JP3827832B2 - 面光源用レンズフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型の液晶ディスプレイや広告板等の透光性表示体のバックライトとして使われる面光源に用いる集光用のレンズフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
透過型の液晶ディスプレイを背面から照明する面光源として各種方式のバックライトが提案、実用化している。バックライトには、主として、面光源でない光源を面光源に変換する方式によりエッジライト型と直下型とがある。
エッジライト型の面光源は、例えば、透明樹脂板からなる導光体の少なくとも一つの側端面に隣接して、点光源又は線光源を配置し、導光体の下方の裏面側には、白色インクをドット状に印刷等した光拡散反射体を配置し、また導光体上方の出光面側には、透明樹脂中にシリカ等を含有させた乳白色の光拡散板を配置し、更に光拡散板の上に、光を適度に集光する為にレンズフィルムを配置した構成とする。この様な構成により、導光体の側端面から入射した光が導光体内部で多重反射して内部全体に行き渡り、裏面側に配置された光拡散反射体から主として拡散反射させる光が出光面から出射し、更に拡散板によってさらに均一化された拡散光とされた後、更にレンズフィルムによって、広がりすぎた拡散光を所望の方向に適度に集光させた光として、液晶表示素子等を背面から照明する。
また、直下型の面光源では、例えば、上方が開口し内面が光反射面のランプハウスに点光源又は線光源を内蔵させ、上方の開口部に透明樹脂中にシリカ等を含有させた乳白色の光拡散板を配置し、更に光拡散板の上に、光を適度に集光する為にレンズフィルムを配置した構成とする。この様な構成により、ランプハウス上方の開口部から出光する光は、光源からの直接光と、ランプハウス内面の光反射面で反射した間接光との合成光となり、この合成光が拡散板によって均一化された拡散光となった後、更にレンズフィルムによって、広がり過ぎた拡散光を所望の方向に適度に集光された光として、液晶表示素子等を背面から照明する。
【0003】
これらエッジライト型又は直下型の面光源では、面光源でない光源を面光源に変換する為に、点状又は線状の光源の形状、或いはエッジライト型での導光体では裏面に印刷したドットパターン形状を見えない様にする為に、光拡散板等を用いて光を必ず拡散させている。しかし、これによる光拡散の度合いが大きすぎると、光が無駄な方向にまで放出されることになり、広がり過ぎた光を集光する為に、レンズフィルムが必要となる。レンズフィルムには、多数の三角柱プリズムを配置したフレネルレンズ方式のもの、或いは、断面が円(或いは楕円や放物線など)の円柱レンチキュラーレンズ等が用いられる。また、一枚のレンズフィルムでは集光が不充分な場合には、レンズフィルムを二枚重ねで使用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、片面にレンズ凹凸があり、他方の面が平面のレンズフィルムをそのまま二枚重ねすると、2枚のレンズフィルム同士の距離の微妙な差による等厚干渉縞(ニュートンリング)が見えることがある。また、2枚のレンズフィルムのそれぞれのレンズ面を上側にして重ねると、下側レンズフィルムのレンズの凸部分と上側レンズフィルム裏面とが接触した部分は、光学的密着により透明化して、レンズの凸部分のパターン形状が見えてしまう。例えば、三角柱単位レンズの場合、凸部分である多数の稜線が見える。また、導光体の平滑な出光面上に、平滑な裏面を下にしてレンズフィルムを重ねても、レンズフィルム裏面と出光面とが光学的に密着して透明化し、導光体出光面内面での光の全反射を利用した、導光体による面光源化が困難となる。そこで、レンズフィルム裏面を粗面化すれば、光学干渉縞、或いは2枚重ね時の下側レンズフィルムや導光体との光学的密着の問題は解消されるが、粗面化によって光が拡散して、レンズフィルムから出射する光線の一部が視野角外に大きく外れた、いわゆるサイドローブ光が増えてしまい、光の利用効率が低下し、その分、暗い面光源となってしまうといった問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の面光源用レンズフィルムでは、透明基材の表面側に、単位レンズを1次元又は2次元方向に配置してなるレンズ配列を有する面光源用レンズフィルムにおいて、裏面が、中心線平均粗さRaが0.5≦Ra≦2.0μmで、且つ十点平均粗さRzが1.5≦Rz≦6.5μmの粗さの微細凹凸を設けることで、レンズフィルムを導光体や他のレンズフィルムと重ねた時の光学的密着を防止し、且つサイドローブ光が増えるのを防止した。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の面光源用レンズフィルムを、図面を参照しながら詳述する。図1は本発明の面光源用レンズフィルムの一形態を示す断面図、図2は本発明の面光源用レンズフィルムを二枚重ねで用いる一例を示す斜視図、図3本発明の面光源用レンズフィルムの製造装置の一例を示す概念図である。
