JP3826590B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置及び転写装置に係り、特に像担持体上にトナー画像を形成し、該形成したトナー画像を、帯電電圧と逆極性の転写電圧を印加して記録媒体上に転写する反転現像方式により画像形成を行う画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、帯電極性と転写極性とが異なる反転現像方式の画像形成装置は、帯電手段により感光体等の潜像担持体を所定の電位に帯電し、露光手段により潜像担持体上を露光して潜像を形成し、現像手段により前記潜像を現像してトナー像を形成し、潜像担持体と潜像担持体と対向する転写手段との間に帯電極性とは逆極性の転写電圧を印加して、潜像担持体と転写手段との間を搬送される記録材料上に前記トナー像を転写する。なお、記録材料としては、通常使用される規格サイズにカットされた用紙や、転写手段と像担持体との間に配設された転写ベルトあるいは中間転写ベルト等の中間転写体等が含まれる。また、トナー像が転写された後の潜像担持体は、再び帯電されて次のトナー像の形成に使用される。
【0003】
上記のような反転現像方式の画像形成装置では、転写電圧が印加されることにより、転写後に帯電極性とは逆極性に潜像担持体が帯電してしまうことがある。すなわち、帯電時に注入される電荷とは逆極性の電荷が潜像担持体に注入されてしまうことがある。そして、このような潜像担持体を再帯電した場合、逆極性に帯電した部位では、逆極性の電荷と帯電時に潜像担持体に注入された電荷とが結合して帯電電位が低下してしまう。その結果、潜像担持体の露光後の電位に電位ムラが生じ、潜像担持体に付着するトナー量に差が生じてトナー像に濃度ムラが発生してしまう。例えば、潜像担持体3周で記録材料1枚分印刷できるとすると、最初の潜像担持体1周分のトナー像と2周目以降のトナー像とに濃度差が生じるので、最終的に記録材料に印刷された画像に濃度ムラが生じることとなる。
【0004】
このような濃度ムラは、ハーフトーン画像を形成した場合にはっきりと認識されてしまう。これは、ハーフトーン画像は、文章やベタ黒画像と異なり、微妙な濃度で画像を形成する必要があり、異なる電位に帯電された部位の間に形成される電位の境界線がトナー濃度の境界線としてトナー像中に再現されてしまうからである。特に、近年のコンピュータ産業の発達に伴う情報処理の高速化により、よりデータ量の多い高細密な画像印刷の必要性が高まっている。高細密な画像とは、再現可能な最小ドット径がより小さくなることを意味しており、このため、再現可能なグレーの階調数も飛躍的に増加することとなる。
【0005】
画像として再現される最小ドット径は、非常に弱く狭域の露光により形成されるため、潜像担持体の帯電電位の微少な差によっても、その径が変化して視覚上濃度ムラとなりやすい。また、階調数の増加による階調間の濃度差の減少により濃度ムラが発生すると、階調が再現できないことや濃度逆転による画像不具合を生じてしまうことになる。
【0006】
また、高細密な画像形成を行うために、画像形成スピードを変化させることが可能な画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、潜像担持体の回転スピードを半減させることにより解像度を倍加させるものである。ところが、潜像担持体の回転スピードを変化させてしまうため、帯電手段による帯電電位及び転写電圧による帯電電位降下量も各画像形成スピードで当然異なり、このような画像形成装置では濃度ムラを抑制することがさらに困難である。
【0007】
このような濃度ムラを抑制するためには、濃度ムラに対して多大な影響を及ぼす転写手段の転写性能を安定させることが必要となるが、この転写性能は一般的に転写時に流れる電流量によって保証される。これは、潜像担持体上に形成されたトナー像を記録材料へ転写する際に必要な転写電界を記録材料と潜像担持体との間に形成した場合、パッシェン(Pashen)則に従う微少ギャップでの放電を伴うためである。このため、転写手段へ印加する転写バイアスを定電流制御することが一般的に行われる場合がある。しかし、記録材料の種類やサイズに関係無く電流量を一定にしてしまうため、転写材のサイズが小さい場合やOHP用の樹脂シート等の高抵抗の用紙の場合には、転写電流が記録材料と潜像担持体が接触している部分以外の部分、すなわち、潜像担持体と転写手段とが直接接している領域に流れてしまい、転写材に流れる電荷が不足して転写不良を発生したり、潜像担持体と転写手段とが直接接している領域に過大な転写電荷が流れ込み、著しく帯電電位が下がることにより現像時に余白部分を現像してしまう所謂余白かぶりを生じてしまう。
【0008】
この問題を解決するためには、転写手段の転写部材の経時的な変化又は環境的な変化や転写材の材質、抵抗、サイズに関わらず転写性能を安定させることが必要となる。この転写性能を安定させるため、転写部位に転写材が存在しないときに定電流制御を行い、このときの電圧をホールドして用紙への転写時には、この電圧で定電圧制御する技術(特開平2−264278号公報、特開平4−20983号公報参照)や、定電圧出力値を制御するD/Aコンバータと出力電流値をモニタするA/Dコンバータの両方の値を予め設定した電圧−電流曲線上の一点に収束させることにより定電圧制御の選択電圧最適化を図る技術(特開平5−11645号公報参照)が提案されている。
【0009】
ところが、上記のような従来技術では、画像形成準備動作における潜像担持体の回転中、すなわち、転写材への転写を開始する前の回転中に、電圧印加により流出した電流を検知し、そのインピーダンス情報から予め定めた転写電圧値を決定するため、あらゆる種類の転写材に対応できず、標準的な用紙(例えば用紙坪量が80〜90g/cm2 )に最適と思われる電圧が選択されることになる。しかし、前述したように、OHP用のフィルムやはがきのような抵抗値が著しく高い転写材の場合には、転写材に流れる転写電荷が不足し、転写不良を発生してしまうし、薄紙(例えば用紙坪量が40〜70g/cm2 )の場合には転写材に流れる転写電荷が過多になり、帯電電位が低下して濃度ムラを発生してしまう。複数枚を連続印刷する場合にはこの帯電電位低下が顕著となり、所謂下地かぶりを発生してしまう場合がある。
【0010】
