JP3827965B2 - ガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法 - Google Patents

ガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築現場や土木現場等で利用される鉄筋,肉厚パイプ,レ−ルなどのガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のガス圧接方法としては、社団法人日本圧接協会発行の「鉄筋のガス圧接工事標準仕様書」で明記されているように、酸素とアセチレンガスが用いられ、燃料ガスとしてアセチレンガス以外を使用することはなかった。従って、ガス圧接の創始以来、今日までの各種の技術上の改良や開発は、接合部分を均等に加熱加圧して良好なコブを形成させると共に接合強度を安定化させることが目的であり、それを達成させるための方法、或いは装置の改良や開発が行われてきたのが現状であった。しかしながら前記ガス圧接で使用するアセチレンガスは高価であり、ガス代が多く掛り、また火力が強いため、被接合部の表面と中心部の温度に差ができ、圧接性能に悪影響を受け易かった。またアセチレンガスを初期加熱で使用している間は還元炎であるので逆火しにくいが、後期加熱で使用する間は中性炎に切換えられるので逆火が起き易い等の問題点があった。このため、本発明者が特願平11−219687号「アセチレンガスを途中から他の燃料ガスに切換えるガス圧接方法」や特願2000−081131「非還元性ガスを併用したガス圧接方法」などを提案したところである。
【0003】
一方、近年に於いて、加熱コイルを用いてうず電流が誘導され、そのジュ−ル熱で加熱する高周波誘導加熱方式が注目され始めている。これは接合箇所の周囲に加熱コイルを配置して加熱すると共にその周囲を炭酸ガスなどでシ−ルドしながら行うものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記高周波誘導加熱方式は室内で行うには便利なものであるが、これを現場で使用すると、ガスシ−ルド装置をセットしたり、ガスボンベを持ち込んだり、その他多くの装置が使用されるため、準備や設置が大変面倒であると共に天候や風速によってシ−ルドが不安定となるので完全なシ−ルドは出来ず、現場作業には不向きなものであった。しかも炭酸ガスを使用した時には、二酸化炭素が周囲に多量に吹き出されて地球温暖化の要因となって悪影響を及ぼすなどの問題点があった。
【0005】
本発明は特願平11−219687号や特願2000−081131よりも加熱作業が簡単でより確実に接合強度が安定し、且つ高周波誘導加熱方式でも現場で充分に対応出来るガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明方法は成されたものであり、つまり、凹部を有した端面を突き合せて空間が形成されると共に該空間に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製シ−トを入れたり、或いは合成樹脂製キャップを端面に被せたり、脱酸素用及び脱水素用のフラックスを凹部に塗布して、端面の突合箇所を加熱手段によって、初期加熱と後期加熱が連続して行われるガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法と成す。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本実施形態の凹部に合成樹脂製シ−トを入れてガス或いは高周波誘導加熱による圧接作業が行われる場合の図であり、これについて説明する。先ず前処理として、鉄筋(W)やレ−ル等の端面(1)を切削し、凹部(2)を形成させる。この時、凹部(2)としては、図4(a)に示すように深さが1.0mm〜2.0mmの円形穴で且つ周縁幅が1.0mm〜2.0mm残したものが好ましく、図4(b)のように偏心した円形穴としても良い。この場合は鉄筋(W)に凹部(2)を形成させた時の状態である。