JP3825392B2 - 熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法および装置・高温廃ガスを利用する熱交換システムおよびカーボンブラック生産システム - Google Patents

熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法および装置・高温廃ガスを利用する熱交換システムおよびカーボンブラック生産システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法および装置・高温排ガスを利用する熱交換システムおよびカーボンブラック生産システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラック生産施設や各種の焼却施設では一般に「800℃あるいはそれ以上の高温の廃ガス」が発生する。このような高温の廃ガスの持つ熱エネルギを有効利用するため、廃ガスを熱交換器伝熱管内に流し、熱交換器伝熱管の外壁側に空気や水・油等の流体を供給して、廃ガスとの熱交換により流体を加熱して昇温させるとともに、廃ガスを温度降下させる、熱交換システムの併用が一般化している。
【0003】
熱交換器伝熱管内を流れる廃ガスは、種々の成分を含んでおり、これら成分が固相化して熱交換器伝熱管の内壁に付着し、熱交換器伝熱管内を汚すことが知られている。上記カーボンブラック生産システムの場合には、「廃ガス」は反応炉から出て捕集部へ向かう高温の「分解生成ガス」であり、反応炉内で生成された多量のカーボンブラック微粒子を含んだ状態で熱交換器伝熱管内を流れる。
【0004】
また、近来、俗にヘドロと呼ばれる汚泥を固形化したものを焼却する焼却施設では、発生する廃ガスには、汚泥に含まれていた有機・無機の各種物質の燃焼生成物が「灰」として含まれており、このような燃焼生成物を含む廃ガスが熱交換器伝熱管内を流れることになる。
【0005】
このため、熱交換器伝熱管の内壁には管内を流れる廃ガスに含まれる付着成分が付着しやすい。熱交換器伝熱管内に付着する付着物は、カーボンブラック生産の場合であれば主としてカーボンブラックの微粒子であるし、汚泥焼却の場合であれば廃ガスに含まれる有機・無機の各種燃焼生成物である。
【0006】
これら付着物は、熱交換器伝熱管の内壁に一旦付着すると内壁に固着し、このように固着した付着物の上に付着物が急速に堆積して層状に成長する。
高温の廃ガスに対して熱交換を行う場合、廃ガスと熱交換する流体の「熱交換器伝熱管外壁への接触面積」を増大させて交換効率を高めるため、内径:20〜200mm程度の細い熱交換器伝熱管を多数本用い、廃ガスは、これら多数の熱交換器伝熱管に分流されて流されるのが一般的である。
【0007】
このように熱交換器伝熱管の内径が小さいため、熱交換器伝熱管内に固着した付着物が層状に堆積成長すると、付着物の「低熱伝導性」のために熱交換の効率が著しく低下し、熱交換機能を果たさなくなる。また、付着物の堆積が進行すると終には「熱交換器伝熱管の閉塞」を来すことになる。
【0008】
熱交換器伝熱管の内壁への付着物は、付着後「固着してしまう」と容易に除去できず、これを除去するにはシステムの稼動を停止して、内壁に付着した付着物を燃焼させて除去するデコーキングや、機械的な摺擦により除去する他は無く、除去作業が行われる間、システムの稼動を停止しなければならないので生産効率や処理効率の低下、さらには清掃費用の負担といった問題が生じる。
【0009】
熱交換器伝熱管の内壁への付着物の付着を調べてみると、上記の如き熱交換を行う場合、熱交換により「廃ガスの温度が400〜650℃程度まで低く」なる排出口の側において付着量が多くなる傾向が認められる。高温の廃ガスは一般に多量の水蒸気を含んでいるので、熱交換器伝熱管内を流れつつ温度が急速に650℃あるいはそれ以下に低下すると、廃ガス内の飽和蒸気圧が低下して熱交換器伝熱管の内壁に結露するため、付着物が付着し易くなると考えられている。
【0010】
上記「付着物の固化・堆積成長の特性」に鑑みると、熱交換器伝熱管内の付着物対策としては「付着物を、固着する以前に除去する」のが効果的である。
【0011】
この目的のため、カーボンブラック生産システムにおいては従来から、熱交換器伝熱管の上流側の導入口側(排出口と逆の側)の整流室と呼ばれる空間内において、水滴もしくは水塊を高温廃ガス中に噴射し、廃ガスの熱で瞬時に気化させ、その際の水蒸気の急激な体積膨張による風圧ショックで「付着物を吹き払う」ことが行われている。
【0012】
