JP3824757B2 - 空気冷媒式冷凍装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,要冷却室の空気を空気冷媒式冷凍機の冷媒として取入れ,該冷凍機で冷却された冷媒空気を要冷却室に直接的に吹き出すことにより該室を冷却する場合に,冷媒空気中に混入する湿分と浮遊物質が冷凍装置の運転効率を低下させるのを防止すると同時に,空気の浄化も同時に行えるようにした空気冷媒式冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機で高圧高温の空気とし,これを冷却器で冷却したあと,膨張機で低圧低温とするいわゆる空気冷媒式冷凍機は,フロン系やアンモニア等の冷媒を使用しないので,環境に悪影響を与えることがない。しかし,フロン等の冷媒を用いて凝縮と蒸発を行わせる相変化方式の冷凍サイクルに比べると効率は低く,また効率を上げるには装置が大掛かりとなる。このため,その効率アップを目標として種々の技術開発が進められている。
【0003】
本発明者らも,例えば特許掲載公報第2546765号や特開平9−210484号公報等において,実用に供し得る空気冷媒式冷凍機(製氷装置)を種々提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
空気冷媒式冷凍機で作られた低温空気を熱交換器内に通気し,再び該冷凍機に戻すいわゆる閉サイクルを形成する場合には,特別のことがない限り,冷媒として循環する空気経路には外気や汚染空気が自然に混入することはない。しかし,このような空気冷媒式冷凍機で閉サイクルを形成する場合には,熱交換器を用いた間接的な熱の授受となるので,効率が一層落ちることになり,また,その用途も限られることになる。
【0005】
これに対し,空気冷媒式冷凍機の冷媒空気を各種用途の空間内に直接的に吹き出してその空間を冷却する直接冷却方式は,室内空気を直接的に冷却するので前記の間接方式にはない利点があり,また,このような空気の直接冷却方式はフロン等の他の冷媒を用いたのではなし得ないところでもある。例えば,食品等の冷凍保存を行う冷凍庫,冷凍車,冷凍コンテナ,食品陳列棚,そのほか冷却を要する各種用途空間(要冷却室と呼ぶ)の冷却に,該冷媒空気を直接吹き出す方式を採用すれば,空気冷媒式冷凍機の特徴を遺憾なく発揮できることになる。
【0006】
ところが,このような,言わばオープンサイクルで空気冷媒式冷凍機を稼働する場合には,一般空気が膨張機で断熱膨張されるので,空気中の湿分は微細な氷片に相変化し,これが低温空気管路の管内で堆積成長して圧損を高め,場合によって管路閉塞を起こして凍結トラブルに至るという問題がある。
【0007】
また,このようなオープンサイクルでは,要冷却室の空気の湿分のみならず,空気中に浮遊する粉塵,微生物,汚染物質等もそのまま冷媒空気中に同伴するので,このような浮遊物質が前記の断熱膨張時の氷片発生核として作用し,一層雪状物の生成を促進することにもなる。
【0008】
したがって,本発明の課題は,外気や周囲空気が混入するような要冷却室の空気を冷媒として空気冷媒式冷凍機に取入れる場合の前記の問題を解決することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,空気の経路に,圧縮機,空気冷却器,空気対空気熱交換器および膨張機を空気の流れの順に配置し,要冷却室内の空気を前記の空気対空気熱交換器を経て該圧縮機に取入れ,該膨張機を出た空気を該要冷却室内に吹き出すようにした空気冷媒式冷凍装置において,該膨張機を出た空気の一部または全部を要冷却室を迂回して該空気対空気熱交換器に戻すための弁介装の第1のバイパス路と,圧縮機を出て膨張機に入る前の空気路から0℃以上の空気を取入れ,これを空気対空気熱交換器の入口側空気路に供給するための弁介装の温風バイバス路を設けたことを特徴とする空気冷媒式冷凍装置を提供する。
【0010】