又、図4(c)のように面取り付きの凹部(2)を形成したり、図4(d)に示す周縁幅が無く且つ面取り付きの凹部(2)を形成させても良い。更に図4(e)の如く深さが1.0mm〜2.0mmの略球面状に反った穴で且つ周縁幅が1.0mm〜2.0mm残したものとしても良く、図4(f)のように周縁幅を無くした略球面状の穴としても良い。また図4(g)に示すように全体を凹まし、且つ中心を若干膨らませると共に外側を更に深く凹ました穴の凹部(2)としても良く、これを用いると、先ず始めに外周が密着し、次に中心部が密着した後、中間部が密着されるため、周縁幅が広い場合であっても空気がスム−ズに抜け易くなる。尚、前記凹部(2)の深さとしては1.0mm〜1.5mmが好ましい。また前記凹部(2)は旋盤で切削したり、或いは専用切削装置を使用して切削すると良い。
【0008】
次に凹部(2)が形成された端面(1)同士を突き合せて2本の鉄筋(W)を圧接器にセットする。この時、前記凹部(2)によって形成された空間(A)には、図1(a)に示すようにポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製シ−ト(3)を入れる。尚、前記合成樹脂製シ−ト(3)としては、家庭で使用するポリエチレン製のゴミ袋,ポリエチレン製の手袋,ポリプロピレン製のテ−プ,発泡ポリエチレンシ−ト,ポリスチレンフ−ド用袋などを用いると良い。その後、上限圧に達するまで加圧した後、バ−ナ−に着火させて酸素と非還元性ガスの加熱手段(B)或いは高周波誘導加熱方式による加熱手段(B)によって突合部分を加熱させる。この時の非還元性ガスとしてはプロパンガス,LNG,エチレンガス, ブタンガス,エタンガス,メタンガス,プロピレンガス,水素ガスなどの内の1つ、又はそれらの混合ガスの非還元性ガスを用いると良い。加熱手段(B)で突合部分を加熱させると、図6に示すように加圧力が降下し再度上限圧に達する。すると、端面(1)の周縁が溶けて外周を密着させる[図1(b)参照]。この時、空間(A)に入れた合成樹脂製シ−ト(3)が燃焼しガス化することによって、外部からの侵入酸素を消費するため、端面(1)の酸化物組成を阻止する。その結果、端面(1)の表面を酸化させることが防止できるのである。また密閉した空間(A)には酸素が入らずに加熱が続行される。この時、合成樹脂製シ−ト(3)は完全に燃焼して残存酸化物はない。加熱を続行して行くと、図6に示すように加圧力が降下し下限圧に達する。この下限圧に達するまでに前記空間(A)は押圧されて内部の空気が適宜に押出されて抜け、空間(A)の密着を完了させる[図1(c)参照]。その後、加圧力は再度上限圧に達してコブを形成するのである[図1(d)参照]。
【0009】
図2は本実施形態の凹部に合成樹脂製キャップを被せてガス或いは高周波誘導加熱による圧接作業が行われる場合の図であり、これについて説明する。先ず前処理として、前記実施形態と同様に端面(1)を切削し、図4(a)のような凹部(2)を形成させる。尚、この時の凹部(2)は図4(a)以外の形状でも良い。次に一方の鉄筋(W)の凹部(2)にポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製キャップ(4)を被せると共にその端面(1)同士を突き合せて2本の鉄筋(W)を圧接器にセットする[図2(a)参照]。この時、前記合成樹脂製キャップ(4)は両方の凹部(2)に被せる場合もある。その後、上限圧に達するまで加圧した後、前記同様に加熱手段(B)によって突合部分を加熱させると、合成樹脂製キャップ(4)は外周から燃焼し始め、図6に示すように加圧力が降下し再度上限圧に達すると、端面(1)の周縁が溶けて外周は密着するのである[図2(b)参照]。この時、端面(1)に被せた合成樹脂製キャップ(4)は燃焼しながらガスを発生させると共に外部からの侵入酸素を消費し、合成樹脂製キャップ(4)が完全燃焼されて空間(A)には残存酸化物はなく、且つ密閉した空間(A)には酸素が入らずに加熱が続行される。加熱を続行して行くと、図6に示すように加圧力が降下し下限圧に達する。この下限圧に達するまでに前記空間(A)は押圧されて内部の空気が適宜に押出されて抜け、空間(A)の密着を完了させる[図2(c)参照]。その後、加圧力は再度上限圧に達してコブを形成するのである[図2(d)参照]。