【0007】
図1に例示する本発明の面光源用レンズフィルム10は、透明基材1の表側にレンズ層2が、裏側にマット層3が、それぞれ接着層4を介して積層された構成のものである。なお、接着層4は省略することもある。また、本発明の面光源用レンズフィルムでは、レンズ層2、マット層3のどちらか一方、又は両方が、透明基材1と一体化した構成でも良い(例えば、熱可塑性樹脂の射出成形や熱プレスで製造する場合である)。しかし、生産効率に優れている等の点で、後述する製造方法で得られる図1の様な、透明基材1にレンズ層2及びマット層3を適宜接着層4を介して積層した構成は、好ましい一形態である。
【0008】
レンズ層2のレンズ配列としては、単位レンズを1次元又は2次元方向に配置したものであり、従来公知のレンズ配列のいずれでも良い。例えば、図1及び図2に示す様に、単位レンズが三角柱プリズムからなるもので、これを1次元方向に配置したものである。1次元方向に配置する単位レンズの断面形状としては、三角形以外に、円、楕円等の連続で滑らかな曲線から構成したものでも良い。また、2次元方向に配置する単位レンズとしては、角錐レンズ、三角錐レンズ、或いは蠅の目レンズ等の如き半球状レンズ等である。また、前記断面が三角形の三角柱プリズム等の1次元方向に配置する単位レンズの場合には、出光面の法線方向から見て、直線状に配置(図2)する以外に、同心円状に円形又は円弧を描く様に配置する2次元方向の配置もある。
【0009】
そして、マット層3は、その表面の微細凹凸の粗さが、中心線平均粗さRaが0.5≦Ra≦2.0μmで、且つ中心線十点平均粗さRzが1.5≦Rz≦6.5μmの範囲とするものである。両方の特性値に基づく微細凹凸の粗さを、この範囲内とすることで、サイドローブ光を少なくし且つ、等厚干渉縞の発生を防ぐことができる。中心線平均粗さRaが2.0μmを越えるか、又は、十点平均粗さRzが6.5μmを越えると、サイドローブ光が多くなり好ましくない。また、中心線平均粗さRaが0.5μm未満となるか、又は、十点平均粗さRzが1.5μm未満となると、等厚干渉縞が目立ちやすくなり好ましくない。
【0010】
次に、本発明の面光源用レンズフィルムの材料面について、更に説明する。
【0011】
レンズ層2及びマット層3を積層する場合の透明基材1としては、透明な材料であれば良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等からなるフィルムを用いることができる。なお、透明基材1の厚みは、通常20〜1000μm程度である。
なお、透明基材1のレンズ層2やマット層3を設ける面には、レンズ層2やマット層3と透明基材1との密着性を向上させる目的で、コロナ放電処理や、プライマー層等からなる接着層を形成する等、従来公知の易接着処理を施しても良い。例えば、プライマー層は、アクリルポリオールを主剤としてイソシアネート系の硬化剤を用いる2液硬化型プライマー等を塗工形成すれば良い。もちろん、接着層4は、レンズ層2やマット層3の透明基材への接着性が充分な場合には省略し得る。
また、レンズ層2やマット層3の何方か一方、又は両方を透明基材1と一体化した面光源用レンズフィルムとする場合の透明基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等を用いることができる(この場合、面光源用レンズフィルムの製造は射出成形や熱プレスで行う)。
【0012】
レンズ層2、或いはマット層3としては、透明な材料から構成し、電離放射線硬化性樹脂の硬化物等を用いることができる。硬化させる電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ウレタンアクリレート等のプレポリマー及び/又はアクリレート系等のモノマー等からなり、紫外線または電子線等の電離放射線で硬化する、従来公知の電離放射線硬化性樹脂を用いることがてきる。また、硬質で傷や外力に対して耐久性のある硬質のレンズ層2、マット層3とするには、多官能モノマーを主成分とする高架橋型の電離放射線硬化性樹脂が好ましい。