また,本発明によれば,空気の経路に,圧縮機,空気冷却器,空気対空気熱交換器および膨張機を空気の流れの順に配置し,要冷却室内の空気を前記の空気対空気熱交換器を経て該圧縮機に取入れ,該膨張機を出た空気を該要冷却室内に吹き出すようにした空気冷媒式冷凍装置において,該膨張機を出た空気の一部または全部を要冷却室を迂回して該空気対空気熱交換器に戻すための弁介装の第1のバイパス路と,圧縮機を出て膨張機に入る前の空気路のうち空気冷却器または空気対空気熱交換器に入る前の空気路から高温圧縮空気を取入れ,これを膨張機の入口側空気路に供給するための弁介装の温風バイバス路を設けたことを特徴とする空気冷媒式冷凍装置を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は,本発明の空気冷媒式冷凍装置の機器配置例を示したもので,左側の破線で囲った部分は冷凍機内の機器構成例を,右側の破線域は負荷側の要冷却室Bを表している。要冷却室Bは例えば冷凍庫であり,作業員や食品の出入のためのドアを有することから,周囲雰囲気との間で空気の出入が不可避的に生ずる。冷凍機の機器群は1つのケーシング内に収めた装置とすることができ,これを空気冷媒式冷凍機Aとすると,この冷凍機Aと要冷却室Bとを空気路で連結することにより,本発明の空気冷媒式冷凍装置が構成される。
【0012】
すなわち,空気冷媒式冷凍機Aの空気取入口1と要冷却室Bの空気排出口2を空気路3で連結し,冷凍機Aの低温空気吐出口4aまたは4bと要冷却室Bの空気吹出口5を空気路6で連結することにより,要冷却室Bの空気を冷凍機Aの冷媒として取入れ,この冷凍機Aから吐出する低温空気を要冷却室Bに吹き出す空気冷媒式冷凍装置が構成される。
【0013】
空気冷媒式冷凍機Aは,空気圧縮機7,空気冷却器8,空気対空気熱交換器9および空気膨張機10を空気の流れの順に配置し,空気対空気熱交換器9において要冷却室Bから取入れた空気を圧縮機出側の空気と熱交換するようにしたものであるが,図示のものでは,空気圧縮機は主圧縮機7と補助圧縮機11の2台で構成され,補助圧縮機11で圧縮した空気を補助冷却器12で冷却したものを主圧縮機7に取入れるようにしてある。圧縮機はターボ式,膨張機はタービン式のものが使用され,両者は互いに動力が伝達されるように連結されており,膨張機の回転動力が圧縮機の回転軸に伝達されることにより,動力回収がなされる。
【0014】
空気冷却器8と補助冷却器12は水対空気熱交換器(フインチューブプレート型熱交換器)が使用されており,プレート内には冷却水が通水される。空気対空気熱交換器9は多数枚の樹脂製波板を積層することによって多数の細管通路からなる独立した二系統の空気通路を構成し,一方の系統の空気と他方の系統の空気を該樹脂製波板を熱交換面として間接的に熱交換するようにしたものが使用されている。
【0015】
この空気冷媒式冷凍装置における空気の状態変化の一例を挙げると,要冷却室Bから−5℃の常圧空気が冷凍機A内に取り入れられたとすると,補助圧縮機11で約50℃で約1.4気圧,補助冷却器12で40℃で1.4気圧の空気となり,これが主圧縮機7でさらに圧縮されることにより約100℃で約2気圧の高温圧縮空気となる。この高温圧縮空気は空気冷却器8で約40℃まで冷却され,空気対空気熱交換器9で約0℃まで冷却される(圧力は約2気圧)。この2気圧の0℃の空気は膨張機10によって,常圧付近まで膨張し,この膨張にともなって−20℃付近にまで冷却される。なお,要冷却室Bの−5℃(常圧)の空気は空気対空気熱交換器9を通過する時点で常圧のまま約35℃に昇温する。
【0016】
このようにして,要冷却室Bの空気(−5℃,常圧)は,空気冷媒式冷凍装置Aを通過することによって低温空気(−20℃,常圧)となり,これが要冷却室Bの空気吹出口5から吹き出されることにより,要冷却室Bを冷凍庫として必要な低温に維持する。
【0017】
本発明においては,このように構成された空気冷媒式冷凍装置において,膨張機10を出た空気の一部または全部を,要冷却室Bを迂回して該空気対空気熱交換器9に戻すための弁介装の第1のバイパス路13と,圧縮機11または7を出たあと膨張機10に入る前の空気路から0℃以上の空気を取入れ,これを空気対空気熱交換器9の入口側空気路に供給するための弁介装の温風バイバス路14を設ける。
【0018】