この方法は、熱交換器伝熱管の導入口側近傍での付着物除去に有効であるが、熱交換器伝熱管は通常「数メートル〜10数メートル」の高さがあり、導入口側で発生した風圧が、管を上昇するに従い急速に衰え「排出側で付着物を吹き払うには不充分」となり、付着物の付着が著しい排出口側の領域では十分な効果を上げることができない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上述した事情に鑑み、システムの稼動を停止することなく、熱交換器伝熱管内の付着物による汚れを有効に防止することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の「熱交換器伝熱管の汚れ防止方法」は、高温の廃ガスを流される熱交換器伝熱管の内壁が、廃ガス中に含まれる付着成分の付着により汚れるのを防止する方法であって、以下の如き特徴を有する(請求項1)。
【0015】
即ち、高温の廃ガスが導入口側から排出側へ向かって流れている熱交換器伝熱管の「排出口に向かってテーパをもって径が増大する排出部」の排出口の側から管内に向って、高圧の不燃性流体を高圧噴射ノズルから間欠的に噴射し、噴射された不燃性流体によるベンチュリ効果(所謂「エジェクタ効果」)による吸引力の作用により、熱交換器伝熱管内を導入口側へ、廃ガスの流れに抗して逆流する気流を形成し、熱交換器伝熱管の内壁に付着した付着物を吹き払う
【0016】
「高温の廃ガス」は、前述のカーボンブラック生産システムにおいて反応炉から取出される廃ガス(上述の如く「分解生成ガス」と呼ばれている。)や、固形化された汚泥の焼却処理に伴って発生する「高温の燃焼廃ガス」等である。
【0017】
「不燃性流体」は、熱交換器伝熱管内に噴射されたとき、高温の廃ガスの熱で燃焼することのない流体であり、好ましい例として「高圧蒸気や高圧水」や「高圧蒸気と高圧水の混合系」、窒素ガス等の不活性ガスを挙げることができる。
【0018】
高圧噴射ノズルによる噴射は「間欠的」、例えば、数分〜数時間に1回あるいは1日に数回といった頻度で行われる。付着物は熱交換器伝熱管の内壁に付着後、固着してしまうと容易に吹き払うことができないので「付着してから固着しない間」に除去する必要があり、噴射の頻度は、この目的を達成できるように設定される。
【0019】
高圧噴射ノズルによる噴射は、カーボンブラック生産システムや焼却処理システムの「稼動当初」から行う必要がある。高圧不燃性流体の噴射は「現に高温の廃ガスが流れている熱交換器伝熱管」に対して行われるから、この間、システムの稼動を停止する必要はない。
【0020】
高圧噴射ノズルによる噴射流体の「圧力」や「噴射量」さらには「1回の噴射時間は」、熱交換器伝熱管の長さや太さに応じ、付着物を有効に吹き払える気流を形成するに必要な圧力・量・時間に設定される。
【0021】
高圧の流体が、熱交換器伝熱管の排出口側から管内に向って噴射されると、噴射された流体による「高速の流れ」が排出口に向って生じ、ベルヌイの定理に従い「周囲よりも圧力が大きく減少」する。この圧力減少状態は、噴出された流体の流れと共に熱交換器伝熱管の内部へと向い、排出口近傍周辺の廃ガスを排出口から引き込む大きな吸引力を生む。
【0022】
この吸引力の作用により「熱交換器伝熱管内を排出口側から上流側(導入口側)へ向かって逆流する気流」が形成され、この気流が「熱交換器伝熱管の内壁に付着し、未だ固着するに至っていない付着物」を吹き払って内壁を清浄にする。上記「逆流する気流」は、熱交換器伝熱管内を流れる廃ガスの流れに抗して流れる。
【0023】
この発明の「熱交換器伝熱管内の汚れ防止装置」は、上に説明した請求項1記載の熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法を実施する装置であって、高圧噴射ノズルと、不燃性流体供給手段と、噴射制御手段とを有する(請求項2)。
【0024】
「高圧噴射ノズル」は、熱交換器伝熱管の排出口に、常時もしくは必要に応じて臨ましめられる。即ち、高圧噴射ノズルは、これを「熱交換器伝熱管の排出口近傍に常設」し、高圧噴射ノズルが常に排出口に臨むようにしてもよいし、流体の噴射を行うときにのみ排出口に臨ませ、噴射を行わないときは排出口から退避させるようにしてもよい。また、1個の高圧噴射ノズルが複数の熱交換器伝熱管の付着物除去を担当するようにし、上記高圧噴射ノズルが、担当する複数の熱交換器伝熱管の各排出口に順次に臨ませられるようにしてもよい。
【0025】
「不燃性流体供給手段」は、高圧噴射ノズルに、高圧の不燃性流体を供給する手段である。
「噴射制御手段」は、高圧噴射ノズルからの不燃性流体の間欠的な噴射を制御する手段であり、例えば、コンピュータ等の制御部と、その制御を受けて高圧噴射ノズルに通ずる弁を開閉する開閉機構を有する構成とすることができる。
【0026】
請求項1記載の「汚れ防止方法」、請求項2記載の「汚れ防止装置」は、熱交換器伝熱管が1本の場合でも、複数本の場合でも適用できる。熱交換器伝熱管内壁の付着物除去は「上記方法・装置により単独で行う」ことが出きるが、カーボンブラック生産システムに関連して上に説明した「熱交換器伝熱管上流側の導入口近傍で、水滴もしくは水塊を高温の廃棄ガス中に噴射し、ガスの熱で瞬時に気化させ、その際の水蒸気の急激な体積膨張による風圧ショックで、付着物を吹き払う」方法と併用することにより、付着物除去による汚れ防止効果をさらに高めることができる。
【0027】
