JP3828266B2 - 粉粒体搬送容器、およびそれ用の弾性骨格構造体 - Google Patents
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Description
【発明の目的】
この発明は、容器形状を維持する骨格構造を備え、籾米や木材チップ、合成樹脂粉砕チップ等の各種粉粒体を収容可能とする搬送容器に関し、特に、簡便な構造によって粉粒体を収容可能とし、且つ積み重ね収納を可能とする新規な構造の粉粒体搬送容器、およびそれに用いられる新規な構造の弾性骨格構造体を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国における一般農家は、新食糧法の施行に伴い米の流通に市場原理が導入され、輸入米や自由米の混在する苛酷な米市場となった現在、さらに一層価格競争に耐え、より良質な米を提供する必要から、以前に況して効率的な生産体制を整えることが要求されるようになってきている。そのため、例えば籾米の収穫作業を例にとれば、コンバインによって刈り取られた籾米をトラック荷台に搭載した金属製箱型タンクに直接供給、搭載し、そのままライスセンターに搬送する工夫が行われるようになっており、従前のように個別に袋詰めした籾袋を担ぎ上げて運ぶといった作業者に負担の掛かる作業を避け、作業の効率を向上するような改善がなされてきている。
【0003】
このようなトラック荷台に籾米を搭載、運搬する容器として、金属製タンクは耐久性に秀れる上、トラックへの一体的な取り付けも可能ではあるが、その反面、金属素材を多量に使用する構造から、重量が嵩み、比較的非力な軽トラック等に搭載すると軟弱な路面等での円滑な走行の妨げとなってしまうことも懸念されるだけではなく、収穫期の前後にタンクをトラックから積み下ろしする際にクレーンを必要とする上、不使用時のタンクの収納、保管場所も比較的広く確保しなければならない等、一般的な稲作農家の取り扱い、利用性の面で課題を残すものであった。
【0004】
こうした金属製タンクの弊害を解消するため、軟質シート素材からなる収容袋内外に金属パイプ等からなる骨格構造体を収容または添設状とし、容器形状を内外から支持するようにした大型の筒型袋製の籾米搬送容器も幾つか開発、実用化されており、それら簡易な構造としたものでは、金属部品を全く使用しないものとするか、主要部分をグラスファイバー製のものに置き換え、金属部品を大幅に削減して軽量化されていて、小人数でトラック荷台に対する搭載や離脱を容易に行うことができるようになった上、収穫期には収容袋や骨格構造体の着脱、折り畳みを可能としたことから、極めて小型化しての収納も可能となる等、多くの点で改善されたものとなっている。
【0005】
ところで、これら骨格構造体を備えた搬送容器に収容された籾米は、ライスセンターに搬送後、直ちに容器内から送り出されて温度、湿度等の管理された状態で保管されるようにすべきではあるが、貯蔵タンクの容量や籾米の混合を避けるためや、あるいは、籾摺機の能力の関係で一時的に籾米を保管する必要が生じるため等で、籾米の入った搬送容器を自宅作業場や倉庫等に保管するときには、保管効率上から段重ね保管をしなければならない場合も出てくるが、搬送容器を積み重ねると過大な荷重が内部の骨格構造体に加わり、これまで提供されている構造の搬送容器では破損してしまう虞もあって、効率的な保管に支障を来していた。
【0006】
また、ライスセンターに搬送後、搬送容器毎吊り上げ、底部に予め用意されている筒状排出口から籾米を放出していって次第に内部の籾米が減っていても、骨格構造体に災いされて可撓性ある容器も具合よく萎んでいかず、最終的に内部に籾米を残してしまうため、作業員が手で叩いたり持ち上げる等の補助作業を必ず必要としていたし、それら従前までの改善された搬送容器の殆どのものは、底部の中央に筒状排出口を形成した構造となっていたため、ライスセンター内乾燥機の投入口にその筒状排出口がうまく適合しないことから、作業者がその方向に容器全体を手で押し付けていなければならなかったり、わざわざ筒状排出口を長めのものに形成し、それを迂回させるようにして投入口まで遊動しなければならない等の不便を来すものでもあった。