図1の例では,第1のバイパス路13は空気路6のa点と空気路3のb点を連結するように設けられ,このバイパス路13には弁15が介装してある。このバイパス弁15は空気路を開閉するダンパ構造のものであり,その開度調整ができる。また,空気路6のa点と空気吹出口5との間にはダンパ16が,そして空気路3のb点と空気取入口2との間にはダンパ17が介装してある。したがって冷凍機Aを運転した状態で,ダンパ16と17を閉じ,バイパス弁15を開くと膨張機10からの低温空気が要冷却室Bを迂回して空気対空気熱交換器9に直接流れることになる。なお,図1の弁15とダンパ16,17に代えて,バイパス路13と空気路6,空気路3との連結点に三方弁を取付けることにより,バイパス路13への空気の切換えを行うようにすることもできる。
【0019】
温風バイパス路14は,図1の例では,空気路3のb点と空気対空気熱交換器9の間のY点と,空気対空気熱交換器9から膨張機10の間のX点とを連結するように設けられ,この温風バイパス路14には弁18が介装してある。このバイパス弁18は,空気路を開閉するダンパ構造のものであり,その開度が調整できる。この温風バイパス路14の空気取入端は,図1のX点のほか,空気冷却器8と空気対空気熱交換器9の間のp点,主圧縮機7と空気冷却器8との間のq点,補助冷却器12と主圧縮機7との間のr点または補助圧縮機11と補助冷却器12の間のs点であってもよい。いずれのp〜s点でも,冷凍機Aの駆動中は0℃以上の圧縮空気が流れていることになる。
【0020】
このように図1の装置は,弁15を介装した第1のバイパス路13と,弁18を介装した温風バイパス路14(第2のバイパス路)を設けたものであるが,さらに,膨張機10から第1バイバス路13を経て空気対空気熱交換器9に至る空気路の最も低い位置にドレン抜き19が設けられ,また,膨張機10を出た空気を要冷却室Bに導く空気路に着氷器20が設置されている。この着氷器20はメッシュフイルタを空気流路を横切るように張り渡したものである。
【0021】
さらに,着氷器20のメッシュフイルタに付着した雪状物を着氷器20の外側に随時排出するための手段21が設けられている。この雪状物を排出する手段21は機械的なものであってもよいし,雪状物を融解してドレンとするための熱的な手段であってもよい。この点については後述する。
【0022】
図1の装置の運転態様を以下に説明する。
【0023】
運転始期に要冷却室B内に大量の一般空気が存在したり,運転途中に外気や周囲雰囲気の空気が要冷却室Bに混入すると,冷凍機Aを稼働中に,膨張機の出側で微細な氷片が発生し,これが空気流に同伴して移動し,最も堆積しやすいところに集積する。図1のようにメッシュフイルタをもつ着氷器20を膨張機出側の空気路に介装させておけば,そこに優先的に堆積する。そこで,この堆積した雪状物を除去することが必要となる。なお,系内で発生する氷片の集積物は空気中の浮遊粒子と氷片との混合物であることが多く,厳密には水からなる雪や霜等とは区別されるので「雪状物」と呼ぶ。
【0024】
雪状物が堆積すると通常運転において膨張機出側の空気圧が高まるので,それを検知し,その検出値が一定値を超えたら,除雪運転に入る。この除雪運転の主モードは,第1バイパス路15への通気と温風バイパス路14への温風供給である。その手順は図1の例では次のとおりである。
【0025】
先ず冷凍機Aの駆動を止め,ダンパ16とダンパ17を閉じ,弁15を開く。また,温風バイパス路14の弁18を開く。これにより,冷凍機A内の空気圧はどの位置でもほぼ等圧の大気圧に近くなる。
【0026】
このように冷凍機A内の圧が下がったら,その状態で冷凍機Aを駆動する。すると,図1のようにX−Y点の温風バイパス路14を設けた例では,空気対空気熱交換器9→膨張機10→バイパス路13→空気対空気熱交換器9→圧縮機11へと流れる第1の空気回路と,空気対空気熱交換器9→温風バイパス路14→空気対空気熱交換器9→圧縮機11へと流れる第2の空気回路が形成される。第1空気回路は第2空気回路より当初は抵抗が大きいので,第2空気回路により多くの空気が流れる。
【0027】
