JP3827262B2 - 加工卵の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、<ゆで卵の黄身様>のテクスチャーを有する加工卵の製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ゆで卵の黄身はその特有のテクスチャーと風味により種々の加工食品用素材として使用されてきた。ゆで卵の黄身を使用する代表的な食品としては、サンドイッチ用タマゴフィリング、卵サラダ、錦卵等がある。しかしながらゆで卵は殻付卵をボイルして調製するため、ボイル時の温度管理が難しく、また殻剥きの手間等がかかることや、ゆで卵の、黄身のみ又は白身のみを使用する際、他方に無駄を生じる等の問題があった。
また、ゆで卵の白身に関しては従来より、割卵分離後の卵白液を適当な容器にて加熱凝固させることで、殻付き卵から得られるのと同等のテクスチャーが得られることが知られていた。しかし、黄身部分については、割卵分離した卵黄液を加熱凝固させた場合、ゴム様のテクスチャーとなり、ゆで卵黄身のホクホク感あるテクスチャーとはかけ離れたものとなるため、ゆで卵の黄身と同等のテクスチャーを有するものは未だ得られていない。
【0003】
また、これを改良するため種々の技術が提案されており、例えば、特公昭49−48747号には、卵黄液を加熱凝固させた後粉砕し、次に、この粉砕した卵黄を成形し、再度加熱処理することによりテクスチャーの良い加熱凝固卵を得る技術。特公昭51−40148号には、卵黄分の多い卵液に乳化剤と食用油脂とを混和して乳化物を得、次いで、合成樹脂製の袋に充填して加熱凝固させる技術。特公平5−43342号には、油脂に乳化剤を加えて予め均質化物を形成し、卵黄を1/3以上含む卵液に均質化物を加えた後筒状容器に充填し、加熱して棒状に凝固させる技術。特公平2531745号には、コラーゲン、エラスチン、加熱変性させた大豆蛋白・小麦グルテン、エタノールで化学変性させた粉乳・ホエー粉末の水不溶性蛋白質の内1種又は2種以上を、粒径50〜500μの粒子とした後、全原料に対して10〜70重量%の割合となるように液卵に混合し、この混合物を加熱して凝固させる技術等が提案されているが、ゆで卵の黄身と同様のテクスチャーを得るには未だ不充分な状況にある。
ゆで卵の黄身に求められるテクスチャーとは、ホコホコ感の有る特有のテクスチャーをいい、卵白部分についてはゆで卵の白身に近いテクスチャーの卵白液をベースとする加工卵が完成しているが、大量生産可能な<ゆで卵の黄身様>のテクスチャーを有する加工卵は開発されていない現状において、ゆで卵の黄身と同等のホコホコ感を有する<ゆで卵の黄身様>のテクスチャーを有する加工卵の開発が強く望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鶏卵液を用い大量生産可能な<ゆで卵の黄身様>のテクスチャーを有する加工卵を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究の結果、鶏卵液に加工澱粉を添加混合し、該混合液を密封容器に入れ加熱することにより<ゆで卵の黄身様>のテクスチャーを有する加工卵が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、殻付き卵を用いてゆで卵を作ることなしに、ゆで卵の黄身と同様のテクスチャーと風味を有する加工卵を、鶏卵液から工業的に製造する方法を提供するものである。
以下本発明を詳述する。
【0007】
本発明において使用される鶏卵液とは、特に限定するものではないが通常以下に述べるものが用いられる。すなわち、殻付き卵を割卵して得た全卵液であり、また割卵分離して得た卵黄液であり、また卵白液と卵黄液とを適宜混合した混合液卵であってもよい。また、卵黄液と卵白液の混合比率は特に限定するものではなく、また、これら鶏卵液が加糖・加塩されたものであってもよい。