【0007】
上記のような不都合を有する従前までの大型袋製搬送容器の中には、例えば図11の籾袋に利用された従来型骨格構造体の斜視図に示されるような構造の骨格構造体5もあり、これは、長方形枠状に形成された2組の骨格枠51,52を上下中央の支軸53によって互いに開閉自在となる如く枢支され、収容された籾袋1内で拡開操作されることによって籾袋1を自立、開口状態に支持するものとして籾米の収容を補助するように構成したものも見受けられるが、この例からも用意に理解されるとおり、この構造のものでは、互いに強固に枢支、連結された骨格構造体5は、外部からの圧縮に対して高い剛性を確保できるものの、上方に重ねたり、排出のために吊り上げる等して過大な荷重を受けて変形しようとしても、支軸53や骨格枠51,52の各部が変形に追随できず、遂には破損しまう外、内部の籾米が減っていっても左右の長方形枠体の形状は偏平状のまま止まって排出に都合良く萎んでくれないという欠点を持つものでもあった。
【0008】
この発明は、互いに一体連結されてなる骨格構造体を搬送容器内に収容する従前の搬送容器において、外部荷重に充分に追随することができる上、構造も簡潔で経済的であり、取扱性や保管性等にも秀れた骨格構造体を有する粉粒体搬送容器の実用化の必要性を痛感し、逸早く開発、研究に取り組み、長期に渡る試行錯誤と幾多の実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造からなる粉粒体搬送容器、およびそれ用の新規な構造の弾性骨格構造体を完成、実用化することに成功したものである。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【0009】
【発明の構成】
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明に包含される粉粒体搬送容器は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、軟質シート素材により形成し、上部に粉粒体用の開閉可能な収容口を有する縦型四角筒状となり、その底面には粉粒体排出用の送出口を開閉可能に設けた容器本体となし、当該容器本体の内側で、底部隅角部またはその近傍の4箇所と、何れも容器本体の略中心軸に交叉して斜め上方に向かう対角線上の位置となる前記収容口の上縁部の隅角部またはその近傍の4箇所との間に渡って、略直状弾性素材製の夫々独立した4本の骨格杆を、下方側に強制湾曲変形した状態で張架すると共に、各骨格杆同士を連結せず互いに独立して湾曲変形可能とすることにより、容器本体の形状を保持する粉粒体搬送容器である。
【0010】
さらに具体的には、この発明は、軟質シート素材により縦型四角筒状に形成し、その上部を、粉粒体用の開閉可能な収容口とし、底面には粉粒体排出用の送出口を開閉可能に設けてなる容器本体となし、当該容器本体の内側で、底部隅角部またはその近傍の4箇所に配した各下部連結金具と、何れも容器本体の略中心軸に交叉して斜め上方に向かう対角線上の位置となる上縁またはその近傍の4箇所に配した上部連結金具との間に渡って、略直状弾性素材製の夫々独立した骨格杆が下方側に強制湾曲変形された状態であって、且つ夫々の下部、上部各連結金具から着脱自在となるようにして張架すると共に、各骨格杆同士を連結せず、互いに独立して湾曲変形可能とすることにより、容器本体の形状を保持する粉粒体搬送容器ということができる。
【0011】
容器本体は、所定量の粉粒体を収容する機能を果たすものであり、ビニールシート、化学繊維または天然繊維からなる布またはネット等の軟質シート素材を縫製、鋲止め、溶着等の結合構造によって縦型四角筒状に形成するか、もしくは、軟質シート素材を製造時に縦型筒状に成形してしまい、その上部が粉粒体を収容する収容口とされ、底面の一箇所または複数箇所に粉粒体を排出する送出口を有するものであり、当該収容口の全周縁に渡り、巻取収納可能な筒状をなし、紐で縛るか、ファスナー等の採用によって巻き取り状態での収納を可能とする筒状蓋部を設けることも可能な外、容器本体を吊り下げる機能を果たす吊紐または吊り下げ金具を設けることもできる。