必要に応じて補助冷却器12と空気冷却器8への冷却水の通水量を低下させるかまたは停止して,冷凍機Aを駆動していると,系内の循環空気の温度は次第に上昇し,第1空気回路の膨張機10から出る空気温度も0℃以上になり,さらに上昇を続ける。すると,低温側の空気路に堆積していた雪状物は融解を始め,この融解に応じてさらに通気量が多くなり,さらに空気温度も上昇し,やがて雪状物は完全に融解してドレンとなる。この間,温風バイパス路14の弁18を徐々に絞ったり,圧縮機の回転数を調整したりして,最も効率よく且つ短時間に融解が完了するように制御することができる。
【0028】
この除雪運転によって管内で発生したドレンは,管路の最も低い位置に設けられたドレン抜き19の部分に自然に集液し,この集液を系外に排出する。また,着氷器20内で融解したドレンも着氷器20に設けたドレン抜きから系外に排出する。これにより,除雪運転は終了するが,このまま要冷却室Bに冷気を送気する平常運転に切り換えると,暖まった配管路を経て冷気が供給されるので,暖まった配管路を冷却する操作を先ず行う。これは,ダンパ16と17を閉,バイパス弁15を開としたまま,温風バイパス路14の弁18を閉として運転すればよい。この予冷運転により,除雪運転時に暖まった管路は冷却されるので,次いで,ダンパ16,17を開き,バイパス弁15を閉じて平常運転に切り換える。これにより,要冷却室Bには暖気が供給されるのが防止され,要冷却室Bに熱的影響を与えることなく,平常運転に復帰できる。
【0029】
この除雪運転によって発生したドレン中には,雪結晶の核となって雪状物中に存在した空気中の塵埃や微生物なども,そのまま同伴してくる。したがって,この除雪運転を行うことにより,要冷却室B内に存在したり,要冷却室B内に入り込んだ塵埃や微生物が除去されることになり,要冷却室Bの空気の冷却と空気の浄化が同時に行われる。
【0030】
前記の除雪運転は,温風バイパス路14の温風取入端(図1のX点)を,前記した図中のp,q,r,sの,どの点にしても同様であり,いずれの場合にも,膨張機10の出側の空気は0℃以上となり,運転につれてさらに上昇を続けるので雪状物の融雪が行われる。いずれにしても,膨張機10の出側の空気を最高40℃,場合によっては50℃とすることもできる。
【0031】
なお,この除雪運転をより短時間に終了するために,雪状物が堆積しやすい箇所に予め外熱式ヒータを取付けておき,除雪運転とこのヒータによる外熱供給を組み合わせて,雪状物の融解をさらに促進することもできる。管路内または管路外側に取付けるヒータとしては面熱式のベルトヒータが便宜である。また着氷器20のメッシュフイルタに外熱式ヒータの熱を伝達できるようにして,メッシュフイルタに堆積した雪状物を外熱式に融解することもできる。このようのヒータ付きフイルタとしては,ヒータ付きネットまたはメッシュ,或いはフイン付きヒータなどを使用するのが便宜である。
【0032】
以上の図1の装置は,低圧空気路に,より高圧の0℃以上の空気を導入して除雪運転を行う低圧方式と言える。次に,高圧空気路に高温空気を導入して除雪運転を行う本発明の別の態様(高圧方式)の空気冷媒式冷凍装置を図2に示す。
【0033】
図2の装置は,前記の温風バイパス路14の位置を,図2のW−Zの位置に変更した以外は,図1の装置と実質的に同じ機器構成を有する本発明装置を示したものである。したがって,図2において,図1と同じ符号を付した機器は,図1で説明したものと同じ内容のものである。
【0034】
図2の装置においては,空気対空気熱交換器9から膨張機10に至るまでの膨張機10の入口側空気路(Z点)と,主圧縮機7から空気冷却器8に至る空気路(W点)との間を温風バイパス路22で連結し,この温風バイパス路22に弁23を介装した例を示している。この場合,弁23を開くと,空気冷却器8および空気対空気熱交換器9が空気抵抗となって,温風バイパス路22側に多くの空気が流れることになる。したがって,空気冷却器8および空気対空気熱交換器9によって冷却される空気量が少なくなり,膨張機10にはより高温の圧縮空気が送り込まれる。
【0035】