【0013】
なお、本発明の面光源用レンズフィルムは、図2の様に、二枚重ねにして用いるのにも適している。同図では、単位レンズとして三角柱プリズムを1次元方向に配列したレンズ配列の面光源用レンズフィルムを、三角柱プリズムの稜線が互いに直交する様に重ねた例である。上側面光源用レンズフィルムの裏面がマット層となっている為に、下側面光源用レンズフィルムの三角柱プリズムの稜線と光学的密着を起こさず、ニュートンリングやレンズ凸部パターン形状が見えることがない。また、下側面光源用レンズフィルムの裏面もマット層となっている為に、表面が平滑な拡散板や導光体上に配置しても、これらと光学的密着を起こさず、光学的密着による不具合が起きない。なお、図2では、同じ面光源用レンズフィルムを2枚重ねしたが、上側及び下側はレンズ配列の異なる面光源用レンズフィルムを重ねても良い。また、重ね合わせる方向は同図の様に直交だけではない。
【0014】
ところで、本発明の面光源用レンズフィルムを製造するには、熱可塑性樹脂の射出成形や、熱プレス成形で得ることもできるが、例えば特開平5−169015号公報に開示されている方法で得ることができる。すなわち、所望のレンズ層凹凸形状に対して逆形状の凹部(正確には凹凸形状)を有するロール凹版に電離放射線硬化性樹脂液を充填し、これに連続帯状の透明基材を重ねて、重ねたまま紫外線や電子線等の電離放射線を支持体基材側から照射して(ロール凹版がガラス等で透明な場合はロール凹版の内側から照射も可能)、電離放射線硬化性樹脂液を硬化させ、その後、透明基材を硬化した樹脂と共にロール凹版から剥離することにより、硬化した電離放射線硬化性樹脂液が、所望の凹凸形状のレンズ層が透明基材上に形成される。これを、透明基材の他方の面についても、同様に、マット層の所望の微細凹凸形状に対して逆形状の凹部を有するロール凹版と、電離放射線硬化性樹脂液で、マット層を透明基材上に形成することで、目的とする面光源用レンズフィルムが得られる。
【0015】
図3は、このような電離放射線硬化性樹脂による面光源用レンズフィルムの製造装置の一例を示す概念図(側面図)である。同図の装置は、レンズ層形成部Aとマット層形成部Bとからなる。
レンズ層形成部Aでは、71は形成するレンズ層凹凸形状と逆形状の凹部72が設けられ軸芯を中心として矢印方向に回転するロール凹版、73は電離放射線硬化性樹脂液、1は透明基材、74はロール凹版に当接して透明基材1をロール凹版71に圧接する押圧ロール、75は剥離ロール、76a及び76bは電離放射線硬化性樹脂液を硬化するための電離放射線照射装置、77は電離放射線硬化性樹脂液の塗工ノズル、78は塗工ノズルに樹脂液を供給するポンプ、2は電離放射線硬化性樹脂液の硬化物として透明基材1上に形成された所望の凹凸形状を有するレンズ層である。
さらに、マット層形成部Bでも、レンズ層形成部同様に、71aは形成するマット層凹凸形状と逆形状の凹部72aが設けられ軸芯を中心として矢印方向に回転するロール凹版、73aは電離放射線硬化性樹脂液、1aは片面にレンズ層が形成された透明基材、74aはロール凹版に当接して透明基材1aをロール凹版71aに圧接する押圧ロール、75aは剥離ロール、76c及び76dは電離放射線硬化性樹脂液を硬化するための電離放射線照射装置、77aは電離放射線硬化性樹脂液の塗工ノズル、78aは塗工ノズルに樹脂液を供給するポンプ、3は電離放射線硬化性樹脂液の硬化物として透明基材1a上に形成された所望の凹凸形状を有するマット層であり、10が面光源用レンズフィルムである。
【0016】
そして、図3の装置により、透明基材1はロール凹版71上の電離放射線硬化性樹脂73に押圧ロール74で圧接されて、ロール凹版71に接して移送される間に電離放射線照射装置76a及び76bから電離放射線を照射されて、電離放射線硬化性樹脂液73は硬化して透明基材1に密着した後、剥離ロール75で透明基材1はロール凹版71から剥がされて、透明基材1の片面に電離放射線硬化性樹脂液の硬化物がレンズ層2として形成された、透明基材1aが得られる。
さらに、続いて透明基材1aは、マット層形成部へ搬送されて、透明基材1a(の前記レンズ層2の形成面に対して他方の面)はロール凹版71a上の電離放射線硬化性樹脂73aに押圧ロール74aで圧接されて、ロール凹版71aに接して移送される間に電離放射線照射装置76c及び76dから電離放射線を照射されて、電離放射線硬化性樹脂液73aは硬化して透明基材1aに密着した後、剥離ロール75aで透明基材1aはロール凹版71aから剥がされて、透明基材1a(のレンズ層形成面の他方の面)に電離放射線硬化性樹脂液の硬化物がマット層3として形成された、面光源用レンズフィルム10が得られる。