この発明の「熱交換システム」は、熱交換器伝熱管の外壁側に流体を供給し、熱交換器伝熱管内を流れる高温の廃ガスとの熱交換により流体を加熱して昇温させるとともに、高温廃ガスを温度降下させる熱交換システムであって、熱交換器伝熱管内の汚れを防止するための装置として、請求項2記載の「熱交換器伝熱管内の汚れ防止装置」を用いることを特徴とする(請求項3)。
【0028】
熱交換器伝熱管の外壁側に供給される流体は「液相でも気相でも」よい。例えば、上記流体として水を供給し、熱交換により水を沸かす「ボイラ」として熱交換システムを構成することもできるし、上記流体として空気を供給し、熱交換により高温空気を得ることもできる。
【0029】
この発明の「カーボンブラック生産システム」は、反応炉入り口に燃料と空気を供給して高温の燃焼ガスを生成し、生成された燃焼ガス中に重質油を噴霧してカーボンブラックを生成し、反応を停止させた後の高温の廃ガス(前述の「分解生成ガス」)を、熱交換器伝熱管内を通過させて捕集部へ導いて、カーボンブラックを捕集するカーボンブラック生産システムであって、以下の点を特徴とする(請求項4)。
【0030】
即ち「高温の廃ガスが捕集部側へ流れる熱交換器伝熱管の外壁側に流体を供給し、熱交換により流体を加熱して昇温させ、廃ガスを温度降下させる熱交換システム」として請求項3記載のものを用い、熱交換器伝熱管内がカーボンブラックの付着により汚れるのを防止する。
【0031】
この請求項4記載のカーボンブラック生産システムにおいて「請求項3記載の熱交換システムにより空気を加熱して昇温させ、昇温させた空気を反応炉へ導入する」ことができる(請求項5)。
【0032】
カーボンブラック生産システムにおいては一般に、「反応炉」の入り口側に配備された燃料燃焼部に、ガス状もしくは液状の燃料と反応炉用空気とを導入して完全燃焼させ、高温の燃焼ガスとして「反応部」へ送りこみ、原料としてオイル状の「重質油」を燃焼ガス中に噴霧する。反応部内では、重質油の一部が燃焼ガス中で燃焼し、残りは熱分解して微粒子状態のカーボンブラックを生成する。
【0033】
請求項5記載の発明のように、高温の廃ガスと熱交換させた高温の空気(「予熱空気」)を反応炉内(燃料燃焼室内)へ燃料と共に導入するようにすると、導入された空気がすでに高温であるので「高温の燃焼ガス」を生成するための燃料を有効に減量させることが可能になる。
【0034】
なお、高温の廃ガスとの熱交換で昇温した予熱空気は、必要に応じ、反応炉内へ導入されるに先だって、別の加熱手段により加熱して、さらに昇温させることができる。
【0035】
熱交換器伝熱管内に間欠的に噴射する不燃性流体は、好ましい例として、先に「高圧蒸気や高圧水」、「高圧蒸気と高圧水の混合系」、窒素ガス等の不活性ガスを挙げたが、中でも好ましいものは「水蒸気」である。水蒸気が不燃性流体として好ましい理由は、その入手、即ち、調達が容易である点にある。
【0036】
水蒸気は、専用のボイラを用いて容易に生成できるが、カーボンブラック生産システムや各種燃焼処理システムが稼動する工場内には、水蒸気を発生させる設備があるのが一般的であるし、システムが稼動するときに水蒸気が発生するプロセスを含むことも珍しくない。従って、このような状況においては、調達の容易な水蒸気を不燃性流体として利用するのが良い。
【0037】
上述した請求項4または5記載のカーボンブラック生産システムにおいて、熱交換器伝熱管内に間欠的に噴射される不燃性流体として高圧の水蒸気を用いることができることは勿論である。この場合の水蒸気は、専用のボイラを用いて生成してもよいが、上述のようなカーボンブラック生産システムが稼動する工場内における既存の「水蒸気を発生させる設備」で発生させたものを用いても良いし、あるいは上記工場内でシステムが稼動するときにプロセス稼動に伴なって発生する水蒸気を用いても良い。
【0038】
そして、これらの何れの場合においても「高圧の水蒸気を生成するための熱エネルギの少なくとも一部として、(上記熱交換システムによる熱交換後の、なお顕熱を持つ)廃ガスの熱エネルギを利用する」ことができる(請求項6)。
【0039】
上に説明したように、高圧噴射ノズルによる噴射は「数分〜数時間に1回」あるいは「1日に数回」といった頻度で間欠的に行われ、高温の廃ガスが排出される間は常時、この間欠的な「付着物除去」が行われる。
【0040】
図4は、カーボンブラック生産システムを連続可動したときの、熱交換器伝熱管内の「汚れ状況」の典型的な例を示している。図の縦軸の「汚れ係数」は、熱交換器伝熱管内の汚れの程度を表す。横軸は「システムの連続稼働時間」を時間単位で表している。
【0041】
この例では、前述した「熱交換器伝熱管上流側の導入口近傍において、水滴もしくは水塊を高温排気ガス中に噴射し、ガスの熱で瞬時に気化させ、その際の水蒸気の急激な体積膨張による風圧ショックで付着物を吹き払う」ことを行っており、このため熱交換器伝熱管上流側の部分での汚れは有効に防止されている。図5に示すのは、熱交換器伝熱管の排出口近傍部分における汚れの経時的な変化を表している。
【0042】