特に、両面印刷機能を備えた画像形成装置の場合には、第1面(表面)の画像形成工程により用紙含水分が定着工程により低下するので、第2面(裏面)の転写時により高い転写電圧が必要となる。さらに、第1面に印刷されて定着されたトナーが用紙自体の持つ抵抗に上乗せされるため、画像量により必要な転写電圧が変動する。この場合には、例えば第1面が低印字密度で印刷された薄紙、すなわち、抵抗値が非常に低い薄紙の第2面を印刷する場合と、第1面が高印字密度で印刷された厚紙、すなわち、抵抗値が非常に高い厚紙の第2面を印刷する場合とで転写電圧を同じにしたのでは最適な画像形成を行うことはできない。
【0011】
このため、転写材の種類情報及び第1面の画像情報を検出する手段を備えて、これらの情報を用いて第2面の転写条件を決定する画像形成装置が提案されている(特開平8−248703号公報参照)。
【0012】
しかしながら、特開平8−248703号公報に記載された技術では、転写材の種類情報を画像形成装置を使用するユーザが印刷する毎に設定する必要がある。しかし、転写材の種類情報及び第1面の画像情報を自動で取得するにはこれらの情報を検出する手段にコストがかかるとともに、転写条件決定のシーケンスが複雑化してしまい、設計工数の増大を引き起こすことになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮し、簡単な構成で、転写手段の転写部材の抵抗値の製造時のばらつきや経時的、環境的変化及び転写材の種類や両面印刷時の画像量、各転写面に応じて最適な転写電圧を印加するように制御し、帯電電位差により生じる濃度ムラを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の画像形成装置は、潜像担持体と、帯電電圧が印加されることにより、前記潜像担持体を所定の電位に帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体上に光ビームを走査して、前記潜像担持体上に静電潜像を形成する光ビーム走査手段と、前記光ビーム走査手段により前記潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体と記録材料を介して当接され、該当接部に前記帯電電圧と逆極性の転写電圧を印加することにより、前記現像手段により現像されたトナー像を前記記録材料へ転写する転写手段と、環境情報を取得する環境情報取得手段と、前記環境情報取得手段により取得した環境情報に基づいて、前記記録材料への転写開始前に少なくとも前記潜像担持体の一周に亘って転写電圧を印加する電圧制御手段と、を有することを特徴としている。 請求項1記載の発明では、潜像担持体を所定の電位、例えばマイナスに帯電する帯電手段を有している。この帯電手段には、例えばコロトロン等のコロナ放電器や半導電性の帯電ロール等を採用することができる。また、転写手段は、帯電手段による帯電電圧とは逆極性、例えばプラスの転写電圧が印加されることにより現像手段により現像されたトナー像を記録材料へ転写するものであればよく、帯電手段と同様、コロナ放電器や転写ロール等を採用することができる。この転写手段へ印加する転写電圧は、電圧制御手段により、記録材料への転写開始前に少なくとも潜像担持体の一周に亘って印加される。この印加される転写電圧は、印加後の帯電電位が、通常の転写電圧を印加して記録材料へ転写した後の帯電電位と同じになるような電圧とする。すなわち、記録材料への転写開始前に予め潜像担持体の帯電電位を低下させておく。このため、記録材料への転写が開始された後に再帯電した場合でも急激に帯電電位が低下することがなく、潜像担持体の周回ごとの濃度ムラを抑えることができ、最終的に記録材料に印刷された画像の濃度ムラを抑えることができる。
【0015】
なお、転写手段は、その使用環境、例えば温度や湿度に応じて体積抵抗値(インピーダンス)等が異なる場合があるため、印加する転写電圧は、環境情報取得手段により取得された環境情報に基づいて最適な転写電圧を決定する。環境情報取得手段は、例えば、温度や湿度を測る温度・湿度センサーや、所定の電圧を印加したときの流出電流を検出する電流検出手段等である。温度・湿度センサーを設けた場合には、検出した温度・湿度に基づいて転写電圧を決定することができる。また、転写手段の温度・湿度−体積抵抗値特性が予め分かっていれば、電流検出手段を設けた場合には、検出した電流値からインピーダンスを演算することでそのときの温度・湿度を把握することができ、この温度・湿度に基づいて転写電圧を決定することができる。このようにすれば、あらゆる使用環境に応じて濃度ムラを抑制することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明の画像形成装置は、潜像担持体と、帯電電圧が印加されることにより、前記潜像担持体を所定の電位に帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体上に光ビームを走査して、前記潜像担持体上に静電潜像を形成する光ビーム走査手段と、前記光ビーム走査手段により前記潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記潜像担持体と記録材料を介して当接され、該当接部に前記帯電電圧と逆極性の転写電圧を印加することにより、前記現像手段により現像されたトナー像を前記記録材料へ転写する転写手段と、前記転写手段から出力される電流を検出する電流検出手段と、所定のモニタ電圧を印加したときの前記電流検出手段により検出されたモニタ電流値に基づいて前記転写手段のインピーダンスを演算する演算手段と、予め定めたモニタ電流値に応じて定めた前記記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び前記記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値を含む転写電圧値テーブルを、前記インピーダンスの大きさ毎に記憶する記憶手段と、前記演算手段により演算したインピーダンスに応じた転写電圧値テーブルを前記記憶手段から選択し、該選択した転写電圧値テーブルから前記電流検出手段により検出されたモニタ電流値に応じた前記記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び前記記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値をそれぞれ選択して、前記記録材料への転写開始前に少なくとも前記潜像担持体の一周に亘って前記転写開始前の転写電圧値に基づく転写電圧を印加する電圧制御手段と、を有することを特徴としている。
【0017】