【0012】
容器本体の収容口に設けることのできる筒状蓋部は、容器本体内に粉粒体を収容した後に収容口を覆い施蓋する機能を果たすものであり、容器本体と同様の素材によって筒状に形成され、開口縁部に添って形成された環状挿通孔に縛り紐が挿通され、この縛り紐を引き締めると密封状に閉鎖され、緩めることにより開放されるものとすることができる他、開口縁部またはその近傍、および、閉鎖時にそれらが到達する同外周壁の適宜箇所の夫々にマジックファスナーを取着し、閉鎖時には、互いを着脱可能に係着し、引き離して開放できるよう構成することも可能である。
【0013】
容器本体の底面に設けられる送出口は、容器本体内に収容された粉粒体を下方に送出する機能を果たすものであって、収容中に粉粒体が漏出しないように閉鎖する機能を有するものでなければならず、例えば、小径孔状または小径筒状に形成されてその適宜箇所に開閉弁または縛り紐等が設けられることによって開閉操作できるように構成されており、底面の中央あるいは中央から外れた一側に一箇所設けるか、または、底面の複数箇所に点在する如く複数配置されるものとすることもできる。
【0014】
なお、容器本体の隅角部や周壁の適所に補強布、補強金具またはそれに類する補強部材を添設して耐久性を向上するようにした構造とすると有効であり、特に、骨格杆が当接され、直接張力を受ける部位や、骨格杆が連結される部分間に渡る箇所に優先的に補強構造を付設したものとすると好都合のものとなる。
【0015】
骨格杆は、軟質シート素材製の容器本体を内側から縦型筒状に支持する機能を果たすものであって、グラスファイバー、カーボンファイバー等を含有する強化プラスチックの外、アルミニウム、ジュラルミン、ステンレス等の剛性に秀れた比較的軽量な合金等の管体または細棒体からなる直線状弾性素材からなるものとし、強制湾曲変形状態に張架されて容器本体を変形自在状に支持できるよう、容器本体の内側の4箇所の底部隅角部またはその近傍となる夫々の箇所と、何れか容器本体の略中心軸に交叉して斜め上方に向かう対角線上の位置となる上縁またはその近傍となる箇所との間に渡り、個々の骨格杆が夫々独立して変形可能となるように設けられる。
なお、当該骨格杆は、同両端部は、骨格杆に一体に設けられた連結構造部、容器本体に一体に設けられた連結構造部、もしくはこれらとは別体の連結金具等を介して容器本体内側に着脱可能に連結されるように構成することができる。
【0016】
連結金具は、骨格杆の両端を容器本体内に着脱可能に連結する機能を果たすものであり、骨格杆両端の所定範囲を夫々直線状に支持し、張架状態を保持するように形成されていなければならず、その一端は、骨格杆が管状の場合に、同骨格杆の端部孔に挿入可能な挿し込み部を有し、また、骨格杆が棒状の場合には、その端部を挿入可能な鞘部を有するものとされ、他方端には、容器本体の内側に着脱可能もしくは離脱不能に連結される吊環部が設けられている。
【0017】
【関連する発明】
上記のとおりの構成からなる粉粒体搬送容器に関連し、この発明には、それに用いられる弾性骨格構造体も包含しており、その構成の要旨は、基本的に次のとおりのものである。
即ち、弾性素材製の4本の骨格杆は、両端を軟質シート素材製の縦型筒状の容器本体内に連結可能としてなる粉粒体搬送容器に使用する弾性骨格構造体である。
【0018】
骨格杆は、管状または細棒状に形成され、軟質シート素材製の縦型四角筒状容器本体内に予め配してある上部、下部各連結金具の中、対応する上部、下部各連結金具に対し、各骨格杆両端が夫々着脱自在な構造で連結されるものとすることが望ましい。
【0019】
なお、粉粒体は、搬送の対象となる粉状、粒状の流動体であって、例えば、籾米、精白米、麦、大豆、玉蜀黍、またはそれらの粉体、砂糖、塩等の各種農産物および食品の外、木片チップ、合成樹脂粉砕素材等の工業用素材であり、その他各種粉粒体を搬送の対象物とすることができることは言うまでもない。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【0020】
【実施例1】