この図から明らかなように、熱交換器伝熱管内の排出口部分での汚れは、連続稼働時間と共に次第に増加するが時間と共に飽和する傾向があり、汚れが急激に増加するのは、稼動開始直後の「管内壁が清浄な状態」においてであり、付着物の付着が始まると付着量は急激に増加して汚れを増大させる。
【0043】
このことから、熱交換器伝熱管内の付着物除去は、システムの稼動開始当初から常時これを行い、付着した付着物が固着せず、付着量が増大しない頻度で実行するのが有効であることが分かる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を説明する。
図1は、カーボンブラック生産システムの実施の1形態を概念化して示している。
【0045】
周知の如く、「カーボンブラック」はゴムの補強剤として主に車両用タイヤに使用されているが、ほかにも、電子写真利用の技術において静電潜像を可視化するトナーに混入されるなど広く用いられており、現代生活を支える重要な生産物である。カーボンブラックは基本的には「炭化水素の熱分解」により得られる。
【0046】
図1(a)において、符号10で示す「反応炉」は、燃料燃焼部11と反応部12と急冷部13とにより構成されている。反応炉入り口に当たる燃料燃焼部11には、ガス状もしくは液状の燃料Aと反応炉用空気Bとが導入される。導入された燃料Aと反応炉用空気Bとは、燃料燃焼部11において完全燃焼して高温の燃焼ガスCとなり、反応部12へ送りこまれる。
【0047】
原料Dとしての「重質油」は、オイル状の炭化水素(FCC残渣油、エチレンボトム油、クレオソート油等)であり、アルカリ金属塩等の添加物とともに反応部12に導入され、燃料燃焼部11から供給される高温の燃焼ガスC中に噴霧される。反応部12内では、原料である重質油の一部が燃焼ガスC中で燃焼し、残りは熱分解して微粒子状態のカーボンブラックを生成させる。このとき、反応部内の温度は1200〜1800℃の高温になる。
【0048】
生成したカーボンブラックは、そのまま高温雰囲気中に放置すると結晶化が進み、カーボンブラックの粒子径、表面活性等が損なわれるので、熱分解反応を急速に停止する必要があり、このため、反応部12に続いて(反応部12に下流側に)設けられた急冷部13で、冷却水を「生成混合物」に直接噴霧し、生成混合物の温度を「1000℃以下、好ましくは900℃以下」に冷却して熱分解反応を停止させる。
【0049】
急冷部13は、冷却水の噴霧位置を図の左右方向へ移動させることができるようになっており、熱分解反応を停止させる時期を調整できる。従って、冷却水の噴霧位置が図の左側寄りになれば、その分、反応部12の長さが短くなって熱分解反応時間は短縮され、逆に、冷却水の噴霧位置が図の右側寄りになれば、その分、反応部12が長くなって熱分解反応時間は長くなる。
【0050】
急冷部13で急冷された生成混合物を含む廃ガス(分解生成ガス)Eは、反応炉10内から取出されるが、急冷後も900℃程度の高温を保っている。反応炉10から取出された高温の廃ガスEは、熱交換部16の廃ガス入り口側に設けられた整流室14で流れの向きを上方へ揃えられ、熱交換部16を通過して捕集部15に導かれ、捕集部15で生成物であるカーボンブラックを捕集される。
【0051】
カーボンブラック捕集後の廃ガス(180℃〜250℃の顕熱を有する)は、可燃性の有毒ガスであるので燃焼焼却され、乾燥用熱源あるいはボイラ用熱源として熱回収された後、排ガスGとして外部へ放出される。
【0052】
符号16は「熱交換部」を示している。反応炉用空気Bとなるべき空気は、常温状態でブロワ17により熱交換部16に送り込まれ、熱交換部16で「高温の廃ガス」と熱交換することにより加熱され昇温する。
【0053】
熱交換部16の内部には、熱交換器伝熱管が多数本(数10本)配列され、高温の廃ガスEは個々の熱交換器伝熱管内を流れる間に、ブロワ17により熱交換部16に送りこまれた空気と熱交換して、該空気を、常温から略550〜850℃に予熱する。一方、廃ガスは熱交換により降温し、熱交換部16から出て捕集部側へ排出されるときは400〜650℃程度の温度となる。
【0054】
「昇温した空気」は、反応炉用空気Bとして燃料燃焼部11へ導入される。このように、反応炉用空気Bを予め予熱することにより、燃料燃焼部11における燃料Aとの燃焼開始に必要な熱源として有効に利用でき、燃料の消費量が有効に軽減される。反応炉用空気Bは、燃料燃焼部11への導入に先立ち、必要とあれば「図示されない他の予熱手段」によりさらに加熱して高温に昇温させることができる。
【0055】
上述の如く、熱交換部16の内部には、数10本もの多数の熱交換器伝熱管が配列されている。これらの熱交換器伝熱管の個々に対し、噴射部20から「高圧不燃性流体Fの噴射」が行われ、管内を上流側へ逆流する気流を形成して熱交換器伝熱管内の付着物(カーボンブラック)を吹き払う。
【0056】
説明中の実施の形態においては、高圧不燃性流体Fは「水蒸気」であり、水蒸気生成部18で生成され、供給・制御手段19により圧力や流量を調整され、噴射部20の高圧噴射ノズルへ送られ噴射が制御される。