さらに鶏卵液が、全卵粉末、卵黄粉末、卵黄・卵白混合粉末の水戻し品であってもよい。ここで鶏卵粉末の水戻し品とは、鶏卵液をスプレードライ、フリーズドライ等乾燥工程をへて得られたものを、全卵粉末であれば20〜30%固形となるように再度水を加えたものであり、卵黄粉末であれば45〜55%固形となるように再度水を加えたものであり、卵白粉末であれば5〜15%固形となるように再度水を加えたものであるが、これら水戻し品を単独、または適宜混合したものであってもよく、混合比率は特に限定するものではない。
【0008】
本発明において使用される加工澱粉の起源については特に限定されるものではなく、通常食品に用いられる馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦粉澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、芋類由来澱粉、豆類由来の澱粉等であって、澱粉若しくは澱粉を主成分とする芋類/豆類/穀類の粉末が使用できる。加工澱粉は、澱粉若しくは澱粉を主成分とする芋類/豆類/穀類の粉末を水と供に加熱して糊化(α化)後、冷却して結晶化(老化)し、液状若しくは粉末化して得られる。糊化(α化)及び結晶化(老化)の条件等は特に限定されるものではない。即ち、澱粉が糊化(α化)及び結晶化(老化)の工程を経ることにより、分子内に微結晶(ミセル)構造を有する加工澱粉であれば、加水量、糊化時の温度条件・時間・使用装置、冷却条件、乾燥条件、粉砕条件等は適宜選択可能である。
【0009】
具体的には、水分含量30〜60%の澱粉液を調製し、温度70〜150℃、圧力100Kg/cm2以下の条件で連続的に加熱・加圧加工した後、0〜20℃に20時間以上冷却し、分子内に微結晶構造を形成させた後、そのまま使用するか、或いは、得られた加工澱粉を必要に応じ10メッシュ以下に粗砕し、熱風等にて40〜80℃の温度下で乾燥して水分を8%以下に調製した後、40メッシュ以下の粒径に粉砕する加工澱粉が適当であり、加工澱粉中の結晶化(老化)澱粉の割合が50%以上であれば良く、更に良い条件としては70%以上のものが望ましい。また市販のハルサメ、ビーフン等の結晶化(老化)加工澱粉を40メッシュ以下に粉砕して得られたものも使用でき、加工澱粉中の結晶化(老化)澱粉の割合が50%以上の加工澱粉であれば如何なるものも適宜選択可能である。
尚、加工澱粉中の結晶化(老化)澱粉の割合は、グルコアミラーゼ法による還元糖量の測定値から導くことが出来る。すなわち、グルコアミラーゼは糊化澱粉を完全に分解して還元糖を生成し、結晶化(老化)澱粉は分解されないので、糊化澱粉をグルコアミラーゼで分解し生成した還元糖であるグルコースの量を測定し、加工澱粉中の全糖量からグルコアミラーゼで分解されたグルコース量を引けば結晶化(老化)澱粉の割合が求められる。グルコアミラーゼで分解されたグルコース量の測定は、ソモギ−・ネルソン法等の還元糖の測定法により比色定量して求める。(参考文献:(株)朝倉書店 澱粉科学実験法)
Figure 0003827262
【0010】
本発明の加工澱粉の添加量は特に限定されるものではないが、<ゆで卵の黄身様>のテクスチャーを得るためには、鶏卵液全量に対して0.1〜20重量%が好ましく、更に1〜10%が好ましい。
本発明において使用される密封容器としては、加工澱粉を含む鶏卵液を密封出来る容器で有れば如何様のものでも良いが、密封後加熱加工させるために耐熱性が必要である。一般的には沸騰100℃の温度に耐えられるものでよいが、更に好ましくは加熱温度110℃まで耐えられる容器で有れば、加熱時の過加熱にも耐えることが出来るために破袋の心配がない。このように密封容器については、特に限定するものではないが、一例としてはポリフィルム容器、ケーシングチューブ、紙容器、金属製容器等があげられるが、後に加工卵を取り出すことやコストを考慮すれば、ポリフィルム容器、ケーシングチューブが好ましい。
【0011】