【0010】
図3は本実施形態の凹部にフラックスを塗布してガス或いは高周波誘導加熱による圧接作業が行われる場合の図であり、これについて説明する。先ず前処理として、鉄筋(W)やレ−ル等の端面(1)を切削し、図4(f)に示すように周縁幅を無くし且つ深さが1.0mm〜2.0mmの略球面状凹部(2)を形成させる。尚、この時の凹部(2)は図4(f)以外の形状でも良い。次に凹部(2)に、脱酸素用及び脱水素用のフラックス(5)を塗布する。この時のフラックス(5)として、エポキシ系樹脂と、カ−ボンブラック又はグラファイトと、有機溶剤との混合物を用いた端面処理用フラックスを使用すると良く、これは特開平7−232286号で開示されているものである。また特開昭58−173092号で開示する松炭や木炭の微粉末と松脂にメチルアルコ−ルと練り味噌とが混合されたものを用いたり、特開昭58−38695号で開示するアルキッド樹脂と、珪砂と、炭素とが混合されたもの等を用いたり、更に特開平7−276067号で開示する脱酸素剤や脱水素剤を用いても良く、特開平7−214343号で開示するアルキッド樹脂やウレタン樹脂などの樹脂成分に、フェロシリコンやフェロマンガンなどの脱酸素剤と、塩素化ポリエチレンや塩素化ポリプロピレンなどの脱水素剤とが混合されたものを用いても良い。その他のフラックス(5)として以下のものを使用しても良い。先ず特開昭57−47589号で開示する油性塗料,ビチュ−メン塗料,合成樹脂系塗料,脂肪酸系塗料を用いると良い。またアルキッド樹脂,ウレタン樹脂,フェノ−ル樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂などの密着性と完全燃焼可能な樹脂成分に、フェロシリコン微粉末,フェロマンガン微粉末,カ−ボンブラック微粉末などの被覆剤のフィラ−作用と還元する脱酸素剤を加えると共に、塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレン,ポリ四弗化エチレン,四弗化エチレン―六弗化プロピレン共重合体,四弗化エチレン―パ−フルオロアルキルビニ−ルエ−テル共重合体,三弗化エチレン樹脂等の有機ハロゲン化物(ハロゲン化ポリアルキレン),蛍石や氷晶石等の無機ハロゲン化物などのフィラ−作用と水素の鋼中侵入防止用として脱水素剤を加えたものを用いても良い。
【0011】
次にフラックス(5)が塗布された凹部(2)を有する端面(1)同士を突き合せて2本の鉄筋(W)を圧接器にセットする。この時、前記凹部(2)によって空間(A)が形成される。その後、加熱手段(B)によって突合箇所が矢印方向の熱によって加熱される[図3(a)参照]。すると端面(1)の周縁が先ず始めに溶けて直ぐに空間(A)は密閉される[図3(b)参照]。この時、空間(A)内部に塗布されたフラックス(5)は燃焼し、酸素吸収雰囲気を形成したり、接合部分の水素を吸着除去して溶鋼中の水素の侵入を防止する。又、この時は図6に示すように加圧力が降下し再度上限圧に達した時点で外周が完全に密着される。更に加熱して行くと、図6に示すように加圧力が降下し下限圧に達する。この下限圧に達するまでに前記空間(A)は押圧されて内部の空気が適宜に押出されて抜け、空間(A)の密着を完了させる[図3(c)参照]。その後、加圧力は再度上限圧に達してコブを形成するのである[図3(d)参照]。尚、前記加熱手段(B)として高周波誘導加熱方式で圧接が行われた時、空間(A)に塗布されたフラックス(5)によって、端面(1)の突合箇所を従来の如き炭酸ガスなどでシ−ルドしなくても密着度が良好であることが、幾たびかの実験結果から判明している。又、この時に合成樹脂製シ−ト(3)を空間(A)に入れても同様に密着度は良好であることが、実験結果から判明している。
【0012】