【0057】
水蒸気生成部18と供給・制御手段19とが「不燃性流体供給手段」を構成し、供給・制御手段19はまた「噴射制御手段」を構成している。
水蒸気生成部18は、専用のものを用いても良いが、カーボンブラック生産システムが稼動する工場内における既存の「水蒸気を発生させる設備」であってもよいし、上記工場内でシステムが稼動するときにプロセス稼動に伴なって水蒸気が発生する部位であってもよい。これらの何れの場合においても「高圧の水蒸気を生成するための熱エネルギの少なくとも一部として、熱交換システムによる熱交換後の、なお顕熱を持つ廃ガスの熱エネルギを利用する」ことができる。
【0058】
図2は、図1に示したカーボンブラック生産システムの、熱交換部16内に配設された多数の熱交換器伝熱管の1本である熱交換器伝熱管141の、排出口近傍の様子を示している。排出口近傍の排出部は、排出口に向かってテーパをもって径が増大するように形成されている。
符号25は、熱交換器伝熱管141の排出口に臨ませられた高圧噴射ノズルを示している。高圧噴射ノズル25から、高圧の流体(水蒸気)が高速で噴射されると、その高速流により発生する吸引力(ベンチュリ効果)の作用で回りの気体(廃ガス)が引き込まれ、熱交換器伝熱管141を上流側(図の下方)へ逆流する気流を生じ、この気流は熱交換器伝熱管141内を上流側へ高速で流れつつ、管内壁に(ゆるく「ふわりと」)付着した、未だ固着していない付着物(カーボンブラック)を吹き払って除去する。
【0059】
上述のように、熱交換部16は「多数の熱交換器伝熱管が束ねられた状態」となっており、これら熱交換器伝熱管から廃ガスが排出されている状態であるので、上記熱交換器伝熱管内に引き込まれる気体は「当該熱交換器伝熱管の周囲にある、他の熱交換器伝熱管から排出される廃ガス」である。
【0060】
また、これら熱交換器伝熱管の導入口側の部分は、図1に示した整流室14側に開放されているので、熱交換器伝熱管を逆流した気流の圧力は整流室14内で減圧される。反面、上記「逆流する気流」は、熱交換器伝熱管を上流側から下流側へ向かって流れる「廃ガスの流れ」を押さえ込みつつ流れるので、廃ガスの流れの圧力抵抗により高い圧力を維持したまま上流側へ流れる。このため、逆流する気体における「付着物を吹き払う風圧の衰え」は小さく、熱交換器伝熱管の長さ全体にわたって、付着物を良好に吹き払うことができる。
【0061】
なお、噴射部20は、高圧不燃性流体を高圧噴射ノズルに供給する伝通管24等で構成され、熱交換部16から排出されて捕集部15の側へ流れる「廃ガスの自然な流れ」を妨げないようになっている。
【0062】
若干補足すると、図2の符号140は、これら熱交換器伝熱管の排出口側を支持する「上部管板」を示している。図示されない導入口側は、前記整流室の天板を兼ねた下部管板により同様に支持されている。
【0063】
そして上部・下部管板の間には、周知の如く「バッフルプレート」が何段にも設けられ、ブロワ17により送り込まれた空気が、反応炉用空気Bとして取出される取出し口に向って、熱交換部16内を螺旋状に流れるようになっている。
【0064】
上述の如く、図1に実施の形態を示す「カーボンブラック生産システム」は、反応炉入り口に燃料Aと空気Bを供給して高温の燃焼ガスCを生成し、生成された燃焼ガス中に重質油Dを噴霧してカーボンブラックを生成し、反応を停止させた後の高温の廃ガスEを、熱交換器伝熱管内を通過させて捕集部15へ導き、補修部15でカーボンブラックを捕集するカーボンブラック生産システムである。
【0065】
このシステムにおいては、高温の廃ガスEを流される熱交換器伝熱管の内壁が、廃ガス中に含まれる付着成分の付着により汚れるのを防止する方法であって、高温の廃ガスEが導入口側から排出側へ向かって流れている熱交換器伝熱管141等の、排出口に向かってテーパをもって径が増大する排出部の排出口の側から管内に向って、高圧の不燃性流体Fを高圧噴射ノズル25から間欠的に噴射し、噴射された不燃性流体によるベンチュリ効果による吸引力の作用により、熱交換器伝熱管141等内を導入口側へ、廃ガスの流れに抗して逆流する気流を形成し、熱交換器伝熱管141等の内壁に付着した付着物を吹き払う「熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法(請求項1)」が実施される。
【0066】
また、図1のカーボンブラック生産システムは、請求項1記載の熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法を実施する装置として、熱交換器伝熱管141等の排出口に常時もしくは必要に応じて臨ましめられる高圧噴射ノズル25等と、この高圧噴射ノズル25等に高圧の不燃性流体Fを導いて供給する不燃性流体供給手段18、19と、高圧噴射ノズル25等からの不燃性流体Fの間欠的な噴射を制御する噴射制御手段19とを有する「熱交換器伝熱管内の汚れ防止装置(請求項2)」を有する。
【0067】
