させることができ、これら反応性に富んだ活性種によって、燃焼排ガス中の環境汚染物質を効率的且つ速やかに酸化還元分解でき無害化できるのである。なお、上述したように、空気供給用のパイプを介して燃焼排ガスに十分量の空気(特には酸素)を混和する構成になっていると、燃焼排ガス中の環境汚染物質をさらに効率的且つ速やかに酸化還元分解処理できる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体化した排ガス処理装置を説明する。
【0042】
この排ガス処理装置は、左右が45cm、前後が40cm、深さ50cmの箱形に形成されており、その内部は上蓋側と底板側で互い違いに連通する6区画室に区画されている。各区画室には3個の石英ガラス製筒体が等間隔離間して備えてある。排ガス処理装置には、透明シリカゲルの表面に光触媒(酸化チタン被膜)を被覆した光触媒体が60リットル充填されている。
【0043】
産業廃棄物処理施設に設備されている焼却炉の煙突から排出される燃焼排ガスの一部を、当該排ガス処理装置を2連に接続し、排ガスを供給する入口部と吐出口(出口)のそれぞれから採取した排ガス中のダイオキシン類濃度を測定した。ダイオキシン類濃度の測定は、厚生省「廃棄物処理におけるダイオキシン類標準測定マニュアル」(平成9年2月)に準じて行った。
【0044】
表1に測定結果を示した。
【0045】
【表1】
Figure 0003829156
実験1乃至実験4において、調査施設の焼却炉から排出された排ガス中のダイオキシン類濃度は、41 ng-TEQ/m3N 〜85 ng-TEQ/m3N の範囲内であったが、この排ガス処理装置で処理すると、0.53 ng-TEQ/m3N 〜3.2 ng-TEQ/m3N の範囲にまで顕著に減少し、ダイオキシン類の除去率は、92.6%〜99.4%であることが解った。
【0046】
つぎに、実測値等の詳細は示さないけれども、回収した光触媒体より抽出した抽出液中に含まれるダイオキシン類の全量は、処理燃焼排ガス中のダイオキシン類の全量に対して、約1〜3%であった。このことから、各実験において除去されたダイオキシン類は、光触媒体に吸着したものではなく、光触媒体の触媒能によっていわゆる酸化還元分解されたものであることが解った。
【0047】
また、紫外線を照射して予め励起させた光触媒体を充填しても良いことも解った。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本願各請求項に記載の排ガス処理装置によると、従来の燃焼排ガス処理装置では得られない、つぎの実効性に優れた作用効果が得られる。
【0049】
(1)例えば集塵機やバグフィルター、サイクロン等を使用する浄化装置とは異なり、焼却炉から排出された燃焼排ガスを冷却装置を使用して急冷するとか、冷やされた燃焼排ガスを再度加熱して高温にする必要が無いため、燃焼排ガスの温度管理が不要となり、焼却炉全体を簡素化でき、これを廉価に提供できるし、既設焼却炉の燃焼排ガス排出路にあと付けすることもできる。
【0050】
(2)活性炭や活性コークス等吸着剤によって吸着する装置とは異なり、例えばダイオキシン等を吸着した使用済み廃吸着剤の二次処理が不要となる。
【0051】
(3)光源から照射された励起光で光触媒体を確実に光励起することができ、酸化チタンの熱励起による熱励起が加わってこれらが相乗的に作用するため、燃焼排ガスを例えば温度調節することなく、燃焼排ガスに含まれる特にはダイオキシンなどの環境汚染物質を効率的に酸化分解でき(無害化でき)、燃焼排ガスを大気中に放出できる程度にまで浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例となる排ガス処理装置の外観形状を模式的に示す斜視図である。光触媒体はその一部しか図示されていない。
【図2】図2は、図1に示した排ガス処理装置の縦断面図である。光触媒体はその一部しか図示されていない。
【図3】図3は、図2のA−A線に沿った断面図である。光触媒体はその一部しか図示されていない。
【図4】図4は、図1の排ガス処理装置を構成する第1連結部乃至第2連結部の他の実施の態様を例示するために概略的に示す縦断面図である。光触媒体はその一部しか図示されていない。
【図5】図5は、図1の排ガス処理装置を構成する筒体の他の実施の態様を概略的に示す縦断面図である。筒体の両端がともに外方に開放されている。光触媒体はその一部しか図示されていない。
【図6】図6は、本発明の他の実施例となる排ガス処理装置を概略的に示す横断面図である。図2のB−B線に沿った断面図に相当する。光触媒体はその一部しか図示されていない。
【符号の説明】
1 … 排ガス処理装置
3 … 排ガス処理装置
10 … ケーシング
10’… ケーシング
11 … 上蓋
12 … 底板
13 … 区画室
13’… 区画室
14 … 筒体
16 … 第1連結部
16’… 第1連結部
16a… 空気供給用のパイプ
17 … 第2連結部
17’… 第2連結部
18 … 誘導板、邪魔板等
20 … 光触媒体
21 … 光触媒
30 … 光源

Claims (6)

  1. 焼却炉の燃焼排ガス排出路に連結される排ガス処理装置において、
    上蓋側と底板側若しくは対峙する側壁側で互い違いに連通する複数の区画室を有し、該区画室内に紫外線透過性をもった筒体を設けたケーシングと、前記区画室内に収容され前記焼却炉から排出される燃焼排ガスに接触する透明なシリカゲル表面を光触媒で被覆した光触媒体と、前記筒体内に装着され前記光触媒体を励起する励起光を照射する光源と、前記燃焼排ガス排出路と前記排ガス処理装置との連結部に形成した空気供給用パイプ孔とを具備し、
    前記ガス処理装置に対して前記燃焼排ガスを温度調節することなく供給することを特徴とする排ガス処理装置。
  2. 前記ケーシングの横断面が楕円形乃至円形であることを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
  3. 前記排ガス処理装置において、
    前記光源が、殺菌ランプとブラックライトの組み合せであることを特徴とする請求項1又は2記載の排ガス処理装置。
  4. 前記区画室の内壁面が、ミラー加工されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の排ガス処理装置。
  5. 前記筒体の一端又は両端を前記ケーシング外に連通させ、前記光源を空冷可能に装着したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス処理装置。
  6. 前記排ガス処理装置において、
    前記光触媒体は、多孔質金属担体の表面が酸化チタン被膜にて被覆された多孔体、又は多孔質セラミックス担体の表面が酸化チタン被膜にて被覆された多孔体のいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排ガス処理装置。
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