また、本発明の加工卵に使用できるその他の原料としては、水、油脂類、本発明加工澱粉以外の澱粉類の併用、鶏卵以外の蛋白質類、糖類、塩類、調味料類、アミノ酸類、有機酸、正リン酸塩、重合リン酸塩等のpH調整剤、増粘多糖類、香辛料、色素類、香料類等がある。具体的には、蛋白質類としては乳蛋白、植物蛋白等やそれらの加水分解物、糖類としては単糖類、二糖類、三糖類以上のオリゴトースやそれらの還元糖、塩類としては食塩、塩化カリウム、塩化カルシウム等が挙げられ、調味料類としては核酸系調味料、昆布エキス、鰹エキス、貝エキス等が、アミノ酸類としてはグリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン酸Na等が、有機酸としては酢酸、クエン酸、コハク酸等がある。また、正リン酸塩、重合リン酸塩のpH調整剤としてはピロリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、トリリン酸、トリポリリン酸及びそれらのNa、K、Ca、Mg等のリン酸塩類がある。増粘多糖類としてはグアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム等があり、香辛料はコショウ、カルダモン、ターメリック、ナツメグ等が、色素類としてはカロチン色素、クチナシ色素、ローズマリー色素等の黄色系・赤黄色系の呈色を有する色素が挙げられる。香料としては卵風味を付与する香料でも、あるいはバニラフレーバー等の菓子的な風味の香料でも良く、目的に応じ適宜選択すれば良い。
【0012】
次に、本発明の加工卵の製造工程について以下に詳述する。鶏卵液に必要に応じ油脂類とpH調整剤以外の液体原料を混合し、次に均質機を使用しながら加工澱粉と必要に応じ適宜選択された上述の他の原料を混合・溶解し調整鶏卵液を得る。調整鶏卵液は、この後加熱する前に真空下で脱気することが望ましい。脱気することによりさらに良い黄身様のテクスチャーが得られる。
次に、この調製鶏卵液を密封容器(例えば、大阪化学合金製の塩化ビニリデンケーシングチューブ:直径50〜70mm)に充填・密封し加熱する。また、密封容器の直径に付いては10mm〜150mmまで任意に選択できるが、加熱時間の短縮を考慮すると20mm〜100mmが好ましく、更に好ましくは20mm〜70mmが好ましい。加熱温度としては調整鶏卵液が凝固する温度であればかまわないが、70〜110℃の範囲で加熱することが好ましく、さらに好ましくは、80〜100℃が良い。70℃以下では形成されるゲルがゆるく、またより良いテクスチャーを得ることが出来ない。また110℃以上では形成されるゲルが固くなりすぎるため、及び添加された加工澱粉の再糊化を生じるためであり、本発明の特徴である黄身様のテクスチャーであるホコホコ感とは異なるテクスチャーのものとなる。
【0013】
加熱時間については、特に限定されるものではないが加熱温度により加熱時間は調整されるが、通常90℃であれば30分〜240分であり、好ましくは60分〜120分が望ましく、更に60分〜90分が望ましい。
本法で得られる加工卵の使用方法は、特に限定されるものではないが、ゆで卵の黄身を使用する加工食品で有れば良く、一例としてマヨネーズやドレッシングト和えるタマゴサラダや錦卵の黄身部分として使用される。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって特に限定されるものではない。
【0014】
【実施例】
実施例1
40%加水コーンスターチ澱粉乳(コーンスターチ60部:水40部)を調製し、押し出し成形機にて加熱温度98℃、圧力40Kg/cm2にて連続的に押し出した後、5℃の冷蔵庫に24時間冷却して結晶化(老化)澱粉を調製した。更に、得られた結晶化(老化)澱粉を凍結粉砕機にて100メッシュ以下に微粉砕して流動乾燥機にて乾燥し水分値3%の結晶化(老化)澱粉粉末を得た。尚、結晶化(老化)澱粉粉末中の結晶化(老化)の割合はグルコアミラーゼ法で測定したところ80%が結晶化(老化)澱粉であった。次に、殻付き鶏卵を割卵・分離して得た卵黄液を、ホモミキサー(特殊機化TKホモミキサー)で均質混合し、その後32メッシュのステンレス製篩いを通すことにより卵殻及びカラザを除去した卵黄液を得た。次いで表1の配合に従い、この卵黄液に水を加え、ホモミキサーをかけながら上記結晶化(老化)澱粉、食塩、キサンタンガムを混合・均質化した。更に菜種白絞油、1%β−カロチン液を添加し乳化後、50%乳酸を加え調整鶏卵液を得た。この調整鶏卵液を直径70mmのケーシングチューブに1Kgずつ充填し、90℃で60分間加熱したのち、冷水にて冷却し本発明の加工卵を12Kg得た。