この温風バイパス路22への空気取入端は,図2のWの位置以外に,図のt,uまたはvで示す位置であってもよい。図のt点からZ点に連結した場合には,弁23を開けた状態では,空気対空気熱交換器9を経ない空気が膨張機10に送り込まれ,u点からZ点に連結した場合には,圧縮機7,空気冷却器8および空気対空気熱交換器9を経ない空気が膨張機10に送り込まれ,v点からZ点に連結した場合には,補助冷却器12,圧縮機7,空気冷却器8および空気対空気熱交換器9を経ない空気が膨張機10に送り込まれることになる。いずれにしても温風バイパス路22は,圧縮機を出て膨張機に入る前の空気路のうち空気冷却器または空気対空気熱交換器に入る前の空気路から高温圧縮空気を取入れ,これを圧縮機の入口側空気路に供給するものであるから,そのバイバス弁23を開くと膨張機10には通常運転よりも高温の空気が送り込まれることになる。
【0036】
この温風バイパス路22を用いた装置でも,図1で説明したのと同様の操作で除雪運転を行うことができる。すなわち,ダンパ16と17を閉じ,バイパス弁15とバイパス弁23を開いて装置を稼働すればよい。この稼働を始めると,膨張機10の出側の空気は徐々に高まり,やがて0℃以上となり,さらに高温になる。これによって,管路内の雪状物は融解し,図1で説明したのと同様に,ドレンとして,系外に排出される。除雪運転終了後に平常運転に復帰するには,図1の装置で説明したように,温風バイパス路22の弁23だけを先ず閉じて,管路の予冷運転を行ってから,ダンパ16,17を開き,弁15を閉じて平常運転に切換えればよい。
【0037】
図2の装置でも,図1の装置と全く同様にして,着氷器20を使用し,また除雪手段21を用いたり,補助ヒータを使用して,除雪運転を一層効率良く行うようにすることができる。
【0038】
着氷器20としては,前記したように,空気の流路を横切るようにメッシュフイルタを配置した構成のものを使用するのがよく,これにより,空気中の浮遊粒子と氷片をメッシュフイルタに付着堆積させることができる。メッシュフイルタ上に形成された雪状物は,前記の融雪運転によってドレンに融解させることができるが,さらに,機械的な掻き落とし手段を設けておくこともできる。
【0039】
雪状物の掻き落とし手段をもつ着氷器としては,ループ状としたメッシュフイルタをロール間にエンドレスベルト状に回動可能に張り渡し,このメッシュベルトを空気通路を横切るように設置すると共に,このメッシュベルト上に堆積する雪状物をベルトの端部で掻き落とすブラシや羽根を取付けたものが好適である。掻き落とした雪状物はスクリュー式搬送機やピストン方式によって機械的に系外に排出するか,雪溜めにヒータを内装させておき,雪溜め内の雪状物を該ヒータで融解し,生成したドレンを器外に排出するようにしてもよい。
【0040】
また,メッシュフイルタに付着した雪状物をそのままヒータ加熱してドレンを生成させるようにすることもできる。この場合には,メッシュフイルタ自身を通電加熱により発熱する材料で形成しておき,雪状物が該フイルタ上に堆積したら通電を開始し,それをドレンとして集液して器外に排出するようにしたもの,または,メッシュフイルタとは別にヒータ部材を隣接または接合しておき,同様に通電加熱によりメッシュフイルタ上の雪状物をドレンに融解し,それを集液して器外に排出するようにしたものが使用できる。この通電加熱による雪状物のドレン化は,本発明装置の融雪運転と併用して行うこともできるが,単独して行うこともできる。
【0041】
なお,このような着氷器20と除雪手段21は,要冷却室Bへの低温空気供給側空気路6に設けておくほか,要冷却室Bから冷凍機Aへのレタン側空気路3に設けておくこともできる。後者の場合には,要冷却室Bの内部で発生した氷片や浮遊物質を冷凍機Aに入る前で捕集することができる。また,空気路6や3に複数台の着氷器を並列して配置し,これを切換え式に利用する構成としてもよい。さらに複数の着氷器を直列に配置して複数箇所での捕集を行なうようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,要冷却室の空気を空気冷媒式冷凍機の冷媒として取入れ,該冷凍機で冷却された冷媒空気を要冷却室に直接的に吹き出して該室を冷却する場合に,空気中に混入した湿分と浮遊物質が管路内で雪状物として堆積したときに,空気路の切換えという簡単な操作でこれを融解除去することができる。したがって,凍結トラブルによる効率低下や休止を簡単な操作で未然に防止できる。