図1の粉粒体搬送容器の斜視図、および図2の骨格杆取着構造の斜視図に示される事例は、この発明における最も代表的な構成からなる粉粒体搬送容器の一例を示すものであって、軟質シート素材製の縦型四角筒状容器本体1内に4本の管状に形成された骨格杆2,2,……を夫々独立して強制湾曲変形された状態に張架し、全ての骨格杆2,2,……は各骨格杆同士を連結せず、互いに独立して湾曲変形可能とし、容器本体1を縦型四角筒状に自立、支持するように構成されている。
【0021】
容器本体1は、ポリエチレン繊維により形成され、籾米を通さない程度に目の細かい通気性のあるネット状の軟質シート素材を縫合してトラック荷台に搭載可能な程度の寸法の縦型四角筒状に形成されており、上端を筒状に開口して収容口12が形成され、同収容口12の開口の全周縁部には、巻取収納可能な筒状の筒状蓋部13を縫着すると共に、同筒状蓋部13の開口縁には、環状をなす挿通路が同縁部に添って形成され、これに縛り紐14が挿通され、当該縛り紐14を引き締めることにより、筒状蓋部13を閉鎖し、緩めることによって筒状蓋部13を開放可能になっており、また、不要時には、筒状蓋部13を収容口12の全周縁部に添うように手繰り寄せ、図示されない収納紐で縛り、固定することによって、収納できるように構成されている。収容口12の4つの隅角部の中、隣合う2つの隅角部同士を繋ぐ状態に2本の吊紐15,15の端部が夫々結着されており、同吊紐15,15を利用することによって粉粒体搬送容器をクレーンに吊り上げできるように構成されている。
【0022】
軟質シート素材は、柔軟性に秀れると共に、引張荷重やせん断荷重等に対する耐久性が高く、さらに軽量で取り扱いの容易な素材であることが望ましく、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはアラミド炭素繊維等の合成樹脂繊維の外、綿や麻等の天然繊維からなる網、あるいは、合成樹脂製の通気性のない密閉状のシート素材や複数のパンチング孔の有るシート素材または不織布等を採用することも可能である。
【0023】
容器本体1の底面部16は長方形状に形成されており、その長手方向側の夫々に縦型小筒状の送出口17,17が縫着され、当該送出口17,17の下端縁には、その全周に渡って縛り紐14,14が挿通され、同縛り紐14,14を夫々縛ることにより送出口17,17を閉鎖し、解くことによって開放できるように形成されている。
【0024】
容器本体1の収容口12および底面部16に近接される隅角部の夫々、および、上下隅角部を繋ぐ隅角辺部の夫々には、シート状の補強用布18,18,……が縫着されており、これら補強用布18,18,……の上下隅角部の夫々に相当される容器本体1内側部分には、連結金具3,3,……を着脱可能に縛り着け、固定する固定用紐19,19,……が縫着されている。
なお、この固定用紐19,19,……は、連結金具3,3,……の夫々を容器本体1の内壁に取着する機能を有するものであれば足りるものであり、面ファスナーによって着脱されるベルト、または金具を有して固定できるバンド、金属等の硬質素材からなる連結用の鉤部品等に置き換えることも可能である。
【0025】
容器本体1の上下隅角部の夫々には、連結金具3,3,……の吊杆部33,33,……が各固定用紐19,19,……によって着脱可能に縛り着け、固定されており、必要に応じて各固定用紐19,19,……を解くことにより、連結金具3,3,……を個々に取り外し可能となっている。
【0026】
連結金具3,3,……は、ステンレス合金によって形成され、その一方端に管状の骨格杆2の端部に挿入可能な所定長の挿し込み部31が直線状に形成されており、さらに他方端に容器本体1に設けられた固定用紐19によって縛り着け、固定される吊環部33が一体に設けられている。その素材は、防錆や耐久性に秀れ比較的軽量なものから製造されることが望ましく、ポリカーボネート、ABS樹脂、複合樹脂等の比較的硬質で剛性に秀れた合成樹脂、または、鋼、アルミニウム、ステンレス等の金属あるいは合金を採用することもできる。
【0027】