請求項2に記載の発明では、転写手段からの電流値を検出する電流検出手段を備えており、所定のモニタ電圧を転写手段に印加した場合に流出するモニタ電流値に基づいて、演算手段により転写手段のインピーダンスを演算する。転写手段の温度・湿度−体積抵抗値特性が予め分かっていれば、演算したインピーダンスからそのときの温度・湿度、すなわち使用環境を把握することができる。また、記憶手段は、予め定めたモニタ電流値に応じて定めた記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値を含む転写電圧値テーブルをインピーダンスの大きさ毎に、すなわち、温度や湿度などの使用環境毎に記憶している。そして、演算手段により演算したインピーダンスに応じた転写電圧値テーブルを記憶手段から選択し、該選択した転写電圧値テーブルから電流検出手段により検出されたモニタ電流値に応じた記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値をそれぞれ選択して、記録材料への転写開始前に少なくとも潜像担持体の一周に亘って前記転写開始前の転写電圧値に基づく転写電圧を印加する。このように、使用環境に応じて記録材料の第1面への転写開始前に転写電圧を印加して予め帯電電位を低下させておいてから、記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧を印加するので、記録材料への転写が開始された後に再帯電した場合でも急激に帯電電位が低下することがなく、潜像担持体の周回ごとの濃度ムラを抑えることができ、最終的に記録材料に印刷された画像の濃度ムラを抑えることができる。
【0018】
なお、転写電圧を定電圧制御した場合には、抵抗が低い記録材料で低密度の画像を記録した場合には、転写電流が流れ過ぎて潜像担持体にダメージを与える場合がある。逆に、抵抗が高い記録材料で高密度の画像を記録した場合には転写電流が減少して転写不良を生じる場合がある。
【0019】
そこで、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記転写電圧値テーブルは、前記記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び前記記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値のそれぞれに応じた予定電流値をさらに含み、前記それぞれの転写電圧を印加するごとに、前記電流検出手段により検出された電流値と前記予定電流値とを比較して、該比較結果に基づいて前記それぞれの転写電圧を補正することを特徴としている。
【0020】
請求項3に記載の発明では、転写電圧値テーブルは、予め定めたモニタ電流値に応じて定めた記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値のそれぞれに応じた予定電流値を含んでいる。この予定電流値は、それぞれの転写電圧を印加して場合に通常流れると予想される電流値である。そして、転写開始前、転写実行時のそれぞれの転写電圧を印加するごとに、電流検出手段により検出された電流値と予定電流値を比較し、この比較結果に基づいて転写電圧を補正する。例えば、検出した電流値が予定電流値よりも低ければ、転写電圧を高くする。また、検出した電流値が予定電流値よりも高ければ、転写電圧を低くする。このようにすることで、記録材料に特殊な用紙を使用した場合や、連続印刷時においても帯電電位を一定に保つことができ、濃度ムラを抑制することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の画像形成装置において、前記転写電圧値テーブルは、前記予め定めたモニタ電流値に応じて定めた前記記録材料の第2面への転写開始前の転写電圧値及び前記記録材料の第2面への転写実行時の転写電圧値をさらに含むことを特徴としている。
【0022】
請求項4に記載の発明では、転写電圧値テーブルは、予め定めたモニタ電流値に応じて定めた記録材料の第2面への転写開始前の転写電圧値及び記録材料の第2面への転写実行時における転写電圧値をさらに含んでいる。このため、記録材料の第2面にも印刷する場合、すなわち、記録材料の両面に印刷する場合に、第1面に印刷されて定着されたトナーが用紙自体の持つ抵抗に上乗せされた場合でも、モニタ電流値に応じた記録材料の第2面への転写開始前の転写電圧を印加し、予め帯電電位を低下させておいてから記録材料の第2面への転写実行時における転写電圧を印加することで帯電電位を一定に保つことができ、記録材料の第2面に対しても濃度ムラを抑制することができる。
【0023】
また、記録材料の両面印刷を連続的に行った場合には、転写電圧の印加が頻繁になるので逆帯電の増加が著しくなり、潜像担持体と記録材料とが接している以外の部分、すなわち、潜像担持体と転写手段とが直接接する潜像担持体の軸方向両端部の帯電電位が低下して、この部分が現像手段により現像されてトナー汚れを発生してしまう場合がある。
【0024】
そこで、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記転写電圧値テーブルは、前記予め定めたモニタ電流値に応じて定めた収束電流値をさらに含み、前記転写電圧の補正は、前記収束電流に収束するように行うことを特徴としている。
【0025】
請求項5に記載の発明では、転写電圧値テーブルは、予め定めたモニタ電流値に応じた収束電流値をさらに含んでいる。この収束電流値は、転写性能を最低限確保できる程度の電流値である。また、電流検出手段により転写手段の流出電流が検出できるので、過剰な電流が流れている場合には、記録材料の第1面及び第2面のそれぞれの転写時において流出電流が収束電流値に収束するようにそれぞれの転写電圧の補正を行うので、潜像担持体への逆帯電量を抑えることができ、潜像担持体の軸方向両端部のトナー汚れを抑えることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記転写電圧値テーブルは、前記記録材料の搬送速度ごとに前記記憶手段に記憶されていることを特徴としている。
【0027】
請求項6に記載の発明では、転写電圧値テーブルは、記録材料の搬送速度ごとに記憶手段に記憶しているので、搬送速度を変更した場合においても最適な転写電圧制御を行うことができる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記電圧制御手段は、転写電圧値を示すデジタル数値を対応する所定のアナログ電圧へ変換するD/A変換器、及び前記電流検出手段により検出した電流を対応する所定のデジタル値へ変換するA/D変換器をさらに含むことを特徴としている。