【0043】
加えて,管路内で生成した雪状物には,空気中の塵埃や微生物も取り込まれているので,この雪状物の生成と除去によって,要冷却室には清浄な空気が送り込まれる。このため,要冷却室の空気を清浄にできるという効果を奏する。この空気浄化の効果により,食品の保存や運搬用の冷凍庫,冷凍車,冷凍コンテナ,食品陳列棚などからなる要冷却室を形成するのに特に有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気冷媒式冷凍装置の1実施例の機器配置を示す図である。
【図2】本発明の空気冷媒式冷凍装置の他の実施例の機器配置を示す図である。
【符号の説明】
A 空気冷媒式冷凍機
B 要冷却室
7 主空気圧縮機
8 空気冷却器
9 空気対空気熱交換器
10 空気膨張機
11 補助圧縮機
12 補助冷却器
13 第1のバイバス路
14 温風バイパス路
15 第1のバイバス路の弁
16,17 ダンパ
18 温風バイパス路13の弁
19 ドレン抜き
20 着氷器
21 除雪手段
22 他の実施例の温風バイパス路
23 温風バイパス路22の弁

Claims (10)

  1. 空気の経路に,圧縮機,空気冷却器,空気対空気熱交換器および膨張機を空気の流れの順に配置し,要冷却室内の空気を前記の空気対空気熱交換器を経て該圧縮機に取入れ,該膨張機を出た空気を該要冷却室内に吹き出すようにした空気冷媒式冷凍装置において,該膨張機を出た空気の一部または全部を要冷却室を迂回して該空気対空気熱交換器に戻すための弁介装の第1のバイパス路と,圧縮機を出て膨張機に入る前の空気路から0℃以上の空気を取入れ,これを空気対空気熱交換器の入口側空気路に供給するための弁介装の温風バイバス路を設けたことを特徴とする空気冷媒式冷凍装置。
  2. 空気の経路に,圧縮機,空気冷却器,空気対空気熱交換器および膨張機を空気の流れの順に配置し,要冷却室内の空気を前記の空気対空気熱交換器を経て該圧縮機に取入れ,該膨張機を出た空気を該要冷却室内に吹き出すようにした空気冷媒式冷凍装置において,該膨張機を出た空気の一部または全部を要冷却室を迂回して該空気対空気熱交換器に戻すための弁介装の第1のバイパス路と,圧縮機を出て膨張機に入る前の空気路のうち空気冷却器または空気対空気熱交換器に入る前の空気路から高温圧縮空気を取入れ,これを膨張機の入口側空気路に供給するための弁介装の温風バイバス路を設けたことを特徴とする空気冷媒式冷凍装置。
  3. 温風バイバス路への空気取入端は,圧縮機と空気冷却器の間の空気路,空気冷却器と空気対空気熱交換器の間の空気路,または空気対空気熱交換器と膨張機の間の空気路に接続される請求項1に記載の空気冷媒式冷凍装置。
  4. 温風バイバス路への空気取入端は,圧縮機と空気冷却器の間の空気路または空気冷却器と空気対空気熱交換器の間の空気路に接続される請求項2に記載の空気冷媒式冷凍装置。
  5. 膨張機から第1バイバス路を経て空気対空気熱交換器に至る空気路の最も低い位置にドレン抜きが設けられる請求項1または2に記載の空気冷媒式冷凍装置。
  6. 膨張機を出た空気を要冷却室に導く空気路に着氷器が設置される請求項1または2に記載の空気冷媒式冷凍装置。
  7. 着氷器はメッシュフイルタを空気流路を横切るように張り渡したものである請求項6に記載の空気冷媒式冷凍装置。
  8. 着氷器には,空気中の浮遊粒子と氷片の混合物体が捕獲される請求項6または7に記載の空気冷媒式冷凍装置。
  9. 膨張機から第1バイバス路を経て空気対空気熱交換器に至る空気路に外熱式補助ヒータが取付けられる請求項1または2に記載の空気冷媒式冷凍装置。
  10. 要冷却室は食品の保存または運搬用の冷凍庫である請求項1または2に記載の空気冷媒式冷凍装置。
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