上記システムはまた、熱交換器伝熱管141等の外壁側に流体を供給し、熱交換器伝熱管141等の内部を流れる高温の廃ガスEとの熱交換により、流体(空気)を加熱して昇温させるとともに、高温廃ガスを温度降下させる「熱交換システム」において、熱交換器伝熱管141等の汚れを防止するための装置として、請求項2記載の熱交換器伝熱管の汚れ防止装置を用いる「高温廃ガスを利用する熱交換システム16、17、18、19、20」を有する(請求項3)。
【0068】
上記カーボンブラック生産システムはまた、反応炉入り口に燃料Aと空気Bを供給して高温の燃焼ガスCを生成し、生成された燃焼ガス中に重質油Dを噴霧してカーボンブラックを生成し、反応を停止させた後の高温の廃ガスEを、熱交換器伝熱管内を通過させて捕集部15へ導き、補修部15においてカーボンブラックを捕集するカーボンブラック生産システムにおいて、高温の廃ガスEが流れる熱交換器伝熱管141等の外壁側に流体(空気)を供給し、熱交換により流体を加熱して昇温させ、廃ガスEを温度降下させる熱交換システムとして請求項3記載の熱交換システム16、17、18、19、20を用い、熱交換器伝熱管141等の内壁がカーボンブラックの付着により汚れるのを防止する(請求項4)。
【0069】
そしてこのカーボンブラック生産システムにおいては、熱交換システム16、17、18、19、20により、空気を加熱して昇温させ、昇温された空気Bを反応炉10へ導入している(請求項5)。
【0070】
また、水蒸気生成部18において「高圧の水蒸気を生成するための熱エネルギの少なくとも一部として、熱交換システムによる熱交換後の、なお顕熱を持つ廃ガスの熱エネルギを利用する」ことが可能である(請求項6)。
【0071】
以下に、高圧噴射ノズルと熱交換器伝熱管の排出部との関係を、図3の如くモデル化し、高圧噴射ノズルから噴射される流体の噴射速度や、噴射時間等を考察する。
考察の前提を以下のように想定する。
【0072】
高圧噴射ノズルから噴射される高圧水蒸気の圧力:9.0kg/cm(飽和蒸気)
高圧噴射ノズルのノズル(円形)の口径(直径):d=5mm
噴射圧力:P=7.0kg/cm(ゲージ圧力)
=8.033kg/cm(絶対圧力)
高圧噴射ノズルの噴出管内径(直径):D=12.7mm
飽和水蒸気の比熱比:γ=1.31
図のように、高圧噴射ノズル25内の位置:α、噴射直後の位置:β、熱交換器伝熱管141内部の位置:δにつき、流速:u、体積:V、圧力:Pを、位置:αにおいてu0、V0、P0、位置:βにおいてu、V、P、位置:δにおいてu2、V2、P2とする。
【0073】
「高圧噴射ノズルから噴射される高圧水蒸気の流速・噴出率」
高圧噴射ノズル内の圧力:P0、高圧噴射ノズルから噴射後の圧力:P2、臨界圧力:PCとにより、臨界圧力比:PC/P0と、圧力比:P2/P0を求めると、
臨界圧力比:PC/P0は、
定義式:PC/P0={2/(γ+1)}^{γ/(γ−1)}
において、γ=1.31であるから、
C/P0=0.544
となる。記号「^」は「べき乗」を意味する。
【0074】
圧力:P2=1.033+0.30=1.333であるから、圧力比:P2/P0
は、
2/P0=1.333/8.033=0.166
となる。これから、
C/P0>P2/P0
となり、高圧噴射ノズルの出口圧力:P1は臨界圧力:PCに等しく、噴出される水蒸気は気相状態で、その流速は「音速」に等しい。
【0075】
この音速:u1を求めるのに、断熱変化による音速の式:
1=√[2g{γ/(γ―1)}・P0(1−(P1/P0)^(γ―1)/γ)/ρ0]
を用いる。
【0076】
まず、蒸気のガス定数:Rは、水の分子量:Mを用いて、
R=848/M
で与えられるが、M=16.0+1.008×2=18.016であるから、
R=47.07kgm/kg°K
となる。高圧噴射ノズルから噴射される水蒸気の温度T0を164℃とすると、水蒸気の密度:ρ0は、
ρ0=P0/RT0
=8.033×10/{47.07×(273+164)}
=3.90kg/m
となる。
【0077】
γ=1.33、P0=8.033、P1=PC=0.544×P0=4.369であり、上記u1の式に代入すると、
1=478.6m/sec
となる。
【0078】
このとき、「噴出率」、即ち、高圧噴射ノズルから単位時間あたりに噴出する「水蒸気量:H」は以下のように求められる。
【0079】
噴出直後の水蒸気の密度:ρ1は、
ρ1=ρ0・(P1/P0)^(1/γ)
=3.90×(4.37/8.033)^(1/1.31)
=2.45kg/m3
であるから、高圧噴射ノズルの噴射口の断面積:Aを用いて、
H=ρ1・A・u1=ρ1・A・√(γgP11
=2.45×0.0052×0.785
×√(1.31×9.81×4.369×104/2.45)
=0.023kg/sec
となる。
【0080】
「熱交換器伝熱管に引き込まれるガス量」
図3に示す、P1、V1、u1、P2、V2、u2は、噴出された水蒸気30と、「引き込まれるガス31と水蒸気との混合気体」に関する値である。