図5は端面(1)の一方だけに凹部(2)を設け、平面状の端面(1)と前記端面(1)を突き合せて空間(A)が形成され、且つ合成樹脂製シ−ト(3),合成樹脂製キャップ(4),フラックス(5)を設けた実施形態を示す図である。図5(a)は空間(A)に合成樹脂製シ−ト(3)が入れられた状態のものである。また図5(b)は凹部(2)を有した一方の端面(1)に合成樹脂製キャップ(4)を被せたものであり、図5(c)は平面状の端面(1)に合成樹脂製キャップ(4)を被せたものである。更に図5(d)は凹部(2)と平面状の端面(1)にフラックス(5)を塗布したものである。尚、図1〜図3に示す実施形態に於いて、図5に示す状態でガス或いは高周波誘導加熱による圧接作業を行っても良い。
【0013】
【実施例1】
図1を参照して、直径が32mmの鉄筋(W)を接合させる場合についてガス圧接方法を説明する。予め鉄筋(W)の端面(1)に図4(a)のような凹部(2)を形成させておく。先ず2本の前記鉄筋(W)の端面(1)を突き合せて圧接器にセットし、対向する凹部(2)によって形成される空間(A)に、厚さ0.04mmのポリエチレン製のゴミ袋を2枚〜3枚入れておく。その後、上限圧に達するまで加圧させ、バ−ナ−に着火して酸素とプロパンガスで突合部分を加熱させる[図1(a)参照]。この時のガス供給量は、プロパンガス2.4m3/h,酸素3.5m3/hとするのが良い。すると、端面(1)の周縁が先ず始めに溶けて空間(A)は図1(b)のように密閉される。この時、図6に示すように加圧力が降下し再度上限圧に達した時点で端面(1)の外周が完全に密着する[図1(b)参照]。更に加熱して行くと、図6に示すように加圧力が降下し下限圧に達する。この時点で空間(A)は押圧されて内部の空気が適宜に押出されて抜け、空間(A)の密着が完了される[図1(c)参照]。その後、加圧力は再度上限圧に達してコブを形成するのである[図1(d)参照]。尚、前記空間(A)に入れた合成樹脂製シ−ト(3)が燃焼しガス化することによって、外部からの侵入酸素は消費されるため、端面(1)の表面が酸化することを防止出来ると共に密閉した空間(A)には酸素が入らずに加熱を続行し、且つ合成樹脂製シ−ト(3)は完全に燃焼して残存酸化物は生じない。又、本発明方法のガス燃料費としては、アセチレンガスを使用した方法と比べると、加熱燃料コストが約5分の1〜8分の1であった。一方、前記空間(A)にポリエチレン製のゴミ袋などの合成樹脂製シ−ト(3)を入れない状態で50組ガス圧接した所、全て接合強度不良であった。
【0014】
実施例1で鉄筋(W)を100組接合させて各接合箇所のコブの外観検査及び接合強度検査を行ったが、100本全て良好であった。又、前記凹部(2)を図4に示すいろいろな形状に形成させて各30組確認したが何れも良好であった。更に空間(A)に入れた前記合成樹脂製シ−ト(3)は、ポリエチレン製のゴミ袋を1枚にすると圧接不良が発生し、4枚以上になると燃えカスが残り、その部分が圧接不良の原因となる恐れを生じる。また前記ポリエチレン製のゴミ袋以外に、家庭で使用するポリエチレン製の手袋,ポリプロピレン製のテ−プ,発泡ポリエチレンシ−ト,ポリスチレンフ−ド用袋などを用いて各30組圧接した結果、何れのものを用いても接合効果が良好であることが確認されたが、この時には、各種の合成樹脂製シ−ト(3)を空間(A)に入れる量を検討して入れる必要がある。尚、この量は本発明者が既に実験デ−タ−として蓄積済みである。次に非還元性ガスとしてプロパンガス以外のLNG,エチレンガス,
ブタンガス,メタンガス,エタンガス,水素ガス,それらの混合ガスを用いたものについても各30組圧接した結果、接合は何れも良好であり、圧接性能に弊害がないことが確認出来た。又、本発明方法は非還元性ガスが途中から切換えることなく連続して行うため、加熱作業が簡単となった。尚、図2に基づいて、直径32mmの鉄筋(W)を実施例1と同様にガス圧接すると、実施例1と略同様の結果が得られたので、これ以上の説明は省略する。又、図5(a)〜図5(d)に示す状態のものを各30組確認したが、何れも良好であった。
【0015】
【実施例2】