【0029】
請求項7に記載の発明では、例えば転写電圧を8ビット、すなわち0〜255までのデジタル数値で表し、これを例えば1〜10Vのアナログ電圧に変換するD/A変換器、及び例えば1〜10Vのアナログ電圧に変換された転写電流を8ビット、すなわち0〜255までのデジタル数値に変換するA/D変換器を電圧制御手段に備えることにより、すべてデジタル数値で制御することができ、簡単な回路構成にすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
図2には、画像形成装置としてのレーザビームプリンタ10の概略構成が示されている。このレーザビームプリンタ10は、レーザ走査装置12を備えている。レーザ走査装置12は、画像信号に応じたレーザ光を変調して出力する図示しない半導体レーザを備えており、この半導体レーザから射出されたレーザビーム14は、図示しないミラーによりその進行方向を変えられてポリゴンミラー16に入射し、該ポリゴンミラー16の回転に応じて偏向される。偏向されたレーザビーム14は、fθレンズ18を通過した後、ミラー20、22によって進行方向を変えられ、レーザ走査装置12の外へ射出される。
【0032】
レーザ走査装置12の下方には、図中矢印A方向へ回転する潜像担持体としての感光体ドラム24が配置されている。レーザ走査装置12から出力されたレーザビーム14は、所定の露光位置を感光体ドラム24の軸方向を主走査方向として繰り返し走査する。副走査は、感光体ドラム24が回転することにより成される。
【0033】
露光位置よりも矢印A方向上流側には、感光体ドラム24に対向して帯電ローラ26が配置されており、この帯電ローラ26は、感光体ドラム24の表面を一様に帯電させる。なお、本実施の形態では、感光体ドラム24はOPC(Organic PhotoConductor)を用いて構成されている。このOPCは、マイナスに帯電するので、帯電ローラ25には交流電圧にマイナスの直流バイアス電圧を重畳した電圧が印加される。また、レーザビーム14が感光体ドラム24を露光した部分が画像部分(記録用紙上でトナーが付着する部分)となる。
【0034】
帯電後の感光体ドラム24にレーザビーム14が照射されることで、感光体ドラム24の表面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は、露光位置よりも矢印A方向下流側に配置された現像装置28によって現像される。
【0035】
現像装置28は、トナーを磁気的に穂立ちさせて感光体ドラム24上に形成された静電潜像の現像を行うための現像ロール30や、トナーカートリッジ32内のトナーを現像ロール30に供給するためのトナー供給装置34等を備えている。現像装置28には、所定の現像バイアス(本実施の形態では、交流電圧にマイナス直流バイアス電圧を重畳した電圧)が印加されている。
【0036】
現像装置28により現像されて感光体ドラム24上に形成されたトナー像は、感光体ドラム24の回転により、感光体ドラム24と対向する位置に配置された転写ローラ36の位置まで移動し、ここで記録用紙(例えば普通紙)に静電的に転写される。なお、記録用紙に転写されなかったトナー像は、転写ローラ36よりも矢印A方向下流側に配置されたクリーニング装置38により感光体ドラム24の表面から除去される。そして、再び帯電ローラ26により感光体ドラム24が帯電されて上記の動作を繰り返す。
【0037】
次に、記録用紙の搬送経路について説明する。記録用紙40は、レーザビームプリンタ10の底部に着脱自在に配置されたカセットトレイ42に積層される。カセットトレイ42の最上部に載置された記録用紙40は、感光体ドラム24の回転と同期して、半月ロール44が回転することによりカセットトレイ42から図2において一点鎖線で示す搬送経路R0 へ送り出される。なお、半月ロール44の代わりにリタードロール等を用いてもよい。
【0038】
搬送経路R0 へ送り出された記録用紙40は、送りロール46、搬送ロール48により搬送され、レジストロール50により所望のタイミングで感光体ドラム24と転写ローラ36との間を通過する。転写ローラ36は、記録用紙40が通過するときだけ転写ローラ36はプラス直流バイアス電圧が印加される。これにより、感光体ドラム24上に形成されたトナー像が静電的に転写ローラ36の方向へ吸引されて記録用紙40上にトナー像が転写される。トナー像が転写された記録用紙40は、転写ローラ36よりも搬送経路R0 の搬送方向下流側に配置された除電針52により除電され、感光体ドラム24の表面から剥離される。
【0039】
感光体ドラム24の表面から剥離された記録用紙40は、除電針52よりも搬送経路R0 の搬送方向下流側に配置された定着装置54へ搬送される。定着装置54は、ヒートロール56とプレッシャロール58とで構成されており、記録用紙40はヒートロール56とプレッシャロール58との間を挟持搬送される。このとき、記録用紙40のトナー像が転写された側がヒートロール56側になり、プレッシャロール58が記録用紙40をヒートロール56側へ押し付けることにより効率的な熱伝達を可能としている。ヒートロール56は一定の高温となるように制御されており、記録用紙40上のトナー像は用紙面に熱定着される。
【0040】
トナー像が熱定着された記録用紙40は、搬送ロール60、62により搬送経路R0 上を搬送され、排出ロール64により排出トレイ66へ排出される。また、搬送ローラ60と搬送ローラ62との間には、記録用紙40の搬送経路を搬送経路R0 から搬送経路R1 へ切り換えるための搬送経路切換片68が配置されている。さらに、搬送ローラ62は、記録用紙40を排出トレイ66へ排出するときの回転方向と逆方向へ回転することができるようになっている。
【0041】
すなわち、記録用紙40の後端部が搬送経路切換片68を通過した直後に搬送ローラ62を逆回転させることにより、記録用紙40の搬送経路を搬送経路R0 から搬送経路R1 へ切り換えることができる。搬送経路を切り換えられた記録用紙40は、搬送ローラ70、72により搬送経路R1 上を搬送され、カセットトレイ42へ戻される。そして、再び半月ロール44により搬送経路R0 へ送り出されて、上述した転写、定着の工程を経ることにより、記録用紙40の裏面にも印刷することができる。
【0042】
なお、上記の動作は、制御装置74により一括して制御される。また、各部の動作に必要な電力は高電圧電源76から供給される。この高電圧電源76も制御装置74により制御される。
【0043】
図1には、制御装置74及び高電圧電源76の概略構成が示されている。