【0081】
ガスの引き込みは「ベンチュリ効果」によるものであり、このような場合に、上記u1、P2、V2、u2間に、関係:
1/(1+n)=√{(2g・ΔP・V2/f)+u2 2
が成り立つことが知られている。
【0082】
「n」は吸引された気体と噴出蒸気の流量比であり、「ΔP(=P2−P1)」は熱交換器伝熱管141の排出口部分と管内の圧力差である。
「f」の値として一般的なf=0.5を想定し、圧力差:ΔPを+600mm水柱とし、流速:u2が30m/secとなる状態のときの引込量を算出する。 そうすると、上記式において、u1=478.5m/sec、u2=30m/secであり、f=0.5である。
【0083】
熱交換器伝熱管内を排出口側へ流れる「高温の廃ガス」の温度を排出口近傍において500℃とし、その一般的な成分(カーボンブラックを除いた成分)として、CO2:4.09%、CO:9.09%、CH4:0.2%、H2:6.82%、N2:44.2%、H2O:35.06%、C22:0.52%、O2:0.002%を想定する。すると、これら成分による「平均ガス分子量」は、略23.3kg/kg-molとなる。
【0084】
これから、上記体積:V2は、
2=(22.4/23.3)×(273+500)/273=2.722m3/kgとなる。
【0085】
これらの値を用いると、上記関係は、
478.5/(1+n)=√{(2×9.81×600×2.722/0.5)+302}=254.9
となり、これを「n」について解くと、
n=0.88
となる。
【0086】
これから、熱交換器伝熱管内にベンチュリ効果により引き込まれる混合気体の量:Qは、
Q=(n+1)×{0.023×(22.4/18.02)×(773/273)=1.88×{0.023×(22.4/18.02)×(773/273)=0.152m3/sec=0.076m3/0.5secとなる。
【0087】
一方、熱交換器伝熱管として、直径:0.08m、長さ:14mの円筒管を想定すると、の1本あたりの容積:Vは、
V=0.082×0.785×14.0=0.070m3
であるから、上記の条件でなら、1回あたり0.5秒間の噴出で、この容積以上のガスを熱交換器伝熱管内に引き込むことができる。また、このときの流速:Uは、上記単位時間あたりに引き込まれるガス量:0.152m3/secを管の断面積:0.082×0.785で除して、30.2m/secとなるから、「熱交換器伝熱管の内壁に付着して未固着状態のカーボンブラックを吹き払って、カーボンブラックの固着による汚れを防止する」のに十分である。
【0088】
上の計算は、図1(b)において、熱交換器伝熱管の排出部最大内径:D1=120mm、内径:D2=80mm、内径の拡大が開始する部分と、高圧噴射ノズル25との間隔:D3=176mm、噴射ガス(不燃性流体)の噴霧角:θ=26度として行ったものである。
【0089】
図3に示すように、熱交換器伝熱管の排出口近傍で開口径を増大させると、この開口径が漸増する部分と一定の内径を持つ部分との接合部でベンチュリ効果を効果的に発生させることができ、引き込みガス量を有効に増大できる。
ベンチュリ効果をより効果的に発生させるために、適宜のベンチュリ管を、熱交換器伝熱管の排出口部分に設けるようにしてもよい。
【0090】
図5は、多数本束ねられた熱交換器伝熱管の汚れ防止方法を実施する形態を説明するための図である。
【0091】
図5(a)に示すように、熱交換部16の内部には、70〜80本の熱交換器伝熱管・・SKi、SKi+1、SKi+2、・・SPi、SPi+1、SPi+2、・・が、所謂「千鳥配列」に配列されている。これら熱交換器伝熱管の各列ごとに、伝通管・・24K、24M、24L、24P、・・が配列される。
【0092】
これら伝通管24K等に設けられた高圧噴射ノズルNzの配列と配列個数とは「伝通管に対応する熱交換器伝熱管の配列」における熱交換器伝熱管の配列および配列数」にそれぞれ対応し、各高圧噴射ノズルNzが、個々の熱交換器伝熱管と1:1に対応して、対応する熱交換器伝熱管の排出口に臨ませられている。
【0093】
図5(b)は、伝通管24Kを例にとって、高圧不燃性流体(水蒸気)Fを供給する機構を説明図として示している。
【0094】
供給・制御手段19は「水蒸気を供給する手段」としては、各伝通管に応じて分岐した供給路を有し、これら供給路・・19K、19L、19M、・・のうち、供給路19Mは対応する伝通管24Mに、手動弁MBと電磁弁EBを介して連結され、供給・制御手段19から水蒸気を供給されるようになっている。
【0095】
手動弁MBは通常は開放されており、供給制御手段19は「高圧噴射ノズルNzからの水蒸気の間欠的な噴射を制御する噴射制御手段」として、電磁弁EBの駆動部EBMを制御して、電磁弁EBの開閉を制御する。電磁弁EBが開かれると、伝通管24Mの各高圧噴射ノズルNzから、これらに対応する熱交換器伝熱管のそれぞれに、高圧の水蒸気が噴出されて、熱交換器伝熱管内に付着したカーボンブラックを吹き払う。
【0096】