図3に基づいて、直径が32mmの鉄筋(W)を高周波誘導加熱方式で行う圧接方法について説明する。先ず前処理として、鉄筋(W)の端面(1)には図4(f)に示すような周縁幅を無くし且つ深さが1.5mmの略球面状凹部(2)を形成させる。次に凹部(2)に、脱酸素用及び脱水素用のフラックス(5)として、エポキシ系樹脂と、カ−ボンブラック又はグラファイトと、有機溶剤との混合物を用い、それを塗布する。そして2本の鉄筋(W)の端面(1)を突き合せて圧接器にセットさせ、上限圧に達するまで加圧した後、電源を入れ加熱コイルにうず電流が誘導されると、突合箇所は図3(a)に示す矢印方向の熱によって加熱される。すると端面(1)の周縁が徐々に溶けて空間(A)は図3(b)のように直ぐに密閉される。この時、空間(A)内部に塗布されたフラックス(5)が燃焼されて、酸素吸収雰囲気を形成したり、突合箇所の水素を吸着除去して溶鋼中の水素の侵入を防止出来る。尚、この時は図6に示すように加圧力が降下し再度上限圧に達した時点で外周の密着が完了する。更に加熱して行くと、図6に示すように加圧力が降下し下限圧に達する。この下限圧に達するまでに前記空間(A)は押圧されて図3(c)に示すように密着し隙間がなくなり、空間(A)の密着を完了する。その後、加圧力は再度上限圧に達してコブが図3(d)に示すように形成されるのである。
【0016】
前記実施例2で鉄筋(W)を50組接合させて各接合箇所のコブの外観検査及び接合強度検査を行った結果、良35本、可15本、不可0本であった。又、空間(A)にフラックス(5)を塗布すると、端面(1)の突合部分を従来の如き炭酸ガスなどでシ−ルドしなくても接合不良は生じなかった。この時、空間(A)に合成樹脂製シ−ト(3)を入れて20組圧接した結果、密着度は良好であった。また前記フラックス(5)として特開平7−232286号のもの以外に、特開昭58−173092号,特開昭58−38695号,特開平7−276067号,特開平7−214343号で開示されたものなどを用いて各20組圧接した結果、何れのものを用いても接合不良は生じなかったが、この時には、各フラックス(5)の塗布する厚さを検討し適切な厚さにする必要がある。尚、図5に示す状態のものを各20組確認したが、何れも接合不良は生じなかった。
【0017】
【発明の効果】
本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0018】
請求項1のように凹部(2)を有した端面(1)を突き合せて空間(A)が形成されると共に該空間(A)に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製シ−ト(3)を入れ、端面(1)の突合箇所を加熱手段(B)によって初期加熱と後期加熱を連続して行うことにより、端面(1)の突合箇所の加熱にアセチレンガスを使用せず、非還元性ガスが用いられてガス圧接を行ったり、高周波誘導加熱方式などで圧接を行うことが出来るため、逆火が起きにくい安全な作業が行えると共に加熱作業が簡単でより確実に接合強度が安定して得られるものとなった。
【0019】
請求項2のように端面(1)に凹部(2)を形成させ、該凹部(2)にポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製キャップ(4)を被せると共にその端面(1)同士を突き合せて空間(A)が形成された状態で、端面(1)の突合箇所を加熱手段(B)によって、初期加熱と後期加熱を連続して行うことにより、請求項1と同等の効果が得られると共に合成樹脂製キャップ(4)を端面(1)に予め被せておくことが出来るので、作業効率が向上する。
【0020】
請求項3に示すように端面(1)に凹部(2)を形成させ、該凹部(2)に脱酸素用及び脱水素用のフラックス(5)を塗布し、且つ端面(1)同士を突き合せて空間(A)が形成された状態で、その端面(1)の突合箇所を加熱手段(B)によって、初期加熱と後期加熱を連続して行うことにより、請求項1と略同等の効果が得られる。またフラックス(5)を凹部(2)に予め塗布しておくことが出来ると共に端面(1)の前処置が圧接当日の前に行えるので、作業効率が向上するものとなる。