【0044】
高電圧電源76は、帯電ローラ26を帯電するための帯電用電源回路78、現像ロール30へ電力を供給するための現像用電源回路80、転写ローラ36へ電力を供給するための転写用電源回路82、転写用電源回路82から出力される電流を検出する電流検出回路98及び除電針52へ電力を供給するための除電用電源回路84を備えている。
【0045】
制御装置74はCPU86を備えており、このCPU86にはバス88を介してRAM90及びROM92が接続されている。ROM92には後述する制御プログラムやV/Iテーブル等のデータが予め記憶されている。また、CPU86にはD/A変換器94及びA/D変換器96が接続されており、D/A変換器94は転写用電源回路82に接続され、A/D変換器96は電流検出回路98を介して転写用電源回路82に接続されている。
【0046】
CPU86は、D/A変換器94に対して0〜255のデジタル数値を出力する。D/A変換器94では、CPU86から出力されたデジタル数値に応じて例えば0〜5Vのアナログ電圧に変換して転写用電源回路82へ出力する。
【0047】
転写用電源回路82は、図3に示すように、出力電圧制御回路102、定電圧出力回路104及び出力電圧検出回路106で構成されている。出力電圧制御回路102は、D/A変換器94から出力されたアナログ電圧に応じた転写電圧が転写ローラ36へ印加されるように定電圧出力回路104を制御する。また、定電圧出力回路104から出力される電圧は出力電圧検出回路106によって検出され、定電圧出力回路104へフィードバックされる。これにより、定電圧出力回路104から出力される電圧がフィードバック制御され、出力電圧が一定に保たれる。
【0048】
一方、定電圧出力回路104から出力される電流は電流検出回路98によって検出され、該検出された電流は0〜5Vのアナログ電圧に変換されてA/D変換器96へ出力される。A/D変換器96では、電流検出回路98から出力されたアナログ電圧を0〜255のデジタル数値に変換してCPU86へ出力する。
【0049】
なお、D/A変換器94に入力されるデジタル数値と転写用電源回路82から出力される転写電圧との関係は一例として図4に示すような関係となっている。また、電流検出回路98によって検出される流出電流値とA/D変換器96から出力されるデジタル数値との関係は図5に示すような関係となっている。
【0050】
さらに、CPU86には帯電用電源回路78、現像用電源回路82及び除電用電源回路84が接続されており、帯電ローラ26に印加する帯電電圧、現像ロール30に印加する現像電圧及び除電針52に印可する除電電圧をそれぞれ制御することができる。また、CPU86には操作部100が接続されており、この操作部100からの操作信号に応じた制御を行う。
【0051】
次に、本発明の実施の形態における作用を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0052】
まず、制御装置74のCPU86で実行される制御の流れについて図6に示すローチャートを参照して説明する。
【0053】
まず、操作部100において所定の操作が行われてCPU86に印刷が指示されると、各搬送ローラ及び感光体ドラム24が回転を開始し、図6に示すステップ200で、帯電を開始する信号を帯電用電源回路78へ出力する。これにより、帯電用電源回路78により帯電電圧が帯電ロール26へ印加され、感光体ドラム24が一例として約−400Vに一様に帯電される。なお、感光体ドラム24を1周分帯電しただけでは、−400Vにはならず、2周目以降に画像形成開始の準備が整うこととなる。
【0054】
次のステップ202では、一例として約1000Vのモニタ電圧を転写ローラ36へ印加する。約1000Vのモニタ電圧を印加するには、図4に示されるように、CPU86からD/A変換器94へ出力される値を”50”とすればよい。D/A変換器94では、CPU86からの出力値を0〜5Vのアナログ電圧に変換する。D/A変換器94は、8ビット分の数値、すなわち0〜255までの256個の数値を扱うので、出力値”50”は、5(V)×50/256≒0.98(V)に変換され、転写用電源回路82へ出力される。転写用電源回路82では、0.98Vを増幅して約1000Vの直流電圧として転写ローラ36へ印加する。
【0055】
ステップ204では、印加した転写電圧に対する出力電流を電流検出回路98で検出する。ここで、転写ローラ36は、図7に示すように使用環境、例えば温度や湿度により体積抵抗値が異なり、L/L環境(温度10°C/湿度15%RH)、N/N環境(温度22°C/湿度55%RH)、H/H環境(温度28°C/湿度85%RH)における体積抵抗値は、それぞれ、約1×109 Ω・cm3 、約1×108 Ω・cm3 、約1×107 Ω・cm3 となっている。また、図8には、転写ローラ36に1000Vの電圧を印加したときの体積抵抗値と流出電流との関係が示されている。この場合、例えばN/N環境の場合は体積抵抗値は約1×108 Ω・cm3 なので、約1.5μAのモニタ電流が検出されることになる。
【0056】
電流検出回路98では、検出した約1.5μAのモニタ電流を0〜5Vのアナログ電圧に変換してA/D変換器96へ出力する。A/D変換器96では、電流検出回路98から出力されたアナログ電圧を8ビット分の数値、すなわち0〜255までの数値に変換してCPU86へ出力する。流出電流が約1.5μAの場合は、図5に示すように、CPU86へ出力する値は”60”となる。
【0057】
そして、次のステップ206では、上記のA/D変換器96から出力された値”60”から流出電流1.5μAを求め、印加した電圧からインピーダンス(体積抵抗値)を求める。次のステップ208では、求めたインピーダンスに基づいて使用環境を特定する。これは、図7に示す体積抵抗値と使用環境との関係から特定することができる。
【0058】
次のステップ210では、ステップ208で特定した使用環境に対応する転写電圧値テーブルをROM92から選択する。このROM92には、以下の表1に示すような転写電圧値テーブル(V/Iテーブル)が使用環境別に記憶されている(表1はN/N環境時のテーブル)。この転写電圧値テーブルは、L/L環境、N/N環境及びH/H環境の3種類の使用環境別に記憶させてもよいし、さらに細かく分けて3種類以上のテーブルを記憶させてもよい。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示すように、転写電圧値テーブルは、モニタ電流値ごとに、記録用紙40の第1面の転写前に印加する電圧Vdm、電圧Vdmを印加した場合の予定電流、第1面の転写実行時に印加する電圧Vsmp、電圧Vsmpを印加した場合の予定電流、第2面の転写前に印加する電圧Vddm、電圧Vddmを印加した場合の予定電流、第2面の転写実行時に印加する電圧Vdup、電圧Vdupを印加した場合の予定電流及び連続印刷時の収束電流のデータを含んでいる。