各伝通管・・24K、24L、・・への高圧水蒸気の供給は、所定の順序で行われ、全ての熱交換器伝熱管に対する噴射が終わったら、同じ動作が適宜の周期で繰り返される。
【0097】
なお、同時に2以上の伝通管に高圧水蒸気を供給することもでき、この場合、これら2以上の電通管に対して、供給路とその弁を共通化することができる。
【0098】
上記手動弁MBはメンテナンス用であり、伝通管の清掃等を行う場合に、手動で閉じて、清掃が行われる伝通管に高圧水蒸気が回らないようにする。
【0099】
上には、多数の熱交換器伝熱管に対し、その一部ずつ順に付着物除去を行う場合を説明したが、これに限らず、全ての熱交換器伝熱管に対して一斉に付着物除去を行うようにしても良い。
【0100】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、新規な熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法および装置・高温廃ガスを利用する熱交換システムおよびカーボンブラック生産システムを実現できる。この発明によれば、熱交換器伝熱管の、特に排出口側の内壁における付着物の堆積・固化を有効に防止でき、固化した付着物を除去するための稼動停止による生産効率の無駄をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボンブラック生産システムの実施の1形態を概念的に示す図である。
【図2】図1のシステムの熱交換部に配列された多数の熱交換器伝熱管のうち1本の、排出口近傍の様子を示す図である。
【図3】高圧噴射ノズルにより熱交換器伝熱管内に形成される気流を説明するための図である。
【図4】カーボンブラック生産システムの熱交換器伝熱管の排出口近傍における付着物による汚れの状態を説明するための図である。
【図5】多数の熱交換器伝熱管に対する付着物除去を説明するための図である。
【符号の説明】
10 反応炉
14 高温廃ガスの流通部
19 供給・制御手段
20 噴射部

Claims (6)

  1. 高温の廃ガスを流される熱交換器伝熱管の内壁が、廃ガス中に含まれる付着成分の付着により汚れるのを防止する方法であって、
    高温の廃ガスが導入口側から排出側へ向かって流れている熱交換器伝熱管の、排出口に向かってテーパをもって径が増大する排出部の上記排出口の側から管内に向って、高圧の不燃性流体を高圧噴射ノズルから間欠的に噴射し、噴射された不燃性流体によるベンチュリ効果による吸引力の作用により、上記熱交換器伝熱管内を上記導入口側へ、廃ガスの流れに抗して逆流する気流を形成し、上記熱交換器伝熱管の内壁に付着した付着物を吹き払うことを特徴とする熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法。
  2. 請求項1記載の熱交換器伝熱管内の汚れ防止方法を実施する装置であって、
    熱交換器伝熱管の排出口に常時もしくは必要に応じて臨ましめられる高圧噴射ノズルと、この高圧噴射ノズルに、高圧の不燃性流体を供給する不燃性流体供給手段と、上記高圧噴射ノズルからの不燃性流体の間欠的な噴射を制御する噴射制御手段とを有することを特徴とする熱交換器伝熱管の汚れ防止装置。
  3. 熱交換器伝熱管の外壁側に流体を供給し、上記熱交換器伝熱管内を流れる高温の廃ガスとの熱交換により上記流体を加熱して昇温させるとともに、上記高温廃ガスを温度降下させる熱交換システムにおいて、
    熱交換器伝熱管内の汚れを防止するための装置として、請求項2記載の熱交換器伝熱管内の汚れ防止装置を用いることを特徴とする、高温排ガスを利用する熱交換システム。
  4. 反応炉入り口に燃料と空気を供給して高温の燃焼ガスを生成し、生成された燃焼ガス中に重質油を噴霧してカーボンブラックを生成し、反応を停止させた後の高温の廃ガスを、熱交換器伝熱管内を通過させて捕集部へ導いて上記カーボンブラックを捕集するカーボンブラック生産システムにおいて、
    高温の廃ガスが捕集部側へ流れる熱交換器伝熱管の外壁側に流体を供給し、熱交換により上記流体を加熱して昇温させ、上記廃ガスを温度降下させる熱交換システムとして請求項3記載のものを用い、上記熱交換器伝熱管の内壁がカーボンブラックの付着により汚れるのを防止することを特徴とするカーボンブラック生産システム。
  5. 請求項4記載のカーボンブラック生産システムにおいて、
    請求項3記載の熱交換システムにより空気を加熱して昇温させ、昇温させた空気を反応炉へ導入することを特徴とするカーボンブラック生産システム。
  6. 請求項4または5記載のカーボンブラック生産システムにおいて、
    熱交換器伝熱管内に間欠的に噴射される不燃性流体として高圧の水蒸気を用い、この高圧の水蒸気を生成するための熱エネルギの少なくとも一部として廃ガスの熱エネルギを利用することを特徴とするカーボンブラック生産システム。
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