そして、骨格杆2,2,……の夫々は、ガラス繊維強化プラスチックを細長い直管状に形成したものであって可橈性を有し、軸方向に圧縮され難いものとして形成されており、容器本体1内に配した各下部連結金具3,3,……から、何れも容器本体1の略中心軸で交叉して斜め上方に向かう対角線上の位置となる上部連結金具3,3,……の間に渡って、下方側に強制湾曲変形された状態に張架、配置され、夫々は、一方端に下部連結金具3が挿入され、他方端に上部連結金具3が挿入され容器本体1内に着脱可能に張架、連結されている。
【0028】
骨格杆2,2,……の中央付近部分は、互いに交叉状に集合されるが、夫々の骨格杆2,2,……は互いに分離、独立されていて、自在に変形、移動可能な状態とされた上、夫々が下側に向けて湾曲状に変形され、容器本体1に対して張力を発揮する如く装着されている。
【0029】
【実施例2】
図3の他の骨格杆取着構造の斜視図に示される事例は、この発明における代表的な構成からなる粉粒体搬送容器の他の一例を示すものであって、軟質シート素材製の縦型四角筒状容器本体内1に細棒状に形成された骨格杆2,2,……4本を下側に向けて強制湾曲変形された状態に張架し、全ての骨格杆2,2,……が各骨格杆同士を連結せず、互いに独立して湾曲変形可能であり、容器本体1を縦型筒状に自立、支持するように構成されているものである。
【0030】
当該粉粒体搬送容器は、その基本的構成を前記実施例1に示したものと同様に構成されており、骨格杆2,2,……、およびこれらを容器本体1内に連結する連結金具3,3,……の形状と、その連結構造とを異にするものであって、骨格杆2は、炭素繊維強化プラスチックからなる直状細棒に形成される一方、他方端に吊環部33を有する連結金具3の一方端に鞘部32を形成し、骨格杆2の端部を連結金具3の鞘部32に挿入、連結するように構成されている。
【0031】
【実施例3】
図1ないし図7の送出口の底面部への配置の平面図に示される幾つかの事例は、夫々、一箇所または複数箇所に送出口17を配置した事例を示すものであって、図4の粉粒体搬送容器の底面部16には、中央に一つの送出口17が配設されており、図5の粉粒体搬送容器の底面部16は、長方形状に形成された長手方向一側の片側位置に一つの送出口17が設けられている。また、図6の底面部16には、4辺夫々の略中間点に対応する中央側に合計4つの送出口17,17,……が開口され、さらに、図7の底面部16には、合計3つの送出口17,17,17が同底面部16内に納まる二等辺三角形の各頂点に相当する位置に配置、形成されている。
【0032】
【作 用】
以上のとおりの構成からなるこの発明の粉粒体搬送容器、およびそれ用の弾性骨格構造体は、図2の骨格杆取着構造の斜視図に示される如く、容器本体1の内側に結着された連結金具3の差し込み部31を直管状の骨格杆2端部に差し込み、当該容器本体1の底部隅角部の夫々の箇所から、容器本体1の略中心軸に交叉して斜め上方に向かう対角線上の位置となる上縁箇所の間に渡って着脱可能に張架される。
【0033】
また、図3の他の骨格杆取着構造の斜視図に示される容器本体1の内側には、予め結着された連結金具3の鞘部32に細長棒状の骨格杆2端部を差し込み、同容器本体1の底部隅角部の夫々の箇所と、容器本体1の略中心軸に交叉して斜め上方に向かう対角線上の配置される上縁箇所との間に渡り、着脱可能に張架されるものとなる。
【0034】
骨格杆2,2,……は、図8の骨格杆の張架状態の正面図に示されるように容器本体1の下部隅角部から略中心軸で交叉し、対角線上に対応する上部隅角部にかけて下側に湾曲変形された状態に張架され、これにより容器本体1に対し図中の矢印方向に張力を付与している。その結果、容器本体1は縦型四角筒状に形状が保持される。このとき骨格部2,2,……同士は互いに連結せず独立して、湾曲変形可能なものとなっている。
【0035】
粉粒体搬送容器は、送出口17を縛り閉鎖した状態でトラックの荷台に搭載し、稲の刈取り作業を行うコンバインから収容口12に籾米の供給を受け、容器本体1内に籾米を満載した後、折り畳み収納されていた筒状蓋部13を展開延伸して閉鎖することによってトラック輸送時の走行風、雨、埃等の侵入を防止するものとなる。さらに、図9の粉粒体搬送容器の積み重ね状態の正面図に示されるように、2つの粉粒体搬送容器を積み重ねた場合にも、骨格杆2,2,……同士を連結せず、互いに独立していることから、骨格杆2,2,……の各々は、受ける荷重に応じて自在に変形、移動されて応力を分散することができるものとなっている。また、上部連結金具3,3,……から各骨格杆2,2,……を取外し、同各骨格杆2,2,……を籾米中から引き抜き、取り外すことによって容器本体1が骨格のない通常の袋体と同様の状態となる。