なお、図3に例示した装置では、最初にレンズ層を、次にマット層を連続して形成したが、最初にマット層を形成し、次にレンズ層を形成しても良い。もちろん、それらを別々に2工程で製造しても良いが、図3の装置では一度で効率良く製造ができる。
【0017】
ロール凹版71、71aは円筒状の版材である。これに所望のレンズ層の形状と逆形状の凹部72を設けるには、円筒状の版材に直接旋盤加工したり、ミル加工法、電鋳法、あるいは、フォトエッチング法等により行う。また、所望の粗さのマット層の形状と逆凹凸形状の凹部72aを設けるには、サンドブラスト、マットメッキ、電鋳法、フォトエッチング法等により行う。ロール凹版71、71aの材質としては、銅、クロム、鉄等の金属、NBR、エポキシ樹脂、エボナイト等の合成樹脂、ガラス等のセラミックス等が使用できる。
【0018】
【実施例】
図3に例示する様な装置を用いて、紫外線硬化性樹脂により透明基材の表側にはレンズ層を、裏側にはマット層を形成して、面光源用レンズフィルムを作製した。透明基材としては、厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、A4300、両面易接着処理済み)を用意した。さらに、このフィルムの両面には、更に、プライマー(ザ・インクテック株式会社製、ケミカルマットニス用メジウムとXEL硬化剤の重量比10:1の混合物)をグラビア塗工して接着層を形成しておいた。また、レンズ層を形成する為の第1のロール凹版としては、単位レンズを多数一次元配置したレンズ配列の凹凸形状と、逆凹凸形状の凹凸を有するロール凹版を用意した。また、微細凹凸を形成する第2のロール凹版としては、中心線平均粗さRaが3.0μmで、且つ十点平均粗さRzが5.7μmの粗さの微細凹凸と、逆凹凸形状の凹凸を有するロール凹版を用意した。なお、レンズ層の単位レンズ形状は、頂角97°の三角柱プリズムで、この単位レンズが繰り返しピッチ50μmで一次元配置したレンズ配列である。
そして、紫外線硬化性樹脂液(日本合成ゴム工業株式会社製、Z9002A)を、塗工ノズルから第1及び第2のロール凹版に供給しつつ、前記透明基材を第1のロール凹版から第2のロール凹版へと供給しながら、回転するロール凹版上の透明基材側から、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂液を硬化させて、紫外線硬化性樹脂液の硬化物として、透明基材の片面にレンズ層を、他方の面にマット層を形成して、本発明の面光源用レンズフィルムを得た。なお、紫外線照射には160W/cmの高圧水銀灯2灯を用いた。
得られた面光源用レンズフィルムを1枚を用いて、エッジライト型面光源を組み立てたところ、サイドローブ光が少なく、且つレンズフィルムと導光体との光学的密着も起きない面光源が得られた。
【0019】
【発明の効果】
本発明の面光源用レンズフィルムによれば、サイドローブ光が少なく、且つ光源やドット印刷が見えず、明るい面光源が得られる。また、2枚重ね時や、表面平滑な導光体や光拡散板上に配置しても、ニュートンリングが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の面光源用レンズフィルムの一形態を示す断面図。
【図2】本発明の面光源用レンズフィルムを二枚重ねした状態の一例を示す斜視図。
【図3】本発明の面光源用レンズフィルムの製造に用い得る製造装置の一例を示す概念図。
【符号の説明】
1 透明基材
2 レンズ層
3 マット層
4 接着層
10 面光源用レンズフィルム
71、71a ロール凹版
72、72a 凹部
73、73a 電離放射線硬化性樹脂液
74、74a 押圧ロール
75、75a 剥離ロール
76a〜76d 電離放射線照射装置
77、77a 塗工ノズル
78、78a ポンプ
A レンズ層形成部
B マット層形成部
Claims (1)
- 透明基材の表面側に、単位レンズを1次元方向又は2次元方向に配置してなるレンズ配列を有する面光源用レンズフィルムにおいて、裏面が、中心線平均粗さRaが0.5≦Ra≦2.0μmで、且つ十点平均粗さRzが1.5≦Rz≦6.5μmの粗さの微細凹凸を有する、面光源用レンズフィルム。
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