【0061】
電圧Vdmは、第1面の転写後の帯電電位相当に予め帯電電位を低下させておくのに必要な電圧である。また、電圧Vddmは、両面印刷を行う場合の第2面の転写後の帯電電位相当に予め帯電電位を低下させておくのに必要な電圧であるが、第1面の転写及び定着工程により記録用紙40の含水分が蒸発してしまうことによる記録用紙40の体積抵抗の上昇分を加味して定められている。また、上記の値は、標準的な用紙(用紙坪量が80g/m2 程度)で、標準的な画像(用紙面積に対する画像面積が5〜6%程度の画像)を印刷した場合に最適な値として定められている。連続印刷時の収束電流値は、数百枚程度の記録用紙に連続的に両面印刷を行う場合に最低限必要な電流値である。
【0062】
なお、テーブルの数値は、実際の電流値や電圧値ではなく、電流の場合はA/D変換器96からCPU86へ出力される値であり、電圧の場合はCPU86からD/A変換器94へ出力される値である。また、表1では、モニタ電流値が0〜49までと、71〜255までの各電圧値及び電流値は省略している。
【0063】
この選択した転写電圧値テーブルから、ステップ204で検出したモニタ電流値に対応する各工程の電圧値及び電流値を読み込む。すなわち、ステップ204で検出したモニタ電流値が”60”であれば、電圧Vdm”43”、電圧Vdmを印加したときの予定電流値”52”、電圧Vsmp”64”、電圧Vsmp”42”を印加したときの予定電流値”161”、電圧Vddm”42”、電圧Vddmを印加したときの予定電流値”48”、電圧Vdup”72”、電圧Vdupを印加したときの予定電流値”148”及び連続印刷時の収束電流値”106”をRAM90に読み込む。
【0064】
この読み込んだ各電圧値及び電流値は、上述したように図4、図5により、実際の電圧値、電流値に換算することができ、それぞれの値は、電圧Vdm=832V、電圧Vdmを印加したときの予定電流値=1.2μA、電圧Vsmp=1336V、電圧Vsmpを印加したときの予定電流値=3.8μA、電圧Vddm=808V、電圧Vddmを印加したときの予定電流値=1.1μA、電圧Vdup=1528V、電圧Vdupを印加したときの予定電流値=3.5μA、連続印刷時の収束電流値=2.5μAとなる。
【0065】
ステップ212では、ステップ210で読み込んだ電圧値をD/A変換器94へ出力する。例えば、記録用紙40の第1面への転写を開始する1周前の時点では、電圧Vdm”43”をD/A変換器94へ出力する。D/A変換器94では、入力された電圧値をアナログ電圧に変換し、転写用電源回路82へ出力する。転写用電源回路82では、入力されたアナログ電圧を増幅して転写ローラ36へ印加する。
【0066】
なお、電圧Vdmまたは電圧Vddmを印加する場合は、記録用紙40の先端が感光体ドラム24と転写ローラ36の間に到達する1周前の時点から電圧の印加が開始されるように制御される。例えば、感光体ドラム24の直径が30mmで、感光体ドラム24の回転の線速度及び記録用紙40の搬送速度が65mm/secであったとすると、感光体ドラム24が1周するのに約1450msecかかるので、記録用紙40への転写を開始する1450msec前の時点から電圧Vdmまたは電圧Vddmを印加する。このようにして転写ローラ36から感光体ドラム24へ向けて1.2μAまたは1.1μAの電荷を放電させることで、記録用紙40への転写後の帯電電位相当に予め帯電電位を低下させておくことができる。
【0067】
次のステップ214では、印加した転写電圧に対する出力電流を電流検出回路98で検出する。電流検出回路98では、検出した電流をアナログ電圧に変換してA/D変換器96へ出力する。A/D変換器96では、電流検出回路98から出力されたアナログ電圧をデジタル数値に変換してCPU86へ出力する。
【0068】
ステップ216では、検出した電流値がステップ210で読み込んだ印加した電圧に対応する予定電流値と一致しているか否かを判定する。検出した電流値が予定電流値と一致している場合にはステップ216で肯定されステップ220へ移行する。検出した電流値が予定電流値と一致していない場合にはステップ216で否定され、ステップ218で転写電圧を補正する。
【0069】
すなわち、検出した電流値が予定電流値よりも大きい場合には転写電圧が下がるように、D/A変換器94へ出力する値を下げる。検出した電流値が予定電流値よりも小さい場合には転写電圧が上がるように、D/A変換器94へ出力する値を上げる。このように転写電圧を補正することで、出力する電流を一定に保つことができる。
【0070】
なお、検出した電流値が予定電流値と一致した場合には、このときの電圧に対応する各電圧値及び予定電流値等をV/Iテーブルから読み出してRAM90に記憶されている内容を書き換えるようにしてもよい。
【0071】
ステップ220では、転写電圧を変更するタイミングか否かを判定する。すなわち、記録用紙40の先端が感光体ドラム24と転写ローラ36との間に到達しているか否か及び記録用紙40の終端が感光体ドラム24と転写ローラ36との間を通過したか否かを判定する。記録用紙40の先端が感光体ドラム24と転写ローラ36との間に到達してなく、かつ記録用紙40の終端が感光体ドラム24と転写ローラ36との間を通過していない場合、すなわち、記録用紙40への転写を実行中の場合には、ステップ214乃至ステップ220を繰り返し、転写電圧が一定になるように制御される。記録用紙40の先端が感光体ドラム24と転写ローラ36との間に到達した場合または記録用紙40の終端が感光体ドラム24と転写ローラ36との間を通過した場合はステップ220で肯定され、ステップ222へ移行する。
【0072】
ステップ222では、印刷がすべて終了したか否かを判定する。印刷がすべて終了していない場合には、ステップ222で否定され、ステップ212へ戻って次工程の転写電圧の印加を行う。すべての印刷が終了した場合にはステップ222で肯定され、本制御を終了する。
【0073】
次に、上記の制御を行った場合の感光体ドラム24の帯電電位の変化について説明する。
【0074】
図9には上記の制御を行った場合の感光体ドラム24の周期と感光体ドラム24の帯電電位との関係が、図11には従来における感光体ドラム24の周期と感光体ドラム24の帯電電位との関係が示されている。なお、記録用紙40はA4サイズ(210mm×297mm)の普通紙とする。