【0015】
【表1】
Figure 0003827262
【0016】
実施例2
50%加水馬鈴薯澱粉乳(馬鈴薯澱粉50部:水50部)を調製し、押し出し成形機にて加熱温度105℃、圧力70Kg/cm2にて連続的に押しだし後、0℃の冷蔵庫に24時間冷却して結晶化(老化)澱粉を調製した。更に、得られた結晶化(老化)澱粉をパワーミル粉砕機にて粉砕して流動乾燥機にて乾燥し水分値3%の結晶化(老化)澱粉粉末を得た。尚、結晶化(老化)澱粉粉末中の結晶化(老化)の割合はグルコアミラーゼ法で測定したところ85%が結晶化(老化)澱粉であった。次に、殻付き鶏卵を割卵し、全卵液と卵白を除いた卵黄液それぞれをホモミキサー(特殊機化TKホモミキサー)で均質混合し、その後32メッシュのステンレス製篩いを通すことにより卵殻及びカラザを除去した全卵液と卵黄液を得た。次いで表2の配合に従い、この全卵液と卵黄液に、ホモミキサーをかけながら上記結晶化(老化)澱粉、食塩、キサンタンガムを混合・溶解した。更に菜種白絞油、1%β−カロチン液を添加し乳化後、50%乳酸を加え調整鶏卵液を得た。この調整鶏卵液を300mm×200mmの耐熱性ポリ袋に厚み20mmになるように2Kgずつ充填し、90℃で60分間加熱したのち、冷水にて冷却し本発明の加工卵を10Kg得た。
【0017】
【表2】
Figure 0003827262
【0018】
比較例1
殻付き鶏卵を割卵・分割して得た卵黄液を、ホモミキサー(特殊機化TKホモミキサー)で均質混合し、その後32メッシュのステンレス製篩いを通すことにより卵殻及びカラザを除去した卵黄液を得た。この卵黄液に水を加え、ホモミキサーをかけながらコーンスターチ、食塩、キサンタンガムを混合・溶解した。更に菜種白絞油、1%β−カロチン液を添加し乳化後、50%乳酸を加え調製鶏卵液を得た。配合比率を表3に示した。この調製鶏卵液を直径70mmのケーシングチューブに1Kgずつ充填し、90℃で60分間加熱変性したのち、冷水にて冷却し加工卵を12Kg得た。
【0019】
【表3】
Figure 0003827262
【0020】
比較例2
殻付き鶏卵を割卵し、全卵液と卵白を除いた卵黄液それぞれをホモミキサー(特殊機化TKホモミキサー)で均質混合し、その後32メッシュのステンレス製篩いを通すことにより卵殻及びカラザを除去した全卵液と卵黄液を得た。次いで表4の配合に従い、この全卵液と卵黄液に、ホモミキサーをかけながら馬鈴薯澱粉、食塩、キサンタンガムを混合・溶解した。更に菜種白絞油、1%β−カロチン液を添加し乳化後、50%乳酸を加え調製鶏卵液を得た。この調製鶏卵液を300mm×200mmの耐熱性ポリ袋に厚み20mmになるように2Kgずつ充填し、90℃で60分間加熱したのち、冷水にて冷却し加工卵を10Kg得た。
【0021】
【表4】
Figure 0003827262
【0022】
試験例1
実施例1、2、比較例1、2で得られた加工卵を穴の直径5mmのミンサーにて破砕した。次にゆで卵の卵白だけを取り出し、穴の直径8mmのミンサーにて破砕した。このものを表5の比率で混合し、卵フィリングを調製した。この4種類の卵フィリングを試食した所、本願発明の実施例1,2の加工卵を使用した卵フィリングはゆで卵を破砕して調製した卵フィリングと遜色ないホコホコした食感と風味を有していたが、比較例1、2の加工卵を使用した卵フィリングは、べたつきがあり本物感に乏しかった。
【0023】
【表5】
Figure 0003827262
【0024】
実施例3