【0021】
請求項4に示すように凹部(2)の深さが1.0mm〜2.0mmの円形穴であり、周縁幅が少なくとも1.0mm以上とすることにより、加熱作業を開始すると、その周縁は直ぐに溶けて密閉した空間(A)が確保されるので、空間(A)の内部には圧接に有利なガスが充満され易くなり、良好な接合面の形成が可能となる。
【0022】
請求項5のように凹部(2)の深さが1.0mm〜2.0mmであり、該凹部(2)が略球面状で且つ周縁幅をなくすことにより、請求項4と同様な効果を得ると共に空間(A)の密閉がより早くなるため、外部からの酸素の侵入を最小限に押えることが可能となり、接合が良好なものとなる。また加工がし易いものとなる。
【0023】
請求項6のように合成樹脂製シ−ト(3)として、家庭で使用するポリエチレン製のゴミ袋,ポリエチレン製の手袋,ポリプロピレン製のテ−プ,発泡ポリエチレンシ−ト,ポリスチレンフ−ド用袋などを用いることにより、凹部(2)に入れるだけの簡単な作業で良く、しかも入手し易く、且つ保管が容易であると共に接合性能が安定したものとなる。
【0024】
請求項7に示すようにフラックス(5)として、エポキシ系樹脂と、カ−ボンブラック又はグラファイトと、有機溶剤との混合物を用いることにより、脱酸素と脱水素の作用を有すると共に端面(1)の防錆効果が得られるものとなる。
【0025】
請求項8に示すように空間(A)が、凹部(2)を有した端面(1)と平面状の端面(1)とを突き合せて形成されることにより、接合強度に不良を生じることなくコブが形成出来るものとなり、且つ端面(1)の加工が片側だけで良くなり、前処理の手間が半減し、段取りも簡単となる。また径の異なる鉄筋(W)を突き合せる場合、太い鉄筋(W)の端面(1)を平面状と成し、細い鉄筋(W)の端面(1)に凹部(2)を形成させると、多少ずれても許容され、セットが簡単となる。
【0026】
請求項9のように加熱手段(B)として非還元性ガスが用いられてガス圧接を行うと、アセチレンガスが不要となり、且つ非還元性ガスを途中から切換えることなく連続して行えるため加熱作業が簡単でより確実に接合強度が安定するものとなる。更に逆火が起きにくい安全な作業が行えるものとなり、且つガス燃料費としては、アセチレンガスと比べると、加熱燃料コストが約5分の1〜8分の1になり、燃料代が経済的なものとなる。特にプロパンガスを用いると、普及しているので入手が容易である。またLNGを用いると二酸化炭素ガスの発生が少なくクリ−ンエネルギ−として近い将来の注目燃料ガスと期待されるものとなり、且つ水素ガスを用いれば、燃焼時に二酸化炭素や一酸化炭素などの環境に悪影響を及ぼすガスが全く発生しないものとなる。
【0027】
請求項10のように加熱手段(B)として、加熱コイルを用いてうず電流が誘導され、そのジュ−ル熱で加熱する高周波誘導加熱方式を用いることにより、アセチレンガスを使用しないので、従来のような逆火が起きることがなくなると共に火炎が不要となり、安全な作業が行え、且つ火災の心配が殆どないものとなる。またガスシ−ルド装置が不要となるため、その装置関連の数が減り、そのセットや重いガスボンベの持ち込みが不要となり、準備や設置が簡単になると共に完全なシ−ルドが不要となるため、現場で充分に対応可能なものとなった。しかも二酸化炭素の吹き出しがなくなるので、環境に悪影響を及ぼす心配が解消出来るものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の合成樹脂製シ−トが凹部に入れられてガス或いは高周波誘導加熱による圧接する方法を示す説明図である。
【図2】 本実施形態の合成樹脂製キャップが端部に被覆したガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法を示す説明図である。
【図3】 本実施形態のフラックスが凹部に塗布されたガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法を示す説明図である。