【0036】
籾米等の粉粒体を収容した粉粒体搬送容器は、送出口17および筒状蓋部13を閉鎖した状態で、クレーンに吊り下げ移動することが可能である外、図10の籾米の送出状態の正面図に示されるように、容器本体1底面部16の一側に配置された一つの送出口17を開放することによって籾米タンク4側壁部に開口された供給口41に円滑に供給される。
【0037】
【効 果】
以上のとおり、この発明の粉粒体搬送容器、およびそれ用の弾性骨格構造体は、容器本体が空の状態であっても、内側に設置された4本の骨格杆によって縦型四角筒状に支持され、その形状を維持し、上部の収容口からの粉粒体の供給を容易にするものとなり、従前であれば大掛かりな骨格構造体を強固に組み合わせて構成し、粉粒体を収容した際の荷重を当該骨格構造部分で支えるものとなり、搬送容器全体の重量を増大させてしまい、特に軽トラック等の比較的非力な自動車の荷台に搭載する場合には、軟弱地での安定走行の確保が困難になる上、収穫期前後の積み下ろし作業にクレーンを必要とする等、一般農家にとって不都合の多いものであったが、骨格杆は、直状弾性素材製の軽量な細棒状のものであって、軽トラックにも好適に搭載されるものとなり、荷台への積み下ろしも小人数で容易に行うことができるものとなるという秀れた特徴を発揮するものとなる。
【0038】
また、骨格杆を容器本体から取外し可能に構成することにより、収穫期の前後に収納、保管する場合に、骨格杆を取外して束ねると共に、容器本体を折り畳むことによってコンパクトに保管できるようになる上、容器本体内に粉粒体を収容したままの状態においても、骨格杆を簡単に取り外すことができることから、収容された粉粒体中から引き抜いて骨格構造体を完全に取り除き、3段以上にも積み重ねる等、予測以上の荷重を受けた場合の骨格構造体の破損を未然に防止するようにしたり、吊り上げて内部の籾米等の粉粒体を下方の送出口から放出する際の容器本体の自然な萎まりを実現できるようにすることもできる。
【0039】
さらに、容器本体内に張架された複数本の骨格杆は、夫々独立して上下、変形移動自在とされていることから、トラック搭載はもとより、クレーンでの吊り下げ移動や、積み重ね保管時の荷重を受けた場合であっても、個々の骨格杆は、夫々に加わる荷重に応じて応力の集中を回避する如く自在に弾性変形、移動され、破損することなく容器本体を内側から支持し続けるという、強固に連結された従前までの骨格構造では得ることのできなかった耐久性および支持性能を獲得できるものである。
【0040】
特に、実施例1として取り上げたこの発明を代表する構成からなる粉粒体搬送容器では、以上のような特徴を遍く発揮可能とする上、収容口12の上縁部全周に渡り、延伸可能且つ巻取収納可能となる軟質シート素材製の筒状蓋部13を形成したことにより、容器本体1内に収容された粉粒体を施蓋して風雨から守り、埃やゴミの混入を防止するものとなる上、不要時には上縁部に添って巻き取り、縛り、固定して収納することもできるものとなるので、収容口12から粉粒体を供給する場合にも、この作業を疎外することがない。また、底面に2つ設けられた送出口17は、籾米タンク4の側部に開口された供給口41に、左右何れか一方の送出口17を対応させ、当該一方の送出口17からのみ籾米を送出することによって、中央に一つある場合に困難であった籾米タンク4への籾米供給を効率的に行うことのできる作業に改善することができる。
【0041】
また、実施例1および実施例2に示されるように、連結金具3,3,……を容器本体1と骨格杆2,2,……との間に介在するものとして、骨格杆2,2,……を手作業で容易に着脱できるものとすることにより、工具を必要とせずに組み立ておよび分解を簡単に、しかも小人数で行うことができるものとなり、一連の作業効率を向上することのできるものとなる。
【0042】