【0075】
図11に示すように、従来の場合には、帯電を開始して感光体ドラム24が2周して帯電電位が−400Vになった後に、レーザ走査装置12により感光体ドラム24上を走査して静電潜像を形成し、現像ロール30により現像してトナー像の形成を行う。そして、記録用紙40の先端が感光体ドラム24と転写ローラ36との間に到達した時点(帯電開始してから感光体ドラム24が約2.5周した時点)で転写電圧を転写ローラ36に印加して記録用紙40へトナー像の転写を行う。
【0076】
このとき、転写ローラ36からの+電荷の放電により、感光体ドラム24の帯電電位が低下し、次の周の帯電工程を経ても十分な帯電電位に引き上げられない。このため、感光体ドラム1周分は十分に帯電された感光体ドラム24上に形成されたトナー像が記録用紙40に転写されるが、転写を開始してから2周目以降は、帯電電位が低下した感光体ドラム24上に形成されたトナー像が記録用紙40に転写されるので、同じ記録用紙40上で濃度ムラが発生してしまい、特に、網点のようなハーフトーンの画像では画質の低下が顕著に認識されてしまう。
【0077】
これに対して本発明では、帯電を開始して感光体ドラム24の帯電電位が−400Vになった後で、かつ記録用紙40への転写を開始する1周前の時点(帯電開始してから感光体ドラム24が約1.5周した時点)から電圧Vdm=832Vを印加し、記録用紙40への転写後の帯電電位相当に予め帯電電位を低下させておく。そして、記録用紙40が感光体ドラム24と転写ローラ36との間に到達した時点から電圧Vsmp=1336Vを印加して記録用紙40への転写を行う。このように制御することにより、同じ記録用紙40上で濃度ムラを抑えることができ、ハーフトーンの画像においても均一な濃度を保つことができる。また、電圧Vdm、電圧Vddmは、使用環境別に最適な電圧が選択されるので、環境変化に対しても均一な濃度を保つことができる。
【0078】
次に、両面印刷を行う場合について説明する。両面印刷する場合は、記録用紙40の第1面にトナー像を転写して、定着装置54により定着した後、記録用紙40の後端部が搬送経路切換片68を通過した直後に搬送ローラ62を逆回転させて記録用紙40の搬送経路を搬送経路R0 から搬送経路R1 へ切り換える。これにより搬送経路を切り換えられた記録用紙40は、カセットトレイ42へ戻され、再び半月ロール44により搬送経路R0 へ送り出されて第2面への転写、定着の処理が成される。
【0079】
ところが、このような両面印刷では記録用紙40の搬送経路が非常に長いので、1枚ずつ連続して両面印刷する場合には非効率的である。このため、連続して両面印刷する場合には、搬送経路中に2〜3枚の記録用紙40を存在させ、交互に印刷するようにする。すなわち、例えば5枚の記録用紙40を連続で両面印刷する場合には、1枚目の第1面、2枚目の第1面、1枚目の第2面、3枚目の第1面、4枚目の第1面、3枚目の第2面、5枚目の第1面、4枚目の第2面、5枚目の第2面、の順序で印刷する。
【0080】
従って、図6のステップ212乃至ステップ220で行われる電圧印加の動作は以下の順序で行われる。まず、1枚目の第1面の転写前に感光体ドラム1周分電圧Vdm=832Vが印加され、1枚目の記録用紙が感光体ドラム24と転写ローラ36との間に到達した時点から電圧Vsmp=1336Vが印加される。以下、電圧Vdm(2枚目の第1面の転写前)、電圧Vsmp(2枚目の第1面の転写実行時)、電圧Vddm(1枚目の第2面の転写前)、電圧Vdup(1枚目の第2面の転写実行時)、電圧Vdm(3枚目の第1面の転写前)、電圧Vsmp(3枚目の第1面の転写実行時)、電圧Vdm(4枚目の第1面の転写前)、電圧Vsmp(4枚目の第1面の転写実行時)、電圧Vddm(3枚目の第2面の転写前)、電圧Vdup(3枚目の第2面の転写実行時)、電圧Vdm(5枚目の第1面の転写前)、電圧Vsmp(5枚目の第1面の転写実行時)、電圧Vddm(4枚目の第2面の転写前)、電圧Vdup(4枚目の第2面の転写実行時)、電圧Vddm(5枚目の第2面の転写前)、電圧Vdup(5枚目の第2面の転写実行時)の順序で電圧が印加される。
【0081】
このように、連続して両面印刷する場合においても、第1面の転写前及び第2面の転写前に電圧Vdm及び電圧Vddmがそれぞれ印加される。電圧Vddmは、第1面の転写及び定着工程により記録用紙40の含水分が蒸発してしまうことによる記録用紙40の体積抵抗の上昇分を加味して定められているので、ハーフトーン画像を印刷する場合においても第1面及び第2面ともに均一な濃度を保つことができる。
【0082】
また、通常の普通紙よりも厚めの用紙 (例えば用紙坪量が200g/m2 )に高密度な画像を連続して両面印刷するような場合には、第1面の転写時には、流出予定電流3.8μAに対して実際の電流値は2.2μA程度に大幅に低下してしまう。この場合でも、図10に示すように、実際の電流値は最適転写域内に収まっているが、第2面の転写時に電流が不足することが明らかに予想できるため、印加される図6のステップ218において、1枚目の第2面の転写時及び2枚目以降の第2面の転写時に印加する電圧Vdm=1528V、2枚目以降の第1面の転写時に印加する電圧Vsmp=1336Vをそれぞれ10%ずつ段階的に増加させ、電圧Vdm=1469V、電圧Vsmp=1680Vとし、ステップ216において検出した電流値とV/Iテーブルから読み込んだ連続印刷時の収束電流2.5μAと比較し、この収束電流値に近づくように制御する。
【0083】
このように最低限必要な電流で転写することにより、連続印刷時においても逆帯電量を最小に抑えることができ、感光体ドラム24の軸方向両端部のトナー汚れ等の問題を解消することができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、感光体ドラム24の回転の線速度及び記録用紙40の搬送速度を65mm/secとしたが、この速度を1/2の32.5mm/secとし、画像形成の解像度を2倍にすることができる画像形成装置の場合には、前記速度に応じたV/IテーブルをROM92に記憶させておけばよい。このように速度別にV/Iテーブルを備えておけば、異なる速度に対しても最適な転写電圧を印加することができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電圧制御手段により記録材料への転写開始前に少なくとも潜像担持体の一周に亘って転写電圧を印加して、記録材料への転写開始前に予め潜像担持体の帯電電位を低下させておくことにより、記録材料への転写が開始された後に再帯電した場合でも急激に帯電電位が低下することがなく、潜像担持体の周回ごとの濃度ムラを抑えることができ、最終的に記録材料に印刷された画像の濃度ムラを抑えることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 制御装置及び高電圧電源の概略構成図である。