【図4】 本実施形態の凹部の種類を示す説明図である。
【図5】 本実施形態の凹部を有した端面と平面状の端面を突き合せ、且つ合成樹脂製シ−トやキャップ及びフラックスが設けられた状態を示す説明図である。
【図6】 本実施形態の加圧力と時間の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 端面
2 凹部
3 合成樹脂製シ−ト
4 合成樹脂製キャップ
5 フラックス
A 空間
B 加熱手段
W 鉄筋

Claims (10)

  1. 凹部(2)を有した端面(1)を突き合せて空間(A)が形成されると共に該空間(A)に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製シ−ト(3)を入れ、前記端面(1)の突合箇所を加熱手段(B)によって初期加熱と後期加熱が連続して行われることを特徴とするガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法。
  2. 端面(1)に凹部(2)を形成させ、該凹部(2)にポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製キャップ(4)を被せると共にその端面(1)同士を突き合せて空間(A)が形成された状態で、前記端面(1)の突合箇所を加熱手段(B)によって、初期加熱と後期加熱が連続して行われることを特徴とするガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法。
  3. 端面(1)に凹部(2)を形成させ、該凹部(2)に脱酸素用及び脱水素用のフラックス(5)を塗布し、且つ前記端面(1)同士を突き合せて空間(A)が形成された状態で、その端面(1)の突合箇所を加熱手段(B)によって、初期加熱と後期加熱を連続して行うことを特徴とするガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法。
  4. 前記凹部(2)の深さが1.0mm〜2.0mmの円形穴であり、周縁幅が少なくとも1.0mm以上である請求項1、2又は3記載のガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法。
  5. 前記凹部(2)の深さが1.0mm〜2.0mmであり、該凹部(2)が略球面状で且つ周縁幅をなくした請求項1、2又は3記載のガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法。
  6. 前記合成樹脂製シ−ト(3)として、家庭で使用するポリエチレン製のゴミ袋,ポリエチレン製の手袋,ポリプロピレン製のテ−プ,発泡ポリエチレンシ−ト,ポリスチレンフ−ド用袋などを用いた請求項1記載のガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法。
  7. 前記フラックス(5)として、エポキシ系樹脂と、カ−ボンブラック又はグラファイトと、有機溶剤との混合物を用いた請求項3記載のガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法。
  8. 前記空間(A)が、前記凹部(2)を有した前記端面(1)と、前記凹部(2)を有しない平面状の端面(1)とを突き合せて形成された請求項1、2又は3記載のガス或いは高周波誘導加熱による圧接方法。
  9. 前記加熱手段(B)として非還元性ガスが用いられ、該非還元性ガスとして、プロパンガス,LNG,エチレンガス, ブタンガス,エタンガス,メタンガス,プロピレンガス,水素ガスなどの内の1つ、又はそれらの混合ガスが用いられた請求項1、2又は3記載のガス圧接方法。
  10. 前記加熱手段(B)が、加熱コイルを用いてうず電流が誘導され、そのジュ−ル熱で加熱する高周波誘導加熱方式である請求項1、2又は3記載の高周波誘導加熱による圧接方法。
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