さらに、実施例3で示した図5ないし図7の底面部16のように、送出口17を中央よりも外側に配置するものとすることにより、前述のような籾米タンク4への送出作用が容易になると共に、複数個の送出口17,17,……を形成することにより、何れか都合の良い位置の送出口17を選択して開口、送出できる外、迅速な送出を望む場合には、全ての送出口17,17,……を一斉に開口、放出することも可能であり、より一層効率的な粉粒体搬送作業を実現するものとなる。
【0043】
叙述の如く、この発明の粉粒体搬送容器、およびそれ用の弾性骨格構造体は、頑強な骨格構造を有する従前の粉粒体搬送容器はもとよりのこと、籾袋等に内蔵される連結型の骨格枠に比較しても、その特徴ある構成によって製造、組み立て、取扱い使用性、格納作業性、保管、経済性等、この種搬送容器に要求される殆どの要素において秀れたものとなっており、したがって、安価に市場に提供することができる上、軽量化も図られて軽トラック等の非力な車両への搭載にも好適な搬送容器とすることができる上、トラックへの積み下ろしもクレーン等の大掛かりな機械装置を一切必要とせずに小人数によって実現可能なものとすることができることから、特に籾米を取り扱う一般農家の農作業にも好適に採用され、広く利用、普及されるものとなり、農作業の省力化、効率化に大いに貢献するものとなると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の粉粒体搬送容器、およびそれ用の弾性骨格構造体の技術的思想を具現化した代表的な実施例を示すものである。
【図 1】粉粒体搬送容器を示す斜視図である。
【図 2】骨格杆取着構造を示す斜視図である。
【図 3】他の骨格杆取着構造を示す斜視図である。
【図 4】底面部の中央に1つの送出口を配した例を示す平面図である。
【図 5】底面部の一側に1つの送出口を配した例を示す平面図である。
【図 6】底面部に4つの送出口を配した例を示す平面図である。
【図 7】底面部に3つの送出口を配した例を示す平面図である。
【図 8】骨格杆の設置、張架状態を概略的に示す正面図である。
【図 9】粉粒体搬送容器を積み上げ保管する状態を示す正面図である。
【図 10】クレーンによって移送された粉粒体搬送容器が、籾米タンクに籾米を供給する状態を概略的に示す正面図である。
【図 11】従前より採用されていた籾袋用の骨格枠を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 容器本体(籾袋)
11 同 周壁部
12 同 収容口
13 同 筒状蓋部
14 同 縛り紐
15 同 吊紐
16 同 底面部
17 同 送出口
18 同 補強用布
19 同 固定用紐
2 骨格杆
3 連結金具
31 同 挿し込み部
32 同 鞘部
33 同 吊環部
4 籾米タンク
41 同 供給口
5 骨格構造体
31 同 挿し込み部
32 同 鞘部
33 同 吊環部
4 籾米タンク
41 同 供給口
5 骨格構造体
51 同 骨格枠
52 同 骨格枠
53 同 支軸
Claims (5)
- 軟質シート素材により縦型四角筒状の形状に形成し、その上部を粉粒体用の収容口とし、底面には粉粒体排出用の送出口を開閉可能に設けて容器本体となし、
当該容器本体の内側で、底部隅角部またはその近傍の4箇所と、何れも容器本体の略中心軸に交叉して斜め上方に向かう対角線上の位置となる前記収容口の上縁部の隅角部またはその近傍の4箇所との間に渡って、略直状弾性素材製の夫々独立した4本の骨格杆を、下方側に強制湾曲変形した状態で張架すると共に、各骨格杆同士を連結せず互いに独立して湾曲変形可能とすることにより、容器本体の形状を保持することを特徴とする粉粒体搬送容器。 - 軟質シート素材により縦型四角筒状の形状に形成し、その上部を粉粒体用の収容口とし、底面には粉粒体排出用の送出口を開閉可能に設けて容器本体となし、