市販のハルサメ(緑豆澱粉原料:森井食品社製)をパワーミル粉砕機にて60メッシュ以下に粉砕して結晶化(老化)澱粉粉末得た。この結晶化(老化)澱粉粉末中の結晶化(老化)の割合はグルコアミラーゼ法で測定したところ90%であった。次に、殻付き鶏卵を割卵して得た全卵液を、ホモミキサー(特殊機化TKホモミキサー)で均質混合し、その後32メッシュのステンレス製篩いを通すことにより卵殻及びカラザを除去した全卵液を得た。次いで表6の配合に従いこの全卵液に、ホモミキサーをかけながら上記結晶化(老化)澱粉、食塩、グアーガム、調味料を混合・均質化した。更に40〜50℃に加温後、融点35℃のパーム油、1%β−カロチン液を添加し乳化して調製鶏卵液を得た。この調製鶏卵液を脱気後、直径70mmのケーシングチューブに1Kgずつ充填し、90℃で90分間加熱したのち、冷水にて冷却し本発明の加工卵を12Kg得た。
【0025】
【表6】
Figure 0003827262
【0026】
比較例3
殻付き鶏卵を割卵して得た全卵液を、ホモミキサー(特殊機化TKホモミキサー)で均質混合し、その後32メッシュのステンレス製篩いを通すことにより卵殻及びカラザを除去した全卵液を得た。次いで表7の配合に従いこの全卵液に、ホモミキサーをかけながら小麦澱粉、食塩、グアーガム、調味料を混合・均質化した。更に40〜50℃に加温後、融点35℃のパーム油、1%β−カロチン液を添加し乳化して調製鶏卵液を得た。この調製鶏卵液を脱気後、直径70mmのケーシングチューブに1Kgずつ充填し、90℃で90分間加熱したのち、冷水にて冷却し加工卵を12Kg得た。
【0027】
【表7】
Figure 0003827262
【0028】
試験例2
実施例3、比較例3で得られた加工卵を穴の直径8mmのミンサーにて破砕した。次にゆで卵の卵白だけを取り出し、穴の直径8mmのミンサーにて破砕した。このものを表8の比率で混合し、卵フィリングを調製した。この3種類の卵フィリングを試食した所、本願発明の実施例3の加工卵を使用した卵フィリングはゆで卵を破砕して調製した卵フィリングと遜色ないホコホコ感有る食感と風味を有していたが、比較例3の加工卵を使用した卵フィリングは、糊っぽい食感であり本物感に乏しかった。
【0029】
【表8】
Figure 0003827262
【0030】
本発明の実施態様を下記に記載する。
(1)鶏卵液に加工澱粉を添加混合し、該混合液を密封容器に充填し加熱して得られる加工卵の製造方法。
(2)加工澱粉が生澱粉類を加熱糊化後、結晶化(老化)させた前記(1)記載の加工卵の製造方法。
(3)加工澱粉の起源が、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦粉澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、芋類由来澱粉、豆類由来の澱粉等、穀類/地下茎類のアミロースを有する、前記(1)または(2)記載の加工卵の製造方法。
(4)結晶化(老化)澱粉が水と供に加熱して糊化(α化)後、冷却して結晶化(老化)し、粉末化したものである、前記(1)〜(3)いずれか記載の加工卵の製造方法。
(5)結晶化(老化)の割合が50%以上の加工澱粉を使用する前記(1)〜(4)いずれか記載の加工卵の製造方法。
(6)結晶化(老化)の割合が70%以上の加工澱粉を使用する前記(1)〜(4)いずれか記載の加工卵の製造方法。
(7)加工澱粉の添加量が鶏卵液全量に対し0.1〜20重量%である、前記(1)〜(6)いずれか記載の加工卵の製造方法。
(8)加工卵の製造に使用する密封容器が耐熱性のポリフィルム容器、ケーシングチューブ、紙容器、金属製容器等である前記(1)〜(7)いずれか記載の加工卵の製造方法。
【0031】
【発明の効果】
本発明における<ゆで卵の黄身様>のテクスチャーを有する加工卵は、適当な大きさにカットしたり、破砕やクラッシュ等をしたのちマヨネーズ等の他の原料等と混合して使用する事ができる。

Claims (2)

  1. 鶏卵液に結晶化澱粉を添加混合する工程と該混合液を密封容器に充填し、次いで加熱する工程を有することを特徴とする加工卵の製造方法。
  2. 結晶化澱粉が、生澱粉または、澱粉を主成分とする穀類、いも類、豆類の粉末より選択される1種以上を加熱糊化後、結晶化させたものであって、結晶化度が70%以上である請求項1記載の加工卵の製造方法。
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