【図2】 画像形成装置本発明の全体構成図である。
【図3】 転写電源回路の概略構成図である。
【図4】 D/A変換器の変換特性を示す線図である。
【図5】 A/D変換器の変換特性を示す線図である。
【図6】 制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】 転写ローラの環境−抵抗特性を示す線図である。
【図8】 転写ローラに1kVの電圧を印加したときの抵抗−流出電流特性を示す線図である。
【図9】 本実施の形態に係る感光体ドラムの表面電位の変化を示す図である。
【図10】 転写ロールの環境別の電圧−電流特性を示す線図である。
【図11】 従来例における感光体ドラムの表面電位の変化を示す図である。
【符号の説明】
10 画像形成装置
12 レーザ走査装置
24 感光体ドラム
26 帯電ローラ
28 現像装置
36 転写ローラ
40 記録用紙
74 制御装置
76 高電圧電源
82 転写用電源回路
86 CPU
90 RAM
92 ROM
94 D/A変換器
96 A/D変換器
98 電流検出回路
Claims (7)
- 潜像担持体と、
帯電電圧が印加されることにより、前記潜像担持体を所定の電位に帯電する帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体上に光ビームを走査して、前記潜像担持体上に静電潜像を形成する光ビーム走査手段と、
前記光ビーム走査手段により前記潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記潜像担持体と記録材料を介して当接され、該当接部に前記帯電電圧と逆極性の転写電圧を印加することにより、前記現像手段により現像されたトナー像を前記記録材料へ転写する転写手段と、
環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記環境情報取得手段により取得した環境情報に基づいて、前記記録材料への転写開始前に少なくとも前記潜像担持体の一周に亘って転写電圧を印加する電圧制御手段と、
を有する画像形成装置。 - 潜像担持体と、
帯電電圧が印加されることにより、前記潜像担持体を所定の電位に帯電する帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記潜像担持体上に光ビームを走査して、前記潜像担持体上に静電潜像を形成する光ビーム走査手段と、
前記光ビーム走査手段により前記潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記潜像担持体と記録材料を介して当接され、該当接部に前記帯電電圧と逆極性の転写電圧を印加することにより、前記現像手段により現像されたトナー像を前記記録材料へ転写する転写手段と、
前記転写手段から出力される電流を検出する電流検出手段と、
所定のモニタ電圧を印加したときの前記電流検出手段により検出されたモニタ電流値に基づいて前記転写手段のインピーダンスを演算する演算手段と、
予め定めたモニタ電流値に応じて定めた前記記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び前記記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値を含む転写電圧値テーブルを、前記インピーダンスの大きさ毎に記憶する記憶手段と、
前記演算手段により演算したインピーダンスに応じた転写電圧値テーブルを前記記憶手段から選択し、該選択した転写電圧値テーブルから前記電流検出手段により検出されたモニタ電流値に応じた前記記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び前記記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値をそれぞれ選択して、前記記録材料への転写開始前に少なくとも前記潜像担持体の一周に亘って前記転写開始前の転写電圧値に基づく転写電圧を印加する電圧制御手段と、
を有する画像形成装置。 - 前記転写電圧値テーブルは、前記記録材料の第1面への転写開始前の転写電圧値及び前記記録材料の第1面への転写実行時の転写電圧値のそれぞれに応じた予定電流値をさらに含み、
前記それぞれの転写電圧を印加するごとに、前記電流検出手段により検出された電流値と前記予定電流値とを比較して、該比較結果に基づいて前記それぞれの転写電圧を補正することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記転写電圧値テーブルは、前記予め定めたモニタ電流値に応じて定めた前記記録材料の第2面への転写開始前の転写電圧値及び前記記録材料の第2面への転写実行時の転写電圧値をさらに含むことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記転写電圧値テーブルは、前記予め定めたモニタ電流値に応じて定めた収束電流値をさらに含み、前記転写電圧の補正は、前記収束電流に収束するように行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記転写電圧値テーブルは、前記記録材料の搬送速度ごとに前記記憶手段に記憶されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記電圧制御手段は、転写電圧値を示すデジタル数値を、対応する所定のアナログ電圧へ変換するD/A変換器、及び前記電流検出手段により検出した電流を対応する所定のデジタル値へ変換するA/D変換器を含むことを特徴とする請求項2乃至請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置。
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JP2000162889A (ja) | 2000-06-16 |
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