当該容器本体の内側で、底部隅角部またはその近傍の4箇所に配した下部連結金具と、何れも容器本体の略中心軸に交叉して斜め上方に向かう対角線上の位置となる前記収容口の上縁部の隅角部またはその近傍の4箇所に配した上部連結金具との間に渡って、略直状弾性素材製の夫々独立した4本の骨格杆を、下方側に強制湾曲変形した状態で、且つ夫々の下部、上部各連結金具から着脱自在となるように張架すると共に、各骨格杆同士を連結せず互いに独立して湾曲変形可能とすることにより、容器本体の形状を保持することを特徴とする粉粒体搬送容器。 - 延伸可能且つ巻取収納可能な軟質シート素材により前記収容口の上縁部全周に渡り筒状蓋部を形成し、この筒状蓋部により収容口を開閉可能にしてなる請求項1または2記載の粉粒体搬送容器。
- 前記骨格杆が、夫々グラスファイバー製の管体からなり、該骨格杆両端を接続、固定する上部、下部各連結金具が、その一方端を当該骨格杆の端部開口内に挿入可能な差し込み部に、また他方端を吊環部にそれぞれ形成され、それら上部、下部各連結金具の吊環部を、容器本体内で、前記収容口の上縁部の隅角部またはその近傍及び前記底部隅角部またはその近傍に、それぞれ取着したうえ、下部連結金具の差し込み部を骨格杆下端開口内に挿入し、さらに当該骨格杆を下方側に強制湾曲状に変形させた状態で上部連結金具の差し込み部を骨格杆上端開口内に挿入することにより4本の骨格杆を張架してなる請求項2記載の粉粒体搬送容器。
- 前記骨格杆が、夫々グラスファイバー製の弾性細棒体からなり、該骨格杆両端を接続、固定する上部、下部各連結金具が、その一方端を当該骨格杆の端部を挿入可能な鞘部に、また他方端を吊環部にそれぞれ形成され、それら上部、下部各連結金具の吊環部を、容器本体内で、前記収容口の上縁部の隅角部またはその近傍及び前記底部隅角部またはその近傍に、それぞれ取着したうえ、下部連結金具の鞘部内に骨格杆下端を挿入し、さらに当該骨格杆を下方側に強制湾曲状に変形させた状態で上部連結金具の鞘部内に骨格杆上端を挿入することにより4本の骨格杆を張架してなる請求項2記載の粉粒体搬送容器。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP02669498A JP3828266B2 (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | 粉粒体搬送容器、およびそれ用の弾性骨格構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02669498A JP3828266B2 (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | 粉粒体搬送容器、およびそれ用の弾性骨格構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11208778A JPH11208778A (ja) | 1999-08-03 |
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Family Applications (1)
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JP02669498A Expired - Lifetime JP3828266B2 (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | 粉粒体搬送容器、およびそれ用の弾性骨格構造体 |
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Country | Link |
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EP3272676A1 (en) * | 2016-07-21 | 2018-01-24 | Condepols, S.A. | Flexible container |
-
1998
- 1998-01-23 JP JP02669498A patent/JP3828266B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH11208778A (ja) | 1999-08-03 |
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